暮らしのなかのウェルビーイングを考える講演会が11月18日(木)、日野キャンパスの香雪記念館で開かれました。生活環境学科が、毎年恒例の学科講演会として主催。講師は、ハーブやアロマの専門ショップ「生活の木」から招いたマーケティング本部プロモーションプランナーの梅原亜也子さんです。今年度のテーマは「自然の恵みを活かす生活」。梅原さんは、講演を通じて「何事にも興味を持ち、挑戦することが大事だ」と学生たちに語り掛けました。
香りを楽しむ生活の仕方など講義
ウェルビーイングは、体の健康のウェルネスを含め、心と体の充実した状態を意味しています。梅原さんは講演の中で、日本にハーブ・アロマテラピー文化を普及させた「生活の木」の取り組みや、自身のキャリアを紹介。また、ハーブやアロマテラピーの基礎知識や香りを楽しむウェルビーイングな生活の仕方などを学生たちに提案しました。
直談判の相手が後の社長という奇縁
このうち、とりわけ学生を驚かせたのが、梅原さんのキャリアに関する逸話でした。それは彼女と「生活の木」の最初の出会いのエピソードです。当時、梅原さんは大学1年生。ショッピングセンターの店の壁一面にデコレーションされたハーブ染めに心奪われ、その場にいた男性スタッフに「アルバイトをさせてほしい」と直談判したと言います。生憎、当時、同店舗でアルバイト募集はしていませんでしたが、なんとこの男性スタッフが、後に社長に就任する重永忠社長という奇縁。アルバイトは即採用。後に梅原さんが「生活の木」に入社するきっかけとなりました。
この逸話に、多くの学生が勇気付けられました。学生の何人かは梅原さんの行動力に感激し、「私は現在、就職活動中ですが、梅原さんの様に自ら率先してきっかけを探し、より良いキャリアプランを自らの手で掴みにいける様に頑張りたいと思いました」「私は現在、就活を始めるにあたり、自分がどんな仕事に就きたいのか、とても迷っています。しかし、梅原さんの話を聞いて自分も情熱を持って出来る仕事をしたいと強く思いました」などと講義後の感想で述べています。生活環境学科の大川知子准教授は「何が人生のきっかけになるか分からない、ということを皆さんには知っていただきたい」と学生に語り掛けました。
「漫画研究クラブ」が取り持つ縁
その意味では、今回の講演会実現のきっかけも、本学の文化部「漫画研究クラブ」が取り持つ縁という偶然からでした。大川准教授によると、先生がたまたまある会で名刺交換したお相手が、「生活の木」の重永忠社長だったとか。重永社長は先生を本学の教員と知り、「生活の木」の創業当時、本学の漫画研究クラブに協力してもらったエピソードを本当にしみじみと語ってくださったそうです。
「(漫画研究クラブに)僕たちは、大変お世話になった。というのは、ハーブやアロマを日本で広めていくためには、やはり女性の支持がないと難しい。そこで、(同じ渋谷区内ということで)実践女子大学の漫画研究クラブとのご縁でP O Pやフライヤーを作ってもらった。その出来が素晴らしくて、生活の木が女性の間で認知度が高まる一助になった」
世の中、どこで縁が繋がっているか分かりません。重永社長が旧恩に報いるのに相応しい講師として、自身に代えて派遣したのが、人一倍、ハーブ愛・アロマ愛に溢れる梅原さんだったというわけです。
多彩な効能に、学生が驚きの声
学生がハーブやアロマテラピーに対するこれまでの認識を改めるのに、梅原さんの講演が強力なインパクトとなったのは疑いありません。多くの学生が講演後、「就職活動などによりストレスを溜め込みやすくなると思うので、活用していきたい」などと語っています。
「今日の話を聞いて、アロマは自律神経や精神状態を安定させる働きがあることを知り、活用したいと思った。また、香りによって効果が変わるのも面白いし、沢山ある中で自分に合ったものを選ぶのも楽しそうだと思った」
ハーブやアロマテラピーの多彩な効能のうち、学生が関心を寄せたのは、消毒殺菌や免疫力アップ、自律神経のバランス調整…など、リラックス効果や安眠効果以外の使い道でした。実に様々な効果や楽しみ方があることを梅原さんは教えてくれました。わけても、「月経痛に良いアロマがある」という梅原さんの案内には多くの学生がびっくり。耳をそばだて、「アロマテラピーマッサージを試してみたい」などの声が相次ぎました。
「アロマの香りによってこんなにも心身へのアプローチが違うことや、その種類が豊富であると学びました。私は、月経痛がひどい上、花粉症もあり、とても興味を持ちました。今回の知識を、日常に活かしたいと思います」
「リラックス効果だけでなく、消毒殺菌や自律神経のバランスも整う効果があることを知り驚きました。気圧の変化や女性特有の月経痛にもいい影響を与えるとお聞きし、先ずはラベンダーの香りを使ってみたい気持ちが高まりました」
生活環境学科の学科講演会は、3年生の必修科目「生活環境学セミナー」の時間を使って毎年企画・実施されています。今年は3年生約80人が聴講しました。