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2024年3月15日

子どもと触れ合える紙の遊びを作ろう!「幼児教育法」の授業で学生たちがシーイーシーの子育てアプリのコンテンツ製作に挑戦しました。

幼児保育専攻科目「幼児教育法」(担当:生活科学部生活文化学科 井口眞美准教授)の授業で、株式会社シーイーシー(以下、シーイーシー)との特別コラボが行われました。企業の社会貢献活動の1つとして開発中の子育てアプリのコンテンツを学生たちが考えます。学生たちは楽しくも真剣に作品作りに取り組みました。

ITシステム企業の社会貢献

子育てアプリ「at Claps(アットクラップス)」の企画者であるシーイーシーの橋本涼子氏が登壇され、まずは簡単にシーイーシーの会社の紹介がありました。「56年続く老舗のIT企業であるシーイーシーをなんで皆さんが知らないかというと、企業や団体に対してシステムを提供しているからです」と橋本氏が話します。日本を代表する製造業や金融業、物流、公共まで幅広い業界に対し、ITサービスを提供しているそうです。

現在の企業はただ利益を求めるだけではなく、社会に対して貢献することが求められているという背景を説明しつつ、「シーイーシーも積極的に社会貢献への取り組みを行っていますが、企業が成り立つには社会が安定している必要がある」と語る橋本氏。企業が社会に還元することで社会がよりよい方向に向かい、企業もより成長することに繋がります。 橋本氏は「社会貢献活動は従業員のモチベーションアップにも繋がります。私もその内の1人です」と、自分が行っている社会貢献活動にやりがいを感じ、企業に対しても誇りを持つことができる好循環があることを語られました。

母としての強い思いから生まれたアプリ

シーイーシーは地域活性化や医療支援、災害支援やスポーツ振興など多くの社会貢献活動に取り組んでいます。「子育ての課題を解決したい」という強い思いをもつ橋本氏が新たな社会貢献として企画されたのが、紙のおもちゃを手軽に印刷できる子育てアプリ「at Claps」だそうです。

そこまでの思いが生まれたきっかけは橋本氏自身の経験によるものでした。長女を出産後仕事と家事の両立に必死で、あまり子どもと遊ぶ時間が取れず、懐かなくなってしまった際、保育園の先生に「大変だと思いますが娘さんのことを見てあげてください」と言われたそう。当時のことを振り返りながら橋本氏は、「娘と一緒に過ごす時間を作ろうと決めたことがこのアプリを企画するきっかけでした」と語りました。また、2人目は未熟児での出産となってしまい、子どもはもちろん橋本氏の命も危ない状態に。今ではお子さんもすくすく成長しているそうですが、その時の経験から「社会貢献がしたい」という思いより強まったと話しました。

子どもと紙を使ったコミュニケーションを

「at Claps」は、紙のおもちゃを手軽に印刷できる子育てアプリ。「公園に行くよりも、家で娘と一緒に紙を使った手作り遊びをすると、すごく温かい時間が過ごせた」という体験がヒントになりました。紙で作った作品は残るので、部屋に飾っておくこともできます。たとえ時間は短くとも質の高いふれあい時間を提供するのが「at Claps」の目的とのことです。

また、手を動かすことで脳に刺激を与え、子どもの成長や学びをサポートすることもできます。保育園の先生からも知育系のコンテンツは人気が高いものの、なかなか集約されたものがなく探しにくいという難点があります。「弊社では、そういった知識が少ないので、今、幼児保育を勉強している皆さんからアイディアをいただきたいなと思っています」と橋本氏は学生へ期待を寄せました。

紙の遊びを作ろう

学生たちも「at Claps」のコンテンツ作りにチャレンジ。お題は「遊びで身に付くコンテンツ製作」です。子どもの対象年齢は3~8歳頃まで、紙を使った遊びであればなんでも可。例えば点をつなぐとイラストになる「点つなぎ」は順番通りに線をつなぐことで数を覚えられます。塗り絵では動物や果物などの名前を覚えたり、英語に親しんだり。頭を使う遊びとして、ちぎり絵や迷路もあります。いくつかの例の紹介があった後、学生たちに紙が配られました。

まずは「何にする?」「こういうのあったら面白いかも」などと学生同士で話し合いながらアイディア出し。アイディアが固まった学生から書き始め、最初は賑やかだった教室は徐々に静かになり、最後は全員真剣にコンテンツ作りに取り組んでいました。

たくさんのアイディアがコンテンツに

30分ほど製作の時間が取られ、最後に発表。一人ずつ作品を映しながら簡単に紹介していきました。
点つなぎのクリスマスツリー、着せ替え人形、間違い探し、クロスワードや神経衰弱、福笑い、塗り絵などなど。いくつかのものを春夏秋冬に分類するものや、水槽に好きに魚を貼って水族館を完成させるもの、具を盛り付けてラーメンを完成させるもの、時計の針を動かして時間を覚えるものなども。変わり種ではトンボ眼鏡や4枚のイラストを好きにつなげてお話を作るというアイディアもあり、まさに十人十色、様々なアイディアが飛び出しました。

発表後、橋本氏は感激の面持ちで、「ほんとうに皆さん素晴らしいアイディアで驚きました。必ずアプリに載せさせていただくので楽しみにしていてください」とコメントしました。著作権が譲渡されたコンテンツはシーイーシーが預かり今年の3月にリリースされる予定のアプリに掲載されます。

担当教員からのメッセージ

事前打ち合わせでは、橋本氏らと「一人で考えるのは難しいだろうから、グループでアイディアを持ち寄って作品を完成させよう」と計画していたのですが、学生一人一人が、予想以上に素敵なアイディアを生み出していく様子を見て、予定変更。各自でコンテンツを考案することとなりました。学生たちは、豊かな発想力、創造力、自己表現力等、幼児保育専攻の専門性を発揮し、コンテンツ開発に取り組んでいました。学生のみならず関わった教員共々、コンテンツ公開がとても楽しみです。

2024年3月14日

三女子大学連携:『生活の木』と考える「アロマ・ハーブ市場の現状分析と商品PR」の最終報告会を開催!

実践女子大学と大妻女子大学、跡見学園女子大学の三女子大学の3年生による「産学連携プロジェクト」の最終発表会が、1月31日に本学にて行われました。本学からは大川知子教授(生活科学部 生活環境学科)の研究室の学生7名が参加。大学間を越えてチームを作り、株式会社生活の木(以下、『生活の木』)からの出された課題に挑戦しました。

20代女性に『生活の木』の商品を使ってもらうには?

 日本におけるハーブやアロマのパイオニアである『生活の木』との初めてのプロジェクトは、「20代女性が捉えるアロマ・ハーブ市場の現状分析と商品PR」をテーマに12月にスタート。学生22名は、4つのグループに分かれて課題に取り組み、実際に店舗に足を運ぶなど、互いに協力し合って、オンラインも活用しながらディスカッションを重ね、発表に臨みました。この日は、同社のマーケティング本部の重永氏、河野氏、望月氏から講評いただきました。

大学生活に新たな発見と安らぎを

 早速、グループ1から発表開始。類似した他ブランドも含めた店舗視察から、「大学生活に新たな発見と心の安らぎを」をテーマに、以下の3つの提案を行いました。

①「香りのときめきボックス」として、アロマディフューザーを手頃なサイズにして、店舗と各大学にガチャガチャとして
 設置

②「ほっとするひと時」を提供することを目的に、ハーブティーをおみくじボックスに入れて、各大学の食堂のお茶のサー
 バーの横に設置

③インスタグラマーの登用として、同社のイメージと親和性も高く、YouTube登録者数が数十万おり、ファンクラブもある
 方との協業

 講評では、「ガチャガチャやおみくじというのは、社内では生まれづらいアイディアで面白い」(重永氏)、「このネーミングは学生のみなさんでないと出て来ない」(望月氏)と発想に感嘆。「若い皆さんとの接点づくりとしては、すごく良い案だと思う」(河野氏)とコメントされ、「アロマに触れた学生が、さらに店舗に足を運ぶようにするには?」と質問。学生は「『生活の木』らしい木目調の容器を使い、企業コラボをアピールする」や「ガチャガチャにクーポンを入れ、来店を促す」と回答しました。

「アロマ試供品」で認知向上

 次のグループ2は、たまに付ける人も含め、20代の約9割が香水をつけることに着目。調査に行った学生自身が、店頭の商品を実際に試して購入した経験から、各女子大学のお手洗いなどに試供品を置くことを提案。商品は、外出するときに持ち運びやすく、低価格帯のロールオンフレグランスを選択。1階にシトラス、2階にピーチといったように各階に異なる香りを設置し、香りをイメージしやすい言葉で訴求したポスターを貼り、『生活の木』の認知向上を目指します。

 「かなりしっかり現状分析をされている」(重永氏)と感心され、「香水とアロマのイメージの違いは?」と質問。学生は「香水は百貨店でブランドを選んで買うもので、アロマは室内というイメージ。持ち運べるものがあることを、今回初めて知ったため、ロールオンタイプの認知を広めるのは良いと思った」と答えました。「香りを文字にした際にどのように伝えるかは、我々も商品名を考える時に悩む部分だが、20代には分かりやすさも大切だということが参考になった」(望月氏)とのコメントをいただきました。

アロマ・ハーブをもっと身近に

 グループ3は店頭視察で、アロマはテスターが多いものの、ハーブティーは試飲ができず効用が分かりにくい点を挙げました。学生たちの多くにはハーブについての知識がなく、手間のかかるイメージがあるため、手軽さが必要だと分析。そこで、コンビニのレジ横でのハーブティーの販売や、身近に感じ易いインスタライブなどで、アロマ講習会などを行うことを提案。また、学生のサブスクリプションの利用状況も調査した上で、提案を行いました。

 「素敵な提案。特に、コンビニは実現したら素晴らしい」(河野氏)とコメント。「みなさんの世代には、まだまだインスタグラムが機能していることが分かり、参考になった。その際、SNS広告に抵抗はあるか?」(望月氏)と質問され、学生は「明らかに広告だと分かるものは飛ばす」「ビジュアルが良く、気になるものについては、タップして詳しく見ることがある」と答えていました。

approach to life

 最後のグループ4は、20代の情報収集や商品との出会いのきっかけはSNSであることが多いと分析。『生活の木』の複数のSNSアカウントでは、アカウント名やロゴがバラバラであることを指摘。他社ブランドとの違いも比較し、『生活の木』の魅力を活かすパッケージの統一や、もっと本来のロゴを活用することを提案。さらに予算別のサブスクリプションサービスを設定することでリピーター獲得につながると発表しました。

 「他社分析も、我々も課題だと感じている点をストレートに指摘いただいた」(重永氏)、「とてもいいポイントを突いている。マーケティングに携わる自分達でも、正に思っていた内容で感心した」(望月氏)とお褒めの言葉もいただきました。

大学の壁を超えた貴重な経験

 全ての発表が終わり、重永氏から総評をいただきました。「12月から2ヶ月、テスト期間などもあり、忙しい時期だったと思うが、よくまとめてくれた」とねぎらいの言葉が。「みなさんの客観的な目線から検討いただき、『そういう発想があるんだ!』とか、『そういう見え方をしているんだ』ということが、我々としても大きな気づきになった。提案いただいた施策は、何れも実行出来たらいいと思う内容だったり、「そういうことをやりたい」と社内でも話が出ていたような内容であったり、是非、今回をきっかけに、我々も何か実現出来るように動いていきたい」と今後についても前向きなコメントもいただきました。

 今回、実践的な課題に挑戦し、学生たちは市場分析やブランドのポジショニング、そして、プレゼンテーションスキルを学ぶ貴重な経験となりました。また、大学間を超えチームを組んだことで、多様な意見や価値観に触れ、人間的な成長と学びを得たプロジェクトでした。

主な学生のコメント

 ・他大学の学生と協力して、一つの課題に取り組むという経験を通して、他の人たちの考えを知ることが出来、充実していた。また、今まで触れたことの無かったアロマ・ハーブについても
  知るきっかけにもなった。

 ・毎週のミーティングを重ねる度に出て来る課題を、それぞれ考えて、意見を出し合っては検討して…、を繰り返すことで完成度の高い商品PRを提案することが出来、このプロジェクトに
  ついて考えることが多かった為、充実した時間だった。

 ・新しい発想でアプローチ出来ることを、みんなで探して提案出来、充実していた。

 ・店舗視察に行って現状分析を行い、案を出す為に、メンバーそれぞれが自主的に行動していたことが良い経験だった。

大川先生からのメッセージ

 今年度、ファッションビジネス研究室の「産学プロジェクト」は、前期に一つ、後期に二つ挑戦しました。特に、後期の三女子大学連携は、普段から気心の知れたメンバーではない人たちと、どのようにタッグを組んでシナジー効果を出して行くのか、正に、学生のみなさんが実社会に出てから問われるスキルを身に付けることの出来る内容です。

 現状では、学生のみなさんにとって少し遠い存在であるアロマやハーブを、どうしたら身近に感じることが出来るのか、限られた期間で実施したとは到底思えない素晴らしいアウトプットが出来、実際、『生活の木』の皆様が良い内容だったと感動して下さったことが、学生達の自信にも繋がります。総評でコメントを頂戴しましたように、今回の学生のみなさんの提案の内、何か一つでも実践出来ることを期待しています。

  <『生活の木』について>

    【公式HP】      https://www.treeoflife.co.jp/
    【企業概要】    https://corp.treeoflife.co.jp/
    【公式Instagram】 https://www.instagram.com/treeoflife_official/

   ☆『生活の木』のサイトでも、本プロジェクトについて取り上げていただきました。→ 三女子大学×生活の木 産学連携プロジェクトについて
    

  <今年度のその他のプロジェクト>
   (前期)3研究室合同プロジェクト/ホットマン・ジャノメ

    生活環境学科 アパレル・ファッション分野の3研究室が合同でアップサイクル・ドレスを制作! | 実践女子大学/実践女子大学短期大学部 (jissen.ac.jp)

   (後期)三女子大学連携/第一弾:藤巻百貨店

    他大学連携:『藤巻百貨店』とクリスマス商戦を考える「産学プロジェクト」を実施! – 社会連携プログラム (jissen.ac.jp)

2024年3月8日

高大連携で高校生もアイデア創出にチャレンジ!「グローバルキャリアデザイン」の授業でVISITS Technologies株式会社とのコラボワークショップが行われました。

1月5日に「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業でVISITS Technologies株式会社(以下、VISITS Technologies)とのコラボワークショップが行われました。この授業は高大連携で行われ、本学併設校の実践女子学園の高校3年生も参加。高校生と大学生で協力し、デザイン思考のプロセスを体験しながら新しいアイディア創出のグループワークが行われました。

高校生も一緒にグループワーク

この日は、30人ほどの高校生も参加。この春から本学に進学予定の実践女子学園高等学校の3年生です。くじ引きで大学生と高校生が一緒のグループになるよう全部で11グループに分かれ、授業が開始しました。
VISITS Technologiesの野村博之氏の声掛けで、まずは自己紹介が行われました。「大学生はリーダーシップを取りつつ、高校生たちも気後れせずどんどん発言してくださいね」と促され、最初は緊張した様子の高校生たちからも笑い声が上がる班もありました。

イノベーションは「つなげる力」

VISITS Technologiesはデザイン思考力アセスメントの開発・運用を行っており、大手企業や政府とも連携している注目企業です。日本では「論理的思考力(ロジカルシンキング)」を重視して教育やビジネスが行われてきたと言います。しかし海外では20年ほど前からデザイン思考力に注目が集まっており、多くのイノベーションが生み出されています。イノベーションを一例で説明すると、スマートフォンが代表例です。なぜなら「体験が変わった」から。例えば、電車の中での過ごし方は、昔は新聞や本を読むのが一般的でしたが、現在ではほとんどの人がスマートフォンのを操作をしています。

野村氏は「イノベーションはこれまでなかった組み合わせによって新たな価値や体験を生み出すこと」だと話しました。何かを創り出すには才能だけではなく、この「つなげる力」が重要。そのアイディアを生み出す時に利用される手法の一つがデザイン思考なのです。

新しいショッピング体験を考えよう

いよいよ「デザイン思考ワークショップ」の開始です。

今回は「未来のショッピング体験」を考えることで、デザイン思考のプロセスを体験します。まずは大型ショッピングモール、ECサイト、コンビニのそれぞれの良いところを考えます。学生たちは付箋に1つずつできるだけ多くを書きだし、グループの中で発表し合いました。ショッピングモールなら「まとめて買い物できる」「一日楽しめる」、ECサイトは「中古品も買える」「口コミが見られる」、コンビニなら「家から近い」などなど。様々な意見が出そろいました。

そして、自分たちがどのサービスを新しく考えるかを決め、コンセプトを話し合います。例えばコンビニを選んだグループであれば、ECサイトやショッピングモールの良いところを掛け合わせた「口コミの見られるコンビニ」というようなコンセプトになります。野村氏は「自分たちがそれを使いたいか、ワクワクするか、誰が喜ぶかを考えてみてください」と決めるときのコツを伝えました。

話し合いをしながらグループごとに模造紙にアイディアをまとめていきます。大学生は高校生に「どう思いますか?」など促し、上手に意見を引き出していました。

未来のECサイトはこうなる!

あっという間に時間は過ぎ、いよいよ発表。発表は教室内を2つのスペースに分け2グループずつ同時に行われました。

グループFは「実際に商品を試せるECサイト」を考えました。
チャット機能で店員の説明を聞けたり、化粧品などは試供品を無料で試せなど、購入前に商品を確認できるサービスです。

野村氏は「ECサイトは着心地や質感などが分かりにくい。かゆいところに手が届くサービスだと思います」とコメントされました。

グループCは「仮想空間で直接触れることができるECサイト」を提案しました。VRゴーグルを活用し、空気圧を使い触った感触を再現する技術を使うことを考えました。

野村氏は「実際に触感の分かる技術が出てきている。地方の人も助かるアイディアだなと思いました」と話しました。

新しい技術も取り入れて

グループBは「映画が観られるコンビニ」を発表。
コワーキングスペースのように設置し、コンビニ商品を購入すれば映画代に充てられるシステムも考案。映画館では声が気になってしまう子ども連れや障害のある方、推し活にも利用できるとしました。

「家では集中できない小さい子どもがいる家族連れにも良いですね。マネタイズもしっかり考えられている」と野村氏も評価しました。

グループAは「後悔しないショッピングモール」として、商品についているQRコードを読み込むことで、モール内の類似商品を比較できるシステムを考えました。

野村氏は「服はブランドごとに販売されていて比較が難しい。値段やサイズなど比較できるのは便利ですよね」と話しました。

最後のグループGは「一緒に買い物ができるECサイト」です。
離れたところにいる友人や家族と画面共有して、相談しながら買うことができるというものです。割り勘でプレゼントを買う時や、お揃いのものを買う時などに活用できるとしました。

野村氏は「ネットの買い物でも誰かに相談したい時はあるのですごく良い機能だと思いました」と話しました。

全グループの発表が終わると、野村氏は「皆さんの中には、創造力が必ず眠っています。皆さん自分の中に創造力はあると思って、世の中を変えるアイディアや新しいビジネスのアイディアを生み出して欲しいです」と語り、授業は終了しました。

新しくアイディアを生み出す体験することのできた、貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

今、社会で求められている「デザイン思考力」この学びを深めること、そして高大連携プログラムの試みとして、毎年実践女子大学キャリア教育科目「グローバルキャリアデザイン」と、春から実践女子大学に入学予定の実践女子学園高等学校の3年生とのコラボ授業を継続しています。参加メンバーには、昨年12月にあらかじめ「デザイン思考力アセスメント」を受検してもらっています。
大学生は、積極的にリーダーシップを発揮してもらい、高校生には一足早く大学での授業を体験して貰おうという試みです。今回のプレゼンも、まさにZ世代の極めて柔軟な発想が随所に見られ、参加し学生、生徒のこれからのさらなる成長がとても楽しみです。まさに「大学生」と「高校生」のタッグで最強のイノベーションが起こる予感がします。アセスメントから本授業までご支援をいただきましたVISITS Technologiesの松本様、野村様、今井様に心から感謝申し上げます。

2024年3月8日

関係人口を創出するには?「実践キャリアプランニング」の授業でJALとコラボし、学生たちがプレゼンに臨みました。

共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、日本航空株式会社(以下、JAL)との特別授業が行われ、学生たちは12月に2週に渡りプレゼンテーションに臨みました。テーマは「地域活性化をするため関係人口を創出する取り組みとは」です。学生たちはそれぞれ地域を決め、グループワークを通して企画を考えました。JALからは産学連携部の田中優子氏と吉村真紀氏、オペレーションコントロール部の荻原千紗氏の3名が来校され、学生たちのプレゼンを興味深く聞かれていました。

観光だけじゃなく地元に関わるか

最初の5班は新潟県での企画を考えました。
米の産出額1位の新潟県は、カレー専用米を作っていることに注目。地元の食材を使用したカレーを作りイベントを開催し、JALでコメ作りツアーも実施します。子ども食堂や高齢者施設などにも提供することを提案しました。

発表後はJALの皆さんから講評がありました。田中氏は「子ども食堂や高齢者との関係を重視して、地域に関わる意欲が見えました」とコメントされました。

次の2班は、兵庫県の但馬地域を選びました。
温泉が有名な地域ですが、宿泊施設などの人手不足が深刻です。そこでリゾートバイトの形で2週間ほど滞在し、観光施設の手伝いや町の魅力を発信することを提案しました。観光客とは違う目線で地域と関わり、地元の人とも交流することができるとしました。

荻原氏は「労働人口を増やしたいという考えが良いなと思いました。リゾートバイトに行った人が地域の良いところを見つけ、それを発信できるのは良いですね」と感想を伝えました。

身近な地域をどう活性化する?

3班は、本学の日野キャンパスがある東京都日野市を選択。
市の総人口が減少しており、空き家が全国平均より1.3倍多いという課題に注目しました。空き家をリノベーションして、シェアハウスを経営することを提案。庭で家庭菜園を行い交流の場にすることを企画しました。

田中氏は「ESGの考えを自分に引き当てて地域を考えるというのが素晴らしい」と話されました。

12班は、メンバーが行ったことがある県の候補の中から宮崎県を舞台に選びました。
宮崎県は観光地が南北に離れていて、移動が大変という課題を挙げました。そこで地元の人に観光名所を教えてもらったり一緒に巡ったりするツアー式の方法を考案。また宮崎県は雨量が多い時期もあり、その影響を受けて傷がついた食品もあることから、それらを安く販売することを提案しました。

吉村氏は「目を見てプレゼンしていて、伝わってくるものがありました」と評価しました。

美味しいご当地食材を食べよう

10班は、ラーメンで関係人口の創出にチャレンジ。
ご当地ラーメンを巡れる「ラーメンガチャ旅」を考案しました。山形県、北海道、山梨県など有名なラーメン店がある県をランダムにツアーにし、それぞれの県でラーメンを食べ、観光もしてもらうという案です。

荻原氏は「行き先がランダムに決まるので興味が薄かった県に行くきっかけになる」と興味を持っていました。

前半ラストは6班。新潟県の弥彦村にフォーカスしました。
新潟県は米だけでなく枝豆の作付けも全国1位とデータを示し、風味豊かな枝豆を作っている村に1泊2日で行くツアーを提案しました。周辺の観光地巡りのほか、枝豆の収穫体験やつかみどり、皮の調理方法を学ぶ料理教室など枝豆を中心にした企画を考えました。

吉村氏は「枝豆にフォーカスしていることで分かりやすく、プレゼン力の高い発表でした」と感想を話しました。

まずは知ってもらうこと

後半のトップバッターは7班から。
生協のようなスタイルで給食を配達し、地方の郷土料理から興味を持ってもらうことを目的とし、全国の給食配達サービスを考案しました。ターゲットは地産地消をしにくい首都圏の人々。給食は栄養バランスが考えられており、日本の和食は世界遺産にもなっています。食料自給率が低い日本の食材を食べる意識付けにもなるとしました。

吉村氏は「ターゲットを都心の人にしたのがいい。孤食の問題や共働きで自炊をしない層にもアピールできるのでは」と評価しました。

次の9班は、宮崎県をチョイス。班のメンバーの出身地です。
まずは若者をターゲットにPR動画コンテストを提案しました。宮崎県の知っていることやオススメすることについて動画を作成→SNSにアップし、優秀作には牛肉やマンゴーなど宮崎県の特産品をプレゼントするという企画です。また、空き家を活用したワーケーションなども行うことでその行き来にJALの利用も促しました。

田中氏は「メンバーが一緒に出身地について考えるのが良いですね。関係人口を増やすにはまず知ってもらうことが大切」とコメントしました。

佐賀の魅力を届けよう

8班は佐賀県に注目。
魅力度ランキングが低いと言われていますが、玄界灘や有明海でとれる海鮮は人気が高く、有田焼の大会には世界中から人々が集まってきます。そこで、『おてつたび』という手伝いしながら旅をする取り組みとコラボして、地元の漁師や店を手伝う企画を考えました。『おてつたび』では交通費が出ないため、JALが連携し交通の援助をすることも提案しました。

吉村氏は「『おてつたび』という既存にあるシステムと新しい発想を繋げるるというのは、これから求められる能力」とコメントしました。

4班も佐賀県を取り上げました。
佐賀県は魅力度が低いと言われますが、実は佐賀牛など特産品の効果からふるさと納税は上位にランクインしています。そこで2泊3日の佐賀県ツアーを企画。例年10~11月に開催されているバルーンフェスタに合わせて、気球試乗や酪農体験、焼き物体験ができるスケジュールを考えました。メンバーは実際に佐賀料理が食べられる渋谷にあるレストランにみんなで行き、郷土料理も実食したと話しました。

吉村氏は「実際に食べてみたと言うフィールドワークの説得力がありました」と感心されました。

JALが乗り入れてない地域こそコラボを

次の1班は、山梨県を選びました。
山梨県には空港がなく「JALの航空便が飛んでいないからこそJALとコラボする意味がある」と発表を始めました。知識があるシルバー層と、金銭的・時間的に余裕がない子育て世代が相互協力することを提案。寺子屋JALを開設し、宿題の指導やものづくり、JALの人と協力して英語教室を行うことを考えました。

田中氏は「教育に焦点を当てて考えたのが素晴らしい。地域住民が充実感を得られることが良いですね」と話しました。

最後の11班は、富山県でグルメフェスを開催することを提案しました。
初夏は甘えび、冬はカニなど豊かな食材が獲れることをPRし、観光客の増加を目指します。またグルメフェスを通し地域コミュニティも活性化できるとしました。富山県にはJALの乗り入れ空港がないため近隣県のファミリー層をターゲットとしました。

荻原氏も「私も行ってみたいと思いました」と興味をひかれていました。

継続していける企画を考える大切さ

授業の最後には、前半・後半それぞれのプレゼンの中から優秀賞が選ばれました。
前半は5班、後半は4班が選ばれ、学生たちには賞状と、賞品としてJALのキーホルダーやパスケースがプレゼントされました。学生たちからは「自分たちで一から考えて頑張ったので、表彰していただき嬉しいです」と喜びの声が聞かれました。

吉村氏は
「どの班も甲乙つけがたかった。今回の発表を良い経験にしてください」とコメント。
荻原氏も
「時間がない中チームワークを発揮してくれたことに感謝しています。私自身楽しく、皆さんの発想を聞けてとても良い機会になりました」と刺激になったことを話されました。

最後に田中氏が
「関係人口を増やすアイデアを考えるのは難しかったという皆さんの感想はそのとおり。その難しい難題によくチャレンジしてくれたと思います」と学生たちの努力をねぎらいました。そして「関係人口の創出は、1回限りでなく継続していくことが難しい。貢献していけるか、やりがいがある企画か、喜びを感じられるかということが継続していく秘訣。これから就活に向かう中で、こうした考えを頭に置いてくれると嬉しいです」とこれから就職活動を行う学生に向けてアドバイスをされ、コラボ授業を締めくくりました。

担当教員からのメッセージ

日本航空様とのコラボは3年目、毎年、様々な視点からのお題を提示いただき、学生たちは真剣に向き合いながら、社会課題に対する視野を広げたり、日本航空様に関する事業領域の広さを学びつつ、学科の学びとの接続を考えてくれています。幅広い領域を学ぶ学科であるだけに、こうしたキャリア教育科目でも、学科の学びとの親和性を大切にする必要性を感じています。今年も、レベルの高いプレゼンテーションが多く、短い時間にも関わらず、ベストを尽くしてくれたことは素晴らしいと感じました。毎年、多くの気づきに繋がるテーマ設定をいただき、また、沢山の社員の方にお越しいただくなど、日本航空様のご配慮に心から感謝申し上げます。

2024年2月27日

生活環境学科:『STAFF START』を展開するバニッシュ・スタンダードによる特別講義を実施!

1月15日に、1年生対象の「ファッションビジネスの世界」(担当:生活科学部生活環境学科 大川知子教授)の授業で、株式会社バニッシュ・スタンダード/カスタマーサクセス担当の今野俊氏による特別講義が行われました。同社が手掛ける『STAFF START』とは?それは普段、学生たちが利用しているサービスの舞台裏でした。

授業概要

 「アパレル」「建築」「プロダクト」を複合的に学ぶことのできる生活環境学科の、1年生向けの科目『ファッションビジネスの世界』の最終講義で、現在、注目を集める『STAFF START』を展開する(株)バニッシュ・スタンダード/カスタマーサクセス担当の今野 俊氏による特別講義が実施されました。『ファッションビジネスの世界』は、ファッション産業の概観を繊維・テキスタイル(川上)・アパレル(川中)・小売(川下)の形成過程を歴史に学びながら、これからの産業の在り方を考える授業です。

 その最終講義の今回のテーマは、「ECとOMOの現在」。ECはElectric Commerce(電子商取引)の略で、インターネットを介して商品の売買をすること。学生のみなさんには「ネットショッピング」として身近にあります。現在ではOMO(Online Merges with Offline)という考え方が主流になり、生活者は実店舗とオンライン(ECやSNS)をシームレスに行き来しながら商品を購入します。特にコロナ禍以降、自宅に居ながら買い物が可能なEC市場が拡大しており、このような現状の中で、今回登壇いただいた(株)バニッシュ・スタンダードが提供する『STAFF START』は、主に小売において画期的なサービスを提供しています。

 授業の冒頭、今野氏の自己紹介からスタート。これまでにアパレル企業での販売やマーチャンダイザー(MD)としてのご経験を経て、現在は同社の「カスタマーサクセス」という職種で活躍されています。講義は、バニッシュ・スタンダードの概要から始まりました。バニッシュ・スタンダードという社名には、「常識を革める」という意味が込められており、同社が提供するスタッフDXサービス『STAFF START』は、ECの台頭により、実店舗への来店顧客の減少や、それに伴う売上の減少、また、現在の日本においてあらゆる小売業で抱えている報酬の魅力度の低下といった課題を、専用アプリを通じて、店舗に所属するスタッフをDX(デジタルトランスフォーメーション)化し、自社のECサイトやSNS上でのオンライン接客を可能にすることによって解決しています。

 『STAFF START』は、サービス開始から7周年。2023年現在での利用者(アカウント)数は23.3万人にも上ります。2018年の利用者数は25,000人程でしたので、コロナ禍を契機に、ほんの5年間で10倍にも急増しています。また、導入ブランドは2,600を超えています。現代のOMOを下支えするのは、正にこの仕組みで、学生たちは最新事例に触れ、学びを深めることが出来ました。

 『STAFF START』は、EC上に投稿出来るアプリです。店頭スタッフは、ECそのものや、EC上の自身のコンテンツへの誘客としてSNSを活用しており、このアプリでは、その可視化が可能です。例えば、店舗スタッフが商品コーディネートなどの情報をSNSにアップすると、そこからオンラインショッピングへのアクセス数、売上金額等、全てのプロセスが可視化され、そのスタッフの貢献度が報酬となって評価に加算されます。従来は、投稿内容の売上貢献度は不明瞭でしたが、それを明らかにすることで、働く方たちのインセンティブにもなっています。彼らの販売力を、実店舗は勿論のこと、EC上の接客でも活かすことで、月間500万円以上売上げる人は840名にも上り、また、月間の最高売上は2億6,000万円と驚異的な数字となっています。また、画像を通して、顧客との関係づくりにも役立っています。

 また、このサービスにより、大都市にある店舗が必ずしも高い売上を誇る訳ではなく、実際、都道府県別一人当たりの売上の1位富山、次いで石川、栃木と続き、東京は10位となっており、立地による不利益をも凌駕しています。今回の事例は、接客サービス、ひいては働くことそのもの価値の変換が起こっていることを示す事例となり、学生達からも大きな反響を得ました。

学生の主なコメント

・店舗スタッフが活躍できるチャンスがあるということが、印象に残りました。個人の売上成績をしっかりと評価し、
 首都圏のみならず、地方にいる優秀なスタッフも活躍できるようにしているのは、とても良い取り組みだと感じました。

・私自身、ネットで服を買う時に、スタッフの方の着画を参考にしていたので、知らず知らずの内に、このサービスを
 使っていたのだと気づきました。将来、ショップ店員になりたいと考えていましたが、低賃金が心配ごとのひとつでした。
 ですが、『STAFF STRAT』を知り、更にこの夢に向き立っていきたいという気持ちが強くなりました。
 今回の講義を、今後の糧にして、もっと勉強を頑張りたいと思います。

・「ECサイトに、店舗スタッフを立てる」という斬新なアイディアに、はじめは果たして意味があるのか、寧ろ、
 人手の無駄遣いになるのではないかと疑問を抱きましたが、その考えは直ぐに覆されました。
 自分が想像していたよりも可能性は広がっており、この仕事自体を前向きに捉えてみる機会になりました。

  ※バニッシュ・スタンダードのウェブサイト

   企業情報|株式会社バニッシュ・スタンダード (v-standard.com)

  ※『STAFF START』のウェブサイト

   STAFF START(スタッフスタート)とは|スタッフDXサービス (staff-start.com)

大川先生からのメッセージ

 

 常に社会の動きと連動するファッション産業は、変化のスピードがとても速いです。この産業について学ぶことは、結果的に、他産業を考える際にも応用出来ることが面白さです。今年度は、最近頻繁に『繊研新聞』等の業界紙でも取り上げられている『STAFF START』を運営するバニッシュ・スタンダードの今野様にご登壇いただくことが叶いました。

 店舗スタッフは、私たちが商品を購入する際に、助けになって下さる方たちで、魅力のある仕事ですが、収入面を含めて、長年改善出来ない様々な課題にも直面していました。そのような中、誕生した『STAFF START』は、コロナ禍により急速に進んだSNS経由のECとの連携も強めながら、オンラインの強みである物理的な距離も軽々と飛び越え、また、店舗スタッフの方たちの可能性を最大限に引き出すことの出来るアプリです。

 学生のみなさんの感想を読むと、実は普段からコーディネートをチェックしている人がほとんどでした。ビジネスは、その基礎となる原理原則を学ぶことがとても大切ですが、一方で、時代の流れに即した事例研究も重要で、学生のみなさんの興味を喚起する、良き学びとなりました。このような機会を与えて下さったバニッシュ・スタンダード様に、心から御礼を申し上げます。

2024年2月22日

「グローバルキャリアデザイン」の授業でクレディセゾンとカードの新しい可能性を探る特別コラボが行われました。 

3年生対象の共通教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、12月22日に株式会社クレディセゾン(以下、クレディセゾン)とのコラボ授業が実施されました。学生たちはカードの機能やサービスを考えるグループワークを行い、短い時間で考えをまとめ、プレゼンを行いました。

金融系だけど自由な社風

クレディセゾンから谷口佑貴氏、野村早苗氏、上村郁美氏、金秋奈氏が来訪され、まずはそれぞれの自己紹介。
その後、戦略企画部の金氏から、一日の流れや仕事の内容の紹介がありました。

クレディセゾンは完全フレックス勤務制を取り入れ。
服装も自由で「金融系は厳しいイメージがあるかもしれないですが、自由に働いています」と金氏。
戦略企画部は、消費者にセゾンカードを利用してもらうためのアプローチ方法を考えることが主な仕事です。お客様に選んでもらうための割引サービスやポイント還元、キャンペーンを考え、社内外の人と打ち合わせを行っています。

クレジットカード会社ってどういう仕事?

クレジットカードは、消費者が加盟店で商品を購入する際にクレジットカードを利用し、請求日にまとめて利用額を支払ってもらうシステムです。
消費者は現金を持たなくて良くなり、ポイントや割引などのサービスを受けられるメリットがあります。
また、カードを利用できると消費者の購買意欲が上がる傾向が。加盟店はクレジットカード会社に手数料を支払う必要がありますが、売上が上がりやすいというメリットもあります。

普段使いのメインカードに選んでもらうには、他社に負けないプロモーションや安心安全なカードである必要があります。
クレディセゾンは新機能や業界初ということに力を入れており、今では他社でも出ているナンバーレスカードや縦型のデザインなどを打ち出してきました。
また表面に人気の有名人やキャラクターとコラボするなど、意外性のあるキャンペーンも。
金氏は「一番はお客様に喜んでもらえるように、使いやすいと思ってもらえるようにカード開発しています」とまとめました。

どんなカードがあれば便利?

ここで、谷口氏から本日取り組む課題の発表がありました。
テーマは「過去・現在・未来に自分が欲しいと思えるカードとは?」です。
学生たちは8グループに分かれ、それぞれ過去・現在・未来の3つから担当を決めました。
大学生になる前の「過去」、大学生の「現在」、社会人になった時の少し先の「未来」、それぞれのタイミングで便利であったり必要であったりする機能やサービスを考えます。

グループワークの時間は45分間。
学生たちはさっそく話し合いを始めました。
「サブスクや毎月ある出費がどのくらいか分かる機能は?」や「アプリのように送金や支払いが簡単にできると便利」などのアイディアや、「大学生らしいカードってなんだろう」というお題に「大学とコラボして学割の利くカードは?」「カードのデザインはスクールカラーで」などのアイディアを出し合っていました。
別のグループでは「デートの前ってお金がかかるよね」「カップルで使えるカードは?」など新しい視点の提案を探っていました。

お金の知識を知るサービス

あっという間に時間は過ぎ、いよいよ発表です。
模造紙に案を書き、ポストイットなどで補足をした簡易のプレゼン資料が出来上がりました。
発表は教室を2か所に分け、2グループずつ同時に行いました。

グループCは、大学生になる前に受けられる、お金の知識に関するサービスを挙げました。
大学生になるとお金を自分で管理する機会が増えますが、奨学金やクレジットとデビットカードの違い、リボ払いなど分からないことも多く、学校側などもあまり説明がないと指摘。
web上などで優しく教えてくれるサービスがあれば安心とまとめました。
上村氏は「就活時などはしていましたが、入学時に知りたかったという需要があるのは初めて知ったので、ぜひ前向きに検討したいと思いました」とコメントされました。

グループEは、マイデザインクレカを提案。
自分のスマホに入っている画像の中からお気に入りのものを選び、自分オリジナルカードを作れるものです。
自由にカスタマイズもでき、ライブ会場などに専用機械を設置することやSNSに投稿することでプロモーションを行います。
野村氏からは「すでにあるデザインから選ぶのではなく、自分で選びカスタマイズできるという案はすごく良い。プロモーションもよく考えられていました」と話されました。

カップルで使えるカード

グループFはマッチングアプリと連動したカードを考案しました。クレジットカードがあるという信用やサクラ問題に対応でき、価値観の合うマッチングが出来るとしました。また、エステや飲食店、旅行などデートで使うと割引が利くサービスを考えました。
上村氏は「カード会社が審査をすることを安心として使うサービスという発想は、今までなく面白かったです」と話しました。

グループGは海外旅行をする際、支払いタイミングでレートが分かる機能があれば便利と考えました。
また社会人になったとき、金銭管理の手助けになるような予算管理などのサービスがあると安心と発表しました。
野村氏は「クレジットカードを作る大きな動機のひとつは海外旅行。現地でレートが分かるというのはいいなと思いました」とコメントされました。

あっという間の授業時間でしたが、その場で考えをまとめ発表するという社会人に必要な能力を体験できる機会となりました。

担当教員からのメッセージ

クレディセゾン様には、毎年この授業で大変お世話になっております。今年も、インターンシップさながらの展開となり、学生も緊張感に溢れつつも、楽しくグループワークに取り組んでくれました。キャッシュレス化が進む中、他社との差別化も考えながらの事業戦略のことも勘案しつつ、ユーザーとしての視点も絡めつつの議論とプレゼンテーション、真剣な学生の表情が印象的でした。お越しいただいた社員の方からも、クレディセゾン様の社風が伝わっており、自由闊達に活躍されていることが窺われました。年末のご多忙のところご協力いただきましたクレディセゾン様に、改めて心から感謝申し上げます。

2024年2月19日

自販機で社会貢献!「経営学概論」の授業でダイドードリンコとの特別コラボが行われました。 

12月6日、人間社会学部1年生の必修科目の一つである「経営学概論」(担当:人間社会学部現代社会学科 篠﨑香織教授)の授業で、ダイドードリンコ株式会社(以下、ダイドードリンコ)の特別講義が行われました。学生は『自販機でできる社会貢献』という事前課題について考えて授業に参加しており、指名された学生はその発表もしました。企業の経営戦略を直接学ぶ貴重な講義であったと同時に、学生たちのアイディアを企業に評価していただく交流の機会となりました。

自販機は一番顧客に近い!

最初に自販機営業企画部の松本英康氏からご挨拶があったのち、人事総務部の真野祐子氏からダイドードリンコの説明がありました。
ダイドードリンコは、1950年代に栄養剤を販売したことからスタートした大同薬品工業を起源とし、ダイドーグループホールディングスの中の清涼飲料事業を担っています。グループ会社はこの他に、医薬品、医療品事業やゼリーなどの食品事業があります。

本社は大阪府にあり「今回のメンバーは、全員大阪から来ています」と真野氏。
ダイドードリンコの事業は、自動販売機での販売が約8割を占めるのが特徴。競合他社の同事業は約3割のため大きな違いです。また自動販売機に並ぶ商品に占める50%がコーヒー飲料で、主な購買層は男性だそうです。
なぜ自販機での販売がメインなのかと言えば、店舗販売よりも利益率が高いことや、顧客により近い距離で販売できるといったメリットがあるからです。

ダイドードリンコの飲料事業のもうひとつの特徴はファブレス経営であること。
ファブレス経営とは、自社で工場を持たず100%製造委託しているビジネスモデルです。工場にかかる大きなコストを削減できるのがメリットです。

優秀な人材に入社してもらうには

「当社の経営戦略として、優秀な人材を確保することに重きを置いています」と真野氏。
経営戦略を考える上で、持続的な競争優位を確立することが非常に大切です。そのためには優秀な人材を採用し、定着してもらうことを重視しているそうです。
優秀な人材にダイドードリンコに興味を持ってもらうために行っている施策として、フルリモートワークや副業可能、充実した福利厚生制度などが紹介されました。

特に働く女性にとって好評なのが、コアタイムのないスーパーフレックス制度やリモートワーク、法定よりも長い期間利用できる時短勤務制度です。
こういった取組みを行うことで、社員がプライベートと仕事の両立がしやすくなり、直近3年間ではライフイベントを理由にした退職者はなしという成果に繋がっているそうです。
真野氏は「企業の、ヒトに対するアプローチということに焦点を当てて見てみると、商品だけからは見えなかったことが見えてくる」と就活の際に企業サイトなどをよく見てみることを勧めていました。

自販機で女性を助けたい

次にダイバーシティ推進グループの井阪愛歩氏、大植あかね氏、奥川美優氏から、ダイドードリンコが取り組んでいる女性の社会進出についてのお話がありました。
まず「日本のジェンダーギャップ指数の順位を知っていますか?」という質問があり、選択肢の中の一つである「100位以下」に多くの学生の手が挙がりました。
井阪氏の「皆さんさすが知ってらっしゃいますね」との言葉通り、日本の順位は2023年時点で125位。特に女性役員の数が少ないことは国も課題としており、2030年までに女性役員の割合を30%まで上げることを目標としています。

ダイドードリンコでも2023年から自販機営業企画部内にダイバーシティ推進グループを発足。女性の自販機利用を増やそうと女性発案の企画で新たなコンテンツを開発しています。
例えば女性が誰もが経験し、悩みのタネである生理。アンケートで特に多い悩みである「急な生理への対応」として生理用ナプキンを購入できる自販機を開発しました。
誰もが使える自販機で生理用品を販売することで社会の理解促進も図ります。

この他にも赤ちゃんのおむつやお菓子の販売など、さまざまなモノを自販機で販売することに精力的にチャレンジしています。本学の渋谷キャンパス9Fにもダイドードリンコの自販機があり、オープンキャンパスのときに「赤本缶(https://www.jissen.ac.jp/learning/human_sociology/interview/shinozaki.html)」を搬出しました。
「世の中の潜在的な課題を見つけて自販機で解決するお手伝いをすることが私たちの仕事」と奥川氏は語りました。

社会貢献できる自販機って?

事前に学生たちには「自販機でできる社会貢献」を考える課題が出ており、授業の最後にダイドードリンコのメンバーが指名した学生が自分のアイディアを発表しました。
募金をしたら写真が撮れてSNSに投稿できる仕組みを提案した学生のアイディアには、松本氏は「募金ができる自販機は既にあるが、写真が撮れるアイディアは斬新」と高く評価していました。
省エネに着目した学生は、照明を消し、常温の飲料専用の自販機を提案しました。
「常温飲料のニーズがあることが分かりました。省エネの観点から常温の発想になったのもすごい」と着眼点の良さが評価されました。

野菜など無人販売所の役割のある自販機を提案した学生もおり、特産品などの地産地消にもつながるアイディアが出ました。
「モノを売る自販機はあるので、地域と協力すれば可能性がありそう」と松本氏はほかの主体との連携の必要性に言及していました。
他にも秀逸なアイディアが次々飛び出し、企業の皆様から感嘆の声が上がりました。

学生たちは企業がどんな経営戦略を取っているか、また社会貢献活動にどう取り組んでいるかを知る機会となった講義でした。

担当教員からのメッセージ

ダイドードリンコ社とは、赤本缶を自動販売機から搬出する企画を立てたのを機にご縁を得ました。
飲料事業を持つ企業の中でも差別化が際立っていることや、女性の社会進出を後押ししている企業というイメージが強いことから、「経営戦略」の回にぜひお越しいただきたいとお声がけしました。

 当日は、入社3年目、子育て中、転職の経験ありなど、学生にとって数年先から20年ぐらい後までのロールモデルになる社員の方たちからお話を伺う機会になり、「働きたいように働く」ことのイメージが少し掴めたのではないかと期待しています。実際、「ダイドードリンコ社で働いてみたい」という履修者の声が複数ありました。また、「社会貢献につながる自動販売機」の学生のアイディアについて、松本氏より一つひとつ丁寧にコメントをいただき、アイディアの面白さと実現可能性の両立の難しさを実感する機会になりました。

 早朝より大阪からお越しくださいまして、また有意義な授業の実現にご協力いただきまして、本当にありがとうございました。

2024年2月15日

働き続けたい企業の条件とは?「実践キャリアプランニング」の授業でホテルマリオットとのコラボ授業が行われました。

共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、世界的ホテルチェーンのマリオットとのコラボ授業が行われました。学生たちはグループワークを経て、12月に2週に渡りプレゼンテーションに臨みました。テーマは「働きたい、定着したいと思えるホテルとは?」です。授業を通し自分たちが働きたい企業を考える機会ともなりました。

女性も若者も活躍できる職場とは?

トップバッターはグループ3。
働きたいと思える企業の条件として、復職後に前のポジションに戻ることができたり、本人の働きやすい役職に移るなど臨機応変な対応をしてもらえることを挙げました。
ホテルは24時間のシフト勤務が多いため、女性が働きやすいよう子どもを預けられるベビーシッターサービスなどのアイディアも出しました。
また多様性を重視し、制服の男女差をなくすことを提案。女性が管理職を目指せる体制を整えることも重要だとしました。

発表後はマリオットの大野裕子氏から「改善策の目安や、具体的な施策が出ていて想像しやすかったです」と講評がありました。

2番手はグループ8です。
働きたいと思う企業として「柔軟性があること」を重要視。
管理職が高齢化し、若い人の意見が通りにくく昔からのルールが多いことを課題に挙げました。昇給や昇進の機会を明確にするため、3年など一定期間働いたら昇進するなどキャリアアップがしやすい体制が大事だとしました。

大野氏は「若い人の気持ちが分かりやすかった。ただ、ご高齢の方は知識もあるので、排除するのではなく一緒に作っていけるような施策もあればより良かったです」と話しました。

効率的に働くことが重要

続いてのグループ10は、「働く時間」に着目しました。
残業が多い企業では長く働くことができないことをデータで示しました。
有給消化のしやすい環境作りとして計画的な付与制度などを提案。定着したい企業の条件としてワークライフバランスを大切にすることを挙げました。
大野氏は「資料をエビデンスとして出していて説得力がありました。若い人にとって有給の取得は大事なんだと感じました」と納得された様子でした。

次はグループ1。
「効率化」に注目して、無駄を省きトラブルを減らすための施策を考えました。スキルマップを作るなど社員の得意不得意を把握することや、若い人は異動にいいイメージがないため異動を少なくすることなどを提案。
また、髪色の自由や社員の副業を認めるなど、様々な案を考えました。
大野氏も「具体的に何をすればいいかが明確で分かりやすかったです」とコメントされました。

ホテル業界の現状は?

グループ7は、ホテル業界の現状を改めて分析しました。
学生の知り合いにホテル勤務の方がおり、インタビューで「休みが少ない」「汚れる仕事やクレームが大変」など不満や改善点を確認。
また「福利厚生がしっかりしている」など良い所も紹介していました。業界全体として人手不足が課題であるとして、外国籍労働者を雇ったり、AI導入に力を入れたりすることを提案しました。
大野氏からは「ホテルの内情を良く調べている。外国籍労働者をどう取り入れるかなど、時代を先取りした提案でした」と感心の言葉が聞かれました。

前半最後のグループ5は、女性が産休や育休を取りやすい環境作りが重要だと考えました。
男性の取得率も上げることや、取得時のマニュアル作りなどを提案。
また、労働時間の把握やメンタルケアの窓口を設けるなど、働きやすい環境を具体的に提示しました。
大野氏は「パワーポイントもストーリーに合わせて作られていて、完成度が高く聞きやすかったです」とコメントされました。

人手不足を解消する施策は

翌週の後半はグループ4から。
ホテル業界の離職率が高い理由は、人手不足と長時間労働にあると課題を立てました。グループの中にホテルでアルバイトをしている学生がおり、実感として人手不足を感じていると伝えていました。
そこで、契約社員など非正規雇用や、隙間時間で働けるアルバイト制度を導入することを提案しました。
大野氏は「デメリットをどうやったら補えるのかよく考えられていました」と感想を述べました。

グループ12は、離職率を下げるには、従業員が不安に思うことを言い合えて改善できる環境を整えることが大切と発表。従業員同士良い所を褒め合うサンキューカードをポイント制にして導入し、モチベーションを上げる案を提案しました。また女性が働きやすいようリモートワークできる環境や、託児所や復帰支援を整備することが大切と話しました。
大野氏は「具体的な施策があった」と感心。「子どもを産んでから復帰したい人はどのくらいいますか?」と学生たちに聞く場面も。1/4ほどの学生たちが手を挙げていました。

福利厚生や評価を明確にする

次のグループ11も、ホテル業界の人手不足に注目しました。AIを利用した予約システムやサービスの導入、服装の規定を緩めること、福利厚生の充実が大切だと発表。服装はブランドを保つためにも必要ですが作業しやすいものに緩めたり、福利厚生は従業員それぞれが利用したいサービスを選べたりする案を考えました。
大野氏からは「プレゼンが分かりやすく見やすかったです。他社の事例なども合わせて可視化していた」と評価しました。

続いてのグループ2は、互いに評価し合える、助け合える環境作りを提案しました。ホテルは、調べただけでも20種類以上の仕事がありますが、お客様からしたら全員「ホテルのスタッフ」であるとして、違う分野でもある程度の共通認識を把握することを上げました。また、成果が残りにくいサービス業の従業員も平等に評価することで仕事にやりがいを持たせることを提案しました。
大野氏は「ホテル特有の表と裏の仕事の働き方の平等性に着目したのはすごい。おっしゃる通りだと思いました」と納得のコメントをされました。

AIを上手に導入する

グループ6は、20代の学生は、福利厚生や自分の生活を大切にできる企業で働きたいと考えていると発表。ホテル業界は休みが取得しづらいことや夜勤など従業員の負担が多いと分析しました。AIを導入し人手不足の改善と、繁忙期と閑散期の差を調整するなど提案しました。
大野氏は「ホテルでは接客することでサービスが向上する場面もあり、機械化はまだ難しいところもありますが、自分の時間を大切にするZ世代の考え方などが分かりました」と感想を話しました。

最後はグループ9。
職場の雰囲気が良く、モチベーションを保てるところで働きたいとしました。
1on1ミーティングを行い部下の成長を支援したり、オフィスなどバックヤードも綺麗にするなどの案が出ました。
また、就活前から学生が知りたい情報を共有することなども提案していました。
大野氏も「バックヤードから少しでもテンションを上げるのは普段からやっています」と案に納得していました。

自分がどんな企業で働きたいかを考えよう

授業の最後には、前半後半それぞれのプレゼンの中から優秀賞が選ばれました。
前半はグループ5、後半はグループ11が選ばれ、学生たちには賞品にウェスティンホテルのお菓子がプレゼントされました。
学生たちからは「賞をもらえると思っていなかったので嬉しいです」とほっとしたコメントが聞かれました。

大野氏は総評として
「どのグループも短い時間の中で精度の高い発表にまとめていて、甲乙つけがたいものでした。これから就活の時に、自分がどういう企業に属していきたいのかを考える棚おろしができたのではないでしょうか」と話し、
「今の若者たちがどんなことを考えているか、どういう職場が働きやすいと思っているかを知れたので、持ち帰って共有したい」と大野氏も刺激になったと話しました。
また、「ホテル業界はとても魅力的です。大変な仕事ですが、365日一度も同じ日はありません」とホテル業界の素晴らしさも語られ授業は終了しました。

担当教員からのメッセージ

初めてのマリオット・インターナショナル様とのコラボ講座、大野様から業界や業種についてとても丁寧にご説明をいただいた上で、今回の課題解決に向けての取り組みを進めました。これから就職活動を始めるメンバーにとっては、非常に身近なテーマではありましたが、すでにマリオット・インターナショナル様は、相当高いレベルでの制度面やしくみが完成されており、学生独自の視点で新しいテーマ設定に辿り着けるかが心配でしたが、学生たちは短い時間をハードルにせず、新たな視点から、数多くの斬新なアイデアを提案してくれました。今後の企業研究に向けて、貴重な経験になったものと思います。この場を借りてマリオット・インターナショナルの大野裕子様には、心から感謝申し上げます。

2024年2月13日

地域とつながる!「プロジェクト実践演習b」の授業で学生たちが考えたイベントを無印良品の店舗で開催しました。 

「プロジェクト実践演習b」(担当:現代生活学科 須賀由紀子教授)で、12月16日に株式会社良品計画(以下、無印良品)との産学連携プロジェクト『つながる市』を学生たちが企画しました。八王子市楢原町にある大型ショッピングモール『フォルテ八王子』の無印良品店内にて、学生たち自身でプロデュースした3つのワークショップを開催しました。

地域とひとをつなげよう

無印良品フォルテ八王子店の入り口付近に3つのブースが開設されました。
学生たち全員で決めたキャッチコピー「このマチ、もっとスキになる。」をテーマに、地域と人がつながる無印良品フォルテ八王子の『つながる市』をプロデュースしたのです。
ポスターチームは、無印良品っぽさもあるシンプルかつ実践女子らしさを取り入れたカラフルなポスターを作成。
このポスターを持ちながら、店舗に来店したお客様に、ワークショップに参加してもらえるよう声掛けをします。一体どんなイベントに仕上がったのでしょうか?

遊んで作って楽しい!くらしいろはカルタ

「くらしいろはカルタ」とは、家庭科の教科書を題材とし、学生が作成した、様々な世代をつなぐオリジナルカルタです。
カルタで遊んでもらうスペースと、お客様自身に八王子の良いところを書いていただくというワークショップを行いました。

カルタを企画した学生の声
「カルタのワークショップを企画したのは、実践女子らしさをどう出そうかと考えていたときに、須賀先生からアイディアをいただいたことです。お客様に一緒にカルタを作ってもらおうと決めて進めていきました。八王子は自然が多く、東京都なのにのんびりした時間が流れている、マイペースになれる街。そこから四季をイメージしたパネルを作成しました。難しかったのは、自分たちがやりたい企画を出せばいいだけじゃないということ。また、予測と実際では違うことも学びになりました。複数のことを考えて実行する経験は今後に活かせると思います」

ふぉるむがカワイイ東京こけしづくり

八王子市の特産である「東京こけし」作りを体験できるブースも。
胴体が丸い形状が特徴の東京こけしは、小さくころんとして可愛らしいフォルムです。

東京で唯一こけしをつくっている大蔵木工所が、こけしづくりを実演し、出来立てほやほやのこけしに無印良品のカラーペンを使って色付けの体験ができます。

大蔵木工所の大蔵氏
「普段は企業の実演会や外国人向けの絵付けなどを行っています。イベントにはたびたび出ますが、大学生からの声掛けはめったにない。よく『東京こけし』を探したねという気持ち。依頼があった時はいくらでもできるよと返事しました」

親子の絆を深めるお菓子の家づくり

無印良品の商品「ヘクセンハウス」を使って、お菓子の家づくりのワークショップも展開しました。
デコレーションに使うメレンゲなどは八王子のお店のお菓子を使用。お持ち帰り用に新聞紙でエコバックづくりなども行いました。

ヘクセンハウスワークショップを企画した学生の声
「当初は地元の個人店のパン屋と連携したパンの物販を考えたのですが、物販は発注の数量や配送の方法、衛生管理など考えることや準備が多く断念し、ヘクセンハウスに八王子のお店のお菓子をデコレーションすることで八王子とつなぐ内容にしました。結果的にお客様にとても楽しんでいただけてよかったです。目の前のことだけをやっていては駄目で、先を見据えて動くことは今後に活かせると思います。大変だったけど準備も含め楽しかったです」

今後のつながる市もより良いものに

今回は様々な企業の方のご協力により実現しました。
学生たちは企画立案からイベントの運営まで対応し、実地でマーケティングを学んだ貴重な経験となりました。

無印良品フォルテ八王子店 加納店長
「授業は週1回のため意思疎通が難しく、タイムラグが出てしまったこともありましたがよくやってくれたと思います。無印良品の商品を使ってというような注文も特にせず、自由にやってほしいと伝えていました。つながる市としての目的はバッチリ達成していると思います。東京こけしなどは学生たちも知らなかったと聞いて、今回一から八王子について調べてくれた外からの目線だからこその発見だったのかもしれないと感じました。今後ともなにか連携していければと思っています」

コーディネーター 長谷川氏
「学生がやりたいこととお店が求めること、そして来店するお客様が求めることの中から合致するものを見つけることが難しかった印象です。しかし、実践女子ならではのものができたと思いました。お菓子の家づくりは無印良品単体でもやっているワークショップですが、エコバッグづくりや八王子のお店のお菓子を取り入れるなどのアイディアで、コラボした意義が出たと感じています。都会にはなかなか民芸品が少ない中で、東京こけしを見つけたのもすごい。カルタもまさに実践女子らしい仕上がりになったと思っています。今後にも活かせるコラボになりました」

須賀先生からのメッセージ

企業の皆様は学生のやりたいことを好意的に受け止めてくださいました。学生たちも「八王子らしさ」を手探りで探しながら、企業側にもメリットのあるものを模索し、ブースに使う机や絵付けのペンなど無印良品のものを利用することを考案しました。暮らしに密着している無印良品の郊外型店舗でのイベント運営ということで、学生たちも意欲高く取り組むことができました。自分たちが企画したイベントを実際に店舗で運営させていただく経験は、意思疎通をしっかり行い、段取りをつけて進めることの大切さを学ぶ機会となったと思います。学生の思いを懐深く見守っていただいた関係者の皆様に深く感謝いたします。

2024年2月9日

スポーツを通じたウェルビーイングとは?JWP研究会がパラ卓球選手をお迎えし、イベントを開催しました。 

2023年度のJWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)活動(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の第ニ弾として、12月9日(土)に、2024年にパリで開催されるパラリンピック出場を目指している卓球の舟山真弘選手をお迎えして、スポーツを通じたウェルビーイングについて、みんなで考えました。

今回のテーマは、「スポーツを通じたウェルビーイング」。舟山選手より対談形式でお話を伺い、スポーツと健康や、幸せについて考える機会となりました。

ゲスト:舟山 真弘(ふなやま まひろ)氏

現在、大学1年生。埼玉県さいたま市出身。 4歳で小児がんの一種である「右上腕骨 骨肉腫」に罹患。1年2か月間入院し、手術と抗がん剤治療を受けました。手術では、利き手であった右腕の肩関節と上腕骨を切除し、足の細い骨を移植しました。右腕は上がらなくなり、細い骨の骨折に細心の注意が必要となりました。

 今回、舟山選手は早稲田大学1年ということで、同世代の大学生をゲストに招きイベントを行うという珍しい機会でした。
イベント前半では、舟山選手ご自身についてのお話を聞かせて頂きました。現在、早稲田大学で卓球部に所属している舟山選手。実は幼少期から卓球をしていたわけではなく、家族と行った熱海旅行で初めて卓球と出会い、小学5、6年生から本格的に卓球を始めパラリンピック出場を目指しています。小学生から大学生まで卓球を続けていますが、今でも試合前はとても緊張すると言います。試合の前半は足や身体全体を動かし、後半は頭を動かすといった様々な工夫されています。相手に点を取られてしまってもぼーっとすると危険、取り敢えず何かを考えよう、「何かを考えようっていうことを考えよう」と頭をフル回転させ試合に挑んでいる舟山選手。
そんな舟山選手について、卓球についてだけでなく、気になる私生活についてもイベント参加者の方々から沢山質問して頂き丁寧に答えてくださいました。

◆当日の質問より

Q、強いメンタルを保つ方法は?

A、今は、モチベーションを変わらずに維持することが出来ています。次に出場する試合があるとそこに向けて頑張ることが出来るため、維持出来ます。しかしコロナの時期は、試合数が少なくモチベーションを保つことが難しかったです。今年は試合が多くあり、保つことが出来ています。

Q、1番思い出に残っている国は?

A、中国がとても良かった印象です。卓球が国技であるため、演出が豪華で観客が多かったです。敵国でしたが会場の盛り上がりがあると、自分も盛り上がることが出来ます。

Q、時間の管理の仕方で工夫していることは?

A、中学生の頃は、勉学とスポーツを両立していました。定期テストの期間はスパッと卓球をやめ、勉強に専念していました。高校、大学では卓球が中心の生活をしています。大学生になると勉強する分野が絞られるため、卓球の時間を多く取ることが出来ています。

Q、今までで1番辛かったこと、それを乗り越えた方法は?

個人戦のため孤独を感じることが多くあります。勝っている時は心が満たされますが、負けが続くと寂しさに襲われます。しかし、必ず次の目標があるため、負けても取り敢えず考えないようにして次に向けて行動しています。

Q、大学生活で楽しみたいことは?

今までは勉学と卓球中心の生活でしたが、大学生になってからは様々なことに挑戦するようになりました。特に服をよく見るようになりました。最近では、パーマをかけてみたり、スキンケア用品に興味を持ち始めたりと美容に対して意識するようになりました。他には、アニメを見ることや本を読むことが好きです。いつか、お洒落なカフェに行ってみたいです。

これらのようにNGの質問はなしで卓球のことから、自分自身のこと、大学生活のことなど、1問1問丁寧に答えてくださいました。

次に舟山選手には卓球の魅力について教えて頂きました。

卓球は体格に左右されるスポーツではなく(背が高いとか低いとか関係ない)、その人その人という個人に対してフォーカスされることが1番の魅力です。実際に自分自身は、右手が使えず、右足の力が少し弱いですが、自分なりに考え右足を中心にトレーニングしています。卓球選手にはその人その人に生い立ちがあり、〜があったから今〜の考え方を持っているのだろうなどの目線で観客の皆さんには見て欲しいです。

イベントの後半では、舟山選手に意気込みを聞いてみました。

一つ一つの試合を大切にし、目の前の課題をクリアし、最高の成績を収められるように頑張りたいです。そして、パリパラリンピックの出場権を獲得し、金メダルを取りたいです。欲を言えばそれ以上上に行きたいです。と目標を教えて頂きました。

最後に、舟山選手にとってのウェルビーイングについて、そしてご自身にとっての幸せでいる条件をお話しして頂きました。

ウェルビーイングについては、大学生になってから考えるようになりました。プロの卓球選手の道を歩んでいきたいと考えていますが、競技に集中するということはプライベートを犠牲にするということです。

いずれか引退の時は来ますが、卓球だけをやっていて何が残るのかは自分でも分かっていないため、大学生のうちに様々なことを体験しておきたいです。例えば、部活後のメンバーとだらだら話す時間は、コーチから「早く帰るように」と注意されてしまいますが、無駄ではないと思います。逆にそれこそが大切なのではないかと思います。日常が送れていることが幸せなのだと考えています。

学生たちは、1日1日を大切に生きることの重要さ、自分自身の生き方に関して向き合うきっかけになったイベントでした。

参加学生の声

・今回、自分と同い年で、世界で活躍している方の話を聞けるという貴重な経験をすることができ、とても学びのある時間にすることが出来ました。スポーツを通したウェルビーイングということで、精神だけではなく、心や体に実際に選手に深く関わっていることを学ぶことが出来ました。どんな質問に対しても丁寧に答えてくださり、同い年にも関わらず選手と自分の生き方の差に驚きました。このイベントを通して、何事にも一生懸命頑張ろうと思いました。

・私も選手と同じくスポーツ中心の生活を送っているため、日々のモチベーションの保ち方や時間の使い方を直接知ることが出来て、とても勉強になりました。自分に何か弱い部分があっても、決してそれを言い訳にせず、弱い部分を補うようにオリジナルの練習方法を考えるなどスポーツに対しての熱い気持ちを生で体感することが出来ました。選手の日々はとても多忙とお聞きしましたが、その中でもウェルビーイングについて日々を当たり前に送れていることが幸せだと答えていたのがとても印象的でした。多忙の日々の中でも当たり前の大切さを重要視しているところが選手としての強みなのではないかと感じました。

深澤先生からのお話

今年3年目を迎えたJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)の活動の一環として、
「アスリートと考えるウェルビーイング」と題し、舟山選手にお越しいただきました。

全ての企画をプロジェクトメンバーの有志が行い、和気あいあいとした雰囲気の中で行われたイベントは、とても印象に残る内容となりました。常に世界と戦わなくてはならない厳しい世界でご自身を鍛え続けている舟山選手ですが、当日は大学生の日常らしい面も随所に見せていただき、本学学生と交流されている姿に、思わず感動していました。 2024パリパラリンピックの卓球日本代表として活躍される事を心からお祈りし、また、この企画を成功に導いてくれた幹事の皆さんに感謝いたします。