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SOCIAL COOPERATION PROGRAM
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2023年10月20日

ホームタウンに愛されるクラブに!「実践キャリアプランニング」の授業で東京ヴェルディによる特別講義が行われました。

9月26日に「実践キャリアプランニング」(担当:高橋 裕樹特任教授)の授業で、東京ヴェルディ株式会社(以下、東京ウェルディ)の中島健吾氏をゲストにお招きした講義が日野キャンパスにて行われました。日野市は東京ヴェルディの「ホームタウン」。学生たちはホームタウンとは何か、どのように地域に関わっているのかを通し、地域貢献について学ぶ機会となりました。

東京ヴェルディはどんなチーム?

東京ヴェルディは、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)のクラブチームのひとつ。1969年に日本初のプロサッカークラブとして創設された「読売サッカークラブ」が前身で、リーグ、リーグカップ、天皇杯と国内の3大タイトルで優勝経験がある歴史と伝統を備えたチームです。現在はJ2リーグ(2部)に所属していますが、2023シーズンは3位と好調をキープしており、J1リーグ(1部)への昇格も狙える位置にいます。

サッカークラブチームを運営している会社ですが、講義をしてくださる中島健吾氏はホームタウン部の所属。日野市や稲城市、八王子市を担当しています。中島氏は日野市出身。大学ではスポーツビジネスを専攻しインターンシップで東京ヴェルディに関わり、その縁もあり2021年に入社されました。

ヴェルディは「先駆者」である

中島氏は東京ヴェルディのバリュー(中核的な価値観)を紹介しました。「仕事上で迷ったらこの価値観に立ち返って、本当にこれに沿って仕事ができているのか確認をする、一つの指標としてとても大事なものです」。一番は「パイオニア」であること。創設当時は野球が盛んで今ほどサッカー人気がない時代。そんな中プロチームを作った東京ヴェルディは、前例や常識にとらわれず先駆者であることを大事にしています。「サスティナビリティ」も大事な観点で、物事は挑戦するだけでなく続けていくことも大切。持続性を意識し成長していくことも重要な価値観です。

ミッションは「世界で輝く人材を育成する」こと。これまで日本代表選手を17名輩出し「まさに日本サッカーの土台を作ったと言っても過言ではないかなと思います」と誇らしげに中島氏は話します。ただ、輝かしい戦歴の裏で苦労も多くあります。2005年にはJ2に降格し、2009年には親会社が撤退し経営危機にも陥りました。現在は総合型クラブを目指し、サッカーだけでなくバレーボールやトライアスロンなどのチーム運営や、音楽などのエンターテイメント業界参入も視野に活動しています。これまでヴェルディが培ってきた人材育成のノウハウを生かし、スポーツスクールだけでなく様々なところで応用していけるように活動しています。

ホームタウンとは?

ホームタウンとはクラブの本拠地のこと。クラブはホームタウンに対し地域に根差したスポーツ文化の振興活動を行うことが求められます。これはJリーグ百年構想という理念に基づいて定められているもの。そのため株式会社という一企業でありながら、利益を追求するだけでなく公共性の高い活動をしていく必要もあるのです。

ただ東京ヴェルディは2001年に川崎市から東京へ本拠地を移転しています。それだけに東京ヴェルディが地域に受け入れてもらうためには「東京ヴェルディは、他のチームよりもホームタウンをより大事にしなくてはいけない」と考え活動していると中島氏は話しました。

ホームタウンから愛されるクラブになるために

「クラブがホームタウンになくてはならない存在にならなくてはいけない」と中島氏。スポーツ文化の現場はもちろん、防災や防犯や農業、観光の分野でも活動しています。例えば防犯対策、交通安全啓発の一環として、新一年生へのランドセルカバーを寄付しています。今まで市が担っていた公費の削減にもつながり自治体とクラブ、市民の全員がwinーwinの関係になりました。また、放置されていた田んぼで選手がコメ作りを行い、地域住民と米粉クッキーを作成し販売。クッキーは好評で田んぼの利用者も増えるなど良い循環が生まれています。

日野市で取り組まれている、市内におけるスポーツの推進に係る体制の整備を図るための日野市スポーツ推進委員「ひのスポ」の立ち上げにも貢献。学校や教育の場面では、部活動の先生の負担や部員数の減少が問題になっています。子どもたちが安心してスポーツを楽しめるよう、地域と連携して活動されています。

就活の準備は早すぎることはない

最後はアンケートフォームを利用して質疑応答が行われました。「就活前に持っておいた方が良い資格は?」という質問には中島氏は「資格ではないですが、英語は必須だと感じます。あと簿記はやっておいて損はない」と回答されました。またスポーツ系企業への就職を目指している学生から「スポーツが得意なことは必須ですか」と質問が。「自分もサッカーはやっていましたが得意ではなかったし、関係ないです。体育会系の企業と思われがちですが、女性も多く活躍しています」と語りました。中島氏は「就活を始めるのが遅かったことを、後悔しています。就活の準備は今からでも早くはない」と話し、講義を締めくくりました。学生たちにとって地域貢献と企業の活動について、身近に感じられる講演となりました。

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