タグ: 授業

2024年8月5日

人とのつながりを大事に。「女性とキャリア形成」の授業で日本マナー・プロトコール協会理事長が人生と企業の選択について講演を行いました。 

大学共通教育科目「女性とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、6月20日に日本マナー・プロトコール協会の明石伸子理事長をお迎えしての特別講演が行われました。大手企業からベンチャー、会社立ち上げまで幅広いキャリアを持つ明石氏は、自身の経験を通して、人の繋がりや人生について幅広くお話されました。

企業をどう見極めるか

本授業は、担当グループの学生たちが進行を行います。司会の学生は「社会に出るとマナーが必要な場面が多いですが、マナーを学ぶ授業はあまりなく私自身もマナーに自信はありません」と話し、「今回の講演で何か一つでも就活や、社会人として役立つものを身に付けたいと思います」と、明石氏にマイクを渡しました。

明石氏も「私が学生のときは、キャリアやマナー教育はなかった」と話し、この授業が貴重な内容であることを強調され、これから就職活動が待っている学生たちに向けて、「就職は人生のターニングポイント」と話し始められました。
明石氏は45年前に日本航空株式会社(JAL)に新卒のCA(客室乗務員)として入社されました。しかしその少し前は「結婚したらCA職をやめなければならない時代もあったそうです」と話します。
また、明石氏が就活をした時は、第2次オイルショックで4年制大学卒の女性は就職活動に苦戦したそうです。最近ではコロナで就職が厳しかった時があったように、「就職活動は、世の中の経済状況に影響されることが多いんです」と明石氏。

今、社会は大きく変わっています。その上で、今後どのような企業が発展していくのかなどを見極めて、企業選びをしてほしいと話します。
また、学生の私たちにとっては知名度がなくても優良な企業があることや、女性活躍を推奨している企業などの調べ方なども紹介してくださいました。

自分はどんなキャリア志向だろう?

「今はいつでもキャリアチェンジできる時代です」と明石氏。転職のハードルは低くなったのは良いこととしつつも、「スタートはやっぱり大事」と強調されました。
明石氏自身も最初に就職した企業がJALで良かったと話しました。
「しっかり教育をする会社だったことが、きっと今につながっていると思います」と言います。

とはいえ「これからキャリアを考えると迷うことが多いですよね」と明石氏。
企業の数は多く、どういう会社が自分に合っているんだろう、と考えるとき、少しでも自分のことを知っているとある程度絞り込みやすいと話しました。
そのひとつとして、自分のキャリア志向を確認することが大事と紹介。
自分は、「チャレンジ志向型」なのか、人と人を結び付ける「プロデューサー型」か、一つのスキルを突き詰めてやっていきたい「専門職型」なのかなどなど。
「仕事も大事だけれど、家庭もしっかり大事にして働きたい人ももちろんいらっしゃるでしょう。自分の仕事に対する志向を知ったうえで、あなたにとっていい会社を見つけましょう」と話しました。

また、すぐにやりたい仕事ややりがいのある仕事ができるわけではないということも忠告。
つらい仕事や好きではない仕事をやらなくてはいけないこともありますが、「逃げない、折れない、継続することが大事」で、渡辺和子氏の「置かれた場所で咲きなさい」という本を紹介されて、まずは与えられた仕事をしっかりやってこそ自己成長に繋がると伝えました。

すべては人で決まる

「会社とは人の集団です」と明石氏は言い、人との関係を大切にすることを伝えました。
「チャンスをくれるのもあなたを評価するのも、相手や周囲の人」と話し、人から好かれ、人としての好感度を高めるポイントを話されました。
その秘訣は「明・元・素」。明るく、元気で、素直なことです。

また「主体的な思考をもつ」ことの大切さも伝えられました。
「なんでもマニュアルに基づいて答えを教えてもらいたいと思う人が多いようですが、正解は1つとは限りません」と言います。
そのためには、何が本質なのか、多角的に物事を見ることが大切だと語りました。
「マナーも時代とともに変わっています。しかしその本質は変わらないんですよ」と明石氏。
マナーの本質は、人と良い関係を築くためにどうしたらいいかを考えること。そのための配慮や心遣いがマナーです。
自分自身が大切にしていることは何なんだろうか、相手はどうして欲しいのだろうか、という判断の基準を持つことで惑わされないようになると話しました。

「みなさんは20歳前後で、結構生きてきた感じがしているかもしれないけれど、皆さんの人生はこれからです」と明石氏。
時間をどう過ごし、人とどう関わっていくかで、人生の輝きが決まると言い、「先が決まっていないという事は、未来は可能性に満ちて開けていると希望を持ってほしい」と講演を結びました。

目の前の仕事に一生懸命に

講演後は質疑応答の時間が設けられました。
学生から「時間の使い方で意識していることは?」という質問に対して、「集中すること。なにかに一生懸命になっていると時間が早く感じられるでしょう。そんな風に何事にも情熱を持って取り組んでみると良いと思います」と回答されました。
「明石氏はどんな基準で仕事をされていますか」という質問には
「一番大事にしているのは「信頼」。信頼を築くのは時間がかかるし大変。しかし頼られることは嬉しいし、信頼してもらえるかどうかが人として大切な基準になります」と答えました。

学生たちは「自分に合った企業をどう選ぶか」という、就職活動に向かう上で大きなヒントを得た講演になりました。

担当教員よりメッセージ

私が企業(資生堂)に勤務していた頃からご縁をいただいていた明石様に今年もご登壇いただきました。多くのご経験から導き出された明石さんからのメッセージの中に、チャンスをくれるのも評価してくれるのも周囲の人であり、そのためには、好感度プラス「明・元・素」、すなわち明るく、元気で、素直であるというお言葉が印象的でした。この場を借りて、明石様に心から感謝申し上げます。

2024年7月26日

ディズニーのファンをもっと増やそう!「キャリアデザイン」の授業でオリエンタルランドとの特別コラボが始まりました。 

3年生対象の大学共通教育科目「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)において、6月11日に東京ディズニーリゾートの経営・運営を行う株式会社オリエンタルランド(以下、オリエンタルランド)のマーケティング開発部長である横山政司氏をお迎えして、特別コラボ授業が行われました。学生たちは、憧れのオリエンタルランドの社員となった気持ちで、実際に企業が現在進行形で考えているリアルな課題解決に挑みます。

海を埋め立てて造られた「東洋一のレジャーランド」

はじめに横山氏は「ディズニーリゾートは世界にいくつあるでしょうか」と学生たちに質問しました。「5つ」「7つ」と答えが出る中で、正解は6つ。
そのうち東京ディズニーランドは3番目に誕生しました。アメリカの国外に初めて出来たディズニーリゾートです。

オリエンタルランドは1960年に設立しました。社名には「東洋一のレジャーランドを作る」という思いが込められています。
創業者がアメリカに視察に行った際、現地のディズニーランドに衝撃を受け「日本の子どもたちにもぜひ体験させたい!」と夢を抱いたところから始まりました。
現在東京ディズニーリゾートのある浦安市は、当時は漁師町。
一帯を埋め立てるため、漁師と粘り強く交渉が行われました。漁業権を放棄してもらうとき、創業者たちは「絶対にあなたたちの海は無駄にはしない」と漁師たちに素晴らしいテーマパークにすることを誓ったそうです。

『本物』にこだわりハピネスを提供する

1964年から埋め立て工事は始まり、1970年に完了。工事が始まって、東京ディズニーランドが開業したのは1983年。
「皆さんが生きてきた時間より長い年月をかけて東京ディズニーランドはできたんです」と横山氏は言います。1981年の当時の社長は「どれだけ時間と費用がかかってもいい」「作る以上はアメリカにあるディズニーランドに勝るものを」という信念があったと横山氏は語りました。

オリエンタルランドの企業使命は「夢、感動、喜び、やすらぎを提供する」。
横山氏は「東京ディズニーリゾートでは、お客様にハピネスを提供することが企業使命の実現に繋がります」と言います。
テーマパークのビジネスモデルは利益を投資に回すスタイル。
利益をさらにアトラクションやイベントなどに投資し、「ハピネスという新たな価値を提供することでまた売上を上げる」というモデルだと説明しました。

どうしたら人口減少しても利益を出せる?

ここで問題になるのが、日本の人口減少です。
テーマパークはお客様に遊びに来てもらわなければいけません。「どうしたら人口が減っても利益を産み、それを投資に循環させてハピネスを提供し続けられるでしょうか」と横山氏は学生たちに問い掛けました。

学生は班でディスカッションをしてそれぞれ案を考えます。
「海外からの集客を増やす」「遠方に住んでいる人へアプローチする」「AIの導入」などさまざまな答えが出ました。
横山氏は「どれも間違いではないです」と言い、他にリピート回数を増やしたり、離脱者を減らしたりという観点を話しました。
そして「これらを実現させるためには、ファンを増やすことが大事です」と言います。

ディズニーファンクラブ会員を増やす施策を考えよう!

横山氏は「東京ディズニーリゾートにファンクラブがあるのを知っていますか?」と質問。
手を挙げたのは数人でした。オフィシャルパークファンクラブである「ファンダフル・ディズニー」は2004年から始まり、現在会員数は約10万人。メンバー限定のグッズがもらえたり、ファンイベントなどに参加出来たりとさまざまな特典がついています。
ただ、若者の会員は多くありません。

そこで、今回の課題は「Z世代のファンダフル・ディズニー会員を獲得する施策を提案する」こと。
「本当にこれは、私の部署で大事な課題になっています」と横山氏。
学生たちは「マーケティング開発部に配属された新入社員となって」課題解決に挑みます。提案資料は、Z世代に会員が少ない原因について仮説をたて、成功すると思える根拠を示す、という実際の企業さながらのものを作成します。

横山氏が「ファンダフル・ディズニーは今年20周年。スペシャル企画をやりたいと考えているので、良い施策があったら採用されるかもしれません」と話すと、学生たちもやる気充分でさっそくグループで話し合っていました。
グループワークを経て約1か月後、最終発表に臨みます。

2024年2月2日

耕作放棄地をどう活用する?英文学科の授業でどろんこ会の課題に対するプレゼンテーションが行われました。 

12月8日に文学部英文学科対象の「実践キャリアプランニング」(担当:髙橋裕樹特任教授)の授業で、社会福祉法人どろんこ会(以下、どろんこ会)との特別授業が行われました。この日は、どろんこ会代表の高堀雄一郎氏の前で、前回の授業で出されていた「耕作放棄地が年々増えている現状に対してどのように対応するべきか考える」という課題について、学生たちは緊張の面持ちで発表に臨みました。
 ~前回の授業はこちら~

 ※耕作放棄地とは:「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付け(栽培)せず、この数年の間に再び作付け(栽培)する意思のない土地」と定義されています。

農地バンクやキャンプ場などで活用

最初の発表はグループ6から。
耕作放棄地を農地バンクとソーラーシェアで活用する案を出しました。
農地バンクとは、耕作放棄地を登録し農地のレンタルを支援する制度。並行して農地に太陽光パネルを設置するソーラーシェアを行うことで、災害時に非常用電源にもなると発表しました。

発表後は高堀氏から講評をいただき「話題になっている解決法でよく調べていると思いました」とコメントされました。

次のグループ4は、農業を行いながらできる、少人数でコストがかからないことを条件として案を考え、人気のあるバレルサウナとキャンプ場の経営を提案しました。
人件費など経費も計算し、初期費用が回収できる期間の目安も伝え、実現可能性を伝えました。
またSNSで広告を展開し、宣伝することも計画することを伝えました。

高堀氏は「経費や販売価格などもきちんとよく調べているし、ただ案と考えるだけでなく宣伝するところまでも考えていた」と感嘆のコメントを述べました。

後継者を育てるには?

グループ3は、農業の後継者の確保を課題に定め、耕作放棄地を農業高校や大学の農学部の実習地とすることを提案。
海外での農業トレーニングの取組や、新潟の農業高校で行われている農業キャンパスツアーなどを例に出し、実習の時間を多くとることで、若者が農業により関心を持つとしました。

高堀氏は「農家出身の方がいるのかと思ったくらい、実感がありました」とプレゼンに感心。
「高校生に限らず農業に携わりたい人が学べる場があった方が良いということにハッとしました」と着眼点の良さを褒められました。

続いてグループ7は、近くにコテージを立てリゾートとして貸し出すレンタル菜園や、農場が併設されている福祉施設ケアファームに活用することを提案しました。
また修学旅行に農業体験を取り入れることで、若者に農業に触れてもらう機会を増やすことも提言しました。

高堀氏は「山間部の放棄地は、上下水道や電気などの設備を整えることを考えると現実には難しいかも」と懸念点もあることを伝えました。

提案のデメリットも考えてみよう

グループ9は、若い層に農業の魅力を伝える行事が必要と提案。
若者も楽しめる観光、体験農園を作ることを伝えました。

高堀氏は「観光面では常に人が来るかどうかは難しい」と実際にはハードルが高いことを伝えました。

次のグループ8は、管理の手間が少なく、初期費用も抑えられるトランクルーム経営をプレゼン。
また、今後の目標としては耕作放棄地の現状を広めることが必要と伝えました。

高堀氏は「トランクルームは都市部では人気があるが、地方では土地があるためなかなか需要がない」とデメリットも伝えました。

グループ5は、義務教育の「総合」の授業で農業を取り入れ、都内近郊の耕作放棄地を授業で利用することを提案しました。
山間部の耕作放棄地は大型農具を練習する教習所として活用すること、コンバインなどは練習する場所がないため農業初心者が利用できるようにします。
また、殺処分前の競争馬を引き取り、乗馬教室も併設することで収益も考えました。

高堀氏からは「馬というアイデアは斬新。エコにも配慮されていて、ヤギや馬の活用は大まじめに考えられる方法。プレゼンがうまかった」と褒められました。

どうやって利益を上げるか

グループ2はどろんこ会の取組を考慮し、高齢者介護施設を併設し農業を活用することを提案しました。
高齢者の認知症予防や運動にも利用できるとしました。

高堀氏も「障がい者や高齢者施設との組み合わせはどろんこ会としてもやっていきたいと感じました」と共感しました。

最後のグループ1は、農地バンクなどの複雑なシステムに抵抗感を感じてしまうことが問題と定義。
施設を作るなどの案ではなくまずは若者に耕作放棄地の問題を伝え、農業を身近に感じられるよう魅力を伝えることが大事としました。

高堀氏は「農業で収入をどうやってあげるかが大事。そのポイントをもっと深堀出来ていればさらに良かった」と着眼点の良さを感心されました。

ITや営業力も農業には大切

全グループの発表が終わり、どろんこ会の皆様が各グループを採点。
高堀氏から優秀なアイデアだったグループが発表され、グループ4が選ばれました。
グループ4の発表は「経費や販売価格などもきちんとよく調べていて、うちの事業部にきてほしいと思ったくらい。提案も話題になりそうな内容だった」と絶賛されました。
最優秀賞を受賞したグループ4のメンバーには減農薬の南魚沼産コシヒカリがプレゼントされます。

授業の最後に、高堀氏から「皆さんお疲れさまでした」とねぎらいの言葉がかけられました。
「耕作放棄地に関しては、正解の答えがあるものではない。どろんこ会もやっていることが本当に正しいのかわからないが手探りでやっています」と話され、法人化などをして組織力を向上することの大切さを伝えました。
「そのためには実地で農業する人だけでなく、広報力、営業力、IT技術も必要。そういった分野の人にどんどん農業に参画してもらうことも大事です」と農業を広めるための課題を、学生たちにも共有しました。

学生からのコメント

課題解決型の授業を経験したことがなかったため、現状分析から具体策を提案するまでの工程がいかに大変なものか、深く理解するきっかけへと繋がった。
当日までに満足のいく状態まで準備をすることができたと考えるが、チームで協力をして行うことの難しさを強く実感した。
他の授業でのグループディスカッションやプレゼンテーションにおいても非協力的な人はいるが、全員で協力をすることによってより多種多様な意見が生まれると考える。
したがって今回のプレゼンテーションにおいて、グループメンバーにさらに働きかけることが必要であったと考え、少し反省をした。当然ながら意見を求めることはしたが、新たな意見が出なかったり、担当を申し出てくれる人がいなかったり、今回のプレゼンテーションを通して、私自身のグループをまとめる力や意見を引き出す力がないことが明確になり、少し悲しさを覚えた。
しかし、自分自身で最後までやり遂げられたことで自信が得られ、またグループのリーダーを務めることに今まで以上に抵抗がなくなったため、1位を取ることができなくても得られたものは大きく、良い経験となった。今後は働きかける力を養い、自分の意見も主張しながら、協力をしてプレゼンテーションやディスカッションを遂行していきたい。

担当教員からのメッセージ (大学教育研究センター 特任教授 髙橋裕樹)


後期の英文学科の企業連携プログラムには、全国に子育て支援施設約160カ所運営されているどろんこ会グループの高堀雄一郎様にお越しいただき、「インクルーシブ教育を阻む教育課題」や「耕作放棄地」という社会課題について問題提起していただき、グループに分かれ課題解決プレゼンテーションを実施し、最優秀グループに表彰と賞品をいただきました。
お忙しい中、ご参加いただき感謝申し上げます。

2024年2月2日

原材料から育てるこだわりを知る。「国文学マーケティングプロジェクト」の授業で叶 匠壽庵とのコラボ授業が行われました。~後編~ 

2023年11月に、文学部国文学科「国文学マーケティングプロジェクト」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業の一環として、連携企業である株式会社 叶匠寿庵(以下、叶匠庵)の本社がある滋賀県大津市の『寿長生の郷』を訪問しました。 当日は、角田人事部長からのオリエンテーションに続き、西垣執行役員からの講話、社員による施設視察、そして陶器づくりなど、約5時間の滞在期間をフルに活用し、企業の理解に繋げる内容を体験しました。その後、舞台は再び渋谷キャンパスに戻り、学生たちは課題として出されていた叶匠庵の「企業案内」を制作しプレゼンに挑みました。
 ~前編はこちら~

『寿長生の郷』訪問

国文学科の学びとビジネスを結び付けるという全く新しい視点でスタートした「国文学マーケティングプロジェクト」の最大の山場に位置付けた視察研修、4回目を迎えた本年は、新型コロナウイルスの状況も落ち着いており、また、昨年に続き最高の天候にも恵まれ、履修学生9名とともに素晴らしい体験をさせていただきました。叶匠壽庵様は、本年も本学への対応について、芝田社長をはじめ多くの社員の方からは最大限のご配慮とおもてなしをいただき、意義ある時間となりました。

商品名、広報誌、そして包装紙など、様々な部分に万葉集とのつながりがあるなど、国文学と現代企業に極めて深い関係性を再認識するなど、この授業で目指した学びへの進化に繋がったものと考えています。 学生たちは、この視察研修で得た知見や学びを生かし、それぞれの感性や美意識を生かした「企業案内」の制作に取組みます。

学生の声

 お菓子に使用する梅、柚子、蓬などを自社で作り、良い素材から良い商品を作っている様子を実際に見ることができました。また、自然や昔からある建物、道具をできる限りそのままの形で残していくための取り組みを肌で感じ、今社会に求められている持続可能性が如何に当たり前にしなければならないことなのかを改めて考えました。

 今回の訪問を通して、企業理念から伝統文化まで幅広く学ぶことができました。とくに農作物を育てたり、動物を飼ったりと、全て自らの手で取り組んでいることを知り、意識の高さを痛感しました。また、社内の人と連携をとりそれぞれが個性や強みを活かして働ける場所であると感じました。このように、今回感じたことを就活にも活かして行きたいと思います。

 視察を通し、現地では里山に残る自然だけでなく、社会の未来についても考え実践する企業の姿に感動しました。また今回数多くお会いした社員の方々の仕事への真摯な姿勢を拝見したことで、自分の考える社会人像がより明確に固まりました。

最終プレゼンテーション

1月11日の授業では、叶匠壽庵の角田人事部長、伝統工芸士の吉田様に、オンラインでご参加いただき、8名の学生が作成した「企業案内」のプレゼンテーションを行いました。バラエティー豊かなそれぞれの作品に対し、両氏から温かいフィードバックをいただきました。

そしてこの授業のフィナーレは、吉田氏のご指導のもと、『寿長生の郷』で制作に取り組んだ陶器の披露でした。2か月にわたり、心を込めて焼き上げていただき完成した陶器をみて学生も感動の声を挙げていました。
世界に一つのオリジナル陶器を手元に、角田部長と吉田様を囲んでの記念撮影を行い、授業は終了しました。

学生の感想

今回この授業を受けて、国文学をマーケティングに活かしている企業があることを知ることができたことがまず私にとっては大きかったです。専門性を活かすのはとても難しいし、ほとんどの国文学生は一般企業に就職しますし、おそらく私もそうだろうと思っていました。しかし、一般企業に入っても大学で学んだ国文学の専門知識が活かせるかもしれないと知ることができて、企業選びの一つの基準にもなりました。また、国文学がマーケティングを学ぶきっかけにもなりました。マーケティングと聞くと身構えてしまい、今後のために必要な知識だとは分かっていながら積極的に学ぼうとはしてきませんでした。しかし今回、資生堂や叶匠壽庵の国文学を活かしたマーケティングの講義を聞き、また『寿長生の郷』を訪れて興味を持ちました。持続可能で長く愛される場所・商品・企業や、従業員の方同士のコミュニケーション、お客様との交流を間近でみることができました。教室での座学やインターネットで調べるだけでは分からないよりリアルな姿を知ることができたのが良かったです。

近年ではインターネット上に様々な情報が溢れ、その影響を無意識のうちに受けていたのか就職活動を進める程、どこか自分の軸ではなく、他人から見てどこがいいのかと考え、経済的・時間的ゆとりのある人間になりたいような、自信がないからこそ人に決めてもらいたい気持ちが増えてきていました。しかし、叶匠壽庵様に伺った際に改めて自分軸で幸せな人生を作る大切さ、角田部長の言われた「自分らしく働ける場所」の大切さを考えさせられました。就職活動を行う中で大企業、専門職など働いている人が凄く特別な人に自分にはなりえないような大人だと感じられますが、その人も普通の人で自分と同じように悩み考えている人間だと認識でき、そのことから「自分を変に着飾らなくていい」と言われているように思いました。

本講義を受けて、「自分らしく働ける場所」「無理のない背伸び」「自分の本当の軸」を大切に着飾らなくていいような業界や業種を見つけていきたいと思いました。また深澤先生自身も何十年もたって教師として大学に勤めているということを聞き、焦らず「今」の納得内定先を見つけていきたいと思います。

担当教員からのメッセージ

この講座も今年で4回目、資生堂の大木企業資料館長、叶匠壽庵の角田人事部長をはじめ、本当に多くの方に支えられていることを改めて深く感じています。これも、資生堂様や叶匠壽庵様が、人を大切にする経営を実践されているからであり、その温かさは年々増していることすら感じています。

そのような中、今年も9名の国文学科3年生が履修してくれました。渋谷キャンパスでの講義、『寿長生の郷』の訪問など、多くの経験を通じて学びを深めてくれたものと感じます。普段学んでいる国文学というものの大切さを、企業活動を通して実感することが出来れば、今の学びの深みや重要性に対する理解がより高まるものと考えています。

本講座に関わって下さった全ての方と、真摯な姿勢で授業に臨んでくれた学生に感謝いたします。

2024年1月19日

やりたいと思ったらすぐチャレンジしてみよう!「実践キャリアプランニング」の授業で英文学科OGによる社会人1年目の経験を伺いました。 

11月17日に共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で英文学科の卒業生である徳山瑠奈さんが講演を行いました。今年の4月に株式会社エービーシー商会(以下、ABC商会)に入社してからのやりがいや苦労、学生時代の活動など、学生たちの身近な先輩として経験を話されました。授業の最後には質疑応答も行われ、これから就活に向かう学生たちにとって参考になる授業となりました。

ABC商会ってなんの会社?

徳山さんは2023年3月に文学部英文学科を卒業したばかり。
趣味は一人旅で「最近は中国地方に行き瀬戸内海を一周したり、カメラ片手に全国を回るのが好きです」と話しました。
「皆さんに近い存在の社会人かなと思いますので、参考にしていただけたら嬉しいです」と講演が始まりました。

徳山さんは今年4月にABC商会に入社しました。
「ウソみたいな名前ってよく言われるんですが、ABC商会が本当の名前です」と徳山さん。建材を扱う専門商社です。
建材とは、床や壁、天井など建物の内装・外装に使われる建築資材のこと。トイレのカウンターなど備え付けの資材も含まれます。

キャッチフレーズは「ABC商会の商品の上を歩いたことのない人はいない」。
商品幅が広く、誰もが一度は利用したことがあるような主要な駅や商業施設、テーマパーク、有名なカフェなど多くの場所にABC商会の建材が使われています。意外なところでは仮設の通路の壁などにも。
徳山さんは「地震に耐えうる金属素材として、こんなところにも使われたりしています」と紹介しました。

宣伝部で奮闘中!

徳山さんが配属されたのは宣伝部。
広く一般に向けたCMではなく、建築関係の企業向けの宣伝を行っています。建築雑誌や総合カタログの広告、ショールームや展示会の企画を考えています。

また、施工例の写真や動画を作成し、営業が取引先の企業に見せる資料なども製作。
浅草駅での撮影に同行したときは、電車と施工品が同時に写るよう、電車の来る時間を確認したり通行人に配慮したりといった対応を行ったと話しました。
「屋外の撮影の場合は天候も関係するので、全国の天気を確認することも私の仕事の一つです」と語りました。

とにかく何でもチャレンジしよう

徳山さんの大学生活はコロナ禍真っただ中。
あまり外部で活動できない中、インパクトのあるエピソードとなったのが岩手県久慈市の闘牛大会にボランティアで参加したこと。
その他にも、深澤教授の授業の繋がりでラジオニッポンの番組に出演したり、オリンピックで視覚障害の方をサポートしたりなど多くのことに挑戦しました。また、半月ほど一人で沖永良部島に有償ボランティアも経験。

「自分が決めて取り組んだ経験は自分を形作る糧となる」と徳山さんは話します。
「自分でやってみようと思ってチャレンジした経験は、成功失敗に関わらずその行動自体が立派な起承転結のエピソードになるのかなと思います」と、自分は何が好きか、何が得意かといったプラスのことだけでなく、自分の苦手なことなども分かったと語りました。
「大学時代はあっという間なので、やりたいと思ったことはすぐに行動に移していって欲しいなと思います」とアドバイスしました。

就活も納得いくまでやりきって

そんな徳山さんがABC商会に入社したきっかけは風景写真でした。カメラで撮影するうちに、背景や空間に写る素材に興味を持つようになったと言います。
人々や地域に寄り添った空間を提供したい、と考えABC商会に入社。社会人として半年ほどが経ちました。

「似たような仕事はあっても同じものはないので正解がない。年代や経験も違う人たちの意見のすり合わせが難しいです」と苦労も語ります。自分が今求められているのは、新しい視点や意見を伝えていく力だと痛感していると話しました。
ただ、「携わった仕事が目に見えるカタチとなるとやってよかったと思います」とやりがいも語りました。

就活に向かう学生たちに向けてのメッセージは、何を重視するかを明確にすること。自分の納得のいく結果まで諦めず、最後までやりきって欲しいと話しました。
「就活は苦しいイメージがあると思うけど、自分を知れるいいチャンスです」とエールを送りました。

就活についての質問がたくさん

各グループでディスカッションをした後、質疑応答の時間が取られました。アンケート機能を使って、学生達から沢山の質問や感想を送られました。
「就活で資格は役に立ちましたか?」という質問には、徳山さんは「マナープロトコール検定はホスピタリティ業界を目指すには良いと思うし、意外と休憩中の姿勢や身なりも見られています。マナーの第一ステップは身に付けるべき」と回答。

「入社の決め手は?」という質問には、「社内の雰囲気。面接のときに実務に関わっている方の話を直接聞けたことによりイメージが出来た」と話します。「自分が学生の時、雰囲気で決めたという回答には疑問があったんですが、直感や雰囲気もやっぱり大事です」と続けました。

「コロナ禍じゃなかったら何をしていた?」との質問には「留学していたかも」と話し、「自分は大学生活やり切ったと思っていたけれど、今考えるともっとできたこともあったかもと思うし、人生の過ごし方は違う選択肢もあるかもしれないと思って過ごしてください」と語りました。

学生たちにとって、非常に参考になった実りある講演となりました。

担当教員からのメッセージ

徳山さんのことを漢字一文字で表すとしたら「動」だと思います。とにかく、興味があっても、それほどなくても、まずは一歩踏み出して行動すること、このことの大切さを教えてくれた学生さんでした。ちょうどコロナの時に入学された世代、辛いことも沢山あったと思いますが、そのことを乗り越えて、充実した学生生活を過ごされ、社会でも、順調に一歩一歩成長されている姿には、頼もしさすら感じられました。これからも後輩の良きロールモデルとして、さらなる飛躍を期待したいと思います。ありがとうございました。

2024年1月17日

ウェルビーイングについて学ぶ! JWP研究会が女子大生フォーラム「What is Well-Being~自分を輝かせるキャリアの描き方2023~」を開催しました。 

12月25日(月)に実践Well-Beingプロジェクト研究会(以下、JWP研究会)によるウェルビーイングフォーラム「What is Well-Being~自分を輝かせるキャリアの描き方2023~」が開催されました。本フォーラムはJWP研究会の有志の学生が企画・運営を行い、実践女子大学のほか聖心女子大学や明治学院大学の女子学生、実践女子学園高等学校と京都市立日吉ケ丘高等学校のメンバー総勢40名が参加。ゲスト講師にEVOL株式会社代表の前野マドカ氏をお迎えし、ウェルビーイングについての理解を深めました。また、講演やグループワークの内容をアウトプットするために参加者一人一人に自分がどういった際にウェルビーイングな状態になるか考えてもらいました。最後には、ビンゴ大会を行って大盛り上がりで計3時間のフォーラムを終えることができました。

JWP研究会の活動は?

はじめに今回の企画運営を行う7名の学生たちから、本フォーラムの説明がありました。

JWP研究会も今年は3年目。女性がキャリアを築き自信をもって人生を歩んでいくために、より自分自身に目を向けることが大切と考え、様々な角度からウェルビーイングへの学びを深めることを重点に活動してきました。

「本フォーラムでは、大学生と高校生が交流を図りつつ、一人一人の参加者が自分自身にとってのウェルビーイングを深く考える機会にしたいと考えています」と開催の主旨を伝えました。 そして、早速、ゲストの前野マドカ様の講座がスタートしました。

自分を輝かせるキャリアの描き方とは

JWP研究会では発足当初に、ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司氏にお話を伺う機会があり、そのご縁でパートナーである前野マドカ氏に2023年2月に引き続き講演をお願いしました。マドカ氏も隆司氏に感化され幸せの研究を始め、現在では幸せを広めるワークショップやプログラムを開発されています。

前向きな人は創造力や生産性も高く、周りに良い影響を与えるという研究結果があります。「幸せは移ります。皆さん覚えておいてくださいね」と前野氏。では幸せな人とはどんな人でしょう。それは夢や目標を持ち、多様な人とつながりを大切にして前向きに自分らしく生きる人のこと。

「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」が幸せの4つの因子です。

人間は、ないもの・苦手なもの・できないことに目が向いてしまう生き物。しかしそれでは幸せになれません。自分にあるもの、得意なもの、できていることに目を向けることが大切と言います。

「自分の良さや強みは意外と自分では分からないので友達や家族に聞いてみましょう」前野氏はアドバイスを送りました。

ハーブティーを味わう

今回の初めての試みは、前野マドカ様にご用意いただいたハーブティーを楽しむことです。オリジナルブレンドのハーブティーを、本当にゆっくりと味わいながらいただく、まさに五感を研ぎ澄ましながらということになります。
日頃、時間に追われながら過ごしている我々にとって、味、香り、音など、静かに味わうことの大切さを感じる瞬間でした。

「Well-Beingダイアログカード」使った幸福度を高めるワークショップ

ここで、前野氏がグループに1セットずつWell-Beingダイアログカードを配りました。幸福度研究に基づいて作られたカードにはそれぞれ問が書かれています。

例えば「自分にありがとうと言いたいことは?」「本気で取り組んでいることは?」「人生をかけて成し遂げたいことは?」など。

答えを考えることで自分自身の大切なことや軸について知ることができるカードです。グループごとで話し、他の意見を聞くことで幸福度を高めていきます。

対話は盛り上がり、自然と拍手が出るグループも。それぞれグループで対話したあと、感想を発表しました。

Well-Being宣言!

フォーラムの最後には参加者全員が「Well-Being宣言」を行いました。

自分自身にとってのウェルビーイングを考え、言語化できるようにします。

開催日がちょうどクリスマスでもあったため、幹事グループのメンバーが用意したのは、クリスマスツリーを彩るオーナメント型の用紙、それぞれの思うウェルビーイングを宣言。グループ内で発表し合います。全員分の「Well-Being宣言」は幹事作成のオリジナルクリスマスツリーに貼り付け、可愛らしく飾られました。

最後に参加者から、

チームのメンバーがみんな明るくてグループワークの会話が弾んで楽しかったです。4つのマークのカードを使って自分の意見を共有するワークでは、みんな自分と違う考えを持っていたのが印象的で面白いと思いました。また、最初の1口を味わうマインドフルテイスティングは、食べることが大好きな私にピッタリだと思い、これからも取り組んでみたいと思いました。(大学生)

長続きする幸せと、すぐに消えてしまう幸せがあるというお話がとても印象に残りました。また、周りの目を気にしすぎてしまうところがあるので気にしないように自分を優先して行動するようにしていたのですが、自分の性格が悪くなったような気がしていました。「ありのまま」でいるだけでなく、繋がりに感謝する心も持たなければいけないと気づくことができたのは、大きな発見だったと思います。それから、やってみよう!と頑張る時間と、今の幸せに浸る時間のバランスが大事だというお話も興味深かったです。私はどちらかに傾いてしまうことが多かったので、バランスを意識してみようと思いました。普段関わる機会のない高校生の方と話すこともできて、とても刺激的で楽しい時間でした。(大学生)

1日の中で自分と向き合う時間を取ることはとても大切な事だと思った。どれだけ忙しくても落ち着く時間を10分くらいは取る事で心に余裕が生まれやるべき事の生産性も上がると思う。(高校生)

今回のワークショップで、日々の生活をよりプラスで豊かにする方法を学ぶことができて良かったです。個人的にはなんとかなるの精神を持つことが苦手なので、今回の質問を自分にも投げかけ、少しずついい意味で柔らかい思考を持てるようになりたいなと思いました。(大学生)

普段の日常生活と幸せとの繋がりや普段からできる自分との向き合い方を楽しく自分から学ぶことができました。班の皆さんとの交流がとても楽しくていい人たちばかりだったのでいい経験ができました。(高校生)

交流会

最後には、ビンゴ大会でのクリスマスプレゼント、お菓子を食べながらのビンゴ大会は盛り上がりました。

前野氏は「自分をいい状態にすることを、しっかり考えてくれてとても嬉しいです。全員に応援メッセージを送りたい」と語り、ウェルビーイングフォーラムは終了しました。

企画・運営した学生たちの話

私は去年、参加者側として参加して、今年は企画・運営から携わってみたいと考えて運営メンバーに応募しました。事前の打ち合わせから当日まで時間がない中で、メンバー全員と話し合いながらコツコツ準備を進めていきました。今年は高校生がいる中で、どうやったら参加者全員が楽しめて学びになるフォーラムになるか何度も考えて創りあげていきました。当日は緊張しながらも、司会進行を務めてフォーラムをスムーズに進められるよう努めました。自分達が企画したフォーラムが形になっていく様子を肌で感じ、自分自身も楽しく、感動したのを覚えています。
フォーラムの最後には、参加者の方から「とても楽しかった」と言ってもらい嬉しかったです。貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました!(人間社会学部人間社会学科)

ウェルビーイングフォーラム初参加という中で、運営メンバーのリーダーという、重要な役割を務めさせていただきました。講師の前野様とも直接連絡をとらせていただき、サポートいただきながら企画してまいりました。私は去年のウェルビーイングフォーラムに参加していなかったので、不安もありましたが、去年参加したメンバーから意見をもらいつつ、メンバー全員で工夫しながら企画や運営を進め、最終的に参加者の方から「楽しかった」と言ってもらうことができ、大変うれしく思いました。また、ウェルビーイングの考え方が注目されている中、大学生のうちから理解を深めるだけでなく、このようなフォーラムの企画や運営に携わることができ、貴重な経験をさせていただきました。(生活科学部現代生活学科)

深澤晶久教授の話

2021年度に立ち上げた「JWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)研究会」も3年目を迎えました。

2020年責任世代である私自身が、2050年責任世代である学生たちに、少しでも良い形でバトンを渡したい、そんな想いから辿り着いたのが「Well-Being」でした。なかでもメンバー自らが企画立案に携わり、一つの形に仕上げる。いわばプロジェクト・マネジメントの経験が今回の「ウェルビーイングフォーラム」でした。企画から運営まで、まさにプロジェクト・マネジメントをやり遂げてくれた学生たちの姿に、大きな成長を感じるとともに、頼もしさまで身に着けてくれました。

この企画にお力添えいただいた前野マドカ様に、この場を借りて心から感謝申し上げます。そして、参加してくれた学生・生徒の皆さんにとって、さらにウェルビーイングな時間が沢山訪れることを祈ります。

2023年11月24日

大学生の今、考えよう!「グローバルキャリアデザイン」の授業でマイナビ顧問による「なぜ働くのか」を問う講演が行われました。

共通教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、10月13日に株式会社マイナビ(以下、マイナビ)顧問の浜田憲尚氏による講演が行われました。就職活動で利用必須のサービスを提供している企業の方のお話に学生たちも興味津々です。就職活動を前にした学生たちは改めて「働くとは何か」「なぜ働くのか」を考えるきっかけとなりました。

「働く」を考えるには今しかない!

浜田氏による講演はこの授業でも恒例となってきつつありますが「学生の皆さんの前で話すことはめったにないので、毎回緊張します」と、前置きをして話し始められました。
コロナ禍も終息しつつある現在、企業の採用意欲は急激に回復しつつあります。それは新卒に限らず、中途採用やアルバイトなどすべての雇用形態に言えること。どの業界も人手不足です。
そんな中、まさに就活を目の前にした学生たちに改めて考え直してもらいたいのが「なぜ働くのか」ということ。今働かなくてはならないのか、どこで、どんな仕事をするのか。
浜田氏は「それらについて深く考えるタイミングとしては今がとてもよい」と話し、「そのタイミングを活かさない手はない」と言います。
なぜなら日本は依然として新卒一括採用が主流のため、たくさんの企業が情報を提供し就活生たちを受け入れようとしているから。改めて働くとは何かを考える講演が始まりました。

企業と人をつなぐ仕事

マイナビは1973年創業。今年で50周年を迎える人材系の広告企業です。
主にインターネットなどのメディアを通して人と企業を繋ぐ事業をメインに行なっています。就活生はもちろん、アルバイトや転職、アスリートなどさまざまな人材と企業とのマッチングを行なっています。
マイナビの企業理念は「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる」。ユーザーの人生に寄り添い、日常生活のあらゆる場面で使ってもらい、それによって前向きに人生が進んでいけるように支援することが目的です。

現在は海外展開事業のサポートを行なっている浜田氏ですが、なんと就職活動をせずにマイナビに入社したと言います。
面接の時間を間違えて行った会場で、当時の人事部長に声を掛けられ、とんとん拍子で最終面接まで進みそのまま入社されたそうです。そのため最初は「アルバイト感覚だった」と話します。
ただ「会社は楽しく、仕事も向いていると感じ打ち込めた」ため、こんなに長く勤められたと言います。この経験から、浜田氏は「深刻に考えすぎないこと」をアドバイスしました。
「一生懸命就活しても、一生勤められる企業かは分かりません。入ってからが勝負です。自分に合わないと感じたら、あるいはさらに新しいビジネスに挑戦したいと思ったら転職も考えていい」。
希望する企業が見つからないからと言って悩みすぎないようにと語りました。

たくさんの情報から何を目的に働くかを考える

就職活動を目前にした学生たちは不安も多いもの。ただ、ここで浜田氏はひとつのアンケート結果を見せました。
2023年8月に現4年生に行った「就職活動を漢字一文字で表すと?」の結果は、1位が「楽」。夢や将来が広がると前向きにとらえている学生も多いのです。
ただ2位は「苦」。「苦労したからこそ頑張れるという面もあります」と浜田氏。
「就職先を見つけることが目的になってはいけない。親や周りに言われたからと流されてしまわずに、自分の判断で見つけることも大事です」とアドバイスしました。

ではベストな就職とは何か。
何がベストなのかは人によって異なります。その答えを見つけるために働く目的を考えることが重要です。
「働く目的は人それぞれでいいと思います」、しかし仕事は糧(かて)を得るための手段であることは、誰にとっても共通しています。その「糧」を得る上で自分にとって何が重要か、自分の価値観や何にやりがいを感じるかを掘り下げ、それを企業が持つ理念やビジョンと照らし合わせる中で共感できる部分があるかどうかを確かめることが就職活動の第一歩として重要だと浜田氏はお話されました。

学生にとってベスト就職を実現するために、マイナビでは自己分析をサポートする機能や、インターンシップ情報、そして求人情報を質量の面から充実させています。できるだけ多くの選択肢からベストな1社を選んで頂くために、掲載企業数やその情報の質にこだわってサービス提供をしています。
浜田氏は「マイナビをフルに活用してぜひ悔いのない就職活動就活をしてください」と講義を締めくくりました。

OGからも貴重なアドバイス

実はこの授業を受講したことがきっかけで、2名の本学卒業生がマイナビに入社しています。
この日はOGである中嶋さんと渡辺さんも駆けつけてくれました。

授業の最後には質疑応答の時間が設けられ、浜田氏や先輩たちへたくさんの質問が飛び交いました。
「長く働き続けられたのは何が要因?」という質問に、浜田氏は「自分の成長と会社の成長を重ね合わせられたのが良かった。頑張ったらきちんと報われたのも大きい」と話しました。

先輩たちにも「就職活動前の今、やるべきことを教えてください」という質問が。
渡辺さんは「普段生活の中で目にする会社は本当にほんの一部。セミナーやインターンにたくさん参加してください。私も色んな会社を見たからこそ、いろんな会社に関われるマイナビに入社しました」と回答。
「就活の軸を決めたきっかけは?」という問いには、中嶋さんは「男女差のない仕事をしてしっかり稼ぎたいと思ったので、営業職を選びました。将来は転職することも視野に入れて自分の市場価値がさらに高まる会社を見つけていこうと思った、だからこそ、今の仕事に注力したい」と回答されました。

これから就職活動を行う学生たちにとってより就職活動について身近に、深く考えられるきっかけとなる授業でした。

担当教員からのメッセージ

私が企業の人事部時代に、採用業務を全面的にサポートいただいたマイナビ様、その時に浜田様と出会ってもう20年の歳月が流れます。こうして毎年、ゲストしてお招き出来ていることに、とても大切なご縁を感じています。

就職活動、採用活動も時代とともに様々な変化があることは肌で感じています。しかしながら、毎年、この時期に浜田様のお話しをお聞きして感じること、それは、「人と人とのご縁」だと思います。一期一会を大切にすることで、きっと素晴らしい会社が見つかり、長く長くお付き合いできる方との出会いが生まれると思います。学生たちの就職活動での健闘を祈り、改めて浜田様に心から感謝申し上げたいと思います。

2023年10月24日

問いを立てる力を養おう!高校生を対象にした探究学習サポートイベント「ナレッジ・スクランブル」が開催されました。

8月9日に高校生向け探究学習サポートイベント「ナレッジ・スクランブル」が開催されました。株式会社トモノカイ(以下、トモノカイ)のサポートを得て大学での学び方のヒントを伝えるワークショップや、講義形式の学部セッションが行われました。さらには日本航空株式会社(JAL)による特別コラボセッションも。高校生たちは学びの先に自分のやりたいことや関心ごとを結び付け、「問いを立てる」主体的な学習法を体験しました。

「どこ」に着目して「どのように」見る?

最初はトモノカイによるスタートワークショップから。「高校までの学びは答えのあるものでしたが、大学からは問いを作ることが重要になってくる。今回は問いを作る練習をしてみましょう」と始まりました。高校生たちは数人のグループに分かれ緊張した面持ち。本学学生も各グループに2名ほどが付き、サポートします。

大学の学部は自分が関心をもっている事柄の中の問題に対して「どこ」に着目して「どのように」見るかが大きな違いです。例えばゴミ問題を例にしてもゴミそのもの、収集する人、収集車のCO2排出など、何に着目するかで変わります。また、それを科学的に見る、文学的に研究するなどどのように分析するかで全く違った切り口での見方になります。自分なりにどういう見方をしたいかを知ることが、学部を選ぶときのヒントです。高校生たちは、さっそく問いを広げる練習ワークに挑戦しました。

国際学部セッション:AIを活用し英語学習を深めよう

ここからは希望の学部ごとに分かれ、それぞれ学部と企業の講義を体験します。

来年新設される国際学部からは三田薫教授が登壇し、英語学習にAIを取り入れることを提案しました。話題の文章生成AIであるChatGPTを実際に利用しながら講義は行われました。受験勉強としても必須である英語学習ですが「翻訳なら機械のほうが優秀な時代です」と三田教授。それでも英語を学ぶ理由はなにか、と問いかけました。必要なのは専門的な内容を話せて交渉できる英語力だと話します。学習にはインプットが重要と、リーディング量を大幅に増やすことが大切だと伝えました。

そこで活用できるのが生成AIです。自分の興味のあるテーマを打ち込めば、関連する文章を作成してくれ専門用語や知識も同時に身に付く質の高い教材が出来上がると紹介されました。専門用語だらけで難しいと感じた際は、易しい英文に直すことも可能。一語を切り取ってより詳しく深堀することもできます。

おすすめのテーマはSDGs。世界中の関心事のため、国内外どこでも話せる話題になります。今回は「航空燃料」を例に取って実際に三田教授が生成AIを使っていきました。自分専用のリーディング教材を作成し、音読することで、英語学習の幅や深さがレベルアップすると勧めました。

国際学部の企業セッション:航空会社の環境への取組とは

次はJALによる企業セッションです。JAL産学連携部人材開発グループの塩崎雅子氏による、JALのSDGsへの取組についての紹介がありました。最初に地球温暖化についての説明から。現在地球はCO2をはじめとする温室効果ガスにより、大気から熱が逃げにくい状態になり猛暑日の多発や台風、森林火災など多くの異常気象が起こっています。この問題に航空業界も真剣に取り組んでいるのです。

航空機のCO2排出量は全世界の2%を占めます。JALでは、燃費の良い高性能の機材に更新したり、エンジンの洗浄を定期的にして燃焼効率を高めたり、水の積載量を調節して機体重量を軽くしたりと様々な取り組みを行っています。
そのなかで特に重要なのが「SAF」の活用です。SAFとは持続可能な航空燃料のことで、原料は都市ごみや使用済の食用油、木材、海藻など。従来の燃料では、採掘する際にもCO2を出してしまいます。地上にある原料を使うSAFを活用することでCO2排出の総量を減らすことが目的です。しかしSAFはまだまだ供給量が少なく高価。国産で安定的にSAFを供給できるような体制をつくることを目指しています。2030年までに全体の10%をSAFに置き換える目標をかかげ、ライバル社である全日本空輸株式会社(ANA)とも協力し、共同で研究しています。

「周りを海に囲まれている日本にとって、飛行機は世界を身近に感じるためになくてはならない乗り物です。これからは未来の燃料を使い、人にも環境にも優しい旅の実現を目指します」と塩崎氏は講義を締めくくりました。

人間社会学部セッション:時間軸・空間軸で地域を見て課題を考えよう

人間社会学部からは原田謙教授が登壇し、社会学の視点から考える探究のコツを伝授しました。社会学とは地域をはじめとする社会の変化や課題を探究する学問です。社会を見るための方法の一つ目は時間軸で同じ地域や社会を考えるやり方です。今現在の東京と、50年前の課題は当然違います。もう一つは空間軸で考えること。都心エリアと郊外ではどう違うかを見ます。

ここで原田教授は高校生たちにQRコードを利用したアンケートを実施。「今の東京における地域の課題とはなんでしょうか?」学生たちはゴミのポイ捨て、ホームレス、満員電車、治安、猛暑などさまざまな課題を次々に挙げていきました。

原田教授は現在の課題のひとつとして都心の人口増加を上げました。しかし50年前は地方から来た人に対する住宅不足が問題でした。そのため1970年代には多摩地域など郊外のニュータウン開発が盛んになり、いったん都心人口は減りますが1990年代から再度人口が増え始めました。「この現象をジェントリフィケーション(都心回帰)と言います」と原田教授。時間軸で考えることで都心が常に人口増加しているわけではないことが分かります。

社会学の研究は「自分自身で社会を観察、アンケートやインタビューで調査して一次データを取ることが強み」と原田教授。統計を見る量的調査だけでなく、フィールドワークを通しデータを集める質的調査を行うことで、より自身が探究したい課題に取り組めると話しました。高校生たちは社会学のエッセンスを感じられる講義となりました。

人間社会学部企業セッション:航空会社が行う地域活性化の取組って?

続いてJAL産学連携部人材開発グループの田中優子氏が登壇され、地域活性化のためにJALが行っている取組についてお話しされました。JALは航空運送業で、各地に空港や支店、グループ会社があるため、日本中にネットワークがあります。それらを活かして、なにかJALも地域活性化に貢献できないか、と取組を行っているのです。なぜJALが地域活性化に取り組むかと言えば、背景に「ESG経営」があります。現在企業経営の在り方として重要視されている考えで「皆さんはまだ高校生ですが、今後、就活をされる際、企業の考え方を知るのに役立つと思います」と田中氏は解説しました。

JALグループの取組のひとつに「JALふるさとプロジェクト」があります。その一環として、地域産業を支援し特産物の商品開発やプロモーションを行っています。商品はふるさと納税やJALグループのネットワークを通じて販売し、販路・物流の活性化も促しています。CAが地域に移住し、より地域の課題に寄り添えるJALふるさとアンバサダーという制度も。他にも多くの取組が紹介されました。「地域との交流は以前からありました。繋がりの大切さを感じるプロジェクトです」と田中氏は講演を締めくくりました。

問いを立てることはやりたい仕事の選択につながる

2つのセッションを終えた高校生たちは再度一番最初のグループへ戻り、それぞれの学部や企業のセッションで学んだ視点を、自分が関心のある社会問題に組み合わせて問いを立ててみることを試みました。「どこ」を「どのように」扱うかを考えるということは、自分が何を目指すのか、なぜそう思うのかを考えることにつながり大学での学びや、ひいては企業や仕事の選択にもつながります。

最後にグループ内で発表し合い、それぞれの考えを聞いていた高校生たちは真剣ながらも笑顔を見せつつ、体験学習を楽しんでいました。

2023年10月20日

ホームタウンに愛されるクラブに!「実践キャリアプランニング」の授業で東京ヴェルディによる特別講義が行われました。

9月26日に「実践キャリアプランニング」(担当:高橋 裕樹特任教授)の授業で、東京ヴェルディ株式会社(以下、東京ウェルディ)の中島健吾氏をゲストにお招きした講義が日野キャンパスにて行われました。日野市は東京ヴェルディの「ホームタウン」。学生たちはホームタウンとは何か、どのように地域に関わっているのかを通し、地域貢献について学ぶ機会となりました。

東京ヴェルディはどんなチーム?

東京ヴェルディは、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)のクラブチームのひとつ。1969年に日本初のプロサッカークラブとして創設された「読売サッカークラブ」が前身で、リーグ、リーグカップ、天皇杯と国内の3大タイトルで優勝経験がある歴史と伝統を備えたチームです。現在はJ2リーグ(2部)に所属していますが、2023シーズンは3位と好調をキープしており、J1リーグ(1部)への昇格も狙える位置にいます。

サッカークラブチームを運営している会社ですが、講義をしてくださる中島健吾氏はホームタウン部の所属。日野市や稲城市、八王子市を担当しています。中島氏は日野市出身。大学ではスポーツビジネスを専攻しインターンシップで東京ヴェルディに関わり、その縁もあり2021年に入社されました。

ヴェルディは「先駆者」である

中島氏は東京ヴェルディのバリュー(中核的な価値観)を紹介しました。「仕事上で迷ったらこの価値観に立ち返って、本当にこれに沿って仕事ができているのか確認をする、一つの指標としてとても大事なものです」。一番は「パイオニア」であること。創設当時は野球が盛んで今ほどサッカー人気がない時代。そんな中プロチームを作った東京ヴェルディは、前例や常識にとらわれず先駆者であることを大事にしています。「サスティナビリティ」も大事な観点で、物事は挑戦するだけでなく続けていくことも大切。持続性を意識し成長していくことも重要な価値観です。

ミッションは「世界で輝く人材を育成する」こと。これまで日本代表選手を17名輩出し「まさに日本サッカーの土台を作ったと言っても過言ではないかなと思います」と誇らしげに中島氏は話します。ただ、輝かしい戦歴の裏で苦労も多くあります。2005年にはJ2に降格し、2009年には親会社が撤退し経営危機にも陥りました。現在は総合型クラブを目指し、サッカーだけでなくバレーボールやトライアスロンなどのチーム運営や、音楽などのエンターテイメント業界参入も視野に活動しています。これまでヴェルディが培ってきた人材育成のノウハウを生かし、スポーツスクールだけでなく様々なところで応用していけるように活動しています。

ホームタウンとは?

ホームタウンとはクラブの本拠地のこと。クラブはホームタウンに対し地域に根差したスポーツ文化の振興活動を行うことが求められます。これはJリーグ百年構想という理念に基づいて定められているもの。そのため株式会社という一企業でありながら、利益を追求するだけでなく公共性の高い活動をしていく必要もあるのです。

ただ東京ヴェルディは2001年に川崎市から東京へ本拠地を移転しています。それだけに東京ヴェルディが地域に受け入れてもらうためには「東京ヴェルディは、他のチームよりもホームタウンをより大事にしなくてはいけない」と考え活動していると中島氏は話しました。

ホームタウンから愛されるクラブになるために

「クラブがホームタウンになくてはならない存在にならなくてはいけない」と中島氏。スポーツ文化の現場はもちろん、防災や防犯や農業、観光の分野でも活動しています。例えば防犯対策、交通安全啓発の一環として、新一年生へのランドセルカバーを寄付しています。今まで市が担っていた公費の削減にもつながり自治体とクラブ、市民の全員がwinーwinの関係になりました。また、放置されていた田んぼで選手がコメ作りを行い、地域住民と米粉クッキーを作成し販売。クッキーは好評で田んぼの利用者も増えるなど良い循環が生まれています。

日野市で取り組まれている、市内におけるスポーツの推進に係る体制の整備を図るための日野市スポーツ推進委員「ひのスポ」の立ち上げにも貢献。学校や教育の場面では、部活動の先生の負担や部員数の減少が問題になっています。子どもたちが安心してスポーツを楽しめるよう、地域と連携して活動されています。

就活の準備は早すぎることはない

最後はアンケートフォームを利用して質疑応答が行われました。「就活前に持っておいた方が良い資格は?」という質問には中島氏は「資格ではないですが、英語は必須だと感じます。あと簿記はやっておいて損はない」と回答されました。またスポーツ系企業への就職を目指している学生から「スポーツが得意なことは必須ですか」と質問が。「自分もサッカーはやっていましたが得意ではなかったし、関係ないです。体育会系の企業と思われがちですが、女性も多く活躍しています」と語りました。中島氏は「就活を始めるのが遅かったことを、後悔しています。就活の準備は今からでも早くはない」と話し、講義を締めくくりました。学生たちにとって地域貢献と企業の活動について、身近に感じられる講演となりました。

2023年6月2日

相手の立場になって考える!「実践プロジェクトa」の授業でJALのホスピタリティマインドを学び学生たちが発表を行いました。

3年生対象の「実践プロジェクトa」(担当:髙橋 裕樹特任教授)の授業で、5月8日に日本航空株式会社(JAL)の塩崎氏をお招きし「ホスピタリティとコミュニケーション」を学ぶ授業が行われました。全3回の内、この日は3回目。学生たちは授業を通して学んだホスピタリティマインドを1分間にまとめ、それぞれ発表しエールを送り合いました。

これからのホスピタリティとテクノロジーの付き合い方

これまでの授業で学生たちは、、ポジティブコミュニケーションやサービスの現場におけるホスピタリティなどについて学んできました。
今回は「AIとホスピタリティ」というトピックから授業は始まりました。AIとホスピタリティはなかなか結び付かないですが、実は「これからの時代、ホスピタリティとテクノロジーの関係を考えていくことは重要です」と塩崎氏。

AIは大量のデータを学習し、データの中にひそむ規則を見つけ出し、正確・迅速に処理をするのが得意。万能のように感じられますが、実はそうでもありません。2011年に国立情報学研究所が中心となって、AIが東京大学入試合格を目指すプロジェクトを開始しましたが、2016年にプロジェクトは凍結されました。AIは数学や世界史などは得意でしたが、国語や英語では、文脈や文章から意味を理解することができず点数を上げることができませんでした。AIは問題の意味を理解しているわけではなく、統計的な処理をして回答を導き出しているだけで、文中に書かれていない情報や空気を読んで判断することはできなかったのです。

ホスピタリティマインドを使ってAIと人間が「協働」する

塩崎氏は「AIの得意なことと人間の得意なことを組み合わせていくことが大切です」と語ります。
航空業界でも、AIは活用されはじめています。2030年までに訪日外国人数を6000万人にするという政府の目標が掲げられましたが、その人数に対応する空港の旅客処理能力は追いついていません。そこでAIによる顔認証システムや自動チェックインの導入などで手続きの効率化をはかっています。自動化できるところはAIに任せることで、人間はお手伝いの必要なお客さまのサポートに集中することができます。

ホテルでもAI の活用は進んできていますが、塩崎氏は、「ホテルでこれだけは人間に対応してほしいと思うのはどんなときですか?」と学生たちに問いかけました。「電話での対応」「レストランの接客」「困ったとき」などの回答があり、「挨拶してくれるのは人の方が嬉しい」という意見も。人間にしかできないこともまだまだ多く、人間だからできる「心を遣うこと」を磨き、ホスピタリティマインドを育んでいくことが必要なのです。

話はこれからの時代にますます進むダイバーシティについても触れられました。
日本に住む外国人は30年で3倍に増え、その国籍も多様化しています。生活のための日本語に関する調査によると、日常会話で日本語を使っている外国人は約8割に上り、また、「希望する情報発信言語」として「やさしい日本語」を選んだ人が76%と英語よりも多くなっています。そのため特に災害などの緊急時には、やさしい日本語を使って情報を伝えることが重要です。やさしい日本語を使うこともホスピタリティのひとつです。
塩崎氏は「外国の方を見つけたときは、こちらからやさしい日本語でアプローチしてみてください」と語り掛けました。

学んだことを日常にも活かして

授業の最後では、学生一人ひとりによる1分間スピーチが行われました。
授業を通して学んだことを自分の言葉にまとめ、決意表明の形で発表します。また、他の学生の発表を聞いてエールを送り、ポジティブコミュニケーションも実践しました。

最初の学生は「自分なりのホスピタリティ」と題し、自分の現時点の弱みとして相手の気持ちを読み取ることが苦手と分析。相手の立場に立ち、自分だったらどう思うかを考えることを実践していきたいと発表しました。

Kさんは、
「3割話し7割聞く」、を実践し「話しやすい、話していて楽しいと思われる人になりたいです」と発表。聞いていた学生からは「Kさんは、すでに話すのが上手で話していて楽しいです。でも、さらに向上できるよう一緒に頑張っていきましょう」とエールが送られました。


次の学生は、
「話すことがコミュニケーションだ」と思っていたと話し、相手の話を傾聴し相手に伝わるということを意識してコミュニケーションしたいと思います」と決意表明しました。自分は負けず嫌いで、自分の話ばかり意識しがちだったというGさんは「自分と違う意見も聞き、なぜそう思うのか伝える力を持った社会人になりたい」と語りました。

Yさんは
「思ったことをすぐに口にしてしまう」という癖を反省し、相手のことを考え言葉を選ぶことを大切にし、バイトでも活かしていきたいと発表しました。
「今回学んだことは社会に出てからだけでなく、大学内でも使えることだと気付きました」と語ったのはNさん。


最後の学生はディズニーランドでキャストの対応にホスピタリティを感じた経験を話し、それぞれのシーン、背景を考え快適な空間を提案することの大切さを話しました。

相手の立場に立って傾聴することの大切さ

最後に塩崎氏からコメントをいただきました。
「皆さんの決意表明は、授業での気づきをアルバイトやサークル活動などでのコミュニケーションに活かしていきたいという想いが溢れていて、とても素敵でした。また、自分が困った時に声をかけてもらえたことが心に残っているというエピソードもあったように、困っている人や弱い立場の人に積極的に寄り添って声を掛けるよう心掛けることで、人の心に残るホスピタリティを実践することができると思います」。

学生全員が自分を振り返り、コミュニケーションを前向きに捉えなおす良い機会になった授業となりました。