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2026年3月17日

法律の最前線!食品衛生学の授業で、消費者庁食品表示課による特別講義が行われました。

2025年10月24日(金)、食品衛生学a(担当:食生活科学科 白尾美佳教授)にて、消費者庁食品表示課(以下消費者庁)の正木陽子氏、森川健佑氏をお招きし、食品表示法に関する特別講義が行われました。

授業と連携企業について

食生活科学科健康栄養専攻で開講されている専門教育科目「食品衛生学a」において、消費者庁食品表示課の方々をお招きし、食品表示に関する特別講義を実施しました。

健康栄養専攻では、栄養士資格の取得を目指し、人体の仕組みや食品の栄養、給食経営管理など、食と健康に関する専門知識を体系的に学びます。「食品衛生学a」は、食品の安全性を確保するための基礎知識を学ぶ科目であり、栄養士として食品を適切に取り扱うための重要な基盤となる授業です。

今回は、消費者庁食品表示課 企画第一係長 正木陽子氏、法令係 森川健佑氏にご来校いただき、食品表示制度の概要や最新の制度動向について講義を行っていただきました。食品表示法の運用に実際に携わっている方々から直接話を伺うことができ、学生にとって大変貴重な学びの機会となりました。

身近な食品表示のルール「食品表示法」

食品表示法は、すべての食品に共通する「表示のルール」を定めた法律です。食品パッケージの裏面に記載されている原材料名、内容量、原産地などの情報は、この法律に基づいて表示されています。

この法律は、消費者が商品を選ぶ際に、食品の内容や産地などについて正しい情報を得たうえで判断できるようにすることを目的としています。そのため、食品を製造・販売する事業者には、必要な情報を適切に表示する義務が課されています。

食品表示法では、表示項目の内容だけでなく、表示の順序や記載方法などについても細かく定められており、食品に関わる仕事に携わるうえで理解しておくべき重要な制度です。

消費者庁の役割

講義では、食品表示制度を所管する消費者庁の役割についても紹介されました。

森川氏は、消費者庁について「消費者に直接関わる政策を、消費者の視点に立って進める役割を担う行政機関です」と説明されました。主な業務として、製品やサービスの安全確保、公正な取引の推進、消費者教育などがあり、表示ルールに違反する事業者に対して指導を行う役割も担っています。

食品表示についても、以前は複数の法律や省庁によって管理されていましたが、商品契約に関するトラブルの増加や食品の異物混入など、消費者に関わる深刻な社会問題が相次いだことを背景に、消費者庁が設立されました。この設立を契機に制度が整理され、「食品の表示」という観点から統合されたものが現在の食品表示法であることが紹介されました。

食品表示法の基本「義務表示」

食品表示には、消費者が適切に商品を選択できるよう、必ず表示しなければならない「義務表示」があります。

生鮮食品では、名称や原産地などを容器や包装の見やすい場所に表示する必要があります。一方、加工食品では表示項目が多く、「一括表示」と呼ばれる形式で原材料名や内容量、製造者などの情報がまとめて記載されています。

講義では、一括表示の項目の内容や、それぞれの表示が設けられている理由について、具体的な食品表示を例に挙げながら解説が行われました。

「消費期限」と「賞味期限」の違い

食品の期限表示には、「消費期限」と「賞味期限」の2種類があります。

消費期限は、比較的傷みやすい食品に表示されるもので、「期限を過ぎると安全性が低下する可能性があるため食べない方がよい期限」を示しています。一方、賞味期限は日持ちする食品に表示され、「おいしく食べることができる期限」を示すものです。

森川氏は、「賞味期限が過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。状態を確認しながら食品ロスの削減にもつなげていただければと思います」と説明され、食品ロスの問題にも触れられました。

アレルギー表示と制度の見直し

食物アレルギーを引き起こす可能性のある原材料については、症例数や重篤度を踏まえて表示制度が定められています。

現在、義務表示の対象となる特定原材料は8品目、推奨表示の対象は20品目となっています。

講義では、2023年にくるみが新たに義務表示の対象となったことや、現在、カシューナッツを義務表示に、ピスタチオを推奨表示に追加する検討が進められていることなど、制度の最新動向についても紹介されました。

これらの制度は、約3年ごとに実施される国の調査結果をもとに見直されており、食生活の変化に合わせて制度も更新されていることが説明されました。

栄養成分表示について

栄養成分表示は、食品に含まれる栄養素の量を示すもので、2020年からすべての加工食品で表示が義務化されています。

表示が義務付けられているのは、熱量(カロリー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5項目です。

管理栄養士の資格を持つ正木氏は、「栄養成分表示では『100gあたり』や『1食分あたり』など表示の単位が異なるため、食品を比較する際には注意が必要です。将来、栄養指導を行う際にも、ぜひその点を伝えてください」と学生に呼びかけました。

また、近年の取り組みとして、パッケージ前面に栄養情報を分かりやすく表示する「前面栄養表示」についても紹介され、日本でもガイドラインの整備が進められていることが説明されました。

今回取り上げた内容のほかに、食品添加物の種類や基準量について、原料原産国表記についてなど、表示に関する詳細な解説が行われました。

学生からの質問も活発に

講義の最後には質疑応答の時間が設けられ、学生からは食品添加物や遺伝子組換え食品の表示制度などについて質問が寄せられました。

正木氏と森川氏は、制度の仕組みや実際の運用について丁寧に説明され、学生にとって理解を深める貴重な機会となりました。

今回の特別講義を通して、学生たちは食品表示制度を「生活に密接に関わる実践的な知識」として学ぶことができました。

質問をする学生

担当教員からのメッセージ

今回の講義では、食品表示制度の基礎だけでなく、前面栄養表示の取り組みやアレルギー表示の見直しなど、最新の制度動向についても学ぶことができました。

食品表示制度の運用に携わる行政担当の方々から直接お話を伺うことができ、学生にとって大変有意義な学びの機会となりました。

この場をお借りして、消費者庁食品表示課の正木様、森川様に心より御礼申し上げます。

2026年3月6日

制度が支える女性活躍!経営学概論の授業にて、ダイドードリンコ株式会社による連携授業が行われました。

2026年1月7日(水)、経営学概論(担当:人間社会学部ビジネス社会学科 篠﨑香織教授)にて、ダイドードリンコ株式会社(以下ダイドードリンコ)の連携授業が行われました。

授業と連携企業について

経営学概論は、人間社会学部1年生を対象に開講されている専門科目です。経営学の基礎を学習することを通して、企業の仕組みや活動についての理解を深めます。また、消費者、労働者やパートナー企業など多様な視点から企業との関わり方を考え、課題を通じて情報収集、分析などの行動力を養っていきます。

今回の授業ではダイドードリンコから大植あかね氏、奥川美優氏にご登壇いただき、「働く女性の本音〜理想の働き方と福利厚生を知る〜」というタイトルで、ダイドードリンコの経営、制度、女性活躍についてご講演をいただきました。また、講義の後半には事前学習として学生が取り組んだ課題「こんな自販機があったら」の内容共有と、ゲストからのフィードバックが行われました。

人材重視のマインド

奥川氏からはじめに、ダイドードリンコの企業概要が紹介されました。ダイドードリンコは、1950年代にドリンク剤を販売していた大同薬品工業を起源とし、現在はダイドーグループホールディングスの中で清涼飲料事業を担う企業です。本社は大阪府にあり、売上の約90%を自動販売機が占めていること、コーヒー飲料に強みを持つこと、そして自社工場を持たないファブレス経営であることの三点が、事業の特徴として説明されました。

奥川氏は、工場を持たないという事業特性から、「ダイドードリンコにとって最大の資源は人材です」と話し、働く人にかかわる福利厚生や制度の充実に力を入れていると説明しました。また、優秀な人材に自分の意思でこの会社で働きたいと感じてもらうこと、そして人と人との組み合わせによって組織力を高めていくことを目指していると語られました。こういった考え方は、働く人をコストではなく価値を生み出す存在として捉える「人的資本経営」という考え方にもつながっています。

人を尊重する制度

続いて、ダイドードリンコで実際に導入されている制度や福利厚生について、具体的な説明が行われました。とくに、労働時間に関する制度として、時短勤務制度とスーパーフレックス制度を紹介しました。奥川氏は「時短勤務は、子どもが小学校を卒業するまで利用できる点が特徴です。また、スーパーフレックス制度では、所定の時間内で自ら勤務時間を調整することが可能です。病院や家族に時間を使うことはもちろん、『推し活』に使う人もいます。働く時間を柔軟に活用できることで、日々の過ごし方の幅が広がります」と、労働時間の多様性によって、多様な働き方につながっていることを話しました。

また、週4回までテレワークが可能であることが紹介され、会社の制度が一人ひとりの意思や状況に寄り添った働き方を支えていることが伝えられました。

社内制度と社員

休暇制度の紹介として、〈D休暇〉と呼ばれる独自の休暇制度についても説明がありました。D休暇とは、生理や更年期、不妊治療など、公にしにくい身体的・個人的な事情で休暇を希望する際、理由を申請せずに取得ができる制度です。休暇を取得する際の心理的な負担を軽減し、気兼ねなく休暇を取得できるよう配慮された制度であることが伝えられました。

このD休暇は、社員が年に一度、ビジネスプランや施策を提案できる〈チャレンジアワード〉を通じて生まれた制度であること、奥川氏自身が人事総務部の同僚とともに企画・提案を行い、実際に制度として採用されたと紹介がありました。社員の声が制度として形になる社内風土から、人材への意識の高さが感じられ、学生たちは、制度を「使うもの」として捉えるだけでなく、働く人の声によってつくられていくものとして考える視点を得ました。

女性の社会進出と企業の取り組み

大植氏は、女性活躍推進の背景には、男女格差是正のための法改正の歴史だけでなく、日本の人口減少に伴う労働力不足という社会的課題があることを紹介しました。

2010年のダイドードリンコでは女性管理職の不在や、社員の男女比率の大きな偏りなど、「働きにくいと感じる女性が多くいらした」と話し、2016年の女性活躍推進法をきっかけに、改善の動きが進み始めたといいます。大植氏は「営業職が社員の約6割を占めていたことや、女性総合職の採用が2010年から始まったため、女性社員を育成できるマネジメント層が十分にいなかったこと、さらに柔軟な働き方に対する理解が進んでいなかったことなどから、当初は女性が働きやすい環境が整っていませんでした。」と当時の社内状況を説明しました。

女性が働き続ける環境づくりのため、初めに育児・介護を目的として在宅勤務制度を導入。段階的にその利用を拡大するとともに、フレックスタイム制度を導入し、制度整備により、多様な働き方が可能な環境が整えられていきました。さらに、女性が働きやすい環境を整えるため内勤の営業職部署である〈インサイドセールス部門〉を設立。女性社員が営業職として積極的に配属されており、実際に所属されている大植氏は「プライベートや子育てと仕事が両立しやすく、非常に働きやすいと感じています。また、制度を使って子どもの学校の行事に参加したり、自分の習い事に時間をつかったりすることができています」と話しました。

さらに、女性営業職の成長支援の活動として、〈BLOOM〉が紹介されました。〈BLOOM〉は、営業職として働く女性が勤務地を超えて集い、交流会や研修を通じてスキルアップと横のつながりを深める取り組みです。大植氏は「〈BLOOM〉には全国の女性営業職30人弱が所属しています。女性の営業職は、営業職全体人数の10%ほどですが、片手で数えることができた過去から比較すると急増しているんです。」と話しました。社内で女性が活躍できる環境が整えられた結果、実際に仕事で力を発揮する女性が増えてきていることが紹介されました。

また、組織的な意識改革として、社内に〈ダイバーシティ推進グループ〉が設置されていることが紹介されました。専門家を招いてSDGsやダイバーシティに関する研修を行う他、グループの働きの一つに「女性にとって働きやすい環境づくりがある」と話し、グループから企画として提案された『女性ヘルスケア応援自販機』を紹介しました。大植氏は「『女性ヘルスケア応援自販機』は、飲料と共に生理用品も販売する自販機です」と概要を紹介し、本学渋谷キャンパス9Fにも設置されていることを話しました。事業を通じて多様性を包み込む姿勢が表れていることが語られました。

こうした制度によって実現されている多様な働き方は、近年注目されている「人的資本経営」という考え方とも重なっています。奥川氏は、「従業員一人ひとりを企業の価値を生み出す存在と捉え、その力が発揮される環境を整えることが、企業全体の成長につながる」と説明しました。また、企業には利益の追求だけでなく、社会や関係者全体の幸せを考える姿勢が求められていると話しました。

学生の考える「自動販売機の新たな活用例」

授業の後半では、学生が事前課題として提出していた「自動販売機の新たな活用例」について、東京営業部の松本英康氏からのフィードバックと意見交換の時間が設けられ、学生が提出した課題に対してみんなで考えを深めていきました。ここでは2例紹介します。

スタディサポート自販機

学生は「図書館の設置を想定し、ラムネのお菓子やカフェイン飲料を販売し、目的買いを狙います」と発表。松本氏は「学生向けという視点はありませんでした。勉強の気分転換で自販機に向かったとき、何を買うか品ぞろえから選びやすいと思いました」とコメント。篠崎教授は「冬は受験を控えた学生が勉強に力を入れる時期。塾などに設置するのはいかがでしょうか」と話しました。

味変飲料の販売

学生は「購入者が自分で時間とシーンに合わせて味の変化ができる缶を自販機で販売します」と提案。松本氏は「気分転換に使用できそうですね。自分好みに変化を加えるという発想もとてもいいと思います」と話し、篠崎教授は「組み合わせによるカスタマイズで味を作っていくシステムが、女子にうけそうだなと思いました。コーヒー缶の購入者層を増やすことができそうです」と意見を寄せました。

今回の講演は、学生にとって福利厚生や社内制度を活用する人の目線で捉える視点を学び、働く社員と企業の関係性をより自分事として考えるきっかけとなりました。また、課題のフィードバックの時間では、自販機の企画を担当している社員と直接意見交換が行われる貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

今回の連携授業は、
①「働きやすさ」を意識して企業内制度について考えること
②「あったらいいな、こんな自販機」を提案すること
の二本立てで実施しました。

せっかくダイドードリンコの皆さまにお越しいただく機会ですので、履修者が「働く」ということを具体的にイメージできるお話を伺えればと考えておりました。また、ダイドードリンコ社の自動販売機は柔軟性が高く、履修者から生まれるであろう斬新なアイデアとの親和性も高いのではないかと想定しておりました。

100分の授業でこの二点をやり遂げるため、年末の授業ではビジネスモデルや戦略に関するトピックスを扱い、それ以前の授業でも「働く」というテーマを折に触れて取り上げてきました。

当日は、奥川様、大植様よりダイドードリンコ社の制度や職場環境について詳しくお話を伺い、後半は、特にユニークな自動販売機のアイデアをもつ履修者の代表が発表を行いました。その後、松本様とのQ&Aおよび講評をいただく時間を設けていただきました。

なかでも「誰かと分け合える商品が自動販売機から出てきたら面白いのではないか」という提案については、履修者全員で具体化を試みました。将来的には、学生のアイデアが実際に自動販売機を通じて形になる可能性も感じられる貴重な機会となりました。

本授業の履修者は主に1年生ですが、数年後にはその中からダイドードリンコ社で活躍する学生が生まれるかもしれません。

お忙しい中、大阪本社ならびに東京営業所よりお越しいただき、誠にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

2026年2月25日

将来のリーダーを育成!2025年度「キャリア開発実践論」の締めくくりが行われました。

2026年1月20日(火)、本学客員教授である株式会社リーダーシップコンサルティング代表の岩田松雄氏と、共同代表の鷲見健司氏をお招きし、キャリア開発実践論の最終授業が実施されました。キャリア開発実践論は、先行きが不透明な時代においても社会で主体的に活躍し、リーダーシップを発揮できる人材の育成を目的とした、本学のキャリア教育科目を代表する授業の一つです。授業前半ではチームごとにこれまでの経験を振り返りが実施され、後半には岩田氏によるミニ講演と質疑応答も行われました。

授業について

キャリア開発実践論は、3年生を対象に開講されている共通教育科目です。「将来のリーダーを育成する」ことを目的に、リーダーシップのスキルアップを図る授業として開講されており、社会人基礎力の中でも「ミッション」「リーダーシップ」「ファシリテーション」の三点を中心に、重点的に学びを深めます。

例年、夏休みに集中講座形式で実施されており、今年度も本大学で客員教授を務める株式会社リーダーシップコンサルティング代表の岩田松雄氏と、共同代表の鷲見健司氏をお招きし、企業研修レベルの内容でご講義いただきました。参加学生には、昨年8月に実施された合宿後から、自身が定めた“ミッション”を実践する約5か月間の期間が設けられました。

今回の授業では、その実践期間中の経験を振り返り、さまざまな経験を通して得た自身の変化や学びを言語化する、授業の総括が行われました。振り返りと発表は、合宿時に編成した5つのチームに分かれて実施され、それぞれが「合宿を経て変わった自分」や「大切にする価値観」について共有しました。

また本授業では、元スターバックスコーヒージャパンCEOでもある岩田氏による、“ミッション”に関するミニ講演と、学生からの質疑応答が授業後半に行われました。

学生の振り返り

8月の合宿で、リーダーシップに関するさまざまな内容を知識としてインプットした学生たち。
ファシリテーターの鷲見健司氏は、「合宿で皆さんが学んだことのその後の実践状況と、実践から得た気づきを共有し、互いに学びを深め合いましょう」と語り、8月に学んだリーダーシップやファシリテーション、宣言したアクション等の実践に関する具体的な振り返りが行われました。

学生は、手元の資料を見ながら個人の活動内容を報告し、その後、班ごとに用意されたホワイトボードに意見をまとめていきました。

メンバーの発表に対し、思わず納得した様子で椅子に背中を預けたり、深くうなずきながら共感したりする姿も見られ、各チームともリラックスした雰囲気の中で共有が進んでいきました。

その後はホワイトボードの前に集まり、お互いの意見を確認しながら、チームとしての振り返り内容を整理していきました。

全体での班発表では、チーム内でまとめた振り返りの内容に加え、話し合いの中で生まれた疑問点が共有されました。

全体共有では、自分で定めたミッションが、日常生活や将来の選択において「判断の軸」となっていたことが、多くの班から語られ、とくに就職活動において自分らしさを発揮することや、主体的な行動を起こすきっかけになったという声が紹介されました。

また、「ミッションを言語化したことで意欲が明確になった」と報告する班もあり、「その結果、リーダーシップの発揮やファシリテーションを自ら担うなど、主体的な行動につながった」「具体的な言葉として可視化することで、継続的な行動につながることを実感した」といった意見も述べられました。さらに、自ら行動を起こすことが周囲を巻き込むリーダーシップにつながったと紹介する班もありました。

疑問点としては、「ミッション達成へのモチベーションをどのように維持し続けるか」や、「リーダーという役割でない人が主導し始めた場合の対応方法」など、実践的な経験を重ねる中で生まれた問いが多く共有されました。

こうした学生の気づきを踏まえ、授業後半では岩田氏からのフィードバックとミニ講演が行われました。

”ミッション”のとらえ方

岩田氏は、学生の発表内容に対するフィードバックを交えながら、ミッション・ビジョン・バリューの定義について説明しました。

「ミッションは、『なんのために自分は生かされているのか?自分が、この世に生まれてきた理由です。仕事を通じて同世の中に役立っていくかです。学生の段階ですぐに見つかるものというよりは、これからキャリアを積み重ね、一生かけて見えてくるものです」と学生に説明しました。

その上で、学生が設定した多くの“ミッション”は、“バリュー(信条や行動指針)”に近い内容であることにも触れ、岩田氏自身もまた、長い時間をかけてミッションを見出してきたことを語りました。

その後、ミッション・ビジョン・バリューの違いについて、それぞれの役割を補足しながら詳しく説明しました。岩田氏は「ミッションは『なぜ自分が生かされていのかという、自分の存在理由』、ビジョンは『具体的にイメージできる、自分がなりたい将来像や目標』、バリューは「ビジョンを達成するために定める、日々の行動指針』である」と述べました。

これらの概念をキャリア形成の文脈で語る理由について、岩田氏は「自分の仕事がどのように世の中に役立っているのかを意識することで、同じ仕事であっても、やりがいが大きく変わる」と述べました。

続けて、自身がCEOを務めたスターバックスコーヒージャパンの“ミッション”を例に挙げ、「企業が掲げるミッションを、店舗で働く一人ひとりが胸に抱いて働くことで、単にコーヒーを提供するのではなく、コーヒーを通じて人々に活力と栄養を届け生き生きと働けることにつながっている」と紹介しました。

講演の終わりに

岩田氏はリーダーには指導力や洞察力などいろいろな特質を求められるが、一番大切なのは、「私心のなさ」を挙げました。「『チームのために』という思いが伝わると、自然と人がついていきます。自分のためではなく、チームのため、お客様のためという『無私』の気持ちが大切です」と語りました。

また、キャリア形成については、「例え希望した仕事ではなかったとしても、目の前のことに一所懸命取り組んでいれば、必ず後になって、役に立ちます。人生一所懸命に頑張っている限り無駄なことはありません」と学生にアドバイスしました。さらに、「今後色々と悩みが出てくると思いますが、それは自分が成長しようと努力している証拠です」と、学生にエールを送りました。

質疑応答の時間

講演後には、岩田氏が学生から寄せられた質問に答える質疑応答の時間が設けられました。

ミッション達成へのモチベーションをどう維持し続けるか

岩田氏は「モチベーションを常に保つことは難しい」と率直に語りました。ご自身も壁にぶつかる中で、家族や友人に支えられてきた。また「勇気づけられる言葉や本を読んだり、好きな音楽を聴くことでモチベーションを高めるためのルーティンを持っていることを紹介。「皆さんも、何か自分なりのお気に入りの儀式見つけてみてください」と学生に呼びかけました。

また、挫折したときについては、「無理に立ち上がらなくてもいい。寝そべったままでも、まずは指一本動かせたら十分。少しずつでいいから、やがて起き上がれるようになる」と、段階的に前に進むことと「悩んでいる自分に悩まない」ことの大切さを伝えました。

自己開示の難易度

「相手が自己開示してくれると、自分もしやすくなる」 そのため相手に関心を持ち、「いい質問」をすることが重要だと説明。相手の良いところに注目して話を広げることや、ユーモアや冗談な話題を交えることで相手がリラックスすると自分も自己開示しやすくなると、これまでの経験を踏まえてアドバイスしました。

ファシリテーターではない人が仕切り始めた場合の対応

「ファシリテーターの最終目的は『良い結果を生み出すこと』」と前置きし、「自分が詳しい分野であっても一歩引き、サポートに回ることも必要だが、自分の得意分野なら適当に自分の意見も織り交ぜながら、議論を前に進めることが大切」と答えました。

リーダーという立場でないときに、周囲の人をどう先導すべきか

「役職に関係なく、リーダーシップというスキルを持つことは必要」と回答。「リーダーシップの本質は『周囲に影響を与えること』であり、それは誰にでも発揮できるもの。難しいことだが、リーダーを立てながら、チームを良い方向に向かわしめることが大切」と学生に伝えました。

授業の終わりに

授業の締めくくりとして、岩田松雄氏の著書「リーダーに贈る言葉」が学生に配布されました。思いがけないプレゼントに、学生たちは笑顔を見せながら本を受け取り、教室には温かな空気が広がりました。

この授業を通して学生たちは、8月の合宿で得た知識を、実体験に基づく価値観として言語化するとともに、同じ向上心を持つ仲間との意見交換を重ねることで、リーダーシップとファシリテーションへの理解をより深めました。

また、企業でのリーダー経験を持つ岩田氏と直接意見を交わすこの時間は、学生にとって非常に貴重な学びの機会となりました。

担当教員のコメント

キャリア開発実践論も、過去からの履修者が200人を超える歴史を紡いで来ました。
これもひとえに、熱心にご指導いただきました岩田様と鷲見様のおかげであると思います。大学生ではなくあえて企業人レベルの内容に挑戦することで、大きく成長した多くの学生の姿を見てきました。お二人が、学生一人ひとりに寄り添っていただき、そのポテンシャルを開花させて下さったことを改めて感じます。「ミッション」「リーダーシップ」そして「ファシリテーション」いずれもキャリアを積む上できわめて貴重なものです。

この場を借りて、岩田様、鷲見様に、心から感謝申し上げます。

2026年2月18日

創造と対話を通じてキャリアを考える!グローバルキャリアデザインの授業で、国際的なキャリアを考えるレゴ®シリアスプレイ®ワークショップが開催されました。

2026年1月13日(火)、グローバルキャリアデザイン(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)にて、「レゴ®︎シリアスプレイ®︎の技法と教材を活用したワークショップ」を体験する特別講義が行われました。蓮沼孝氏をファシリテーターにお招きし、学生たちは実際にブロックで手を動かして作品制作と鑑賞に挑戦。様々なテーマにそって制作と鑑賞を繰り返し、視点を変えてみることの大切さを学びました。

授業について

グローバル・キャリアデザインは、3年生を対象に開講されている共通教育科目です。グローバル化が進む社会の中で、自分の将来や働き方について主体的に考える力を養うことを目的としています。授業では、社会で活躍する人による講義やグループワークを通じて、「働くことの意味」や「他者と協力しながら自分の役割を果たすこと」について理解を深めていきます。

今回の授業では、”レゴ®を使って考える、キャリアを見つめる”「レゴ®︎シリアスプレイ®︎の技法と教材を活用したワークショップ」が実施されました。

進行役のファシリテーターとして蓮沼孝氏を迎え、2コマ分の時間を使ってワークショップが実施されました。蓮沼氏は「キャリアで大切なことは、『失敗してもいいから行動すること』です。行動することで偶然の出会いが生まれ、そこからキャリアが開かれていきます。また、ワークショップで大切なことは『視点を変えること』。同じものを見ていても、人によって解釈が異なることが多くあります。違っていていい、ということを出発点にしましょう」と話しました。

頭ではなく手を動かす!

ワークショップは簡単なお題からスタートしました。基本の組み立て方のレクチャーを受けた後、「できるだけ高いタワーを作ろう」というお題に挑戦。その後、自分が選んだ10個のブロックを使い、「不思議な生き物を作る」課題に取り組みました。学生たちは、蓮沼氏の「とにかく手を動かして」というアドバイスに従い、ブロックが入った器の中に手を入れ、もくもくと作業に取り掛かります。作品が完成すると、自分の作品について紹介し、グループのメンバーから質問を受ける時間が設けられました。

学生が一通り感想を言い合ったあと、蓮沼氏は「皆さんが作った不思議な生き物は、実は今日までの自分自身を表しているんです」と語りました。「作品に自分と似ているところはないでしょうか。班で話してみましょう」と問いかけると、学生たちは驚いた表情を浮かべながらも、改めて自分の作品を見つめ直します。すでに形として存在する作品に自分自身を重ね合わせながら、先ほどの発表を踏まえ、作品と自分が重なる点を一つずつ言語化していきました。

発表中のグループでは、「この部分が性格を表しているってこと?」など、色や形をきっかけにした質問が飛び交い、活発な交流が生まれていました。

イメージを言葉で表そう

場が温まってきたタイミングで、次のお題へと進みます。順番に表示された5枚の写真。蓮沼氏は、これらの写真がレゴ発祥の国・デンマーク語で「ヒュッゲ(Hygge)」を表していると説明しました。ゆっくりと切り替わるスライドを、学生たちはじっと見つめます。写真から受け取った印象をもとに、「ヒュッゲ(Hygge)」という抽象的なテーマを作品として表現する課題に取り組みました。学生たちは、つかんだ印象を逃さないようにブロックを選び取り、組み合わせていきます。どう表せばよいか考え込みながら容器をのぞき込み、選び取っては重ね、戻しながら、徐々にヒュッゲを形にしていきました。

作品完成後、蓮沼氏の指示で学生は一つ隣の席へ移動し、作品の持ち主ではない立場から完成品を見つめます。蓮沼氏は「皆さんの感性で、隣の人の作品を紹介してみましょう」と伝え、隣の学生の作品を自分の解釈で紹介する時間が設けられました。学生たちは、自分が感じ取ったヒュッゲのイメージをもとに作品を言葉にしていきます。パーツに暖かい色が使われていることから笑顔を連想するなど、色や形に触れながら一つひとつ説明していきました。ほかの人から語られる自分の作品のイメージに共感したり、驚いたりしながら、意見交換が行われました。

このようにワークショップの前半では、言葉にしづらい感覚や正解のない問いを形として表現し、それを言語化して他者と共有することで、自分の考えや価値観が広がっていく過程を学生が体験しました。

ブロックで表す自分のキャリア

授業の後半では、「海外留学先でウェルビーイングに関する学びを行う」をテーマに、「どの国で、何をしたいか」という自身の考えを作品として表現する活動が行われました。正解のない問いに向き合いながら、学生たちは想像力を働かせて制作に取り組みます。

蓮沼氏は具体例を示しつつ、「ブロックが表している意味をそのまま使うのではなく、別の意味を重ねてメタファー(暗喩)として表現してほしい」と伝え、考えを形にすることを促しました。

制作の序盤、学生たちは何から手を付ければよいか戸惑う様子も見られましたが、ブロックを手に取り、組み合わせや配置を試行錯誤するうちに、次第に作品の輪郭が浮かび上がっていきました。手を動かす中で思考が整理されていくように、学生たちは作業に集中し、教室にはブロックが組み合わさる音だけが静かに響いていました。

作品完成後には、「誰を対象に、どの国で、何をしたいのか」を軸に、自身の作品を整理し、グループ内で発表する時間が設けられました。他者に向けて言葉にし、質問を受けて答えていく過程で、学生自身も気づいていなかった視点や価値観が、次第に明確になっていきます。

発表では、これまでの留学経験から現地で触れた価値観を象徴的なモチーフで表現した学生や、社会問題への関心から「相手を知ること」を意識し、向き合う配置にした理由を語る学生の姿も見られました。対話を重ねる中で、話題は作品そのものから、その背景にある一人ひとりの大切にしている考えへと自然に広がり、より深い他者理解につながる時間となりました。

より発展的な制作へ

続いて学生たちは、チームで一つの作品を制作しました。自分の作品の中から「最も大切だと感じる部分」を抽出し、一度作品から切り離したうえで、それぞれが持ち寄ったパーツを組み合わせていきました。蓮沼氏は「パーツに込められた意味を生かしながら、一つの『プロジェクト(授業)』として再構成してください。完成した作品には、内容が伝わる名前を付けましょう」と指示しました。個々の意味や解釈を持つパーツをもとに、関連性を見出したり、プロジェクトの進行をストーリーとして描いたりしながら、チームごとに作品を再構成していきます。

チーム作品の完成後、蓮沼氏は「このプロジェクトの中で、自分はどのような役割を担いたいですか?」と問いかけました。理想が詰め込まれたプロジェクトの中で、自分がどのように関わり、どのように貢献したいのかを考えることが学生に求められます。蓮沼氏は「それはあくまで『一つの選択肢』としてでも構いません」と添え、考えを固定せず、可能性として言語化することを促しました。「社会問題の現場に行って直接関わりたい」など、すでにある環境の中で自分が何をしたいのか、グループ内で発表が行われました。

その後、グループごとに制作した作品の発表が行われ、班を超えて内容の共有をする時間が設けられました。発表後には質問の時間もあり、制作のポイントや象徴的なパーツについて問いが投げかけられます。発表者が「確かに」と頷きながら言葉を選んで答えたり、聞き手が説明をかみしめるように作品をじっくり見つめたりと、やりとりは終始穏やかで丁寧な雰囲気の中で進みました。同じお題でも全く異なる表現が並ぶことで、学生たちは考え方や視点の広がりを実感していました。

ワークショップのおわりに

まとめとして、蓮沼氏は「自分の人生や社会を主体的に作っていくうえで、自分が何をできるのか。自分が考えている一つの可能性以外にも、多様な視点があることを知ってほしかった」とコメントしました。

今回のワークショップでは、制作と作品の鑑賞を繰り返しながら、自分の考えを形にし、言葉にし、他者の視点を通して捉え直す体験が行われました。作品に意図を込めて制作することで、学生はテーマに対する自分なりの捉え方や価値観を見つめ直すとともに、その価値観が反映された作品を通して、他者から見た自分の考えに触れていきます。他者の意見を受け取ることで、「ものごとの見え方は一つではないこと」や「多様な選択肢があること」を実感し、自分でも気づいていなかった価値観や可能性への理解を深めていきました。

キャリアについて学んでいる学生たちにとって、自分の価値観や考え方を捉え直し、学びを一段階深める貴重な機会となりました。

担当教員のコメント

蓮沼先生には、グローバルキャリアデザインのゲストとしてご支援いただいてから、すでに10年以上が経過いたします。レゴブロックを用いてキャリアを考えるというアプローチは、毎年新鮮でもありますが、気づきの多さも特徴です。
「頭で考えるより、まず手を動かして考える」という考え方は、とても斬新なことですが難しいこと、しかし、学生たちは、あっという間にその世界に対応していきます。
出来上がった作品を見ながらキャリアを考えるということも、とても貴重な経験になっています。
毎年、ご指導いただいている蓮沼先生に、厚く御礼申し上げます。

2026年1月16日

舟山選手と語る、スポーツがくれるウェルビーイングの力。―パリパラリンピックに出場した舟山選手との交流会を今年も開催しました!―

2025年度のJWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)活動の一環として、12月20日(土)に、スポーツ×ウェルビーイングに関するワークショップを開催しました。今年も昨年に続き、2025年10月のアジアパラ選手権大会で優勝し、2026年の世界選手権大会の出場権を獲得した舟山真弘選手をゲストにお迎えしました。当日は、大会での印象的なエピソードから、日々のコンディションづくり、そしてウェルビーイングとの向き合い方まで、幅広いテーマでお話を伺うことができました。

ゲスト:舟山真弘(ふなやままひろ)選手

彼は現在、早稲田大学に通っている大学3年生。 4歳で小児がんの一種である「右上腕骨 骨肉腫」に罹患。1年2か月間入院し、手術と抗がん剤治療を受けました。手術では、利き手であった右腕の肩関節と上腕骨を切除し、足の細い骨を移植しました。右腕は上がらなくなり、細い骨の骨折に細心の注意が必要となりました。

そういったバックグラウンドを持っている舟山選手ですが、実際にお会いするととても明るく、周囲を和ませる笑顔が印象的な方です。

卓球を始めたきっかけは、家族旅行で経験した温泉卓球。その楽しさに心が惹かれたことで、本格的に卓球の世界にのめりこんでいきました。今ではパリのパラリンピックで5位に入賞したり、数々の大会でメダルを取ったりと大活躍で大注目の選手です。

当日のワークショップでは、パラリンピックの試合映像を本人の解説と共に上映しました。メダルがかかった大一番の相手はフランスの選手。開催地がパリということもあり、会場の応援のほとんどがフランス側という完全アウェイの状況だったそうです。それでも、会場にいた日本の応援団や、国籍を問わず良いプレーに拍手を送ってくれる観客の存在が大きな力になったと語ってくれました。その言葉からは、競技の緊張感だけでなく、スポーツが生み出す温かなつながりも感じられました。

◆当日の舟山選手とのワークショップ

今回のワークショップでは、インタビューにクイズ、神業チャレンジ、さらには舟山選手との卓球体験まで、盛りだくさんの内容で会場は終始大盛り上がりでした。

インタビューでは、卓球の技術や試合での心構えはもちろん、学生生活やプライベートの話まで、NGなしでざっくばらんに語っていただきました。同じ大学生とは思えないほど芯のある考え方に、参加者からは「刺激を受けた」「もっと頑張りたくなった」という声が多く聞かれました。

続いて行われたクイズ大会では、舟山選手にまつわる問題が次々と出題され、会場は笑いと驚きに包まれました。見事上位3名に入った参加者には、舟山選手の直筆サイン色紙が贈られ、受け取った瞬間の嬉しそうな表情がとても印象的でした。

そして後半は、いよいよ卓球体験へ。実際の卓球台を使い、台の端に置いたペットボトルを打ち抜くという「神業チャレンジ」に舟山選手が挑戦。なんと一発でクリアし、会場は大きな拍手と歓声に包まれました。その後は参加者も実際にラリーをしたり、スマッシュのコツを教えてもらったりと、プロの技を間近で体感。体を動かす楽しさや、誰かと一緒にスポーツをする心地よさを、まさに全身で味わえる時間となりました。スポーツを通じて生まれるつながりや、体を動かすことで得られるウェルビーイングを、参加者全員が実感できたひとときでした

●当日の質問より(一部抜粋)

Q.舟山選手の特技はなんですか?

A.顔を見ただけで年齢を当てられる特技がある。特技といわれると難しいですが、全く知らないアニメのパンフレットに載っていたキャラクターの年齢を、ピッタリ当てたことがあるので、これが僕の特技だと思います。(笑)

Q.今後の目標はありますか?

A.4年後を見据えた時、メダル獲得だけでは満足しないようにすることです。メダルをゴールにするのではなく、金メダルを目指していきたいです。そのために日々の練習を頑張って、1日1日を大切に過ごしていきたいです。あと1年で学生が終わってしまいますが、ただ受動的に生きるのではなく、誰かに何かを与えられる人間になれるようにこれからは人としてももっともっと成長していきたいです。

●当日の参加者、運営メンバーのコメント

・ウェルビーイングな状態になる手段がたくさんあるということはそれだけウェルビーイングになれる瞬間が多いということというお話が印象的でした。卓球もできて楽しかったです。

・とっても楽しかったです!!卓球もできた上に全く違う生き方をしてきた方の話を聞けて良かったなって思いました。何か好きなこと、芯となるものがある人は強いのだと思え学びが多かったです。

・今年は経験者がいたおかげで、心に余裕を持って準備を進めることができました。

パラリンピックの映像を本人の解説とともに振り返ったり、卓球対戦や「神業チャレンジ」で盛り上がったりと、参加者が楽しみながら刺激を受けることができたのではないかと感じました。アンケートでも好評の声を多くいただき、クイズや体験を通してスポーツとウェルビーイングの繋がりをしっかり伝えられたのではないかと嬉しく思っています。素晴らしいメンバーと共に今年も運営ができ、楽しかったです。

・今年も舟山選手と一緒にwell-beingについて考えることができ、とても嬉しく思います。当日はイレギュラーな出来事が何度も起こり、大変な場面もありましたが、無事に終えることができて本当に良かったです。参加者の皆さんが楽しそうに舟山選手の講話を聞き、一緒に卓球をしている姿を見て、あの時間そのものがwell-beingだと感じました。何度も笑いに包まれた素敵な会を運営することができ、貴重な経験となりました。

木島理事長のコメント

JWP活動の一環として舟山選手との交流が始まり、今年で3回目の開催となりました。

舟山選手は、私が以前から応援しているパラリンピックを目指している卓球選手であり、大学生です。この活動でいつも感心するのは、学生の皆さんの自主運営であること、そしてその内容がいつもきちんと考えられていることです。

well-beingは、一人ひとり異なり、また、昨日と今日、昨年と今年、どんどん変わっていくものだと思います。同じ大学生ではありますが、違う領域で活躍している舟山選手と交流する機会は、学生の皆さんにとってもいい刺激になったと思いますし、舟山選手にとっても、それは言えることだと思います。私もいい刺激をいただきました。

このような交流が長く続くことで、お互いに成長できる機会が続くことを期待しています。

深澤教授からのコメント

2025年度のJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)の活動も折り返し点を迎えました。舟山選手をお迎えしてのイベントを開催することで1年が終わり、また新しい年を迎えることを実感します。

今年も、学生が自主的に手を挙げてくれて企画・運営に携わってくれました。同じ世代の若者同士が会話をし、インタラクティブに交流し、卓球で楽しむという姿は、まさにウェルビーイングなひとときとなります。アスリートから学ぶウェルビーイングについて、参加してくれた学生一人ひとりも深く考えてくれたと思います。

ロスアンゼルス五輪に向けてスタートを切っている舟山選手のさらなるご活躍を心からお祈り申し上げます。

2025年12月18日

人工石の指輪を広めたい!「実践デザインラボⅠ」の授業でBrillar代表取締役の小原氏による特別講演が行われました。 

「実践デザインラボⅠ」(担当:人間社会学部社会デザイン学科 標葉 靖子教授)の授業では、11月14日より株式会社Brillar(ブリジャール)との特別コラボ授業がはじまりました。ダイヤモンドに負けない輝きを誇る人工石を使ったジュエリーブランドで、小原亦聡氏がゼロから立ち上げた現在も成長を続けている企業です。女性一人が手探りで立ち上げた新しいジュエリーの可能性に、学生たちも強い関心を寄せ、真剣に耳を傾けていました。

多様なバックグラウンドを活かして活躍

小原氏はまずホワイトボードに自身の名前を書きました。
「亦聡(いそう)と読みます。珍しいですよね。私は中国の出身なんです」と紹介しました。10歳まで四川省で過ごし、母親の日本留学に伴い来日して以来、日本で生活を続けています。
「子どもは3人います。でも私は仕事が好きで、ずっとキャリアを途切れずに続けています」と子育てと仕事を両立していることを伝え、「女性のロールモデルとしてひとつの参考になれば」と話を始められました。

九州地方で生活していた小原氏は、上京したい一心で猛勉強し京都大学の経済学部に入学。
交換留学でフランスでの生活も経験し、英語や中国語などを話せる語学力を武器にアメリカの大手金融機関へ新卒で入社します。
転機になったのは30代前半。
ふと、自分へのご褒美にダイヤの指輪がほしいなと思ったことだと言います。
しかし調べてみるとダイヤモンド1カラットで200万円もすると知り驚きます。
「技術が進んだ現代なら、きっとダイヤモンドに近いものがあるはずと思って調べたんです」。
すると、アメリカや中国で人工石によるジュエリーが流行っているということを知りました。
それが「モアサナイト」との出会いでした。

副業として始めた事業が急成長

モアサナイトは自然界にも存在する鉱物ですが、アメリカで人工的に生成する技術が確立された人工石として知られています。ダイヤモンドの2.5倍ともいわれる、強く華やかな輝きを持ちながら、ダイヤモンドの約10分の1の値段で手に入ります。手頃でありながら高級感を楽しめる点が大きな魅力です。
小原氏は日本でも必ず需要があると直感し、副業として事業をスタートしました。

最初はSNSで発信し、注文が入ったら職人に依頼するという小規模なものでしたが、半年後にはあっという間に一人ではさばききれないほどのオーダーが入るように。
その矢先、夫の海外転勤が決まり、小原氏は一念発起。会社を辞め、自身の会社を立ち上げたのです。
2017年にオンラインショップを立ち上げ、翌年には宝飾店ひしめく銀座に店舗をオープン。
その後も大阪にも出店など順調に成長を続けています。

人工石を使うことはクリーンな世界につながる

小原氏が事業と並行して力を入れているのが、社会貢献活動です。
「日本に来たばかりの頃、周りの人や支援を受けてたくさん助けてもらった。だからこそ自分で事業をするときはお返しをしたいとずっと思っていました」と小原氏。
売り上げの一部がひとり親世帯へ寄付する「チャリティージュエリー」の展開や、児童養護施設でのイベント開催などを積極的に行っています。
また、「人工石のジュエリーを使うこと自体がエシカルなんです」と続けます。天然ダイヤモンドは採掘を伴うため、環境破壊や児童労働などの問題が指摘されてきました。
一方、人工的に生成できるモアサナイトはこうした課題を避けながら美しさを楽しめ、倫理的な観点からもモアサナイトを支持する人は増えているのです。

仕事と子育てを両立するには?

講演後は質疑応答が行われました。
「ジュエリーのデザインはどうしているのですか」という質問に、小原氏は「デザインは全くの未経験からのスタートでした。始めた当初はオーソドックスでシンプルなものから始めました。いまも専門のデザイナーはおらず、社員でデザインの案を出し合っています。実用性を重視して、台座の高さなどにこだわっています」と回答。

「ビジネスと子育ての両立はどうしていますか」という問いには、
「夫が子育てに協力的で、親サポートしてくれます。また、日本は保育制度が整っているんですよ。助成金や支援を利用して仕事に復帰しました」と話しました。

さらに「経営者として決断をするときの決め手は?」という質問には、
「そのときに一番大事にしているものはなにか。例えば夫の転勤についていくために会社を辞めて起業したときは、家族全員でいられることが最優先でした。そのときに一番大切なこと、楽しそうなことを信じています」と話しました。

人工石を広めるための施策を考えよう!

授業の最後には、次回の課題が学生たちに発表されました。
テーマは「人工石の指輪をひとつのライフスタイルや自己表現として広めるための具体的な施策を考える」こと。
現在の注文のほとんどは婚約指輪です。人工石の指輪に対する意識調査を行い、その結果を踏まえて一般に広まる施策を考えます。
学生たちはチームに分かれて取り組み、1か月後にプレゼンテーションに臨みます。

担当教員からのメッセージ

「実践デザインラボ」は、デザイン&リサーチ技法の基本を学びながら、アイデアをカタチにする創造的プロセスを自分たちで回せるようになることを目指す授業です。そのプログラムの一環として社会連携プロジェクトも実施しています。
今回小原さんには、「”人工石婚約指輪” を一つのライフスタイルや思想表現として広めるには?」というお題をご提供いただきました。
学んだデザイン&リサーチ技法を学生がどう実践していき、どうアイデアをカタチにしていくのか、とても楽しみにしています。

2025年12月11日

ドコモとタッグを組んで企業の課題解決!「リーダーシップ開発a」の授業でNTTドコモとの特別連携授業が行われました。 

「リーダーシップ開発a」(担当:人間社会学部社会デザイン学科・児玉充教授)の授業で、11月26日に株式会社NTTドコモ(以下ドコモ)との特別連携授業が始まりました。スマートフォンでおなじみの企業ですが、事業はその領域に留まりません。今回は、ドコモの強みである「量と質」の顧客情報を活かした課題提案に、学生たちが挑みます。

「スマホの会社」だけじゃない!

登壇したのは入社4年目の寺町沙紀氏。
入社時は顧客や加盟店の課題解決を担うカスタマーサクセス部に所属し、今回の学生への課題もこの部署が中心となります。
現在は人事部。
「ドコモは自ら手を挙げて異動できる制度があり、自分で人事を選びました。ドコモは幅広い事業を展開しているのでいろんな仕事に関われますし、自分でやりたい仕事を選択できるのも魅力です」と語りました。

「みなさん、ドコモは何をしている会社だと思いますか?」という問いに、多くの学生が「スマートフォンを販売する企業」と回答。
「実はそれだけではない、ということを知ってほしいです」と講義が始まりました。

ドコモは一般消費者に向けたコンシューマー事業のほか、法人事業も大きな事業の柱にしています。提携する企業は金融、医療から林業や漁業などの産業、自治体などさまざま。
それぞれの企業のDX推進やAIの導入を手助けしたり、通信システムを整備したり。通信に関わることだけではなく、それぞれの企業の課題解決をドコモが担っているのです。

dポイントを活用し一気通貫でサービスを提供

今回学生に出された課題はマーケティングです。
そもそもマーケティングとはなんでしょうか。寺町氏はマーケティングを「顧客に買ってもらえる仕組みづくり」と説明しました。
今の時代、良い商品なら必ず売れるわけではありません。
欲しい人に届くよう、どう伝えるかを設計することが基本です。

その軸として重要なのが「dポイント」。
ドコモ独自のポイントで、会員数はなんと1億人超。
スマホ料金などで貯まり、街中の店舗で使える利便性があります。加盟店は現在607社。
企業側もdポイントに加盟することで購買単価や来店頻度の向上が期待できるのです。

さらに大きな強みが「情報」です。
「ドコモの強みは量と質」と寺町氏。
dポイントの決済履歴や広告閲覧履歴、アカウント登録時に入力した属性など膨大なデータが蓄積され、購買行動を細かく把握できます。従来のTVCMでは分からなかった効果も、ドコモのデータを活用することで精密な分析やターゲットを絞ったプロモーションが可能になると語りました。

ドコモが誇る情報を使って新しいサービスを考えよう!

ドコモの持つ膨大な情報は、提携企業にも大きなメリットがあります。
たとえばメーカーは、商品を作っても実際に誰が買っているか分からないことが多いですが、ドコモと組むことで商品の流れや購買行動を把握できます。自治体も人流データを活用し、観光振興や地域イベントづくりに役立てています。

そこで、いよいよ課題の発表です。
学生は企業や自治体を想定し、その抱える課題をドコモのサービスを生かしてどう解決するかを提案します。また、誰に向けた施策なのか、ターゲットとなる顧客層を明確にすることも求められました。

「こうだったらいいな」の思いがビジネスの始まり

寺町氏は最後に「ビジネスの基本」について説明しました。
ビジネスとは顧客ニーズをつかみ、解決策を考えて商品やサービスに落とし込むこと。物を作れば売れた時代から、社会的価値や自己表現など多様な価値が重視されるようになり、購買にも体験や意味が求められるようになりました。
そのために重要なのが「ペルソナ」、つまり顧客像です。ペルソナを立てることで課題の仮説が作れます。

さらに競合や既存サービスにはない新しい価値を加える必要があります。
「既にあるビジネスなら、新たにやる必要はないですよね」と寺町氏。
顧客が本当に望み、代替できず、自社の強みが活かせるものを探すことが重要です。

「今回の課題はインターンの学生たちに出すような難しいものです」と寺町氏。
「ただ、難しく考えず、あなたが何をどう提案したいかが一番大事。こうなったら良いな、いうものを自由に考えてください」と学生たちの企画に期待を寄せました。

企業をどこにするか、課題は何か、ドコモと組む理由、活かす強み、ターゲットは誰か。考えることは多くあります。
学生たちはグループワークで企画を練り、12月のプレゼンテーションに臨みます。

担当教員からのメッセージ

本授業は少人数のグループワークを通じて、自分なりのシェアード・リーダーシップの発揮方法を体感し、人間社会学部で自律的に学習していくための専門知識やスキルの必要性を学ぶことを目的としています。近年、スマートフォンの普及に伴いデジタルマーケティングソリューションのビジネス領域が重要となっています。学生たちは新規ビジネスを考える上での各種フレームワークを学習し、dポイントデジタルマーケティングに関する課題に取り組みます。そして各チームでコラボしアイデアをまとめ、同社にプレゼンしご評価いただく予定です。独創的なアイデアからなるソリューションの発表を期待しています。

2025年8月13日

若者をファンにするSNSの投稿とは?「演習Ⅱa」の授業で猿田彦珈琲との特別コラボが行われ学生たちがプレゼンテーションを行いました。

6月25日の「演習Ⅱa」(Lクラス担当:人間社会学部ビジネス社会学科 篠﨑香織教授)で、猿田彦珈琲との特別コラボ授業が行われました。この日は約2ヵ月にわたり取り組んできた課題の最終発表です。課題のテーマは「20代にファンになってもらえるSNSの投稿を考えよう」。企業の皆さんを前に、学生たちは緊張しながらも猿田彦珈琲のファンを増やすためのSNSの施策を発表しました。

中間発表から最終発表会に向けて

 5月末の中間発表以降今回の最終発表会までに、篠﨑先生は学生に2つのことを徹底するように伝えていました。ひとつは、猿田彦珈琲から出ている課題に回答するかたちでまとめること、もう一つは、ターゲットを絞ることです。猿田彦珈琲からいただいたテーマは、学生のみなさんの年代層(20代男女)のお客様に、「猿田彦珈琲に興味をもってもらうきっかけ」or「猿田彦珈琲に行ってみたい!」と思ってもらうための投稿案を提示するというものでした。加えて、instagramもしくはXの投稿案に入れて欲しい項目が提示されていました。項目は多岐にわたるため、必ずしも網羅的でなくても良いが、提示されている項目を入れて提案することを強調しました。ターゲットについては、「20代男女」とはどのような層なのか。例えば、どこに住んでいて、何に興味がある学生なのかなど、より具体的にする指示が出ていました。
 さて、では実際に発表がどのようであったのかを見てみましょう。

一目で情報が分かるように

トップバッターはAチーム。
ターゲットを女子大学生に定めました。学生のうちに猿田彦珈琲を知ることで、社会人になってから利用してもらい長期的なファンにするのが目標です。
若い世代はコーヒーを飲むとき、苦みが少ないカフェラテなどを好む傾向から、甘いスイーツドリンクの紹介に力を入れることに。抹茶ラテやフロートなどの写真に、説明文をつけて投稿します。
文も情報を書くだけではなく、共感を呼ぶような語り掛ける口調を意識。女子大生の検索が多いハッシュタグをつけて投稿します。
発表後は企業の皆さんからの質問タイム。
「写真に文字が入っている方が良いですか?」という質問に、学生は「一目で見て情報が分かる方が興味を引かれると思います」と実体験から回答していました。

次のCチームは2種類の投稿を考案。
毎日おすすめ商品の投稿と、定期的にフォロワー限定クーポンを配布するキャンペーンの投稿です。
毎日の投稿は、通勤通学の時間帯にその日の気候に合わせたおすすめ商品を投稿し、学校帰りなどに来てもらえるように訴求します。フォロワー限定クーポンは、公式アプリと連動して応募した人に、50円引きのクーポンを配布するというもの。投稿当日限定とすることで、限定好きな若い女性の興味をそそります。
「毎日のおすすめ商品は、例えばどんなものを考えていますか?」と質問が。
「雨の日はテイクアウトが少なくなると思うので、店内で食べられるスイーツとセットで紹介したり、晴れている日はフロートを紹介したりすることを考えています」と回答しました。

店内のおしゃれな雰囲気を伝えるには?

続いてはEチーム。
現状の投稿内容や課題を細かく分析。期間限定商品が分かりにくかったり、文章が長かったりと統一感がないことを指摘しました。
そこで投稿写真を同一のフィルターをかけ、商品にキャッチコピーを入れることを提案。また投稿の下にはロゴを挿入することで、ユーザーに一目で猿田彦珈琲であることを分かりやすくします。
投稿案では店内風景を撮った紹介動画を作成。雰囲気が統一されブランドイメージを伝えられるとしました。
質問では「統一感の話がありましたが、猿田彦珈琲っぽさとは何だと思いますか」と聞かれ、学生は「落ち着いた店舗の雰囲気がSNSでも伝われば良いと思いました」と回答。
企業の方も納得されていました。

Fチームは自分の時間を大事にするZ世代をターゲットに一人でも快適で、落ち着いて過ごせる猿田彦珈琲の特徴をアピールするSNSを提案しました。
行きたいなと思わせる構成にこだわった、店舗の紹介動画を作成。渋谷店では「都会のリズムからひとやすみ」をキャッチコピーに、渋谷という忙しい街との対比を強調して落ち着いた雰囲気を伝えます。
企業の方からは「全店舗ぶん考えたいなと思いました」と感嘆の声が聴かれました。

スイーツ推しで興味を引く!

Dチームは、おしゃれで落ち着いている猿田彦珈琲は大人な雰囲気があるとして、少し背伸びしたい女子大生をターゲットに投稿を考えました。
まず、自分たちのSNSを利用してアンケート調査を実施。フードを注文したときドリンクも頼むという結果から、フードペアリングを提案する投稿を考案しました。スイーツをとりあげ、それにあったドリンクを3種類提案するというものです。
発表後は「アンケートはすごく参考になりました」「簡潔で分かりやすく素晴らしかった」と感想をいただいた、完成度の高い発表でした。

最後はBチームです。
ターゲットは普段からよくカフェに行くスイーツにこだわりのある女子大生。投稿案は診断テスト風を考えました。
「今日はどんな気分?」と問いかけ、「リラックス」「リフレッシュ」など選択肢を用意。気分に合う方をタップするとおすすめの商品が表示される仕組みです。
「心理テストなどの診断は女子大生たちに人気なことから取り入れました」と話し、若者にも楽しみながら商品に触れてもらえる、遊び心ある提案を考えました。
「こういった診断方法は何を参考にしたのですか」と聞かれ、学生は「服のブランドなどの投稿を見て思いつきました」と回答していました。

すべての発表が終わり、代表取締役の大塚朝之氏から総評をいただきました。
「とても有意義で、学びばかりでした。自信になる部分も、参考になる部分もどちらもあった刺激的な時間でした」と感嘆した面持ちで話されました。
今回のSNS案の優秀賞は猿田彦珈琲の公式アカウントで実際に投稿される予定です。

担当教員からのメッセージ

 4月末から始まった猿田彦珈琲株式会社との連携授業が幕を閉じようしています。
 連携授業開始前の打ち合わせで、「猿田彦珈琲のSNSを活性化させるための提案」が課題となってからは、私自身も学生と進めているプロジェクトの情報をインスタグラムから投稿するなど、閲覧数が伸びる投稿について考える機会が増えました(写真は人間社会学部のインスタグラム。左側の真ん中が篠﨑による投稿)。

 今回学生が提案したアイデアをもとに猿田彦珈琲の広報担当の方がアレンジしたものが、間もなく猿田彦珈琲の公式インスタグラムやXから投稿されるということで、とても楽しみです。閲覧数はもとより、見た方の反応がこれまでの投稿と違ってくるのかどうか、ぜひ猿田彦珈琲のご担当者に検証結果を伺いたいです。
 
 最終回となった今回は、「蜂蜜ラテ」の差し入れをいただきました。
 猿田彦珈琲の上田様によると、自家製蜂蜜オレンジソースと芳醇なエスプレッソにミルクを合わせ、風味豊かなドリンクに仕上げた、猿田彦珈琲ならではの一杯だそうです。エスプレッソには、ふくよかなボディ感とキャラメルのような甘さ、さらにアプリコットやマーマレードの果実味を思わせる余韻が特徴の「TOKYO ’til Infinity」を使用しているそうです(味わいは2025年6月29日時点のものとなります)。蜂蜜の独特のクセを感じず、ほどよい甘みのラテでした。ご馳走様でした。
 大塚社長、平岡様、田岡様、上田様、播田様、そしてフィールドワークでお世話になった渋谷道玄坂通店の皆様、大変お世話になりました。また連携授業ができることを楽しみにしております。ありがとうございました。
 

2025年7月31日

相手を思いやって「やさしい日本語」を使ってみよう!「日本語教育入門b」でJR東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)との特別授業が行われました。 

6月24日(火)に「日本語教育入門b」(担当:国際学部国際学科 大塚みさ教授)で、JR東日本との「やさしい日本語」第2回特別コラボ授業が行われました。学生たちはマナーについてポスターや放送文案を作成し発表しました。また、ロールプレイングをとおして、相手を思いやって伝える姿勢について学びました。

音だけで伝えるのは難しい

前回に引き続き、我孫子乗務ユニットから車掌の皆さんが登壇されました。
平山秀人氏と伊藤暉氏に、車掌と取手駅で改札業務を兼務している山田直人氏が加わり、和気あいあいとテンポよく楽しい授業を行ってくださいました。

まずは前回の授業の振り返り。
電車の車内放送や改札で、外国人のお客さまに伝えるため、やさしい日本語を使う工夫を学んだ感想として学生からは「音(放送)だけで伝える難しさを感じた」「見た目で英語を使おうと判断しないこと」などが寄せられました。
伊藤氏は「人によって価値観が違うということに気付いてもらえた。今日は特にこのことを中心に進めていきます」と話し、授業が始まりました。

ピクトグラムを使って分かりやすく

さっそく、前回出された課題の発表から。
課題は「鉄道マナーを在留外国人にどう伝えるか?」ポスターと、車内放送文を考えるというものでした。
学生たちは5つの班に分かれ、約1か月の期間でスライドとポスターを作成し、それぞれの班が発表を行いました。

 最初の班は、荷物を前に抱えて乗るマナーについて。
ポスターはピクトグラムを使って分かりやすくしています。文も「混雑時」などの言葉は理解してもらえない可能性を考え、あえて省き「荷物は自分の前に!」と、シンプルに仕上げました。
平山氏からは「このまま車内に貼ってもいいくらいの完成度」と感嘆の声が。
伊藤氏も「外国人だけでなく日本人にも分かりやすいですね」と感心されました。

 2番目の班は、駅構内では右側通行のルールについて。
ポスターはこちらの班もピクトグラムを使った、一目で分かるデザインとし、英語でも注意を促します。放送文は「階段や廊下は右側を歩いて下さい」と一文で分かるものを目指しました。
山田氏は「ピクトグラムは外国人のお客さまに分かりやすい。参考にしたいと思います。」と話しました。

一目でマナーを伝えるには?

 3番目の班は、席に荷物を置いてしまうお客さま向けに注意を促すポスターを考案しました。
「かばんを座るところにおかないでください」と文章で示し、放送文では「席は一人ひとつです」と伝えます。
伊藤氏は「普通車でもグリーン車では空いている席をつい使ってしまう外国人のお客さまが多いので、ぜひ使いたいと思いました。」とコメントされました。

 4番目の班は、外国と日本で違うルールを一目で分かりやすく。
エスカレーターは左に立つ、走らないなどをイラストで表現しました。これらのマナーは実際に学生が「駅を利用している際に感じたことをもとに選んだ」と話しました。

 最後の班は、荷物のマナーについて。
マナー違反であるイラストを載せて、赤字で注意喚起しました。注意文には漢字を使わず、分かりやすく伝わることを意識しました。
平山氏も「漢字を使わないというのはとてもいい」と評価されました。

全部の発表が終わると、伊藤氏から総評をいただきました。
「すごいなと思ったのが、自分の経験が作品に反映されていること。私も秋葉原駅での改札業務がきっかけでやさしい日本語について考えるようになりました。今後も経験を大切にしながら社会に役立てていってほしい」と話されました。

相手に合わせてコミュニケーションを取ろう

続いて株式会社JR東日本サービスクリエーションの藤根美咲氏が登壇され、グリーン車での案内について話されました。
近年グリーン車は外国人も多く利用しており、やさしい日本語が必要な場面も多々あります。
そこで、学生たちはグリーン車で使われる案内をやさしい日本語に言い換えることができるか挑戦しました。

「お手持ちの特急券ではグリーン車はご利用いただけません」という文言を、ある班は「このチケットではこの電車に乗れません」と言い換えました。
藤根氏は「とても詳しくて分かりやすい。私たちが実際使っているものに近いです」とコメントされました。

グリーンアテンダントは直接お客さまと会話します。やさしい話し方のポイントは、分かりやすい説明や落ち着いた態度などです。
特に大事なのは、積極的な態度と相手に合わせた説明だといいます。
「外国人のお客さまは、熱心に自分に話されていることを重視します。思いやりをもってコミュニケーションを取れば、伝わりやすいですよ。」と話されました。

ロールプレイングで「やさしい日本語」にチャレンジ!

最後は「やさしい日本語ロールプレイング」。
平山氏たちが迷惑行為をしている乗客を演じ、それをやさしい日本語で注意してみるというものです。車掌用の手袋がプレゼントされ学生たちは歓声を上げました。帽子もお借りして車掌になりきります。

最初は車内で外国人のお客さまが大声で話しているシチュエーション。
学生が「車内では静かにしてください。」と話しかけても、「なんで?」と分からない様子。学生たちは試行錯誤しながら「周りの人が困っているので、静かに話してください」と言い直していました。
伊藤氏は「文化が違うとなぜ、静かにしないといけないのか分からない。理由も伝えることが大事ですね」と解説されました。

次の班は渋谷駅で乗り換えに迷っている外国人のお客さまを想定します。
どこに行きたいのか、乗り換えの改札はどこかなど伝えることが複雑で、学生たちは相談し合いながら頑張って伝えていました。
終了後、山田氏は「改札では複雑なことを聞かれることが多く非常に大変。翻訳アプリだけに頼らず、相手の様子を見ることも大事ですね」と解説されました。

平山氏は、最後に「やさしい日本語は伝えるためのひとつの手段です。」と話します。「皆さんが、授業で習っているとおり、やさしい日本語の使い方はとても上手。一方で、それだけでは難しいこともあります。やさしい日本語は選択肢のひとつとして、伝わる方法を工夫していってほしいと思います」と語り、和やかに授業は終了しました。

担当教員からのメッセージ

第1回に引き続き、第2回の連携授業も活気あふれる有意義な100分間となりました。

学生たちが発表した課題に対し、貴社の皆様から一つひとつ丁寧にフィードバックを賜り、誠にありがとうございました。実務の最前線でご活躍されている皆様からのご指導は、学生にとって大変貴重な学びの機会となり、教員一同、心より感謝しております。

特に、実際の現場を想定した臨場感あふれるロールプレイングでは、学生たちが協働しながら真剣に課題へ取り組む姿に、この1ヶ月間での著しい成長を感じることができました。

授業後、学生からは次のような感想が寄せられています。 「『やさしい日本語』で対応する際、相手を尊重しつつ自分の要望を伝えること、そして相手の『なぜ?』『どうやって?』という疑問を的確に汲み取ることの難しさと重要性を学びました。」 「貴社スタッフの方々の模範ロールプレイングを拝見し、相手の文化背景を理解した上で疑問に答えることが、多文化共生社会においていかに大切であるかを実感しました。」

この2回の連携授業を経て、学生たちの学ぶ姿勢にも顕著な変化が見られました。一人ひとりが深く思考して主体的に発言するようになり、仲間と協働してより良い答えを導き出す場面が増えました。実践的な体験型学習がもたらす教育効果の大きさを、改めて実感する貴重な機会となりました。

末筆ではございますが、本連携授業の実施にあたり多大なるご尽力を賜りました東日本旅客鉄道株式会社ならびにJR東日本サービスクリエーション 東京グリーンアテンダントセンターの皆様に、心より御礼申し上げます。

2025年1月31日

スポーツを通じたウェルビーイングとは?パリパラリンピックに出場した舟山選手との交流会を今年も開催しました! 

2024年度のJWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)活動として、12月21日(土)に、2024年パリパラリンピックで5位入賞を果たした舟山真弘選手をゲストにお迎えし、パラリンピックの舞台裏のお話を聞きながらウェルビーイングなひとときを過ごしました。
昨年度に続き、今回も「スポーツを通じたウェルビーイング」をテーマに、対談形式で舟山選手からお話を伺いました。

ゲスト:舟山 真弘(ふなやま まひろ)選手

現在、大学2年生。 4歳で小児がんの一種である「右上腕骨 骨肉腫」に罹患。1年2か月間入院し、手術と抗がん剤治療を受けました。手術では、利き手であった右腕の肩関節と上腕骨を切除し、足の細い骨を移植しました。右腕は上がらなくなり、細い骨の骨折に細心の注意が必要となりました。

昨年度ゲストとしてお迎えした際は、パリパラリンピック出場を目標に掲げていた舟山選手。実際に夢の舞台への出場を果たし、その舞台裏や今後の目標について話を伺いました。

まずは舟山選手のご紹介も兼ねて、パラリンピックの映像を本人の解説付きで上映しました。パリでフランス現地の選手との激しい攻防戦の様子を見て、参加学生からは「おぉ~」と歓声が上がっていました。また、質問コーナーを設け、卓球についてだけでなく、気になる私生活についてもイベント参加者の方々から沢山質問していただき、丁寧に答えてくださいました。

◆当日の質問より(一部抜粋)

Q.試合前はどのように過ごしますか?

A.なるべく卓球のことを考えないように、いつもどおり過ごすようにしています。散歩をしたり、漫画を読んだりします。また、試合の直前まで音楽を聴きます。最近は、アニメ「アオアシ」の主題歌であるSuperflyの「Presence」を聴いています。

Q.舟山選手の勝負メシはありますか?

A.勝負メシという感じではないかもしれませんが、試合前は、いつもセブンイレブンのマーガリン入りバターロールを食べるのがルーティーンになっています。

イベント中盤では、卓球体験と舟山選手の神業チャレンジ企画を行いました。
今回、高大連携の一環として本学の中高卓球部から5名の生徒が参加し、舟山選手との卓球対決が実現しました。パラリンピック出場選手との打ち合いは白熱し、会場は大盛り上がりでした。また、神業チャレンジでは、卓球台の端に置かれたペットボトルを打ち抜くという難易度の高いチャレンジに挑んだ舟山選手でしたが、あっさりと成功させ、会場は感嘆の声に包まれました。

イベントの後半では、クイズ大会を行いました。

質問コーナーで上がった話を中心に、全部で10問用意されました。舟山選手が考える卓球の魅力や流行りのMBTIなど幅広い質問があり、正解が発表されるたびに参加者は一喜一憂していました。

また、正解数の多かった上位3名には、舟山選手の直筆サイン色紙が送られました。

最後に、舟山選手にとってのウェルビーイングについて話を伺いました。

舟山選手は、「自分がやりたいと思うことをこれまで続けてきた。今回パラリンピックに出場し会場の歓声を聞いたときに、自分のやりたいことが誰かに元気を与えられている、誰かのためになっていると初めて気がついた。卓球を続けてきて初めての経験だった」と語っていました。「自分がやりたいと思うことを継続する」―参加者にとっても心強い言葉と経験談を聞くことができたのではないでしょうか。

同世代でありながらも世界を舞台に活躍する舟山選手との交流会は、終始笑顔が絶えない、まさに「ウェルビーイング」なイベントとなりました。

運営学生からのコメント

・まずは昨年に引き続き、今年も舟山選手にお越しいただくことができ、とても嬉しかったです。初めてのパラリンピックで5位入賞という素晴らしい成績を残されたことを、同世代として本当に尊敬しています。パラリンピックが終わり、「お疲れさま会」と副題をつけて和やかな雰囲気で開催できてよかったです。運営としては、私たちならではの空気感で楽しい企画を立案できたと思います。また、4年間で最後の企画運営で、司会を担当できたことが本当に嬉しかったです。トラブルがありながらも、事後アンケートではたくさんの方に好評をいただき、やりがいを感じました。来年以降も後輩たちが引き継いでくれることを楽しみにしています。

・昨年からの繋がりがある企画であったため、参加者に『1年前よりももっと「スポーツとウェルビーイング」について考えることができた』と思ってもらえるように尽力しました。4年生として運営メンバーをまとめる役割でしたが、ひとりひとりが得意な分野で活躍できたのが良かったです。当日は、裏方の仕事でしたが、参加してくれた実践女子学園中高の皆さんと活発にコミュニケーションを取ることができました。また、舟山選手の意外な一面や、全員が楽しく卓球をする表情が見られ、大成功に終われたと思います。大学生最後の活動ということもあり、全てが感慨深いもので、一個人としてもこの企画に参加できてとても楽しかったです。

・昨年に引き続き同じメンバーで企画ができたため、昨年の反省を生かし、さらに良い企画を立案できたと感じます。また、今年度は、実践女子学園の中高生をお招きし、舟山選手との卓球体験を行いました。中高生の皆さんからは、「すごく刺激を受けた」と感想をいただけたので良かったです。参加者の皆さんが、舟山選手の話と卓球体験により体を動かすことで、スポーツとウェルビーイングとは何か自ら考える良い機会になったと思います。運営をやっていて本当に楽しかったので、一緒に企画してくれた運営メンバーの皆さんにも感謝です。

・昨年と引き続き同じメンバーで運営をし、よりスムーズに行うことができました。パラリンピックの映像を本人の解説付きで見ることができたり、前回とは違う「神業チャレンジ」や卓球体験を行ったりし、今回が初めての参加の人も中高生も刺激を受けることができたのではないかと感じました。スポーツとウェルビーイングを通じて、ウェルビーイングの重要性などについて考えるきっかけになったら嬉しいです。初めてのことばかりで戸惑いも多かったのですが、このメンバーで運営をすることができてとても楽しかったです。

・JWPでは、他では経験することのできない特別な活動をできていると感じます。パラリンピック選手をお招きしてのイベントを開催するにあたり、メンバーで数回の話し合いを重ね、前回の反省を生かし、今回はより良いものをつくることができたと思います。また、JWPでは、面白いイベントが多いので、全てに興味を持ち、自然と主体的に動くことができていると感じます。授業だけでは経験できないイベントの幹部やサポートなど、自ら考え動き、成功に導くことができる活動は、短い大学生活においてとても貴重で価値があるものだと思います。