社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
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2023年2月3日

博報堂とJR東日本とのコラボ授業で、学生たちが見つけた「スローな渋谷」のプレゼンが行われました。

人間社会学科「フィールドワーク論」(担当:原田 謙教授)の授業で、12月7日(水)に株式会社博報堂 ミライの事業室とJR東日本 東京感動線によるプロジェクト「Slow Platform 渋谷駅0番線」とのコラボ授業が行われました。企業の皆さんを前に、学生たちはフィールドワークを通して見つけた「スローな渋谷」の発表を行い、新たに発見した渋谷の魅力をプレゼンしました。

渋谷が隠し持つのどかな側面

Aチームはいつもにぎわっている渋谷だからこそ、ほっとできる場所も多くある意外性に着目。人が集中する渋谷は休息できない場所というイメージが強くありますが、一方で風通しがよく緑の多いところも。ゆっくりでき雰囲気がよく落ち着く場所として、「代々木公園」「金王八幡宮」「茶亭 羽當」などが挙げられました。そのなかで、実践女子大学の最上階から見る夜景も紹介。渋谷キャンパスの周りには超高層の建物が少ないため、夜には東京タワーなどの美しい夜景を眺めることができます。

学生ならではの視点に、質疑応答では「ネオンはビジーな印象だけど、夜景になるとスローになるのが面白い」という感想が。発表した学生は「友達と一緒にきれいだねという会話があって、その会話自体がスローな時間だなと思った」という、実体験を話してくれました。まさに日常に寄り添うスローな渋谷の発見です。

ふとした瞬間の癒しを渋谷で

Bチームは派手な広告や、夜でも明るいネオンなど「見て感じる」ストレスを取り上げました。映え重視の食事も、食べにくかったり価格は高いのに量が少なかったりとストレスに感じるためビジーだと捉えました。ただ、子どもたちの元気な姿や、ふと見えた夕陽など見て感じる癒しもあると考えました。心安らぐ場所としてレトロな蕎麦屋「朝日屋」や「鍋島松濤公園」などが挙げられました。面白い視点としてマンションの壁画も。落書き防止目的の壁画ですが、まるで幼稚園のような明るい色調は安心感があり「見て感じる癒し」としてスローに挙げられました。

博報堂の方からは
「映え重視も窮屈に感じるという視点が意外でした」や「情報過多な世の中で、発信側はつい映えを意識してしまうけれど、情報の少ないところに魅力を感じるのだなと気付いた」という感想をいただきました。

渋谷の“ほっと”なスペース

Cチームは、満員電車など身体的距離は近くても、みんな無関心で心理的距離の遠いこともストレスに感じるといった視点がありました。ただ、町中で手をつないだ親子など人の温かみを感じる瞬間はスローであることに気付くなどの発見も。そこで渋谷の繁華街から足を伸ばしリラックスできる空間を探しました。「ログロード代官山」やカフェとギャラリーが併設された「Lurf MUSEUM」「zenta coffee」などアートと融合した場所が紹介されました。

質疑応答ではJRの方から「知らない施設ばかりでした。元々知っていたんですか?」という質問が。
学生は歩いていて偶然見つけ、新たな発見であったことを伝えました。
また「アートがあることはどういう心地よさにつながるのか」という質問には「普段あまりアートに触れる機会がないので、知らない世界に気軽に触れられる面白さや楽しさがありました」と回答しました。

原田先生からも「渋谷には多くの美術館がありますが、メジャーなところではないのも面白いですね」とコメントがありました。

渋谷における「ゆったり時間」と「ひとり空間」

Dチームは、自分のペースで歩けない忙しなさや夜の治安の悪さなど緊迫感をビジーとして挙げました。ただ人混みにはネガティブなイメージがありますが、フリーマーケットや街中華など活気があり人とのコミュニケーションを取れるところはスローな時間を過ごせるという発見も。自分のことに集中できる場所をスローと捉え「エビスグリーンガーデン」や「ログロード代官山」などが紹介されました。「猿楽古代住居跡公園」では子どもたちの声が響いていたスローな雰囲気を伝えました。

発表後には「一人の時間でも、子どもの声や人との関わり、人の気配を感じることもスローなのだなと気付かされました」という感想が聞かれました。学生からは「街では子どもの楽しそうな声はなかなか聞かないので、都会であることを忘れられると感じました」と素直な意見がありました。

落ち着ける「幸せな孤独」

Eチームは都会では多くのひとがイヤホンをして音楽を聴き、ひとり空間を作ることに着目。スローには「音楽」も大切な要素として取り入れました。またおいしいものを食べる「食」もリフレッシュすることの一つ。それらを含んだ、一人の時間を自分のために使える場所を探しました。中古レコードショップ「ウルトラシブヤ」、銭湯の「さかえ湯」、「山下伏見稲荷大明神」などレトロで昔から変わらない場所を中心に紹介しました。

質疑応答では「惹きつけるタイトルですね」と「幸せな孤独」という言葉選びに感嘆の声が。また、「レトロなものがスローに感じるのはなぜでしょう」という問いも。
学生は、中古レコードショップにあるジュークボックスに触れ「効率重視の世の中で、手間をかけ自分が選択することは余裕があることと思った」と回答がありました。

渋谷のスローな過ごし方とは

最後に企業の皆さんから総評をいただきました。
博報堂の方からは「場所だけではなく、渋谷をスローに過ごすための知恵を教えてもらいました」との感想をくださいました。
JRの方からは「率直な感想として、紹介された場所に行きたいなと思いました。それぞれ視覚以外にも、聴覚や嗅覚など様々な角度からスローを考えてもらえて、自分の解釈も広がりました」と伝えてくださいました。

今回学生たちが紹介したところは、今後マップなどにまとめられる予定です。

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