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2024年12月24日

ゆっくり動いて体をほぐそう!美学美術史学科の授業でジャワ古典舞踊のワークショップが行われました。 

11月19日に美学美術史学科(担当:文学部美学美術史学科 串田 紀代美准教授)の特別授業が行われました。インドネシア人のジャワ古典舞踊の名手をお迎えし、発声や体の動かし方などを実際に体験するワークショップです。ゆったりした動きですが、学生たちは「身体が温かくなった」と舞踊の基礎を楽しみながら学びました。

古典舞踊にヒントを得た動き

この日は隣接する実践女子学園の多目的室をお借りしての特別授業です。学生たちも動きやすい恰好で授業にのぞみました。
教えてくださるのは、インドネシア国立芸術大学スラカルタ校舞踊科教授のワシ・バントロ氏。
インドネシアのジャワ島中部に伝わる古典舞踊の踊り手であり、普及に取り組んでいらっしゃいます。英語で学生たちに「Let’s have fun together and do make a voice, do move, and be happy(一緒に楽しんで、声を出して、体を動かして、幸せになりましょう)」とあいさつされました。

今回学生たちが教わるのは、ジャワ古典舞踊からワシ氏が編み出した発声・身体操法「ヌンバン・ブクソ」です。
ジャワ語で「ヌンバン」は歌う、「ブクソ」は踊るという意味。「難しい動きはなく、呼吸し声を出しながら体を動かします。
太極拳のような感じです」と通訳を介して話されました。
踊りというより、体の動きにくいところを動きやすくしてみることが目的で、体のこわばりを取りゆるませるものです。

まずは体をゆるめよう

お互いぶつからないよう広がり、動く準備はばっちり。
学生たちは、ワシ先生やアシスタントの方々を真似て、実践していきます。
まずは寒さで固まってしまった顔をほぐすところから。
口のわきの筋肉を指でそっとおさえ、唇をふるわせます。唇を閉じた状態で空気を吐き出し、唇をブルブルと震わせることで顔の筋肉を柔らかくしました。
次にワシ氏は「Let’s shake your body(体を揺らしましょう)」と促し、手足を振ったり伸びをしたり、準備運動。
この間も唇をブルブルと震わせることで、体をリラックスさせます。

次に唇を震わせたまま「um~」とハミング。背中を伸ばしおなかに手を添え、頭の上からおなかまでまっすぐに声が通るようにします。
ワシ氏は徐々にハミングの音階を変えていきました。
これは「ガムラン」と呼ばれるインドネシアの伝統音楽で使われる音階とのこと。高い音と低い音を交互に出しながら体も動かしていきます。声を出すことで余分な力が抜け、体も動くようになってきました。
振動が心地よく体に響くようになったら準備完了です。

声を出しながら動いてみる

ガムランの音階をハミングしながら、徐々に手や足を動かしていきました。
学生たちが苦戦していたのは、足を開いて立ち、声を出しながらゆっくりお尻を下げていくもの。体が前のめりにならないよう、膝を曲げるのではなくお腹に力を入れながら下げていきます。
また足の指だけ上げたり、動かしたりという普段やらない細かい動きも。
不慣れな動きに戸惑っていましたが、徐々に出来るようになっていきました。それぞれ無理のない範囲で続けていきます。

おでこで8の字を描くように、ゆっくりと首を回し続けるのは、ジャワ舞踊の基礎の動きです。
「水が流れるように」ゆっくり焦らず回します。足を上げたり、手首を回しつつ腕をゆっくり開いたりする動きも伝統舞踊からとられたもの。体操のなかで、学生たちは古典的な動きを知っていきました。
「皆さんきちんと出来ていて素晴らしいです」とお褒めの言葉もありました。

体を動かすってきもちいい!

休憩をはさみつつ、1時間ほどかけてしっかりワークショップは行われました。
ワークショップ終わりには質疑応答の時間が。
「動きは少ないものでしたが、やってみてどうでしたか?」と問いかけられると、学生からは「あまり大きく動かさなかったけれど、それでも体がポカポカしてほぐれる感じがありました」「最初は声をどう出したらいいかも分からなかったけれど、だんだん楽しくなり最後にはおなかから声が出てリラックスできた」など感想が上がりました。
体の変化を感じた学生は多かったようです。
ワシ氏は「鼻歌くらいの声を出してゆっくり動くのは体に良い」と実体験を交えて話しました。

女性と男性の踊りに違いについて質問した学生には、実際に踊りを披露し違いを解説。
女性の動きは柔らかく流れるようですが、男性の踊り(荒形・優形があり、今回は荒形)は力強くピタッと動きを止めるのが特徴とよくわかるものでした。

このあとワシ氏たちはピロティにてジャワ舞踊のフラッシュモブと簡易ワークショップを行っていただき、有志の学生たちも参加。
学生たちは伝統的な動きを学びつつ、体を動かすことを存分に楽しめた時間でした。

担当教員よりメッセージ

今回のワークショップは、ジャワ舞踊家の針生すぐり氏(東京音楽大学講師)からお声がけいただき実現しました。近年のインドネシアでは、都市部の富裕層を中心にヨガやマインドフルネスが注目されています。心と体をリラックスさせるため、ジャワ伝統舞踊の基本的な動きと歌を組み合わせたものが「ヌンバン・ブクソ」です。伝統舞踊に現代社会での役目を与え、新たなコンセプトのもとで息吹を吹き込むワシ先生の試みは、日本の民俗芸能が置かれている危機的状況を学んだ学生だからこそ、その価値が理解できるのだと思います。ワークショップ後に、東南アジアのダンスに興味を持ってくれた学生も現れ、さっそく効果を感じています。ジャワの先生方の素敵な笑顔と優しいお人柄に、私たちも大変癒されました。

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