酪農は食生活を支える基盤!食科学部の授業で森永乳業による特別講義が行われました。
7月31日に「食料生産実習」と「食品科学演習」の合同授業で、森永乳業株式会社による特別講義が行われました。「乳と酪農について」と題し、乳牛にまつわる知識や生乳がどう社会に必要かなどを詳しく教えていただく貴重な機会となりました。
保存がきくロングライフ牛乳をおともに
登壇したのは酪農部の長谷川類氏。
講義の冒頭では、学生一人ひとりに牛乳が配られました。
これは常温保存が可能な「ロングライフ牛乳」で、特殊な殺菌方法によって長期間の保存を実現したものです。災害時の備蓄としても注目されており、長谷川氏は「今日はぜひ牛乳を飲みながら、リラックスして聞いてください」と笑顔で講義を始めました。
「牛と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは白黒模様の牛ではないでしょうか」と学生たちに問いかけます。これこそが「ホルスタイン」と呼ばれる乳牛で、乳量が多く、日本の乳牛の約99%を占めています。
生まれたばかりの体重は約40kgですが、成長すると600~700kgにも。
1日に約25kgもの生乳を生産できることなど、乳牛について分かりやすく紹介されました。

乳牛から和牛が産まれる!?
講義はクイズ形式で進められました。
「乳牛はいつから乳を出すようになるでしょうか」という問題には、多くの学生が「出産後」と正解。
続く「ホルスタインから生まれるのはどんな牛でしょうか」という問いには、学生たちも頭を悩ませます。
答えは「ホルスタインや交雑種だけでなく、和牛が生まれることもある」。
意外な事実に、学生たちも驚きの表情を見せました。

乳牛は一定の年齢になると人工授精で出産し、その後も搾乳を続けながら繁殖します。
この際、和牛の受精卵を移植することで和牛を生産することも可能なのです。
長谷川氏は「実は国産和牛の半数以上が酪農由来です。酪農は牛乳だけでなく、牛肉の生産にも大きく貢献しています」と、酪農が果たす重要な役割を分かりやすく説明しました。
牛乳の味は食べもので変わる!
牛は4つの胃を持ち、その中の微生物が食べたものを発酵し、消化しています。
第1胃の容量はお風呂約1杯分にもあたる200L。1日に約20kgのエサを食べ、生乳のもととなる血液を作っています。
「発酵の際に熱が生まれるため、牛はお腹にカイロを入れているようなもの。暑さが苦手で、気温が20℃を超えるとストレスで乳量が減ります」と長谷川氏。近年の猛暑は酪農にとって大きな課題だと話されました。
また、乳牛のエサは地域によって異なります。トウモロコシなどの飼料が中心の地域もあれば、牧草を多く与える地域もあります。
「牛乳の味は食べるものによって変わります。牧草と飼料ではもちろん、牛の健康状態によっても味が変化する、とてもデリケートな食品です」と説明されました。
たくさん食べて酪農を支えよう!
話は酪農家の仕事へ。
日本では放牧に適した土地が少なく、牛舎でのつなぎ飼いが主流です。
乳牛につきものの分娩は命がけで、昼夜問わず付きっきりの世話が必要。毎日約13時間働き、休日もほとんどありません。
一方で、酪農には作物が育ちにくい土地でも食料を生産でき、季節を問わず生乳を出荷できるという強みがあります。世界では約10億人が酪農に従事し、7人に1人が酪農の関係者とも。
さらに牛乳は、飢餓や人口増加による食料問題を支える重要な食品です。
しかし国内では、酪農家は減少しています。原因の一つは収益の厳しさです。飼育費の約6割を占める飼料価格は、輸入牧草なども活用されています。物価高や円安の影響でコストが上昇し、経営を圧迫しているのです。
生乳は保存が難しいため乳製品に加工されますが、在庫にも限りがあり生産量を簡単には増やせません。
長谷川氏は「皆さんが牛乳や乳製品を選んで食べることが、酪農家の支えになります」と呼びかけました。
そして、栄養士や食の分野を目指す学生たちに向け、「大学での学びを通して、牛乳や乳製品の価値やおいしさを多くの人に伝えてほしいです。たくさん食べて応援してください」と期待を寄せ、講義を締めくくりました。

環境問題にも対応して安定的な生産を

授業の最後には質疑応答が行われました。
「牛のげっぷによるメタンガスが環境問題になっていると聞きますが、どのような対策をしているのでしょうか」という質問に、長谷川氏は「森永乳業では、メタンガスの発生を抑える研究を進めています。これまで廃棄されていた紅茶かすを飼料に混ぜることで発生を抑制できることが分かり、実用化に向けた取り組みを始めています」と回答されました。
学生たちにとって、身近な存在である牛乳について理解を深めるとともに、酪農や食を取り巻く課題についても学ぶ貴重な機会となった講義でした。










































