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2026年3月6日

制度が支える女性活躍!経営学概論の授業にて、ダイドードリンコ株式会社による連携授業が行われました。

2026年1月7日(水)、経営学概論(担当:人間社会学部ビジネス社会学科 篠﨑香織教授)にて、ダイドードリンコ株式会社(以下ダイドードリンコ)の連携授業が行われました。

授業と連携企業について

経営学概論は、人間社会学部1年生を対象に開講されている専門科目です。経営学の基礎を学習することを通して、企業の仕組みや活動についての理解を深めます。また、消費者、労働者やパートナー企業など多様な視点から企業との関わり方を考え、課題を通じて情報収集、分析などの行動力を養っていきます。

今回の授業ではダイドードリンコから大植あかね氏、奥川美優氏にご登壇いただき、「働く女性の本音〜理想の働き方と福利厚生を知る〜」というタイトルで、ダイドードリンコの経営、制度、女性活躍についてご講演をいただきました。また、講義の後半には事前学習として学生が取り組んだ課題「こんな自販機があったら」の内容共有と、ゲストからのフィードバックが行われました。

人材重視のマインド

奥川氏からはじめに、ダイドードリンコの企業概要が紹介されました。ダイドードリンコは、1950年代にドリンク剤を販売していた大同薬品工業を起源とし、現在はダイドーグループホールディングスの中で清涼飲料事業を担う企業です。本社は大阪府にあり、売上の約90%を自動販売機が占めていること、コーヒー飲料に強みを持つこと、そして自社工場を持たないファブレス経営であることの三点が、事業の特徴として説明されました。

奥川氏は、工場を持たないという事業特性から、「ダイドードリンコにとって最大の資源は人材です」と話し、働く人にかかわる福利厚生や制度の充実に力を入れていると説明しました。また、優秀な人材に自分の意思でこの会社で働きたいと感じてもらうこと、そして人と人との組み合わせによって組織力を高めていくことを目指していると語られました。こういった考え方は、働く人をコストではなく価値を生み出す存在として捉える「人的資本経営」という考え方にもつながっています。

人を尊重する制度

続いて、ダイドードリンコで実際に導入されている制度や福利厚生について、具体的な説明が行われました。とくに、労働時間に関する制度として、時短勤務制度とスーパーフレックス制度を紹介しました。奥川氏は「時短勤務は、子どもが小学校を卒業するまで利用できる点が特徴です。また、スーパーフレックス制度では、所定の時間内で自ら勤務時間を調整することが可能です。病院や家族に時間を使うことはもちろん、『推し活』に使う人もいます。働く時間を柔軟に活用できることで、日々の過ごし方の幅が広がります」と、労働時間の多様性によって、多様な働き方につながっていることを話しました。

また、週4回までテレワークが可能であることが紹介され、会社の制度が一人ひとりの意思や状況に寄り添った働き方を支えていることが伝えられました。

社内制度と社員

休暇制度の紹介として、〈D休暇〉と呼ばれる独自の休暇制度についても説明がありました。D休暇とは、生理や更年期、不妊治療など、公にしにくい身体的・個人的な事情で休暇を希望する際、理由を申請せずに取得ができる制度です。休暇を取得する際の心理的な負担を軽減し、気兼ねなく休暇を取得できるよう配慮された制度であることが伝えられました。

このD休暇は、社員が年に一度、ビジネスプランや施策を提案できる〈チャレンジアワード〉を通じて生まれた制度であること、奥川氏自身が人事総務部の同僚とともに企画・提案を行い、実際に制度として採用されたと紹介がありました。社員の声が制度として形になる社内風土から、人材への意識の高さが感じられ、学生たちは、制度を「使うもの」として捉えるだけでなく、働く人の声によってつくられていくものとして考える視点を得ました。

女性の社会進出と企業の取り組み

大植氏は、女性活躍推進の背景には、男女格差是正のための法改正の歴史だけでなく、日本の人口減少に伴う労働力不足という社会的課題があることを紹介しました。

2010年のダイドードリンコでは女性管理職の不在や、社員の男女比率の大きな偏りなど、「働きにくいと感じる女性が多くいらした」と話し、2016年の女性活躍推進法をきっかけに、改善の動きが進み始めたといいます。大植氏は「営業職が社員の約6割を占めていたことや、女性総合職の採用が2010年から始まったため、女性社員を育成できるマネジメント層が十分にいなかったこと、さらに柔軟な働き方に対する理解が進んでいなかったことなどから、当初は女性が働きやすい環境が整っていませんでした。」と当時の社内状況を説明しました。

女性が働き続ける環境づくりのため、初めに育児・介護を目的として在宅勤務制度を導入。段階的にその利用を拡大するとともに、フレックスタイム制度を導入し、制度整備により、多様な働き方が可能な環境が整えられていきました。さらに、女性が働きやすい環境を整えるため内勤の営業職部署である〈インサイドセールス部門〉を設立。女性社員が営業職として積極的に配属されており、実際に所属されている大植氏は「プライベートや子育てと仕事が両立しやすく、非常に働きやすいと感じています。また、制度を使って子どもの学校の行事に参加したり、自分の習い事に時間をつかったりすることができています」と話しました。

さらに、女性営業職の成長支援の活動として、〈BLOOM〉が紹介されました。〈BLOOM〉は、営業職として働く女性が勤務地を超えて集い、交流会や研修を通じてスキルアップと横のつながりを深める取り組みです。大植氏は「〈BLOOM〉には全国の女性営業職30人弱が所属しています。女性の営業職は、営業職全体人数の10%ほどですが、片手で数えることができた過去から比較すると急増しているんです。」と話しました。社内で女性が活躍できる環境が整えられた結果、実際に仕事で力を発揮する女性が増えてきていることが紹介されました。

また、組織的な意識改革として、社内に〈ダイバーシティ推進グループ〉が設置されていることが紹介されました。専門家を招いてSDGsやダイバーシティに関する研修を行う他、グループの働きの一つに「女性にとって働きやすい環境づくりがある」と話し、グループから企画として提案された『女性ヘルスケア応援自販機』を紹介しました。大植氏は「『女性ヘルスケア応援自販機』は、飲料と共に生理用品も販売する自販機です」と概要を紹介し、本学渋谷キャンパス9Fにも設置されていることを話しました。事業を通じて多様性を包み込む姿勢が表れていることが語られました。

こうした制度によって実現されている多様な働き方は、近年注目されている「人的資本経営」という考え方とも重なっています。奥川氏は、「従業員一人ひとりを企業の価値を生み出す存在と捉え、その力が発揮される環境を整えることが、企業全体の成長につながる」と説明しました。また、企業には利益の追求だけでなく、社会や関係者全体の幸せを考える姿勢が求められていると話しました。

学生の考える「自動販売機の新たな活用例」

授業の後半では、学生が事前課題として提出していた「自動販売機の新たな活用例」について、東京営業部の松本英康氏からのフィードバックと意見交換の時間が設けられ、学生が提出した課題に対してみんなで考えを深めていきました。ここでは2例紹介します。

スタディサポート自販機

学生は「図書館の設置を想定し、ラムネのお菓子やカフェイン飲料を販売し、目的買いを狙います」と発表。松本氏は「学生向けという視点はありませんでした。勉強の気分転換で自販機に向かったとき、何を買うか品ぞろえから選びやすいと思いました」とコメント。篠崎教授は「冬は受験を控えた学生が勉強に力を入れる時期。塾などに設置するのはいかがでしょうか」と話しました。

味変飲料の販売

学生は「購入者が自分で時間とシーンに合わせて味の変化ができる缶を自販機で販売します」と提案。松本氏は「気分転換に使用できそうですね。自分好みに変化を加えるという発想もとてもいいと思います」と話し、篠崎教授は「組み合わせによるカスタマイズで味を作っていくシステムが、女子にうけそうだなと思いました。コーヒー缶の購入者層を増やすことができそうです」と意見を寄せました。

今回の講演は、学生にとって福利厚生や社内制度を活用する人の目線で捉える視点を学び、働く社員と企業の関係性をより自分事として考えるきっかけとなりました。また、課題のフィードバックの時間では、自販機の企画を担当している社員と直接意見交換が行われる貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

今回の連携授業は、
①「働きやすさ」を意識して企業内制度について考えること
②「あったらいいな、こんな自販機」を提案すること
の二本立てで実施しました。

せっかくダイドードリンコの皆さまにお越しいただく機会ですので、履修者が「働く」ということを具体的にイメージできるお話を伺えればと考えておりました。また、ダイドードリンコ社の自動販売機は柔軟性が高く、履修者から生まれるであろう斬新なアイデアとの親和性も高いのではないかと想定しておりました。

100分の授業でこの二点をやり遂げるため、年末の授業ではビジネスモデルや戦略に関するトピックスを扱い、それ以前の授業でも「働く」というテーマを折に触れて取り上げてきました。

当日は、奥川様、大植様よりダイドードリンコ社の制度や職場環境について詳しくお話を伺い、後半は、特にユニークな自動販売機のアイデアをもつ履修者の代表が発表を行いました。その後、松本様とのQ&Aおよび講評をいただく時間を設けていただきました。

なかでも「誰かと分け合える商品が自動販売機から出てきたら面白いのではないか」という提案については、履修者全員で具体化を試みました。将来的には、学生のアイデアが実際に自動販売機を通じて形になる可能性も感じられる貴重な機会となりました。

本授業の履修者は主に1年生ですが、数年後にはその中からダイドードリンコ社で活躍する学生が生まれるかもしれません。

お忙しい中、大阪本社ならびに東京営業所よりお越しいただき、誠にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

2024年2月19日

自販機で社会貢献!「経営学概論」の授業でダイドードリンコとの特別コラボが行われました。 

12月6日、人間社会学部1年生の必修科目の一つである「経営学概論」(担当:人間社会学部現代社会学科 篠﨑香織教授)の授業で、ダイドードリンコ株式会社(以下、ダイドードリンコ)の特別講義が行われました。学生は『自販機でできる社会貢献』という事前課題について考えて授業に参加しており、指名された学生はその発表もしました。企業の経営戦略を直接学ぶ貴重な講義であったと同時に、学生たちのアイディアを企業に評価していただく交流の機会となりました。

自販機は一番顧客に近い!

最初に自販機営業企画部の松本英康氏からご挨拶があったのち、人事総務部の真野祐子氏からダイドードリンコの説明がありました。
ダイドードリンコは、1950年代に栄養剤を販売したことからスタートした大同薬品工業を起源とし、ダイドーグループホールディングスの中の清涼飲料事業を担っています。グループ会社はこの他に、医薬品、医療品事業やゼリーなどの食品事業があります。

本社は大阪府にあり「今回のメンバーは、全員大阪から来ています」と真野氏。
ダイドードリンコの事業は、自動販売機での販売が約8割を占めるのが特徴。競合他社の同事業は約3割のため大きな違いです。また自動販売機に並ぶ商品に占める50%がコーヒー飲料で、主な購買層は男性だそうです。
なぜ自販機での販売がメインなのかと言えば、店舗販売よりも利益率が高いことや、顧客により近い距離で販売できるといったメリットがあるからです。

ダイドードリンコの飲料事業のもうひとつの特徴はファブレス経営であること。
ファブレス経営とは、自社で工場を持たず100%製造委託しているビジネスモデルです。工場にかかる大きなコストを削減できるのがメリットです。

優秀な人材に入社してもらうには

「当社の経営戦略として、優秀な人材を確保することに重きを置いています」と真野氏。
経営戦略を考える上で、持続的な競争優位を確立することが非常に大切です。そのためには優秀な人材を採用し、定着してもらうことを重視しているそうです。
優秀な人材にダイドードリンコに興味を持ってもらうために行っている施策として、フルリモートワークや副業可能、充実した福利厚生制度などが紹介されました。

特に働く女性にとって好評なのが、コアタイムのないスーパーフレックス制度やリモートワーク、法定よりも長い期間利用できる時短勤務制度です。
こういった取組みを行うことで、社員がプライベートと仕事の両立がしやすくなり、直近3年間ではライフイベントを理由にした退職者はなしという成果に繋がっているそうです。
真野氏は「企業の、ヒトに対するアプローチということに焦点を当てて見てみると、商品だけからは見えなかったことが見えてくる」と就活の際に企業サイトなどをよく見てみることを勧めていました。

自販機で女性を助けたい

次にダイバーシティ推進グループの井阪愛歩氏、大植あかね氏、奥川美優氏から、ダイドードリンコが取り組んでいる女性の社会進出についてのお話がありました。
まず「日本のジェンダーギャップ指数の順位を知っていますか?」という質問があり、選択肢の中の一つである「100位以下」に多くの学生の手が挙がりました。
井阪氏の「皆さんさすが知ってらっしゃいますね」との言葉通り、日本の順位は2023年時点で125位。特に女性役員の数が少ないことは国も課題としており、2030年までに女性役員の割合を30%まで上げることを目標としています。

ダイドードリンコでも2023年から自販機営業企画部内にダイバーシティ推進グループを発足。女性の自販機利用を増やそうと女性発案の企画で新たなコンテンツを開発しています。
例えば女性が誰もが経験し、悩みのタネである生理。アンケートで特に多い悩みである「急な生理への対応」として生理用ナプキンを購入できる自販機を開発しました。
誰もが使える自販機で生理用品を販売することで社会の理解促進も図ります。

この他にも赤ちゃんのおむつやお菓子の販売など、さまざまなモノを自販機で販売することに精力的にチャレンジしています。本学の渋谷キャンパス9Fにもダイドードリンコの自販機があり、オープンキャンパスのときに「赤本缶(https://www.jissen.ac.jp/learning/human_sociology/interview/shinozaki.html)」を搬出しました。
「世の中の潜在的な課題を見つけて自販機で解決するお手伝いをすることが私たちの仕事」と奥川氏は語りました。

社会貢献できる自販機って?

事前に学生たちには「自販機でできる社会貢献」を考える課題が出ており、授業の最後にダイドードリンコのメンバーが指名した学生が自分のアイディアを発表しました。
募金をしたら写真が撮れてSNSに投稿できる仕組みを提案した学生のアイディアには、松本氏は「募金ができる自販機は既にあるが、写真が撮れるアイディアは斬新」と高く評価していました。
省エネに着目した学生は、照明を消し、常温の飲料専用の自販機を提案しました。
「常温飲料のニーズがあることが分かりました。省エネの観点から常温の発想になったのもすごい」と着眼点の良さが評価されました。

野菜など無人販売所の役割のある自販機を提案した学生もおり、特産品などの地産地消にもつながるアイディアが出ました。
「モノを売る自販機はあるので、地域と協力すれば可能性がありそう」と松本氏はほかの主体との連携の必要性に言及していました。
他にも秀逸なアイディアが次々飛び出し、企業の皆様から感嘆の声が上がりました。

学生たちは企業がどんな経営戦略を取っているか、また社会貢献活動にどう取り組んでいるかを知る機会となった講義でした。

担当教員からのメッセージ

ダイドードリンコ社とは、赤本缶を自動販売機から搬出する企画を立てたのを機にご縁を得ました。
飲料事業を持つ企業の中でも差別化が際立っていることや、女性の社会進出を後押ししている企業というイメージが強いことから、「経営戦略」の回にぜひお越しいただきたいとお声がけしました。

 当日は、入社3年目、子育て中、転職の経験ありなど、学生にとって数年先から20年ぐらい後までのロールモデルになる社員の方たちからお話を伺う機会になり、「働きたいように働く」ことのイメージが少し掴めたのではないかと期待しています。実際、「ダイドードリンコ社で働いてみたい」という履修者の声が複数ありました。また、「社会貢献につながる自動販売機」の学生のアイディアについて、松本氏より一つひとつ丁寧にコメントをいただき、アイディアの面白さと実現可能性の両立の難しさを実感する機会になりました。

 早朝より大阪からお越しくださいまして、また有意義な授業の実現にご協力いただきまして、本当にありがとうございました。