2025年7月18日

金融リテラシーを高めてよい暮らしを実現しよう!「家庭経営学」の授業でJ-FLECによるお金についての特別講義が行われました。 

生活文化学科「家庭経営学」(担当:生活科学部生活文化学科 高橋桂子教授)の授業で6月9日に金融経済教育推進機構(J-FLEC)による特別講義が行われました。「社会人として知っておきたいお金の話」と題し金融リテラシーを高める大切さと、トラブルに巻き込まれないための心構えなどを詳しく教えていただきました。

お金の知識を身に付けるとどんな良いことがある?

登壇されたのは種村隆行氏。銀行に約30年勤め、保険代理店などを経て、現在は民間企業の社外監査を担っています。
種村氏はJ-FLECの認定アドバイザー。J-FLECは、幅広い年齢層に金融の知識を高めてもらうために政府、日銀、全国銀行協会などが出資し2024年に設立された認可法人です。
「日本はアメリカに比べ金融教育が遅れていると言われています。皆さんも今回を機会に金融リテラシーを高めていってほしいと思います」とお話しされたあと、

「そもそも金融リテラシーとはなんでしょう」という問いかけから講義は始まりました。
種村氏は「お金に関する知識と判断力のこと」といいます。日々の生活でのお金に関する悩みから、将来のこと、資産形成に至るまで幅広くお金に関わる知識のことで、
「リテラシーがあれば、家計の管理ができ、計画を立ててお金を準備できるので将来やりたいことができるようになる」と種村氏。
そのほか詐欺などのトラブルに遭うことも減り、突然の災害などに備えられる利点も。「つまり経済的に自立して、よい暮らしを実現できるのです」
そして「税制は毎年変わる。金融リテラシーは一度勉強して終わりではなく、常に勉強を続けることが大事」と話されました。

人生のプラン、考えてる?

また、種村氏は「生活設計」の大切さを伝えます。
生活設計とは将来どんな人生を送りたいかの構想を描くこと。
何歳まで働くか、実現したいことは何か、なにがほしいか……。「まだ学生ですべてを考えるのは難しいかもしれませんが、頭の片隅に置いておくといい」とのこと。
なぜかと言えば、ライフイベントにはお金がかかるからです。
例えば結婚する場合には、式や新婚旅行で約300~500万円ほどの支出があるようです。また郊外の一戸建ての場合、家を買おうとすれば2,000-5,000万円かかります。これは都内のマンションであれば1億円以上かかることもあるようです。
「自分の実現したいライフイベントにはいくらかかるのかイメージすること。これらを考えて生涯年収、支出のイメージをつかむことが大事です」と話されていました。

「収入と支出のバランスを考え、家計を管理することが大事」とのこと。
大学生の支出には、通信費、洋服代、家賃、食費、友達と遊ぶお金など支出はさまざまです。
「家計の見直しのポイントは、必ず使うお金と、ほしいものややりたいことに使うお金に分けること。優先順位をつけ支出を減らす工夫をしましょう」とアドバイスされました。

ローンを借りるときは慎重に

講義のメインテーマは「借りる」でした。まずローンについてのクイズです。
海外旅行のため30万円を金利18%で借りた場合、毎月5,000円ずつ返済すると返済額や期間はどれくらいかかるかというもので、毎月定額返済のリボルビング払いの問題になります。
答えは返済し終わるまでに13年かかり、2倍以上、約77万円になるそうです。「みなさんのイメージしていた額とは違うと思います」
「お金の貸し借りには利子や金利がかかる。借りたら返さなくてはいけない。車や家など大きな買い物のときは利用するのもいいですが、安易にローンは使わない方がいいと思います」と話されました。

学生のうちに気を付けておきたいものにはクレジットカードの支払い方法もあります。
一括払い、リボ払いや分割払いなどさまざまありますが、特にリボ払いは金利が高く返済総額が増えてしまいます。
「必ず支払い方法を確認すること。私も以前知らずにリボ払い設定になってしまっていたことがありました」と注意を促されていました。

お金のトラブルに巻き込まれないために

最後に、お金によるトラブルについて説明されました。
借金を返せずにさらに借りてしまう多重債務や、違法な金利で貸し付けをしてくるヤミ金融、マルチ商法や詐欺被害。
種村氏は、「ローリスクハイリターンのおいしい話はありません」ときっぱり。「今だけ、あなただけに」と向こうから近づかれても怪しいと思ったらはっきり断ること、テレビ、SNSなどで広告出ていても安易に信用しないことなどを繰り返し注意喚起されました。
「相手はプロです。プロの詐欺にかかったら銀行の人でも騙される。接触しないことが大事」ですが、万が一、トラブルに巻き込まれてしまったら必ず周りに相談するようにと勧めていました。親や友人のほか、消費者ホットライン(188)や警察といった具体的な方法を教えてくださいました。

講義のあとには、学生からの質疑応答の時間も取られました。
「世間的に投資を勧める流れになっていると思うが、若いうちは余裕がないのですがどうすればいいでしょう」という質問には、「余ったお金があれば、で良いと思う。お金に余裕がないうちはFPの資格を取るなど、お金の知識を付けるといい。将来の自分に絶対役に立ちます」と回答されていました。

なかなか学ぶことのない「お金の授業」を受け、学生たちのお金に対する意識も変わった貴重な講義でした。