6月11日に「キャリア・ショーケース」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業でJFEテクノス株式会社の能登隆代表取締役社長による特別講義が行われました。リーダーの立場から、大学のうちに身に付けておくといい力など、学生にも身近で将来のためになる話をしてくださいました。

素直で前向きに生きる大切さ
冒頭、能登氏は学生たちに和菓子を配りました。
出身である帯広市で縁のある企業とともに作られたものだそうです。企業の社長による講演と聞いて少し緊張していた学生たちにも笑顔がこぼれました。
能登氏は「昭和、平成、令和を生きてきた一人の人間の話です。何か一つでも皆さんの参考になれば」と語り、講演をスタートしました。
話は能登氏の子ども時代から。
幼少期は、勉強や家の手伝いを頑張って褒められることで、自分の存在価値を感じたと振り返ります。その一方で、期待に応えようとするあまり「良い子」でいようとし、頼まれたことを断れない「カッコつけ」の自分がいたとも話しました。
転機となったのは高校受験の失敗でした。
「失敗するときは失敗する」と受け止め、ありのままの自分で素直に生きようと決意。
その後は冷静に物事を判断できるようになり、「肩の力を抜いて、素直に前向きに生きることが大切だと気づきました」と、自身の経験を学生たちに伝えました。

その時々でモチベーションは変わっていい

大学で燃焼について研究していた能登氏は、その知識を生かせる研究職として、JFEの前身である日本鋼管に入社しました。
入社当初は「学生の延長のような感覚で、お金をもらえるなんていいなと思っていた」と振り返ります。
しかし、年齢とともに責任が増え、仕事の成果が出るまでに時間がかかることへ次第にストレスを感じるようになりました。
「仕事は嫌いではなかったけれど、迷いもありました」と当時を語ります。
そんな時期に支えとなったのが子どもの誕生でした。
「家族のために頑張ろうという気持ちが、大きなモチベーションになりました」と話し、「期待に応えようとするカッコつけの自分がうまく作用した」と笑います。
「仕事のやる気は、その時々で変わっていい。自分を支えてくれるものや、気持ちを切り替える方法を知っておくことが大切です」と学生たちへ伝えました。
その後、30代、40代と着実にキャリアを重ねますが、「役職が上がるほど、やりたい仕事だけではなくなります」と説明。
研究職として入社した後も、総務や経理、電気自動車の新規事業開発など、専門外の仕事を経験しながら視野を広げ、社長へ就任した歩みを紹介しました。
ゼネラリストとエキスパートとは?
能登氏は「会社にはさまざまな部署があり、大きく分けるとゼネラリストとエキスパートがいます」と説明しました。
ゼネラリストは幅広い知識を生かして活躍する人、エキスパートは専門性を磨きその分野で力を発揮する人です。それぞれに向いている役割があり、「皆さんはどちらを目指したいですか」と学生たちに問いかけました。
例えば、経営層を目指すなら幅広い経験を積むゼネラリスト、専門性を高めて長く活躍したいならエキスパートという選択肢があります。将来の自分を思い描きながら仕事を選ぶことも大切だと伝えました。

また、「仕事ではトラブルが起きるのが当たり前です」と能登氏。多くの人や部署と関わるため、意見の違いを調整する場面は避けられません。
しかし、「トラブルを乗り越えることで自信が生まれます」と話します。
「仕事がうまくいけば自信がつき、自信は前向きな気持ちにつながります。成長のスピードは人それぞれ。焦らず自分のペースで経験を積み、自信を育てていってください」と学生たちへエールを送りました。
異人コミュ力を身に付けよう!

能登氏は「社会に出ると、育ってきた環境や価値観が異なる人たちと一緒に働くことになります。親より年上の人と仕事をする機会もあるでしょう」と語り、学生のうちに身に付けてほしい力として、「基礎学力」「聞く力」「異人コミュ力」の3つを挙げました。
基礎学力では、英語でのコミュニケーション力や論理的思考力を身に付けることが重要です。
また、「聞く力」を養うことで、自分とは異なる考え方や価値観を受け入れる姿勢が育まれます。
さらに能登氏は、「異人コミュ力」という独自の考え方を紹介しました。
これは、背景や価値観の異なる人と対話し、互いに協力しながら課題を解決する力のことです。
「無理に苦手な人を好きになる必要はありません。ただ、仕事では相手との一致点を見つけることが大切です。自分の考えを押し通すのではなく、相手に寄り添いながら理解し合う姿勢を身に付けてほしい」と学生たちに呼びかけました。
自分も変われば周りも変わる
講演後は学生同士で感想を共有した後、質疑応答が行われました。
「リーダーとして部下の素直さや前向きな姿勢を引き出すにはどうすればよいですか」という質問に、能登氏は「いい質問ですね。私も悩みます」と感心した様子。
そして、「自分が変われば周りも変わります。まずは自分を知ってもらうことが大切。自己開示して自分が素直でいれば、相手も自然と素直になってくれます」とアドバイスされました。

このほかにも学生たちから多くの質問が寄せられました。
授業の最後には、学生の代表から「働くことの意味を改めて考えた講演でした。初心を忘れず、達成感を得た経験や自分に素直でいることは就職活動においても大事だと感じました」と感謝の言葉が述べられ、講演を締めくくりました。
担当教員からのメッセージ
能登社長は、昨年に続き2回目のご登壇となりました。
最前線で指揮を取られる能登社長のご経験に基づく数々のお話し、お人柄を感じる数々のエピソードも学生の心に響くものばかりした。
能登様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。


