2023年12月28日付 繊研新聞掲載
「実践、大妻、跡見3女子大と藤巻百貨店
魅力的提案へ知恵絞る
混成チームで親世代が喜ぶギフト」
本学と大妻女子大学、跡見学園女子大学の3校が
藤巻百貨店と行ったプロジェクトの最終発表会について
繊研新聞で紹介されました。
繊研新聞社WEBサイトリンク:https://senken.co.jp/
三女子大学による産学プロジェクト「藤巻百貨店×A.O.J」の最終報告会が、11月30日に行われました。実践女子大学と大妻女子大学、跡見学園女子大学の三女子大学を横断した共同のプロジェクトで、本学からは大川知子教授(生活科学部 生活環境学科)の研究室の学生7名が参加。大学間を越えてチームを作り、選りすぐりの日本の逸品をセレクトするECサイト『藤巻百貨店』とコラボレーションし、「大切な人に贈る」をテーマに「商品の魅力的な提案」という課題に取り組み、その集大成として発表に臨みました。
大切な人に贈るクリスマス・プレゼントとは?
この日は、大妻女子大学千代田キャンパスの教室をお借りしての最終報告会。各大学の参加学生は23人で全員3年生。プロジェクトは10月から開始し、4チームに分かれ、課題に向き合いました。この日は対面でしたが、これまでは、主にオンラインを活用してのグループワーク。2ヶ月かけてブラッシュアップしてきました。
課題は「『藤巻百貨店』の商品を、大切な人にプレゼントする際の魅力的な提案を考える」。
「大切な人とは?」「どんなプレゼントが喜ばれる?」などストーリーを考え、商品を選び、どのように訴求するかを検討しました。『藤巻百貨店』の中心顧客は40~60代と、学生たちの親世代にあたります。学生たちは、普段の自分たちとは異なる購買行動を考えることが求められます。
当日は、『藤巻百貨店』を運営する株式会社caramoの中村亮社長、バイヤーの市山さやか氏も同席し発表を見守り、講評を下さいました。
イチゴのお酒で初めてのプレゼント
最初のチームは、「女子大学生が、両親に初めてクリスマス・プレゼントを贈るストーリー」を提案。20歳になり初めて両親とお酒を飲む状況を設定し、飲みやすい「イチゴの日本酒スパークリング」と「ワイングラスのセット」をセレクト。若年層により訴求する方法としてインスタグラムのリールを作成。「ストーリー重視」と「季節感重視」の2パターンの投稿を披露しました。
中村氏は「『初めて』という特別感が伝わる発表。商品も、まさにこのような使い方をしてもらいたいお酒だった」とストーリーに感心されました。市山氏も「『藤巻百貨店』の商品ラインナップがもっとあると、選択肢が広がると気付かされるプレゼンだった」とコメントされました。
願いを交わすブレスレット
2チーム目は、「クリスマス・プレゼント」というもの自体に、「カップルで贈り合うもの」というイメージが強いことから、あえて30代前後の若いカップルを想定。最近すれ違いがちな婚約者カップルが、思いを交わすストーリーを考えました。「交わす」と「革」を掛けて革のブレスレットをセレクト。アクセントの宝石は、自分でカスタマイズできるようにして、ギフトボックスにもこだわりました。訴求方法は、こちらのチームもインスタグラムのリールを提案しました。
中村氏は「つい販売重視で考えてしまうが、ストーリー重視で商品を考える良さに気付いた」と構成を高く評価されました。市山氏は「若い世代はインスタグラムで情報を得るのだと、改めて教えてもらった」とSNSの活用方法に興味を持たれていました。
親孝行大作戦!
次の3チーム目は「親孝行」をコンセプトに。「大切な人」を考えた時、チーム全員から「両親」という意見が出たと言い、共働きの両親に「ボディケア商品」を贈るストーリーを考案。若い世代も予算等に合わせて簡単に商品を選べるよう、フローチャート式での販売方法を提案しました。
発表後、中村氏は「フローチャート式は、ECサイトでは技術的には難しい面もあるが、良い着眼点だと思った」とコメントされました。市山氏は「ペルソナの深掘りに、リアリティがあって良かった」と感心されていました。
クリスマス・ギフトを診断で選ぼう
最後の4チーム目も、プレゼントを贈る大切な人に「両親」を設定しました。そして、若い世代への訴求方法として「クリスマス・ギフト診断」を考案。質問に答えていくと、回答にピッタリな商品が紹介される仕組みです。インスタグラムで宣伝をし、手軽に選んでもらえるように工夫しました。また、ECサイトでは、購入商品に合わせた別商品のレコメンド機能を提案。お酒に合う「チョコレート」や「グラス」など、一緒に紹介したい商品を掲載できるとプレゼンしました。
中村氏は「診断は面白い視点で、選びやすい」と発想の豊かさを賞賛。市山氏は「若い世代はレコメンドがあると嬉しいのだと分かりました」と理解を深めていました。
「正解を探す」のではなく、「仮説を立てる」
全チームの発表後、中村氏から総評をいただきました。
中村氏は「皆さん、正解を探しに行ったのではないですか?」と語り始めました。「これなら大丈夫なのでは?」と無難なものを選ばなかったかと学生たちに問いかけ、「社会に出ると正解・不正解はない」と続けました。「皆さんに取り組んでもらった課題は、やってみないと分からないので、うまくいくのではという仮説を立ててもらった状態です」と、どれが良かったということはないということを強調されました。
また、中村氏は教員を目指していた時期もあったことを話され、「皆さんとのプロジェクトに参加できたことに感謝します」と、充実した時間だったことが伝えられました。そして、「皆さんが関わった時間を価値に変えます」と、今回のプレゼンテーションの提案内容を企業に持ち帰り、検討することを約束されました。
・『藤巻百貨店』について:https://fujimaki-select.com/ext/about.html
大川先生からのメッセージ
『藤巻百貨店』様には、過去数年に亘り、1年生を対象とした「ファッションビジネスの世界」の授業の最終回に特別講義をしていただいていました。『藤巻百貨店』様で扱っておられる商品は、日本の伝統技術であったり、ユーザーの使い勝手が吟味された逸品ばかり。素晴らしい商品を取り揃えておられます。
そのような商品価値の分かる年齢層の方々が主たる顧客でいらっしゃるので、多くの学生のみなさんは、このサイトのことを知り得ませんでしたが、講義の感想を読むと、皆、その提供価値に感動し、そういった逸品の数々に対する理解も深まり、視野が広がる様子が分かりました。今回のプロジェクトは、改めて、自分たちが大切にしている方たちを想い、それをどのように訴求していくのかを、他大学のみなさんと力を合わせて考える貴重な機会となりました。
限られた時間の中で、考えに考え抜かれた4つの提案の中には、彼女たちならではのアイディアが詰まっており、手前味噌ながら、改めて学生のみなさんの発想力には深い感動を覚えています。このような貴重な機会を与えて下さった株式会社caramoの中村社長、市山バイヤーに、心から感謝を申し上げます。