5月9日(金)に実践プロジェクトa(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で近畿日本ツーリスト様とのコラボ授業が行われました。今回は、提示された課題に対する中間発表が実施されました。中間発表後は各グループに丁寧なフィードバックをいただきました。

「実践プロジェクトa」
この授業は前半後半にわたり2社の企業とコラボし、提示された課題に対してグループワークで答えを出し、プレゼンテーションを行う内容。学部学科を問わず一年生から受講することができ、実際に企業が認識している課題をグループワークのテーマとして提示いただき、実際の社員の立場を疑似体験する極めてリアリティの高い内容が特徴です。
今年の前半のコラボ企業は近畿日本ツーリスト様。地域活性化・課題解決を担う旅行会社の社員として、東京諸島の個性豊かな地域資源と各島が抱える地域課題を、自分たちで考えたパートナー企業のサービスを組み合わせて、新しい顧客体験や課題を解決する企画を考えます。
提示されたお題は「東京諸島の課題にパートナー企業と連携してブレークスルーを起こせ!」です。
今回の中間発表は、授業として初めてのグループワークの成果を発表する機会。プレゼンテーションのあとは、課題をいただいた社員の方から直接フィードバックをいただきます。
学生は6つのグループに分かれ、2週にわたってワークを行いました。

島をもっと良くしていくためには?

発表のトップバッターは新島チーム。新島の抱える問題点を分析し「知名度」と「高齢化」に焦点を当て、Z世代をターゲットにした音楽フェス「ニューアイランド」を提案。「海と音楽による非日常体験」をコンセプトに掲げ、海岸でのライブやプロジェクションマッピングを企画しました。SNSでの拡散を狙い、若者の来島を促進することで、新島の知名度向上と観光客増加を目指す内容となっており、具体的な方策として抽選でドリンクチケットが当選する「SNS投稿キャンペーン」が提案されました。
2番目は三宅島チーム。三宅島の抱える「少子高齢化」と「設備維持」の問題解決には「認知度の向上」と「経済活性化」が必要とし、三宅島と人気ゲームとのコラボレーションを提案しました。この人気ゲームは、離島を舞台にしたライフシュミレーションゲーム。ゲームと現実の離島コラボという話題性を狙います。具体的なコラボレーション施策として、ファミリー層向けの自然体験ツアーと限定コラボグッズの販売を企画。実際のゲーム画面を動画で編集しプレゼンテーションに組み込みながら、新たな顧客層の開拓を狙います。

本当に行きたくなるプレゼン

3番目は八丈島チーム。「島の活性化」をおおまかな問題点としてあげ、「知名度向上」「経済活性化」を解決すべき問題としました。そして、Z世代をターゲットに設定し、高校生の恋愛リアリティ番組とのコラボと、オリジナルTシャツの制作を提案しました。この番組は「運命の恋と青春の修学旅行」がコンセプト。離島旅行と修学旅行を重ね、八丈島でロケーション撮影を提案。番組視聴者層への知名度向上を狙います。さらに、番組とコラボした限定オリジナルグッズを販売することで、「SNS映え」の心理をくすぐり「経済活性化」につながると提起。実際にロケ地とコラボしたグッズを販売した例をあげ、期待される経済効果を説明しました。
4番目は伊豆大島チーム。「観光客・宿泊客の減少」を課題にあげ、有名スイーツ店とのコラボレーションによる特産品開発と、ホテルとの業務提携による宿泊プランを提案しました。この企業を選んだ理由は「伊豆大島に甘いものを売っている場所がすくない」こと、「経営理念に自然を生かすことがある」ことの2点。企業にとってもイメージアップや認知度向上につながるとし、コラボする企業の必然性を説明しました。特産品開発として島の特産である大島牛乳を使用したプリンを、宿泊プランとして星空観測とスイーツ食べ放題を組み合わせた内容を提案しました。宿泊プランは、親子三代で楽しめる内容にすることで、若い子供連れやその親世代まで幅広い年齢層に認知してもらうことを狙います。また、宿泊施設で生活の類似体験をしてもらうことで、将来的な移住につなげることも提案されました。

ならではの要素

5番目は小笠原諸島チーム。「島と本州の人に継続的なつながりがないこと」「移動に24時間かかること」「コンビニやファストフード店がないこと」を問題点にあげ、島内でのダイエットプログラムを提案し、旅行会社との連携により、健康と観光を組み合わせた新しいプランを提案しました。提携する旅行会社は「旅で幸せになる人が増えること」を企業理念に据えた企業を提案しました。理由として旅で人生が豊かになる仕組みを創りたいと考えている理念と、今回の提案プラン内容の一致を説明しました。今回の24時間かかるフェリーでしかアクセスできない環境を利用し、参加者が逃げられない状況を作り出すことでダイエットと向き合う時間を確保するという、問題点を逆手に取ったユニークな提案。島でのアクティビティとして島民との農作業体験を取り入れ、カロリー消費と共に島民との交流を狙います。
最後は神津島チーム。豊かな自然の中でも星空保護区に指定された夜空に焦点を当て、グランピング施設の展開と自然派コスメブランドとのコラボレーションにより、都市生活で疲れた人々への癒しの提供を提案しました。液晶画面の眺めすぎによる眼精疲労や、デスクワークによる肩こりなど現代社会人ならではの悩みを、グランピングで味わえる手軽な非日常感と神津島の自然とのふれあいを通じて癒してもらうことを狙っています。さらに、自然派コスメブランドとコラボレーションし、神津島名産のパッションフルーツを使用した商品開発を行いブランドの店舗でPRすることで、集客効果を高めたいと考えています。

よりよくしていくためには

中間発表終了後、近畿日本ツーリストの橘氏からアドバイスの記載された資料が配布されました。「皆さんが考えている企画自体もダイヤモンドの原石なので、どんどんブラッシュアップしていってもらいたいなと思っています」と語られたのち、全体に向かって改善点をアドバイス。「島の価値、中で生活している人のことも想像してみて」「自分がそのコラボする企業のプロジェクトマネージャーや企画の担当者だったらどうかなっていう目線をもっと考えて欲しい」「スピーチではなく、相手へのプレゼンテーションを意識した発表に」と、三つの要点と具体的な改善方法・調査方法を提示されました。
その後発表順に各グループのテーブルを回り、発表内容のフィードバックがありました。ひとつひとつ細かく丁寧なフィードバックに対し、学生も質問を重ね、有意義な時間となりました。
中間発表から二週間後の5月23日には最終プレゼンテーションが行われる予定です。

担当教員からのメッセージ
キャリア教育の中でも初年次教育として実施している「実践プロジェクトa」
今年も多くの履修希望者の中から34名の1年生が挑戦してくれています。
さらに今年度は、科目等履修生として、実践女子学園高等学校の3年生2名も加わり、
総勢36名での授業がスタートしました。
ご支援いただく企業様は、今年も、近畿日本ツーリスト様とサントリーホールディングス様です。
早速、近畿日本ツーリスト様からのお題が提示されました。今年は、さらにハードルの高い課題が
提示されています。
大学1年生が、いきなり社会人1年生の立場で、企業のリアルな課題解決にチャレンジします。
今年も、アウトプットがとても楽しみです。
なお、本講座は、一般社団法人フューチャースキルズプロジェクト研究会が、バックアップしています。
