タグ: 特別連携授業

2026年10月2日

受け継がれる物語と印刷技術の関わりを学ぶ!〈国文学マーケティングプロジェクト〉にて印刷博物館を訪問し、特別講義が開催されました。

9月15日、〈国文学マーケティングプロジェクト(担当:国文学科 深澤 晶久教授)〉にて、印刷博物館を訪問し特別講義が実施されました。学生たちは館内見学や講義を通じて印刷というメディアの変遷と役割について理解を深め、印刷技術が情報の伝播にどのように関係があったか、そして文学と印刷の関連性について学習しました。

授業と社会連携について

〈国文学マーケティングプロジェクト〉は、文学部国文学科の2年生以上を対象に開講されている集中講座です。「コミュニケーションメディアの変化」をテーマに、国文学科の学びと企業活動を結びつけながら企業のミッションやリーダーシップについて考え、社会で求められる力を身につけることを目標としています。

今回の授業では、印刷に関する資料の収集・展示と活版印刷の保存・体験活動を行っている印刷博物館と連携を行いました。学生たちは印刷の歴史と紙面というメディアを通した情報コミュニケーションの変化について、展示の見学と源氏物語について取り上げた講義を通じて理解を深めました。学生たちは活版印刷の体験も行い、自分の手で印刷を行うことで印刷の技術や歴史をより自分事としてとらえるきっかけとなりました。

印刷博物館について

館内の見学と講義では、印刷博物館学芸員の式洋子氏にご案内・ご説明いただきました。

式氏ははじめに、印刷博物館について説明しました。運営はTOPPANホールディングスが行っており、博物館の役割として「展示や活版印刷(一文字ずつの活字を組み合わせて言葉や文章にしたあと、プレス機で圧力をかけて印刷する方法)の保存・体験を通じ、印刷の意味をあらためて考え、印刷の新たな可能性を提案しています」と話しました。また、「印刷にまつわるあらゆるものを所蔵しています」と続け、収蔵品のほか印刷関連図書も収集していると説明しました。

館内見学

学生は式氏の案内のもと、展示からビジュアルコミュニケーション(目で見てわかる情報を通した意思疎通)の歴史と変遷を学びました。世界の歴史、日本の歴史に沿って、印刷が担った役割の移り変わりと印刷技術の発展を学習しました。

学生は、はじめに世界の歴史を、旧石器時代の壁画や古代文明にはじまる資料のレプリカを見ながら学習しました。式氏は、どのような素材にどのような文字が記されているかを、時代背景や使用用途とあわせて説明しました。また、具体的な印刷方法や特徴を、実際に印刷された作品やそのレプリカを見ながら解説しました。

続く日本の印刷の歴史の展示室では、各時代の印刷技術がどのような担い手によって形作られ、どのように生まれたのかを学習しました。特に、活版印刷技術が諸外国との関係によってもたらされ、日本に適した形で普及したことなど、印刷の歴史と仕組みを学びました。式氏は「並んでいる印刷機たちは一見前後で変化がないように見えるかもしれませんが、地道な開発の積み重ねによって現在の印刷技術が作られています」と説明しました。

学生は展示物をじっくり鑑賞しながら、式氏の解説をメモしていました。館内は写真撮影が可能だったため、印象的な展示物を撮影しながら進む学生もいました。展示を通じて、印刷技術のあゆみとともに、印刷物の内容や伝える価値の変遷を学びました。

源氏物語に見る物語と伝播

館内見学の後、式氏から、源氏物語が1000年以上読み継がれてきた背景と伝わり方についての講義が行われました。

式氏ははじめに、源氏物語が平安時代中期に成立したことと、当時の印刷は宗教的な需要を背景に寺院が行っていたことを説明し、「文学などの書物の複製は手書きで行われ、源氏物語も書き写しで本が広まっていきました」と話しました。

また、平安時代後期から戦国時代にかけて、源氏物語は権力者や趣味人を中心に受け継がれたと説明しました。物語本編のほかにも、作中に登場する和歌の典拠(もとになった歌)を記したものなど、説明を加えた書籍が各時代で作られたと話しました。戦国時代の終わりに活版印刷の技術が日本に輸入されると、天皇や将軍を中心に日本での活字印刷が始まり、写本で伝わってきた源氏物語も、印刷された書籍として出版されるようになりました。

江戸時代に入ると、活版印刷の技術が民間にも広がって商業化し、書籍は庶民の娯楽の一つとして広く親しまれるようになりました。源氏物語も庶民に広がっていき、印刷技術が発達して挿絵が本に登場すると、絵の印象によって、読者の間に源氏物語の共通イメージが形成されていきました。

また、浮世絵、かるた、すごろくなどに源氏物語をテーマにした図像が使われていたこと、能など舞台作品としても上演されたこと、源氏物語の翻案作品(元となる作品をベースに、内容や表現などを変えて作られた新しい作品)も出版されていたことを紹介し、式氏は「多様なジャンルへの広がりを見ることができます」と述べました。

現代につながる源氏物語のバトン

式氏は、開国後もたびたび源氏物語の現代語訳が行われてきたことを紹介しました。「私たちが明治時代の文章を読んでも少し読みづらいように、過去の人も自分たちより前の世代の文章を読みやすい形に訳していました。世代ごとに理解しやすい表現に変化して今に伝わっています」と説明しました。

講義の最後に式氏は、源氏物語が各国の言語に翻訳されて出版されていることや、海外の翻訳書を逆輸入し、もう一度日本語に翻訳することで物語を見つめなおす試みも行われていることを紹介し、海外にも広がっていることを伝えました。また、日本でも電子書籍化や、アニメ・漫画の放映・出版など、様々なメディアで展開されていることを説明しました。

学生は、メディアの発展に合わせて源氏物語も形を変えながら今に伝わってきたことを学びました。

活版印刷を体験!

午後は前原啓子氏から説明をうけながら、2人1組に分かれて活版印刷の体験を行いました。体験では源氏物語に登場する和歌を1人1首印刷しました。学生たちは、棚から活字を一つずつ手で選び取り、版を組んで印刷しました。

学生たちははじめに、活字(活版印刷に使用される1字ずつの文字のブロックのこと)を、文章の順番になるよう棚から専用の箱に集めました。その後、活字を和歌の並び順に、印刷用の枠に収めていきました。空白や行間にも専用の材料を詰め、活字の向きが間違っていないか確認しながら慎重に作業しました。手順の説明時には、活版印刷が盛んだった当時の解説もあり、学生たちは職人の仕事内容や活字の並び方が保存された棚を見ながら学びました。

活字をはめ込んだ後は、印刷機を使って手動で1人20枚印刷しました。インクの付け方や紙への印刷の仕方を教わった後、自分の手で印刷しました。

印刷後は丁合(紙を本のページ順に並べること)を行い、製本作業を体験しました。製本作業では冊子に穴をあけ、針と糸で本を綴じました。糸の綴じ方や針を通すときの力加減など、各自工夫しながら作業を行い、和歌集を完成させました。

特別講義の最後に

式氏から3つのお題が提示され、学生はそのうちの一つを選んでひとりずつ発表しました。

とくに『現代まで物語が伝えられてくるうえで重要だったことは何か』というお題には、源氏物語が写本によって伝わってきた背景から、「手間をかけてでも残したいという熱意があったこと」「物語をものとして残してきたこと」など、物語に魅了された人の行動に注目する意見や、絵巻やかるたなど「その時代にあった表現に変化してきたこと」「考察や、翻訳からの逆輸入など、様々な視点で物語を見つめてきたこと」など、物語自体が時代に応じて形を変え、多様な視点から見つめ直されてきたことに注目する意見が見られました。

最後に式氏は「今回皆さんには印刷物を通した情報コミュニケーションの歴史を学び、活版印刷の体験をしていただきました。現在の印刷技術がどのような背景で成立したか、実感してもらえたと思います。未来を考えるにあたって、過去を振り返ることも時には大切です。皆さんが将来について考えるきっかけとなればうれしいです」と学生に伝えました。

担当教員のコメント

今年2026年度に新たに開講した「国文学マーケティングプロジェクト」において
印刷博物館様には、企画段階から、当日の運営まで、本当にお世話になりました。
当日は、印刷文化の継承の歴史から博物館の見学、そして午後は、源氏物語を
テーマに実際に活版印刷を体験させていただき、仕上げは和綴じの制作まで、
至れり尽くせりのプログラムをご準備いただいたことに心から感謝申し上げます。
デジタル化の進展もあり、紙媒体というものが減少していることは事実ですが、
やはり「本」の価値というものは時代が変わっても受け継がなくてはいけない
大切なものであることを実感した一日でした。
式様はじめ多くのスタッフの方にお世話になりましたこと、この場を借りて
厚く御礼申し上げます。 

2025年12月11日

ドコモとタッグを組んで企業の課題解決!「リーダーシップ開発a」の授業でNTTドコモとの特別連携授業が行われました。 

「リーダーシップ開発a」(担当:人間社会学部社会デザイン学科・児玉充教授)の授業で、11月26日に株式会社NTTドコモ(以下ドコモ)との特別連携授業が始まりました。スマートフォンでおなじみの企業ですが、事業はその領域に留まりません。今回は、ドコモの強みである「量と質」の顧客情報を活かした課題提案に、学生たちが挑みます。

「スマホの会社」だけじゃない!

登壇したのは入社4年目の寺町沙紀氏。
入社時は顧客や加盟店の課題解決を担うカスタマーサクセス部に所属し、今回の学生への課題もこの部署が中心となります。
現在は人事部。
「ドコモは自ら手を挙げて異動できる制度があり、自分で人事を選びました。ドコモは幅広い事業を展開しているのでいろんな仕事に関われますし、自分でやりたい仕事を選択できるのも魅力です」と語りました。

「みなさん、ドコモは何をしている会社だと思いますか?」という問いに、多くの学生が「スマートフォンを販売する企業」と回答。
「実はそれだけではない、ということを知ってほしいです」と講義が始まりました。

ドコモは一般消費者に向けたコンシューマー事業のほか、法人事業も大きな事業の柱にしています。提携する企業は金融、医療から林業や漁業などの産業、自治体などさまざま。
それぞれの企業のDX推進やAIの導入を手助けしたり、通信システムを整備したり。通信に関わることだけではなく、それぞれの企業の課題解決をドコモが担っているのです。

dポイントを活用し一気通貫でサービスを提供

今回学生に出された課題はマーケティングです。
そもそもマーケティングとはなんでしょうか。寺町氏はマーケティングを「顧客に買ってもらえる仕組みづくり」と説明しました。
今の時代、良い商品なら必ず売れるわけではありません。
欲しい人に届くよう、どう伝えるかを設計することが基本です。

その軸として重要なのが「dポイント」。
ドコモ独自のポイントで、会員数はなんと1億人超。
スマホ料金などで貯まり、街中の店舗で使える利便性があります。加盟店は現在607社。
企業側もdポイントに加盟することで購買単価や来店頻度の向上が期待できるのです。

さらに大きな強みが「情報」です。
「ドコモの強みは量と質」と寺町氏。
dポイントの決済履歴や広告閲覧履歴、アカウント登録時に入力した属性など膨大なデータが蓄積され、購買行動を細かく把握できます。従来のTVCMでは分からなかった効果も、ドコモのデータを活用することで精密な分析やターゲットを絞ったプロモーションが可能になると語りました。

ドコモが誇る情報を使って新しいサービスを考えよう!

ドコモの持つ膨大な情報は、提携企業にも大きなメリットがあります。
たとえばメーカーは、商品を作っても実際に誰が買っているか分からないことが多いですが、ドコモと組むことで商品の流れや購買行動を把握できます。自治体も人流データを活用し、観光振興や地域イベントづくりに役立てています。

そこで、いよいよ課題の発表です。
学生は企業や自治体を想定し、その抱える課題をドコモのサービスを生かしてどう解決するかを提案します。また、誰に向けた施策なのか、ターゲットとなる顧客層を明確にすることも求められました。

「こうだったらいいな」の思いがビジネスの始まり

寺町氏は最後に「ビジネスの基本」について説明しました。
ビジネスとは顧客ニーズをつかみ、解決策を考えて商品やサービスに落とし込むこと。物を作れば売れた時代から、社会的価値や自己表現など多様な価値が重視されるようになり、購買にも体験や意味が求められるようになりました。
そのために重要なのが「ペルソナ」、つまり顧客像です。ペルソナを立てることで課題の仮説が作れます。

さらに競合や既存サービスにはない新しい価値を加える必要があります。
「既にあるビジネスなら、新たにやる必要はないですよね」と寺町氏。
顧客が本当に望み、代替できず、自社の強みが活かせるものを探すことが重要です。

「今回の課題はインターンの学生たちに出すような難しいものです」と寺町氏。
「ただ、難しく考えず、あなたが何をどう提案したいかが一番大事。こうなったら良いな、いうものを自由に考えてください」と学生たちの企画に期待を寄せました。

企業をどこにするか、課題は何か、ドコモと組む理由、活かす強み、ターゲットは誰か。考えることは多くあります。
学生たちはグループワークで企画を練り、12月のプレゼンテーションに臨みます。

担当教員からのメッセージ

本授業は少人数のグループワークを通じて、自分なりのシェアード・リーダーシップの発揮方法を体感し、人間社会学部で自律的に学習していくための専門知識やスキルの必要性を学ぶことを目的としています。近年、スマートフォンの普及に伴いデジタルマーケティングソリューションのビジネス領域が重要となっています。学生たちは新規ビジネスを考える上での各種フレームワークを学習し、dポイントデジタルマーケティングに関する課題に取り組みます。そして各チームでコラボしアイデアをまとめ、同社にプレゼンしご評価いただく予定です。独創的なアイデアからなるソリューションの発表を期待しています。