社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
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2023年7月3日

「国際理解とキャリア形成」の授業で資生堂のブランド担当者が人生のテーマを考えるきっかけになる講演を行いました。

5月23日に共通教育科目「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業に株式会社資生堂(以下、資生堂)の林順子氏をお招きし、グローバルキャリア形成についての講演が行われました。『BAUM』というグローバルブランドの担当者として活躍されている林氏。これまでの軌跡と、人生のテーマについて貴重な経験をお話頂きました。

幅広いマーケティングの仕事

講演は、林氏が手掛けるブランド「BAUM」のルームフレグランスやオーデコロンをグループごとに回し、学生たちは実際に香りを体験しながら、リラックスしたムードで始まりました。

林氏は関西出身。ドラマで見た英語を使う仕事に憧れて関西外国語大学に入学しました。在学中イギリスに短期留学を経験し、2007年に資生堂に入社します。このときの人事部の採用責任者が深澤教授でした。

初めての配属先は行ったこともなかった北海道。3年間営業職を経験しました。2011年、中国へ1年間出向。中国語もまったく話せない状態だったと言い「発音などは気にせずとにかく話して覚えていきました」と言います。
その後日本に戻ってからは中国の専用ブランドの開発に携わり、2020年からはグローバルブランド『BAUM』のローンチから関わっています。

マーケティングの仕事は幅広く、商品開発や、広告素材の開発のみならず、ストアデザイン等ブランドに係る様々な要素があると言います。
「市場の状況やコンシューマーのニーズ、ブランドイメージ等を総合的に考え、コンシューマーにとってより豊かなライフスタイルや価値を届けることが仕事です」と話しました。

あなたの人生のテーマは?

林氏は「人生のテーマを決めている人はいますか?」と問いかけました。

何人かの学生が手を挙げるのを見て、
「テーマがあると人生に深みが出ると思っているので、今回の話を単純に聞くだけではなく、考えるきっかけにしてもらえたらと思います」と語りました。例えば将来について考えるとき「漠然と○○になりたいと思うのではなく、5年後10年後にどうなっていたいのかを考え、書いたり話したり言語化することが大事」と話しました。

林氏自身は、
「やらない後悔よりやる後悔の方が、その後の成長につながる」が信念と話します。
大学時代、堂々と自分を表現できている人たちを目の当たりにし、挫折を味わったと言います。しかし、このままだと後悔だけが残ると思い直し、一念発起。経験ではなく努力でカバーできると思った新しい言語(アラビア語)を授業選択し、絶対にトップの成績を取るという目標を立てました。その結果やればやるほど楽しいと思うようになり、長所を伸ばせば個性になると思うようになったと言います。
「挫折と挑戦を繰り返す、自分の人生の礎になった経験だと思います」と話しました。

「グローバル」とは多様な価値観や文化が形成される世界

BAUMは日本以外の中国でも展開されているブランドです。そのため日本人だけでなく、日々さまざまな国の人とコミュニケーションを取ると言います。
「日本語以外でのコミュニケーションの時には、できる限りシンプルにわかりやすく伝えていくことを心掛けるようにしています」と林氏。

「グローバルというとかっこいいイメージがあるかもしれませんが、多様な価値観や文化が交差するところなんです」と林氏。多種多様な人々とコミュニケーションをとるため、1つのことを説明するにも伝え方に工夫が必要です。これまでの思考プロセスでは通用せず、そこでも理想と現実のギャップを感じたと言います。

まずはやってみる!そのあと内省し言語化する

ただ、「できないこと」が山ほどある中で「半歩先にあるできること」を積み重ねていくことによって、少しずつ変わっていったと話します。
「私自身は高いスキルを持っているわけではなかったですが、できることを少しずつ積み重ねていった結果、振り返ったらキャリアができていました」と話しました。いま自分にスキルが足りないと思っている学生にも、目の前のことを積み重ねることで活躍できる方法もあると語り掛けました。

「自分の短所をカバーするためにどうするのかを、自分自身と対話しながら考えることで、長所を個性に昇華できる」と林氏。
自分の好きなことや興味のあることを見つけてまずはやってみること、見つけられなかったら目の前のことに誰よりも取り組むことの大切さを語りました。そして「取り組んだらそれで終わらせず、言語化することが大事です」と話し、「皆さんの人生が、より豊かにより深くなるお手伝いになる授業になっていればと思います」と講演を終えました。

学生たちも将来を考えるきっかけになった講演

講演後、学生たちはグループで感想を話し合い、林氏に伝えました。
「自分は挫折も挑戦もまだ数が少なく未熟だと思いました。思いを言語化して、自分の軸を持っていきたい」と語った学生には、
「自分の考えを人前で発言することはとても難しいことです。言語化していくことを頑張ってやっていってください」とエールを送りました。

まだどんな仕事がしたいか決まっていないけれど、海外に興味があるという学生は「怖がらずに踏み込んでいきたいと思います」と宣言。林氏は「夢を実現するためには今日から何が出来るか、明日はどうするかアクションプランを考えてみると良いですよ」と具体的なアドバイスをされました。

学生たちにとって、これからの人生を良くしていくためのテーマを考えてみる授業となりました。

担当教員からのメッセージ

林さんに初めてお会いしたのは、彼女がまだ大学生の頃でした。以来15年の歳月が流れたことになりますが、毎年お会いするたびにその輝きを増しているお姿には、感動します。目の前のことに精一杯挑戦してきたそのキャリアが物語っています。ご自身の軸をしっかりと持ち、卓越した行動力をいかんなく発揮されて、さらなるご活躍を心から期待したいと思います。人生のテーマを有し、とにかく恐れることなく行動することの大切さは、学生にとって、本当に大切なメッセージとなりました。来年も、楽しみにお待ちしています。ありがとうございました。

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