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2026年2月27日

社会にいきるデータ活用!〈データ時代の女性キャリア開発〉の授業にて、トランスコスモス株式会社の特別講演が行われました

2025年12月9日(火)〈データ時代の女性キャリア開発〉にて、トランスコスモス株式会社(以下トランスコスモス)から、人事採用統括部の坂本祥平氏をお招きし、特別講演が行われました。

授業と企業連携について

データ時代の女性キャリア開発は、人間社会学部の学生を対象に開講されている専門科目です。この授業は、さまざまなデータを扱う企業で働く女性やその活動を知っている方をゲスト講師としてお招きし、データを活用した業務内容やキャリアについてご講演いただき、学生は、データサイエンスに限らず、データを活用した現代日本におけると女性のキャリアについて理解を深めていきます。

今回の授業では、坂本氏からビジネスとデータについて、トランスコスモスの具体的な業務内容の紹介を交えながらご講演をいただきました。学生たちは講演を通じ、データ活用の例が身近に存在していること、データの活用によってビジネスシーンにおいて日々多様で新しい価値が生まれていることへの理解を深めました。

社会とデータ

坂本氏ははじめに、「データ時代」を「データが新しい価値を生み出す時代」と定義し、現代の日本では、さまざまなビジネスシーンにおいてデータが活用されていることを述べました。そして、身近なデータ活用の具体例として、アプリや通販、店舗の在庫管理などにデータが活用されていることを紹介しました。

最も身近な例として挙げられたのが、SNSです。SNSの多くは、個人の閲覧データを収集し、投稿のクリック数などから、どのような投稿に関心が高いのかを分析しています。そして、分析したデータを活用することで、その人の関心に沿ったコンテンツを表示しています。

また、商品購入時にデータが活用されている事例として、ファッション通販サイトの「着回し機能」が紹介されました。この機能は、選んだアイテムに対して、AIがデータを分析し、コーディネートを提案するものです。購入者が身長などの身体データを登録することで、AIが着丈などを計算し、実際のスケールに近い着用イメージ画像やコーディネートを提示します。これにより、通販で起こりがちな「思っていたものと違う」という購入後のミスマッチを防ぐことができます。さらに、着回し機能で提案されたアイテムは、そのまま購入することも可能で、坂本氏は「データによって、購入の意思決定の精度を高めることができる」と話しました。

さらに、ファッションブランドがデータを活用することで、廃棄される衣服の量を減らした事例も紹介されました。店舗ごとの販売履歴を分析し、それぞれの店舗で求められている商品の傾向を把握することで、適切な在庫量を見極めることができたといいます。坂本氏は、データは売上の向上だけでなく、環境負荷の軽減にもつながっていると述べました。

これらの事例はいずれも、データを活用することで「よりよい判断を行う」「無駄な作業を減らす」「利用者のニーズを的確に捉える」といった価値が生まれていることを示しています。

このような、さまざまな場面でデータが活用されている状況を踏まえ、坂本氏は「データをもとに判断や改善を行える人材が、さまざまな業務で求められており、データを活用できる人材の需要は今後さらに高まっていく」と話しました。さらに、「『データを活用できること=数字に強いこと』ではありません。データの傾向や特徴をいかに把握し、そこから考えることができるかが重要です」と述べ、データ活用において大切な視点を強調しました。

トランスコスモスの業務とデータ

ここからは、実際に企業がどのようにデータをビジネスに活かしているのかについて、トランスコスモスの業務内容を通して具体的に学びました。坂本氏は、トランスコスモスについて「企業のビジネスを支援する総合情報サービス」を手がける企業であると説明しました。

あわせて、同社はIT業界において、インターネットや情報処理サービスを担う企業であることも紹介しました。同社の特徴として、サービス領域が非常に幅広い点を挙げ、業務内容を①BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、②デジタルマーケティング、③コールセンター業務の三つに分類。それぞれの業務において、どのようにデータが活用されているのかを解説しました。

データ活用の現場

BPOとは、企業が行っている業務の一部を、専門知識を持つ外部企業に委託する仕組みを指します。専門性の高い業務を、企画から運営まで一括して担う点が特徴です。坂本氏は、「企業の業務の一部分を担う特性上、さまざまな業界や業務に携わることができる」と、その特徴を説明しました。

BPOの具体例として坂本氏が紹介したのは、ある企業から経理業務のサポートを委託された事例です。クライアント企業では、経理担当者一人あたりの業務負担が大きいことが課題となっていました。そこでトランスコスモスは、企業が導入した経理システムの運用支援に入り、経理システムに関する問い合わせ対応や、利用方法のマニュアル作成を、企業担当者に代わって実施しました。業務の効率化を進めた結果、クライアント企業の担当者の業務工数を約8割削減することに成功したそうです。

デジタルマーケティング業務については、消費者データの分析が重要であると説明しました。ウェブサイトの改善を行う際には、文字や写真の配置、購入ボタンなどの導線設計を見直します。その際「サイトの訪問数や滞在時間、流入経路といったさまざまなデータの分析を行う」と坂本氏は説明しました。分析結果のデータから利用者のニーズを把握し、より効果的な改善につなげていると話しました。

坂本氏はコールセンター業務について、「消費者からの問い合わせに対応する窓口であり、質の高いサービスを提供することで、企業の信頼性や評判を高める重要な役割を担っている」と説明し、人々の暮らしを支える不可欠なサービスであることも紹介しました。また、「この業務では消費者のリアルな声を『明確な思いや考えが含まれた貴重なデータ』として扱っています」と話し、このデータも活用。問い合わせ内容を分析し、まとめたデータをクライアントに提供することで、クライアント企業はそのデータを商品改善やマーケティング施策に活かしていることを紹介しました。

坂本氏は説明の中で、トランスコスモスでは多様な業務の中で、データをもとに課題を発見し、改善につなげていること、「データ活用」という言葉の中には、説明にあったような幅広い業務と、データをもとに考え改善していく具体的な行動が詰まっていると説明しました。

授業の終わりに

講演終了後には、質疑応答の時間が設けられました。

「将来、データを活かす業種に就くことも選択肢として考えています。採用担当者の目線で、学生のうちに取り組んでおいた方がよいことはありますか?」という質問が寄せられました。これに対し坂本氏は、「特別な知識や経験が必ずしも必要というわけではありませんが、いかにその分野に興味があることを示せるかは重要です」と前置きした上で、次のように回答しました。

「例えば、ウェブデザインに興味があるのであれば、同じ業種の企業サイトを比較し、どのようなデザインの工夫や意図があるのかを自分なりに考察してみることが大切です。日頃から自分で考える習慣を身につけておくとよいと思います。」

続いて、「機密情報を取り扱う場面について」という質問も出ました。坂本氏は、「機密情報を扱うにあたっては、専門の研修が用意されています。また、その研修を受けた人しか立ち入ることのできない部屋もあります」と説明しました。加えて、「企業として業務支援を行う以上、機密保持に関する契約をきちんと結んだうえで業務に取り組んでいます」と、情報管理体制についても言及しました。

今回の講演を通して学生は、何をデータとして捉え、それをどのように位置づけ、活用するかによって、社会に多様な価値を生み出せることを実感しました。また、データを扱う仕事は特定の職種や業界に限られたものではなく、さまざまな分野のビジネスを支える基盤となっていることを改めて学びました。データの仕事を一つひとつの「点」としてではなく、社会全体に広がる「面」として理解するきっかけとなる講演となりました。

担当教員からのメッセージ

今回の講義では、本授業の講演者の中で唯一の男性講師としてご登壇いただき、企業の現場におけるデータ活用の実例を分かりやすく紹介していただきました。学生たちは講演を通じ、データ活用の例が自分たちの身近なところにも数多く存在していること、そしてデータの活用によってビジネスの現場で日々多様で新しい価値が生み出されていることへの理解を深めることができました。

講義の中では、さまざまな場面でデータが活用されている現状を踏まえ、「データをもとに判断や改善を行える人材が、さまざまな業務で求められており、その需要は今後さらに高まっていく」とのお話もありました。また、「データを活用できることは、単に数字に強いということではなく、データの傾向や特徴を把握し、そこから考えることが重要である」と強調され、データ活用の本質について学生にとって理解を深める機会となりました。

さらに今回の講演は、データの仕事を個々の業務という「点」としてではなく、社会全体の中で価値を生み出していく「面」として捉えるきっかけにもなったと感じています。

生成AIや自動化が進む時代においても、課題を見つけ、意味を考え、新しい価値を生み出していくのは人の役割です。本授業での学びが、学生一人ひとりが社会とデータのつながりを実感し、自らの進路や将来の可能性を考える一助となれば幸いです。

2026年2月12日

データを社会に役立てる!「データ時代の女性キャリア開発」の授業でNTTデータ数理システムの取締役による特別講義が行われました。

人間社会学部開講科目「データ時代の女性キャリア開発」の授業で、株式会社NTTデータ数理システム取締役の小木しのぶ氏による特別講義が12月2日に行われました。「自分の道を自分で選ぶために」と題し、デジタルサイエンスを活用して人生を生き抜く力を身に付けていく大切さを力強く語りました。

データで課題を解決する企業とは?

NTTデータ数理システムは1982年に「株式会社数理システム」として設立しました。
「数理科学とコンピューターシステムで社会のあらゆる分野の問題を解決する」というビジョンを掲げ、データを活用したシステムの開発、推進をしてきました。
2012年にNTTデータグループ加入し、より幅広い企業とデータを通してビジネスを拡大しています。

統計解析ソフトウェアやデータ分析ツールの開発などのほか、大量のテキストデータから情報やパターンを抽出する「テキストマイニング」ツールの開発にも力を入れています。
テキストマイニングは、たとえば社員満足度向上のためのデータ分析に使われています。自由記述のテキストを分析することで社員のニーズを深堀するのです。
「企業の中にも悩みがある。それを解決するにはどの技術を使えばいいか考え、企業に合わせてシステムを作ります」と小木氏。技術が実際の業務に役立っている例を交えて話されました。

自ら道を切り開くキャリア

小木氏は「プログラミングがしたい」と新卒入社。
しかし最初の配属は半導体シミュレータの開発でした。
「実は数学の公式が苦手でした」と振り返り、他部署に行きたいと強く思うように。その後、UI開発や当時はまだ珍しかったロボット画像認識、テキストマイニングなど興味のある開発に挑戦していきます。
しかし、良いシステムを作るだけでは知ってもらえないことに気づき、自ら営業へ異動。営業企画や広報にも携わりました。

さらにビジネススクールに通いMBAを取得。
小木氏は「せっかく取ったので取締役に立候補しました」と話します。推薦者に自ら声をかけ、取締役に就任したのです。
「興味を持ったことに首を突っ込み、やりたいと言うことが大切」と自らキャリアを切り開いてきた経験を語りました。

生成AI時代の人の役割とは

現在のデータ利用市場では、AIを使った解析システム開発が主流となり、特に最近の1〜2年は生成AIの台頭が加速しています。生成AIはデータの読み込みや分析が得意。
「ではAIがあればデータサイエンスは不要なのでしょうか」と小木氏は問いかけます。確かに統計や機械学習の基礎知識がなくてもプログラムでき、渡したデータを深く分析してくれます。

しかし小木氏は「不要にはならない」と断言します。
たとえば最適なシステム選択や課題設定などのビジネス理解は人間の役割。また生成AIが出した結果が正しいかを判断するのも人間です。
「統計や機械学習の知識だけでは武器にならない。それをどう使うか考える力が求められています」と語りました。

総合格闘技のような感覚で必要な力を身につけよう

「データサイエンスに限らず、専門家+アルファを目指そう」と小木氏は語り掛けます。
小木氏はそれを「総合格闘技」と表現しました。総合的に物事を考えられると、スピーディに物事を解決したり、さまざまな角度からリスクを避けることも出来たりします。
「生成AIに仕事を奪われないために、したたかに生き残りましょう」と小木氏は話しました。

「総合格闘技」に必要なものとして「自分の力を把握する」「なんにでも興味を持つ」「視座を高く持つ」を挙げます。
得意なことを見つけ、役立つ場を探す。視座を高く持ち全体を見渡すことで、次にやるべきことが見つかると話します。
「私もあれこれ取り組んできたからこそ、自分の道を選べている。自分で道を選ぶため、総合格闘技の力を身に付けましょう。ぜひいろんなことにチャレンジしてみてください」と講義を締めくくりました。

「やってみる」が拓く未来

講義のあとは質疑応答の時間が設けられました。
先生からも「取締役に就任してどうでしたか」と質問が。
小木氏は「同じ会社なのに、自分の知らないことがたくさんありました。なってよかったと思います。なんでもやってみるのはおすすめです」と回答されました。

また、また、「生成AI事業が大きく伸びている理由は何だと思いますか」という問いには、「いまの企業は生成AI導入に予算が付きやすい。社会に出れば使うようになりますので、大学でも積極的に利用しリテラシーを身に付けるべきだと思います」と述べました。
そのうえで「社会に出て突き当たるのは、生成AIに聞いても答えが出ない問題です。どのように技術を使うのか、うまく使える力を身に付けましょう」と話しました。
学生たちにとって、これからの時代を生き抜くヒントを得られた講義となりました。

担当教員からのメッセージ

本授業「データ時代の女性キャリア開発」では、企業の第一線で活躍されている方をお招きし、社会の中でデータがどのように課題解決に活かされているのか、また女性がどのようにキャリアを切り拓いてきたのかを、ご自身の経験を交えながら語っていただいています。

今回の講義では、データで社会や企業の課題解決に取り組む現場のお話に加え、「実は数学の公式が苦手だった」という意外なエピソードや、そこから実務の中で力を身につけていった過程も紹介されました。学生にとっては、得意・不得意に関わらず挑戦することの大切さを実感できる機会になったのではないかと思います。また、キャリアを積み重ね、取締役として活躍されている現在に至る歩みも、大きな刺激になったようです。

生成AIが急速に発展する時代においても、最終的に課題を見つけ、判断し、人と協力して解決へ導くのは人間の役割です。講義の中で示された「総合格闘技のように、さまざまな力を組み合わせて身につけていくことが大切」というメッセージは、これから社会に出ていく学生にとって非常に印象的だったと思います。

この授業を通じて、「自分にできるだろうか」と考える前に、まずは「やってみる」ことが未来を拓く一歩になると感じてもらえればと考えています。本授業が、学生一人ひとりにとって自分の可能性に気づき、新しい挑戦に踏み出すきっかけになることを期待しています。