全学部の大学3年生を対象に、就職活動に向けて「主体性」と「自育力」を身につけるグローバル・キャリアデザインでは、各分野から多彩な講師をお迎えし、学生と共にキャリアや働くことの本質を探ります。第9回では「本物の英語力」を身につける英語学校、CEL英語ソリューションズ最高経営責任者の曽根さんがご登壇。学生時代は東大野球部でピッチャーを務め、野球を通じて深澤教授ともつながりがあったという曽根さん。ますますグローバル化が進む社会で、これからキャリアを形成していく学生たちが英語をどうとらえるべきか、大切なヒントを語ってくださいました。
グローバル人材として思い浮かぶ日本人とは?
実践女子大学には毎年講師として訪れている曽根さんが、学生に最初に投げかけたのは「グローバル人材とは?」という問いでした。4人ずつの6つのグループそれぞれが、グローバル人材として思い浮かぶ日本人を3名、壇上のホワイトボートに記入。そこにはイチロー選手、ZOZOTOWN前澤元社長、渡辺直美さんなど、たくさんの名前が挙がりました。
「これをみると、スポーツ選手、芸能人、政治家、経済人など、いろいろな方の名前があります。グローバル人材というのは、ただ単に英語を話すだけではないことがわかるでしょう」
続いて曽根さんは、以前グローバル・キャリアデザインに登壇した3名の講師(指揮者の櫻井先生、レゴの蓮沼先生、スタバの岩田先生)を挙げ、そこに共通するグローバル人材像を探ります。ホワイトボードにはチャレンジ精神、コミュニケーション力、リーダーシップなど、様々な言葉が並びました。
「みなさん素晴らしい観点を持っています。教科書で教わらなくとも、グローバル人材の本質をよく理解しています」
英語の表現は多彩。正解は決してひとつではない
続く授業では、少し視点を変えて英会話での表現へ。
劇場や映画館で「こちらの席、空いていますか?」を英語でどういうか、学生に投げかけました。
「英語にはいろいろな表現があるので、正解はひとつではありません」と励ます中、グループごとに様々な答えが発表されました。
「みなさん素晴らしい。すべて正解です!」と称える曽根さんは、
「4 words(Is this seat taken?)」
「2 words(May I?)」
という短い表現も紹介。さらに言葉を使わないジェスチャーがあることにも触れました。
日本語と同じように「コミュニケーションの道具」である英語は、正解がひとつではないことを曽根さんは強調しました。
英語は正確に話さなければならないと考える学生には、目から鱗だったのではないでしょうか。
英語は「勉強」ではなく「使ってみる」ことが上達への近道
英語の習得には、「英語の富士山」があると語る曽根さん。あたかも山を登るように3段階のフェーズを経て、レベルが向上していくようです。
曽根さんによれば、英語をビジネスでもある程度不自由なく使えるようになるには2000時間必要といわれますが、1日3時間であれば約2年で達成できます。
「実は英語というものは、勉強してはだめなんです。StudyではなくPlayする意識が大切です。みなさんが自転車に乗れるようになったときのことを思い出してみてください。頭であれこれ思い悩むのではなく、とにかく乗ってみたのでは。英語もこれと同様で、『使ってみる』ことが上達につながるんですよ」
美しい英語とは、高い人間性が生み出すもの
最後に「美しい英語とは」という問いを投げかけた曽根さんは、著名人の英語スピーチを例に挙げ、発音や文法の細部にこだわるよりも話す内容が大切だと語りました。
「老若男女、誰がいつ始めても習得できる英語は、ネイティブになる必要はありません。美しい英語とは、経験、知識、教養、人格を含めた高い人間性を持った人が使う英語のことをいいます」
授業のまとめとして、グローバル人材には
①高い専門能力、
②コミュニケーション能力、
③自分を説明する能力、
これら3つの総合力の強化が役に立つと語る曽根さん。
実践女子大学を牽引するトップランナーを育てるこの授業から、美しい英語を使いながら未来を創るグローバル人材が育っていくことを願います。
深澤教授の話
曽根様には、毎年、ご支援をいただいています。
これからの学生が活躍する社会では、どのような企業で、あるいは組織で活動していても、英語でのコミュニケーション能力は求められると考えます。
しかし、ネイティブな英語を話すことよりも、品格のある日本人としての英語が大切であることを、曽根様は学生に語り掛けて下さいます。
「Play English」楽しみながら話すことこそ、上達への道だと考えます。
この場を借りて、曽根様には心から感謝申し上げます。