社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
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2025年1月24日

女性活躍を後押しする企業を調べよう!「実践キャリアプランニング」の日本ロレアルとのコラボ授業で学生たちがプレゼンテーションを行いました。 

共通科目の「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で日本ロレアル株式会社との特別コラボが行われました。ロレアル パリの女性活躍に対する思いや活動を学び、同じように「女性をエンパワーメント(勇気づけ後押しする)する活動を行っている企業や団体を調査する」という課題が出されました。学生はそれぞれ班に分かれグループで調査を進め、いよいよプレゼンテーションです。
最終プレゼンは12月13日と20日の2回に分けて行われ、それぞれ6チームずつ発表しました。

学生にも身近な企業の活動は?

トップバッターは6班。
大手の家具量販企業のをピックアップしました。最初に強調したのは社会や職場の男女格差について。
管理職の女性割合は平均10%のところ、その企業は50%を達成しています。女性もリーダーシップを発揮できる環境を整え、トレーニングや選考システムがしっかり作られています。ワーキングマザーについてのサポートやフレキシブルな働き方も積極的に取り入れ、母親ならではの視点も大切にしています。
発表後にはロレアル パリのみなさまから質疑応答が行われました。
加藤氏からは「なぜこの企業を選んだのでしょうか」と質問が。
学生は「日本でも有名な企業で若い世代にも親しみがあるから」と回答しました。

続いては4班です。
ある化粧品ブランドが行っている乳がんキャンペーンを取り上げました。
女性に一番多いがんですが、早期発見すれば90%完治します。しかし自覚症状がないため定期的な乳がん検診が推奨されています。
この企業は1992年にキャンペーンを開始し、シンボルのピンクリボンを配布したり売り上げの一部を協会へ寄付したりといった活動を行っています。
ただ、女性が検査に行くまでになかなかたどり着かないといった課題も挙げ、解決法として乳がん検診をさらに受けやすくするサイトやSNSの宣伝法など改善点を提案しました。

8班はボディケアなどのブランドを調査しました。
日本の10代女性は、世界で最も容姿に自信がないと言われています。
このブランドは「セルフエステームプロジェクト」という、容姿への自信と自己肯定感を高められるように、中高生向けのワークショップを行っています。
しかし、「可愛さの定義なんてない」ということを広めようとした広告ポスターが逆に「美の基準があるように周知してしまった」と批判を浴びました。広告は意図しない方向で広まってしまうこともあるという課題を指摘しました。

世界的企業もアクション

次の1班はある世界的化粧品ブランドに注目しました。
このブランドは国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)と連携し、女性が男性同様に活躍する社会になるためのイベントを開催。
東京でも女性活躍についての講演や、女子大生たちとディスカッションが行われたと紹介しました。
奥田氏は「あまり知られていない活動を良く調べていますね」と感嘆されました。

11班も化粧品大手の企業を紹介。
内閣府の「女性に対する暴力をなくす運動」に賛同し立ち上げた「パープルリボンプロジェクト」を調べました。
日本のDVはパートナーからの受ける被害も多いのが現状。
つい我慢してしまう人が多いなか、相談を促すキャンペーンです。売り上げの一部を寄付したり、ミヤシタパークを紫の電飾で染め上げたりといった啓発活動を行っています。
奥田氏は「一つの企業を越えてアクションをし、体現している。ロレアル パリもここまで目指したいと思いました」と話しました。

前半最後の3班は外資系のコーヒー販売店を取り上げました。
男女の労働力人口の差は世界的課題であるとして、女性の就労について紹介しました。
コーヒー豆を栽培するコロンビアでは女性も雇用し、家族へ清潔な水を提供するなど支援しています。また店舗ではシニア雇用など年齢に関係なく、ライフステージによる働き方が可能な制度を整えているとしました。

内面の美しさを大切にしよう

後半の週の発表は2班から。
飲料メーカーの企業を紹介しました。
この企業は女性活躍に優れた上場企業を示す「なでしこ銘柄」にも選定されています。その働きやすさは、直近5年で離職率1%未満という数字にも表れていると言えるでしょう。
出産や子育てにより会社を離れても、同じ役職に復帰できる「ウェルカムバック制度」などはその筆頭。経営層の女性比率も40%以上を達成しています。

続いて9班。
ボディケアのブランドを取り上げました。100%ありのままの美を伝えるため、写真の加工などを行っていないことを紹介しました。
また、アメリカで行われた「リアルビューティスケッチキャンペーン」ではFBIと協力し、自己イメージと他者からみた自分のイメージをそれぞれ似顔絵にすることで「自分が思っている以上に美しい」と伝える広告を打ち出したことを取り上げました。

12班は化粧品ブランドを取り上げました。
「女らしく」といった固定概念をなくすため男性をイメージモデルに起用するなどしてきました。
また高校生を対象にしたプログラムでは、内面の美しさを大切にすることを教えています。ただ、社会に出ると年齢関係なく身だしなみに対する意識が求められ、固定概念も強くなるとし、中高年向けにもあるといいのではと提案しました。
加藤氏から「男性が化粧品のCMに起用されるのはどう思いますか」と問われ「良いと思います。私の親も男性が化粧するのをよく思っていませんでした。テレビなどで目に留まれば価値観を変えられると感じました」と経験を交えて回答しました。

企業以外の取り組みも調査

続いて10班はあるファッションブランドにフォーカス。
1班と同じく女性支援のイベントに注目し、恵まれない環境にある女性へのアプローチなどを紹介しました。
課題として日本ではあまり知られていないこと指摘し、もっとSNSなどで発信するべきだと提案しました。

7班はコスメバンクを取り上げました。
一般社団法人による活動です。化粧品会社と提携し、余剰や型落ちした化粧品を集め、経済的に困窮している女性に無償提供しています。協賛企業にはロレアル パリなども名を連ねます。
企業側としてもエコに繋がりPRになるためwin-winの関係を作りつつ、女性への支援を行っています。
加藤氏から「あまり知られていない活動ですが、どうやって見つけたのでしょうか」と質問され、学生は「ロレアル パリが取り組んでいる活動を調べました」と回答しました。

ラストの5班は日本の化粧品ブランドを取り上げました。
2024年「女性の働きやすい企業」1位に選ばれ、女性管理職の割合も全体で58%を達成しています。
女性が自分らしさを表現し自信を持つことを後押しするメッセージ性はCMなどでも表現され高い評価を得ています。社員向けの子育て支援も充実しており、ベビーシッター制度や、新米パパママ向けのプログラムなども。
仕事と育児の両立を支援しています。
加藤氏は「プログラムに女性だけでなく男性も含まれているのは、資生堂が一歩進んでいるように感じました」とコメントしました。

女性として活躍するために

発表後は前後半それぞれで優秀だった班が選ばれました。
前半は乳がんキャンペーンを取り上げた4班。
奥田氏から「構成力、プレゼンテーション、資料のビジュアルとすべてよかった。良い所だけでなく、課題も合わせて改善点まで考え、自分たちの考えが落とし込まれていたと思います」と評価しました。
学生からは「期間が短くなかなかメンバーが集まれないなか分担し、協力してできてよかった」と安心したコメントがありました。

後半はコスメバンクを紹介した7班でした。
「あえて企業でなく取り組みにフォーカスしようと思い調べたので、賞をいただけて嬉しいです」と学生から喜びの声が聞かれました。
両班には、ロレアル パリから賞品としてヘアケアセットが贈呈されました。

最後に奥田氏から総評をいただきました。
「どの班も素晴らしかったです。他社のCSR活動を見ることはなかなかないので勉強になりました」と学生の頑張りをねぎらいました。
「これから社会に出て、女性として大変なこともたくさんあるかと思います。でも社会は変わってきている。女性であることを理由に何かを諦めることは絶対しないでください」と女性の先輩として学生たちに熱いエールを送り、授業は終了しました。

担当教員よりメッセージ

毎年、ご支援をいただいてるロレアル パリ様には、2024年度は、2年生英文学科の実践キャリアプランニングの授業においてご協力いただきました。今年度は、前述の課題解決型プログラムに入る前に、メイベリン ニューヨーク(様)のメンタルヘルスサポート講習BRAVE TALKやロレアル パリ様提供のSTAND UPプログラムも実施いただき、ワークショップ型の授業とともに女子大学で学ぶことの特徴を生かした立体的な構成を構築いただきました。女性のエンパワーメントをテーマとしたワークショップでは、広い視野で考えた内容が次々と提案され学生のポテンシャルの高さを改めて感じました。詳細は前述の通りです。そして、今回取り組んだことは、来年から就職活動が始まる学生にとって、企業分析の大切な視点について自らの力で、深く学べた点も、とても意義あることになったと振り返っています。多くの時間を割き、ご指導いただきましたロレアル パリの奥田様、加藤様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

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