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2025年5月8日

冬季オリンピックが変わる?「国際理解とキャリア形成」でオリンピックの持続可能性について考えるコラボ授業が行われました。

4月22日(火)に共通教育科目の「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)でスポーツニッポン新聞社とのコラボ授業が行われました。今回の授業では、スポーツニッポン新聞社から藤山健二氏と佐藤博之氏をゲストとして迎え、「オリンピックの持続可能性について」という課題が出されました。課題の説明では「冬季オリンピックと環境問題」について焦点をあて、オリンピックが置かれている現在の課題について説明が行われました。その後早速グループワークを行い、7月のプレゼンテーションに向けて議論がスタートしました。

「スポニチ」って?

授業のはじめに、今回の社会連携授業のパートナーであるスポーツニッポン新聞社について、佐藤氏から事業の概要についての説明がありました。スポーツニッポン新聞社は野球、サッカー、オリンピックなどのスポーツに加え、芸能や競馬なども報道する大衆紙です。読者層の約4分の1が女性で、30代から50代が中心となっています。新聞購読者の約3分の2が定期購読者で、残りはコンビニや駅での販売となっています。また、地域ごとに関心度合いや興味の対象が異なるため、各地域版で一面の内容が変わることを、野球の紙面を例に説明されました。さらに、スポニチアネックスというオンラインプラットフォームでは月間2億2000万ページビューを記録し、ヤフーニュースやLINEニュースにも配信されています。取り扱う内容や掲載記事のデザインの特徴など、誰もが見たことある記事について触れながら、説明を受けました。

未来のオリンピックと環境問題

続いて藤山氏から、課題の詳細とオリンピックの現状について説明されました。オリンピックの担当記者として世界を取材してきた経歴の自己紹介からスタート。続いて、2026年にイタリアで開催される「ミラノ・コルティナ冬季オリンピック」に触れながら、テーマにかかわる現状や課題について解説がありました。

雪が残るのは札幌だけ?!

藤山氏から提示された課題は「オリンピックの持続可能性について」。特に冬季オリンピックが直面している深刻な課題が詳細に説明されました。地球温暖化の影響により、15年後である2040年までに開催可能な都市が15都市から10都市に減少する予測があること、さらに、これまで冬季オリンピックが開催された歴代の都市のうち、今世紀末も安全な競技環境を提供できる地域は札幌のみであるという衝撃的な調査結果が紹介されました。

続いてこの問題に対する解決策として検討が行われているいくつかの例が紹介されました。具体的には、複数都市での共同開催、夏季・冬季競技の再編成などがありました。特に注目すべき点として、屋内競技を冬季に移行させることで、暑さ対策と施設の効率的な活用が可能になるという提案がありました。

オリンピックの今

続いて、持続可能な取り組みを実行する具体例として2026年のミラノ・コルティナオリンピックの紹介がありました。オリンピックが抱える諸問題に対し、先進的な取り組みとして注目されています。会場で使用する電力はすべて再生可能エネルギーでまかない、使い捨てプラスチックの使用を完全に禁止し、食品廃棄物の削減を徹底する計画です。とくに、選手村は大会後に学生用施設として再利用される予定で、これは環境配慮と社会貢献を両立させる新たな取り組みとして評価されています。さらに、この選手村では自動車の使用を制限し、自転車を中心とした環境に優しい交通システムを導入する計画も発表されています。

発想力に期待大

授業の最後には、コラボ授業のゲストとしてスピードスケートの岡崎朋美氏を迎えることが発表されました。岡崎氏は、1998年長野オリンピックで日本女子短距離で初のメダルを獲得し、その後5度にわたりオリンピックに出場、さらに結婚・出産を経験しながらも20年以上にわたって現役を続け、トップアスリートとして活躍した経歴を持っています。競技生活と家庭生活の両立について、貴重な経験談を聞く予定となっています。また、可能であれば長野オリンピックのメダルも持参していただく予定です。

最後に、既存の枠にとらわれない自由な発想を期待されていること、優秀なアイディアはIOCに紹介するかもとコメント。大学生の発想に期待が寄せられました。

担当教員よりメッセージ

恒例の「オリンピック・パラリンピック連携講座」は、今年もスポーツニッポン新聞社様にご協力いただいています。「東京2020大会」の開催が決まった直後から継続しているこの講座について振り返ると、オリンピック・パラリンピックを取り巻く環境が、様々な意味で変化していることを感じています。

今後、益々重要になる「持続可能性」が今年のテーマ、学生たちの柔軟でかつ奇抜なアイデアを期待したいと思います。

2025年1月7日

人生の目標を立てて努力する!「グローバル・キャリアデザイン」の授業でAGC株式会社との特別コラボが行われました。

3年生対象の大学共通教育科目「グローバル・キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業でAGC株式会社の高芝秀長氏による特別講義が行われました。老舗企業で海外経験が豊富な高芝氏は、人生の目標を設定する大切さを中心に、本当のグローバル人材とはなにかを分かりやすくお話しくださいました。

人生の目標を考えるために

最初に高芝氏は「私は会議のときに今日の目標を決めるんです」と話し出しました。
どんなことを決定したいか、何を達成したいかなど設定すると言います。
「みなさんも、この授業でなにを学びたいかなど、メモで結構ですから書き留めてみてください」と促しました。

高芝氏は「2-6-2の法則というのを知っていますか?」と問いかけます。
これはどんな組織でも優秀な人が2割、平均的な人が6割、貢献度の低い人が2割となるというもの。
しかし「私はこれに違和感を持っています」と高芝氏。
優秀かどうかではなく、動機があるかどうかではないかと語りました。上位2割の人は自分自身で目標を設定し自らアクションを取れる人たち。それ以外の人たちは目標が定まっていなかったり迷っていたりする人たちです。
「あせる必要はありません。自分の人生を少しずつ考えていきましょう」と講義を始められました。

ひとつの企業にずっと勤められる?

AGC株式会社は旭硝子株式会社の名前で1907年創業。
100年以上の歴史がある老舗企業です。日本で初めて建築用のガラスを開発・販売した会社として有名です。
当時はガラスを創る材料も、設備も海外のものに頼っていましたが、旭硝子は一から国産で作っていきました。
特にガラスは窯で1500℃という超高温で材料を溶かし作ります。その窯を創るには、1500℃に耐えうるレンガがなくてはなりません。ガラスを作るために、高温に耐えるレンガ作りをも自分たちで開発し、徐々に大きくなっていったのです。

ここで高芝氏は「創業100年を超えた企業は世界に何社あると思いますか」と学生たちに問い掛けました。
答えは約3万社。全世界と考えると少ないように思えます。
また30年間存続している企業の割合は、0.02%で、5000社に1社しかありません。日本企業の平均寿命は約23年と言われているそうです。
高芝氏は「そうすると、一生ずっと同じ会社に働けるかと考えると難しいかもということが分かります。だからこそ入社して終わりでなく、自分もやりたいことと共に変わって行くことが大切です」と変化に対応する力を付けることを伝えました。

頑張りを見てくれている人はいる

高芝氏は世界遺産・熊野古道がある三重県尾鷲市の出身。
野球に打ち込んでおり、地元の国立大学への進学を目指していましたが、高校の先生に都内の私立大学の推薦を進められたと言います。
最初は断っていた高芝氏でしたが、「親も賛成してくれ、高芝なら大丈夫だろうと先生も思ってくれたということ。見てくれるひとは必ずいるんだと感じた」と、進学を決めたと話しました。

1990年に旭硝子に入社し、車のガラスを作る部署で営業として活躍。
転機となったのは青年海外協力隊に応募したことだといいます。
そのときは採用されませんでしたが、「会社がこいつは海外に行かせた方が良いと思ったようで、イギリスへ赴任しました」と、入社5年目という早い段階での海外赴任につながったと語ります。
5年後に戻ってくるまでにグローバルな視点を得て、MBA取得を目指すように。

結果取得はかないませんでしたが、そのときに学んだことは今に生きているといいます。
「日本人はもっとできると確信しました」と高芝氏。
ハーバートのビジネススクールで教わることの半分は、信頼を得ることや人を思いやることなど、日本の学校や家庭で教わる基礎的なことだったと言います。「グローバルビジネスパーソンと言っても、基本は人として成長し、会社にどう貢献するかが大事。語学力ではなく、意志があることが必須の要素です」と話しました。

くさらず努力することで次につながる

2023年からは医薬品、農薬等を受託製造するファインケミカルズ事業本部の本部長に就任。
ガラス一筋だった高芝氏は「青天の霹靂の人事」と表現しましたが、「しかしマネジメントはずっとやりたかった仕事。夢は叶うし、次にどんな目標を設定するかが大切」と話しました。

目標を立てるためには、自分を良く知ることが必要だと言います。
将来の夢やどんなことを達成したいかなどを人に話すことで分かることも多いと語りました。
「学校の課題などやってなんの意味があるがあるのかと思っても、やらないといつまでもできないままです。無駄になる努力はありません。ひとつひとつ目の前のことに全力で取り組み習得すると、見える景色が変わります。その頑張りは誰かが見ていてくれます」と学生たちを励ましました。

人に話してやりたいことを見つけよう

授業の最後には質疑応答が行われました。
「やりたいことの見つけ方は?」という質問には、
「私も大学生のときにはグローバルな仕事がやりたいなどざっくりしか考えていなかったです。やりたいことややりたくないことを書き出し、周りの人に話すことで固まってくるのではないかと思います。取ってつけて話すのではなく悩みを素直に表現しましょう」とアドバイス。

「モチベーションの低い人をどう動かしていますか」という質問には、
「モチベーションが低い人でも、言われたことがしっかり出来たら褒めること。その上で本当は何をやりたいか、今後はどういうことに力を入れていきたいのか本人としっかり会話することを大事にしています」とコツを話されました。

自分の目標を定め努力することの大切さと、目標は変わっていっていいのだというメッセージは、学生たちが今後将来を考える上で指針となることでしょう。

担当教員よりメッセージ

高芝氏は、私の大学野球部の後輩です。現役時代も大活躍された名選手ですが、現在も、
後輩のために、様々な活動で尽力されています。とりわけキャリアデザインについての
指導をされており、後輩の人材育成にとても熱心なOBです。
今回、日本を代表するグローバルカンパニーであるAGCで活躍される高芝氏をお招きし、
変わりゆく企業の姿とともに、高芝氏ご自身のキャリアについてお話しをいただきました。
自分を知ることの大切さ、目の前のことに真剣に取り組むことで必ず新しい景色が見えてくること、
そして、「縁」の大切さなど、学生にとって大変に貴重なご講演をいただきました。
この場を借りて心から感謝申し上げます。

2024年7月9日

~グローバルな人材に必要なスキルやマインドはなんだろう?~グローバルマインド講座を実施しました。(4/24~5/29)

2024年4月24日から5月29日にかけて、全5回にわたり「グローバルマインド講座」を実施しました。本学初めての試みとして、世界中の留学プログラムを手掛けるLife Journey Educationと学生総合支援センターキャリアサポート部との共催でグローバルな活動に興味のある学生に向けて開催いたしました。

「グローバルな人材」ってどんな人だろう?

グローバル化が進む世の中で、世界を舞台活躍できる人材になりたいという想いはありつつも、留学やグローバルインターンシップへの参加に踏み切ったり、海外で働いたりという決断をすることはなかなか簡単なことではありません。

グローバル人材になろうというメッセージはよく見かけますが、本講座ではそもそもグローバル人材ってなんだろう?というところから入り、実際にグローバルに活躍する方々のお話を聞きながら、グローバル人材になるためにはなにが必要だろう?ということを一緒に考えていきました。全編オンラインでの実施となりましたが、少人数でインタラクティブなやりとりも多く、学生も自由に意見や感想を述べながら和気あいあいとした雰囲気で行われました。

魅力あふれるゲストスピーカーによるリアルな海外経験ストーリー

ファシリテーターを務めてくださったLife Journey EducationのAzusaさん自身、日本で育ち、教育業界で働いた後、カナダに留学し現在もカナダで働かれているグローバルな存在。初回ではカナダの働き方や価値観について興味深いお話をしてくださいました。

第2回~第4回はゲストスピーカーをお招きし、留学やグローバルインターンシップに挑戦した理由、海外経験談、帰国後のキャリアについてお話いただきました。みなさんそれぞれ、ユニークな経験をお持ちでリアルな海外経験談をお話してくださいました。また、最後には必ず、もし海外に行きたかったらぜひチャレンジしてほしい、まずは行動にうつしてみてほしいという熱いメッセージをいただきました。

第1回 イントロダクション 講師:Azusa Chhunさん

第2回 ゲストスピーカー:岡村 真依さん(カナダ・フィリピン他 / フリーランス)

第3回 ゲストスピーカー:稲山 由佳さん(カナダ / 元グランドスタッフ)

第4回 ゲストスピーカー:小山 翔太郎さん(アメリカ・カナダ・アフリカ他 / 教員)

第5回 総まとめ

大切なのはスキルよりもマインドセット

講座を通じて講師やゲストの皆様が共通して話していたのは、大切なのは英語力などのスキルではなく、行ってみたい・やってみたいという想い、そして人と交流しながら道を切り拓いていくコミュニケーション力や行動力。みなさん、その気持ちを大切に海外に行き、渡航後も様々なお仕事にチャレンジされてきました。

想いをもとに行動し続けるゲストの方のお話を聞き、たくさんの刺激を受けました。

最終回では総まとめとして、参加者それぞれ今後実現したいことや夢を共有し、人生プランシートの描き方を紹介しました。また、今後困難にぶつかったり、悩んで立ち止まったりしてしまった時に持っていると役立つ成長のマインドセットの秘訣についてもお話しました。

本学では、グローバル人材に向けて引き続き様々な講座やイベントを開催してまいります。

参加者の声

全5回に渡り、いろいろな人の話を聞くことで視野が広がり、聞いていてとても勉強になりました。また、凝り固まった考えがアップデートされて、新しい価値観を見つけられたことが、とても楽しかったです。

グローバルマインド講座を通して、自分とは異なる新しい考え方や価値観に触れ、視野が広がりました。自己肯定感も高まったと思います。この講座に参加するまでは、海外で働く、海外と繋がりのある仕事に就くということは選択肢になかったし、自分の中で現実的なことではないと勝手に決めつけていました。しかし、講座に参加して様々なお話を聞き、海外で働くことは決して不可能なことではないことに気づくと同時に海外で働くということに興味が湧いてきました。そして、自分のキャリアについて深く考える、自分自身と向き合う良いきっかけになりました。グローバルマインド講座で学んだことや考え方を今後の学生生活やキャリアに活かしていきたいです。 またこのような講座があったら参加したいです!!

グローバルマインド講座全体を通して、海外へ行くことへの不安が払拭されました。言語やライフスタイルの違いから、困難はあると考えますが、そこを乗り越えたからこそ得られるものがあると、みなさんが笑顔でお話をされていたので、困難も悪いことではないと学ぶことができました。学びのためにも様々な国に行き、得た経験や出会いを大切にしたいという気持ちが強くなりました。

共催

留学を通じてグローバル人材を育てる、多国籍国際教育コンサルタント

Life Journey Education https://lifejourney-edu.com/