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2025年8月4日

2025年度「実践キャリアプランニングa」の授業で、文化放送の課題に対し、学生によるプレゼン発表が実施されました。

7月4日(金)と7月11日(金)に「実践キャリアプランニングa」(担当:文学部英文学科 鹿島千穂 専任講師)の授業で、文化放送から提示された課題に対する最終プレゼンテーションが行われました。課題内容は「20秒のラジオCMを考える」。テーマは二つ提示され、「渋谷センター街の子ども食堂」チームは7月4日、「実践女子大学」チームは7月11日に発表を行いました。

学生は、台本を掲載したパワーポイントスライドを使い、発表中に読み上げました。さらに事前準備として提案するラジオCMの企画書を提出しています。同じテーマの全グループの発表が終わった後に、学生間投票で優秀賞を選定。鹿島専任講師は『自分が好きな作品に投票してください』と呼びかけました。さらに、課題発表時に講演していただいた村田氏が企画書を読んで選出した「文化放送賞」も発表されました。

この記事では各テーマで優秀賞と文化放送賞を受賞したグループを紹介します。

「渋谷センター街の子ども食堂」|優秀賞:チームポンデリング

「チームポンデリング」は、子どもをターゲットにしたCMを提案しました。放送時間は学校終了後の夕方17時〜19時を想定。「食の温かさ」と「地域のやさしさ」が伝わる内容です。

【CMコピー】
(探偵ドラマ風のピアノBGMと足音のSE)

探偵「俺は探偵。渋谷区宇田川町ビルディングで目撃された『謎のあたたかいごはん』を追っている…」
子ども「あ、それ?渋谷区こども食堂のごはんだよ!」
(音楽一気に明るく)
探偵「まさか…この優しさ、(間を開けて)無料だと!?」
子ども「事件は『渋谷区子ども食堂』で起きている!みんなで食べるごはん、捜査不要のうまさです!」

CMの主人公は、子どもにも親しみのある“探偵”キャラクター。物語は事件をきっかけに会話で進行し、子どもの視点からワクワクしながら自然と子ども食堂の魅力に触れられる構成になっています。音楽も工夫されており、ミステリアスなBGMから疾走感のあるBGMへと切り替わることで、事件解決の爽快感を演出しています。会話も元気でコミカルにまとめられ、難しい言葉は平易な表現に言い換えるなど、細部まで丁寧に作り込まれていました。「どこで開催されているか」「無料で食事ができる」といった重要な情報もしっかりと押さえられています。

発表後の質疑応答では、鹿島先生から「ヒントになった作品はありましたか?」との問いに、メンバーは「国民的探偵アニメです」と回答。続けて「必要な情報を残し、簡単でキャッチーな言葉でつないでいる。まさに以前の講演の要点を押さえた、子どもにも届く素晴らしいCMだった」と評価が寄せられました。

「渋谷センター街の子ども食堂」|文化放送賞:チームMARRY

文化放送賞を受賞した「チームMARRY」は、子ども食堂を「大学生にとっても身近な場所」として提案しました。ターゲットは大学生で、孤独感を抱える若者に向けたメッセージ性のあるCMに仕上げられています。

【CM案】
(食事中の音声)

男性「好きな色とかってあるんですか?」
女性「うーん、このイチゴみたいな赤が好きかな」
男性「今日の洋服の赤も似合っていますね」
女性「でしょう?だからランドセルも赤なの。お兄ちゃんともっと話したい」

ナレーション「おかわりされたのは、ご飯じゃなくてあなたとの会話でした。出会いじゃないつながりを。渋谷センター街こども食堂」

放送時間は深夜帯(22時〜25時)を想定し、「みんなの孤独をいやす場所」というコンセプトを軸に、学生自身の孤独感と子ども食堂でのサポート活動を丁寧に結びつけました。

CMでは、マッチングアプリの会話を模した演出が印象的です。恋愛のやり取りかと思わせておいて、実は子ども食堂での小学生との会話だったという意外な展開が、音声メディアならではの魅力を引き立てています。また、大学生にとってなじみのあるマッチングアプリという題材を取り入れることで、子ども食堂を“自分ごと”として感じてもらえる工夫も凝らされていました。

発表後、鹿島先生から「スタッフ募集の情報はどこで見つけましたか?」と質問があり、メンバーは「子ども食堂のHPで随時募集されているのを見つけた」と回答。続けて「マッチングアプリの要素を盛り込んだり、オチを用意したりと、多角的に構成が練られたCMだった」と評価が寄せられました。

村田氏からは「音声ならではの特徴を生かして聞く人によい裏切りを演出しつつ、情景やそれぞれのキャラクターが浮かぶようなコピーであり、大変素晴らしい作品だと思います。何よりおかわりされたのはご飯じゃなくて、あなたの会話という言葉がとても心に響き、心が温まりました。子ども食堂の魅力が存分に伝わり、興味を引くとても魅力的な音声CM作品だと思います」とコメントが寄せられました。

〈実践女子大学〉優秀賞:チーム東日本ガールズ

優秀賞を受賞した「チーム東日本ガールズ」は、進路に悩む高校2年生の女子生徒をターゲットに、実践女子大学の魅力を伝えるCMを制作しました。放送時間は、学校の授業が終わる16時30分ごろを想定し、等身大の視点から親近感を引き出す構成になっています。

【CMコピー】

JK1「ねえ最近、#推し活 しかしてないんだけど~(笑)」
JK2「それな?でも私、最近#未来活 始めたかも」
JK1「え、なにそれ(笑)」
JK2「実践女子が、企業と授業とやるんだって。マジで就活前のリハって感じ」
JK1「それガチすぎじゃん…。ってか渋谷だよね?通いたすぎ」
JK2「『映え授業』じゃね?」
JK1「え、なにそれ強!てかそれ未来見えてんじゃん」
ナレーション(女性)「実践女子大学渋谷キャンパス。#推しは未来のわたし」

BGM:渋谷スクランブル交差点のざわめきと信号音のカッコウ(ラジオ内の会話の部分にBGMとして流す)

CMには、未来の実践生となる“JK”たちが登場。実際の高校生に近いテンポ感のある会話と、渋谷の象徴ともいえるスクランブル交差点の環境音をBGMに使うことで、大学の立地の魅力が自然に伝わるよう工夫されていました。また、「PBL授業」といった専門用語も「企業と授業」「就活前のリハ」といった高校生に伝わりやすい言葉に言い換えられ、将来への期待を膨らませる内容になっています。

中でも印象的だったのは、「推し活」から「推しは未来のわたし」へとつなげたコピー。いま夢中になっている自分と、将来の自分を重ね合わせる構成が、進路を考える高校生に前向きな一歩を促していました。さらに、ハッシュタグを効果的に使うことで、SNS感覚で情報が伝わる親しみやすさも演出されています。

発表後の講評では、鹿島先生から「文章を読んだだけではピンと来なかったが、読み上げを聞いて魅力が伝わった。世代間で単語の意味が分からなかったが、それがむしろターゲット世代に刺さるとわかって面白かった」と、リアリティと説得力にあふれる表現が評価されました。

〈実践女子大学〉文化放送賞:チームIデンティティ

文化放送賞に選ばれた「チームIデンティティ」は、女子高生とその保護者の双方をターゲットにしたCMを提案。放送時間は、ちょうど帰宅時間にあたる16時から18時を想定し、親子で耳を傾けたくなるような内容に仕上げました。

【CMコピー】

(SE:ヘアアイロンのジジジ、水道のシャー、メイク道具のカチャカチャ、洗面所の反響音)

実践女子大生A「鏡、渋滞しすぎじゃない?」
実践女子大生B「ほんとそれ~。てかさ、今日、企業連携の授業じゃん。準備した?」
実践女子大生A「うちらさ、ビジュ整えながら、企業170社以上とコラボしてんの、エグくない?」
実践女子大生B「てかもう、実践してるよね、フツーに。」
ナレーション(女性) オシャレも、社会も本気で向き合う。
(ジングル) 女性が社会を変える、世界を変える。 実践女子大学

CMでは、「渋谷キャンパスの魅力」や「建学の精神(女性が社会を変える、世界を変える)」を、日常の大学生活になじませながら紹介。セリフにはリアルなキャンパスライフの様子が盛り込まれ、自分がここで学び、すごすイメージが自然と浮かんでくるよう工夫されています。また、「おしゃれにも社会にも本気で取り組む」という、現代の女子大生像を等身大で描いた点も印象的でした。

社会連携事業を取り上げ、「実社会とつながる実学の場」としての大学の特色にも言及。親世代に対しても安心感や納得感が得られるよう、客観的な数字や取り組みの具体例を織り交ぜながら構成されていました。

質疑応答では、鹿島先生から「ターゲットに保護者も含めた理由は?」という質問があり、「大学選びは本人だけで決められないことも多い。親御さんにも、こどもの“好き”を実践できる環境があることを知ってもらいたかった」との回答がありました。

村田氏からは「実践女子大生の日常を切り取ったストーリー仕立ての映像で、勢いのあるセリフとリアルなやりとりが印象的。軽やかなテンポのなかに、「企業170社とコラボ」というインパクトあるキーワードが盛り込まれ、最後には“おしゃれにも社会にも本気で向き合う”というフレーズでしっかりとメッセージが締めくくられています。日常の延長線にあるパワフルさが、緻密な構成とセンスによって自然に引き出された作品です。実践女子大生の魅力がびしびしと使って伝わってくる作品ということで、選ばせていただきました」とコメントが寄せられました。

授業全体の講評

授業の最後に、村田氏からの総括コメントが紹介されました。

「それぞれのCM作品の設定や言葉選び、セリフの話者のキャラクターや効果音などのクリエイティブをはじめ、CMを届けたいターゲットや目的訴求、ポイント、流す時間に至るまで、最後までよく考えられて工夫されており、大変感心しました。対象についてそれぞれがよく考え、思いを巡らせた様子がよく伝わってきました。渋谷センター街こども食堂の方は、思わず笑顔がこぼれるような心温まるような作品が多く、実践女子大学の方は、まさに生き生きと学ぶ本学の学生の顔が浮かんできて、改めて魅力的な大学であることを再認識しました。ラジオでそのまま流せそうなものも多く、私自身も楽しませていただくとともに刺激を受けました。ぜひこの機会に音声で伝えることや音声を楽しむことに興味を持ってもらえると嬉しいです。貴重な機会と素晴らしい作品をありがとうございました」

担当教員からのメッセージ

学生たちは1ヵ月にわたって「20秒のラジオCM制作」に取り組みました。秒単位の短い時間で「伝わる」作品にするにはどうしたらよいか、アイデアを出し合い、ことばを厳選して完成した作品は、文化放送村田様の「本気度と一生懸命さが伝わってきた」との評価の通り、斬新で完成度の高いものでした。また、企画発表の際にCMのイメージをオーディエンスに伝えるために、SEやBGMを駆使したり、CMコメントをテンポよく読み上げたり、あるいはAIで音声化するグループもあったりと、さまざまな工夫を凝らしていたことにも感心しました。
ラジオのプロである文化放送様が選んだ作品と学生間の投票で選んだ作品が違ったのも、ラジオの訴求層の違いを表しているようで興味深い点だと感じました。この経験を通して、学生たちが音声表現の奥深さや面白さに触れられたことを嬉しく思います。お力添えいただいた文化放送様に心より感謝申し上げます。

2025年7月25日

自分の強みを伸ばしていこう!「女性とキャリア形成」の授業で元資生堂役員の関根近子氏による特別講義が行われました。 

さまざまなゲストをお迎えして貴重なお話を伺える、毎年人気の「女性とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業。6月19日には株式会社資生堂(以下、資生堂)の元執行役員常務として活躍された関根近子氏をお迎えしての特別講義が行われました。自分の強みを知り、前向きに仕事を楽しむ大切さを教えていただきました。

役員になるなんて思いもよらなかった入社時

学生たちはこの講演に向け、「自分の強みを10個書き出す」という事前課題に取り組んでいます。
進行担当の学生から紹介を受け、登壇された関根氏は「課題は難しかったですか?」と問いかけました。「なかなか自分の強みは分からないものです。この授業を通し、強みを見つけていきましょう」と講義を始められました。

関根氏は18歳で資生堂に入社し、当初は地方の美容部員として働き始めました。
「人にお化粧するのが好きだったの?と聞かれるのですが、そんなことない。生活のために入社したんです」と関根氏。ご家族が突然の事故に遭い働かざるを得ない状況になり、一番初任給が高かった資生堂を選んだのだと話します。
「当初は結婚したら辞めると思ってました。女性管理職、ましてや役員なんてなるぞと思ってなかったんです」。
しかし「私の長所は明るくて元気、そして向上心があること。今でも勉強したいことがたくさんある」と語り、チャレンジ精神をもってキャリアを積み重ねてきたのだと実感をもって語りました。

同じ仕事でもやりがいに変える方法

関根氏は入社当初のことを振り返って自身の強みをみつけたきっかけを語ってくださいました。
それは美容部員から、プロモーションチームに異動したときのこと。
百貨店の食品売り場などに特設ブースを設置し、推奨品を販売する仕事でした。推奨品には高いノルマが課され、嫌がられてもしつこく声をかける日々。
「自分の仕事は人から嫌がられる仕事なんだろうか」と悩んだ関根氏は先輩に相談にいきました。

すると先輩から「そんなに嫌なら辞めていい。でも辞めるまでは、あなたの強みをしっかり使って接客しなさい」と言われたのです。
「そうか、私の強みは美容の知識だ、私は美容のプロなんだからと気付いたんです」と関根氏。そこから一人ひとりに合わせたカウンセリングをし、美容知識をお伝えする接客方法に転換しました。
すると、徐々にファンが付き、商品も売れていくようになったのです。さらにお客様から「ありがとう」という言葉をもらった関根氏は「商品を買ってくれたお客様に言う言葉だと思っていたので、とても嬉しかった。店に立つのが楽しくなったんです」。
そして「心も折れなくなった。お客様に断られても、きれいになるチャンスを逃したわね、と思うようになった」と笑いを交えて語りました。
「同じ仕事なのに、ちょっと目線ややり方を変えただけで喜びを得るようになり、やりがいを見出すことができたんです」と話しました。

失敗を恐れずチャンスを活かす

ではどうしたら自分の「強み」が分かるのでしょうか。
関根氏は「資生堂で役員をやっているとき、一番重要視したのは自分の成長」と話します。コツは「一年前に比べてどのくらい成長したのかを知る。それを定量的に測ること」と関根氏。
例えば本が好きな人の場合、去年50冊の本を読んでいたら今年は60冊読むようにするなど、記録を取って目に見えて分かるようにすることが大事だと言います。去年より上がっているということで自信もつき、何を学んだかも具体的に伝えられるように。
「グローバル人材に必要なことは、自分の意見をきちんと言えること。強みを人前で堂々と言えるようになれば自己効力感も生まれます」と話しました。

もうひとつ大事なことはチャレンジ精神だと関根氏は語りました。
どちらかというと女性は一度居心地がいい環境に入ると外に出たくなくなる傾向にあると話します。
しかし、新しい環境に飛び込むことを躊躇しないでほしいと伝えました。異動や単身赴任、昇進や役員になるなど、仕事にはたくさんの変化がつきまといます。
「CHANCE(チャンス)がきたらCHANGE(チェンジ)することを怖がらない。自分には無理だと思わず、失敗を恐れずチャレンジしてください」と語りました。

強みを伸ばせば自分は変わる

ここで関根氏は一冊のノートを見せてくれました。
当時、義理の母との関係がうまくいかず悩んでいたと言います。
「それまでは人の悪口や義母の愚痴ばかり言っていて、自分でもいやでした」と告白されました。そのとき会社で、ポジティブ思考について講義を受け感動し、自身の考えや思いをまとめたのがこのノート。
「ポジティブ思考とは苦しい状況のなかでも希望や解決策を探すこと。ポジティブに考えることで辛い現状にどうやって付き合っていくか考えられました」と体験を話されました。

そして関根氏は「他人を変えようとしても難しい。でも、自分は変えられる」と力強く言います。
「他人と比べず、過去の自分からどう成長しているかを考えること。短所は誰にでもあります。箱で例えると長所は辺、角が短所。長所を伸ばせば器が大きくなる。だから強みを伸ばしていきましょう」と学生たちをエンパワーメントしました。

どうやって強みを見つける?

講義のあと、学生たちからの質問の時間が取られ次々に手が上がりました。
「自分の長所をみつけるコツは?」という質問には、「打ち込むことが出来る好きなことがなにか考えること。また、何か周りの人からほめられたことがないか考えてみましょう」とアドバイス。

次の学生は「自分の考えや思考を押し付けにならないように伝えるときの注意点は?」と質問しました。
「傲慢に取られないように。自分の伝えたいことを言うことよりも、相手を尊重するという気持ちを少し多く持つこと」と回答されました。

最後に代表の学生からお礼の言葉がありました。
「自分の強み、理想のキャリアはなにかを考えるきっかけになりました」という言葉通り、学生にとって学びに繋がる講演となりました。

担当教員からのメッセージ

私が資生堂の人事部に勤務していた時から色々とご指導いただいた関根さん、いつお会いしても凛とされた佇まいは、毎年その輝きが増していると感じています。関根さんとお会いすると、どんな時も、決して後ろを向かず、ポジティブに前に進むことの大切さを思い出します。
今年の事前研究では、一人ひとりの魅力を探り、強みを引き出す内容でしたが、とても盛り上がったのが印象的でした。学生にとっても、素晴らしいロールモデルとして、心に刻まれることと思います。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

2025年7月7日

2025年度「キャリアデザイン」にてオリエンタルランドさんから課題が発表されました。

6月17日(火)にキャリアデザイン(担当:文学部国文学科深澤晶久教授)にて、株式会社オリエンタルランド(以下オリエンタルランド)から横山政司氏を招き、課題について共有が行われました。学生が履修決定の際に提出した履歴書に「このコラボを楽しみにしていました」といった声が多く記載されていたことが深澤先生から共有があり、今現在もキャストとして働く学生が授業受講生の中に2人いるなど、学生からの期待値と意欲の高さがうかがうことができる回となりました。

課題についてお話しいただいた方は、コンテンツ開発推進部長の横山政司氏。初めにアイスブレイクとしてディズニーにまつわるクイズを楽しんだ後、横山さんによる自己紹介と、これまで歩んできたキャリアについてのお話がありました。

課題発表の前に

オリエンタルランドに入社するきっかけは大学時代に入っていた運動サークルでの経験で、「自分の企画で多くの人を笑顔にしたいと思った」ことだと話しました。入社後、キャリアのスタートは「SMTの時間帯責任者」だったそう。SMTはアトラクション略称で、学生たちは馴染みのない文字列に少し戸惑った様子でしたが、「スペースマウンテン」と正式名称の説明を聞いてワッと納得の声が上がりました。明るくテンポよく、ユーモアを交えながら話は続きました。

オリエンタルランドについて

オリエンタルランドの創業は1960年。創業の背景に、高度経済成長期の公害問題があったことを説明しました。また、オリエンタルランドという企業名は「東洋一のレジャーランドをつくる」ところからきているそうで、話は東京ディズニーランド開園にいたるまでの経緯に移ります。浦安にレジャーランドの設立が決まった背景として、公害問題による水質悪化で漁業が行えなくなり、浦安の海が埋立地になる計画が浮上したことがありました。

ディズニー誘致のきっかけは、創業者がアメリカのディズニーランドを視察した際、『日本の子どもたちにも見せたい』と強く感じたことだったと述べました。「東洋一のレジャーランド」が「ディズニーランド」であることの関係性がここで生まれたといいます。海の埋め立てに際して漁業権放棄の補償交渉が終了した年が1964年。同時期に、本格的なディズニー社との交渉が始まりました。契約の締結は1979年。「とにかく本物を」という理念のもと建設が始まり、1983年に東京ディズニーランドが開園しました。その後、1996年に新エリアオープン、2001年に東京ディズニーシーオープン、2013年に年間来園場数3,000万人の達成、2020年にコロナで史上初の4カ月閉園など、歩んできた歴史を紹介しました。

また、企業使命が「自由でみずみずしい発想を原動力に、素晴らしい夢と感動、ひととしての喜び、そしてやすらぎを提供します」であること、パークでゲストに提供しているものが「HAPPINESS」であることを紹介しました。「HAPPINESS」は、わくわくや感動、心の底から楽しむことなど、ポジティブなエネルギーであることを、CMの動画を使って説明。接客やパーク内の体験を通じて提供しているものを明確にしました。

課題の発表

学生が取り組む課題の発表の前に、前提条件として現在オリエンタルランドが抱えるビジネスの課題点について共有されました。それは、「人口減少の中、どのようにして来園場者・客単価を増やすか」。ビジネスモデルの説明と共に、どうしてそれが課題であるか細かく説明されました。一度軽いグループワークと意見の発表を交え、横山氏がピックアップした改善策は「リピータを増やす・客単価をあげる・年齢や環境の変化による離脱者を減らす」の三点。これらを達成する手段として「ファン化の促進が必要」とし、東京ディズニーリゾートのファンクラブである「ファンダフルディズニー」の紹介がありました。年会費や入会特典を説明したうえで「ファンクラブ会員はそうではない客と比較して、客単価が高い」一方でと「ファンクラブ会員の半分は継続歴5年以上であること」を述べた上で「入会者の過半数が40代以上」という現状の紹介がありました。

ここで課題が発表されます。スライドに映し出されたミッションは「あなたは、コンテンツ開発推進部に配属されたオリエンタルランドの新入社員です。人口減少社会でハピネスを提供し続けるために、Z世代のファンダフルディズニー会員を獲得する施策を提案してください」。続いて、取り組みにあたってのポイントの説明がありました。それは「原因の仮説を立てること」「Z世代のとくにどのような層をメインターゲットにするか決め、どうしてそれが会員獲得につながるか根拠を明示すること」そして「前述の二点が、施策内容とつながっていること」。さらに「年会費を下げる以外の切り口にすること」「提案する策が会員獲得につながる根拠を示すこと」。課題の構成や評価につながる重要な事柄の発表に、学生たちは真剣にメモを取ります。

横山氏は続けて、「コンテンツ開発推進部のメンバーが守るべきもの」を示したスライドをスクリーンに投影。そこには、普段仕事で大事にしていることが書かれており「課題を進めるうえでちょっと意識してもらえれば」と言葉をおいて、内容の解説をします。大切にしていることは「リサーチ」「リスペクト」「レビュー」の3点。グループで企画を進めるうえで、「互いにリスペクトすることを忘れず、ターゲットからもリスペクトされるような提案をする。ターゲットを尊重することを忘れないで提案内容を考えると、いいアウトプットが出せる」「今回はレビューまではいかないけれど、振り返りをしっかりすることは大切」と述べ、「とりわけリサーチについて、顧客をしっかりと見ることが大切。ウェブなどに掲載されている調査結果はすぐにとれるけど、それは誰にでもできること。ぜひ、皆さんならではの根拠を示してもらいたい」と学生ならではの視点に期待を寄せました。

授業の最後は早速グループワークでアイディア出しが行われました。横山氏は「課題のポイントにあった『調査結果が施策内容とつながっていること』が重要。施策が何に結びついていくのかを意識しながら、今後のワークに取り組んでほしい」とアドバイス。

学生たちは二週間後に横山氏から中間フィードバックをいただき、7月16日に控える最終プレゼンテーションに向けて準備を進めていきます。

担当教員からのメッセージ

今年も、学生にとって極めて関心の高いオリエンタルランド社との連携授業がスタートしました。本年度も昨年同様のテーマをいただきました。身近な企業からのお題ですが、その難易度は、昨年も実証済みです。
横山さんには、中間のフィードバックを含めて、7月8日のプレゼンテーションセッションまでサポートいただきます。学生の取り組みに期待したいと思います。

2025年7月3日

「国際理解とキャリア形成」の授業で五輪メダリストの岡崎朋美氏をお招きしスポーツニッポン新聞社との特別コラボが行われました。

6月24日(火)に「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、スポーツニッポン新聞社との特別コラボセッションが行われました。スペシャルゲストは元スピードスケート選手でありオリンピックメダリストの岡崎朋美氏。藤山健二編集委員との対談という形で、学生たちの前で講演を行って下さいました。世界の第一線で活躍された岡崎氏の貴重なお話に、学生たちも頷いたりメモを取ったりしながら真剣に耳を傾けていました。

対談の初めに

藤山氏はまず、岡崎氏が学生と同じ年齢だった頃の話題を切り出しました。岡崎氏は次のように語ります。「18歳で実業団に入ったのですが、当時は実力がなく、周囲のレベルについていけませんでした。3年間がんばって成果がでなければ、その先の将来を考えようと思っていたんです。3年目の頃にオリンピックが現実味を帯び始め、翌年の選考会で出場を決めました。それが22歳の時でした」

藤山氏は続けて、岡崎氏の経歴と実績を簡単に紹介しました。「冬季オリンピックに5大会連続出場。日本のウィンタースポーツ界を代表するレジェンドです。長野大会では、500mで銅メダル。女子短距離スピードスケートで初めてメダルを獲得し、その後のオリンピックでは日本選手団の団長や旗手も務めました。本当に大活躍した選手です」以降、対談は岡崎氏のこれまでの歩みを振り返る形で進みます。

岡崎氏の学生時代

学生時代には大会の受賞歴がほとんどなかったという岡崎氏。北海道出身で、スケートは幼いころから身近な存在であったものの「スポーツ万能だったが、スケートだけはうまくいかなかった」といいます。高校は、道内の強豪校ではなく、女子校を選んでスケート部に入部しました。男女合同で練習する学校に比べ、練習内容に限界があったと感じていたそうです。「他校の練習風景を見て、自分もああいう練習をすればもっと伸びるのではと思っていました」と、当時を振り返ります。

実業団入団

入団のきっかけは、実業団の監督が偶然リンクを訪れていたことでした。さまざまな高校の生徒が同じリンクで練習している中で、岡崎氏のスタート100mの速さが監督の目に留まりました。「当時の体格の良さも含めて可能性を感じてもらったんだと思います」と話しました。

入団後は、富士山のふもとの標高の高い場所でのトレーニングに環境の変化が大きく、慣れるまでに1〜2年かかったと話しました。さらに、オリンピック出場者もいる実力あるチームでの練習はレベルが高く、意識やメンタル面の重要性も学んだといいます。最初のオリンピック選考会については、こう振り返ります。「ようやく環境に慣れてきた頃で、オリンピックを目指すというより、先輩たちに少しでも近づきたいと思っていました。才能がないなら辞めようという気持ちで、全力を出し切れば結果に関係なく納得できると思い、満足した状態になろうととことん練習に取り組みました。」その結果、1994年のリレハンメルオリンピックに出場が決まりました。

オリンピック出場

初めて出場した1994年リレハンメルオリンピックは、14位入賞という結果で終わりました。自己ベストを更新できたことに手ごたえを感じ、「一度出られれば十分かなと思っていましたが、会場で他の選手たちの姿を見て、“もっとやりたい”と感じました」と話しました。次のオリンピックは日本開催の長野大会。「日本で五輪が行われるのは、自分の競技人生の中ではもうないかもしれない。そして日本という慣れ親しんだ環境で行われること、日本を応援してくれる人も多いことはモチベーションにつながりました。そこからやらされる練習から、やる練習に変わりました」と語ります。

1998年長野オリンピックでは、短距離で銅メダルを獲得。二日間にわたるレース形式で、一日目が終わった時点で緊張のあまり眠れなかったといいます。「選手村にいると緊張してしまうので、あえて会場に行きました。五輪マークが目に入るとワクワクしてきて、あとはスタートラインに立つだけ、という気持ちでした」大会直前にスケートシューズの規定が変わり、新しい靴に苦労したそうですが、「スタートしたら結果は決まっていると思っていた」「仕上がりに不安もありましたが、結果が出てよかった」と振り返り、当時の銅メダルを取り出し、学生に手渡して見せました。

けがのお話

藤山氏が「長野で一区切りと思わなかったか」と尋ねると、「新しい靴にも慣れてきて、まだタイムを縮められると思った。世界記録と自己ベストに2秒差があって、追いつきたかった」と語りました。しかしその約1年後、腰を痛め手術を受けることに。シーズン最後の大会の朝、起き上がれないほどの痛みに襲われながらも、注射でなんとか出場したといいます。藤山氏が「体にメスを入れるリスクをどう考えたか」と問うと、「次のオリンピックを目指していたし、手術して復帰した前例があまりなかったから、自分が最初になろうと思った。誰かがやらないと前に進まないこともあるから」と、力強く答えました。藤山氏は「どこまでもポジティブにとらえるんですね」と驚きの表情を見せました。

結婚・出産とアスリートのキャリア

2002年ソルトレイク、2006年トリノと五輪出場を重ねた岡崎氏は、2007年に結婚。当時、夫は東京勤務、岡崎氏は練習拠点に残り別居生活をしていたそうです。2010年に出産。その後も現役を続ける決断をしました。「当時は出産したら引退、という選手が多く、託児所もなく、相談できる人もいませんでした」「でも、一般の人も仕事と育児を両立している。形は違っても、私も挑戦してみようと思いました」と話し、手術のエピソードにもあった岡崎氏のチャレンジ精神がここにも反映されていることがわかりました。さらに「練習中に電話に出られないので、保育園の緊急連絡先は監督だった」というリアリティのあるエピソードに、学生は岡崎氏の苦労を想像しつつもくすっと笑うリアクションをしていました。

妊娠・出産後の体の変化については、「子どものために母乳育児をしていたら、自分の栄養が足りなくなって。初めて“食べても追いつかない”という経験をしました。ホルモンの影響も大きくて、筋肉がつきづらかった」と実感を語りました。それでも、「自分の経験が次の世代のお母さんたちの参考になると思って、いろいろ勉強しました」「子育てと競技を両立したことは、手探りでしたが全く後悔していません」と語ります。

対談の最後に

引退については、「もう無理だな、と思って案外すんなり決めました。振り返れば悔いはありません。私は本当にラッキーな人間で、たくさんの人に支えられました」と話しました。最後に、学生へのメッセージとしてこう語ります。「“この人いやだな”と思う人がいても、その人のために生きてるわけじゃない。自分のために時間を使ってください」「他人と比べることもあるけど、自分の目標に集中して進んでいってほしい。迷ったら相談して、行き詰まったら一度リセットして、そこからまた立ち上がればいいんです」

そして、こう締めくくりました。

「うまくいかなかった経験も、後々生きてくることがある。どんどんチャレンジして、自分の糧にしていってください。私も、これからもチャレンジを続けます」

質疑応答

対談の後に、学生からの質疑応答の時間が設けられました。

「リフレッシュ方法は?」という質問には「今はウィンドウショッピングやツーリング、ドライブなど体を動かすことをしています。現役時代はなかなか時間がなかったので、温泉に行ったりマッサージを受けたりしていました」と回答。「試合前に大切にしていたこととは?」という質問には「メンタル面でいうと『どうしようか迷わない。やるべきことをやる。』ということです。スタートラインに立つときにはもう結果は決まっている。そこで悪い癖が出るのであれば、出さないようにする。マイナスな考えは、うまくいくはずのことがうまくいかなくなってしまう原因になる。」と話し、「もちろん、練習不足だったなとか、結果がうまくいかなかったなと思うときもあります。でも、その原因を自分が理解していれば対処することができる。だめだったら次の方法に行こうと思える」と、勝負の瞬間に迷わないよう、事前準備で淡々と前に進み続ける行動方針を話しました。「応援される人はどのような人だと思いますか?」という質問には「一生懸命頑張っている人。好きなものに一心不乱に打ち込んでいる人は、応援したくなります」といい、「笑顔も大事。無理して笑う必要はないけど、素直な気持ちを出すことは大切」と続けました。その後、授業時間いっぱいまで質疑応答が続き、学生にとっても、学びの多い時間となりました。

担当教員からのメッセージ

国際理解とキャリア形成の授業においては、2018年からご支援をいただいているスポーツニッポン
新聞社様、今年のテーマを冬季五輪に置いていただいたこともあり、今年のスペシャルゲストは
スピードスケート日本人女子短距離で初のメダリストになられた岡崎朋美選手にお越しいただき
ました。
勿論、アスリートとしてはレジェンドである岡崎さんですが、その厳しい競技生活からは
想像がつかないほど、優しいお人柄を感じながらの、藤山記者との対談が続きました。
今なお、スピードスケートの世界で活躍を続ける岡崎さんから、そのポジティブ思考と、
諦めないことの大切さなど、本当に多くのことを学ばせていただきました。
岡崎朋美様と藤山健二様に、この場を借りて心から感謝申し上げたいと思います。

2025年6月26日

就活に役立つ留学!「国際理解とキャリア形成」の授業でアンジェラス留学の中根なゆた氏の講演が行われました。

6月16日(火)、国際理解とキャリア形成(担当:文学部国文学科深澤晶久教授)にて、アンジェラス留学の中根なゆたさんを講師に迎え、「就職に役立つ留学」をテーマとした講演が行われました。アンジェラス留学が取り扱っている留学の行先やプログラム内容などの紹介のほか、実際に留学へ行った学生の体験談発表や留学先現地との生中継インタビューなど、留学のリアルに触れられる講演でした。

留学について知ろう

中根さんはまず、「そもそも留学とは?」という基本的な問いから話をスタート。留学に対してよく聞かれる「怖い・高い・難しそう」といった不安について言及し、「この時間で留学について知らないことを知っていただいて、留学を少しでも身近に感じてもらう。そして、留学に行ったことで得られるインセンティブを知っていただく。その中に就職活動に役立つものがあるはず」と話しました。

「留学と旅行、一週間の滞在を想定した場合、実は値段がそんなに変わりません。留学は『現地で学校に行くこと、生活の体験をすること』。留学をすることで良いことはいっぱいあるけれど、その中の一つに『不自由な体験をすること』があると思います」と話しました。

自身の経験も踏まえ、「大学在学中にフランスに留学し、生活文化の違いによる不自由さを経験したことで、自分の価値観が決まり、就職活動の軸となりました。視野も気持ちの持ちようも広がりました」さらに、「大学入学時、資生堂入社時、そして入社後のフランス出張など、人生の節目で留学経験に助けられてきました」と、留学の価値を具体的に伝えました。

留学経験者のお話

続いて、実際にカナダで1年間の留学を経験した、現代生活学科4年生の村上遥香さんが体験談を発表しました。村上さんが参加したのは、語学学習と専門プログラム、そして現地での就労が一体となった「Co-op留学」です。「最初の三か月間で英語を勉強し、その後はカスタマーサービスに関する専門プログラムを英語で受講しました。授業ではカナダの就職活動についても学びました」と説明。プログラム終了後は一カ月のバケーションを経て、空港の免税店での就労を経験したと話しました。

さらに村上さんは、現地で参加した「キャリアフォーラム」という就職イベントにも言及。海外経験者を対象としたこのイベントでは、短期間で企業の選考が進む仕組みになっており、日本国内外の企業が参加しているといいます。「日本にいながら海外と日本をつなぐ仕事をしたい」という思いから、村上さんは主に日本支部の採用にエントリーしたそうです。

体験談の中盤には、免税店での就労経験をもとに、文化の違いに関するクイズも出題されました。「カナダと聞くと移民が多い国という印象があると思います。実際にそうで、免税店で働いているときには、国内の方以外にも海外の旅行客の方も多く接客し、国籍や文化の違いによってお客様の振る舞いや求めているものが全く違うことを肌で感じました」と話し、「皆さんが想像できる範囲で構わないので、どのような違いが具体的にあるでしょうか」と学生に問いかけました。

グループワークののち、学生からは「ドラマで見たヨーロッパのショッピングの場面では、お客さんとたくさん会話しながら商品を選んでいた。コミュニケーションが大事なのでは」「国によってチップ文化の有無もあるのでは」という回答がありました。

村上さんは「まさにその通り」とうなずき、「中国のお客様は価格を気にされる方が多く、韓国籍やフィリピン籍の方は日本人と似ていて、優柔不断な方が多い印象。だからこそ、的確な情報を提供することを意識していた」と説明。「メキシコ国籍のお客様とは、商品に関係ない雑談が多かったりと、接客スタイルも工夫が必要でした」と、国ごとの違いを生かした対応を語りました。

最後に、現地での接客を英語で再現するデモンストレーションも披露。自然な英語表現と立ち居振る舞いに、留学で得た実力が垣間見えました。

留学先現地と生中継!

講演の後半では、海外インターンシップ型の留学プログラムも紹介され、現地とオンラインで中継をつないだ“リアルな声”が届けられました。「大人の職業体験」と銘打って紹介された留学プランは、ホテルで働きながら実践的な英語を学ぶというもの。実施地はフィリピンのセブ島にある、語学学校が敷地内に併設されたリゾート地の三ツ星ホテルです。四週間の滞在期間中、ホテルでホスピタリティを学びながら、英語を習得していきます。現地ホテルの従業員と語学学校の先生から手厚いサポートを受けながら、滞在期間で合計四種類の業務を経験できるプログラムです。

現地スタッフの鈴木さんとズームでつながり、インタビューが始まりました。インタビューに答えてくれた方は、実際にプログラムに参加しているありささん。渋谷からセブ島へ、質疑応答が始まります。

「実際に参加してみてどうでしたか?英語の生活に慣れるのに、どのくらいの時間がかかりましたか?」という質問に「インターン以外にも、英語のクラスが充実していて面接の練習やプレゼンの勉強をしています。英語は難しいけど、実践的な英語を学べると思います。現地の生活には一週間ほどで慣れました。語学学校なので、日本人の方も多く思っていたよりも簡単に友達ができました。最初はびっくりすることが多いけど、一週間くらいで慣れて楽しくなってくると思います」とコメント。学生からも質問を投げかけました。「日本国内のホテルでもインターンができたと思いますが、フィリピンのセブ島を選んだ理由は何ですか?」との問いに、ありささんは「英語でインターンができることが一番の理由です。スタッフの人や先生と会話するときにすべて英語なので、英語を実践できる環境がいいなとおもいました」と回答しました。インタビューの最後には、現地の語学学校の先生も画面に登場。実際の環境や経験できる内容を直接知ることができる貴重な機会となりました。

今回の講演を通じて、学生たちは留学が語学力の習得だけではなく、自分の経験を広げることによってキャリアへの意識につながるという、新たな視点を得ることができたようです。将来を見据え、自分にとって意味のある留学とは何かを考えるきっかけとなる、貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

私が株式会社資生堂の人事部で採用の責任者であった時に、中根さんと出会いました。その後、中根さんが父上の会社に転職された後は、毎年ゲストとしてお越しいただき、留学を中心にキャリア形成のお話しをしていただいています。親身に相談に乗っていただくことがきっかけで、中根さんにお世話になって海外留学に出かけた学生は、約60人を数えます。長いご縁に本当に感謝です。
この国際理解とキャリア形成の授業には、特に留学や海外での業務に夢を持つ学生も多く、中根さんのお話しには、とても関心深く授業に参加してくれています。今年もセブ島とオンラインで結んでいただいたり、中根さんにお世話になって留学に行かれた現4年生の村上さんの体験談まで、盛りだくさんの内容となりました。様々な準備をして下さった中根さんに心から感謝申し上げます。

2025年6月25日

2025年度「実践プロジェクトa」にてサントリーホールディングス株式会社から課題の発表がありました。

6月13日(金)に実践プロジェクトa(担当:文学部国文学科深澤晶久教授)にて、サントリーホールディングス株式会社(以下サントリー)から髙橋誠二郎氏を招き、課題の共有が行われました。実践プロジェクトaでは全14回の授業を前半・後半に7回ずつ分け、それぞれの期間で異なる企業を迎え、企業から提示される課題に対し学生がグループワークを重ねて企画を立案・発表し、それを企業が評価するという、PBL(Project Based Learning)形式のコラボ授業を展開しています。サントリーは後半の連携企業として参加しています。前半で得た経験を生かし、前半の経験を生かし、最終プレゼンテーションに向けて、準備を進めていきます。

今回講話していただいた方は、人財戦略本部の髙橋誠二郎氏です。サントリーに関する三択クイズが3問出題されたあと、課題の発表が行われました。

課題発表!

今回の課題は「サントリー社員として、サントリーの新人研修を考案すること」。具体的な課題として「会社を取り巻く環境を踏まえ、企業人・社会人に求められているものは何か、結論を発表してください」「それをふまえ、これからサントリーに入社してくる社員に対する具体的な研修計画を提案してください」の2点が提示されました。続けて、課題を考えていくステップとして「ニーズの把握」「ニーズの背景を探り本質的な課題を考察する」「具体的な研修計画を提案する」という流れが示されました。

会社を知ろう

サントリーは、総合食品メーカーとして、清涼飲料水や酒類をはじめ、サプリメントなどの健康食品、外食、化粧品など、多岐にわたる事業を展開しています。取り上げられた商品名や店舗名は、学生にとってもなじみ深く、企業の認知度の高さがうかがえました。現在では売上の約半分を海外が占めており、世界に265社、約4万人の従業員を抱えるグローバル企業でもあります。

サントリーについて、髙橋氏は「挑戦し続ける企業」と紹介。これは創業者の想いが受け継がれているといい、話は社員が共有する価値観について移ります。とくに「やってみなはれ」と「利益三分主義」について詳しい説明がされました。

「やってみなはれ」とは、新しい価値の創造に挑戦することを意味し、創業者が日本で洋酒文化を築いたエピソードが紹介されました。さらに、競合他社がすでにビール事業に力を入れていた時期に新たに参入した経緯にも触れ、未知の市場への挑戦や、失敗を恐れない姿勢が大切にされていることが語られました。海外展開もまた、この精神のもとで行われているといいます。

「利益三分主義」は、事業で得た利益は自社の再投資にとどまらず、取引先や社会にも利益を還元していく、という考え方です。実際にサントリーは、コンサートホールや美術館、社会福祉法人の運営、水育という森林保護に関する学校教育やラベルレスデザインの推進などの環境活動など、さまざまな社会貢献活動を行っています。

最後に、髙橋氏はサントリーの人材育成方針についても紹介しました。サントリーの人財戦略本部では「人本主義」を重視しており、個人が「どうありたいか」を尊重し、その実現の場として会社があるという考えを持っています。短期的に人材の価値を判断せず、長期的な視点で人を育てること、そして「変化をチャンスに変え、チャンスを挑戦につなげられる人」が求められていることが語られました。

また、「成果を出して自分を磨いた人が、夢を追い、挑戦できる」制度が整っていることも紹介されました。実際に、社内公募制度を通じて、自ら手を挙げる形式の研修や海外チャレンジ、グローバルチャレンジといった多様な機会が提供されています。スライドには「目指す社員像」が示され、髙橋氏の講話は締めくくられました。

最後に

髙橋氏の講話の後、学生たちは早速グループワークに取りかかりました。斎藤氏からは「課題検討のステップから外れないように。行き詰まったときこそ、スライドに戻って立ち返ってください」とのアドバイスがありました。髙橋氏や斎藤氏に直接質問しながら、各グループで課題の方向性を細かく議論していく様子が見られました。

最終プレゼンテーションは7月11日に実施予定です。学生たちはまず、6月27日に予定されている中間発表に向けて、グループワークを進めていきます。

担当教員からのメッセージ

本授業について、サントリーホールディングス様にご支援いただくのは5回目となります。サントリーホールディングス様からのお題は、常に同じ内容をいただいています。
「大学での学び方を学ぶ」という本講座の狙いを実現する大切なテーマだからです。言い換えれば、このお題を通して、今社会は、どのような人材を求めているのか、そしてサントリー様ではどのような人材を育成しようとしているのかを考えることになりますが、このことを議論することは、1年生にとっては、ここからの4年間何を学ぶべきかを考えることに繋がるのです。果敢に挑戦してくれることを期待しています。この場を借りて、サントリーホールディングス様の斎藤様、髙橋様に心から感謝申し上げます。

※本講座は、一般社団法人フューチャー・スキルズプロジェクト研究会との連携となります。

2025年6月16日

2025年度「実践キャリアプランニング」の授業で文化放送から課題が発表されました

6月6日(金)に実践キャリアプランニング(担当:文学部英文学科 鹿島千穂 専任講師)にて、株式会社文化放送様とのコラボ授業が行われました。この授業では、「人生100年時代」を見据えたキャリア形成の一環として、企業との連携による疑似ビジネス体験を取り入れています。実社会に近い環境で課題に取り組むことで、学生が自らの生き方や働き方について考え、将来に向けた視点を養うことを目的としています。今回提示された文化放送からの課題をもとに、学生たちがグループで協力しながら疑似ビジネス体験に挑戦。授業内では、各グループが考えたアイデアをプレゼンテーション形式で発表します

課題発表に先駆けて

今回講演していただいたのは、文化放送の村田さん。「ラジオ・音声メディアの特性と伝え方」と題し、ラジオと音声メディアの特性やそれに基づいた伝え方のポイントをお話しいただきました。

冒頭では、文化放送についての紹介からスタート。1952年に開局した歴史あるラジオ局であり、関東一都六県に電波を届けています。時間帯ごとに変わる聴取者層に向けて、多様なジャンルの番組を放送しているとのことです。

特に、アニメ・ゲーム・声優関連番組が多い、アイドル番組に強い、プロ野球・大学駅伝中継にも注力といった特色が紹介されました。さらに、自社プラットフォーム「クローバー」での配信、落語のサブスクサービスやイベント企画、声優アワード、養成学校の運営など、ラジオ配信にとどまらない幅広い事業展開も紹介されました。

ラジオ・音声メディアの特徴とは?

村田さんは、ラジオが移動中や作業中に「ながら聞き」ができる身近なメディアである点を強調。さらに、スマホアプリ「radiko」の登場やワイヤレスイヤホンやスマートスピーカーの普及により、ラジオのリスナー数は増加傾向にあること、ポッドキャストの利用も若年層を中心に広がっていることを紹介しました。

音声メディアの特性としては、リスナーの行動を促す力があること、映像に比べて情報が少ない分、聞き手の「想像力」で補完されること、パーソナリティへの親近感や信頼感が生まれやすく、コミュニティのようなつながりが生まれることが挙げられました。

例として、野球の実況中継では「見えないものを言葉から想像する」体験があり、聞き手と送り手の“想像”が合わさって初めて情報が成立すると説明。また、村田さんが制作したラジオドキュメンタリーを例に、音声には情報の真偽にかかわらず人の心を動かす力があるとも語りました。さらに、イェール大学の実験結果を引用し、音声のみのコンテンツが情報理解に有効であることも紹介。「音声コンテンツとは、送り手と聞き手による共同作業である」と強調しました。

音声で伝える工夫

音声メディアでは、 効果音の順番や種類、言葉の選び方や話し方など、細かい部分が情報の伝わり方に大きな影響を与えるといいます。

情報があふれる現代では、「共感できる情報や自分に関係のある情報しか届かない」という前提のもと、具体的な話をする、 身近なたとえ話を使う、簡単な言葉を選ぶといった“共感を呼ぶための3つのポイント”が紹介されました。さらに、話の順番や構成など、「聞きやすさ」も大切な要素です。ラジオの特徴を活かし、リスナーとの距離が近いからこそ、“気持ちに訴える”表現が必要だということが再確認されました。

課題発表!

今回の課題は、20秒のラジオCMを考えるというもの。

テーマは「渋谷センター街の子ども食堂」と「実践女子大学」の2つです。課題にあたって、過去のコンテスト受賞作品の紹介もあり、優れた点や音声コンテンツを伝える工夫が共有されました。村田さんは「効果音や音楽、言葉づかいを工夫して、商品やサービスの魅力を伝えることが大切」とコメント。学生たちは、何をどう伝えるのか、目的設定から構成まで、すべてを自ら考えることになります。

質疑応答の時間には、課題のことのほかにもラジオや村田さんの社会人経験について質問が投げかけられ、音声メディアについて理解を深める貴重な機会となりました。

学生は、次の授業からグループに分かれて話し合い、いずれかのテーマでCM制作に挑戦します。

担当教員からのメッセージ

昨今、リスナーの減少が叫ばれているラジオですが、文化放送様はアニメ、声優、アイドル番組の先駆け的存在で、若者層にもよく聞かれているステーションです。実際に本授業の受講生の中にも文化放送様の番組リスナーが予想以上に多く、業界の深い話を聞けたことは貴重な経験となったようでした。
一方、講演内容は表現法にも及び、情報過多の社会において、音声のみで「伝える/伝わる」ための手法についてもお話がありました。私自身、ラジオパーソナリティーとして長年番組を担当し、メディアにおけるコミュニケーションの手法を教育や生活の場にどのように活かすことができるのか試行錯誤してきたため、村田様のお話に大変共鳴した次第です。
お題であるラジオCM制作はハードルの高いものですが、この経験を通して、学生たちが音声表現の本質に触れることを期待しています。

2025年6月6日

「たった一杯で幸せになるコーヒー屋」とは?「演習Ⅱa」の授業で猿田彦珈琲とのコラボがスタートしました。

企業から直接課題が出され課題解決に取り組む、学生たちに人気の社会連携授業。4月30日の「演習Ⅱa」(Lクラス担当:人間社会学部ビジネス社会学科 篠﨑香織教授)の授業で、猿田彦珈琲との特別コラボが始まりました。代表取締役の大塚朝之氏からコーヒー店を立ち上げた思いなどお話を伺いました。授業の最後には学生たちに課題が出され、後日グループでプレゼンテーションに挑みます。

じぶんごとに捉えて取り組もう

授業の冒頭には、篠﨑先生からこの授業にかける熱い思いが。猿田彦珈琲を知ろうとフィールドワークをするうち、どんどん好きになり広島の店舗まで回るほどのファンになったと告白されました。
自分の体験を踏まえた上で、学生たちに「今回の課題をぜひ『じぶんごと』として取り組んでください」と強調。ただの課題と思わず、自分に引きつけて考えることの大切さを伝えました。

そして猿田彦珈琲創設者の大塚氏が登壇。学生たちの手元にはコーヒーが配られ、リラックスした雰囲気で講義は始まります。
大塚氏は「たった一杯で幸せになるコーヒー屋」をコンセプトに猿田彦珈琲を創設した経緯について話し始めました。

良いモノを作るためサスティナビリティを考える

猿田彦珈琲はスペシャルティコーヒーの専門店。2011年6月に恵比寿でオープンしたのが始まりです。
スペシャルティコーヒーとは、風味豊かで個性的な味わいのあるコーヒーのこと。検査で高得点を付けたコーヒーだけが名乗れるもので、全体の5%ほどしかないと言われています。
そしてもうひとつの基準はトレーサビリティがしっかりしているものであること。トレーサビリティとは「その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのか」が明確なことです。コーヒー豆の栽培管理から収穫、選別などまで徹底して品質を管理された厳選されたものだけがスペシャルティコーヒーを名乗れるのです。
大塚氏は「サスティナビリティがあることも大事。生産者に安定してお金が入れば設備を整えより良い環境でコーヒー豆を生産できます。現在気候変動によりどんどんコーヒー農園がなくなっている。」と話しました。

大塚氏は学生たちに、配られたホットコーヒーを飲んでみるよう勧めました。
そして「苦いですか?すっぱいですか?」と問いかけます。
苦みよりもほのかな酸味を感じる学生が多数。
大塚氏は頷いて「このコーヒーはベリーのような酸味がありますよね。いいコーヒーであればあるほどコーヒー以外の様々フレーバーを感じるんです」と話しました。

コーヒーに救われた青年時代

大塚氏は若いころ俳優として活動されていました。毎日のようにオーディションに行くも、落とされたり受かっても次の仕事をすぐに探したりせねばならない日々。
「お金もなく本当につらかった」と言います。
ついにはふさぎ込み、人とのコミュニケーションをうまく取れなくなってしまいました。

コーヒーに出会ったのはそのころ。
たまたま寄った有名コーヒーチェーン店で、店員から気さくに話しかけられ、居心地よい空間にとても安心しリラックスできたと話します。
その後、俳優の道を諦める決心を固めた頃に友人からコーヒー豆店で働かないかと声をかけられ、コーヒーに魅了されていきます。美味しいコーヒーの淹れ方を実演販売することで売上を格段に伸ばし、自信も深めていきました。
コーヒー店に救われた経験から、自分でも美味しいコーヒーを提供したいという思いを実現するため独立し、猿田彦珈琲を立ち上げたのです。

やりたいことを言語化し周囲に伝えよう

恵比寿店をオープンしたあと、2014年には清涼飲料メーカーから声がかかり缶コーヒーの監修を手掛けます。商品は大ヒットし、現在もペットボトルコーヒーや美術展とのコラボなど幅広く事業を展開しています。
店員からはバリスタ大会のチャンピオンを輩出するなど、コーヒー専門店としてゆるぎない信頼を得るようになりました。

缶コーヒーを手掛けた際、業界からは批判もあったといいます。大塚氏も迷いがあったと告白されました。
しかし、手掛けたことで店は有名になり、融資を受けることにもつながります。
大塚氏は「やりたいことへの純粋さとお金のバランスを両立させることが大事」と話し、一生懸命やることの大切さと、それを周囲に伝えるために言語化することを伝えました。「自分が究極なにをやりたいのか、それを伝えて利他的に行動すれば周りは応援してくれます」と話しました。

猿田彦珈琲のファンになってもらうSNSの投稿とは?

授業の最後にいよいよ課題の発表です。課題は「猿田彦珈琲のSNSについて考えよう」。ターゲットは20代。
猿田彦珈琲との距離を縮め、長期的にファンになってもらえる投稿を提案します。良い発表案は実際に公式アカウントで採用される可能性も。
学生たちはそれぞれInstagramとXを担当する班に分かれ、グループワークを重ねて1か月後の発表に臨みます。

担当教員よりメッセージ

猿田彦珈琲“推し活”中の篠﨑です。
猿田彦珈琲の存在は以前から知っていましたが、私の生活圏に店舗がなかったこともあり、実際にお店に足を運んだのは、この連携授業を担当することになってからでした。

もともと珈琲に強いこだわりがあり、「美味しい珈琲を提供するカフェ」という印象を持っていたため、店舗でいただく珈琲の満足度は非常に高く、今では自宅で飲む珈琲も猿田彦珈琲社のものに変わりました。

私自身の例のように、「良いもの」が必ずしも選ばれるとは限りませんが、何かのきっかけで状況が一変することがあります。SNSは、その“きっかけ”になり得るのでしょうか。

当該授業の履修学生は、6チームに分かれてInstagramあるいはXを用いた投稿案の検討に取り組んでいます。現在は、猿田彦珈琲社がこれまでに行ってきたInstagramやXでの投稿内容やその手法について考察し、特徴を把握する段階まで進んでいます。今後は、猿田彦珈琲 道玄坂店でのフィールドワークを経て、中間発表に臨む予定です。女子大生ならではの視点と分析力に基づく提案が、大きなうねりとなって広がっていくことを、私自身とても楽しみにしています。

連携授業の初回には、大塚社長をはじめ、播田様(取締役 フード&ビバレッジ クリエイティブディレクター)、田岡様(マーケティングディレクター)、平岡様(広報)、上田様(マーケティンググループ)をお迎えしました。
 ご多忙の中、本学までお越しくださいまして、誠にありがとうございました。
 また、冷たいカフェラテと温かいエチオピアコーヒーをご提供いただき、重ねて御礼申し上げます。

2024年8月5日

人とのつながりを大事に。「女性とキャリア形成」の授業で日本マナー・プロトコール協会理事長が人生と企業の選択について講演を行いました。 

大学共通教育科目「女性とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、6月20日に日本マナー・プロトコール協会の明石伸子理事長をお迎えしての特別講演が行われました。大手企業からベンチャー、会社立ち上げまで幅広いキャリアを持つ明石氏は、自身の経験を通して、人の繋がりや人生について幅広くお話されました。

企業をどう見極めるか

本授業は、担当グループの学生たちが進行を行います。司会の学生は「社会に出るとマナーが必要な場面が多いですが、マナーを学ぶ授業はあまりなく私自身もマナーに自信はありません」と話し、「今回の講演で何か一つでも就活や、社会人として役立つものを身に付けたいと思います」と、明石氏にマイクを渡しました。

明石氏も「私が学生のときは、キャリアやマナー教育はなかった」と話し、この授業が貴重な内容であることを強調され、これから就職活動が待っている学生たちに向けて、「就職は人生のターニングポイント」と話し始められました。
明石氏は45年前に日本航空株式会社(JAL)に新卒のCA(客室乗務員)として入社されました。しかしその少し前は「結婚したらCA職をやめなければならない時代もあったそうです」と話します。
また、明石氏が就活をした時は、第2次オイルショックで4年制大学卒の女性は就職活動に苦戦したそうです。最近ではコロナで就職が厳しかった時があったように、「就職活動は、世の中の経済状況に影響されることが多いんです」と明石氏。

今、社会は大きく変わっています。その上で、今後どのような企業が発展していくのかなどを見極めて、企業選びをしてほしいと話します。
また、学生の私たちにとっては知名度がなくても優良な企業があることや、女性活躍を推奨している企業などの調べ方なども紹介してくださいました。

自分はどんなキャリア志向だろう?

「今はいつでもキャリアチェンジできる時代です」と明石氏。転職のハードルは低くなったのは良いこととしつつも、「スタートはやっぱり大事」と強調されました。
明石氏自身も最初に就職した企業がJALで良かったと話しました。
「しっかり教育をする会社だったことが、きっと今につながっていると思います」と言います。

とはいえ「これからキャリアを考えると迷うことが多いですよね」と明石氏。
企業の数は多く、どういう会社が自分に合っているんだろう、と考えるとき、少しでも自分のことを知っているとある程度絞り込みやすいと話しました。
そのひとつとして、自分のキャリア志向を確認することが大事と紹介。
自分は、「チャレンジ志向型」なのか、人と人を結び付ける「プロデューサー型」か、一つのスキルを突き詰めてやっていきたい「専門職型」なのかなどなど。
「仕事も大事だけれど、家庭もしっかり大事にして働きたい人ももちろんいらっしゃるでしょう。自分の仕事に対する志向を知ったうえで、あなたにとっていい会社を見つけましょう」と話しました。

また、すぐにやりたい仕事ややりがいのある仕事ができるわけではないということも忠告。
つらい仕事や好きではない仕事をやらなくてはいけないこともありますが、「逃げない、折れない、継続することが大事」で、渡辺和子氏の「置かれた場所で咲きなさい」という本を紹介されて、まずは与えられた仕事をしっかりやってこそ自己成長に繋がると伝えました。

すべては人で決まる

「会社とは人の集団です」と明石氏は言い、人との関係を大切にすることを伝えました。
「チャンスをくれるのもあなたを評価するのも、相手や周囲の人」と話し、人から好かれ、人としての好感度を高めるポイントを話されました。
その秘訣は「明・元・素」。明るく、元気で、素直なことです。

また「主体的な思考をもつ」ことの大切さも伝えられました。
「なんでもマニュアルに基づいて答えを教えてもらいたいと思う人が多いようですが、正解は1つとは限りません」と言います。
そのためには、何が本質なのか、多角的に物事を見ることが大切だと語りました。
「マナーも時代とともに変わっています。しかしその本質は変わらないんですよ」と明石氏。
マナーの本質は、人と良い関係を築くためにどうしたらいいかを考えること。そのための配慮や心遣いがマナーです。
自分自身が大切にしていることは何なんだろうか、相手はどうして欲しいのだろうか、という判断の基準を持つことで惑わされないようになると話しました。

「みなさんは20歳前後で、結構生きてきた感じがしているかもしれないけれど、皆さんの人生はこれからです」と明石氏。
時間をどう過ごし、人とどう関わっていくかで、人生の輝きが決まると言い、「先が決まっていないという事は、未来は可能性に満ちて開けていると希望を持ってほしい」と講演を結びました。

目の前の仕事に一生懸命に

講演後は質疑応答の時間が設けられました。
学生から「時間の使い方で意識していることは?」という質問に対して、「集中すること。なにかに一生懸命になっていると時間が早く感じられるでしょう。そんな風に何事にも情熱を持って取り組んでみると良いと思います」と回答されました。
「明石氏はどんな基準で仕事をされていますか」という質問には
「一番大事にしているのは「信頼」。信頼を築くのは時間がかかるし大変。しかし頼られることは嬉しいし、信頼してもらえるかどうかが人として大切な基準になります」と答えました。

学生たちは「自分に合った企業をどう選ぶか」という、就職活動に向かう上で大きなヒントを得た講演になりました。

担当教員よりメッセージ

私が企業(資生堂)に勤務していた頃からご縁をいただいていた明石様に今年もご登壇いただきました。多くのご経験から導き出された明石さんからのメッセージの中に、チャンスをくれるのも評価してくれるのも周囲の人であり、そのためには、好感度プラス「明・元・素」、すなわち明るく、元気で、素直であるというお言葉が印象的でした。この場を借りて、明石様に心から感謝申し上げます。

2024年7月26日

ディズニーのファンをもっと増やそう!「キャリアデザイン」の授業でオリエンタルランドとの特別コラボが始まりました。 

3年生対象の大学共通教育科目「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)において、6月11日に東京ディズニーリゾートの経営・運営を行う株式会社オリエンタルランド(以下、オリエンタルランド)のマーケティング開発部長である横山政司氏をお迎えして、特別コラボ授業が行われました。学生たちは、憧れのオリエンタルランドの社員となった気持ちで、実際に企業が現在進行形で考えているリアルな課題解決に挑みます。

海を埋め立てて造られた「東洋一のレジャーランド」

はじめに横山氏は「ディズニーリゾートは世界にいくつあるでしょうか」と学生たちに質問しました。「5つ」「7つ」と答えが出る中で、正解は6つ。
そのうち東京ディズニーランドは3番目に誕生しました。アメリカの国外に初めて出来たディズニーリゾートです。

オリエンタルランドは1960年に設立しました。社名には「東洋一のレジャーランドを作る」という思いが込められています。
創業者がアメリカに視察に行った際、現地のディズニーランドに衝撃を受け「日本の子どもたちにもぜひ体験させたい!」と夢を抱いたところから始まりました。
現在東京ディズニーリゾートのある浦安市は、当時は漁師町。
一帯を埋め立てるため、漁師と粘り強く交渉が行われました。漁業権を放棄してもらうとき、創業者たちは「絶対にあなたたちの海は無駄にはしない」と漁師たちに素晴らしいテーマパークにすることを誓ったそうです。

『本物』にこだわりハピネスを提供する

1964年から埋め立て工事は始まり、1970年に完了。工事が始まって、東京ディズニーランドが開業したのは1983年。
「皆さんが生きてきた時間より長い年月をかけて東京ディズニーランドはできたんです」と横山氏は言います。1981年の当時の社長は「どれだけ時間と費用がかかってもいい」「作る以上はアメリカにあるディズニーランドに勝るものを」という信念があったと横山氏は語りました。

オリエンタルランドの企業使命は「夢、感動、喜び、やすらぎを提供する」。
横山氏は「東京ディズニーリゾートでは、お客様にハピネスを提供することが企業使命の実現に繋がります」と言います。
テーマパークのビジネスモデルは利益を投資に回すスタイル。
利益をさらにアトラクションやイベントなどに投資し、「ハピネスという新たな価値を提供することでまた売上を上げる」というモデルだと説明しました。

どうしたら人口減少しても利益を出せる?

ここで問題になるのが、日本の人口減少です。
テーマパークはお客様に遊びに来てもらわなければいけません。「どうしたら人口が減っても利益を産み、それを投資に循環させてハピネスを提供し続けられるでしょうか」と横山氏は学生たちに問い掛けました。

学生は班でディスカッションをしてそれぞれ案を考えます。
「海外からの集客を増やす」「遠方に住んでいる人へアプローチする」「AIの導入」などさまざまな答えが出ました。
横山氏は「どれも間違いではないです」と言い、他にリピート回数を増やしたり、離脱者を減らしたりという観点を話しました。
そして「これらを実現させるためには、ファンを増やすことが大事です」と言います。

ディズニーファンクラブ会員を増やす施策を考えよう!

横山氏は「東京ディズニーリゾートにファンクラブがあるのを知っていますか?」と質問。
手を挙げたのは数人でした。オフィシャルパークファンクラブである「ファンダフル・ディズニー」は2004年から始まり、現在会員数は約10万人。メンバー限定のグッズがもらえたり、ファンイベントなどに参加出来たりとさまざまな特典がついています。
ただ、若者の会員は多くありません。

そこで、今回の課題は「Z世代のファンダフル・ディズニー会員を獲得する施策を提案する」こと。
「本当にこれは、私の部署で大事な課題になっています」と横山氏。
学生たちは「マーケティング開発部に配属された新入社員となって」課題解決に挑みます。提案資料は、Z世代に会員が少ない原因について仮説をたて、成功すると思える根拠を示す、という実際の企業さながらのものを作成します。

横山氏が「ファンダフル・ディズニーは今年20周年。スペシャル企画をやりたいと考えているので、良い施策があったら採用されるかもしれません」と話すと、学生たちもやる気充分でさっそくグループで話し合っていました。
グループワークを経て約1か月後、最終発表に臨みます。