6月13日(金)に実践プロジェクトa(担当:文学部国文学科深澤晶久教授)にて、サントリーホールディングス株式会社(以下サントリー)から髙橋誠二郎氏を招き、課題の共有が行われました。実践プロジェクトaでは全14回の授業を前半・後半に7回ずつ分け、それぞれの期間で異なる企業を迎え、企業から提示される課題に対し学生がグループワークを重ねて企画を立案・発表し、それを企業が評価するという、PBL(Project Based Learning)形式のコラボ授業を展開しています。サントリーは後半の連携企業として参加しています。前半で得た経験を生かし、前半の経験を生かし、最終プレゼンテーションに向けて、準備を進めていきます。

今回講話していただいた方は、人財戦略本部の髙橋誠二郎氏です。サントリーに関する三択クイズが3問出題されたあと、課題の発表が行われました。
課題発表!
今回の課題は「サントリー社員として、サントリーの新人研修を考案すること」。具体的な課題として「会社を取り巻く環境を踏まえ、企業人・社会人に求められているものは何か、結論を発表してください」「それをふまえ、これからサントリーに入社してくる社員に対する具体的な研修計画を提案してください」の2点が提示されました。続けて、課題を考えていくステップとして「ニーズの把握」「ニーズの背景を探り本質的な課題を考察する」「具体的な研修計画を提案する」という流れが示されました。

会社を知ろう

サントリーは、総合食品メーカーとして、清涼飲料水や酒類をはじめ、サプリメントなどの健康食品、外食、化粧品など、多岐にわたる事業を展開しています。取り上げられた商品名や店舗名は、学生にとってもなじみ深く、企業の認知度の高さがうかがえました。現在では売上の約半分を海外が占めており、世界に265社、約4万人の従業員を抱えるグローバル企業でもあります。
サントリーについて、髙橋氏は「挑戦し続ける企業」と紹介。これは創業者の想いが受け継がれているといい、話は社員が共有する価値観について移ります。とくに「やってみなはれ」と「利益三分主義」について詳しい説明がされました。
「やってみなはれ」とは、新しい価値の創造に挑戦することを意味し、創業者が日本で洋酒文化を築いたエピソードが紹介されました。さらに、競合他社がすでにビール事業に力を入れていた時期に新たに参入した経緯にも触れ、未知の市場への挑戦や、失敗を恐れない姿勢が大切にされていることが語られました。海外展開もまた、この精神のもとで行われているといいます。
「利益三分主義」は、事業で得た利益は自社の再投資にとどまらず、取引先や社会にも利益を還元していく、という考え方です。実際にサントリーは、コンサートホールや美術館、社会福祉法人の運営、水育という森林保護に関する学校教育やラベルレスデザインの推進などの環境活動など、さまざまな社会貢献活動を行っています。


最後に、髙橋氏はサントリーの人材育成方針についても紹介しました。サントリーの人財戦略本部では「人本主義」を重視しており、個人が「どうありたいか」を尊重し、その実現の場として会社があるという考えを持っています。短期的に人材の価値を判断せず、長期的な視点で人を育てること、そして「変化をチャンスに変え、チャンスを挑戦につなげられる人」が求められていることが語られました。
また、「成果を出して自分を磨いた人が、夢を追い、挑戦できる」制度が整っていることも紹介されました。実際に、社内公募制度を通じて、自ら手を挙げる形式の研修や海外チャレンジ、グローバルチャレンジといった多様な機会が提供されています。スライドには「目指す社員像」が示され、髙橋氏の講話は締めくくられました。
最後に

髙橋氏の講話の後、学生たちは早速グループワークに取りかかりました。斎藤氏からは「課題検討のステップから外れないように。行き詰まったときこそ、スライドに戻って立ち返ってください」とのアドバイスがありました。髙橋氏や斎藤氏に直接質問しながら、各グループで課題の方向性を細かく議論していく様子が見られました。
最終プレゼンテーションは7月11日に実施予定です。学生たちはまず、6月27日に予定されている中間発表に向けて、グループワークを進めていきます。
担当教員からのメッセージ
本授業について、サントリーホールディングス様にご支援いただくのは5回目となります。サントリーホールディングス様からのお題は、常に同じ内容をいただいています。
「大学での学び方を学ぶ」という本講座の狙いを実現する大切なテーマだからです。言い換えれば、このお題を通して、今社会は、どのような人材を求めているのか、そしてサントリー様ではどのような人材を育成しようとしているのかを考えることになりますが、このことを議論することは、1年生にとっては、ここからの4年間何を学ぶべきかを考えることに繋がるのです。果敢に挑戦してくれることを期待しています。この場を借りて、サントリーホールディングス様の斎藤様、髙橋様に心から感謝申し上げます。
※本講座は、一般社団法人フューチャー・スキルズプロジェクト研究会との連携となります。
