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2025年6月30日

「やさしい日本語」を使って伝えよう。「日本語教育入門b」の授業で東日本旅客鉄道株式会社の特別講義が行われました。 

5月27日に「日本語教育入門b」(担当:国際学部国際学科 大塚みさ教授)で、東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)との特別コラボ授業が行われました。外国人にも分かってもらえる「やさしい日本語」について、楽しいトークで盛り上げながら実践的に教えてくださいました。

多くのひとが利用するJR東日本

最初に登壇されたのは平山秀人氏。2021年にJR東日本に入社されました。次に挨拶された伊藤暉氏は2015年入社です。
お二人とも、電車の車内放送やドアの開閉などを主に担当する車掌です。
JR東日本は、北は青森県から南は静岡県までの広い範囲の路線を担う、まさに日本の大動脈です。
昨今は、電車の輸送業務のほかIT部門、生活サービスの仕事も行っており、「街づくりや介護の仕事を行う部門もあるんですよ。」と平山氏が明るく説明されました。
お二人が所属している我孫子乗務ユニットは、常磐快速線の品川駅から茨城県の取手駅までなどが乗務範囲です。
「都会の高層ビルから、だんだんと田園風景が広がり癒されています。」と冗談交じりで話されました。

「まずはアイスブレイクをしましょう。」と伊藤氏が取り出したのはカードゲーム。学生たちは班に分かれ、先生方も参加してのゲームが始まりました。
出されたテーマに沿って、配られたカードの数字を表現するものを考えます。上手くいって喜んだり、外れて笑ったりと学生たちも楽しそうに参加していました。
ひとしきり盛り上がったところで、伊藤氏が「皆さん、どうでしたか。」と語り掛けました。
「同じ日本人でも世代や性別などによって感覚は違います。文化や言語が違う在留外国人のお客さまや海外からのお客さまに情報を伝えるのはさらに難しい。」と話し、今回のテーマである「やさしい日本語」について考える講義が始まりました。

どう言ったら伝わる?

ここからは、実際に電車で使われるアナウンスを使ってのグループワークです。
最初に出たお題は「列車非常停止ボタンが押されているため安全確認をしております。運転再開までお待ちください。これを皆さんでやさしい日本語の放送文に変えてみましょう。」と平山氏。
学生たちは「それいいね。」など相談しつつ文を作り上げました。
例えば「電車を止めるためのボタンが押されました。安全か見ています。動くまでお待ちください。」という案です。
平山氏は「すごく分かりやすくて、良いですね。」と感心した様子で拍手を送りました。

我孫子乗務ユニットでは、「SOSボタンが鳴っているため、チェックしています。電車が動くまで待ってください。」と伝えているとのこと。「SOS」や「チェック」などのカタカナ言葉を使うことで伝わりやすくなると話します。
ただ、「やさしい日本語には正解がありません。」と平山氏。
「皆さんが考えた文の方が伝わりやすいということもあると思います。大事なのは相手が本当に理解しているかです。相手を思いやり、どうしたら伝わるか考えることが大切です。」と語り、「私たちも大変勉強になりました。皆さんの案も今後取り入れていきます。」と話されました。

やさしい日本語を必要としている人はいる!

伊藤氏は我孫子ユニットの所属になる前は、秋葉原駅の改札で勤務していました。観光地として名高い土地柄のため、海外からのお客さまも多かったと言います。
特にアジアからの観光客は、英語も通じないことが多く苦労したそうです。
そんなとき、テレビでやさしい日本語を使ったニュース番組を偶然発見し「これは使えるのではと思った。」と話しました。
我孫子常務ユニットに異動になってから早速、上司などに提案してみるも「前例がない。」と難色を示されてしまいます。

「しかし、やさしい日本語を必要としている人がいるという確信がありました。」と伊藤氏。
社員たちで研修をし、車内放送にやさしい日本語を取り入れ、お客さまへポスターや車内アナウンスでお知らせし、理解を求めたところ、SNSなどで好意的に拡散され知れ渡ったと言います。
「実際に伝わるのか、さまざまな国から来ている留学生たちに協力してもらい意見交換を行い、毎月車掌たちで研修をしています」と話しました。

鉄道マナーを伝えるには?

次に登壇したのは、JR東日本サービスクリエーションの山田晃子氏。普通列車グリーン車のアテンダントです。
グリーン車では車内販売や乗り換え案内、チケットの確認など直接乗客と話す場面が多々あります。
「グリーン車には海外からのお客さまも多く、国籍や年齢もさまざまです。」と山田氏。
「今までは細かく決まった応対マニュアルに沿って対応していましたが、やさしい日本語を柔軟に使うことが増えています。」と話します。
やさしい日本語のガイドラインも作成し、JR東日本グループ全体として活動が広がっていると語って下さいました。

最後に平山氏が再度登壇。次回への課題を発表されました。
課題は「鉄道マナーを海外からのお客さまや在留外国人にどのように伝えるか?」。ポスター案と、車内放送文を考えるというものです。
平山氏は「駅を利用するとき、電車に乗るとき、さまざまなマナーがあります。その中からいくつか選び、やさしい日本語を用いてどのように伝えるか考えて下さい。皆さんの発表を楽しみにしています。」と期待を寄せました。

学生たちはグループワークを行い、1ヶ月後にプレゼンテーションに臨みます。

担当教員からのメッセージ

我孫子乗務ユニットの方々のユニークな自己紹介、そして大いに盛り上がったアイスブレイクのおかげで、学生たちの表情も緩み、テンポよく授業が進められました。いつも以上に活性化したグループワークでは、学生の視点から多様な意見が出されました。
東京グリーンアテンダントセンターの方からのグリーン車での取り組みのお話しには、大きくうなずきながらメモを取る学生の姿が見られました。
受講生からは、「日本人も外国人もみんなが安心して電車を利用するためには、誰もが理解できるように情報発信することが大切だとわかった」「在留外国人の方や外国人観光客の方が増加している今、もっとこの取り組みが広がることで、誰もが平等に情報を得られるようになることが望ましい」といった感想が届きました。
次回の発表会に向けて、各グループが協働してアイディアを練っています。
貴重な学びの場を与えてくださったみなさまに、心から感謝申し上げます。

2025年6月27日

自分らしく生きるヒントとは?「国際理解とキャリア形成」でフィジーの文化を学ぶ特別授業が行われました。

「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、6月3日に株式会社アールイーカンパニーとの特別コラボ講義が行われました。「フィジー留学カラーズ」の運営を手掛ける皆さんが南の島を舞台にしたディズニー映画をベースに、南太平洋の文化を解説。和気あいあいとしたムードのなか、異文化を知る機会となりました。

学生のうちに海外に行ってみよう

教室にはアールイーカンパニーの多田祐樹氏が登壇し、ビデオ通話もつないで授業が始まりました。
植林氏は大阪から、長瀬氏はフィジーからの参加です。
「私だけが話していてもつまらないので、皆さんにも参加してもらいながら話していきたいと思います」と多田氏。
リアルタイムの掲示版を使って、学生たちも随時感想を伝えながら進めていきます。

多田氏は貿易業を経て、2018年よりフィジー共和国にて、主に日本人を対象とした英語学校「カラーズ」を創業。現地で日本語学校も開講し、フィジーの人が日本で働ける機会を増やすプロジェクトも行っています。
多田氏はまず画面に「17%」という数字を示し「なんの数字でしょうか?」と問いかけました。これは日本人のパスポート保有率です。
ただし、18~22歳の大学生の年齢に限ると40%と高い数字です。
多田氏は「しかし、65歳までの労働人口で見る割合だと20%強と減ってしまう」と話し、学生のうちに海外含めさまざまなところに行ってほしいと伝えました。

フィジーの歴史や文化とは?

学生たちは事前準備として、ディズニーアニメーション映画「モアナと伝説の海」を視聴してきています。
この映画の主人公モアナが南の島から船に乗り冒険をするという物語。この映画をベースに「南太平洋に息づく文化と”自分らしく生きる”ヒント」と題しての講義が始まりました。
多田氏はまず南太平洋の島々にすむ民族の歴史から説明。
約6000年前、オーストロネシア語族が大陸から海を渡ります。
優れた航海術で広大な領域に分布し、南太平洋の島々であるフィジーやサモア、トンガなどにも到達しました。

次に植林氏が3人の男性の写真を見せました。南太平洋には3種の族があり、外見も違います。
それがポリネシアン、メラネシアン、ミクロネシアンの3つ。
ポリネシアンはアジア人の肌色に近かったり、メラネシアンは髪の毛がアフロのようにきついカールがかかっていたり。
フィジーはメラネシアンとポリネシアンが混在する島です。ラグビーが強いことで有名ですが、それは遠い昔、厳しい航海を生き抜いた、強い体を持った先祖の血を受け継いでいるからとも言われています。

多田氏は「KAVA(カヴァ)」という伝統的な飲み物を紹介。
儀式や祝い事に欠かせない飲み物です。現在は観光客も飲むことが出来るものですが「私は大好きです」と多田氏。
「カヴァは歓迎してくれている証。海外の人に自分の国の文化を受け入れてもらうのは嬉しいですよね。私は現地で出されたものは全部食べるのがポリシー。皆さんもフィジーに行くことがあったら是非試してみてください」と語りました。

やりたいことを宣言しよう!

続いて長瀬氏が、映画のストーリーにベースに「主人公たちはどんな失敗や不安を抱えていたか考えてみましょう」と語り掛けました。
「皆さんも過去の失敗や不安を振り返ってみましょう。うまくいかなかったこと、恥ずかしかったことなど小さいことでもいいので教えてください」と長瀬氏が言うと、学生たちは掲示板に次々と書き込み始めます。「受験のときもっと勉強を頑張ればよかった」「留学が不安」などの意見が書き込まれました。

意見が集まったところで、長瀬氏は映画のある台詞を紹介。
それは「先のことは分からない。でもどんな自分になるかは決められる」というもの。
長瀬氏は「みなさんも、これからどんなことがやりたいか、どんな自分になりたいか、宣言してみましょう」と促します。学生たちはグループで話し合いながら宣言を書き込みました。
「フィリピンで短期留学をしたので今度は長期で行ってみたい」「去年留学をしなかったけれど今年こそ行く」など、たくさんの決意が集まりました。

衝動に従って人生が開かれる

最後に、多田氏から「偶発性と衝動性が人生を切り開く」という話がありました。
アールイーカンパニーも最初からやろうと思っていたわけではなく、たまたまだといいます。
「しかしたまたまのことを努力すると意味のあることに変わってくる」と話します。
「好きなことで生きていくことはすごく素晴らしい。しかしとても大変。好きなことをすることと、好き勝手することは違います。一人ではできません」と話し、「今やりたいことがなくとも大丈夫です。好きなことを一生懸命にやって行ってください」と話しました。
長瀬氏も「私も海外に行くことなんてないと思っていましたが、いまフィジーに住んで仕事している。次々にチャレンジしていくことで人生が開いていきます」と語られました。

学生たちは遠い島の異文化を知ると同時に、自身の人生を考える貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

国際理解とキャリア形成の授業のゲストとして、今年度初めてお迎えしたのが、カラーズ様です。
そして、ディズニー映画の「モアナと海の伝説」と結び付けて学ぼうという、全く新しい試みでした。
当日は、多田様、長瀬様、植林様のお三方が、教室と大阪、そして実際にフィジーからオンラインで
参加して下さいました。
メラネシアンおよびポリネシアン文化の歴史や、映画に登場するシーンのことなど、
フィジーという国の魅力を沢山伝えていただきました。
近い将来、フィジーへの留学に出かけてくれる学生さんも生まれることと思います。
とても楽しいプログラムを構築いただきました多田様、長瀬様、植林様に心から感謝申し上げます。

2025年6月9日

ファッションと花で母の日と父の日をお祝いする「Happy Family Day」が実践女子大学で開催されました!

2025年5月24日(土)・25日(日)の2日間、実践女子大学渋谷キャンパスにて、母の日と父の日をお祝いする特別なイベント「Happy Family Day」が開催されました。本イベントは、BEAMSが低所得のひとり親家庭を支援するNPO法人グッドネーバーズ・ジャパン (GNJP) と連携し、フードバンク「グッドごはん」の利用者である中高生の子どもを持つひとり親家庭を対象に企画された衣類の無償提供会です。参加者の皆さんは、ファッションや花を通して喜びと感謝を分かち合うあたたかなひと時を過ごしました。

大学施設が期間限定のセレクトショップに!プロによるお買い物体験

イベント期間中、実践女子大学渋谷キャンパス内にある「JISSEN PLAY BASE」は、特別なセレクトショップへと大変身!この企画には大手セレクトショップのBEAMS、NOLLEY’S(ノーリーズ)、ABAHOUSE(アバハウス)のアパレル3社が参加。各社が所有するお洋服がラックに並び、各社のスタッフがプロの目線でコーディネート提案を行います。ブースを担当するのは、この日のために各社から集まったスペシャルメンバーです。親子の参加者にここでしか味わえない特別な買い物体験を提供しました。

イベントは、中高生のお子さんとその親に服をプレゼントするという内容。シャツやズボンだけではなくバッグや靴にアクセサリーなど、小物も充実したラインナップが用意されました。参加者それぞれがスタッフと相談しながらコーディネートを考えます。なかには親子でお揃いの服装を組む方も。「今日選んだお揃いの服で出かけたい」と明るく楽しい声のほか、「修学旅行に着ていく服がもらえた」と感想があがりました。

イベントでは、ファッションのほかに花束のプレゼントも用意されました。これは母の日と父の日をお祝いするもので、フラワーショップであるALL GOOD FLOWERS様がこの日のために仕入れを行った花束です。かごにいっぱい入った花束から一つ選び取り、服とともに思い出をお持ち帰りいただきました。参加者のみなさんからは、イベント内容に関するあたたかで明るい感想のほか、普段立ち入る機会がなかなかない大学のキャンパスに新鮮な印象を持った感想も寄せられました。

ファッションイベントを社会貢献の場に

本イベントは、社会貢献の一環として位置づけられる取り組みでもありました。服をプレゼントするという企画は、ひとり親家庭の支援を目的としており、ファッションコーディネートの体験や大学のイベントスペースに触れる機会など、中高生にとっては日常では得がたい貴重な体験となりました。

また、イベントの運営には本学の学生ボランティアが参加。参加企業の方々とコミュニケーションを取りながら会場設営に関わり、当日はブースにて服の袋詰めや花束の受け渡しを担当しました。

さらに、本学は会場提供という形でも本イベントに協力し、多方面からの支援が結集して実現された取り組みとなりました。

社会連携の展開

普段のJISSEN PLAY BASE

実践女子大学では今後も、企業やNPO法人との連携を積極的に進め、学生が座学にとどまらず、リアルな体験を通して成長できる機会を創出していきます。あわせて、地域社会への貢献にも力を入れ、「Happy Family Day」のように、多くの方々と喜びを分かち合える場をこれからも提供してまいります。

2025年6月6日

「たった一杯で幸せになるコーヒー屋」とは?「演習Ⅱa」の授業で猿田彦珈琲とのコラボがスタートしました。

企業から直接課題が出され課題解決に取り組む、学生たちに人気の社会連携授業。4月30日の「演習Ⅱa」(Lクラス担当:人間社会学部ビジネス社会学科 篠﨑香織教授)の授業で、猿田彦珈琲との特別コラボが始まりました。代表取締役の大塚朝之氏からコーヒー店を立ち上げた思いなどお話を伺いました。授業の最後には学生たちに課題が出され、後日グループでプレゼンテーションに挑みます。

じぶんごとに捉えて取り組もう

授業の冒頭には、篠﨑先生からこの授業にかける熱い思いが。猿田彦珈琲を知ろうとフィールドワークをするうち、どんどん好きになり広島の店舗まで回るほどのファンになったと告白されました。
自分の体験を踏まえた上で、学生たちに「今回の課題をぜひ『じぶんごと』として取り組んでください」と強調。ただの課題と思わず、自分に引きつけて考えることの大切さを伝えました。

そして猿田彦珈琲創設者の大塚氏が登壇。学生たちの手元にはコーヒーが配られ、リラックスした雰囲気で講義は始まります。
大塚氏は「たった一杯で幸せになるコーヒー屋」をコンセプトに猿田彦珈琲を創設した経緯について話し始めました。

良いモノを作るためサスティナビリティを考える

猿田彦珈琲はスペシャルティコーヒーの専門店。2011年6月に恵比寿でオープンしたのが始まりです。
スペシャルティコーヒーとは、風味豊かで個性的な味わいのあるコーヒーのこと。検査で高得点を付けたコーヒーだけが名乗れるもので、全体の5%ほどしかないと言われています。
そしてもうひとつの基準はトレーサビリティがしっかりしているものであること。トレーサビリティとは「その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのか」が明確なことです。コーヒー豆の栽培管理から収穫、選別などまで徹底して品質を管理された厳選されたものだけがスペシャルティコーヒーを名乗れるのです。
大塚氏は「サスティナビリティがあることも大事。生産者に安定してお金が入れば設備を整えより良い環境でコーヒー豆を生産できます。現在気候変動によりどんどんコーヒー農園がなくなっている。」と話しました。

大塚氏は学生たちに、配られたホットコーヒーを飲んでみるよう勧めました。
そして「苦いですか?すっぱいですか?」と問いかけます。
苦みよりもほのかな酸味を感じる学生が多数。
大塚氏は頷いて「このコーヒーはベリーのような酸味がありますよね。いいコーヒーであればあるほどコーヒー以外の様々フレーバーを感じるんです」と話しました。

コーヒーに救われた青年時代

大塚氏は若いころ俳優として活動されていました。毎日のようにオーディションに行くも、落とされたり受かっても次の仕事をすぐに探したりせねばならない日々。
「お金もなく本当につらかった」と言います。
ついにはふさぎ込み、人とのコミュニケーションをうまく取れなくなってしまいました。

コーヒーに出会ったのはそのころ。
たまたま寄った有名コーヒーチェーン店で、店員から気さくに話しかけられ、居心地よい空間にとても安心しリラックスできたと話します。
その後、俳優の道を諦める決心を固めた頃に友人からコーヒー豆店で働かないかと声をかけられ、コーヒーに魅了されていきます。美味しいコーヒーの淹れ方を実演販売することで売上を格段に伸ばし、自信も深めていきました。
コーヒー店に救われた経験から、自分でも美味しいコーヒーを提供したいという思いを実現するため独立し、猿田彦珈琲を立ち上げたのです。

やりたいことを言語化し周囲に伝えよう

恵比寿店をオープンしたあと、2014年には清涼飲料メーカーから声がかかり缶コーヒーの監修を手掛けます。商品は大ヒットし、現在もペットボトルコーヒーや美術展とのコラボなど幅広く事業を展開しています。
店員からはバリスタ大会のチャンピオンを輩出するなど、コーヒー専門店としてゆるぎない信頼を得るようになりました。

缶コーヒーを手掛けた際、業界からは批判もあったといいます。大塚氏も迷いがあったと告白されました。
しかし、手掛けたことで店は有名になり、融資を受けることにもつながります。
大塚氏は「やりたいことへの純粋さとお金のバランスを両立させることが大事」と話し、一生懸命やることの大切さと、それを周囲に伝えるために言語化することを伝えました。「自分が究極なにをやりたいのか、それを伝えて利他的に行動すれば周りは応援してくれます」と話しました。

猿田彦珈琲のファンになってもらうSNSの投稿とは?

授業の最後にいよいよ課題の発表です。課題は「猿田彦珈琲のSNSについて考えよう」。ターゲットは20代。
猿田彦珈琲との距離を縮め、長期的にファンになってもらえる投稿を提案します。良い発表案は実際に公式アカウントで採用される可能性も。
学生たちはそれぞれInstagramとXを担当する班に分かれ、グループワークを重ねて1か月後の発表に臨みます。

担当教員よりメッセージ

猿田彦珈琲“推し活”中の篠﨑です。
猿田彦珈琲の存在は以前から知っていましたが、私の生活圏に店舗がなかったこともあり、実際にお店に足を運んだのは、この連携授業を担当することになってからでした。

もともと珈琲に強いこだわりがあり、「美味しい珈琲を提供するカフェ」という印象を持っていたため、店舗でいただく珈琲の満足度は非常に高く、今では自宅で飲む珈琲も猿田彦珈琲社のものに変わりました。

私自身の例のように、「良いもの」が必ずしも選ばれるとは限りませんが、何かのきっかけで状況が一変することがあります。SNSは、その“きっかけ”になり得るのでしょうか。

当該授業の履修学生は、6チームに分かれてInstagramあるいはXを用いた投稿案の検討に取り組んでいます。現在は、猿田彦珈琲社がこれまでに行ってきたInstagramやXでの投稿内容やその手法について考察し、特徴を把握する段階まで進んでいます。今後は、猿田彦珈琲 道玄坂店でのフィールドワークを経て、中間発表に臨む予定です。女子大生ならではの視点と分析力に基づく提案が、大きなうねりとなって広がっていくことを、私自身とても楽しみにしています。

連携授業の初回には、大塚社長をはじめ、播田様(取締役 フード&ビバレッジ クリエイティブディレクター)、田岡様(マーケティングディレクター)、平岡様(広報)、上田様(マーケティンググループ)をお迎えしました。
 ご多忙の中、本学までお越しくださいまして、誠にありがとうございました。
 また、冷たいカフェラテと温かいエチオピアコーヒーをご提供いただき、重ねて御礼申し上げます。

2025年4月8日

京都市と「Jミッション」を実施しました!

 本学では、低学年向けキャリア支援を強化すべく、2019年度より企業や自治体との産学連携プログラム「Jミッション」を実施しています。本取り組みは、大学1年生・2年生を対象に「良質な経験・学修の場」を提供することで、学びに対する意欲や自己肯定感の向上を目的としております。学生だけで構成されたチームで、企業や自治体からのミッション(課題)に取り組み、最終的には企業担当者の前で発表を行います。今回は、2019年に本学との連携協定を締結した京都市様のご協力のもと、首都圏で感じられる「京都らしさ」を発掘し、TikTokでPR動画の作成を行いました。

実践女子大学×京都市(2025年2月~3月実施)

 初日のキックオフでは、京都市様から京都市の紹介や若者の観光客が少ないといった課題について説明していただきました。また、都内には京都の伝統工芸品や和菓子を扱うお店、京都出身の方がオーナーを務めるお店など京都にゆかりのあるサポーターショップが100件以上あるとの説明がありました。その後、各チームは取材を担当するサポーターショップを決めるドラフト会議を行いました。
 2日目は、企業や自治体のブランディング動画やプロモーション動画の制作を手掛ける、シェイクトーキョー株式会社の代表取締役汐田様より、動画作成に関する講義をしていただきました。TikTokの特徴や検索アルゴリズムのお話など、戦略的に視聴数を稼ぐためのコツをプロの視点で解説いただきました。
 2日目終了以降、各チームサポートショップへのアポ取り、現地取材、素材撮影を行い、中間発表に向けて動画作成を行いました。
 3日目の中間発表では、各チーム作成した動画を京都市様、汐田様に向けてプレゼンしました。汐田様からは、「ここから1週間でクリエイティブジャンプを起こしそうなチームが多く、完成形が楽しみ」というご講評をいただきました。

 最終発表では、中間発表でのフィードバックを参考に各チームがブラッシュアップした動画のプレゼンを行いました。生菓子実演が見学できる和菓子店や金継ぎ・茶道が体験できるお店、都内の神社の紹介など、どのチームも京都が存分に感じられる動画に仕上がっていました。映像はもちろん、テキストの入れ方や、音声の入れ方など細部にまでこだわったクオリティの高い動画ばかりでした。
 審査は難航しましたが、京都市様から最優秀賞の発表があり、チーム「うめとしゃけ」が見事最優秀賞に輝きました。
 このチームは、京都市出身のオーナーが経営する鉄板居酒屋を動画内で紹介し、食事ではなくオーナーの人柄に焦点をあてた動画が高く評価されました。

 都内で開催された「高輪桜まつり2025」の京都の伝統工芸ワークショップ会場内で学生が作成した動画が放映されました! また、最優秀チームは京都市公式TikTokアカウントに動画が投稿される予定です。

【参加学生の声】

・ミッションを通して、チームで協力しながら動画作成やパワーポイントの制作、訪問などを行い、チームワークの大切さを実感しました。また、発表に向けて分かりやすく伝える工夫をしたことでプレゼンテーション力が向上し、訪問や準備の過程で予想外の修正点が出た際には、チームで話し合いながら柔軟に対応することで、課題解決力も身についたと感じています。

・このミッションを通じて大きく自己成長することが出来たと感じました。まず、コンセプトを作り上げ、全体的なテーマを具体的なコンテンツに落とし込む力などの企画力から、分析して伝える力など様々な力をつけ成長に繋げられました。

・アポ取りや動画制作という今までやったことがないことに挑戦させていただいて、動画1本を作るのにたくさんの時間と労力をかけていることが改めて理解できました。ひとつのことに対して掘り下げる力というのは全体を通して身についたと思います。

2025年1月24日

女性活躍を後押しする企業を調べよう!「実践キャリアプランニング」の日本ロレアルとのコラボ授業で学生たちがプレゼンテーションを行いました。 

共通科目の「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で日本ロレアル株式会社との特別コラボが行われました。ロレアル パリの女性活躍に対する思いや活動を学び、同じように「女性をエンパワーメント(勇気づけ後押しする)する活動を行っている企業や団体を調査する」という課題が出されました。学生はそれぞれ班に分かれグループで調査を進め、いよいよプレゼンテーションです。
最終プレゼンは12月13日と20日の2回に分けて行われ、それぞれ6チームずつ発表しました。

学生にも身近な企業の活動は?

トップバッターは6班。
大手の家具量販企業のをピックアップしました。最初に強調したのは社会や職場の男女格差について。
管理職の女性割合は平均10%のところ、その企業は50%を達成しています。女性もリーダーシップを発揮できる環境を整え、トレーニングや選考システムがしっかり作られています。ワーキングマザーについてのサポートやフレキシブルな働き方も積極的に取り入れ、母親ならではの視点も大切にしています。
発表後にはロレアル パリのみなさまから質疑応答が行われました。
加藤氏からは「なぜこの企業を選んだのでしょうか」と質問が。
学生は「日本でも有名な企業で若い世代にも親しみがあるから」と回答しました。

続いては4班です。
ある化粧品ブランドが行っている乳がんキャンペーンを取り上げました。
女性に一番多いがんですが、早期発見すれば90%完治します。しかし自覚症状がないため定期的な乳がん検診が推奨されています。
この企業は1992年にキャンペーンを開始し、シンボルのピンクリボンを配布したり売り上げの一部を協会へ寄付したりといった活動を行っています。
ただ、女性が検査に行くまでになかなかたどり着かないといった課題も挙げ、解決法として乳がん検診をさらに受けやすくするサイトやSNSの宣伝法など改善点を提案しました。

8班はボディケアなどのブランドを調査しました。
日本の10代女性は、世界で最も容姿に自信がないと言われています。
このブランドは「セルフエステームプロジェクト」という、容姿への自信と自己肯定感を高められるように、中高生向けのワークショップを行っています。
しかし、「可愛さの定義なんてない」ということを広めようとした広告ポスターが逆に「美の基準があるように周知してしまった」と批判を浴びました。広告は意図しない方向で広まってしまうこともあるという課題を指摘しました。

世界的企業もアクション

次の1班はある世界的化粧品ブランドに注目しました。
このブランドは国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)と連携し、女性が男性同様に活躍する社会になるためのイベントを開催。
東京でも女性活躍についての講演や、女子大生たちとディスカッションが行われたと紹介しました。
奥田氏は「あまり知られていない活動を良く調べていますね」と感嘆されました。

11班も化粧品大手の企業を紹介。
内閣府の「女性に対する暴力をなくす運動」に賛同し立ち上げた「パープルリボンプロジェクト」を調べました。
日本のDVはパートナーからの受ける被害も多いのが現状。
つい我慢してしまう人が多いなか、相談を促すキャンペーンです。売り上げの一部を寄付したり、ミヤシタパークを紫の電飾で染め上げたりといった啓発活動を行っています。
奥田氏は「一つの企業を越えてアクションをし、体現している。ロレアル パリもここまで目指したいと思いました」と話しました。

前半最後の3班は外資系のコーヒー販売店を取り上げました。
男女の労働力人口の差は世界的課題であるとして、女性の就労について紹介しました。
コーヒー豆を栽培するコロンビアでは女性も雇用し、家族へ清潔な水を提供するなど支援しています。また店舗ではシニア雇用など年齢に関係なく、ライフステージによる働き方が可能な制度を整えているとしました。

内面の美しさを大切にしよう

後半の週の発表は2班から。
飲料メーカーの企業を紹介しました。
この企業は女性活躍に優れた上場企業を示す「なでしこ銘柄」にも選定されています。その働きやすさは、直近5年で離職率1%未満という数字にも表れていると言えるでしょう。
出産や子育てにより会社を離れても、同じ役職に復帰できる「ウェルカムバック制度」などはその筆頭。経営層の女性比率も40%以上を達成しています。

続いて9班。
ボディケアのブランドを取り上げました。100%ありのままの美を伝えるため、写真の加工などを行っていないことを紹介しました。
また、アメリカで行われた「リアルビューティスケッチキャンペーン」ではFBIと協力し、自己イメージと他者からみた自分のイメージをそれぞれ似顔絵にすることで「自分が思っている以上に美しい」と伝える広告を打ち出したことを取り上げました。

12班は化粧品ブランドを取り上げました。
「女らしく」といった固定概念をなくすため男性をイメージモデルに起用するなどしてきました。
また高校生を対象にしたプログラムでは、内面の美しさを大切にすることを教えています。ただ、社会に出ると年齢関係なく身だしなみに対する意識が求められ、固定概念も強くなるとし、中高年向けにもあるといいのではと提案しました。
加藤氏から「男性が化粧品のCMに起用されるのはどう思いますか」と問われ「良いと思います。私の親も男性が化粧するのをよく思っていませんでした。テレビなどで目に留まれば価値観を変えられると感じました」と経験を交えて回答しました。

企業以外の取り組みも調査

続いて10班はあるファッションブランドにフォーカス。
1班と同じく女性支援のイベントに注目し、恵まれない環境にある女性へのアプローチなどを紹介しました。
課題として日本ではあまり知られていないこと指摘し、もっとSNSなどで発信するべきだと提案しました。

7班はコスメバンクを取り上げました。
一般社団法人による活動です。化粧品会社と提携し、余剰や型落ちした化粧品を集め、経済的に困窮している女性に無償提供しています。協賛企業にはロレアル パリなども名を連ねます。
企業側としてもエコに繋がりPRになるためwin-winの関係を作りつつ、女性への支援を行っています。
加藤氏から「あまり知られていない活動ですが、どうやって見つけたのでしょうか」と質問され、学生は「ロレアル パリが取り組んでいる活動を調べました」と回答しました。

ラストの5班は日本の化粧品ブランドを取り上げました。
2024年「女性の働きやすい企業」1位に選ばれ、女性管理職の割合も全体で58%を達成しています。
女性が自分らしさを表現し自信を持つことを後押しするメッセージ性はCMなどでも表現され高い評価を得ています。社員向けの子育て支援も充実しており、ベビーシッター制度や、新米パパママ向けのプログラムなども。
仕事と育児の両立を支援しています。
加藤氏は「プログラムに女性だけでなく男性も含まれているのは、資生堂が一歩進んでいるように感じました」とコメントしました。

女性として活躍するために

発表後は前後半それぞれで優秀だった班が選ばれました。
前半は乳がんキャンペーンを取り上げた4班。
奥田氏から「構成力、プレゼンテーション、資料のビジュアルとすべてよかった。良い所だけでなく、課題も合わせて改善点まで考え、自分たちの考えが落とし込まれていたと思います」と評価しました。
学生からは「期間が短くなかなかメンバーが集まれないなか分担し、協力してできてよかった」と安心したコメントがありました。

後半はコスメバンクを紹介した7班でした。
「あえて企業でなく取り組みにフォーカスしようと思い調べたので、賞をいただけて嬉しいです」と学生から喜びの声が聞かれました。
両班には、ロレアル パリから賞品としてヘアケアセットが贈呈されました。

最後に奥田氏から総評をいただきました。
「どの班も素晴らしかったです。他社のCSR活動を見ることはなかなかないので勉強になりました」と学生の頑張りをねぎらいました。
「これから社会に出て、女性として大変なこともたくさんあるかと思います。でも社会は変わってきている。女性であることを理由に何かを諦めることは絶対しないでください」と女性の先輩として学生たちに熱いエールを送り、授業は終了しました。

担当教員よりメッセージ

毎年、ご支援をいただいてるロレアル パリ様には、2024年度は、2年生英文学科の実践キャリアプランニングの授業においてご協力いただきました。今年度は、前述の課題解決型プログラムに入る前に、メイベリン ニューヨーク(様)のメンタルヘルスサポート講習BRAVE TALKやロレアル パリ様提供のSTAND UPプログラムも実施いただき、ワークショップ型の授業とともに女子大学で学ぶことの特徴を生かした立体的な構成を構築いただきました。女性のエンパワーメントをテーマとしたワークショップでは、広い視野で考えた内容が次々と提案され学生のポテンシャルの高さを改めて感じました。詳細は前述の通りです。そして、今回取り組んだことは、来年から就職活動が始まる学生にとって、企業分析の大切な視点について自らの力で、深く学べた点も、とても意義あることになったと振り返っています。多くの時間を割き、ご指導いただきましたロレアル パリの奥田様、加藤様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

2025年1月15日

缶で受験生の悩みを解消!?「演習Ⅰ」の授業で東洋製罐株式会社とのコラボ授業が行われ学生たちがプレゼンに臨みました。

1年生対象の「演習Ⅰ」(担当:人間社会学部ビジネス社会学科 篠﨑香織教授)の授業で、12月16日に東洋製罐株式会社との特別コラボ授業が行われました。今年で3回目になるこのコラボでは、毎年学生たちが「実践女子大学を受ける受験生の悩みを解決する缶」を考えるという課題にチャレンジしています。この日は東洋製罐のみなさまを前にプレゼンテーションに臨みました。

プレッシャーに負けないで!

司会進行とタイムキーパーも学生たちが行います。

トップバッターはC班:チーム「女子大調査隊!」
公式サイトや説明会では分かりづらい、リアルな女子大生活を伝えることで不安を解消しようと考えました。
リアルな声として、実践女子大生にアンケートを実施。
恋愛事情やバイトをどの程度やっているかなどの回答結果を紙にまとめ、缶に詰めます。缶にはおみくじと手作りのお守りも入れる予定です。


各班の発表後には質疑応答が行われました。
「缶におみくじを詰める意義は?」という質問には、「おみくじの棒が入っている筒と缶の形が似ていることから連想して考えました。おみくじにはハッピーになれることを書いた大吉を何種類か入れる予定です」と回答しました。

次のE班:チーム「超ポジティブ⭐︎宣伝部」は共通テストを控える受験生にフォーカス。
プレッシャーを吹き飛ばせるような日めくりカレンダーを考えました。
共通テストまでの日数分用意し、1日ずつポジティブになれるメッセージが書かれています。紙はリングで通すため破らず使え、共通テストが終わって本命校を受ける際も見返すことが可能。
「ポジティブなメッセージとは具体的には?」という質問に、学生は「つらいときが一番成長しているとき」や「現在は未来へのプレゼント」など頑張っている受験生を応援するメッセージを入れると回答しました。

体の不調を解消しよう

続いてA班:チーム「むちむちぷりん」です。
受験期は運動時間が減り運動不足になることに着目し、運動不足解消グッズの詰め合わせを提案しました。
スローガンはスペイン語の別れの挨拶とストレスをかけ「アディオストレス!」としました。
ストレッチバンドとひのき玉をいれ、マッサージやリラックスに使えるようにします。
東洋製罐の方からは「発表の構成順がすごくきれいだった。受験に限らず需要がありそうな内容だと感じました」とコメントをいただきました。

D班:チーム「受験生応援隊」は女子の大敵である冷えに注目。
体が冷えて集中できないなどのストレス解消を狙い、靴用カイロを入れることを考えました。
また計画的に勉強を進められるようto doリストもいれ、自分の目的を確認できるようにします。
なぜ靴用カイロなのかという質問には、学生の一人が「高校生はローファーで、受験日も足が寒くて困った」という自身の経験からきた発想だと回答すると全員が納得。
缶のパッケージデザインは生成AIで作成し、企業のみなさまも感嘆していました。

風邪は受験の大敵!

B班:チーム「somnia」は高校生のうち8割が、睡眠が足りていないというアンケート調査をもとに、仮眠をとれるアイテムを詰めることを提案しました。
アイマスクとネックピロー、耳栓をセットにして仮眠でも質の高い睡眠を取れるようにという思いを込めました。缶に入れてまとめて持ち運べるため、どこでも使えることもメリットです。
東洋製罐の方からも「睡眠に苦労した覚えがある」とコメントがありました。

ラストのF班:チーム「ミストメーカーズ」は缶の防湿性を活かして簡易加湿器を考案。
蛇腹折にしたコーヒーフィルターを詰め、開けた缶に水を入れてコーヒーフィルターを差して使います。乾燥する冬の風邪予防に使ってもらえるよう考えました。コーヒーフィルターの耐久性も学生たち自ら検証し2週間と判明。
説明書に書くことで気軽に使ってもらえるようにします。
企業の方も「とても面白いアイデア。検証したのも素晴らしい」と感心されていました。

人を巻き込みツールを使って時代に合ったプレゼン

発表を終え、東洋製罐の原様から総評をいただきました。
「それぞれ特徴がありましたね」と個性豊かな提案に感心されました。
そして「それぞれアンケートを取ったり検証をしたりしていて素晴らしかった。人を巻き込んでいく力があると感じました。データもしっかりしらべられていたし、生成AIなどのツールも上手に使っていて勉強させてもらいました」と学生たちの頑張りをねぎらいました。
そして、「コロナ禍を経て、価値観が大きく変わるパラダイムシフトが起きています。今後皆さんもそのことを念頭に置いて、社会のニーズを捉え表現の仕方を模索していってもらいたいと思います」と話されました。

今回の発表のなかで優秀作は「CAN詰めプロジェクト」として、実際に実現化される予定です。

担当教員よりメッセージ

 缶の用途を広げることと、受験生の悩みを解決することの2つの課題に取り組む目的でスタートしたCan詰めプロジェクト。今年は10月のキックオフの際に技術開発統括室の原拓也様と千地早紀様をお迎えし、東洋製罐の活動概要や缶の特徴などについて説明をしていただきました。その後はグループワークを行い、どのような受験生をターゲットに、どのような悩みを何で解決するのかの検討を行いました。最終発表会には、前述の原様と千地様に加えて、メタル技術開発部加飾開発グループの高橋ほのか様と、基盤技術開発部プラスチック素材開発グループの三宅雄太様をお迎えし、受験生の悩みを解決できるのか、缶を使う意味があるのか等の観点から評価をしていただきました。
 学生による相互評価と東洋製罐の皆さまの評価を合わせて高評価を得たチームのアイデアは、東洋製罐にて缶詰めにしていただき、次年度のオープンキャンパスで配布する予定です。「このプロジェクトに取り組みたくて実践女子大学に入学した」という受験生に会えることを楽しみにしています。
 東洋製罐の皆さま、ご協力ありがとうございます。

2025年1月7日

ウェルビーイングについて学ぶ! JWP研究会が女子大生フォーラム「What is Well-Being~自分を輝かせるキャリアの描き方2024~」を開催しました。

12月14日(土)に実践Well-Beingプロジェクト研究会(以下、JWP研究会)によるウェルビーイングフォーラム「What is Well-Being~自分を輝かせるキャリアの描き方2024~」が開催されました。本フォーラムはJWP研究会の有志の学生が企画・運営を行い、実践女子大学のJWPメンバー30名と武蔵野大学の学生1名が加わりました。昨年に引き続き、ゲスト講師にEVOL株式会社代表の前野マドカ氏をお迎えし、ウェルビーイングについての理解を深めました。また、講演やグループワークの内容をアウトプットするために参加者一人一人に自分がどういった際にウェルビーイングな状態になるか考えてもらいました。最後には、ウェルビーイングにちなむクイズ大会を行い、成績優秀者にはディズニーグッズをプレゼント。大盛り上がりで計3時間のフォーラムを終えることができました。

JWP研究会の活動は?

はじめに今回の企画運営を行う7名の学生たちから、本フォーラムの説明がありました。JWP研究会も今年は4年目。女性がキャリアを築き自信をもって人生を歩んでいくために、より自分自身に目を向けることが大切と考え、様々な角度からウェルビーイングへの学びを深めることを重点に活動してきました。「本フォーラムでは、アカデミックな観点からのウェルビーイングを学び、一人一人の参加者が自分自身にとってのウェルビーイングを深く考える機会にしたいと考えています」と開催の主旨を伝えました。 そして、早速、ゲストの前野マドカ様の講座がスタートしました。

自分を輝かせるキャリアの描き方とは

JWP研究会では発足当初に、ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司氏にお話を伺う機会があり、そのご縁でパートナーである前野マドカ氏に2022年、2023年に引き続き講演をお願いしました。マドカ氏も隆司氏に影響を受け、幸せの研究を始め、現在では幸せを広めるワークショップやプログラムを開発されています。前向きな人は創造力や生産性も高く、周りに良い影響を与えるという研究結果があります。「幸せはうつります。皆さん覚えておいてくださいね」と前野氏。では幸せな人とはどんな人でしょう。それは夢や目標を持ち、多様な人とつながりを大切にして前向きに自分らしく生きる人のこと。「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」が幸せの4つの因子です。人間は、ないもの・苦手なもの・できないことに目が向いてしまう生き物。しかしそれでは幸せになれません。自分にあるもの、得意なもの、できていることに目を向けることが大切と言います。「自分の良さや強みは意外と自分では分からないので友達や家族に聞いてみましょう」前野氏はアドバイスを送りました。

「Well-Beingダイアログカード」使った幸福度を高めるワークショップ

ここで、前野氏がグループに1セットずつWell-Beingダイアログカードを配りました。幸福度研究に基づいて作られたカードにはそれぞれ問が書かれています。例えば「自分にありがとうと言いたいことは?」「本気で取り組んでいることは?」「人生をかけて成し遂げたいことは?」など。答えを考えることで自分自身の大切なことや軸について知ることができるカードです。グループごとで話し、他の意見を聞くことで幸福度を高めていきます。対話は盛り上がり、自然と拍手が出るグループも。それぞれグループで対話したあと、感想を発表しました。

ハーブティーを味わう

昨年、大好評であった前野マドカ様にご用意いただいたハーブティーを楽しむ時間。オリジナルブレンドのハーブティーを、本当にゆっくりと味わいながらいただく、まさに五感を研ぎ澄ましながらということになります。
日頃、時間に追われながら過ごしている我々にとって、味、香り、音など、静かに味わうことの大切さを感じる瞬間でした。

Well-Being宣言!

フォーラムの最後には参加者全員が「Well-Being宣言」を行いました。

自分自身にとってのウェルビーイングを考え、言語化できるようにします。

今年もクリスマスシーズンの開催であったため、幹事グループのメンバーが用意したのは、サンタクロースの姿を描いた用紙と、プレゼントに見立てた一人一人のカード、その用紙にそれぞれの思うウェルビーイングを宣言。グループ内で発表し合います。全員分の「Well-Being宣言」は幹事作成のオリジナルサンタクロースに貼り付け、可愛らしく飾られました。

最後に参加者から、

幸せに日常から関心があったし、自分自身も幸せということを大切にしているので、とてもワクワクして聞いていました!特に幸せは周りに影響するということが印象的で、自分も幸せオーラいっぱいな人になりたいな!と思いました!(人間社会学部2年)

well-beingという言葉は何度も聞いたことがあったのですが、詳しい意味は分からなかったので、今日知ることができて良かったです。今日から、寝る時に「今日も1日よく頑張った」と思ってから寝ようと思いました。「失敗」とは、何かにチャレンジしたり新しいことを始めた時にしか起こらないので、もし失敗したとしても、そもそもチャレンジをしているから、成長してる!というマインドでいようと思いました。たくさんの学びがあり、とても勉強になりました。これからも幸せに生きていこうと思いました。(人間社会学部2年)

自分の中の幸せについての感情を深掘りすることが出来て、特に自分自身が好きなことを沢山見つける事が出来ました。ハーブティーも今まで飲んだものの中で1番美味しかったです!とても飲みやすく最後にすっきりと鼻に抜けるにおいで心が癒されました。今回のセミナーはとても充実したものでした、ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。(国際学部1年)

先日はご講演いただきありがとうございました。私は日常の中で嫌だった出来事ばかりを思い出してモヤモヤしながら一日を終えてしまうことが多いのですが、前野様のご講演を聞いて嫌なこと以上に良いことがあったり、成長している点があるはずなので心の健康のためにもその日の良かった点に着目しながら毎日を過ごして行きたいと思いました。また、私は地位財にこだわりがちで、SNSを見て他人と自分を比べて落ち込むことも多かったのですが、非地位財のような他人と比較できないものを大切にしていきたいと思います。幸せの4つの因子を忘れないように心がけながら、自分だけでなく周りも持続可能な良好な状態を保てるようなマインドで生活したいと思います。本当にありがとうございました。(文学部3年)

前野さんのお話を2年ぶりにお聞きして、沢山影響を受けました。2年前とは就活をしている点が異なっていて、自分が何をしたいのかよくわかっていなかったのですが、今日のお話を聞いて、自分が「人を幸せにする仕事をしたい」と思っていることを理解しました!また、幸せが伝染するというのは本当だなと思いました。本当に今日は有意義な時間でした!前野さんありがとうございました!(文学部3年)

交流会

最後には、前野マドカ様に関するクイズ大会でのクリスマスプレゼント、お菓子を食べながらのクイズ大会は盛り上がりました。

前野氏は「自分をいい状態にすることを、しっかり考えてくれてとても嬉しいです。全員に応援メッセージを送りたい」と語り、ウェルビーイングフォーラムは終了しました。

企画・運営した学生たちの話

時間ギリギリでバタバタしてしまったところも多々ありましたが、参加者の方が楽しそうにワークに取り組んで下さっている姿が見ることが出来てとても幸せでした。前野さんからも私のwell-being宣言の模造紙を見て「ぜひ写真を撮りたい!」とおっしゃってくださいました。それくらい素敵なものを参加者の方と作れてよかったです。また、前野さんの幸福学については、今からでも実践できることがとても多いなと感じました。よりウェルビーイングになるためにも学んだことを活かしていきたいと思います。(人間社会学部2年)

今回初めて幹事をやらせてもらってとても良い経験になりました。幹事の先輩の皆さんはどなたも優しい方で、私の意見を聞いてくれたり褒めてくれたり一緒に過ごせて楽しかったです!皆さんと活動できたことが私のwell beingのひとつです。本当にありがとうございました!(文学部1年)

JWP責任者の深澤教授(文学部国文学科・社会連携推進室長)から

まずは、前野マドカ様、今年もありがとうございました。会場自体がウェルビーイングな雰囲気に包まれる、言葉では表せない空気が流れる時間を演出いただき、心から感謝申し上げます。JWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)をスタートさせて4年、今年は約60名もの学生さんが自ら手を挙げて、このプロジェクトに参加してくれています。4つの学部から、そして1年生から4年生まで、単位もつかない、ゼミでもない、まさに主体的に集った仲間たちです。今年も、7名の学生が、自ら進んで企画・運営にも携わってくれました。その行動力に心から感謝を申し上げるとともに敬意を表したいと思います。混沌とした世の中を逞しく生きて欲しい、そして利他の心も大切にして欲しい、まさに未来のために自ら社会や世界をより良くしようとする実践女子大学生の姿です。2024年度のJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)も来年3月まで続きます。学生たちのウェルビーイングに満ち溢れた姿がさらに輝くようサポートしたいと思います。

2024年11月15日

人気ゲームの企画立案!?セガサミーホールディングスと「文化の盗用」について学び、実践する特別コラボ授業が行われました。

10月29日に「海外の日本文学」(担当:国際学部国際学科 大塚 みさ教授)の授業でセガサミーホールディングス株式会社との特別コラボが始まりました。「文化の盗用」について知り、どう付き合っていくかを実地で学ぶこの授業。社会の最先端にいる企業に協力いただき、世界の広がりを感じることができる貴重な機会となりました。

ゲームで世界に感動を

はじめにセガサミー法務知的財産本部の寺原潤氏からセガサミーグループについて紹介がありました。
セガサミーグループはゲームを筆頭にしたエンターテインメントコンテンツ事業、パチンコの開発や販売をする遊技機事業、そしてリゾートの運営やカジノ機器の開発を行うゲーミング事業を軸に展開しています。「感動体験を創造し続ける」をミッションに、ありたい姿として「Be a Game Changer」を掲げています。
「この革新者たれ、という精神は、実践女子大学にも通じる考えとシンパシーを感じています」と寺原氏は語りました。

今回は数あるグループ会社の中でもゲーム開発を行う株式会社セガとのコラボです。
セガでは家庭用ゲームソフトの開発が主力。ゲームをする人は全世界に30億人を超えると言われ、大きな市場です。
「だからこそ、文化の盗用は問題になっています」と寺原氏。
今回の課題について触れながら説明をされました。

文化の盗用とは?

続いてセガの表現倫理ユニットに所属されている吉田一彦氏が登壇。
「ゲームなどのコンテンツ内の表現が倫理的に適切なものにするためのサポートをしています」と仕事内容を紹介されました。技術が進歩するにつれゲーム内でもリアルな表現ができるようになったことにより、表現一つひとつが、社会的に問題がないか確認する必要がでてきたのです。
そのひとつが「レーティング」。
定められた基準に照らし、対象年齢などの目安を提示するものです。暴力表現などが多いものなど、未成年からの保護が大きな目的です。

しかし「文化的な理由で年齢問わずNGにすることもある」と吉田氏は話しました。
地域の文化、宗教に合わない表現があった場合にストップをかけるのも大事な役目です。
法律や条例には違反していなくとも、文化や宗教の倫理的に侮辱や差別に該当しかねない表現をチェックするのです。「社会との価値観のズレがないように、さまざまな相談があります」と吉田氏。
例えば、2021年に行われた東京オリンピックのオフィシャル映像の初期設定では、神社の境内でサッカーやバスケットボールをするという構想があったと言います。しかしこれは神聖な場所にはふさわしくない行為ということでNGを出したと話されました。
「こういった倫理観は全世界、地域ごとで違っている。相談があるたび自分たちもそれぞれの国の文化や伝統を一から調べています」と語りました。

防ぐためにはどうする?

では「文化の盗用」は具体的にどのようなことでしょうか。
吉田氏は「自分の文化ではない文化や伝統から物事を流用、私物化する行為」と話します。部外者がよく知らずに外見だけ真似ることで、誤った模倣が広がってしまい、元々の伝統が守られなかったり差別につながってしまったりすることも。

吉田氏は実際に問題になった例を上げていきました。
そこには日本の文化である着物が盗用された例もありました。また日本家屋の屋内にハイヒールで立っている写真の例なども紹介。
「日本文化が何一つ尊重されていないと批判が殺到しました」と吉田氏。このほかにも、黒人文化のヘアスタイルやファッションを安易にまねた例や、インディアンやサーミ族など少数民族の伝統を盗用した例も。
そこには「世界的に有名なブランドも次々に批判されています」と吉田氏は語り、文化の盗用をしないことの難しさを語りました。

「こういった相談はこうしたらいいという正しい対処法がなかなかありません」と吉田氏。
しかし「他文化の要素を取り入れることはNGではないはずと信じたい」と言います。きちんと調べ尊重して正しく取り入れれば、その文化を伝えることもできると考えています。

文化の盗用に注意してゲームを企画しよう!

ここで学生たちの課題が寺原氏から発表されました。
セガ製作のゲーム「龍が如く」の新作の企画立案です。それぞれお題の国や地域が与えられ、リサーチとディスカッションにより文化の理解を深め、文化の盗用を避けるという点を重要視して作成することが求められます。
そのとき一目で「○○編」だと分かるようなキービジュアルを作ることも課題のひとつ。
単純な街並みだけでなく、ストーリーにもその地域らしさを盛り込みます。

担当の国・地域はくじ引きで決定。
アルゼンチンやトルコ、イギリス、ドイツ、ペルーなどさまざまな国が発表されました。
各チームは各国についてリサーチをして要素を探していきます。

最後に学生たちから質問の時間が取られました。
「批判されたら文化の盗用に当たると判断されるのでしょうか」という質問には吉田氏が「批判されたら、ということではないけれど、その文化の当事者が怒るというのは一つの基準です」と回答。
文化の盗用を防ぐには倫理観を正常に保つことが大切と言い、「みなさんもこの点に気を付けて頑張ってください」とエールを送りました。

担当教員よりメッセージ

この日を心待ちにしていた学生たちは、みな真剣なまなざしで話に聞き入っていました。当日のリアクションペーパーには、「文化の盗用」に対する深い理解とさまざまな観点から抱いた関心、そしてチーム課題に対する並々ならぬ意気込みが一人ひとりのことばで綴られていました。
100分間という短い時間でしたが、豊富な事例を用いた「文化の盗用」のレクチャー、そして学生たちを鼓舞する細やかな演出によって、大変有意義なコラボ授業を行うことができました。セガのみなさまに心から感謝申し上げます。
初回授業から重ねてきたチーム学習の成果を活かし、11月の中間発表、そして12月の最終発表に向けて、力を発揮できることを願っています。