社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
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2025年6月13日

離島の課題を解決する企画とは?「実践プロジェクトa」の授業で近畿日本ツーリストに出された課題への最終プレゼンが行われました。

実践プロジェクトa(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、5月23日(金)に近畿日本ツーリスト株式会社とのコラボ授業が行われました。企業から出された課題に対しプレゼンテーションをするこの授業。課題は「東京諸島の課題にパートナー企業と連携してブレークスルーを起こせ!」。この日は中間発表を経ていよいよ最終プレゼンを行います。学生たちは緊張しながらも、練りに練った提案を、自信をもって発表していました。

自然の美しさをどう使う?

企業側からは近畿日本ツーリストの橘清志氏と小宮めぐみ氏のほか、東京諸島観光連盟の小出詩織氏も来校。
プレゼンテーションは各班7分です。発表後は、企業のみなさんから直接フィードバックをいただきます。

トップバッターは小笠原諸島チームから。
「心のデトックスと新たな自分の発見」と題し、心と体の健康になる旅を企画。体重計メーカーとコラボし、島の特産品を使った食事メニューを開発します。
小笠原諸島に行くには24時間かかるフェリーでしかアクセスできない環境を利用して、デジタルデトックスとダイエットを体験できる6日間のツアーを行うと説明しました。

次は神津島チーム。
この島の魅力と言えば、星空保護区に認定されたほどの美しい夜空と自然です。
そこで「壊さない旅始めよう」をテーマに、自然派コスメブランドやグランピング施設とコラボを提案。企業として自然保護を大事にしている会社をピックアップしました。
木を傷つけずに設営できるツリーハウスで宿泊してアスレチックで遊び、ハンモックで夜空を楽しめるというまさに自然を体感できるツアーです。
発表後、小宮氏は「壊さない旅というコンセプトは島民にもささるのでは」と評価。
橘氏も「島の特徴であるエコをしっかりとらえ、うまくビジュアル化していました」と感想を話しました。

若者に人気なコンテンツで人を集めよう!

3番手は新島チームです。
若者と島をつなぐ新しいフェスの形として、「NEW FES」を企画。大型イベント運営会社とタッグを組み、Z世代をターゲットにした音楽イベントを開催します。
新島が年中温かいことに目を付け、冬の11、12月に行うことで他のイベントと差別化。
小規模ですが、アーティストとの距離が近いことも売り。島全体に会場やアクティビティをちりばめ、島全体を回ってもらえるような工夫をします。

4番目は三宅島チーム。
人気ゲームとのコラボレーションを提案しました。ゲームのステージのなかに三宅島を出し、PRに繋げます。
ゲームをきっかけに三宅島に来た観光客向けに、コラボ商品やゲームの限定アイテムを配布するとしました。ARも活用し、キャラクターと写真を撮れるなど仕組みなども作成。
新たな顧客層の開拓を狙います。
橘氏は「ARの紹介などプレゼンの中にも工夫があった」と感心されました。

持続可能な企画にするために

続いては八丈島チームです。
島民と島外の人の新たなつながりを創ろうと、「浜辺結婚式」を企画。挙式サービス事業の会社とコラボして、八丈島でのウェディングプランを提供するとしました。
島民にも出し物や飾り付けの協力を依頼しつながりを創ります。また、八丈島の名産・黄八丈の生産会社との連携。島内の企業にも仕事が発生するように考えました。
橘氏は「中間発表からブラッシュアップされていた。島の連携企業を入れてくれたのも良かったですね」と評価されました。

最後は伊豆大島チーム。
「大島島民になってみよう」をコンセプトに、親子三世代にそろって来島してもらう企画を考えました。
菓子製造企業の工場やホテルを誘致し、地熱発電を使った温水プールやサウナを展開。高齢者だけでなく、若者にも来てもらえるようなイベントを提案しました。
小宮氏からは「拡大可能性がある。さらに細かく練っていくととてもいい企画になりそうです」と褒められました。

もっと島について知ってほしい

発表が終わると橘氏と小宮氏は審査へ。
その間に東京諸島観光連盟の小出氏からもコメントをいただきました。
「どの班も新しいアイデアがありました。それぞれの島の課題は、私たちも考えていることと同じことを気づいてくれているなと思いました」と学生たちの発表に感心された様子でした。
「みなさんこの課題に取り組むときは島のことは知らなかったと思います。私も大学生のときは全然知らなかった」と、リゾートバイトをきっかけに島に関心を持っていくようになったと話しました。
「皆さんも今回をきっかけにもっと島のことを知ってもらえると嬉しいと思います」と話されました。

チームワークや「掛け算」の楽しさを知る

そしていよいよ優秀賞の発表です。
発表の前に橘氏は「今回の課題はとても難しいテーマで大変だったと思います」と学生たちの頑張りをねぎらいました。
「企業と地域を組み合わせることで、ひとつではできない掛け算の楽しさを感じてもらえていたらと思います」と語り、「社会人になると知らないことは欠点になりますが、学生のうちはまだ知らないと言える強みでもある。どんどん知らないことに興味を持って、引き出しを増やしていってください」と話されました。

優秀賞は三宅島チーム、2位は八丈島チームがそれぞれ受賞。
橘氏直筆の絵の入った賞状もいただき、学生たちも和んだ表情になっていました。
八丈島チームの学生は「中間発表から練り直すのが大変でしたが、頑張って良かった。楽しかったです」とコメント。
三宅島チームの学生も「チームのみんながたくさん準備してくれたので、選ばれて嬉しいです」とほっとした顔で話しました。

企業さながらのプレゼンテーションを経て、学生たちもさまざまに成長した授業となりました。

担当教員からのメッセージ

1年生に対象を絞って行われている「実践プロジェクトa」も、今年は6年目を迎えます。近畿日本ツーリスト様には、本講座スタートから継続してご支援いただいています。毎年、テーマも変えていただき、1年生が真剣に取り組んでいる授業です。この授業がきっかけで、その後、様々な活動に参画する学生が拡大しており、この講座の狙いである「主体性」が磨かれていることを実感します。

また、本学の講座には、過去履修してくれた学生たちがSAとして参加してくれており、自身の経験を通じて後輩へのアドバイスも行ってくれています。コラボいただいている企業、先輩、そして履修している学生が一体となって展開している講座は、年々グレードアップされており、本授業を履修している学生の成長には凄まじいものがあります。毎年ご支援いただいている近畿日本ツーリストの橘さん、小宮さんには、心から感謝申し上げます。

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