社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
TOPICS
2022年4月13日

実践プロジェクトb「人と社会の活性化を促すアート・デザイン」がスタート!

さまざまな課題をテーマに、社会をよりよい方向へ進めることを「アート・デザイン」の観点から探求する、産学協同プログラムの「実践プロジェクトb」。今期は実践女子大学と長岡造形大学の2大学が連携するという、新しい取り組みでスタートしました。普段はなかなか接点のないさまざまな学科の学生が参加する場で、どのような学びが生まれていくのでしょうか。

デザインを手段に、社会課題を解決する手法を学ぶ

冒頭では、下山教授が授業の全体像を紹介しました。デザインというと「絵を描く」「手でモノをつくる」というイメージを浮かべる人が多いですが、社会においてさまざまな企画を実現することもデザインであるという教授の言葉は、そこにいた学生に新鮮な印象を与えていました。実践プロジェクトbでは、デザインを手段に課題を解決する手法を学びます。

今回テーマとなる課題は、コロナ禍で大きく変化したブライダルジュエリー。お迎えした企業のお二人から、いまどんな社会問題に直面しているのか、プレゼンテーションがありました。

Project map代表 米田氏「コロナ禍で大きな変化を迎えた、ブライダルイベントの現状と課題」

Project map代表であり、ブライダル関連での業務経験の長い米田氏は、豊富なスライドを使いながら、ブライダルジュエリーを取り巻く現状を分析。2019年から続くコロナ禍で、結婚式、婚約指輪や結婚指輪の購入といった、結婚につきもののイベントがどう変化しているのかを説明しました。

米田氏によれば、近年結婚式を挙げる人が減少しつつあり、成婚したカップルの中で式を挙げる人は約50%。2020年はコロナ禍がそこにさらに追い打ちをかけました。とはいえ「人との接触を減らす感染対策の中でも、結婚式は挙げたい」というニーズもあり、これまでの二人の幸せな姿を披露する場から、周囲の人に感謝を伝える場に変えつつあるようです。また昔は「男性の給料3か月分」と言われていた婚約指輪のプレゼントは、65%に減少しましたが、結婚指輪は98%と依然高水準。プレゼンの中では、結婚したカップルを対象に実施した調査をもとに、婚約指輪と結婚指輪の購入についての心理や、購入に至る過程もわかりやすく図解されました。

株式会社ケイ・ウノ 久野氏「ブライダルジュエリーは必要ですか?」

続いてオーダーメイドジュエリーブランドとして知られる株式会社ケイ・ウノの久野氏より、店舗ではいまどんな婚約指輪や結婚指輪が求められているのか、そのリアルな実情が紹介されました。

「ジュエリーは本当に必要ですか?」という意外な問いかけから始まったプレゼンに、参加した学生はさらに集中。お店を訪れる多くのお客様が、ブライダルジュエリーには「キュービックジルコニアではなくダイヤ」「金やプラチナ」という本物を選ぶ理由は何なのか。そこにビジネスチャンスを見出している企業姿勢を語りました。

1981年に創業したケイ・ウノのモットーは、「お客様にNoと言わない」。想いをかたちにするジュエリーを生み出すために多くの職人を抱え、日本人ならではの技術力の高さでお客様のニーズにオーダーメイドで応え続けてきました。オーダーメイドが世の中をよくしていくという信念のもと、順調に事業を拡大。SDGsの観点から大量生産や大量消費に疑問が呈される中で、現在は60億円を誇る企業に成長しています。

誰にでも備わっている創造性を拓き、そこから社会問題解決に役立つデザインを具体化する力を引き出す

下山教授は、この授業を通して、学生の創造性を拓くことを目指しています。

「美術を専攻していない学生は、アート・デザインは目に見える絵やモノをつくることだと思い込み、苦手意識を感じていることが多いんです。でも本来、創造性は私たち全員に備わっているもの。小さい頃、自由にお絵描きや折り紙をした経験って誰にでもありますよね。そのときのワクワクする気持ちを思い出し、この授業を通して改めてアート・デザインのおもしろさを感じてほしいと考えています。

今回初めての企画となる授業なので、最終的にどういうアウトプットが出てくるのか、まだわかりません。授業は学生の自主性を重んじ、ゴールに自由度を持たせながら進めていく予定です。目に見えるモノではない社会課題解決のヒントとなるデザインとはどういうものなのか、それをつくり上げる行動力や問題解決能力を身に付けることを狙っています」

クラスには様々な学科の学生が集まっていますが、それによる相乗効果も下山教授は意識しています。

「社会人になる前に実社会に慣れておきたいという気持ちから、社会とつながる授業を求めている学生は多いんです。その貴重な場で行う共同作業では、誰1人欠けても実現できなかったデザインが生まれてほしいですね。リーダーだけが頑張るのではなく、各自が必要なところでリーダシップを発揮し、全員が全員をフォローするような授業の進行を目指しています」

長岡造形大学とはLINEのnoteなどを活用しながら、学生同士の連携を深めていく予定とのこと。新しい試みの数々は、企業だけでなく他大学とのつながりも新たな学びを発掘していく授業になりそうです。

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