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2025年11月19日

文化と共に歩みつづける!日本文化論bの授業にて、株式会社叶匠寿庵の特別講演が行われました

2025年10月30日(木)に日本文化論b(担当:国際学部国際学科 コルネーエヴァ スヴェトラーナ准教授)にて、株式会社叶匠壽庵(以下叶匠壽庵)人事部部長の角田徹氏をお招きし、特別講演が行われました。

授業と企業連携について

「日本文化論b」は国際学部国際学科の専門教育科目です。この授業では、日本人の行動様式や様々な慣習について、住まいや冠婚葬祭などをテーマに学んでいます。授業を通して日本の文化への理解を深め、自国の文化を出発点に、世界を多角的にとらえる国際的な視野を養うことが目的となっています。

今回の授業のテーマは「和菓子」。叶匠壽庵(かのう しょうじゅあん)から人事部長 角田徹氏をお招きし、日本文化の一つである和菓子作りのために、一貫した理念で行っている多様な取り組みを特別にご講演いただきました。

叶匠壽庵について

叶匠壽庵は、1958年に創業した和菓子の製造・販売を行う企業です。角田氏は、「京都の老舗和菓子店には、創業から1000年を超える店もある。それと比べると当社はまだ若い企業です」と紹介しました。

また、「和菓子という概念は、西洋から伝わった洋菓子と区別するために生まれた言葉であること」についても説明がありました。角田氏は、日本文化の特徴として「海外から入ってきた文化を、日本人が感性や好みに合わせて編集し、独自のものへと変化させていく傾向がある」と述べ、和菓子の世界においても同様に、「砂糖の輸入が和菓子に大きな影響を与えた」と紹介しました。

企業が大切にしている理念

菓子作りの原点は農業であるという考えから、「農工一つの和菓子作り」を掲げています。
本社兼製造工場である『寿長生(すない)の郷』では、一部の原材料となる農産物を自社で栽培するなど、ものづくりの源流から関わる姿勢が息づいています。

この姿勢は多様な形で商品に表れており、その事例の一つとしてパッケージなどのデザインについて説明しました。
角田氏は「パッケージのデザインについて、以前は他社に依頼していましたが、それでは会社の学びにならないという想いから社内にデザインを行う部署を設立しました。以降はすべて自社で行っています」と学生の手元に配布されたリーフレットをさしながら述べ、「皆さんのお手元にある和菓子のパッケージも社員がデザインしました」と紹介されました。

寿長生の郷について

寿長生の郷は、滋賀県大津市にある本社兼製造工場で、自然と人が共存する里山です。
1985年に、「五感で四季を感じ、和菓子で表現する最良の地」として里山を開墾し、街の中心部から移転。
角田氏は、「季節を表す和菓子を、四季を感じられる場所で、自分たちが収穫した素材でつくる。農工一つの和菓子作りの理念を体現している場所」だと紹介しました。

標野(画面左)

この理念を象徴する商品が、〈標野(しめの)〉という和菓子です。〈標野〉は、かつて近江(現在の滋賀県)で額田王が詠んだ和歌

「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」 を

テーマとしたものです。夕日を思わせる穏やかな赤色のゼリーで、梅を使用した爽やかで芳醇な味わいが特徴です。

角田氏は、「〈標野〉に使う梅は、寿長生の郷で収穫されたものです。梅の木は移転時に植えた約1000本の苗木が成長したもので、剪定や受粉など、年間を通じて管理しています」と説明しました。収穫した梅はすぐ使用せず、一年間熟成させてから〈標野〉に加工されます。さらに、「以前は着色料を使っていましたが、すべて梅で再現したいという思いから、赤い梅の品種『露茜』の栽培を新たに始め、現在は素材の色だけで表現しています」と述べました。

叶匠壽庵HP 商品一覧「標野(しめの)」https://kanou.com/gnaviplus/item/shimeno/

和菓子作りのこだわり

角田氏は、和菓子作りの中で大切にしている点として、「あんこを毎朝職人の手で炊くこと」を紹介しました。小豆の収穫は年に一度であること、また収穫後は品質が日々変化していくことに触れ、「一日ごとに変わる原材料の状態を見極め、その日ごとに最高の状態へ仕上げるため、炊く作業は職人さんに任せています」と話しました。

続いて、あんこを使用した叶匠寿庵の看板商品〈あも〉について紹介がありました。
「〈あも〉は、あんこと餅でつくられた細長い和菓子です。『あも』とは宮中に仕える女房言葉で、『餅』を意味します」と説明しました。
好調な売れ行きの一方で、「一口サイズがほしい」という声もよく寄せられていると紹介。
しかし、「小分けにすると〈あも〉ではなくなる」と述べ、「新しい食べ方の提案をして親しんでもらおうと、商品を開発しました」と、最中に百人一首をプリントした〈あも歌留多〉を紹介しました。

角田氏は〈あも歌留多〉の図版を、本社と同じく滋賀に所在し『かるたの聖地』である近江神宮所蔵のものから引用していること、滋賀に訪れた皇室関係者に夕食後のデザートとしてふるまわれたエピソードも共有され、地域に根差し地域を代表する和菓子作りを行っていることを紹介されました。

叶匠壽庵HP 商品一覧「あも歌留多」https://kanou.com/gnaviplus/item/amokaruta/

寿長生の郷の持続可能性

寿長生の郷は、環境省が指定する「自然共生サイト」(民間の取り組みによって生物多様性の保全が図られている区域)に認定されています。和菓子製造で排出される生ごみや伐採木の破片を活用した堆肥づくり、絶滅危惧種の保護活動、工場排水の浄化など、自然豊かな里山の環境を維持するため、多様な取り組みが行われていることが紹介されました。

木々は、樹木医の資格を持つ社員によって計画的に管理されており、角田氏は、「担当の社員が、100年後の寿長生の郷の風景を私たちにプレゼンしてくれるんです」と話しました。続けて、「認定を目指して環境整備をしたのではなく、できることに取り組み続けた結果、認定をいただけた、という感覚です」と述べ、自給自足を大切にする企業方針が、環境面でも高く評価されていることを紹介しました。

質疑応答

リアルタイムアンケート機能を使用し、学生からの質問に角田氏が回答する時間が設けられました。
画面にずらりと表示された質問からピックアップして回答していき、採用された学生には角田氏から叶匠壽庵の和菓子がプレゼントされました。

学生への豪華なプレゼント

最初の質問は、「和菓子界で今、一番困っていることは何ですか?」です。

角田氏は「原材料である米の調達」と答えました。全国的なコメ不足という背景を挙げ、「米農家が、もち米の生産リソースをうるち米へ回してしまっている」と説明しました。さらに、日本の食料自給率が約40%にとどまっている状況を踏まえ、「つくれるものは自分たちでつくる意識を持っています」と述べ、企業として持続可能な体制を追求している姿勢を示しました。

学生から一番多かった質問が「一番好きな商品は何ですか?」という質問です。角田氏は「〈紅白薯蕷(じょうよう)饅頭〉の白い方が一番好きです。予約限定商品なので手軽に手に入るわけではないのですが、食べたら違いがわかります」と紹介しました。
叶匠壽庵HP 商品一覧「紅白薯蕷饅頭」https://kanou.com/gnaviplus/item/kouhakujouyomanjyu/

あも歌留多を調べる学生

講演中に紹介された銘菓〈あも〉について、「一口大にすると食感が変わると言っていたが、具体的にどう変わるのか」という質問が挙がり、角田氏は「〈あも〉はもちをあんで包んだ細長い和菓子ですが、あの長さがあるからこそ、もちとあんこの水分バランスが保たれ、独特の食感が生まれます。短くするとそのバランスが崩れ、食感も変わってしまう。つくり手からすると、それはもう〈あも〉とは呼べないんです」と説明しました。
叶匠壽庵HP 商品一覧「あも」https://kanou.com/gnaviplus/item/amo/

「和菓子づくりで一番大切なことは何ですか」という質問に対し、角田氏は「ストーリーです」と回答しました。続けて具体例として〈匠寿庵大石最中〉を紹介。本社のある滋賀県大石は、赤穂浪士で知られる大石内蔵助の祖先ゆかりの地であり、その歴史になぞらえて商品化されたと説明しました。最中に刻まれた山と川の模様は、討ち入りの際の集合の合言葉に由来するものだと補足し、「なぜこの和菓子なのか。土地と結びついたストーリーを持たせることが重要です」と強調しました。
叶匠壽庵HP 商品一覧「匠寿庵大石最中」https://kanou.com/gnaviplus/item/ooisimonaka/

講演の最後に

授業の最後に、三笠宮家当主 彬子女王が雑誌に寄稿した文章を引用しながら「日本の将来を担う若い世代や子供たちが、生け花や畳、床の間など、日本文化を『いいものだね』と親しんでもらわなければ、文化は過去の遺物になってしまう」ことを伝え、講演を締めました。


担当教員からのメッセージ

今回のご講演では、和菓子づくりに込められた叶匠壽庵の理念や地域文化とのつながりだけでなく、企業として大切にしている姿勢についても多くの示唆をいただきました。
特に、人事採用の場で重視される「基本的な姿勢」や「挨拶の重要性」についてのお話は、これから社会へ踏み出す学生にとって大きな学びとなったはずです。
専門知識だけでなく、相手を敬い、自ら成長しようとする姿勢が評価の基盤であるという実践的なご助言は、学生にとって特に心に残る示唆となり、たいへん有り難く感じています。
和菓子づくりにおける一貫した理念や地域への深い理解、素材に向き合う誠実さは、そのまま社会人として求められる姿勢にも通じます。
今回のご講演を、文化への理解を深めるだけでなく、自らの行動や将来像を見つめ直す貴重な機会として、生かして欲しいと願っています。

2025年11月6日

まつ育ファン化計画!実践キャリアプランニングの授業にて、アンファー株式会社とコラボした課題の発表が行われました。

2025年10月24日(金)実践キャリアプランニング(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)にて、アンファー株式会社(以下アンファー)から中溝幸生氏、堀川瑞希氏をお招きし、課題の発表が行われました。アンファーはスカルプDで広く知られている化粧品・健康食品メーカーです。

授業と企業連携について

「実践キャリアプランニング」は、1年生を対象とした必修の共通教育科目です。学生は、企業からのゲスト講師や在学生の先輩によるキャリア講演、企業と連携したPBL型課題などを通して、社会人基礎力を養い、多様化する女性のキャリアへの理解を深めていきます。

国文学科クラスでは、企業から提示される課題に学生がグループワークで取り組み、解決策を導き出す「課題解決型授業」として、アンファーとの連携を行っています。

当日はゲストとして、元アンファー株式会社常務取締役であり、現在もアンファー系列会社で相談役を務める中溝幸生氏と、アンファーグループグループ経営統括局 人事部の堀川瑞希氏が登壇しました。講演に先立ち、堀川氏は「学生の皆さんが将来の就職活動の際に、アンファーグループを選択肢の一つとして考えてもらえたら嬉しい。また、今日の課題にはぜひ一生懸命取り組んでほしい」とエールを送りました。

堀川氏

スピーカーの紹介

今回ご講演いただいたのは、中溝幸生氏です。中溝氏は元資生堂勤務で、深澤教授からは「私の先輩で、一緒に働いていました。机が隣だった時期もあるんですよ」との紹介がありました。

中溝氏のキャリアは営業職からスタート。「新卒で入社後、初めての配属先は、九州の長崎市でした。その5年の在籍期間中のうち、2年間は五島列島福江市に住みながら営業活動を行いました。」と振り返りました。その後、東京本社へ異動し、長くマーケティング業務に携わります。特に男性化粧品のマーケティングや商品企画を担当し、当時の企画書の写真を交えながら具体的な取り組みを紹介しました。赤字だった子会社の業績を大幅な黒字へと転換した事例についても触れ、「このときは社内表彰で社長賞をいただきました」と語りました。

また、上海駐在時の経験として、2010年の上海万博で協賛企業となるための企画提案に尽力したことを紹介。国際的なビジネスの現場で活躍された経験も語られました。

資生堂退社後はアンファーに入社し、これまでの経験を活かして商品開発や海外販路拡大などの業務に携わってきました。
人事部に在籍していた際には、「役職敬称の撤廃(社長を“社長”ではなく“◯◯さん”と呼ぶ)」や「服装規定の見直し」など、組織改革にも取り組まれました。

商品企画や販売促進の施策立案、企画提案など、学生たちがこれから取り組む「課題に対する解決策の提案」と通じる業務を数多く経験してきた中溝氏。
講演は、アンファーという企業の紹介へと続きました。

アンファーについて

中溝氏は「アンファーは、医学を中心に“美と健康”の領域で包括的なソリューションを提供するメディカルヘルスケアカンパニーです」と紹介しました。〈スカルプD〉をはじめ、スカルプケア・スキンケア商品の展開に加え、男性、女性の薄毛治療専門のクリニック、睡眠サポート、オンライン診療など、健康に寄与する多様な事業を展開しています。

アンファーは企業理念として「自分をより『美しく』『健やかに』することを通じ、人生をより『愉しく』したい人を増やすこと」を掲げており、中溝氏は「“愉しむ”という言葉が含まれているのがアンファーらしいところです」と語りました。さらに企業ミッションとして「医学に基づく、最適なソリューションの提供」を掲げ、医療機関との連携体制を強化している点も大きな特徴だと説明しました。医師や専門家の監修のもと、医療知見に基づいた商品開発や診療事業を行っています。

また、アンファーグループ内の企業構成についても詳しく説明があり、「皆さんがドラッグストアで目にする〈スカルプD〉や<まつげ美容液>の販売を行う企業と、クリニック事業の両輪で活動しています。」と紹介。「お客さんの悩みの深さに対応して、日常的の使う商品提供や治療を行う自由診療クリニックを運営し、すべてのお客様に満足いただける企業を目指しています」と述べました。

課題の発表

今回、学生が取り組む課題は「〈スカルプDまつ毛美容液〉のリピート対策の提案」です。中溝氏はシリーズの中でも〈スカルプDまつ毛美容液プレミアム〉を取り上げ、全15班に商品のサンプルを配布しました。

〈スカルプDまつ毛美容液〉シリーズは、2012年に誕生し、「毎日の目元ケアでご機嫌なわたしへ」というメッセージを発信する国内売上NO1のまつげ美容液ブランドです。まつ毛美容液のほか、マスカラやアイライナーなど、目元に特化したメイクアップ商品も展開しています。ブランド誕生のきっかけは「お客様の声」であり、アンファーが頭髪研究で培った知見をもとに、気軽で安心して使えるまつ毛美容液が開発されました。

中溝氏は課題設定の背景として、「美容液は、効果を実感するまでに少し時間がかかる商品」と説明。そのため、継続して使いたくなる工夫がないとリピートにはつながりにくいとし、サポートメールの配信や定期購入者に特典を付与するなどの対策を取り入れていることを紹介しました。さらに、企画提案の条件として「具体的なアプローチの背景を明確に説明すること」や「文字・図表・音声など表現方法は自由であること」を提示。「特に背景の部分をしっかり考えてほしい」と学生に呼びかけました。

講演の最後に中溝氏は「競合商品と比較しながら考えを深めてもらえたら」とライバル商品を紹介しながら助言し、学生の分析と提案に期待を寄せました。

授業の終わりに

中溝氏の講演に続いて、深澤教授から今後のスケジュールと具体的な取り組み方について説明があり、「皆さんにとって初めてのキャリア科目であり、初めての企業連携提案です。協働力と計画力を高めるプロセスを経験し、成長の一つの機会にしてほしい」と学生にエールを送りました。

学生は講義の残りの時間を使って早速グループワークに取り組みました。
今後、2回のグループワークを通して企画をまとめ、その成果をアンファーの皆様に向けて発表する予定です。

担当教員からのメッセージ

今から約30年前、私が企業でマーケティングの業務に携わっていた頃に大変お世話になったのが、
今回、ゲストでお越しいただいた中溝様です。
こうして再び出会えるご縁の深さを感じています。
今回は、学生にも身近な化粧品のマーケティングに関するお題をいただきました。
学生たちの柔軟な発想から、どういった提案がなされるか、とても楽しみです。
この場を借りて、中溝様には心から感謝申し上げます。

2025年10月23日

生成AIを制作パートナーに!サイバーエージェントとのコラボ授業が始まりました。

2025年10月14日(火)演習Ⅱb (担当:人間社会学部人間社会学科 粟津 俊二教授)にて、株式会社サイバーエージェント(以下サイバーエージェント)から川越寛之氏による特別授業が行われました。

授業と企業連携について

「演習Ⅱb」は、人間社会学部の2年生を対象に開講されている専門必修科目です。学科での学びをさらに深めるための基礎知識を身につけることを目的としています。粟津教授が担当するIクラスでは、「生成AIを活用し、社会連携プログラムの紹介物を製作しよう!」という課題に取り組んでいます。授業では、Web広告事業でAIを用いたクリエイティブを行っている株式会社サイバーエージェントと連携し、生成AIの活用方法を実践的に学んでいます。

今回の授業では、Geminiを使用し、さまざまな生成機能やAIのカスタマイズについて実践的な演習を行いました。

授業の初めに

川越氏はまず、サイバーエージェントについて紹介しました。
同社は東京都渋谷区に本社を置き、インターネット広告・メディア・ゲームの3事業を主軸としています。川越氏はその中の「インターネット広告事業本部 AIクリエイティブ部門」の統括を担当しており、「生成AIの進化によって、数年前と比較し数倍の業務量をこなせるようになった」と述べました。

続いて「この授業で使用するAIは、Google社のGeminiとNoteBook LMです。コンテンツ制作の過程でどうしても作業量が増える、資料の読み込みや内容の抽出、構成の決定といった工程をAIに任せていきます」と説明し、「出力された結果のうち、どれを選び、どう活かすかは皆さん自身の判断と責任によるものです」と呼びかけました。

実践!Geminiに親しもう

川越氏は8月下旬にリリースされた画像生成機能「Gemini 2.5 Flash Image(Nano Banana)」を紹介しました。「この機能では、AI画像生成において革新的な“キャラクターや被写体の同一性を保持する技術”が実装されています」と説明。続けて「人物の写真を使って“○○風アート”を生成してみましょう」と呼びかけ、ワークが始まりました。

学生たちはそれぞれ自分の画像を使い、ステッカー風の加工など、簡単な指示を入力して画像を生成・変換する体験を行いました。川越氏は「同様の技術は、ファッションECサイトなどで“モデルの写真をAIで差し替え、服だけを変更して見せる”といったかたちで実用化が進んでいます」と述べ、現場での活用例を紹介しました。

続いて、OpenAI社が2024年12月に公開した動画生成AI「Sora2」についても触れました。「動画生成AIも急速に進化しており、短く簡単なプロンプト(指示文)を入力するだけで、質の高い動画を生成できるようになっています」と説明。また、Geminiにも動画生成機能は備わっていて、日々アップデートされて精度が高まっていると補足しました。

川越氏は、「サイトとの連動予約など、昨年AIにはできなかったことが今年は可能になっています。一年で技術が大きく進化している」と語り、AI技術の成長スピードの速さを強調しました。

生成AIのしくみ

川越氏はまず、AIの技術的背景について簡単に解説しました。

AIの研究分野の一覧を示しながら、「生成AIは、機械学習の一分野であるニューラルネットワーク(人間の脳の仕組みを模した情報処理のしくみ)と、その技術を応用したディープラーニング(コンピューターが大量のデータから自動的に特徴を学習する技術)を基盤としている」と説明しました。

さらに、「AIが考えて回答しているのではなく、AIが予測した候補の中から最も適切だと思われるものを選んで出力している」と、その仕組みを紹介しました。

ハルシネーションとその対策

続いて川越氏は、生成AIがあたかも事実のような誤情報を生成する現象(ハルシネーション)と、その防止策について紹介しました。

具体的な対策として、
① 信頼できる情報源をAIに読み込ませること、
② 回答に根拠や出典の提示を求めること
③ Geminiの「Deep Research」など外部検索を活用することの3点を挙げました。

これらにより、AIが回答を生成する際の情報源を明確にすることが、より適切な生成につながると説明しました。また、Deep Research機能については、「投げかけたテーマに関する情報を、根拠を示しながらレポート形式でまとめる機能」と補足しました。

プロンプトとメタプロンプト

さらに川越氏は、「良いプロンプト」の書き方についても解説し、「誰に向けて」「何文字以内で」「どのように説明するか」を明確に指定することで、期待に近い回答を得られると紹介しました。

続けて「これを毎回行うのは大変です。そのため、このプロンプト自体をAIに作ってもらおうと思います」と述べ、AIの動作指示を定義する“根本の設計文”ともいえるメタプロンプトを紹介しました。「これから皆さんには、このメタプロンプト(=プロンプトを書くためのプロンプト)を作成する準備を行ってもらいます」と述べました。

実践!Geminiをカスタマイズ

川越氏の指導のもと、学生たちはDeep Research機能を活用して出力された結果をもとに、Gem(特定の役割・話し方・回答形式などをあらかじめ設定できる機能)を設定し、メタプロンプトを生成するための環境を作成しました。

さらに川越氏は「AIの性格を考えて、自分の好きなように設定してみましょう」と呼びかけ、やり取りのスタイルを自由にカスタマイズするよう促しました。学生たちは考えた性格を設定に読み込ませ、自分専用のGemを作成。

この設定を行うことで、「抽象的な指示から的確なプロンプトを自動で生成できるため、自分でプロンプトを考える必要がなくなる」と説明しました。

また、AIの人格形成について川越氏は「特に指示や設定を行わなくても、やり取りを重ねる中で自然に形成されていく」と述べ、「これから何度もやり取りを行うため、チャットしやすい人格を設定することが大切」と話しました。

学生たちは、今回作成した自分専用のカスタマイズ設定を用い、今後の制作に取り組んでいきます。

担当教員からのメッセージ

生成AIを制作パートナーとするこの挑戦は、人間社会学部の学生にとって、社会で通用する実践力を養う貴重な機会になります。生成AIを使いこなして、社会連携の意義を伝える魅力的なコンテンツができることを期待しています。

2025年10月22日

学生が動画制作にトライ!英文学科プロジェクト科目bにて、映像制作会社ピクス(P.I.C.S.)とのコラボ授業が始まりました

2025年10月7日(火)にプロジェクト科目b(担当:文学部英文学科 鹿島千穂専任講師)にて、株式会社ピクス(P.I.C.S.)(以下、P.I.C.S.)プロデュースのもと、イリエナナコ氏をお招きし、動画制作の基本について講義が行われました。

授業について

この授業は文学部英文学科の専門科目として開講されており、メディア広報活動として、英文学科の公式インスタグラムに投稿する動画の制作を行います。
アカウントはこちら→https://www.instagram.com/jissen_eibun/

動画制作のテーマは「高校生に向けた、実践女子大学英文学科のPR動画」です。制作した動画は、実際に公式アカウントに投稿され、SNS広報として発信される予定です。
学生たちは今回の講義を通して、動画制作の流れや具体的な作業内容について、制作事例の紹介やミニワークを交えながら実践的に理解を深めました。

動画制作の基本

講師を務めたのは、クリエイティブディレクターのイリエナナコ氏。学生と同じ目線で机に座り、「カジュアルにいきたいですね」と笑顔で語りかけながら講義をスタートしました。イリエ氏は早速「最近好きだった動画は?」と学生たちに質問。「K-POPアイドルの動画」「配信の切り抜き動画」など、スマートフォンを見ながら答える学生たちに対し、イリエ氏は「今挙げてもらった動画には、ショート動画もあればロング動画もあります。動画にはさまざまな種類があるんです」とコメント。そこから、動画を構成する客観的な要素や魅力について、分かりやすく解説を始めました。

動画の種類を決定づける四つの基準「①制作がプロか個人か ②公開方法 ③コンテンツ内容 ④技術や形式」について解説し、各項目の詳細を説明したうえで、「今回制作する動画は、どの分類に当たるでしょうか」と学生に問いかけます。学生たちは「公式(プロ)による発信」「SNSでの公開」「広告・ブランディング」「ショートまたはロング動画」に該当することを確認しました。

その後のミニワークでは、「この分類に近い事例を探してみましょう」と呼びかけがあり、学生たちは検索に少し時間をかけながら、「アパレルブランドのInstagramリール」や「応援しているタレントが出演する飲食店のPR動画」などを例として挙げました。イリエ氏は「普段は自然に目にしているけれど、探そうと思うと意外に難しいものです。制作するものに近い“視覚的な参考例”を見つけておくことは、とても重要な工程です」と説明。「プロも夜な夜なこうした作業をしています」と付け加え、実際の制作現場でも欠かせないプロセスであることを強調しました。

実際の制作の流れ

授業では、PR動画「東京宝島」の事例をもとに、実際の動画制作の流れが紹介されました。
制作は〈①企画を考える ②プレゼン ③撮影 ④編集 ⑤確認・修正 ⑥公開〉の6つのプロセスで進行し、この講義では特に①~③の工程について詳しく解説が行われました。

①企画を考える

企画立案では「受け手にどんな行動を起こしてほしいか、どんな印象を与えたいかを考えながら、テーマ・メッセージ・構成を練ります」と説明。「どんな人に、どんな行動をしてもらうかを考えることも企画の一部です」と紹介しました。

②プレゼン

企画書や絵コンテを用いて、動画の流れや世界観をチーム全体で共有する工程です。セリフの内容やタイミング、使用するBGMやカメラの動きなど、資料から撮影現場が想像できるほど詳細かつ具体的につくりこみ、チーム内やクライアントと「共通の完成イメージを共有すること」を目的としています。

イリエ氏は「目的に沿った内容づくりの大切さ」を強調。学生たちは、提示された条件ごとにCM出演者を考えるミニワークを実施し、「誰に何を届けるか」によってキャスティングが変わることを体感しました。

さらに「大学に入って初めて知った言葉を思い出してみてください」と問いかけ、学生からは「空きコマ」「単位」「オンデマンド」など学生生活に関する言葉が挙げられました。イリエ氏は「みなさんが高校生の時と同じように、動画のターゲットとなる高校生はこれらの言葉を知らないということです。動画はターゲットに伝わる言葉や内容で構成しなければいけませんが、それには想像力が必要です」と語りました。

続くミニワークでは、「CMのナレーションを考える」「ロケ地を選ぶ」「衣装を決める」といった課題に取り組み、選んだ理由とともに発表。イリエ氏は「実際の制作でも同じように、“理由づけ”をしながら細部を決めていきます」と述べました。

ミニワークにとりくむ学生たち

③撮影

撮影において重要な要素として「構図」「カメラの動き」「光の当たり方」の3点を紹介。イリエ氏は「撮影を完璧に行うため、事前にロケハンを行い、絵コンテと照らし合わせながら試し撮りをします」と説明しました。さらに「カメラの動かし方やキャストの視線の方向まで、すべて事前に考えたうえで撮影に臨みます。その場の判断で調整することも多いです」と、リアルな現場の様子を伝えました。

チームと役割

講義の最後には、動画制作を支える多様な役割について、イリエ氏作の「診断テスト」を交えながら紹介。企画を担うプランナー、映像を編集するエディターなど、それぞれの専門職の特徴を説明しました。イリエ氏は「現場では常にいろんな人とグループワークしているような感覚です」と話し、「これから自分がどんな役割でチームに関わっていきたいかを考えてみてください」と学生に呼びかけ、講義を締めくくりました。

担当教員からのメッセージ

本授業は、学⽣が主体となって英⽂学科のメディア広報活動を行うプロジェクト科目です。実は、過去には英文学科のInstagram動画作成が正課外活動として実施されていた時期もありましたが、今年度より正式なキャリア教育科目としてスタートしました。

SNSでのコミュニケーションが日常となった今も、効果的かつリテラシーをもって発信する知識や技術を持ち合わせていないのが現状です。学生たちは映像制作の第一線で活躍するクリエイターから撮影・編集の⼿法を習得し、チームの仲間と協働して英文学科の公式Instagram動画を完成させます。

この授業回の翌週には、チームごとにプロデューサー、ディレクター、編集者、出演者、コピーライター等の役割分担が終わり、企画立案が始まりました。どのような案が出て、それをどのように映像化していくのか、楽しみです。

2025年8月13日

発見したことを共有しよう!「演習Ⅱa」の授業で、複数のカフェのSNS分析とフィールドワークの成果を共有する中間発表を行いました。

5月28日の「演習Ⅱa」(Lクラス担当:人間社会学部ビジネス社会学科 篠﨑香織教授)で、猿田彦珈琲とのコラボ授業が行われました。この日は、4月に企業から出された課題に取り組む過程で発見したことを共有する中間発表。代表取締役の大塚朝之氏をはじめ社員の皆さんを前に、実際に店舗へ行って感じたことなどをプレゼンしました。

フィールドワークで発見したことを発表!

学生たちに出されている課題は「猿田彦珈琲のSNSについて考えよう」。
ターゲットは20代で、猿田彦珈琲のファンになってもらえる投稿を提案することです。
そのためのフィールドワークとして、先週クラスの皆で道玄坂通店へ来店。そのときに感じたことや課題に生かせそうなことをまとめてきました。

この日も学生たちの手元にはアイスコーヒーが配られました。
「緊張するかと思いますがリラックスしてやってください」と芸人でもある平岡佐智男氏が話し、発表が始まりました。

対応の良さをアピールするには?

トップバッターはE班です。
ターゲットを20代前半の女性に定め、新規顧客の獲得を重視した投稿案を考える予定です。
フィールドワークで感じたこと、発見したことを学生それぞれが細かく発表し、大塚氏からも「すごいね」と感嘆の言葉をいただいていました。
そのなかで特に「店員の対応がとても良い」ことに注目。
平岡氏から「店員の対応が良いというメリットをSNSでどうアピールしますか?」と質問され、学生は「対応している最中の動画を出すとか、大切にしている言葉をピックアップすることなどを考えています」と答えていました。

2番手はB班。
大学生をターゲットに、スイーツに焦点を当てる投稿を考えています。天井が高く、店内の雰囲気が良いためちょっといい時間を過ごしたいときに使ってもらえるようアピールする作戦。
特に一口サイズのクッキーなど、摘まめるものがあることに着目していました。

大塚氏からは「スイーツでカフェを選ぶことは多いですか?」という質問が。
学生は「SNSでチェックしてスイーツをみて行ってみようと思うことはある」と回答し、「スイーツを頼むときは必ず飲み物も頼む。スイーツを基準に飲み物を決めるときもあります」と話し、大塚氏も頷いていました。

マイナスポイントも次に生かす

次のA班からは残念だった体験も。
グラスに美しく入った写真に惹かれて「ブルーベリーバイオレットフロラッテ」を頼むも、提供は紙コップで中身が見えなかったということ。
「グラスやプラカップなど透明なものに入っていれば、写真も映えるため雰囲気が演出できると思います」と発表すると、企業の皆さんも納得したように頷いていました。

D班もスイーツ系や期間限定商品を押し出していくことを考えています。
公式サイトやSNSに載っていないスイーツやフードが、実際には種類が豊富にあり驚いたと発表。
「事前に公式サイトを見てから行きましたが、あんまり種類がなく残念だと思っていたので驚いた」と話しました。
大塚氏から「公式サイトでフードやドリンクの情報を調べますか?」と質問があり、「初めて行く場合は見ることもあります」と回答しました。

店舗ならではの良さを発見

続いてC班。
季節限定などだけではなく、その日の天候や気温などに合わせてオススメ商品を紹介するなど、日常的な投稿案を考え中です。
店内は落ち着いていて一人で作業する人もいますが、学生たちが普通の声量で話したり笑ったりしても大丈夫な雰囲気で、過ごしやすかったと話しました。

最後のF班は、映えだけではない、猿田彦珈琲独自の落ち着いた雰囲気が伝わるような投稿を目指しています。
道玄坂通店には、靴を脱いで上がる畳敷きの小上がりがあります。インバウンドの方向けの和風の雰囲気を重視したそのスペースを、班のメンバーが体験。
「他のカフェと違い、足を伸ばしてリラックスできた」と感想を語りました。
メンバーが頼んだものは、フルーツをメインにしたスイーツドリンク。
それを見て「期間限定商品などはフルーツ系の商品が多いのですが、コーヒーを使った商品でも飲みたいと思いますか?」と平岡氏から質問。
気分に合えばもちろん飲みたいと学生たちは回答しました。
最終プレゼンでコーヒーを使った新商品の提案もしてみようという話も出ました。

最終プレゼンに向けさらにレベルアップ

全部の班の発表を終え、企業の皆さんからは「みなさんとても考えていてすごいですね」という感心の声が。
6月に行われる最終プレゼンテーションへの期待が高まりました。
最終プレゼンでは、SNSへの投稿案というのがメインの課題ですが、どんな提案もNGはありません。
新商品の提案や、提供の仕方など実際にフィールドワークから思いついた発想も活かし、自由に提案します。
学生たちはさらに1ヵ月かけてグループワークを行い、企画の完成度を高めていく予定です。

担当教員からのメッセージ

 4月30日の初回連携授業から5月28日の中間発表まで、約1か月の期間がありましたが、5月7日は本学の創立記念日のため授業はなく、実質2回の授業を経て中間発表を迎えることになりました。
 この演習を履修している学生には、前期14回分の授業計画をあらかじめ示しており、ゴールデンウィークなど授業がない期間にも、猿田彦珈琲からいただいた課題に対応するために、意識的に「よく見るInstagraやXを参考に、フォロー・リツイート・コメントが多い投稿の特徴を分析する」という課題に取り組むように伝えていました。
 5月14日の授業では、「インスタグラムの分析(フォロー、リツイート、コメントのあるインスタグラムとは?)」をテーマに、猿田彦珈琲のInstagramまたはXの投稿を、チームごとに分析しました。
 また、5月21日には、猿田彦珈琲のお取り計らいにより、道玄坂通店でのフィールドワークを実施することができました。学生にとっては「猿田彦珈琲って?」「行ったことがありません」という状態からのスタートだったため、店舗の雰囲気やスタッフの皆さまの接客の様子、商品ラインナップ、顧客層などを観察・確認するとともに、それぞれが思い思いに商品を注文し、飲食できたことは非常に貴重で、「百聞は一見に如かず」を実感する良い機会となりました。
 学生はあらかじめ猿田彦珈琲のInstagramやXのほか、他のカフェや女子大生に人気のブランドのSNSも観察し、「SNSを活性化させるとはどういうことか?」を自分なりに考えてから現地に赴きました。そして、「誰に」「何を」「どのように」伝えることが、課題解決に結びつくのかについて、店舗での経験を踏まえて検討を重ねました。

 そして迎えた本日の中間発表会では、各チームがそれぞれの視点から猿田彦珈琲を分析し、その成果を発表することができました。猿田彦珈琲の皆さまからは、驚きや喜びのお声をいただく場面もあり、次のひと月で何を加えていけるかが私自身の課題になりました。
 
 最後になりましたが、ご多忙の中ご対応いただきました猿田彦珈琲道玄坂通店のスタッフの皆さま、また中間発表会にご出席くださった大塚社長、平岡様、田岡様、上田様に、心より御礼申し上げます。今回は、当時「東京大学 Special Edition店」でしか味わえなかった「濃縮カスタムミルクラテ」を差し入れとしてご提供いただきました(6月21日より全店舗で販売開始)。重ねて感謝申し上げます。

【フィールドワークと中間発表会の様子はこちらからも知ることができます!】
https://www.jissen.ac.jp/learning/human_sociology/blog/2025/shinozakizemi_20250530.html)

https://www.jissen.ac.jp/learning/human_sociology/blog/2025/20250613_shinozakizemi.html
2025年8月5日

社会人にはどんな力が必要?「実践プロジェクトa」の授業でサントリーの新人研修を考える課題のプレゼンテーションを行いました。

7月11日に「実践プロジェクトa」(担当:文学部国文学科深澤晶久教授)にて、サントリーホールディングス株式会社(以下サントリー)とのコラボ授業が行われました。この日は6月に企業から出された課題に対しての最終プレゼンテーション。課題は「サントリー社員として、サントリーの新人研修を考案すること」です。中間プレゼンを経て、内容をよりブラッシュアップして臨みます。学生たちはサントリーの髙橋氏、斎藤氏を前に自信をもってプレゼンしていました。

グループワークで「協働力」を付ける

最初の発表は6グループから。
「協働力」にフォーカスした一週間のプログラムを考案しました。
アンケート結果から、日本の若者は輪を乱さないことを重要視する傾向があると分析。
しかし協働力とは周りと合わせることではありません。違う考えでも一緒に仕事をして、結果を出すことができる力です。
サントリーの大事な資源である「天然水の森」に関わる地域課題に取り組むことで協働力を高める、としました。
発表後の講評で、斎藤氏から「自分たちで行ったアンケート結果をしっかり分析し整理できていた」とお褒めの言葉が。
髙橋氏は「水問題に絡めていたけれど、協働力とのつながりがもっとあればさらに良かったです」と話されました。

次の5グループは「揺らぐ世界に揺らがない力を」をコンセプトに、1年間を通して行う研修を考えました。
時代を越えて社会人に求められる力として思考力や主体性、柔軟性が大事と考え、それぞれが身に着くワークを提案。
前期ではクイズなどで知識を養い、中期にそれぞれ気になることを調べる個人ワーク、後期には販売戦略を考えるグループワークを行います。
講評では髙橋氏から「原稿を見ずに話していて事前準備をしっかりしたことが伝わりました」と感心の言葉もありました。
斎藤氏は「アイデアはとても良い。どんなワークがどんな成長につながるのかもう少し考えてみましょう」とアドバイスもいただきました。

社会人基礎力を身に付けるには?

3グループは社会人基礎力をOSとアプリケーションに例え、「基盤となる考えは最新にアップデートし、語学力などのスキルをダウンロードすることが大事」と主張。その上で若者の8割が、挑戦することに苦手意識があることに注目し、意欲を引き出す研修を考えました。
主体性を養う方法として、プレゼンテーションのワークを行い、自分の言葉に責任を持ち行動できる人材を育てます。
髙橋氏は「中間発表から内容を大きく変えて、改善しましたね」と驚いた様子。「社会人基礎力を詳しく分析し理論的でした」と感嘆されました。

続いては4グループです。
社会には「自ら動く人と繋がり価値を生み出す人材」が必要として、まずは自己理解ができる自己診断ツールを導入することを提案。
「探求心」が弱い、「協調性」が苦手など、自分になにが足りないかを把握してからグループワークに臨みます。お互いの強みや弱みを補いあうことで、協調性やリーダーシップなどを育む計画です。
斎藤氏は「方法論をよく考えている。成長支援を長期的にできる研修で良いアイデアだと思います」と語られました。

パラスポーツを研修に活用

次の2グループは、現代社会ではAIが発展していることに注目。
しかしビジネスも根本的には人と人でのやりとりです。AIには真似できない、人に気持ちに寄り添う人間性を育てることが重要と考えました。
考案した研修はなんともユニークな「逆転研修計画」。
上司と部下の立場を入れ替え課題に取り組みます。部下が上司に具体的に指示を出すことで、リーダーシップや言語化能力を身に付けます。上司と部下の相互理解にもつながり、風通しのよい社内になるとしました。
斎藤氏からは「人間性と自ら行動することのつながりに、もっとフォーカスしているとさらに良かった」とコメント。
また、中間発表とがらりと内容を変えてきたことに対して「中間発表より素晴らしくなっている」と頑張りをねぎらいました。

最後は1グループ。
社会人にはリーダーシップや規律性が求められるとして、団体スポーツを取り入れた研修を提案しました。
ゴールボールという視覚障害の方が行うパラスポーツを通し、フェアプレーの精神やルールを守る規律性、積極性を養うと発表しました。
髙橋氏は「研修の中身が全グループのなかで一番詰められていた。実際に、車いすラグビーを行う研修もあります」と感心されていました。

自分の個性に気付き次に活かそう

全グループ発表が終わり、サントリーのお二人から総評をいただきました。
「非常にハードだったと思いますが、まさに『仕事』を体験してもらえたと思います」と髙橋氏。「グループで協力し、適材適所で進めていったと思います。そのなかで自分がうまく出来なかったこと、足りないものを知れるいい機会になったはず。この授業で終わりではなく、得たことや気付いたことを糧にするため一歩踏み出していってください」と語りました。

斎藤氏は「大事なのは結果よりもプロセスです。他の人は自分からどう見えたか、自分は他の人からどう見えたか。自分の個性に気付き、自分がどう成長できたかを大事にしてください」と話しました。
そして二人から「全員が優秀賞です」とアイスクリームのギフト券がプレゼントされると、学生たちから歓声が上がりました。ほっとした表情で笑い合う学生たちは、難しい課題を乗り越えた満足感に満ちていました。

担当教員からのメッセージ

「実践プロジェクトa」は今年で5年目となりました。サントリーホールディングス様には毎年ご支援いただいています。そして、一貫して同じテーマをご提示いただいています。大学生なったばかりの1年生が、社会人に求められているものを調べあげ、サントリーホールディングス様の新人研修を考えるというのはかなりハードルの高い課題ではありますが、この講座が「1年生に対して大学での学び方を学ぶ」という目的があるからです。言い換えれば、この授業で考え、調べ抜いた社会人に求められることを理解し、これからの大学生活を送ることが、素晴らしいキャリア形成に繋がるからです。まさに「主体性講座」と名付けている理由がここにあります。今のレベルと社会人に求められるレベルとのギャップを埋めていく事が大学での真の学びなのです。そして、今年は、初めて併設校の実践女子学園高等学校の3年生も2名加わってくれました。「実践10年教育」の具現化が図れた意義ある講座となりましたことを付け加えさせていただきます、最後に、毎年ご支援いただいているサントリーホールディングス様に心から感謝申し上げます。

2025年8月4日

2025年度「実践キャリアプランニングa」の授業で、文化放送の課題に対し、学生によるプレゼン発表が実施されました。

7月4日(金)と7月11日(金)に「実践キャリアプランニングa」(担当:文学部英文学科 鹿島千穂 専任講師)の授業で、文化放送から提示された課題に対する最終プレゼンテーションが行われました。課題内容は「20秒のラジオCMを考える」。テーマは二つ提示され、「渋谷センター街の子ども食堂」チームは7月4日、「実践女子大学」チームは7月11日に発表を行いました。

学生は、台本を掲載したパワーポイントスライドを使い、発表中に読み上げました。さらに事前準備として提案するラジオCMの企画書を提出しています。同じテーマの全グループの発表が終わった後に、学生間投票で優秀賞を選定。鹿島専任講師は『自分が好きな作品に投票してください』と呼びかけました。さらに、課題発表時に講演していただいた村田氏が企画書を読んで選出した「文化放送賞」も発表されました。

この記事では各テーマで優秀賞と文化放送賞を受賞したグループを紹介します。

「渋谷センター街の子ども食堂」|優秀賞:チームポンデリング

「チームポンデリング」は、子どもをターゲットにしたCMを提案しました。放送時間は学校終了後の夕方17時〜19時を想定。「食の温かさ」と「地域のやさしさ」が伝わる内容です。

【CMコピー】
(探偵ドラマ風のピアノBGMと足音のSE)

探偵「俺は探偵。渋谷区宇田川町ビルディングで目撃された『謎のあたたかいごはん』を追っている…」
子ども「あ、それ?渋谷区こども食堂のごはんだよ!」
(音楽一気に明るく)
探偵「まさか…この優しさ、(間を開けて)無料だと!?」
子ども「事件は『渋谷区子ども食堂』で起きている!みんなで食べるごはん、捜査不要のうまさです!」

CMの主人公は、子どもにも親しみのある“探偵”キャラクター。物語は事件をきっかけに会話で進行し、子どもの視点からワクワクしながら自然と子ども食堂の魅力に触れられる構成になっています。音楽も工夫されており、ミステリアスなBGMから疾走感のあるBGMへと切り替わることで、事件解決の爽快感を演出しています。会話も元気でコミカルにまとめられ、難しい言葉は平易な表現に言い換えるなど、細部まで丁寧に作り込まれていました。「どこで開催されているか」「無料で食事ができる」といった重要な情報もしっかりと押さえられています。

発表後の質疑応答では、鹿島先生から「ヒントになった作品はありましたか?」との問いに、メンバーは「国民的探偵アニメです」と回答。続けて「必要な情報を残し、簡単でキャッチーな言葉でつないでいる。まさに以前の講演の要点を押さえた、子どもにも届く素晴らしいCMだった」と評価が寄せられました。

「渋谷センター街の子ども食堂」|文化放送賞:チームMARRY

文化放送賞を受賞した「チームMARRY」は、子ども食堂を「大学生にとっても身近な場所」として提案しました。ターゲットは大学生で、孤独感を抱える若者に向けたメッセージ性のあるCMに仕上げられています。

【CM案】
(食事中の音声)

男性「好きな色とかってあるんですか?」
女性「うーん、このイチゴみたいな赤が好きかな」
男性「今日の洋服の赤も似合っていますね」
女性「でしょう?だからランドセルも赤なの。お兄ちゃんともっと話したい」

ナレーション「おかわりされたのは、ご飯じゃなくてあなたとの会話でした。出会いじゃないつながりを。渋谷センター街こども食堂」

放送時間は深夜帯(22時〜25時)を想定し、「みんなの孤独をいやす場所」というコンセプトを軸に、学生自身の孤独感と子ども食堂でのサポート活動を丁寧に結びつけました。

CMでは、マッチングアプリの会話を模した演出が印象的です。恋愛のやり取りかと思わせておいて、実は子ども食堂での小学生との会話だったという意外な展開が、音声メディアならではの魅力を引き立てています。また、大学生にとってなじみのあるマッチングアプリという題材を取り入れることで、子ども食堂を“自分ごと”として感じてもらえる工夫も凝らされていました。

発表後、鹿島先生から「スタッフ募集の情報はどこで見つけましたか?」と質問があり、メンバーは「子ども食堂のHPで随時募集されているのを見つけた」と回答。続けて「マッチングアプリの要素を盛り込んだり、オチを用意したりと、多角的に構成が練られたCMだった」と評価が寄せられました。

村田氏からは「音声ならではの特徴を生かして聞く人によい裏切りを演出しつつ、情景やそれぞれのキャラクターが浮かぶようなコピーであり、大変素晴らしい作品だと思います。何よりおかわりされたのはご飯じゃなくて、あなたの会話という言葉がとても心に響き、心が温まりました。子ども食堂の魅力が存分に伝わり、興味を引くとても魅力的な音声CM作品だと思います」とコメントが寄せられました。

〈実践女子大学〉優秀賞:チーム東日本ガールズ

優秀賞を受賞した「チーム東日本ガールズ」は、進路に悩む高校2年生の女子生徒をターゲットに、実践女子大学の魅力を伝えるCMを制作しました。放送時間は、学校の授業が終わる16時30分ごろを想定し、等身大の視点から親近感を引き出す構成になっています。

【CMコピー】

JK1「ねえ最近、#推し活 しかしてないんだけど~(笑)」
JK2「それな?でも私、最近#未来活 始めたかも」
JK1「え、なにそれ(笑)」
JK2「実践女子が、企業と授業とやるんだって。マジで就活前のリハって感じ」
JK1「それガチすぎじゃん…。ってか渋谷だよね?通いたすぎ」
JK2「『映え授業』じゃね?」
JK1「え、なにそれ強!てかそれ未来見えてんじゃん」
ナレーション(女性)「実践女子大学渋谷キャンパス。#推しは未来のわたし」

BGM:渋谷スクランブル交差点のざわめきと信号音のカッコウ(ラジオ内の会話の部分にBGMとして流す)

CMには、未来の実践生となる“JK”たちが登場。実際の高校生に近いテンポ感のある会話と、渋谷の象徴ともいえるスクランブル交差点の環境音をBGMに使うことで、大学の立地の魅力が自然に伝わるよう工夫されていました。また、「PBL授業」といった専門用語も「企業と授業」「就活前のリハ」といった高校生に伝わりやすい言葉に言い換えられ、将来への期待を膨らませる内容になっています。

中でも印象的だったのは、「推し活」から「推しは未来のわたし」へとつなげたコピー。いま夢中になっている自分と、将来の自分を重ね合わせる構成が、進路を考える高校生に前向きな一歩を促していました。さらに、ハッシュタグを効果的に使うことで、SNS感覚で情報が伝わる親しみやすさも演出されています。

発表後の講評では、鹿島先生から「文章を読んだだけではピンと来なかったが、読み上げを聞いて魅力が伝わった。世代間で単語の意味が分からなかったが、それがむしろターゲット世代に刺さるとわかって面白かった」と、リアリティと説得力にあふれる表現が評価されました。

〈実践女子大学〉文化放送賞:チームIデンティティ

文化放送賞に選ばれた「チームIデンティティ」は、女子高生とその保護者の双方をターゲットにしたCMを提案。放送時間は、ちょうど帰宅時間にあたる16時から18時を想定し、親子で耳を傾けたくなるような内容に仕上げました。

【CMコピー】

(SE:ヘアアイロンのジジジ、水道のシャー、メイク道具のカチャカチャ、洗面所の反響音)

実践女子大生A「鏡、渋滞しすぎじゃない?」
実践女子大生B「ほんとそれ~。てかさ、今日、企業連携の授業じゃん。準備した?」
実践女子大生A「うちらさ、ビジュ整えながら、企業170社以上とコラボしてんの、エグくない?」
実践女子大生B「てかもう、実践してるよね、フツーに。」
ナレーション(女性) オシャレも、社会も本気で向き合う。
(ジングル) 女性が社会を変える、世界を変える。 実践女子大学

CMでは、「渋谷キャンパスの魅力」や「建学の精神(女性が社会を変える、世界を変える)」を、日常の大学生活になじませながら紹介。セリフにはリアルなキャンパスライフの様子が盛り込まれ、自分がここで学び、すごすイメージが自然と浮かんでくるよう工夫されています。また、「おしゃれにも社会にも本気で取り組む」という、現代の女子大生像を等身大で描いた点も印象的でした。

社会連携事業を取り上げ、「実社会とつながる実学の場」としての大学の特色にも言及。親世代に対しても安心感や納得感が得られるよう、客観的な数字や取り組みの具体例を織り交ぜながら構成されていました。

質疑応答では、鹿島先生から「ターゲットに保護者も含めた理由は?」という質問があり、「大学選びは本人だけで決められないことも多い。親御さんにも、こどもの“好き”を実践できる環境があることを知ってもらいたかった」との回答がありました。

村田氏からは「実践女子大生の日常を切り取ったストーリー仕立ての映像で、勢いのあるセリフとリアルなやりとりが印象的。軽やかなテンポのなかに、「企業170社とコラボ」というインパクトあるキーワードが盛り込まれ、最後には“おしゃれにも社会にも本気で向き合う”というフレーズでしっかりとメッセージが締めくくられています。日常の延長線にあるパワフルさが、緻密な構成とセンスによって自然に引き出された作品です。実践女子大生の魅力がびしびしと使って伝わってくる作品ということで、選ばせていただきました」とコメントが寄せられました。

授業全体の講評

授業の最後に、村田氏からの総括コメントが紹介されました。

「それぞれのCM作品の設定や言葉選び、セリフの話者のキャラクターや効果音などのクリエイティブをはじめ、CMを届けたいターゲットや目的訴求、ポイント、流す時間に至るまで、最後までよく考えられて工夫されており、大変感心しました。対象についてそれぞれがよく考え、思いを巡らせた様子がよく伝わってきました。渋谷センター街こども食堂の方は、思わず笑顔がこぼれるような心温まるような作品が多く、実践女子大学の方は、まさに生き生きと学ぶ本学の学生の顔が浮かんできて、改めて魅力的な大学であることを再認識しました。ラジオでそのまま流せそうなものも多く、私自身も楽しませていただくとともに刺激を受けました。ぜひこの機会に音声で伝えることや音声を楽しむことに興味を持ってもらえると嬉しいです。貴重な機会と素晴らしい作品をありがとうございました」

担当教員からのメッセージ

学生たちは1ヵ月にわたって「20秒のラジオCM制作」に取り組みました。秒単位の短い時間で「伝わる」作品にするにはどうしたらよいか、アイデアを出し合い、ことばを厳選して完成した作品は、文化放送村田様の「本気度と一生懸命さが伝わってきた」との評価の通り、斬新で完成度の高いものでした。また、企画発表の際にCMのイメージをオーディエンスに伝えるために、SEやBGMを駆使したり、CMコメントをテンポよく読み上げたり、あるいはAIで音声化するグループもあったりと、さまざまな工夫を凝らしていたことにも感心しました。
ラジオのプロである文化放送様が選んだ作品と学生間の投票で選んだ作品が違ったのも、ラジオの訴求層の違いを表しているようで興味深い点だと感じました。この経験を通して、学生たちが音声表現の奥深さや面白さに触れられたことを嬉しく思います。お力添えいただいた文化放送様に心より感謝申し上げます。

2025年7月22日

 「キャリアデザイン」の授業で立教大学法学部石川文夫客員教授との特別コラボ授業が行われました。 

6月3日(火)に「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、立教大学法学部石川文夫客員教授との特別コラボセッションが行われました。「ロールモデルから考えるキャリアデザイン」と題された今回の特別講義は、石川教授と縁が深く、独自のキャリアを歩まれている女性ゲストを三名お招きし、それぞれのキャリアや価値観を振り返る講義を行いました。授業には石川教授のゼミから立教大学の学生も参加。特別編成で行われた講義とあって、学生たちも講師の話に真剣に耳を傾けていました。

石川教授が、深澤教授のインタビューが掲載された新聞記事を読み、連絡をとったことがきっかけでコラボ授業の運びとなった今回の授業。ゲストスピーカーは天谷 暁子氏、関口 郷子氏、高柳 真由子氏の三名です。

天谷 暁子氏の講演

富士通の人材採用センターに勤務する天谷暁子氏は、理系の大学に通いながら大学1年で学生結婚、大学院では妊娠・出産を経験。出産時期と就職活動が重なるという状況の中で富士通に応募し、事情を正直に伝えたところ「出産後にぜひ受けてください」と温かく対応された経験を語りました。当時はダイバーシティが今ほど浸透していなかった時代にもかかわらず、面接で「あなたのような人が必要です」と声をかけられたことに感激し、「今も自分の原点として大切にしている」と振り返ります。

富士通に入社後は法務・知的財産権本部から知的財産研究所への異動を経て、海外調査や報告業務にも携わり、さらに東京オリンピック・パラリンピック組織委員会への出向という貴重な経験も。帰任後は企業スポーツ推進室で社会貢献活動やアスリート支援に携わり、現在は主に新卒採用を担当しています。天谷氏はまた、プロスキーヤーとしてカナダでトップ選手たちと共にトレーニングを積んだ経歴も持ち、「スポーツを通じて学んだチームワークや対話力は、今の仕事にも活きている」と語りました。多様なフィールドでの経験を通じて、キャリアを自分の言葉で語る意義を強く実感しているといいます。

関口 郷子氏 の講演

関口郷子氏は、アナウンサーとして長年活動しながら、多彩なキャリアを切り拓いてきた実践者です。講演の冒頭では「質問しにくくても、ぜひ声をあげてほしい」と学生たちに呼びかけ、会場をぱっと明るい空気に染めました。関口氏は長野県飯田市の出身。山々に囲まれた自然の中で育った幼少期を振り返り、「やまびこで返ってくる自分の声が楽しかった。『声がいいね』と言われたことがアナウンサーを志すきっかけになった」と語りました。

大学在学中に地元局のアナウンサー試験に合格し、その後上京。世界各地を飛び回る取材生活の中、アラスカの取材が転機となったといいます。夜になるとオーロラが空を覆う現地で、-60度の厳しい自然の中で生きる人たちと共に生活を送る日々。「毎日生きててよかったと思う経験をした」と話し、「自分のために生きるスイッチが入った」と振り返りました。

38歳のとき、「本業+もう一つのキャリア」に挑戦する“パラレルキャリア”の考え方に出会い、コーチングの世界へ。どのようなパラレルキャリアを築こうか悩んでいた時期、友人へ話を聞いている中でコーチングという分野の存在を知ったといいます。興味を持った関口氏は、さらに理解を深めるため、実際にコーチングを行っている企業を自ら訪問。直接話を聞くなど、積極的に行動する姿勢が印象的でした。

さらには還暦を機に地元にリトリート施設「千代和らぎの郷®」を開設。開設のきっかけは、「世界中から人が集まるタイのリトリート施設に行ったとき、リラックスして素に戻ることができた。これって地元と同じじゃんと気づいて、自分も同じ環境を提供したいと思った」ことと話します。訪れた人が目標や夢を山に向かって叫ぶことが恒例行事となっているそうで、「皆さん、帰ってから驚くほど目標を達成している。言語化って大切です」と紹介しました。

最後に行われたワークは「今の自分が好きなことと、7歳の自分が好きだったことをかく」という内容。幼少期のやまびこがアナウンサーのキャリアにつながっている関口氏は、学生に「幼少期に夢中になったことは今の自分につながっている」と伝え、「無邪気さを思い出すことが、自分らしく生きるヒントになる」と締めくくりました。

高柳真由子氏 の講演

法務部門で唯一の女性として活躍する高柳氏は、車載通信機器、半導体検査治具、医療機器の製造販売・精密加工を行う企業で、契約書作成や紛争対応など、多岐にわたる業務を担当しています。高柳氏は大学時代は司法試験合格を目指すも、合格率3%の壁に心が折れ、のどに食事も通らないほどの気持ちの落ち込みを経験されました。しかし、支えてくれた家族の存在が大きな転機となり、最終的には別の形で法律に関わる道を選択しました

英会話講師や弁護士補助といった異なるフィールドを経て、企業の法務部へと転職した高柳氏。異文化や海外の価値観と向き合いながら、未経験の分野にも挑戦するなかで「性格がガラッと変わった」と振り返ります。「教えてもらう側から、提案できる側に変わると、仕事が本当に楽しくなった」と語り、日々の積み重ねが自信につながったと話しました。

また、高柳氏のプライベートも印象的です。長年続けるクラシックピアノに加え、ジャズピアノ、ジョギング、水泳、ピラティス、歌と多くの趣味を持ち、3匹の愛犬との生活も大切にしています。「クラシックは譜面通りだけど、ジャズは即興。人生も自分の解釈次第で変えられる」と話し、学生に向けては「自分を応援できる人でいてほしい」とエールを送りました。講演を通じて、仕事も人生も“自分のストーリー”として語れる強さとしなやかさを教えてくれました。

質疑応答

講演の後には、学生との質疑応答の時間が設けられました。

「変化が怖いと思い、慎重になってしまう。変化に対して、どのような気持ちで向き合っていけばよいか。心構えを聞きたい」という質問には関口氏が回答。「『変化が怖いと思う』と、今の自分について言葉にできることはすごいと思います」と切り出し、「準備ができる変化に対しては、何に怖がっているか自分に『なんで?』と問いかけてみてください。マインドなのか、行動なのか。理由がわかると解決の行動に移せる。一つ一つ原因をつぶしていく準備が、9割位占めていると思います。終わった後に失敗しても、完璧なんて無理だからそれまでにできる範囲の努力をして『これはできたな』と思える。そういうことが大切なのかなと思っています」と回答しました。

立教の学生から高柳氏に「『英語が話せることだけではなく、それで何ができるかが大切』という言葉に共感した。どうやって『何ができるか』を探せばいいか」と質問。「法律関係で海外の方と交渉する必要があったため、ビジネス英語を学んだ。海外の方と関わる必要がある仕事に携わると、英語は自然と求められるもの。だからこそ、“英語を使う仕事”を探すよりも、“自分がやりたいこと”から逆算して考えてみてはどうでしょうか」と、ご自身の経験に基づいた回答をされました。

担当教員からのメッセージ

日本経済新聞に掲載された私の授業のことがきっかけでご縁が生まれた石川先生が、社会で大活躍されている3人の女性を連れて本学渋谷キャンパスにお越し下さいました。

それぞれが輝く3人のロールモデルの方のお話しに、学生も引き込まれていきました。今回は、石川先生の下で学ぶ立教大学の学生さんもジョインされ、立教大学×実践女子大学というコラボも実現しました。ご支援いただきました石川先生には、この場を借りて心から感謝申し上げます。

2025年7月7日

2025年度「キャリアデザイン」にてオリエンタルランドさんから課題が発表されました。

6月17日(火)にキャリアデザイン(担当:文学部国文学科深澤晶久教授)にて、株式会社オリエンタルランド(以下オリエンタルランド)から横山政司氏を招き、課題について共有が行われました。学生が履修決定の際に提出した履歴書に「このコラボを楽しみにしていました」といった声が多く記載されていたことが深澤先生から共有があり、今現在もキャストとして働く学生が授業受講生の中に2人いるなど、学生からの期待値と意欲の高さがうかがうことができる回となりました。

課題についてお話しいただいた方は、コンテンツ開発推進部長の横山政司氏。初めにアイスブレイクとしてディズニーにまつわるクイズを楽しんだ後、横山さんによる自己紹介と、これまで歩んできたキャリアについてのお話がありました。

課題発表の前に

オリエンタルランドに入社するきっかけは大学時代に入っていた運動サークルでの経験で、「自分の企画で多くの人を笑顔にしたいと思った」ことだと話しました。入社後、キャリアのスタートは「SMTの時間帯責任者」だったそう。SMTはアトラクション略称で、学生たちは馴染みのない文字列に少し戸惑った様子でしたが、「スペースマウンテン」と正式名称の説明を聞いてワッと納得の声が上がりました。明るくテンポよく、ユーモアを交えながら話は続きました。

オリエンタルランドについて

オリエンタルランドの創業は1960年。創業の背景に、高度経済成長期の公害問題があったことを説明しました。また、オリエンタルランドという企業名は「東洋一のレジャーランドをつくる」ところからきているそうで、話は東京ディズニーランド開園にいたるまでの経緯に移ります。浦安にレジャーランドの設立が決まった背景として、公害問題による水質悪化で漁業が行えなくなり、浦安の海が埋立地になる計画が浮上したことがありました。

ディズニー誘致のきっかけは、創業者がアメリカのディズニーランドを視察した際、『日本の子どもたちにも見せたい』と強く感じたことだったと述べました。「東洋一のレジャーランド」が「ディズニーランド」であることの関係性がここで生まれたといいます。海の埋め立てに際して漁業権放棄の補償交渉が終了した年が1964年。同時期に、本格的なディズニー社との交渉が始まりました。契約の締結は1979年。「とにかく本物を」という理念のもと建設が始まり、1983年に東京ディズニーランドが開園しました。その後、1996年に新エリアオープン、2001年に東京ディズニーシーオープン、2013年に年間来園場数3,000万人の達成、2020年にコロナで史上初の4カ月閉園など、歩んできた歴史を紹介しました。

また、企業使命が「自由でみずみずしい発想を原動力に、素晴らしい夢と感動、ひととしての喜び、そしてやすらぎを提供します」であること、パークでゲストに提供しているものが「HAPPINESS」であることを紹介しました。「HAPPINESS」は、わくわくや感動、心の底から楽しむことなど、ポジティブなエネルギーであることを、CMの動画を使って説明。接客やパーク内の体験を通じて提供しているものを明確にしました。

課題の発表

学生が取り組む課題の発表の前に、前提条件として現在オリエンタルランドが抱えるビジネスの課題点について共有されました。それは、「人口減少の中、どのようにして来園場者・客単価を増やすか」。ビジネスモデルの説明と共に、どうしてそれが課題であるか細かく説明されました。一度軽いグループワークと意見の発表を交え、横山氏がピックアップした改善策は「リピータを増やす・客単価をあげる・年齢や環境の変化による離脱者を減らす」の三点。これらを達成する手段として「ファン化の促進が必要」とし、東京ディズニーリゾートのファンクラブである「ファンダフルディズニー」の紹介がありました。年会費や入会特典を説明したうえで「ファンクラブ会員はそうではない客と比較して、客単価が高い」一方でと「ファンクラブ会員の半分は継続歴5年以上であること」を述べた上で「入会者の過半数が40代以上」という現状の紹介がありました。

ここで課題が発表されます。スライドに映し出されたミッションは「あなたは、コンテンツ開発推進部に配属されたオリエンタルランドの新入社員です。人口減少社会でハピネスを提供し続けるために、Z世代のファンダフルディズニー会員を獲得する施策を提案してください」。続いて、取り組みにあたってのポイントの説明がありました。それは「原因の仮説を立てること」「Z世代のとくにどのような層をメインターゲットにするか決め、どうしてそれが会員獲得につながるか根拠を明示すること」そして「前述の二点が、施策内容とつながっていること」。さらに「年会費を下げる以外の切り口にすること」「提案する策が会員獲得につながる根拠を示すこと」。課題の構成や評価につながる重要な事柄の発表に、学生たちは真剣にメモを取ります。

横山氏は続けて、「コンテンツ開発推進部のメンバーが守るべきもの」を示したスライドをスクリーンに投影。そこには、普段仕事で大事にしていることが書かれており「課題を進めるうえでちょっと意識してもらえれば」と言葉をおいて、内容の解説をします。大切にしていることは「リサーチ」「リスペクト」「レビュー」の3点。グループで企画を進めるうえで、「互いにリスペクトすることを忘れず、ターゲットからもリスペクトされるような提案をする。ターゲットを尊重することを忘れないで提案内容を考えると、いいアウトプットが出せる」「今回はレビューまではいかないけれど、振り返りをしっかりすることは大切」と述べ、「とりわけリサーチについて、顧客をしっかりと見ることが大切。ウェブなどに掲載されている調査結果はすぐにとれるけど、それは誰にでもできること。ぜひ、皆さんならではの根拠を示してもらいたい」と学生ならではの視点に期待を寄せました。

授業の最後は早速グループワークでアイディア出しが行われました。横山氏は「課題のポイントにあった『調査結果が施策内容とつながっていること』が重要。施策が何に結びついていくのかを意識しながら、今後のワークに取り組んでほしい」とアドバイス。

学生たちは二週間後に横山氏から中間フィードバックをいただき、7月16日に控える最終プレゼンテーションに向けて準備を進めていきます。

担当教員からのメッセージ

今年も、学生にとって極めて関心の高いオリエンタルランド社との連携授業がスタートしました。本年度も昨年同様のテーマをいただきました。身近な企業からのお題ですが、その難易度は、昨年も実証済みです。
横山さんには、中間のフィードバックを含めて、7月8日のプレゼンテーションセッションまでサポートいただきます。学生の取り組みに期待したいと思います。

2025年7月3日

「国際理解とキャリア形成」の授業で五輪メダリストの岡崎朋美氏をお招きしスポーツニッポン新聞社との特別コラボが行われました。

6月24日(火)に「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、スポーツニッポン新聞社との特別コラボセッションが行われました。スペシャルゲストは元スピードスケート選手でありオリンピックメダリストの岡崎朋美氏。藤山健二編集委員との対談という形で、学生たちの前で講演を行って下さいました。世界の第一線で活躍された岡崎氏の貴重なお話に、学生たちも頷いたりメモを取ったりしながら真剣に耳を傾けていました。

対談の初めに

藤山氏はまず、岡崎氏が学生と同じ年齢だった頃の話題を切り出しました。岡崎氏は次のように語ります。「18歳で実業団に入ったのですが、当時は実力がなく、周囲のレベルについていけませんでした。3年間がんばって成果がでなければ、その先の将来を考えようと思っていたんです。3年目の頃にオリンピックが現実味を帯び始め、翌年の選考会で出場を決めました。それが22歳の時でした」

藤山氏は続けて、岡崎氏の経歴と実績を簡単に紹介しました。「冬季オリンピックに5大会連続出場。日本のウィンタースポーツ界を代表するレジェンドです。長野大会では、500mで銅メダル。女子短距離スピードスケートで初めてメダルを獲得し、その後のオリンピックでは日本選手団の団長や旗手も務めました。本当に大活躍した選手です」以降、対談は岡崎氏のこれまでの歩みを振り返る形で進みます。

岡崎氏の学生時代

学生時代には大会の受賞歴がほとんどなかったという岡崎氏。北海道出身で、スケートは幼いころから身近な存在であったものの「スポーツ万能だったが、スケートだけはうまくいかなかった」といいます。高校は、道内の強豪校ではなく、女子校を選んでスケート部に入部しました。男女合同で練習する学校に比べ、練習内容に限界があったと感じていたそうです。「他校の練習風景を見て、自分もああいう練習をすればもっと伸びるのではと思っていました」と、当時を振り返ります。

実業団入団

入団のきっかけは、実業団の監督が偶然リンクを訪れていたことでした。さまざまな高校の生徒が同じリンクで練習している中で、岡崎氏のスタート100mの速さが監督の目に留まりました。「当時の体格の良さも含めて可能性を感じてもらったんだと思います」と話しました。

入団後は、富士山のふもとの標高の高い場所でのトレーニングに環境の変化が大きく、慣れるまでに1〜2年かかったと話しました。さらに、オリンピック出場者もいる実力あるチームでの練習はレベルが高く、意識やメンタル面の重要性も学んだといいます。最初のオリンピック選考会については、こう振り返ります。「ようやく環境に慣れてきた頃で、オリンピックを目指すというより、先輩たちに少しでも近づきたいと思っていました。才能がないなら辞めようという気持ちで、全力を出し切れば結果に関係なく納得できると思い、満足した状態になろうととことん練習に取り組みました。」その結果、1994年のリレハンメルオリンピックに出場が決まりました。

オリンピック出場

初めて出場した1994年リレハンメルオリンピックは、14位入賞という結果で終わりました。自己ベストを更新できたことに手ごたえを感じ、「一度出られれば十分かなと思っていましたが、会場で他の選手たちの姿を見て、“もっとやりたい”と感じました」と話しました。次のオリンピックは日本開催の長野大会。「日本で五輪が行われるのは、自分の競技人生の中ではもうないかもしれない。そして日本という慣れ親しんだ環境で行われること、日本を応援してくれる人も多いことはモチベーションにつながりました。そこからやらされる練習から、やる練習に変わりました」と語ります。

1998年長野オリンピックでは、短距離で銅メダルを獲得。二日間にわたるレース形式で、一日目が終わった時点で緊張のあまり眠れなかったといいます。「選手村にいると緊張してしまうので、あえて会場に行きました。五輪マークが目に入るとワクワクしてきて、あとはスタートラインに立つだけ、という気持ちでした」大会直前にスケートシューズの規定が変わり、新しい靴に苦労したそうですが、「スタートしたら結果は決まっていると思っていた」「仕上がりに不安もありましたが、結果が出てよかった」と振り返り、当時の銅メダルを取り出し、学生に手渡して見せました。

けがのお話

藤山氏が「長野で一区切りと思わなかったか」と尋ねると、「新しい靴にも慣れてきて、まだタイムを縮められると思った。世界記録と自己ベストに2秒差があって、追いつきたかった」と語りました。しかしその約1年後、腰を痛め手術を受けることに。シーズン最後の大会の朝、起き上がれないほどの痛みに襲われながらも、注射でなんとか出場したといいます。藤山氏が「体にメスを入れるリスクをどう考えたか」と問うと、「次のオリンピックを目指していたし、手術して復帰した前例があまりなかったから、自分が最初になろうと思った。誰かがやらないと前に進まないこともあるから」と、力強く答えました。藤山氏は「どこまでもポジティブにとらえるんですね」と驚きの表情を見せました。

結婚・出産とアスリートのキャリア

2002年ソルトレイク、2006年トリノと五輪出場を重ねた岡崎氏は、2007年に結婚。当時、夫は東京勤務、岡崎氏は練習拠点に残り別居生活をしていたそうです。2010年に出産。その後も現役を続ける決断をしました。「当時は出産したら引退、という選手が多く、託児所もなく、相談できる人もいませんでした」「でも、一般の人も仕事と育児を両立している。形は違っても、私も挑戦してみようと思いました」と話し、手術のエピソードにもあった岡崎氏のチャレンジ精神がここにも反映されていることがわかりました。さらに「練習中に電話に出られないので、保育園の緊急連絡先は監督だった」というリアリティのあるエピソードに、学生は岡崎氏の苦労を想像しつつもくすっと笑うリアクションをしていました。

妊娠・出産後の体の変化については、「子どものために母乳育児をしていたら、自分の栄養が足りなくなって。初めて“食べても追いつかない”という経験をしました。ホルモンの影響も大きくて、筋肉がつきづらかった」と実感を語りました。それでも、「自分の経験が次の世代のお母さんたちの参考になると思って、いろいろ勉強しました」「子育てと競技を両立したことは、手探りでしたが全く後悔していません」と語ります。

対談の最後に

引退については、「もう無理だな、と思って案外すんなり決めました。振り返れば悔いはありません。私は本当にラッキーな人間で、たくさんの人に支えられました」と話しました。最後に、学生へのメッセージとしてこう語ります。「“この人いやだな”と思う人がいても、その人のために生きてるわけじゃない。自分のために時間を使ってください」「他人と比べることもあるけど、自分の目標に集中して進んでいってほしい。迷ったら相談して、行き詰まったら一度リセットして、そこからまた立ち上がればいいんです」

そして、こう締めくくりました。

「うまくいかなかった経験も、後々生きてくることがある。どんどんチャレンジして、自分の糧にしていってください。私も、これからもチャレンジを続けます」

質疑応答

対談の後に、学生からの質疑応答の時間が設けられました。

「リフレッシュ方法は?」という質問には「今はウィンドウショッピングやツーリング、ドライブなど体を動かすことをしています。現役時代はなかなか時間がなかったので、温泉に行ったりマッサージを受けたりしていました」と回答。「試合前に大切にしていたこととは?」という質問には「メンタル面でいうと『どうしようか迷わない。やるべきことをやる。』ということです。スタートラインに立つときにはもう結果は決まっている。そこで悪い癖が出るのであれば、出さないようにする。マイナスな考えは、うまくいくはずのことがうまくいかなくなってしまう原因になる。」と話し、「もちろん、練習不足だったなとか、結果がうまくいかなかったなと思うときもあります。でも、その原因を自分が理解していれば対処することができる。だめだったら次の方法に行こうと思える」と、勝負の瞬間に迷わないよう、事前準備で淡々と前に進み続ける行動方針を話しました。「応援される人はどのような人だと思いますか?」という質問には「一生懸命頑張っている人。好きなものに一心不乱に打ち込んでいる人は、応援したくなります」といい、「笑顔も大事。無理して笑う必要はないけど、素直な気持ちを出すことは大切」と続けました。その後、授業時間いっぱいまで質疑応答が続き、学生にとっても、学びの多い時間となりました。

担当教員からのメッセージ

国際理解とキャリア形成の授業においては、2018年からご支援をいただいているスポーツニッポン
新聞社様、今年のテーマを冬季五輪に置いていただいたこともあり、今年のスペシャルゲストは
スピードスケート日本人女子短距離で初のメダリストになられた岡崎朋美選手にお越しいただき
ました。
勿論、アスリートとしてはレジェンドである岡崎さんですが、その厳しい競技生活からは
想像がつかないほど、優しいお人柄を感じながらの、藤山記者との対談が続きました。
今なお、スピードスケートの世界で活躍を続ける岡崎さんから、そのポジティブ思考と、
諦めないことの大切さなど、本当に多くのことを学ばせていただきました。
岡崎朋美様と藤山健二様に、この場を借りて心から感謝申し上げたいと思います。