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2025年3月31日

『博報堂Gravity』×三女子大学連携での産学連携プロジェクトを実施しました!

〈プロジェクト概要〉
 ファッション・アパレル・コスメなどライフスタイル領域のブランドマーケティングを得意とする『博報堂Gravity』と、三女子大学(跡見学園女子大学・大妻女子大学・実践女子大学)は、12月からのひと月半の間、「産学プロジェクト」を実施いたしました。今回、初の試みで、同社の若手社員の方々9名と共に、現在20歳の大学生が、「30歳になる2035年に、社会は、そして、自分たちを取り巻く環境はどのように変化しているのか」、その上で、「自分たちはどう考え、どう行動していくのか」を考えるプロジェクトに取り組みました。
 大学の垣根を取り払い、女子大学が連携して行う本プロジェクトは、2018年にスタート。今年で7年目を迎えます。従来はPBL(問題解決)型でしたが、今回は初めての「課題発見型」。まだ顕在化していない潜在的な課題を発見して、より早く社会的課題を解決するという、一歩進んだ内容です。
 2035年の社会を、「衣」「食」「住」「職」という4つの切り口で考えていく為に、初回は顔合わせを含めて、『博報堂Gravity』の方々が取り組んだ『Life Shift-100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン/2016年)をレクチャーいただき、これからの社会がどのように変化していくのかを、学生達に共有いただいた上で、冬休みの間に課題図書として『2030年:すべてが「加速」する社会に備えよ』(ピーター・ディアマンディス&スティーブン・コトラー/2020年)を章毎に分担し、更に議論を深める材料として活用しました。

 33名の学生を大学横断的に「衣」「食」「住」「職」の4つのグループに分け、そこに『博報堂Gravity』の社員9名が2~3名ずつ、各グループのメンターとして、共にワークをしていただきました。今回も、ZOOMを活用してのグループワークを実施。学生全員が揃うミーティングを週に一回、その他、こまめな情報交換を行った上で、発表会場は日比谷の本社。学生達は緊張した面持ちで発表に臨みました。

冒頭のご挨拶:田上 洋平氏(取締役副社長執行役員COO)

 広告会社で働く上で、心掛けているマインドを共有したい。発表する側は、この議論には「正解は無い」ということをしっかり認識すること。逆に言えば「不正解は無い」。その中で大切なことは、自分自身が「こんな未来が来たら、ワクワクするよね」という想いを持つこと。そして、周囲の人達にもそんな風に思って貰うために熱意を持って話をすることが大切。今日は、緊張していると思うが、「不正解は無い」というマインドで、考えたことに自信を持って、話をして欲しい。同時に、聴く側のマインドも重要。それはYES ANDの精神。「こうしたらもっと良い未来が作れそうだ」とアイデアを発展させる姿勢で聞いて貰いたい。

2035年の「衣」:「『衣』10年後の未来」

 「衣」に及ぼす影響を、①AIの力を借りて、健康と環境に配慮した素材のファッションを楽しむこと、 ②雇用については、AIでの需要予測により適正生産を可能にし、環境に良いプロセスを生成していく、 ③今後、更なる外国人増加により、ファッションの多様化が進むことへの対応という内容で発表しました。

2035年の「食」:AI化と長寿化がもたらす意識や行動の変化

 2035年には、AIにより個人に最適化された「食」を提供する時代AI化と、健康寿命の伸長による変化をベースに、10年後の自分達の「食」に対する意識として、①健康 ②美 ③時短思考を挙げ、それぞれのライフスタイルに寄り添い、パーソナライズかされた食事管理、提案が行われると述べました。

2035年の「住」:地方活性化と今後の住まいの形

 技術の進化による生活・仕事・コミュニケーション方法の変化がもたらす地方の活性化について、移住者の声などを収集しつつ、メリット・デメリットを整理し、また、加速する市街地再開発による複合型マンションの増加により、起こる住まいの変化について、発表しました。しかし、大切なことは「ここなら自分のやりたいこと、願った環境が叶う」と思える住まいとサービスの提供だと結論づけました。

2035年の「職」:各業界の未来と、個人としてどうありたいか

 「職」の未来について、いくつかの業界を事例に、どのように進化していくかを検討した上で、今後は更にパーソナライズ化が進み、本を読み、よりテクノロジーが進化して行くことを理解した上で、技術の進化による生活・仕事・コミュニケーション方法の変化がもたらす地方の活性化について、移住者の声などを収集しつつ、メリット・デメリットを整理し、また、加速する市街地再開発による複合型マンションの増加により、起こる住まいの変化について、発表しました。しかし、大切なことは「ここなら自分のやりたいこと、願った環境が叶う」と思える

全体の総括:黒原 康之氏(代表取締役社長)

 今日は、自分の学生時代のことなども思い返しながら聞いていた。裏付けのデータなどもしっかり調べられており、素晴らしい発表だった。一方で、自分自身が「どんな未来を作りたいのか」という意思や意見が入ると、このプロジェクトが、もっとみなさんの糧になっていくと思う。10年後の未来が、「環境意識」「効率化」「不老長寿」「パーソナライズ化」といった物質的な欲望が満たされる発表が多いように感じたが、自分に置き換えてみた時に、もっとテンションが上がるような未来を思い描くことが大切なんじゃないか。
 『博報堂Gravity』は、「ブランドに憧れを着せる」という、「そのブランドを身に纏ったら、今日も一日テンションが上がるな」という、そのような生活者の未来に一役買いたいという想いでビジネスをやっている。それは、どんな職業も同様だと思うので、是非、みなさんには「上がる未来」を作っていただきたい。今回、一緒にワークした当社のメンバーも新たな視点を手に入れることが出来た。みなさんに感謝したい。

学生からのコメント(終了後のアンケートから)

・「課題発見型」は、ゴールが無く難しかった。でも、だからこし、より協力し合って発表迄辿り着けたと思う。

・メンターの方々が、いつも的確なアドバイスをしてくれた。フレンドリーであり、また、真摯なサポートをいただいた。

・クオリティを上げる為に、話し合いを定期的にしていたが、「これがいいね!」とみんなで納得出来た時は楽しかった。

・「10年後」を考えることは無かったが、いろんな視点から想像することで、今の自分がどう行動し、何を意識する必要があるか等、改めて考えることが出来た。

・自分の考えを言語化する力を得られた。周りを巻き込み、協力してひとつのものを作り上げる力が付いた。

・最後まで諦めずに考える力が付いた。

【他大学 原稿記事はこちらから】
<跡見学園女子大学>
 https://www2.mmc.atomi.ac.jp/~life-environment/

<大妻女子大学>
 https://www.otsuma.ac.jp/news_academic/info/121772/

大川先生からのメッセージ

 今回初めて「課題発見型」プロジェクトに挑戦し、また、実際に企業の方々がメンターとして学生達を伴走して下さるという貴重な経験をさせていただきました。従来の「課題解決型」から、これからの社会を見据えながらの、想像力を必要とする難しい内容でしたが、メンバーで議論を重ねた発表は、「あぁ、こういう社会になって行くのだろう」、そう思えるものばかりでした。
 社会人の方々との初めてのワーク。『博報堂Gravity』のみなさんと接する中で、数年後の自分たちの姿を重ねたのではないかと思います。学生生活も、あと1年。最終学年に向けて、多くの刺激をいただきました。関係者の皆様を始め、二大学の先生方に、心から感謝を申し上げます。

2025年1月14日

『生活の木』×三女子大学連携:「フェムケア市場」に向けた提案 

実践女子大学と大妻女子大学、跡見学園女子大学の三女子大学の3年生による株式会社生活の木(以下、『生活の木』)との「産学連携プロジェクト」の最終発表会が、12月5日、大妻女子大学を会場に行われました。日本におけるハーブやアロマのパイオニアである『生活の木』との取り組みは、昨年度に引き続き2回目です。

秋の本格的な開始に先立ち、7月31日に同社の望月佳子氏(ブランディング本部・リーダー)から、二つの課題が提示されました。一つ目は、「フェムケア市場とアロマ・ハーブの可能性を考える」、二つ目は「ジョホリズムの訴求方法:『生活の木』のフェムケアを多くの人に」という内容です。現在の『生活の木』の顧客は、40~50代の女性が中心。望月氏は、「『生活の木』の現状を分析し、どのようにすれば、20代にもフェムケアの重要性を周知し、その認知を高めることが出来るのか、忌憚のない自由な発想のアイディアを期待したい」とコメントされました。

※ジョホリズム(Joho-Rhythm):『生活の木』が展開するフェムケア商品のシリーズ。全ての女性が心地良いリズムで毎日過ごせるようにという願いが込められている。

今回、学生達が考えなければならない「フェムケア」については、その言葉の認知も進んでおらず、とても難しいテーマでしたが、実際に『生活の木』から提供いただいた商品を試したり、店舗視察の他、10月に開催された「Fem+:女性の健康と活躍を支援する展示会」を視察する等して、この領域の商品の特徴を理解し、市場の現状を把握した上で、二か月間のグループワークを進めました。

三女子大学の参加学生33名を、大学横断的に4つのグループに分け、ZOOMを活用してのグループワークを実施。学生全員が揃うミーティングを週に一回、その他、グループ毎のミーティングを週に一回と2ケ月の間に、こまめな情報交換を行いました。最終発表会には、望月氏の他、重永創氏(ブランディング本部・ゼネラルマネージャー)も同席されました。

グループ1:『ジョホリズム』ってなに?フェムケアを届けよう

提供商品の感想に始まり、「Fem+」の視察では、この市場の盛り上がりを実感する一方で、差別化の難しさや価格の高さを課題として挙げました。83名へのアンケートからも認知度の低さや、気軽に手を出しづらい価格に多くの声が集まりました。このことから、「どうしたら「フェムケア」アイテムを身近に感じてもらえるのか」を念頭に、「フェムケア」や『ジョホリズム』への関心を高めることを目標に据え、その訴求方法として、20代が利用する場所での様々な「試供品」提供案を提案しました。



<講評>
弊社だけでは、これだけの数の学生の方のアンケートの実施は難しいので貴重。率直な意見に加え、具体的な調査、アイディアの提案で大変参考になる。20代のみなさんに訴求しようと考える時に、企業側の視点として欠けていると感じたのが、「価格」。手に届き易い価格のサイズ、容量の見直し等、もう少しハードルを低くする努力も必要だと感じた。また、みなさんが一から考えたリーフレットは、素晴らしかったので、参考にさせていただきたい。

グループ2:私たちの「フェムケア」―10代からはじめよう―

47名へのアンケート結果から、少数の購入者の回答では、母親や友人等の身近な人に勧められた経験がある人がいましたが、興味があっても、知識の少なさや価格が理由で諦めた人もいるのではないかと推測。そこで『生活の木』のInstagramでも紹介されている「映える」取り入れ方を、もっと積極的に紹介すべきだと考え、ハーブティーで作るものの形をいくつか考案。また、販路として、敢えて業界大手ではない欧米型ドラッグストアを目指す企業を提案した上で、最後に、日常の一コマに商品を取り入れるようなリール動画を使った訴求も提案しました。



<講評>
「水出しハーブティー」という夏限定のアイテムに着目してもらったが、見た目にも可愛いいレシピが作れるので、現状でも若い方々の購入も多く、この発表からも、これは更に広げていけると感じた。販路のひとつとしてのドラッグストアについても、各社の戦略の違いを含めて、弊社にフィットする企業をよく調べていただいている。全体を通してキーになるポイントは、「映える」「日常に取り入れる」、そして、『生活の木』、及び商品を知らない方に、いかに「信頼」を以って情報を届ける、広げるかということが軸になると感じた。

グループ3:「フェムケア」を日常に―わがままに生きよう―

提供商品の感想、183名へのアンケート結果から提案を行ないます。購入のきっかけ作りが難しいですが、プレゼントしたくなる「フェムケア・グッズ」のNo.1を目指し、持ち運びやすい容量と、より高級感のあるパッケージ変更、また、季節限定「デリケートゾーン・シート」では、季節毎に異なる香りや個包装を提案します。訴求方法としては、ギフト用品選びに活用しているショップでの販売や、ファッション・フード・ミュージック・アート等と合わせて、ショッピングや体験ができる「クリスマスマーケット」の開催を通して、より多くの人に『ジョホリズム』と『生活の木』を知ってもらえる機会となると考えます。

<講評>
商品の企画案まで考えてもらい、社内のプレゼンを聴いているようだった。プレゼン資料のデザインが素晴らしいと感じた。完成度の高い資料だった。また、「わがままに生きよう」というコンセプトを、きちんと打ち出せているところもターゲットが明確で良かった。改めて自分たちも、そのような打ち出し方の大切さを実感した。また、商品を知る入口としての「プレゼント」として、パッケージや容量変更の提案や、「フェムケア」商品と季節を掛け合わせる発想は、持ち帰って商品開発の担当とも共有したい。「フェムケア」商品は自分用と考えていたが、「ギフト」で贈りたくなる仕様提案という新しい視点が良かった。

グループ4:はじめの一歩

「フェムケア」のことを知らない若者に広める、その「はじめの一歩」を、『生活の木』が担えたら良いと考え、『Fem+』での視察、アンケート結果を通して「カフェ」「試供品」「SNS」を切り口としました。食品は手軽に取り入れ易い為、「カフェ」ではハーブティーを始め、体の内側を気遣うことができる商品を提供し、「試供品」ではカフェや店舗利用者に日常でも取り入れ易い「ファブリックミスト」を配布。また、若年層向けの新たなSNS アカウント作成を行い、として、ライフスタイルに溶け込むお洒落な写真や統一感のあるデザインが効果的だと考えます。これからは「フェムケア」と意識せずに、気軽に使えるような未来を期待します。



<講評>
みなさんに指摘いただいたように、いろいろあり過ぎて分からないといった課題があり、その中で「カフェ業態」による訴求提案をいただき、内装の雰囲気、実際のメニュー、出店場所までよく検討いただいた。ただ、飲食は競争が激しい為、他社との差別化は課題だ。弊社でもSNSには取り組んでいるが、説明的で長い動画の為、媒体やアカウントを変えて短い動画の配信に取り組むのも一案だと思う。提案全体が、「フェムケア」の展開範囲を広く捉えていたのが印象的だった。また、「フェムケア」商品だと分からないパッケージに対する指摘等、改めてセンシティブな商品であることの認識を新たにした。

<全体の講評>

重永氏:『Fem+』や『生活の木』の店舗にも足を運んでいただいたり、大変だったと思うが、みなさんにいただいた貴重な意見を参考にして、『生活の木』のブランディングを進めていきたい。本課題に取り組んでいただく中で、「フェムケア」を日常に取り入れることをイメージしていただけたらと思う。今回みなさんが取ったアンケートは、大変貴重な生の情報の為、社内でも共有したい。全体のプレゼンのクオリティが高く、企業内で行われているものと変わらぬ内容で大変驚いた。今後の研究、及び進路でも今回の経験を活かしてもらえたらと思う。






望月氏:様々なリサーチ結果がとても参考になった。2020年が「フェムテック元年」とも呼ばれたが、そこから時間の経過と共に、「フェムテック」から「フェムケア」に変わりつつある。それは、女性の繊細な身体は、テクノロジーだけでは解決し切れないものだからだ。今回の課題が無ければ、みなさん、「フェムケア」について考えなかったかも知れない。今後もこのマーケットは変化し続ける為、今回の経験をきっかけに、引き続き広い視野で、いろいろなことを吸収していって欲しい。自分たちの揺れ動く心や、身体というフェミニンな部分というものを、大切に向き合っていっていただきたい。

『生活の木』が提供する商品群と、女性の集合体である「女子大学」の親和性が高く、確かに、今回の課題は大変難易度が高いものでしたが、課題を通して、先ず、学生のみなさんひとりひとりが、「女性としての自分を、大切に思う気持ち」に、改めて気づくことが出来ました。この2ケ月で様々な経験をし、また、議論に議論を重ねました。当初はチームビルディングに苦慮していましたが、最終的に何れのチームのレベルも高く、素晴らしい評価をいただくことが出来ました。この三女子大学連携は、この後、残りの2ケ月を掛けて、また、新たな課題に取り組みます。

<参加メンバー>
女子大学に在籍する3年生33名。
・跡見学園女子大学/深町 浩祥准教授(ファッションビジネス研究室)と学生12名
・大妻女子大学/須藤 良子准教授(プロダクトデザイン研究室)と学生12名
・実践女子大学/大川 知子教授「ファッションビジネス研究室」学生9名

株式会社生活の木について

私たち生活の木は、1976年より「自然」「健康」「楽しさ」のある生活を日本に提案・普及し続けてきた、原宿・表参道の地で生まれたライフスタイルカンパニーです。創業以来、40年以上もの歳月をかけ、国内外の提携農園(パートナーファーム)から、厳選したハーブや精油、植物油など、世界中の自然の恵みを調達。それら素材をもとに商品開発・製造・販売を行い、全国の直営ショップや、カルチャースクールなどを通じて、ハーブやアロマテラピーを普及・啓発してきました。

そして今、これまで培ってきたノウハウを活かし、ハーブやアロマテラピーのみならず、より多くの自然の恵みを採り入れることで、心身ともに健康で美しくあるためのWellness(ウェルネス)&Well-being(ウェルビーイング)なライフスタイルを提案していきます。

代表者:代表取締役 重永 忠
所在地:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 6丁目3番8号
URL:https://corp.treeoflife.co.jp/

2024年12月23日付 繊研新聞に掲載されました

2024年12月23日付 繊研新聞掲載
 3女子大が問題解決型産学プロジェクト
 「生活の木のフェムケア製品の20代向け訴求法を提案」

本学と大妻女子大学、跡見学園女子大学の3校が
生活の木と行ったプロジェクトの最終発表会について
繊研新聞で紹介されました。

繊研新聞社WEBサイトリンクhttps://senken.co.jp/

大川先生からのメッセージ

今年度のテーマは、女性にとってはとても大切なテーマでありながら、まだ余り認知の進んでいない新しい領域。最初はどのように進められるか、伴走する我々教員も手探りの状態でしたが、全員で足を運んだ「Fem+」の展示会で、この市場の盛り上がりを実感し、そこから話し合いも進み出しました。皆で協力しながらアンケートを集めたり、学生のみなさんの実感から発想した数々のアイディア。今後の商品開発にも活用出来る内容が多数あったと、重永様、望月様からも高い評価をいただきました。ほんの2ケ月の成果とは思えない説得力ある提案は、最終学年に向けて、彼女達の更なる成長を予感させる素晴らしい内容でした。

【昨年の記事はこちらからご覧ください】
https://socialcooperation.jissen.ac.jp/topics/6587/

2024年12月13日

女性がたのしく活躍できる社会をめざそう!サニーサイドアップグループの次原悦子氏をお招きして特別講義が行われました。 

10月21日に「メディアプロデュース論」(担当:生活科学部現代生活学科 行実洋一教授)と「女性社会論b」の合同授業が行われました。株式会社サニーサイドアップグループの代表取締役社長である次原悦子氏をお迎えしての特別講義です。高校生のときから働いて今に至る経緯、PRという仕事のたのしさ、そして女性がもっと活躍していくためにはなど多岐に渡る話題を、ユーモアを交えてお話くださいました。

女子高生で社長に!

PR会社で働いていた母親が独立し、仕事を手伝うよう誘われたことが始まりです。17歳でサニーサイドアップグループの前身となる会社を立ち上げることになり、当時高校生だった次原氏が社長に就任。
「なので、女性起業家!と紹介されることもあるのですが、自分から始めたのとは少し違うんです」と経緯を話されました。
周りの友人たちが大学生活を楽しんでいるのを見て、うらやましいなと思うこともあったそう。
とはいえ「仕事をすることがたのしくて仕方なかった」と言います。「どんな小さな仕事でも世の中に参画しているということが嬉しかったんです」と語りました。

会社は少しずつ大きくなっていき、2008年に上場。今ではグループ全体で450名のメンバーを抱える企業に。
2023年度は過去最高益を記録しています。掲げるスローガンは「たのしいさわぎをおこしたい」。PRの力で人の心を動かし、世の中の空気を変えることで、明るい明日を創り出したいという想いがこめられています。

PR・コミュニケーションの力で人の心を動かす

「私たちはさまざまなニュースの裏にいます」と次原氏。
「ひとりでも多くの生活者にそのモノやコトを知ってもらい、その上でアクションを起こしてもらうことで、世の中の空気を変えること」がPR・コミュニケーションの力だと思います。知ったことにより、欲しい、食べたい、やってみたいと思ってもらうことが大事なのです。
「伝えるだけじゃなく、その人をどう動かすのかを考える仕事」と話しました。

「広告とPRの違いは、伝達の方法」だと言います。
広告は自分で自分たちの商品やサービスをアピールすること。PRは誰か他の人に良さを伝えてもらうことです。
例えばSNSのインフルエンサーや、テレビ番組の特集など、企業が直接働きかけるのではなく、第三者目線で情報を拡散してもらう方法です。
「信頼できる誰かに言われたら信憑性があると感じますよね。情報だけでは人は動かない時代。自ら情報を拡散したくなるようなストーリーを作ることが大事になっています」と語りました。

「PRはアイデア勝負で世の中を大きく変える可能性を持っている」と次原氏。
立ちあげたばかりの会社が小さかったときは、予算がないなかアイデアを出していたと言います。
現在、大企業を相手にするようになってからも、この考えを念頭に仕事をしていると話しました。

女性が活躍することで経済が回る

現在、次原氏は日本経済団体連合会(経団連)のダイバーシティ推進委員会委員長を務められています。
日本企業全体の女性社長の割合は8.3%。上場企業だけでみると0.8%しかいません。
次原氏は「そのうちの一人というのは光栄なことでもあるけれど、海外からみるとジョークを越えてホラーと言われます」とユーモアを交えて表現されました。

次原氏は、購買を決定する割合は女性が7割と言われていることを紹介し、女性が活躍することで経済が動くことを強調されました。
経団連は、2030年までに日本企業の役員に占める女性比率を30%以上にすることを目標に掲げています。
次原氏は「イギリスの大学教授に、女性役員30%をクリアしている会社は確実に成長していると言われました。感情だけが理由ではない、データサイエンスなんだよ、と」と語りました。

働く女性としての「失敗」

上場企業の女性社長として活躍する次原氏は、周りの女性社員を勇気づけるためにも、熱心に仕事に励んでいたと語ります。
しかし「大きな失敗」も経験されました。
2人の子どもを持つ次原氏ですが、一人目の出産は当日まで出社し働いて、2日後には病室でミーティング、その2週間後には完全復帰。海外出張に行ったりと慌ただしく過ごしていたと言います。

妊娠や出産を経ても仕事と両立できることをと示したかったからですが、女性社員は「あなたのようになりたくない」と会社を離れてしまいました。
大変ショックを覚えたと話します。
「頑張っているところを見せるのではなく、それぞれ違うライフステージにいる女性誰もが、働きやすい環境を作らないとと思い直しました」そこでさまざまな福利厚生や制度を整備。
現在は女性が働きやすい会社として世界的にも評価が広まっています。

熱意を持ってアクションを起こそう

講義の最後には質疑応答が行われました。
「結婚した際に苗字を変えることに疑問を感じましたか」という質問には「当時は抵抗なかったのですが、会社が大きくなるにつれビジネスの名前と本名が違うとで不便なことが多かったのは事実。」と自身の経験を話され、選択的夫婦別姓への議論が進むことを望まれました。
また「若い女性であるがゆえに、時に正当に評価されないことがあるかもしれませんが、ビジネスの場でどのように信頼を得てきましたか」という質問には、「人は頼られることが嬉しい。若い子が熱意をもってアクションを起こす姿を見ると応援したくなるもの。みんなも思いがあれば、アクションを起こしてみてください。きっと誠意を持って力になってくれる大人たちとつながれると思います」とエールを送りました。

担当教員のメッセージ

以前からテレビや新聞・雑誌といったメディア業界でしばしば耳にし、話題となってきた会社が「サニーサイドアップグループ」です。いわゆる大手広告代理店とはひと味違った、「クレバー」なPR・コミュニケーション手法を展開する会社として、かなりの注目を集めてきました。
今回、その会社のトップのお話をお聞きして、その訳が分かり納得しました。
卓越した女性経営者ならではの視点や、真摯でユニークな物事への取り組み、そして人間味ある経営方針などが、そうしたオリジナルな良さを生み出していたのだと改めて感じさせられました。
学生の皆さんからすれば、次原社長は遙か遠い星かもしれませんが、将来を照らす希望の星だと思って、多くを学んで欲しい講演でした。