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2026年7月3日

自分の「北極星」を見つけよう!「キャリア・ショーケース」の授業で住友生命の山本浩実氏による特別講義が行われました。

5月28日の、共通教育科目「キャリア・ショーケース」 (担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、住友生命保険相互会社(以下、住友生命)の山本浩実氏による特別講演が行われました。変化の激しい時代でどう自分のキャリアを積み重ねるか、自分の軸を見つけることの重要さを明るく話してくださいました。

ウェルビーイングを目指す保険会社

「『なりたい私』を見つける一歩」をテーマに行われた今回の講演。
山本氏は「失敗談もたくさんあって少し恥ずかしいのですが、堅い話ばかりでは面白くありません。皆さんが将来の選択を考える際の参考になればうれしいです」と笑顔で語り、講演をスタートしました。

住友生命は1907年創業の老舗保険会社で、生命保険や損害保険を扱っています。
山本氏は「保険は万が一に備えるものというイメージが強いですが、今はお客さまのウェルビーイングの実現を目指しています」と説明。「健康で元気に歳を重ねたいという願いは、誰しも思うことですよね」と話しました。
「Vitality」を軸に、健康寿命を延ばすことを通じて社会に貢献する「なくてはならない保険会社」を目指していると語りました。

また、女性社員の割合は約9割と高く、女性が活躍しやすい環境づくりにも注力。
雑誌で「女性が活躍する会社」上位に選ばれたほか、ワークライフバランス部門でも高い評価を受けています。男性の育児休業取得率も100%を達成しており、誰もが働きやすい職場づくりを進めています。

生命保険の営業の魅力を伝えたい

山本氏は2001年、ブライダル業界から住友生命へ転職しました。
そのきっかけは、ご主人のキャリアチェンジ。
プロスポーツ選手として活動していたご主人は、引退後に理学療法士を目指して大学へ進学することを決意されました。応援したい気持ちはありつつ、幼い子どもを2人育てていた当時は家計への不安を感じたといいます。

「そこで、まずは保険について勉強しようと思いました」と振り返ります。
しかし、自分で調べても十分に理解できなかったそう。
そんな時に住友生命との縁があり、入社を決意しました。入社後に保険を本格的に学ぶなかで、「自分の人生を守るためには、自分で考え、選ぶ力が必要だ」という思いが強くなったといいます。
一方で、保険営業にはノルマが厳しいといったネガティブなイメージも。
山本氏は「私たちの仕事は商品を売るだけではなく、人生に潜むさまざまなリスクを伝え、お客さまが安心して暮らせるよう支えること。その価値や魅力をもっと多くの人に知ってほしい」と語りました。

「そこで、まずは保険について勉強しようと思いました」と振り返ります。
しかし、自分で調べても十分に理解できなかったそう。
そんな時に住友生命との縁があり、入社を決意しました。入社後に保険を本格的に学ぶなかで、「生命保険は人生にとってとても大切なものだ」という
思いが強くなったといいます。

リーダーとしての奮闘とキャリアチェンジ

入社後しばらくして、山本氏は愛知中央支社傘下の所長に就任しました。
管理職として部下の育成に取り組みますが、当初は苦労の連続だったと振り返ります。「部下が穴ぼこの中にいる状態」に例え、なんとか引き上げようと上から強く働きかけていました。
しかし、そのやり方では思いが伝わらず、なかには退職してしまう人も。
メンバーと真剣に向き合うなかで、「まずは自分も穴ぼこの中に入り同じ景色を見ながら、下から支えることがマネージャーの役割だ」と気づきます。
「自分の考えを押し付けるのではなく、本人が前に進みたいと思う気持ちを応援することが大切だった」と語りました。

そんな山本氏に大きな転機が訪れます。
営業職の拠点長として、メンバーの育成に尽力していたある日、全国転勤型の総合職への職種変更を打診されたのです。予想もしていなかった話に戸惑い、不安の方が大きかったといいます。
しかし、尊敬する女性の先輩から「女性がその道に進める機会は多くない。あなたに声がかかったのだから挑戦してみたら」と背中を押されました。
さらに父親からも挑戦する大切さを教えられ、新たな一歩を踏み出す決意を固めたことを話されました。

「強みのかけ算」で自分らしい軸を見つけよう

「今は、過去の常識が通用しない予測困難な時代です」と山本氏。
変化のスピードが速いからこそ、過去の成功に頼るのではなく、学び続けながら自分自身を更新していく力が求められると語りました。
では、変化の時代に迷わず進むためには何が必要なのでしょうか。
山本氏は「ブレない軸を持つことが大切です」と話します。「目指すべき北極星を見つけ、その時々の目標を積み重ねながら成長していくことが重要です」と学生たちに伝えました。

その軸を考えるヒントとして紹介されたのが、「WILL(やりたいこと)」「CAN(できること)」「MUST(求められること)」の3つ。
ついやりたいことばかりに目を向けがちですが、自分の強みや周囲から期待される役割もあわせて考えることが大切だと説明しました。
また、「唯一無二の強みを持つ人は多くありません」とした上で、「強みの掛け算」という考え方を紹介。特別な才能がなくても、複数の得意なことを組み合わせれば、自分らしい強みになると語りました。

「就職はゴールではなくスタートです。
自分が何を大切にし、何に喜びを感じるのかを考えながら、自分らしい軸を見つけてほしい」とエールを送り、講演を締めくくりました。

信頼を積み重ね人との関係を築く

学生同士で意見交換の時間が取られた後、山本氏への質疑応答が行われました。
「マネージャー時代に意識していたことは何ですか」という質問に対し、山本氏は「メンバーに何のために働いているのかを聞くようにしていました」と回答。
「何を大切にしているのか、本音の部分を知ることを意識しました。そのためには、こちらも自己開示をしながらコミュニケーションを重ね、信頼関係を築くことが大切でした」と語りました。

また、「誰かの役に立ちたいと思っていても、自分のことで精一杯なときはどうしたら?」という質問には、「余裕がないときもありますよね」と学生に寄り添いながら回答。
「まずは自分のやりたいことにしっかり取り組むこと。そしてアルバイトやボランティアなどを通じて、多様な人と関わる経験を大切にしてほしいと思います」と話しました。

このほかにも学生たちは活発に発言。
自分らしい軸を持ちながらも、変化を恐れず挑戦し続けることの大切さを学ぶ貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

山本様は、本年度、初めてご登壇いただきました。
住友生命様には、昨年度からJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)の活動をはじめ、様々な場面でご支援をいただいています。
特にFR(Future Generations Relations)活動、すなわち次世代との関係性を大切に事業を推進されています。
山本様のご経験から、リーダーシップのあり方や、キャリアの築き方など多岐にわたる貴重なお話しをいただき、とても貴重な時間となりました。
山本様に、この場を借りて厚くお礼申し上げます。

2026年6月25日

自分に素直に前向きに!「キャリア・ショーケース」の授業でJFEテクノス社長の能登氏による特別講義が行われました。 

6月11日に「キャリア・ショーケース」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業でJFEテクノス株式会社の能登隆代表取締役社長による特別講義が行われました。リーダーの立場から、大学のうちに身に付けておくといい力など、学生にも身近で将来のためになる話をしてくださいました。

素直で前向きに生きる大切さ

冒頭、能登氏は学生たちに和菓子を配りました。
出身である帯広市で縁のある企業とともに作られたものだそうです。企業の社長による講演と聞いて少し緊張していた学生たちにも笑顔がこぼれました。
能登氏は「昭和、平成、令和を生きてきた一人の人間の話です。何か一つでも皆さんの参考になれば」と語り、講演をスタートしました。

話は能登氏の子ども時代から。
幼少期は、勉強や家の手伝いを頑張って褒められることで、自分の存在価値を感じたと振り返ります。その一方で、期待に応えようとするあまり「良い子」でいようとし、頼まれたことを断れない「カッコつけ」の自分がいたとも話しました。

転機となったのは高校受験の失敗でした。
「失敗するときは失敗する」と受け止め、ありのままの自分で素直に生きようと決意。
その後は冷静に物事を判断できるようになり、「肩の力を抜いて、素直に前向きに生きることが大切だと気づきました」と、自身の経験を学生たちに伝えました。

その時々でモチベーションは変わっていい

大学で燃焼について研究していた能登氏は、その知識を生かせる研究職として、JFEの前身である日本鋼管に入社しました。
入社当初は「学生の延長のような感覚で、お金をもらえるなんていいなと思っていた」と振り返ります。
しかし、年齢とともに責任が増え、仕事の成果が出るまでに時間がかかることへ次第にストレスを感じるようになりました。
「仕事は嫌いではなかったけれど、迷いもありました」と当時を語ります。

そんな時期に支えとなったのが子どもの誕生でした。
「家族のために頑張ろうという気持ちが、大きなモチベーションになりました」と話し、「期待に応えようとするカッコつけの自分がうまく作用した」と笑います。
「仕事のやる気は、その時々で変わっていい。自分を支えてくれるものや、気持ちを切り替える方法を知っておくことが大切です」と学生たちへ伝えました。

その後、30代、40代と着実にキャリアを重ねますが、「役職が上がるほど、やりたい仕事だけではなくなります」と説明。
研究職として入社した後も、総務や経理、電気自動車の新規事業開発など、専門外の仕事を経験しながら視野を広げ、社長へ就任した歩みを紹介しました。

ゼネラリストとエキスパートとは?

能登氏は「会社にはさまざまな部署があり、大きく分けるとゼネラリストとエキスパートがいます」と説明しました。
ゼネラリストは幅広い知識を生かして活躍する人、エキスパートは専門性を磨きその分野で力を発揮する人です。それぞれに向いている役割があり、「皆さんはどちらを目指したいですか」と学生たちに問いかけました。
例えば、経営層を目指すなら幅広い経験を積むゼネラリスト、専門性を高めて長く活躍したいならエキスパートという選択肢があります。将来の自分を思い描きながら仕事を選ぶことも大切だと伝えました。

また、「仕事ではトラブルが起きるのが当たり前です」と能登氏。多くの人や部署と関わるため、意見の違いを調整する場面は避けられません。
しかし、「トラブルを乗り越えることで自信が生まれます」と話します。
「仕事がうまくいけば自信がつき、自信は前向きな気持ちにつながります。成長のスピードは人それぞれ。焦らず自分のペースで経験を積み、自信を育てていってください」と学生たちへエールを送りました。

異人コミュ力を身に付けよう!

能登氏は「社会に出ると、育ってきた環境や価値観が異なる人たちと一緒に働くことになります。親より年上の人と仕事をする機会もあるでしょう」と語り、学生のうちに身に付けてほしい力として、「基礎学力」「聞く力」「異人コミュ力」の3つを挙げました。
基礎学力では、英語でのコミュニケーション力や論理的思考力を身に付けることが重要です。
また、「聞く力」を養うことで、自分とは異なる考え方や価値観を受け入れる姿勢が育まれます。

さらに能登氏は、「異人コミュ力」という独自の考え方を紹介しました。
これは、背景や価値観の異なる人と対話し、互いに協力しながら課題を解決する力のことです。
「無理に苦手な人を好きになる必要はありません。ただ、仕事では相手との一致点を見つけることが大切です。自分の考えを押し通すのではなく、相手に寄り添いながら理解し合う姿勢を身に付けてほしい」と学生たちに呼びかけました。

自分も変われば周りも変わる

講演後は学生同士で感想を共有した後、質疑応答が行われました。
「リーダーとして部下の素直さや前向きな姿勢を引き出すにはどうすればよいですか」という質問に、能登氏は「いい質問ですね。私も悩みます」と感心した様子。
そして、「自分が変われば周りも変わります。まずは自分を知ってもらうことが大切。自己開示して自分が素直でいれば、相手も自然と素直になってくれます」とアドバイスされました。

このほかにも学生たちから多くの質問が寄せられました。
授業の最後には、学生の代表から「働くことの意味を改めて考えた講演でした。初心を忘れず、達成感を得た経験や自分に素直でいることは就職活動においても大事だと感じました」と感謝の言葉が述べられ、講演を締めくくりました。

担当教員からのメッセージ

能登社長は、昨年に続き2回目のご登壇となりました。
最前線で指揮を取られる能登社長のご経験に基づく数々のお話し、お人柄を感じる数々のエピソードも学生の心に響くものばかりした。
能登様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

2026年6月1日

これからの女性のリーダーシップの秘訣は女子大!?「キャリア・ショーケース」の授業でSBI金融経済研究所の理事長が講演を行いました

5月14日に、共通教育科目「キャリア・ショーケース」 (担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、SBI金融経済研究所株式会社の取締役理事長である政井貴子氏による、特別講演が行われました。女性活躍が求められる時代、どうキャリアを重ねていくかを、自身の半生を振り返りながら話してくださいました。

キャリアは長い目で見て考えよう

政井氏は本学の英文学科卒のOG。
「女子大って必ずしもポジティブな評価がされていない印象です。これはひとえに女子大の良さを知らない男性が書いているからだと思います」と笑いを交えながらコメント。
「今日は私が考える、女子校で育まれるリーダーシップについてお話したい」と、講演を始められました。

「そもそも私は経営者になることを目指していたわけではなく、学生の頃はやりたいことも決まっていませんでした」と話し始めました。
「キャリアなんて最初から決まっていないし、そのまま進むものでもない。ではどうするかと言えば一つずつ積み上げていくしかないんです」と、30~40年の長い目でキャリアを考えることの大事さを伝えました。
「人生は長いので、豊かに暮らすには選択肢が多い方が良い。選択肢を広げるためには経済力を持つことも大事。そのために、自分にフィットした働き方を選べるように考えていきましょう」と語りました。

ただ日本は、経済活動や政治参加の面ではまだまだ男女差があるのが現状。家事や育児、介護など仕事以外にやらなくてはいけないことを抱えている女性は多いです。
アンケートでも、女性は男性をサポートすべきという考えの人が、若い世代でも多いという結果が出ています。
政井氏は「社会に出ると、腹落ちできないできごとに出くわすことがあると思います」と、心構えを話されました。

その都度悩みながら自分の可能性を広げていく

続いて、写真を交えながらこれまでの歩みを紹介。
卒業後は外資系金融機関に就職し、「多様な価値観や背景を持つ人たちと働いた経験は大きな刺激になった」と振り返ります。
その後、日本企業の金融機関へ転職。日本銀行の役員として日本経済全体を見据えた金融政策にも携わりました。
さらに5年前にはSBI金融経済研究所の立ち上げに関わり、現在に至ります。

一見順調なキャリアに見えますが、「当時はその都度悩んでいた」と政井氏。
仕事を辞めようと考えたことや、別の仕事への誘いに迷ったこともあったそうです。「振り返ると一本の筋が通っているように見えるだけで、その時々で選択してきた結果が今につながっている」と語りました。

進路を選ぶ際に大切にしていたのは、「自分の可能性が広がるかどうか」。そのときできることを軸に、少しずつ挑戦の幅を広げてきたと言います。
「就職でも給料など目先の条件だけで決めるのではなく、長い視点で自分の軸を作っていってほしい」と学生たちにメッセージを送りました。

女子校で育むリーダーシップとは?

政井氏は、「社会に出て感じるのは、女子校出身者にはリーダーとして活躍している人が多いこと」と話しました。
共学ではリーダー役を男性が担う場面も多い一方、女子校では女性が中心となってまとめ役を経験する機会が多いことが理由ではないかと語ります。
また、「リーダーとは、ただ前に立って引っ張る人ではありません。さまざまな人の話を聞き自分の考えを伝え、周囲を巻き込める人です」と説明。
「女子同士の意見をまとめるのは難しいんですよ。学生時代からその経験ができるのは、とても貴重なこと」と笑いを交えて話しました。

さらに、多くの人を巻き込み行動した女性の例として、本学の学祖である下田歌子についても紹介。
当時は女性が自由に決定権を持ちにくい時代でしたが、「女性も能力を発揮できる」と信じ学校を設立した行動力に、管理職になってから改めてその偉大さを実感したそうです。
政井氏は、「その学校にいる皆さんも、キャリアを築くことだけを目的にするのではなく、自分自身が充実した人生だったと思える生き方をしてほしい」と学生たちへエールを送りました。

男性社会を、女性はどう変えていける?

講演後は班ごとに意見交換を行い、その後、政井氏への質疑応答の時間が設けられました。
「社会に出て男女差を感じた経験は何でしたか」という質問に対し、政井氏は営業時代のエピソードを紹介。
「大きな取引先は男性社員が担当し、自分は小規模な会社ばかり任されていました。努力して大きな契約を取っても、担当を男性に替えられてしまった」と振り返りました。
「40年前の話なので変わっているかもしれないけれど、古い体質の企業には今も残っているかもしれません」と学生たちへ伝えました。

また、「少子化対策と女性活躍は両立できると思いますか」という質問には、「とても本質的な問いですね」と応じ、「女性が活躍すると子どもを持たなくなる、というのは男性側の発想ではないでしょうか」と指摘。
自身には子どもはいないものの、周囲には子育てをしながら働く女性も多く、海外では子どもを育てながら活躍する女性CEOも珍しくないと語りました。
さらに、「日本はどれだけ長く会社にいるかで評価されやすい。家事や育児で長時間働けない女性は、出世しにくいという空気が(未だ一部に)残っているように思います」と現状を説明。
「外資系ではすでに始まっていますが、時間や場所ではなく、その人ベースで評価する考え方へもっと変わっていく必要があるのだと思います」と話しました。

本学卒業生であり、女性リーダーのロールモデルでもある政井氏の講演は、学生たちにとって大きな刺激となる貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

政井様には、この授業に初回からご登壇いただいています。また、本学の卒業生ということもあり、学生との距離感が近いという印象を受けています。
一方、政井様のキャリアは特筆すべきものがあり、金融業界で、中央銀行、国内系、外資系とあらゆる組織でキャリアを積み重ねられた方は、なかなか存在しない、とても貴重なロールモデルであると思います。
今までは比較的遠い存在であった金融のフィールドでしたが、今の学生の今後のキャリア形成を考えた時、一人ひとりがみずから資産設計することが求められることになります。
政井様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

2026年5月20日

自身が生かされている意味とは?「キャリア・ショーケース」の授業で元スターバックスCEOによる「ミッション」についての講義が行われました。

4月23日に「キャリア・ショーケース」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で元スターバックスコーヒージャパンCEOであり、株式会社リーダーシップコンサルティング代表の岩田松雄氏の特別講演が行われました。自らの半生を通し、「ミッション」を自覚することの大切さを学生たちに伝えてくださいました。

自分はなぜ「生かされている」?

この授業では学生が進行を担当します。CUBEと呼ばれる各班に分かれ自ら考え行動する力を養います。
まず語られたのは「生きていることの不思議」。宇宙の誕生や地球の形成、そこから生命が生まれ人間へと進化してきた流れは、すべて偶然の積み重ねです。その視点から岩田氏は「生きているというより、(何か大きな力に)生かされていると感じる」と話します。

では、なぜ自分は生かされているのか。岩田氏は「人それぞれにミッションがあるから」と説明します。
ミッションとは「存在理由」のこと。ミッションには、自分自身の役割を考える「個人のミッション」と、会社が存在する意味を考える「企業のミッション」があります。授業ではこの2つを軸に、自分の生き方や将来について考えていきます。

AI時代に必要な学びの本質とは

AIの進化によって、多くのことが簡単に答えを得られる時代になりました。では、なぜ大学で学ぶ必要があるのでしょうか。

岩田氏はその理由を「視座を高める、視野を広げる、視点を鍛えるため」と説明します。自分とは異なる立場で物事を考え、興味のある分野だけでなく幅広く知識を得ること。「それによってイノベーション(変革)が起こりやすくなる」と話しました。そして得た情報をどう受け止めるかを考える力(視点)こそが重要だといいます。「卒業のためではなく、自分の土台をつくるために学び続けることが大切」と学生に伝えました。

また、変化の激しい時代だからこそ「不易流行」という考え方が必要だと強調します。
岩田氏は「これは、変わらない本質(哲学)を大切にしながら、新しいもの(科学技術)も柔軟に取り入れるという考え方です。科学技術は加速度的に進歩しているが、人間の本質は何千年も変わっていないということ。今日お話しするミッションの大切さはいつの時代も変わらない。
AIが答えを出してくれる時代だからこそ、人間に求められるのは「問う力」です。」と話し、常識を疑い、問題意識を持ち、自分で問いを立てるためにも、学び続ける姿勢が大切だと語られました。

AIが答えを出してくれる時代だからこそ、人間に求められるのは「問う力」です。問題意識を持ち、自分で問いを立てるためにも、学び続ける姿勢が大切だと語られました。

自分のミッションを見つけよう

岩田氏は、自身がミッションに気づいた経験を語りました。

「新卒で日産自動車株式会社に入社し、新入社員あいさつで『社長を目指す』と宣言し、先輩方から失笑をかった。
しかし当時は社長の仕事は何も分からなかったが、高い目標が必要だと考えたからだといいます。ふと自社の企業理念を先輩達に尋ねても答えは得られませんでした。若い時から経営理念や社長に関心を持っていました。」

「経営に興味を持ったきっかけは、二つのハンバーガー店での気づき。
同じ業種でも、楽しそうに働く店とそうでない店があることに疑問を持ち、経営に興味を持つようになります。そこでビジネススクールに進み、経営を学びました。経営学の授業では『会社=利益を追うもの(株主価値の最大化)』と教えられましたが、腑に落ちませんでした。」

「その後、株式会社アトラスの社長に就任。
最初は社長就任挨拶で『株主価値の最大化が大切』と言っても社員には通じませんでした。その後ザ・ボディショップの社長をしている時に『企業は世の中を良くするためにある』と言う考えに至りました。ザ・ボディショップは、化粧品会社ですが、環境問題や人権問題に取り組む創業者のアニータ・ロディックの考えに共感しました。」

岩田氏は「企業は利益のためだけにあるのではない。世の中をよくするというミッションを実現する手段として利益が必要」と強調します。
社会をより良くするために企業が存在するという考えに至ったプロセスは、これから進路を考える学生にとって大きなヒントとなる内容でした。

ミッションをもつことで働き方は変わる

なぜ企業にもミッションが必要なのでしょうか。
岩田氏は「共通のゴールを持てるから」と説明します。会社にはさまざまな価値観を持つ人が集まるため、同じ方向を目指すための軸が欠かせません。
また、ミッションに共感した人が集まることで、組織としての一体感も生まれます。実際に岩田氏自身もスターバックスの理念に共鳴し、長い採用プロセスを経てスターバックスの社長に就任しました。

では個人のミッションはどう見つけるのか。
ヒントは「情熱を持てること」「世界一になれること」「経済的原動力になること」の重なりを探すこと。
つまり「好きで、得意で、人のためになること」です。「人にためになる」からその対価としてお金をいただけます。
岩田氏は「ミッションはすぐに見つかるものではなく、また成長とともに進化させてもいい」と語ります。大切なのは、自分がなぜ生かされているのかを考え続けること。
「働くとは、傍(はた)を楽にすること。自分の仕事が社会にどう役立つかを意識してほしいと思います」と講演を締めくくられました。

ミッションをどう見つけ、どう向き合う?

講演後は各グループで学びを共有し、質疑応答が行われました。


サークルでリーダーを務める学生からは「友人の関係性を越えて、組織の挑戦意欲を高めるにはどうすればよいか」と質問があり、岩田氏は「リーダーとは役割。自分のためではなく、チームのために何ができるかを考える“無私の心”が大切。だから時には厳しいことも言うべき」と答えました。
また、「好きで得意なことが人のためになっているか自信がない」という声には、「人に感謝されたり褒められたりすることは、すでに誰かの役に立っている証拠。まずは好きなもの得意なものをつきつめていきましょう」とアドバイス。

さらに就職の失敗への不安については「もし落ちても、相手の見る目がないなと思って、ご縁があるところで頑張ればいい」と笑いも交えつつ回答。
「就活面接で御社のミッションやビジョンに共鳴して~というのはだいたいの学生が言います。ただそれは相手起点で話している。自分起点で、自分はこういうミッションを持っていてこういう事をしたい、御社だったらそれが出来ると思った」と伝えれば良い。
学生にとって、自分の軸はなにかを考える大切さに気づく機会となりました。

担当教員からのメッセージ

岩田様には、本学客員教授として、この科目のみならず本学の多くの科目でご講演、ご指導をいただいています。
「ミッション」については、多くの学生の中に浸透しており、キャリア形成を考える上での軸となっており、学内の様々な活動は勿論、就活の際の「自分の強み」を考える上でも貴重な示唆をいただいています。
さらに社会人となってからも、生き方の支えにもなっています。
企業が社会で活動する意味、個人が社会で生きていく意味、まさにキャリアの本質に
迫る内容は、学生の大きな気づき、そして学びに繋がっていることを感じます。
改めて、この場を借りて、岩田様に心からお祈り申し上げたいと思います。