社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
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2024年12月13日

女性がたのしく活躍できる社会をめざそう!サニーサイドアップグループの次原悦子氏をお招きして特別講義が行われました。 

10月21日に「メディアプロデュース論」(担当:生活科学部現代生活学科 行実洋一教授)と「女性社会論b」の合同授業が行われました。株式会社サニーサイドアップグループの代表取締役社長である次原悦子氏をお迎えしての特別講義です。高校生のときから働いて今に至る経緯、PRという仕事のたのしさ、そして女性がもっと活躍していくためにはなど多岐に渡る話題を、ユーモアを交えてお話くださいました。

女子高生で社長に!

PR会社で働いていた母親が独立し、仕事を手伝うよう誘われたことが始まりです。17歳でサニーサイドアップグループの前身となる会社を立ち上げることになり、当時高校生だった次原氏が社長に就任。
「なので、女性起業家!と紹介されることもあるのですが、自分から始めたのとは少し違うんです」と経緯を話されました。
周りの友人たちが大学生活を楽しんでいるのを見て、うらやましいなと思うこともあったそう。
とはいえ「仕事をすることがたのしくて仕方なかった」と言います。「どんな小さな仕事でも世の中に参画しているということが嬉しかったんです」と語りました。

会社は少しずつ大きくなっていき、2008年に上場。今ではグループ全体で450名のメンバーを抱える企業に。
2023年度は過去最高益を記録しています。掲げるスローガンは「たのしいさわぎをおこしたい」。PRの力で人の心を動かし、世の中の空気を変えることで、明るい明日を創り出したいという想いがこめられています。

PR・コミュニケーションの力で人の心を動かす

「私たちはさまざまなニュースの裏にいます」と次原氏。
「ひとりでも多くの生活者にそのモノやコトを知ってもらい、その上でアクションを起こしてもらうことで、世の中の空気を変えること」がPR・コミュニケーションの力だと思います。知ったことにより、欲しい、食べたい、やってみたいと思ってもらうことが大事なのです。
「伝えるだけじゃなく、その人をどう動かすのかを考える仕事」と話しました。

「広告とPRの違いは、伝達の方法」だと言います。
広告は自分で自分たちの商品やサービスをアピールすること。PRは誰か他の人に良さを伝えてもらうことです。
例えばSNSのインフルエンサーや、テレビ番組の特集など、企業が直接働きかけるのではなく、第三者目線で情報を拡散してもらう方法です。
「信頼できる誰かに言われたら信憑性があると感じますよね。情報だけでは人は動かない時代。自ら情報を拡散したくなるようなストーリーを作ることが大事になっています」と語りました。

「PRはアイデア勝負で世の中を大きく変える可能性を持っている」と次原氏。
立ちあげたばかりの会社が小さかったときは、予算がないなかアイデアを出していたと言います。
現在、大企業を相手にするようになってからも、この考えを念頭に仕事をしていると話しました。

女性が活躍することで経済が回る

現在、次原氏は日本経済団体連合会(経団連)のダイバーシティ推進委員会委員長を務められています。
日本企業全体の女性社長の割合は8.3%。上場企業だけでみると0.8%しかいません。
次原氏は「そのうちの一人というのは光栄なことでもあるけれど、海外からみるとジョークを越えてホラーと言われます」とユーモアを交えて表現されました。

次原氏は、購買を決定する割合は女性が7割と言われていることを紹介し、女性が活躍することで経済が動くことを強調されました。
経団連は、2030年までに日本企業の役員に占める女性比率を30%以上にすることを目標に掲げています。
次原氏は「イギリスの大学教授に、女性役員30%をクリアしている会社は確実に成長していると言われました。感情だけが理由ではない、データサイエンスなんだよ、と」と語りました。

働く女性としての「失敗」

上場企業の女性社長として活躍する次原氏は、周りの女性社員を勇気づけるためにも、熱心に仕事に励んでいたと語ります。
しかし「大きな失敗」も経験されました。
2人の子どもを持つ次原氏ですが、一人目の出産は当日まで出社し働いて、2日後には病室でミーティング、その2週間後には完全復帰。海外出張に行ったりと慌ただしく過ごしていたと言います。

妊娠や出産を経ても仕事と両立できることをと示したかったからですが、女性社員は「あなたのようになりたくない」と会社を離れてしまいました。
大変ショックを覚えたと話します。
「頑張っているところを見せるのではなく、それぞれ違うライフステージにいる女性誰もが、働きやすい環境を作らないとと思い直しました」そこでさまざまな福利厚生や制度を整備。
現在は女性が働きやすい会社として世界的にも評価が広まっています。

熱意を持ってアクションを起こそう

講義の最後には質疑応答が行われました。
「結婚した際に苗字を変えることに疑問を感じましたか」という質問には「当時は抵抗なかったのですが、会社が大きくなるにつれビジネスの名前と本名が違うとで不便なことが多かったのは事実。」と自身の経験を話され、選択的夫婦別姓への議論が進むことを望まれました。
また「若い女性であるがゆえに、時に正当に評価されないことがあるかもしれませんが、ビジネスの場でどのように信頼を得てきましたか」という質問には、「人は頼られることが嬉しい。若い子が熱意をもってアクションを起こす姿を見ると応援したくなるもの。みんなも思いがあれば、アクションを起こしてみてください。きっと誠意を持って力になってくれる大人たちとつながれると思います」とエールを送りました。

担当教員のメッセージ

以前からテレビや新聞・雑誌といったメディア業界でしばしば耳にし、話題となってきた会社が「サニーサイドアップグループ」です。いわゆる大手広告代理店とはひと味違った、「クレバー」なPR・コミュニケーション手法を展開する会社として、かなりの注目を集めてきました。
今回、その会社のトップのお話をお聞きして、その訳が分かり納得しました。
卓越した女性経営者ならではの視点や、真摯でユニークな物事への取り組み、そして人間味ある経営方針などが、そうしたオリジナルな良さを生み出していたのだと改めて感じさせられました。
学生の皆さんからすれば、次原社長は遙か遠い星かもしれませんが、将来を照らす希望の星だと思って、多くを学んで欲しい講演でした。

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