11月6日に「経営学概論」(担当:人間社会学部ビジネス社会学科 篠﨑香織教授)の授業でUUUM株式会社の特別講義が行われました。講師は本学のOGです。SNSを中心に活動するインフルエンサーのマネジメントを多く手掛けるUUUM。学生たちも普段から利用するSNSの可能性とリスクについて考える機会となりました。
クリエイターをサポートする
登壇された平林愛海氏は、篠崎ゼミの卒業生。総合商社を経て2019年からUUUMに入社しました。
本学に在学中は「大学を卒業したあと、大学で何を勉強したんだっけと迷わないように資格を取りました」と、教員免許と認定心理士資格を取ったと言います。
授業が多く大変だったけれど、自身の糧になったことを話していました。
UUUMは2013年設立の企業です。
「皆さんのなかでもインフルエンサーの事務所というイメージがあると思います」と平林氏が言う通り、幅広いクリエイターのマネジメントやサポートを行っている会社です。
所属するクリエイターの活動場所は動画配信サービスのYouTubeやInstagramなどSNSがメイン。SNSと向き合う仕事です。
SNS、どのくらい使ってる?
「SNSってどんなイメージがありますか」と平林氏。
SNSの歴史を説明されました。SNSは交流サービスとして2004年に作られたFacebookが始まりです。
その後YouTube、Twitter(現X)、InstagramやLINEと次々に登場。現在は多種多様なSNSプラットフォームが存在しています。
平林氏は「では一日にどのくらいSNSを使いますか」と学生たちに質問しました。
1時間未満という学生はほぼ0。
1~3時間という人が少数おり、3時間以上という選択肢に半数以上が手を挙げました。
平林氏は「データ的には1~3時間の人が60%なので、実践女子大学の学生さんは平均よりよくSNSを見るということですね」と興味深そうに話しました。
「それだけ皆さんの生活にSNSがなじんでいることが分かりました」。
好きなことを仕事にする
ここで平林氏は所属するクリエイターの一日のスケジュールを紹介。
「皆さんも見たことのあるインフルエンサーかなと思います」と話され、学生たちも興味津々。
SNS投稿を本業にしているクリエイターは一日中動画の撮影や編集、企画などをしていますが、「最近副業でSNS投稿をする副業クリエイターも増えてきています」と平林氏。
普段は会社などで勤務して、終業後や休日を活動に充てると言うスタイルです。「自分の好きなことに向き合える、と子育て中のママさんなどもいます」と紹介しました。
UUUMには登録者数がのべ100万人を超える大人気クリエイターも。
彼らは知名度や収益が高く、自分の好きなことをとことん追求できるというメリットがある反面、あることに悩まされることも多いと言います。それはSNSでの誹謗中傷です。
誹謗中傷はどうして起こる?
SNSを使う上で理解しておきたい知識として、平林氏は誹謗中傷について話を始めました。
「有名人だけが注意することでしょ?と思うかもしれませんが、想像以上に近くにあり、皆さんも知らず知らずのうちに加害者になりえます」と言います。
誹謗中傷とは、悪口を書き込むなどして相手の人格や名誉を傷つけること。
「なぜ誹謗中傷してはいけないかと言えば、傷つく人がいるから。これがすべてかなと思っています」と平林氏は語りかけました。
では人を傷つけてはいけない、という子どもでも分かることがなぜ起きてしまうのでしょうか。
それは、誹謗中傷した8割の人が「正義感」で書き込んでいるから。間違っていることを正そうとしたり、許せないと感じたり、書き込むことが良いのだと思っている人が大半なのです。
平林氏は「ネットの誹謗中傷は、自分が誹謗中傷していると気付いていないことがとても多いのが現状です。するつもりがなくてもやってしまっていることがある。このことを認識してSNSを使ってほしい」と話しました。
誹謗中傷をすると、相手の人生だけでなく損害賠償を求められるなど自分の人生を狂わせてしまうことも。平林氏はどんなことが誹謗中傷にあたるのか、詳しく説明をされました。
また、被害に遭った場合も絶対に抱え込まないようにとアドバイス。
相談窓口もたくさんあることを紹介しました。
正しくSNSと付き合おう
授業の最後に、学生たちからの質問を募集し質疑応答が行われました。
「UUUMに入ったきっかけは?」という質問に「自分はトレンドに疎いのではないかと感じ、最先端の仕事がしたいと思った」と回答。
「一日の仕事の過ごし方は?」という質問には
「会社はフレックス制でテレワークが多いです。担当しているクリエイターに合わせ、撮影やイベントに付き合うため休日出勤や夜間など変動も多い」とUUUMならではの働き方も紹介されました。
SNSの危険性を学んだ学生の「SNSであまり発信しない方が良いのか」というコメントには、
「自分が好きなものについては積極的に発信してもらいたいと思います。SNSは皆さんの持っている価値を最大限発揮できる場所。リスクを知ったうえで上手に使ってもらいたい」と平林氏はSNSの可能性にも言及し、講義を終えられました。
担当教員よりメッセージ
SNSを使用しない日がほとんどないという現代生活において、そのリテラシーを学ぶ機会はとても限られています。今回は人間社会の卒業生である平林さんをお迎えして、学生がなかなか知ることのないUUUM社の活動やクリエーターさんたちの日常、そしてSNSを利用するうえでのマナーについてお話を伺うことができました。
質問の時間には、平林さんの現在の仕事の様子にとどまらず、キャリア選択や大学時代に取得した資格などに話題が及び、学生は今の自分たちに通じる情報を得ようしている様子が伺えました。学部の先輩との交流という点からもとても有意義な時間になりました。ありがとうございました。
準備から当日まで平林さんをサポートされていた上司の南様にも感謝申し上げます。