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2026年8月7日

「サステナブルな機内食」って?「演習Ⅲa」の授業で、JALの韓国線の機内食を考える特別コラボのプレゼンテーションが行われました。 

7月7日に「演習Ⅲa」(担当:人間社会学部ビジネス社会学科 角本伸晃教授)の授業で、日本航空株式会社(以下、JAL)との特別コラボ授業が行われました。今回は2ヶ月かけて取り組んでいた課題のプレゼンテーション。テーマは「サステナブルな韓国便の機内食を考える」。学生たちは班に分かれ、この日のために企画を練り上げてきました。

企業さながらのプレゼンテーション

本日のプレゼンテーションには、6名が審査員として参加しました。
現役客室乗務員の吉村真紀氏をはじめ、機内食企画担当部署など、実際の企業プレゼンテーションさながらの顔ぶれです。学生たちが緊張した面持ちで臨むなか、吉村氏は「今日は実際に機内食を決めているメンバーが集まっています。皆さんの発表をとても楽しみにしてきました。現場の意見を直接聞ける貴重な機会でもあります」と期待を寄せ、プレゼンテーションが始まりました。

機内食に遊びを!

最初の班は、韓国旅行をより楽しめる機内サービスを提案しました。
到着後に現地グルメを満喫できるよう、機内食は軽めのサラダラップを主食としたセットを考案。副菜には、冷めてもおいしく食べられる濃い味付けのグラタンを組み合わせました。食べ終えると、容器の底に旅行運などの占いが現れる仕掛けも取り入れています。
さらに2次元バーコード付きカードを配布し、韓国語の基本的なあいさつや日本とのマナーの違いを紹介するトラベルガイドを閲覧できるようにするなど、到着後も安心して旅行を楽しめる工夫を盛り込みました。

発表後の講評では、「参考になる点が多かった。占いの仕掛けは若い人ならではの発想ですね」と評価されました。
また、「飛行機を降りた後まで考えた提案が印象的でした。韓国便はフライト時間が短いことを理由に発想を広げていなかったと気付かされました」と、担当者からも高い評価が寄せられました。

心と身体を満たすセルフメイクBOX

続いての班は、20代女性をターゲットに、美容や健康に配慮した機内食を提案しました。
メインはベーグルサンドで、ヨーグルトやクリームチーズを添え、自分好みに味をアレンジできる内容です。具材にはバナナやベリーなど、機内で気になりやすいむくみ対策を意識したビタミン豊富な食材を取り入れました。

講評では、「心のウェルビーイングに着目した点が印象的でした。カロリーを気にせず楽しめる機内食という発想は新鮮です」と高く評価されました。
一方で、「ターゲットが明確で企画の軸がしっかりありました。ただ、ビジネス利用の男性などには物足りない可能性もあります。より幅広い層に訴求できる工夫があると、さらに良い提案になったでしょう」とアドバイスが送られました。

未来食を体験できる機内食

最後の班は、JALが日本発の国際線やラウンジで提供している「未来の食材50」に着目。
「未来からきたランチボックス」と題し、未来の韓国料理を提案しました。「未来の食材50」とは、環境負荷が少なく健康にも配慮した食材のこと。もやしやわかめなど身近な食材も含まれています。
これらを使った韓国風おにぎり「チュモッパ」やナムルをメインにし、さらに「未来の食材50」のトレーディングカードを付属。2次元バーコードから食材を使ったレシピを見られる工夫も盛り込みました。

前の2班とは異なるアプローチに、JALの担当者からは「内容がプロのようによく調べられていた」と高い評価が寄せられました。
「食を通して新たな気付きを提供し、お客さまの発見につながる提案だった」「おいしさだけでなく学びも届けられる」といった講評に加え、「日本食の要素を取り入れると、韓国との橋渡しになるのでは」といった実践的なアドバイスもあり、学びの多い発表となりました。

実際の企画にも刺激になる発表に

最後に中間発表にも参加された鈴木氏から総評がありました。
「中間発表から大きくレベルアップしていました。韓国線の機内食は特に難しいテーマですが、皆さんが真剣に取り組んでくれたことが伝わりました。JALでは思いつかない発想も多く、私たちも大いに刺激を受けました。ここにいるメンバーで今回の学びを今後の機内食づくりにも生かしていけると思います」と講評されました。

発表後、学生たちも感想を共有。
「他の授業でもグループワークは経験しましたが、今回はコストや提供方法まで考え、実際さながらの企業のプレゼンテーションを実践できました」と振り返りました。
また、「中間発表で多くの指摘を受け、企画を一から練り直しました」と話す班もあり達成感をにじませていました。

授業の終わりには、吉村氏から修了証が授与され、会場は和やかな雰囲気に。
企業と連携し、本格的な企画立案とプレゼンテーションを経験した貴重な学びの機会となりました。

担当教員からのメッセージ

中間発表会では学生としてはとても素晴らしい提案をしてくれましたが、アイディア勝負の面がありました。機内食というビジネスの一部であるからには、コスト制約を無視するわけにはいきません。中間発表会ではその点をご指摘いただきました。その後、最終発表会に向けて、ゼミ生たちはコスト面だけでなく中間発表会でいただいた他のコメントも意識しながら、ブラッシュアップしていきました。最終発表会では当初予定の倍の審査委員の方々にお越しいただき、緊張感の増す中で、堂々と発表をしてくれました。このPBLを通して、学生たちは共創力を大きく伸ばすことができました。

2026年8月6日

五輪開会式のプランを発表!2026年度〈国際理解とキャリア形成〉にてスポニチコラボ授業の最終プレゼンテーションが行われました

7月14日、実践女子大学共通教育科目〈国際理解とキャリア形成(担当:国文学科 深澤 晶久教授)〉にて、スポーツニッポン新聞社(以下スポニチ)とのコラボ授業として提示された課題『オリンピックの開会式をプロデュースする』に対する学生の発表が行われました。スポニチからは編集委員の藤山健二氏、ビジネス開発局の池田智子氏、記者の佐藤博之氏をお招きし、学生の発表に対するフィードバックをいただきました。

授業と社会連携について

国際理解とキャリア形成は、2年生以上を対象に開講されている共通教育科目です。国際情勢の学習や、グローバル業務を経験した外部講師による講演を通じて、国際的な視野と幅広い知識を身に付けます。

 また、この授業は〈オリンピックとパラリンピック〉をテーマに、スポニチと連携して行っています。今年度は『オリンピックの開会式をプロデュースする』というテーマに、学生が挑戦しました。発表では、開会式のテーマ、選手入場、選手宣誓、聖火点火の4点を必須条件とし、学生たちは自由な発想で開会式を企画しました。

今回の授業では、グループワークの成果を発表し、編集委員の藤山健二氏からフィードバックをいただきました。また、授業の最後には、スポニチ賞として最優秀賞が贈られました。

3班:想像を創造へ

3班は開催地を日本と想定し、〈想像を創造へ〉を開会式のテーマに企画を考えました。未来の技術を使って活躍する漫画キャラクターをテーマの象徴として採用し、学生は「タイムマシンや空を飛ぶ小型の飛行装置など、想像を技術によって実現しています。あこがれや望みを象徴したキャラクターとして採用しました」と話しました。

選手入場では、4箇所に設置された扉から同時に入場するとしました。入場の演出としてプロジェクションマッピングで入場国の風景を映し出し、観客が各国の文化や自然に触れられるようにしながら、そのキャラクターが登場するアニメのテーマソングを、その国の言語で歌ったバージョンで流すとしました。

また、選手宣誓は柔道の阿部一二三選手、阿部詩選手とし、「柔道という日本らしさと、兄妹でオリンピックに出場するという夢と絆の表象として採用しました」と話しました。

聖火台は大樹をイメージしたデザインとし、「根は努力、幹は現在の選手、葉は選手にあこがれる次世代を表しました」と話しました。点火者は柔道を習っている子供とし、漫画に登場する飛行道具を身につけて空を飛び、聖火に点火する演出を紹介しました。スポーツを通じて次世代へつなぐ未来を伝えるとしました。

藤山氏は「大会ごとにキャラクターは存在していますが、すでに有名なキャラクターを採用するという点が驚きでした。また、選手入場を4箇所から入場する案も、着眼点がよかったと思います。全体を通して実現性と夢があり大変良かったです」とフィードバックを寄せました。

6班:Every color tells a Different Story

6班は、2028年ロサンゼルスオリンピックの開会式について企画しました。〈Every color tells a Different Story〉を開会式のテーマに、多様性、太陽、持続可能性をキーワードに設定し、開会式を演出しました。選手入場はギリシャからアルファベット順に入場し、開催国であるアメリカが最後に入場するとしました。入場では各国のウェア以外に伝統装束も着用し、世界の文化に触れることができる演出としました。また、各国オリジナルロゴを作成し、入場国に合わせてドローンでロゴや国旗を空に映し出すことで、観客に視覚的な楽しさを感じてもらうことを狙いました。選手宣誓は、アメリカ代表の主将と副主将が行うとしました。

聖火台への点火方法として、大砲風に装飾したピッチングマシンから火の玉を投球し、野球選手がホームランとして聖火台へ聖火を届ける演出を提案しました。学生は「追加競技として採用されることや、メジャーリーグでも有名で世界的に注目度が高いことから、スポーツらしいダイナミックな演出ができると考えました」と話しました。また、点火の際に花火とドローン、ランタンによる演出を行い、会場の一体感を表現しました。さらに、聖火台とランタンに太陽のモチーフを取り入れることで、大会テーマとの親和性も図りました。

藤山氏は「直球勝負な内容だと感じました。企画した要素に対して背景まできちんと考えられており、本当の記者会見のようなリアリティのある発表でした」と話しました。

5班:響きあう伝統と未来

5班は札幌を舞台にした冬季オリンピックの開会式を提案しました。開会式のテーマは〈響きあう伝統と未来〉です。選手入場は国ごとにそりに乗って行われ、そりのデザインに国旗の色やモチーフを取り入れることとしました。選手宣誓は「冬季五輪をけん引する存在」であるスノーボードの平野歩夢選手、スキージャンプの高梨沙羅選手が行うことを提案しました。

また、聖火台はアイヌの伝統家屋“チセ”の木組みをイメージし、北海道産の高級木材と軽量アルミニウムを融合させたデザインにするとしました。点火は火矢を用いて聖火台を射ることで行うとし、点火した瞬間にその火が天に昇るような光の演出を、ドローンを活用して行うとしました。学生は「現実の炎とプロジェクションマッピングやドローンによるデジタル技術の輝きの融合をイメージしました」と話しました。

さらに、場外の特設イベントとして、聖火点火体験ブースを設けることを提案しました。設置された聖火台のオブジェクトに向けて、来場者が手元のスマートフォンから一斉に火矢を射ることで点火を疑似体験。参加者により一体感を感じてもらうとしました。

藤山氏は「冬季オリンピックの開会式を提案してくれるとは思っていませんでした。札幌を舞台にする上で、アイヌ民族に注目してくれたことがよかったです。また、体験スペースとはいえ観客を点火に取り入れる発想はこれまでにない斬新なもので、参加型で一体感を演出するアイデアがとてもよかったです」とコメントを寄せました。

4班:わ

4班は開催地を日本と想定し、〈わ〉を開会式のテーマに企画を考えました。学生はテーマについて「〈わ〉には平和の“和”、五輪の“輪”、そして日本文化の“和”という意味が込められています」と述べました。また「日本文化をわかりやすく織り交ぜ、他国との調和や平和、そして過去から未来を表現します」と話し、その演出全体を考えるベースとして『万物が互いに影響し合い循環する』という東洋思想である“五行思想”を取り入れると説明しました。

選手入場の順番については、オリンピックのシンボルマークである五輪が5大陸を表していることに触れながら「ギリシャを先頭に5大陸ごとに順番に入場し、日本がアジア大陸の最後として入場する」と説明しました。また、選手宣誓には柔道の阿部一二三選手、阿部詩選手を起用するとし、「柔道が日本の伝統競技であること、兄妹の絆がスポーツの努力を象徴することから採用した」と起用の理由を話しました。さらに、聖火ランナーとして歌舞伎俳優の市川團十郎氏を起用することを提案し、「日本の伝統文化を象徴する歌舞伎の力強さをストレートにアピールし、日本ならではの魅力を伝える点火セレモニーとする」としました。

藤山氏は「まず、テーマをひらがなとした点が、同じ発音で複数の意味を持つ日本語の特徴を活かした発想で素敵でした。また、“五行思想”に着目した点も面白かったです。さらに5つの大陸を意識した入場順は、オリンピックの原点である“大陸の団結”に立ち返った発想で良かったです」とコメントしました。

2班:3つのB 〜Bridge、 Believe、 Beyond〜

2班は夏季オリンピックを想定し、〈3つのB 〜Bridge、 Believe、 Beyond〜〉をテーマに開会式を企画しました。学生は「テーマでは3つのBを通じて、オリンピックが世界中の人をつなぎ、お互いを信じながら、新たな未来へ歩み出すきっかけとなることを表現した」と話しました。選手入場は競技ごとに行うとし、選手宣誓は次の世代へつなぐ“Bridge”の象徴として、10代のオリンピック選手である、スケートボードの吉沢恋選手と小野寺吟雲選手を選出しました。

聖火の点火者は2024パリ五輪で金メダルを獲得したフェンシング団体の日本選手とし、採用理由を「チーム競技で仲間を信じ、限界を超えた先の金メダルであると考え、Believe、Beyondの象徴として採用した」と説明しました。点火者たちが聖火台へ集まり、ひとりひとりのトーチから聖火が灯された後、光が会場全体に広がる演出を行うとし、学生は「重ねた想いが未来に広がっていく様子を表現しました」と話しました。また、聖火台は両端に階段を設け、上から見ると橋に見えるデザインにすると説明し、学生は「橋でつながり、信じる力で支え合い、限界を超えて未来を切り拓くという3Bのコンセプトを意味として込めた」と話しました。

藤山氏は「開催都市を選ばない普遍性のある提案で、内容の完成度も高かったです」とフィードバック。「また、スケートボードやフェンシングといった競技の目の付け所がマニアックで面白かったです」と話しました。

1班:コネクト

1班は2032年夏季オリンピック開催地であるオーストラリアを舞台に、<コネクト>をテーマとした開会式を企画しました。また「スポーツを通じた人とのつながりと自然との共存」をコンセプトに、演出を考案しました。

選手入場は「競技ごとに船に乗り、シドニー・オペラハウス周辺の海を同時に周遊する」と提案。入場にかかる時間の短縮を狙いました。また、選手宣誓はオーストラリア選手の最年少と最年長が行い、「スポーツが持つ歴史を次世代へつないでいく〈コネクト〉を表現する」としました。学生は「追加競技に、現地で人気のオーストラリアンフットボールが採用された場合、その競技の選手から選出する」と話し、開催国の魅力も発信すると述べました。

聖火点火は、オリンピックで実施される競技から選手が一人ずつ参加して点火を行い、聖火台は「ニューサウスウェールズ州のシンボルである花、ワラタをモチーフとしたデザインにする」とし、自然との共存というテーマの表現につなげました。

さらに、オペラハウス前でのオーストラリア室内管弦楽団の演奏に加え、ゴールドコーストのサーファーズパラダイスで先住民族の伝統音楽やダンス〈マニカイ〉〈コロンボリー〉を披露すると話しました。

藤山氏は「オーストラリアンフットボールという、ローカルだけれども現地で圧倒的な人気を誇るスポーツを取り入れてくれて、よく調べたなと感じました。また、オーストラリアの歴史として先住民族問題を忘れずに取り入れてくれて大変良かったです」と話しました。

スポニチ賞の表彰

すべての班の発表が終了した後、藤山氏、池田氏、佐藤氏の3名がスポニチ賞の審査を行いました。

協議の結果、最優秀賞は2班〈3つのB 〜Bridge、 Believe、 Beyond〜〉に決定。藤山氏は評価のポイントを「企画内容の実現可能性の高さ」と説明しました。2班には、オリンピック公式グッズの防水ポーチが藤山氏から贈呈されました。また、参加賞としてスポニチグッズのペンが学生に配布されました。

総括のコメント

藤山氏は「予想を超える素晴らしい提案でした。スポニチ賞を設けていますが、みなさんには自分の発表に自信を持ってもらえればと思います」と、発表全体への感想を述べました。続けて、オリンピック取材時のエピソードや、有森氏との対談を振り返りながら、学生たちへエールを送りました。

藤山氏は、あるメダリストに取材した際、金メダルを取れた理由を尋ねると「”負けず嫌い”だったから」と返ってきたエピソードを紹介しました。「その言葉を聞いた直後は『アスリートはそういうものだろう、よくある回答だな』と思っていました。でも話を聞くうちに、そうではないと気づいたんです」と振り返り、「その選手が言う“負けず嫌い”は、誰かへの対抗心ではなく、自分自身に対しての負けず嫌いだったんです」と説明しました。

さらに「一流の選手でも、緊張に悩んだり負けて落ち込んだりします。その選手も『練習でもういいやと感じる時もあるけれど、それでも自分に負けたくなくて続けてきた。その結果がオリンピックにつながった』と話していました」と、アスリートの心の内を紹介しました。

また、有森氏との対談で出た『自分で自分を褒めたい』という言葉についても触れ、藤山氏は「自分が満足するまでは負けを認めない。そして満足のいく結果が出たら、自分をほめる。これは皆さんのこれからの人生でも、大切な考え方になるのではないかと思います」と学生たちに伝えました。

最後に「今後、どうしても悩むことが出てくると思います。そんなときはぜひ有森氏との対談で聞いた信条を思い出して乗り越えてください。これからも、もっと楽しい毎日を送ってもらえたらと思います。本当に皆さん、お疲れ様でした。ありがとうございました」と、学生たちへ言葉を贈りました。

学生たちは、企画提案や対談を通して、一つの提案をやり抜く力やチームで動く協働力、自分の人生を支える力強い信条を学びました。

担当教員のコメント

2014年からスタートした本授業では、一貫してオリンピックパラリンピックを学生とともに考えてきました。そして、スポーツニッポン新聞社さまにも、一貫してご支援を継続いただいてきました。
スポニチ藤山様には、毎年、お題をいただいたり、オリンピックパラリンピックの裏話の数々をご披露いただくなどスポーツを通しての国際理解を深めることにお力添えをいただきました。
今年のテーマは、将来のオリンピックパラリンピック開会式をプロデュースするという壮大なテーマでしたが、学生たちも想像力や創造力を目いっぱい発揮いただき、素晴らしいプランが提案されました。
スポーツニッポン新聞社様のご支援に対し、心から感謝申し上げます。

2026年8月6日

自分と向き合い可能性を開く!〈国際理解とキャリア形成〉スポニチコラボ授業に有森裕子氏が登壇し、対談形式でご講演いただきました。

6月23日、実践女子大学共通教育科目「国際理解とキャリア形成(担当:国文学科 深澤 晶久教授)」にて、スポーツニッポン新聞社とのコラボ授業の一環で、五輪メダリストであり現日本陸上競技連盟会長の有森裕子氏をお招きし、アスリートとしてのご経験やキャリアの中で得た価値観について、編集委員の藤山健二氏との対談形式でご講演いただきました。

授業と社会連携について

国際理解とキャリア形成は、2年生以上を対象に開講されている共通教育科目です。国際情勢の学習や、グローバル業務を経験した外部講師による講演を通じて、国際的な視野と幅広い知識を身に付けます。

 また、この授業では〈オリンピックとパラリンピック〉をテーマにスポーツ新聞の発行を行っているスポーツニッポン新聞社と連携を行っています。今回の授業では、バルセロナオリンピックで銀メダル、アトランタオリンピックで銅メダルを獲得した元マラソン選手である有森裕子氏をお招きし、長年オリンピックの取材に取り組んできた編集委員の藤山健二氏との特別対談が実施されました。

陸上との出会い

陸上を始めたきっかけは、「小学校の頃に信頼していた先生が陸上クラブの担当だったから」という理由だけだったと話す有森氏。また、「中学校の運動会で参加した800m走で3年連続優勝したことが、自分の自信につながった」と話しました。有森氏は、結果を左右するのは自分自身だけという陸上競技の特性が、自分に合っていると感じたそうです。

藤山氏が「自信が持てるものが欲しかったということでしょうか」と質問すると、有森氏は「自分に自信が持てる、自分を認めることができるような機会がなかったため、自信満々に自分を表現できる友人たちがうらやましかったんです。何でもいいから『私はこれ』と言えるものが欲しいと思っていました」と話しました。

あきらめない気持ちとやる気

陸上が自分の自信につながることを実感し、高校進学と同時に陸上部への入部届を提出したという有森氏。しかし、「進学した学校が陸上の名門であることを知らず、中学校時代に陸上競技での入賞経験がなかった私は門前払いされました」と話しました。

「顧問の先生から入部を却下されたにもかかわらず、どうしても入部したくて、行く先々で先生を待ち伏せすることを1か月くらい続けました」と続け、最終的に仮入部という形で陸上部へ。有森氏は「そのまま高校卒業まで部活動を続けましたが、大会での受賞歴はありませんでした」と話しました。それでも大学で競技を続ける決断をしたといいます。

藤山氏は「高校3年間頑張って結果が出なければ、やめる人も多いと思います。どうして大学でも陸上を続けようと思ったのでしょうか」と質問しました。

有森氏は、あきらめずに進む自分を応援してくれる存在がいたことが大きかったと話し、進路に迷った際、陸上部の先生から「あきらめずに続けたら相手が先にあきらめるかもしれない。それまであきらめなかったら、自分が前に行けるかもしれない。俺はお前をずっと応援するから、それまで頑張れるか」と言われたことを紹介しました。

続けて「先生の『かもしれない』という言葉を聞いて、『自分が何かできる可能性があるということだな』と思ったんです。自分が可能性をあきらめなければ、その道を応援してくれる人がいる。そう思ったときに『やめる』という選択は頭に浮かびませんでした」と話しました。

大学進学後はけがの休養からの復帰を経て、卒業後は実業団に所属。実業団入団の経緯も「通常、実業団への入団は勧誘か紹介で決まるのですが、私はそれを知らなかったんです。直接アプローチを行い、面談にこぎつけました」と話しました。

有森氏は入団できた背景について「当時の企業の状況と私のやる気がかみ合ったから」と振り返り、「会社は不祥事を立て直していくために“やる気”のある人材を求めていました。私は実績がないものの、走ることに対する“やる気”はしっかりと持っていました」と説明。「監督との面談で『これから先、どうしたいか』を伝えました。その“やる気”が伝わり、『今会社が求めている力を持っている』という点が評価されて入団することができたんです」と話しました。

オリンピックに関する有森氏のキーフレーズ

藤山氏はオリンピックに関する話題として、インタビューで有森氏が語った『自分で自分をほめたい』という言葉を紹介し、「この言葉は有森氏を代表する言葉として知られています。この言葉に込めた思いについて聞かせてください」と質問しました。

有森氏は「銅メダルを獲得したアトランタオリンピックで、競技後に行われたインタビューの最後に出た言葉でした。アナウンサーからの質問に対し『なんでもっと頑張れなかったんだろうと思うレースはしたくなかった』と話した後、ふと自分の中で今回のレースを振り返ったんです。その時、何一つそう思う瞬間はなかった。そう思ったときに『自分で自分をほめたいと思います』という言葉が自然と出ました」と、当時どのような思いでその言葉が生まれたのか語りました。

また、「アトランタオリンピックまでの道のりの中で、手術などさまざまなことがあり、周囲からは『有森は終わってしまったな』と言われることもありました。何とか自分を信じるしかない状況の中で、やっと戻ることができた4年後の舞台だったんです」と振り返りました。さらに、「誰も褒めてくれなくても、自分で『本当によくやった』と思えました。レースを振り返ったとき、あの言葉以外は出てこなかったんです。自分自身を最大限に見つめて出た言葉なので、周りの反応は関係ありません。たとえ歓声がブーイングに変わっていたとしても、同じ言葉を口にしていたと思います」と話しました。

有森氏の信条

藤山氏は「有森氏が現役時代の経験から導き出した、これからの人生にプラスになるような信条やモットーがあるということで、ご紹介します」と話しスライドに言葉を投影しました。有森氏は〈世の中にたった一人しかいない自分の生き方にこだわる〉について、次のように話しました。

有森氏は「たった一人しかいない自分であることに誇りや特別感を持つことは大切です。それと同時に、周囲の助けがあって自分が生きていけるとも感じますが、その助けを“頼ろう”と判断するのも自分だと思っています。しっかりとした自分自身を自覚していないと、何歳であろうが人にコントロールされるようになってしまいます」と話しました。また「私の場合、周囲と違うことがエネルギーになり楽しかったです。自分らしさをつくると面白いですよ」と学生へ伝えました。

藤山氏は有森氏の言葉を受け、「その根底にあるのは自己肯定感の高さだと感じます。誰しも自分自身の嫌なところを感じていると思いますが、自分を好きになるためにはどうしたらいいのでしょうか」と質問しました。

有森氏は「自分が決めたことを自分がやらないと、やりきれない自分が嫌になってくると思います」と回答。続けて、「私自身も自分の全部が好きなわけではありません。しかし、そういう部分を自覚して生きていくことと、無自覚に生きていくことには大きな違いがあると思っています。すぐに変えることはできなくても、自覚できていれば変わることができるタイミングや、変化のチャンスを逃すことが少なくなると思っています」と、自分の苦手な部分と向き合う考え方を共有しました。

さらに、学生へのアドバイスとして『嫉妬』という感情について説明。

有森氏は嫉妬を『嫌い』と別の感情であることに触れ、「他人に対して嫉妬するということは、『そうなりたい』という欲求が自分にあるということであり、伸びしろの部分です。人を貶めるために使わなければ自分にちゃんと関心を持っている証である、ものすごいエネルギーなんです」と解説しました。学生に「簡単なことではないけれど、自分が嫌だと感じている部分にもそういう視点があるんだと感じることで、自分を好きになれる瞬間が早く訪れると思います」と伝えました。

講演の最後に

藤山氏は、学生が取り組む〈オリンピックの開会式をプロデュースする〉という課題に関連し、「選手から見た理想の開会式とはどのようなものですか」と有森氏に質問しました。

有森氏は「実は現役時代、オリンピックの開会式には参加していません。マラソンはコンディションの調整が難しく、開会式に出る選手はあまりいないんですよ。ですが、開会式は単なるイベントではなく、選手と応援する人が一体感を感じられる場であってほしいなと思います」と回答しました。

さらに、スペシャルオリンピックス(知的障害のあるアスリートの競技大会)で行われたアスリートファーストの開会式や、世界陸上競技選手権大会で観客の視点に立ち、競技の見やすさを意識した大会運営を例に挙げながら、陸上競技大会の運営に対する考え方も変化していることを紹介。「競技に参加する選手が最高のパフォーマンスを出せることが大切」と話しました。

尽きることのない話題の中、予定の時間を迎え、対談は締めくくられました。

その後、学生からの質疑応答の時間が設けられ、「走っているときに心が折れそうなとき、どうしていましたか?」という質問に、「“苦しい”は頑張ろうとしているから出る感情です。ネガティブでは全くなく、苦しくなるくらい頑張っている証拠なのであきらめる理由にはならないです。逆に、“嫌になること”は自分の力になりません。嫌と感じていることは周りにも伝わりますし、進化を止めます。自分がどちらの感情であるかは見極めたほうがいいです。考えてみると案外嫌なことは少なかったりします」と回答。自分の感情を見失わずに進むことの大切さを伝えました。

講義の最後に有森氏は「けがの時、この言葉にずいぶん救われた」という『何で』と『せっかく』の話を学生に贈りました。

「何か想定外のことが起きたとき、『なんで』と考えることが多いですが、それを考えて良くなることはほとんどないです。『何で』を『せっかく』に変えるとポジティブになります。『せっかくなら』と、今しかできないことに目を向けることができ、嫌なことがあっても自分にとってプラスになることを考えることができるんです。『せっかく』をきっかけに自分をいい方向に持ち直し、その自分を通して周りも良くなる。たったこれだけのことですが、自分の心持ち1つ、使う言葉1つで、変えることができます。ぜひやってみてほしいなと思います」

担当教員のコメント

有森さんにご登壇いただくのは、今回が6回目となります。その間には、東京2020そしてパリ2024が開催され、早いもので再来年はロサンゼルス2028です。オリンピックパラリンピックを通して国際理解に繋げようとする試み、毎年スポニチ様にご支援いただいています。
有森さんの数々のエピソードからは、決してあきらめない心や、逆境の時にこそ「せっかくだから」という言葉を乗せることで、常に前向きに物事を考えること、そして挑戦する気持ちの大切さなど、数々のお言葉をいただきました。この場を借りて、有森さん、そしてスポニチの藤山様はじめ関係の皆様には、心から感謝申し上げます。

2026年8月6日

現役社員が語る仕事と子育て!〈国際理解とキャリア形成〉で資生堂グローバルブランドユニットの岡野静佳氏をお招きしご講演いただきました。

6月16日、実践女子大学共通教育科目「国際理解とキャリア形成(担当:国文学科 深澤 晶久教授)」にて、株式会社資生堂(以下資生堂)の岡野静佳氏をお招きし特別講演が行われました。学生は、岡野氏の商品開発に関するご経験やご自身の“学チカ”の話を通じ、就職活動や仕事について理解を深めました。また、岡野氏は現在、二児の育児とフルタイム勤務を両立させており、キャリアの選択肢を示す存在として、学生が将来を具体的にイメージするきっかけとなりました。

授業と社会連携について

国際理解とキャリア形成は、2年生以上を対象に開講されている共通教育科目です。国際情勢の学習や、グローバル業務を経験した外部講師による講演を通じて、国際的な視野と幅広い知識を身に付けます。

今回の授業では資生堂から岡野静佳氏をお招きし、キャリアや商品開発の仕事について、そして子育てと仕事の両立のリアルに触れるご講演をいただきました。岡野氏は現在、二児を育てながらフルタイムの勤務を両立させています。キャリアを語る岡野氏の講演に、学生は真剣に耳を傾けていました。

岡野氏のキャリア

初めに、岡野氏のキャリアについて説明がありました。資生堂への入社後、百貨店担当の営業として約3年間勤務。その後「社内のジョブチャレンジ制度に応募し、本社の国際事業部へ異動しました」と話しました。岡野氏は「営業として勤めていた時、上司との面談のたびに『国際的な仕事をしたい』と伝えてました」と、グローバルにかかわる業務に対して積極的だったと話しました。

そして異動後、配属されたのは未経験であったメーキャップ商品開発担当。岡野氏は「仕事の面で、先輩たちとの比較や理想の自分とのギャップに悩みました。しかし、先輩たちにも私のような新人の時代があったはずと考え、食らいついて仕事を続けました」と話しました。また、商品開発は企画から発売までに年単位の時間がかかることを説明し、岡野氏は「担当して3年ほど経った頃、ようやく仕事のやりかたが掴めるようになりました。つかめてからはとても楽しく、バリバリ働きました」と振り返りました。

その後、2020年に第一子の産休に入った岡野氏は続けて第二子も出産。約4年間の育児休暇を経て、一昨年スキンケアの商品開発担当として復帰したと話しました。育児休暇からの復帰後は、育児と仕事を両立する日々だといい、さらに岡野氏は「実は10か月間の研修を受け、今年1月から正式にマネージャーとして勤務しています。管理職として増えた仕事に翻弄されつつ、頑張って働いています」と話しました。

岡野氏のキャリアの原点

岡野氏は自身のキャリアの原点として、大学時代の留学中に経験したとある出来事を学生に話しました。

留学中、旅に出るため飛行機の出発を待つ空港の待合ロビー。周囲に空席が目立つ中、男性が真隣に座ってきたといいます。警戒心から「なんですか」と尋ねたものの返答はありませんでした。不審に思っていると、男性から手元の機械を用いて飛行機の行き先について質問され、初めてこの男性が視覚と聴覚の両方に障害のある人(盲ろう者)だとわかったといいます。岡野氏は「彼はアナウンスや掲示の情報を受け取ることができず、誰かに教えてもらわなければ状況に気づけない立場なんだ、と気づきました」と話しました。

そこから機械や手のひらに文字を書いてコミュニケーションを図り、「不慣れで拙くゆっくりとしたやり取りしかできず、大した会話はしていなかったと思います」と話しました。優先搭乗の案内がかかり、グランドスタッフの介助の元搭乗ゲートに向かう男性を見送った岡野氏。「男性がくるっとふりかえり、すごい笑顔で大きく手を振ったんです。向いている方向は全く違っていたのですが、きっと私に向けてしてくれたんだろうと思いました」と話しました。

当時の経験を振り返り「当時、体験したことがないほどの達成感を感じ『すごくいいことをしてあげられたんだろうな』という純粋な印象が今も根強く残っています」と話し、岡野氏のキャリアの軸でもある「心を重んじる究極のおもてなし」という価値観を持つきっかけとなったことを紹介しました。

さらに学生に「私はこの出来事を『学チカ(就活の自己PRの定番の質問である“学生時代に力を入れたこと”」のこと)』として就活面接で話しました。皆さんも『力を入れたこと』という言葉に引っ張られすぎず、自分の経験を自分の言葉に変えることを大切にしていただきたいと思います」と話しました。

商品開発の仕事

岡野氏は商品開発のプロセスを、メーキャップ担当時に開発に携わった〈SHISEIDOメーキャップ PICO 2018〉を例に説明しました。

岡野氏は「商品開発では、なぜその商品を作るかという戦略を明確にしたうえで、その目的を達成するために必要な要素とミッションを調査・分析によって導き出していきます」と説明。

〈SHISEIDOメーキャップ PICO 2018〉は、ブランドのメーキャップ商品の大幅リニューアルを前に新規顧客を獲得するための企画として立ち上がったといい、岡野氏は「新規顧客を『かわいい』でひきつけるものとして提案したものが〈SHISEIDOメーキャップ PICO 2018〉となります」と説明しました。

また、さまざまな調査の結果、新規顧客が見込める世代が若年層であったことや、ポーチの中身を調査した際に資生堂の商品が一つも入っていなかったことなどから「“若いお客様に『可愛い』『ポーチに1個入れたい』と思ってもらえる商品をつくること”をミッションとして設定した」と話しました。

その後、「ミッションを達成するにはどうしたらよいか、具体的な商品の企画が始まります」と話し、実際の提案資料をスクリーンに投影しながら、『20代女性』というターゲットや『商品の機能だけじゃなく、見た目の可愛さやストーリーも重要』というニーズなど、〈SHISEIDOメーキャップ PICO 2018〉開発時の詳細な設定を紹介。客観的な要素をそろえたうえで、それをどうしたら商品に落とし込むことができるか、コンセプトなどを決定すると説明しました。

〈SHISEIDOメーキャップ PICO 2018〉のコンセプト決定について、岡野氏は「商品コンセプトを考えていく段階で『手つむぎ』をキーワードにしました。日本の伝統工芸など、手作業で完成する商品に込められた職人さんの美意識を、エッセンスとして取り入れたかったんです。そこで贈り物や自分へのご褒美として購入される『和菓子』をコンセプトとして採用しました」と話しました。

また、「商品の販売スタートの時期が2月だったのですが、ブランドのメーキャップ商品リニューアルは秋。そこで、季節ごとに和菓子をモチーフにした色を約2カ月おきに展開するという戦略を考えました」と話し、「販売戦略に合わせ、商品の色を開発していきます」とプロセスを紹介。色の開発について「試作と修正のトライアンドエラーを重ね、研究所やメーキャップアーティストと連携しながら商品ごとに独自の色を作り出します」と話しました。

岡野氏は「〈SHISEIDOメーキャップ PICO 2018〉はSNSなどでも大変好評で、2019年、2020年と続きました。また、老舗和菓子屋とのコラボレーションも実現しました」と語りました。さらに、〈SHISEIDOメーキャップ PICO 2018〉の商品開発には2年かかったと話しながら「スキンケアの商品開発には最低3年はかかります。今も2032年に発売する商品について、考え始めています」と商品開発のサイクルについて説明しました。

制度が支える働き方

商品開発という責任ある仕事をこなしながらも、岡野氏は二人の子どもを育てる母親でもあります。仕事と育児の両立について、岡野氏は資生堂を「とても働きやすい環境です」と話し、その両立を支える要素として〈スーパーフレックス制度〉を紹介しました。スーパーフレックス制度は1か月の所定労働時間を満たしていれば、出勤・退勤時刻を比較的自由に調整できる勤務制度です。岡野氏は「中抜けや休みなど、プライベートの時間をあまり損なわずに自分が動きたいように動くことが許されている」と話しました。

制度を活用した働き方、そして仕事と家庭の両立を行っている具体的な例として、岡野氏の一日のタイムスケジュールがスライドに投影されました。朝食の準備や幼稚園への送り出しを終えた後、9時台から出社して勤務を続け、午後4時台には退勤。就寝も子どもに合わせて早い時間帯にとり、起床は午前の3時。岡野氏の具体的なライフスタイルに触れ、学生も驚きの表情。岡野氏は「業務時間を前倒しすることで、夕方以降に行うはずの仕事を早朝の時間帯で行い、育児と仕事を両立しています」と話しました。

講演の最後に

学生からの質疑応答の時間が設けられました。

学生から「来年から新卒として企業で働きます。理想の自分とのギャップを実感し落ち込んだ状況で、自分がこれを大切にしていたからこそ乗り越えられたと感じることを教えてください」という質問に対し、岡野氏は「『大きな夢』と 『小さな目標』の両方を持つことです」と話しました。

続けて「『いつか国際関係の業務をしたい』という大きな夢をずっと持っていましたが、それだけでは心が折れる時もあったため、『今日は○○さんに話しかける』など小さな目標を設定していました。誰にでも新人時代はあるものです。上司や先輩たちも新人のことをきちんと見たいけど、忙しいとどうしても無理な時もあります。先輩たちに話しかけに行くコミュニケーションを積極的に取ることや、自分から仕事を取りに行くことも大切だと思います」とアドバイスをしました。

また、「〈SHISEIDOメーキャップ PICO 2018〉の商品開発における色づくりについて詳しく教えてください」という質問には「こちらが『この色がいい』と作ったサンプルを研究所に送り、実際にメーキャップ製品として使用できる成分で色を試作してもらいます。研究所から送られてきた試作に対して、さらに色味の修正をかけまた戻ってきてを納得がいくまで繰り返します」と回答。また、「どういう色味にするか、資生堂に所属するメイクアップアーティストと相談しながら色を決めていきます」と話し、岡野氏は「日々の生活の中で『美しい』と感じた瞬間の印象を大切にしながら色を作り上げています。飲んでいたお茶の色や、パンに塗ったジャムの色などから着想を得ることもありました」と説明しました。

担当教員のコメント

今年も、岡野様にご登壇いただきました。初めてお会いしたのは2006年、私が企業の採用を担当していた時でしたから、それからもう20年になります。管理職にもなられ、今や資生堂の中心的な存在して活躍されている姿を、本当に頼もしく、そして嬉しく拝見しました。
仕事にも、育児にも、全力で取り組むお姿が、学生の心に強く響いたようです。
そして、毎年お聞かせいただく究極のおもてなしのエピソードは、学生の心に深く刻まれたことと思います。岡野さんの益々のご活躍を心からお祈り申し上げます。本当にありがとうございました。

2026年7月31日

オリエンタルランド・クリエイションズを訪問し、学生がプログラムに挑戦しました。

5月25日、キャリア実践演習(担当:国文学科 深澤 晶久教授)にて、株式会社オリエンタルランド・クリエイションズ(以下、OCS)に学生が訪問しプログラムに挑戦しました。プログラムでは企業説明のほか、キャリアに関する講演や社員との座談会、代表取締役社長 向井 丈晴氏を交えたランチ会など、キャリアに関する視点を深めるほか、社内視察を交えた課題解決の施策提案を行いました。

OCSについて

OCSは〈「デザイン」を通じて世界に笑顔と幸せを届けます。〉というミッションを掲げ、オリエンタルランドとグループ会社をはじめ、さまざまなクライアントに対して、デザイン、商品、印刷物、デジタル、写真、映像セグメントのクリエイティブを提供している会社です。と紹介がありました。

次に組織図をスライドに投影しながら、各部門の説明があり、企画営業部と制作部がクリエイティブ制作事業を担当していることを紹介。さらに、「案件ごとにチームが結成され、協力してクリエイティブを提供します」と説明しました。実際にOCSが担当したデザインや商品、ツール、HP、動画などがスライドで紹介され、「自分が担当したクリエイティブの展開開始日に現地視察を行うことも。ゲストのリアクションなどを直接確認することもあります」と話しました。

続いて、リゾートオペレーション部門が担当しているフォトサービス事業の業務内容が説明されました。

部門にはさらにテーマパーク内にある各フォトロケーションでのカメラマンによる撮影からプリント、販売までを担当するグループと、ホテルにおける婚礼や宴会等での各種写真の撮影からアルバム等の構成、販売を担当するグループがあるとの紹介がありました。

OCSが、各種デザインや思い出となるコンテンツの制作など、ゲストの体験につながるクリエイティブを提供していることを学んだ学生たち。テーマリゾートの運営を支えるグループ企業の事業領域紹介を通じて、一つの商品やサービスが企業間の連携によって支えられていることを学びました。

現役社員によるキャリア講演

企画営業部の齋藤氏によるキャリア講演が行われました。齋藤氏は講演の冒頭、「講演を準備する中で、自分自身のキャリアを改めて振り返る機会になりました」と話し、自身の歩んできた道のりと、その経験を通して気づいた価値観について学生へ語りかけました。

齋藤氏は株式会社オリエンタルランド(以下OLC)にデザイン職として中途入社。その後、グループ会社への出向やOLCへの帰任を数度経験し、現在はOCSで企画・営業・デザインなど幅広い業務に携わっています。

講演は、「私は失敗しない」という言葉から始まりました。しかし、それは数多くの困難や失敗を乗り越えてきた経験から、「何とかする」「何とかなる」「やり切る」という覚悟を表す言葉であると学生へ説明しました。

キャリアスタートと経験

齋藤氏は新卒で保険会社に事務職として入社。「『就職のタイミングが来たからとりあえず働く』という感覚だった」と振り返るものの、「仕事は長く続けたいし、楽しく働きたい。“好き”を仕事にしたい」と考え、その状態に近づくべく3年で退職を決意。

『職人=かっこいい』『仕事好きな大人=かっこいい』。そして、小さい頃読んだ『ウォルト・ディズニー』の伝記から、好奇心をビジネスにしてきた、ウォルトの生き方に憧れ、ディズニーに携わりたいと考えていました。

保険会社退職後は大学で専攻した日本語教師を海外で1年経験し、その後入社した制作会社では、公的機関に出向。出向先で事務の仕事に取り組む傍ら夜間のデザインスクールでデザインの基礎を学びました。当時の経験を「海外生活では度胸が身に付き、公的機関での仕事では、人の役に立てることに大きなやりがいを感じました」と振り返りました。

その後、準社員としてOLC商品部へ入社し、2年間勤務した後、中途採用試験に合格して商品デザイングループの社員となりました。

齋藤氏は「人は誰もが、自分の人生の責任者なのです」というウォルト・ディズニーの言葉を引用しながら、OLCに入社するまでの約7年間は、自分で考え、自分の意思で道を選択しながら進んできたことを学生へ伝えました。

入社後の経験

 入社後、テーマパークの商品開発のためのデザイン素材集の作成、商品デザインや開発、監修などの他にも、テーマパーク以外で展開されるキャラクター商品の開発やマーケティングにも携わり、沢山の新規企画の立ち上げを実現してきたといいます。

「グッズのデザイン業務の中では、デッサンやイラストの制作に苦労しました」と振り返る齋藤氏。当時の経験を「やればやるほど自分の得意・不得意がわかるようになりました。できないことがあるだけ、多くの人に助けてもらいました。アドバイスをくれる先輩や、力を貸してくれる協力会社の職人さんなどの中で働く楽しさを強く感じました」と振り返りました。

また、「とんでもない業務量の時もありましたが、『やってから文句を言う』というスタンスで、やってのけました」と言いながら、同時に『数字に強いクリエイター』を目指し、ビジネススクールに通ったことも告白。「とにかく時間が足りなかったですが、適応能力が身に付きました」と笑いながら話してくれました。

その後も多様な業務を経験し、OCSへ出向したタイミングでコロナ渦に突入。ソーシャルディスタンスなど、従来とは異なる形での企画が求められる中、やったことのない技術を体験価値につなげられるかなど色々な取り組みを繰り返したことを述べ、「正解が分からない中、チームで試行錯誤しながら挑戦することが楽しかったです」と話しました。

キャリアを振り返って

さまざまな経験を経た現在、齋藤氏は「企画、営業、提案からデザインまで幅広い業務に携わっています」と話しました。そして、これまでで、本当にやってきてよかったこととして「その時できることを最大限やってきたこと」を挙げました。目の前にある仕事一つ一つに一生懸命に取り組んできた積み重ね、一見繋がりがないような経験の数々が後の自分の強みになっていきました。そして、なによりもその『一生懸命』が、ヒトとの繋がりを生み今の財産になっているといいます。

講演の終盤、齋藤氏は自身のキャリアを振り返る中で、一つの大きな気づきがあったと語りました。

「私は、ディズニーが好きだから仕事を続けられていると思っていました。でも振り返ってみると、本当に好きだったのは、人の役に立つことでした。」

仕事を通じてゲストが喜ぶことはもちろん、一緒に働く仲間が助かったり、笑顔になったりすることに、自分自身が最もやりがいを感じていたといいます。

「だから私は、ディズニーが好きというより、仕事が好きなんだと気づきました。そして、その得意分野がディズニーなので、今の仕事を心から楽しめています。」

さらに学生へ、「人生はゲームのようなもの」という考え方も紹介しました。

ゲームでは、設定変更できないキャラクターや出来事にでくわします。設定を変えられるのは、自分自身のスキルや考え方や次の行動、戦略です。

「想定外のこと、納得いかないことにでくわしたときは『そうきたか!』とだけ思ってください。『なぜ自分だけこんなめに?』とそこに躓き思い悩むのはもったいない」と学生たちに語りかけ、出来事は変えられなくても、その後どう行動するかで、その先を変えることができると説明。人生はゴールで決まるものではなく、それまでの経験や時間の全てが人生であり、そのプロセスが価値であると伝えました。

講演の最後には、「長く大人をやっていてもわからないことは沢山あります。でも、自分が今どこに向かっているのかという現在地を見失わなければ、人は必ず前へ進むことができます」と学生たちへメッセージを送りました。

フォトサービスとPBL

プログラムの後半には、現役社員から提示される課題に学生が挑戦しました。リゾートオペレーション部門の江口氏が登壇し、課題の説明が行われました。

江口氏は、テーマパーク内で提供されているフォトサービスの時間帯責任者を担当しています。「各フォトロケーションでの撮影や受付、プリント、販売など、最前線で活躍しているキャストの育成や管理、より多くのゲストに写真をお届けするための施策の立案・実行を行っています」と、日々の業務について紹介しました。

また、「最前線で活躍するキャストのモチベーションを高く保つためにはどうすればよいかなど、キャストを育成・管理するリーダーとしてのスキルも求められていると感じています」と説明。学生たちはサービス運営を支える仕事について理解を深めました。

江口氏から提示された課題は、〈より多くのゲストに写真をお届けするための施策の提案〉です。実際の業務フローが紹介された後、1日の目標など具体的な条件と、設定シーンにおける利用状況を数値化したデータが配布されました。

江口氏は特に、「サービスを提供しているキャストの行動変容によって数値向上につながる内容を提案してほしい」と学生に呼びかけました。また、「数値化されたデータを読み解き、見つけた課題から施策を考えることも一つのアプローチです」とヒントを示しました。

学生たちは3つのグループに分かれ、施策を考えるディスカッションを実施。配布資料をもとに、どの数値を改善すべきかを分析し、そのために必要な施策についてアイデアを出し合いました。

あるグループでは、提案の方向性が固まった段階で江口氏から「その価値を、キャストがどのようにゲストへ伝えられるかも考えてほしい。例えば、こんな声掛けをしてみるという方法もあります」と具体的なアドバイスを受ける場面もありました。江口氏は「最前線で体験価値を提供するキャストによってサービスは支えられています。その力をより活かす形で色々な施策を考えてください。」と話し、時間帯責任者としてサービス運営に携わる立場ならではの視点で学生に助言を送りました。

ディスカッション後は各グループが施策を発表。「案内文章にわくわく感を持たせたい」といった利用者視点からオペレーション改善を提案するグループや、ニーズを分析し、その要素を案内文章へ反映する施策を提案するグループ、利用者への説明を充実させることで、サービスの魅力をより効果的に伝える施策を考案したグループなど、多様なアイデアが発表されました。

また、「今考えていただいた施策は、『撮影体験』というパーク内での体験価値を、より多く提供することにつながるものです。そして、その体験は思い出をカタチとして残していただくことにもつながります」と述べ、今回の課題解決提案がどのような価値を生み出すのかを説明しました。

さらに、「みなさんが考えた施策を実際に形にするのは、最前線で活躍するキャストです。キャストに施策の価値をどう伝えるか、また、実行に向けたモチベーションをどのように高めていくかなど、日々、複数の要素を考えながら進めることが求められます。」と話し、業務における難しさとやりがいを学生に伝えました。

学生は、時間帯責任者の視点で課題に取り組むことで、サービスを支える多様な業務と、実際の業務で求められている広い視点について理解を深めました。

学生はキャリア講演や課題に挑戦することを通じて、社会人として求められる仕事への姿勢やより広い視野について理解を深めました。

講演や課題以外にもこんなことを行いました

お昼の時間には、代表取締役社長 向井 丈晴氏を交えてランチ会が開催されました。学生と同じテーブルに社員の皆さんも着席。学生は、社員の方に直接質問をしながらリラックスした様子で昼食を楽しみました。逆に社員から学生への質問もあり、双方の意見交換の場としても盛り上がりました。

また、講演や課題のワークのほかに、社員と学生の座談会も開催されました。座談会では齋藤氏のほかに企画営業部から太田氏、和田氏、池﨑氏が参加。学生一人一人から寄せられた質問に、4人それぞれから回答されました。座談会での質問を一部抜粋し、掲載いたします。

Q一番大変だった仕事は?

池﨑氏「商品を作る工場とやり取りをしながら納品までのスケジュール管理を行ったことです。海外の方と話すこともあり、意思疎通や意識の統一に難しさを感じました」

和田氏「映画と連動したイベント企画の担当をしたことです。複数の制作物を同時並行で進捗管理を行わなくてはならず、大変でした」

太田氏「ECサイトを立ち上げたことです。ウェブに関するノウハウがない中で構築しなくてはならず、分からないことの範囲が広い点が大変でしたが、それが良い経験になり今に繋がっています。」

齋藤氏「企画が進んでいた商品を、予定していた日に納品することが難しいとの連絡が来たことです。関係者と協議し対応することで、何とか商品販売までこぎつけました。他にも大変なことはいろいろありますが、このようにエピソードにもなりますし、何とかなります。恐れるものではないです」

Q.好きなことを職にするためにどうしたか

池﨑氏「今好きを仕事にしていることは、タイミングと憧れが重なった結果だったと思います。これまでつらいこともありましたが、『食べることが好き』という一つの好きがあったからこそ頑張れたと思っています。一つの好きからつながっていろんな好きが増えたので、なにかひとつ見つけることが大切なのかなと思っています」

太田氏「好きを職にする入社きっかけではなかったですが、代わりに『負けず嫌い』でやり抜いてきたなと思っています。できたことが自信につながり、乗り越えた分できることも増えました。このような経験が仕事の楽しさにつながっていると思います」

和田氏「好きなことを職にする、という目標を諦めなかったことが一番大きかったと思います。それが今の仕事につながっていると感じています。」

齋藤氏「考え方として私がよく言うのは『好き』になる必要はなく『プロ』になれ。何事も極めると仕事が楽しくなります。ただもともと『好き』だった業界に行くことは続けるモチベーションになりますね。」

担当教員のコメント

文学部キャリア科目群の一つとして、今年(2026年)開講したキャリア実践演習では、
オリエンタルランドクリエイションズ様に大変お世話になりました。
向井社長や前山部長にご尽力いただき、素晴らしいプログラムを
企画いただき、当日は、多くの社員の方のお力添えもいただきました。
オリエンタルランドグルーブを支える大きな柱として存在する
オリエンタルランドクリエイションズ様での至れり尽くせりのプログラムは、
学生にとってもとても意義深く印象に残る一日となりました。
普段はゲストとして眺めていた風景をキャストの側から学ぶという貴重な
体験をさせていただくことが出来ました。
なぜ、いつも笑顔で満たされているのか、深い視点での研鑽を積めたたことに
心から感謝いたします。
改めて貴重な経験をさせていただいた向井社長、前山部長をはじめとする
オリエンタルランドクリエイションズ様の社員の皆さまに御礼申し上げます。

2026年6月1日

JALふるさとアンバサダーってどんな仕事?「実践プロジェクトa」の授業でJALとの特別コラボ授業が始まりました。 

5月11日に日野キャンパスにて、「実践プロジェクトa」(担当:村山 浩一特任教授)の授業で、株式会社JAL航空みらいラボとの特別コラボ授業が開始されました。この日はオリエンテーションとして、日本航空株式会社(以下、JAL)の地域活性化の取り組みについて学びました。授業の最後には企業から課題が出され、学生たちはグループワークに取り組みます。

社員の幸福を大切にする

JAL航空みらいラボは、2024年に設立されたJALグループの新会社。航空分野で培った知識や経験を活かし、大学との連携にも力を入れています。
今回登壇したのは、長年客室乗務員として活躍されている戸田亜希氏、塩崎雅子氏、そして札幌からオンライン参加した水上みのり氏の3名。
塩崎氏は「学生の皆さんと関わることで、新しい発想に刺激を受けています。私たちにとっても学びの多い時間です」と話し、講義がスタートしました。

まず戸田氏から、JALについての紹介がありました。
JALは1951年に設立。現在は日本航空で初となる女性社長が経営を担っています。
主な事業は航空運送ですが、物流や金融など幅広い分野にも挑戦しています。
「コロナ禍で旅客需要が大きく減少した経験から、航空以外の事業強化にも取り組んでいる」と話されました。

さらに紹介されたのがJALの企業理念。
その中には「全社員の物心両面の幸福を追求する」という言葉があります。
戸田氏は「利益だけでなく、社員がやりがいや誇りを持って働けることを一番に大切にしている」と説明しました。
安全運航を支えるためにも、社員一人ひとりが前向きに働ける環境づくりが重要。そのためにも、社員全員の幸せが大切だと考えているのです。

JALが取り組む地域活性化とは?

JALでは、サステナブルでウェルビーイングな未来を目指し、「JALビジョン2035」を掲げています。
テーマは「安全・安心」「心に響く出会いと体験」「関係・つながりの創造」の3つ。
今回の授業は、その中の「関係・つながりの創造」に大きく関わります。
戸田氏は「地域活性化とは何をすることだと思いますか?」と学生たちに問いかけます。地域活性化とは、単にイベントなどで盛り上げることではありません。地域で安心して暮らせる環境を整え、将来にわたって活力ある社会を維持していくことだと説明しました。

では、なぜJALが地域活性化に取り組むのでしょうか。
戸田氏は「航空業界は、人やモノの移動によって成り立っています」と話します。地域が元気になることで移動も増えることは、JALにとっても大きなメリットがあります。
JALの強みである「移動」を活かし、人と地域をつなぐ役割を担っているのです。

JALふるさとアンバサダーって?

JALが行う地域活性化の取り組みのひとつに、「JALふるさとアンバサダー」があります。
これは、地域のために働きたいという思いを持つ客室乗務員のこと。各地に移住しながら地域の魅力発信や活性化に取り組む活動を行っています。
ここからは、実際に札幌でアンバサダーとして活動する水上氏がオンラインで登壇しました。
水上氏は客室乗務員として全国を飛び回っていましたが、地域事業本部への異動をきっかけに観光開発に携わるようになると、「もっと地域に深く関わりたい」と感じるように。
その思いから、出身地である札幌のふるさとアンバサダーに手を挙げたと話しました。

JALふるさとアンバサダーは2020年に始まり、現在は23名が全国各地で活動しています。実際にその土地で暮らしながら、地元では当たり前になっていて気づかれていない魅力を掘り起こしていくのが大きな役割。
水上氏は「地域のリアルな声を大切にしながら、CAとして培ったおもてなしの経験を活かしています」と話しました。

活動内容は、地元食材を使った商品開発や観光PRなどさまざま。
特徴的なのが、生産から加工、販売までを一気通貫で行う「6次産業」である点です。アンバサダー自ら実際に現地へ何度も足を運び、人とのつながりを築きながら、新たな地域の価値を生み出しています。

地域の未来を考える課題に挑戦!

水上氏は学生たちへ「もし皆さんがJALふるさとアンバサダーだったら、地域のために何をしますか?」と問いかけました。地域活性化は「楽しかった」で終わらせず、その後もどう継続していくかを考えることが大切です。
そのため「今回の課題でも、どうすれば人に楽しんでもらえるかと、どうすれば持続可能な取り組みにできるかの両方を意識してほしい」と呼びかけました。

続いて戸田氏から課題内容が発表されました。
テーマは「JALふるさとアンバサダーの視点で、地域に寄り添いながら魅力を発信する企画を考える」というもの。
地域選びから学生自身が行い、「なぜJALが関わる意味があるのか」「地域にどんなメリットがあるのか」まで考える必要があります。
さらに、既存のアイデアではなく、独創性のある企画であることも求められました。

なかなかの難問に、学生からは「理想的なアイデアを、持続可能なビジネスとして成立させるにはどんな視点が必要ですか」という質問も。
これに対し塩崎氏は、地域名産を使った商品の包装作業を障害のある方に依頼し、新たな雇用につなげた事例を紹介。
「その商品だけで利益を出すのではなく、地域にどんな価値を生み出せるか、どんな課題解決につながるかを考えることが大切」とアドバイスされました。

学生たちは3班に分かれ、地域の魅力や課題について議論を重ねながら企画づくりに挑戦。
7月の最終プレゼンテーションに向け、グループワークを進めていきます。

担当教員からのメッセージ

「高校の授業とは全く進め方が違っていて驚いた」「実践的な授業を初めて受け、大変有意義に思う」――。戸田亜希様、塩崎雅子様、水上みのり様にきめ細かくご指導いただき、学生にとって大変よい刺激となりました。受講生は、いずれも実践女子大学に入学したばかりの1年生。実践的な学びを楽しんでいます。
戸田様をはじめ3名の方々からは、「地域に寄り添い、地域の魅力を伝える企画を考える」という課題をいただきました。これに対して、学生らは「人とのつながりを大切にしながら、長期的な地域活性化につながるアイデアを練っていきたい」と意気込んでいます。キャリア自律が重視される時代に、このような社会連携プロジェクト型の授業に協力いただき、心から感謝申し上げます。

2026年5月28日

ベネッセスタイルケアの施設に訪問し、学生考案プロジェクトの実践が行われました。

12月10日(水)、株式会社ベネッセスタイルケア(以下ベネッセスタイルケア)とコラボし、全4回の授業にわたって連携プロジェクトが行われました。最終回となる4回目では、ベネッセスタイルケアが運営する高齢者施設を訪問し、入居者の皆様に向けて学生が考案したアクティビティと制作プロジェクトの実践が行われました。

授業と連携企業について

授業連携が行われたのは、生活科学部生活文化学科 塚原拓馬准教授のゼミナールです。塚原准教授は生涯発達心理学(人の一生を通して、年齢や状況ごとに変わる心のあり方や成長を、周囲の環境との関係から考える学問)を専門とされており、ゼミナールでは人間の生涯に関わる心理的なテーマを取り扱っています。

ベネッセスタイルケアは高齢者向けの介護サービス事業を中心に、高齢者の生活に寄り添うサービスを提供している企業です。今回は『〈高齢者のWell being〉に関して理解を深め、実践していく』をテーマに、企業連携プロジェクトが展開されました。

今回の実践にあたり、学生は提案の事前調査として施設の見学と実施されているアクティビティを体験しました。
調査を踏まえ、アクティビティの提案を行う班と、施設の環境を活かした提案する班の二つに分かれ、具体的な行為とプロジェクトの提案を行いました。

アクティビティ班の発表

事前調査で体験したアクティビティ『歌声喫茶』の経験から、入居者の方には音楽が好きな方が多いことに着目しました。班のメンバーにも音楽が好きな学生が多かったため、共通点である音楽を取り入れた体操を提案しました。体操で使用する曲は、入居者の方々の世代に親しまれている曲と、大学生世代で流行している曲の2曲が選ばれました。

入居者の方々は学生の発表に対し、うなずいたり背伸びをしてスライドを見たりと、関心をもって聞いてくださいました。実践パートでは、学生が最前列の参加者と目を合わせながら笑顔でコミュニケーションをとる姿が見られました。なじみのある曲が流れると、鼻歌を口ずさみながら体操に取り組む方もいました。初めは見学として見守っていた方も、次々と体操の輪に加わり、アクティビティは徐々に活気づいていきました。

二曲目はテンポが速い曲で、初めは戸惑う様子もありましたが、学生のお手本と同じ動作を行ううちに、皆さん次第にリズムに乗っていきました。終わった後には着ていた羽織を脱ぐ方もいるほどで、学生とのアクティビティに熱中していた様子が伝わってきました。

アクティビティの感想を求められた入居者の方は、明るい笑顔で「たのしかった」と答え、学生は嬉しそうにうなずいていました。

環境班の発表

環境班の発表では、『一人時間の充足がウェルビーイングにつながる』という考えを提示しました。事前調査の見学の際、施設内には一人で過ごせるスペースが多くあることに気づき、充実した一人時間の過ごし方として読書を提案しました。さらに、ただ本を読むだけではなく、読書に必要なしおりを活用した施設内スタンプラリーや押し花制作などのアイデアも紹介しました。今回はその中から、ペンを用いて「栞(しおり)」にイラストを描く制作を行うことを説明しました。

この発表に対し、入居者の方からは「押し花の案、良いと思います。これからのしおりづくりも楽しみです」との感想があり、介護職員からも「スタンプラリーの企画はすごく素敵です。参考にさせていただきます」とコメントをいただきました。

発表の後は、実際にしおりの制作に取り組みました。入居者の方々は4人程度の班に分かれ、それぞれのテーブルには担当学生が着席。参加者はペンを使ってイラストを描き込み、一色で丁寧に塗る方や、複数色を使ってカラフルに仕上げる方など、表現はさまざまでした。学生と入居者の方々はしおりを見せ合ったり、目を合わせて会話を交わしたりと、コミュニケーションを取りながら20分ほど制作に取り組みました。

制作を終え、学生たちが退室する際には、交流を深めた入居者の皆様からたくさんの手を振っていただき、温かい雰囲気の中で見送られました。
中には「これからも頑張ってね」とエールを送ってくださる方もおり、学生たちは笑顔で手を振り返し、用意したプロジェクトが無事に終了したことにほっとした様子でした。

プロジェクトの最後に

4回にわたるコラボ授業の締めくくりとして、参加者全員で感想の共有を行いました。

学生からは次のような感想が寄せられました。

「想像以上に積極的に参加していただき、直接コミュニケーションをとる中で、知らなかったことを知ることができる貴重な機会でした」
「準備中は不安もありましたが、実際に実施すると入居者の皆さんがとても楽しそうに取り組んでくださり、安心しました」
「発表の場としてとてもいい経験になりました。やってみて学ぶ点も多くあり、今後の活動に活かしたいです」など、今回の経験を次につなげたいという前向きな声が多く上がりました。

ホーム長の吉田氏は、「実施していただいた企画はどれも素敵で、入居者さまもスタッフも大変喜んでいました。発表のアイデアも参考になり、充実した時間になったと感じています」と話しました。

また、キャリア人事本部の渡辺氏は、「入居者さんのために考え、行動してくれたことがとても良かったです。キャリアについての話も含め、今回のプロジェクトが学生の皆さんにとって良い経験になっていればうれしいです」と総括しました。

キャリアにもつなげる実践に

プロジェクトの実践の後には、新卒5年目の社員である長井氏による就活経験を交えたミニ講演も行われました。就職する企業をどのように決めたのか、就活のポイントや実際働いてみて感じたギャップ、現在歩んでいるキャリアについてなど、リアリティのあふれる講演をいただきました。学生にとって、今回の経験を通じて自分のキャリアについても考えを深めるきっかけとなりました。

担当教員からのメッセージ

この度は株式会社ベネッセスタイルケア様にご協力頂き、「高齢者のWell beingに関して理解を深め、実践していく」というテーマついて連携授業を実現できました。超高齢化社会を迎え、私たちは「後期高齢期」という未知な世界をどのように活きていくかという課題に直面しています。その社会課題は当事者だけでなく、若年を含む社会に生きる私たちみんながどう捉え、どのような取り組みをしていくかという多世代的な視座が不可欠であると考えています。そこで、今回はゼミナールの学生達とともに高齢者施設の利用者様や職員の皆様のご意見やご助言を頂きながらトライをしてみました。初回の連携授業でもあり、小規模な試みでありましたが、関わらせて頂いた学生達にとっては大きな一歩となる学習の機会を頂くことができました。ご協力頂きました株式会社ベネッセスタイルケア様には心より御礼申し上げます。

2026年5月20日

韓国便のサステナブル機内食を考えよう!「演習Ⅲa」の授業でJALとの特別コラボが始まりました。 

4月28日に、「演習Ⅲa」(担当:人間社会学部ビジネス社会学科 角本伸晃教授)にて、日本航空株式会社(以下、JAL)との特別コラボ授業が開始されました。この日はオリエンテーション。JALが航空業界だけでなく、広く社会課題に取り組んでいることを学びました。授業の最後には数か月にわたって取り組むグループワークの課題も発表され、学生たちは新しい学びに積極的に取り組んでいます。

空の仕事から学ぶチーム力と前向きさ

登壇したのは、現役の客室乗務員でもある吉村真紀氏。
「地球320周分、月まで16往復分ほど飛行機に乗っている」と語り、学生たちも驚きの表情。長時間乗務を続ける秘訣は「笑顔で前向きにいることと、チームの力」だといいます。
「飛行中には救急車も消防車も来ません。すべて自分たちで対応します。だからこそ前向きに取り組むこと、そして大変なときに支えになる仲間の存在が大切です」と、チームビルディングの重要性を語りました。

もう一人登壇したのは鈴木茂樹氏。
運航管理などの空港現業、機内食の開発などに携わり、著名なレストランとのコラボレーションメニューやサステナブルな食材を機内食に取り入れるための交渉などを担当されていました。

自己紹介の後はJALクイズが出題。
JALのフラッグシップであるエアバスの機体カラーに込められた思いや企業理念、オリジナルドリンクなどに関する問題に、学生たちは手を挙げて積極的に参加しました。
楽しみながら学べる時間となり、「クイズを通して大切にしていることが伝われば嬉しいです」と締めくくられました。

JALの価値観と目指す未来像とは

ここからはJALの経営ビジョンについて。
JALが目指すのは、航空会社の枠を超えて社会課題に向き合うことです。安心・安全な空の旅に加え、お客様の心に響く出会いや体験の提供を大切にしています。
その実現のために策定されたのが「JALフィロソフィ」。
これは、社員全員が共有する意識・価値観・考え方をまとめたもので、部門や職種を超えた連携を支える重要な指針です。

そして吉村氏は「皆さんにとってのウェルビーイングは何ですか?」と問いかけました。ウェルビーイングとは、自分にとって心地よい状態のこと。
学生からは「モチベーション高く勉強できているとき」や「課題を終えたときの達成感」などの声が挙がりました。
吉村氏は「心地よさは人それぞれ。JALもお客さま一人ひとりに『いいね』と思ってもらえる価値を提供できるよう変化しています」と語りました。

「六方よし」のためのウェルビーイング

JALは企業として利益を出し続ける必要がありますが、利益だけを追うのではなく、すべてのステークホルダーに誠実であることを重視しています。
これはESG経営と呼ばれ、環境や社会課題に企業として向き合う考え方です。

たとえば気候変動への取り組みでは、機体をカーボンで作ることで軽量化し、CO2排出量を減らす工夫を行っています。
面白いところでは、家庭や飲食店の使用済み食用油を回収し、燃料に再利用する取り組みも。「渋谷区でもスーパーなどで集めていますので、皆さんもぜひ」と紹介されました。

多様性の面でも、障がいのある社員の活躍推進や男女差の解消に取り組んでいます。
昔は、客室乗務員は子どもが出来たら定年、なんて言われていた時代もありました。今は子育てしながら働くのも当たり前。
これは放っておいたら変わったわけではありません」と吉村氏。
制度は自然に変わったのではなく、その都度の社員が、これがウェルビーイングなんだということを示していくことで少しずつ制度が整っていったのだと語りました。

またJALは「六方よし」の精神を大切にしています。
世間、売り手、買い手がwin-winになる従来の「三方よし」に加え、作り手や環境、未来にも価値を届けることを目指しているのです。

韓国便のサステナブル機内食を考えよう!

いよいよ課題の発表です。
テーマは「JALグループのビジョンを体現する『サステナブル・韓国便ミール』の企画」です。
韓国便のフライトは約2時間と短く、提供時間に余裕がありません。
手早く出せるボックスミール形式で考えます。温めて提供することはできないので、冷たくても美味しいものを考えるのもポイントの一つです。

鈴木氏は「コストや食材など考えることは多いですが、私が機内食を考えるときは、『一番大事な人に食べてもらって笑顔になるか』をイメージしました」とアドバイス。家族や友人を思い浮かべ、楽しんでもらえるメニューを考えてほしいと語りました。
吉村氏も「韓国はZ世代に人気の文化が多い国。ぜひ皆さんのウェルビーイングを感じるアイデアを提案してください」と期待を寄せました。

学生たちはグループで課題に取り組み、2か月後のプレゼンテーションに向けて準備を進めていきます。

担当教員からのメッセージ

角本ゼミではこれまで「観光」をメインテーマとしてきましたが、今年度はJAL航空みらいラボ様とPBLを行うことになりました。目的地への移動で航空機を利用する場合は長時間、閉鎖空間で過ごすために、機内食を楽しみにされている方が多いと思います。

今回のテーマは韓国便での機内食の提案ですが、その前提には「JALフィロソフィ」や「ウェルビーイング」があり、それを具現化する「サステナブルな機内食」をという趣旨説明を聞いて、ゼミ生たちも取り組む意欲がさらに高まったと思います。学生らしい型にはまらない提案を期待しています。

JAL航空みらいラボについて詳しい内容はこちら→https://www.jalaviofuture.co.jp/

2026年5月11日

五輪開会式をプロデューサー視点で!2026年度国際理解とキャリア形成の授業にてスポーツニッポン新聞社とのコラボ授業がはじまりました。

4月21日(火)、国際理解とキャリア形成(担当:国文学科 深澤 晶久教授)の授業にて、スポーツニッポン新聞社から編集委員の藤山健二氏、記者の佐藤博之氏をお招きし、学生が取り組むグループワーク課題の発表が行われました。

授業の概要と企業連携

 国際理解とキャリア形成は、2年生以上を対象に開講されている共通教育科目です。国際情勢の学習や、グローバル業務を経験した外部講師による講演を通じて、国際的な視野と幅広い知識を身に付けます。

 また、この授業では〈オリンピックとパラリンピック〉をテーマにスポーツ新聞の発行を行っているスポーツニッポン新聞社と連携を行っています。今回の授業では、編集委員の藤山健二氏、記者の佐藤博之氏をお招きし、課題に関連するオリンピックについての講演と、学生が取り組む課題の発表が行われました。

スポーツニッポン新聞社って?

 授業の初めに、佐藤氏からスポーツニッポン新聞社について説明がありました。

 スポーツニッポン新聞社は、全国にスポーツ紙を発行する新聞社です。全国発行部数がスポーツ紙No.1であることや、「スポニチアネックス」というオンラインプラットフォームでは月間2億2000万ページビューを記録したことなどが紹介されました。印象的な紙面構成については、「見出しと写真を大きく配置し、さっと目を通すだけで要点をつかめるようにしています」と説明しました。

ミラノ・コルティナオリンピックにみるスポーツ取材

 続いて、約40年のスポーツ記者キャリアの中で長年オリンピックの取材に携わってきた藤山氏から、オリンピックに関する取材の視点や背景についてご講演いただきました。

 藤山氏は、ミラノ・コルティナオリンピックで金メダルを受賞したフィギュアスケートのペア種目のりくりゅうペアについて、「メダルを受賞したとき、選手がとても涙を流していたシーンが印象的でした」と話しました。続けて、日本ではシングル種目の競技人口が多いことや、スケートリンクでは種目を超えた共同練習が難しいことから、ペア種目の練習場所が不足しているという問題が長年存在していたことを紹介しました。「ペアの選手は、スケートリンクの営業時間が終わった深夜、もしくは始まる前の早朝に練習をしていました。長年の苦労を乗り越えた末のメダルだったからこそ、あの涙だったんです」と、スポーツ選手の結果の背景にあるエピソードを語りました。

 藤山氏は、「スポーツ記者は、試合の裏で起こっていることを取材して記事にしているんです」と述べ、結果だけでは見えない背景を伝えるというスポーツ記者の役割を学生に伝えました。

ロサンゼルスオリンピックと“あたりまえ”への転換点

藤山氏は、2028年開催予定のロサンゼルスオリンピックに触れ、この土地でオリンピックが開催されるのは3回目であること、過去には1932年と1984年に開催されたことを紹介しました。

藤山氏は、1984年当時のオリンピックの価値観について「国の威厳を見せる場所、という意識が強かった」と紹介しました。1984年のロサンゼルスオリンピックは、史上初の民間主導(税金投入なし)で開催され、これまで税金で賄っていた運営資金を確保するために「テレビ放映権料」「スポンサー協賛金」「入場料」「グッズ販売」といった施策が初めて導入されました。これらは現在のオリンピックの運営の基盤となっています。

 「もうひとつ、今となっては当たり前のことが初めて実施されました」と話す藤山氏。それは「開会式のショービジネス化」でした。また、その背景にテレビ放映やスポンサーとの運営資金の関係があることが説明されました。

課題の発表!

 今年度、学生が取り組むグループワークの課題が発表されました。藤山氏から提示された課題は、「オリンピックの開会式のプロデュース」です。

提案には、「開会式テーマの設定、選手団入場と選手宣誓の実施、聖火台への点火方法」が必須条件として求められました。学生は総合プロデューサーの立場になりきって、オリンピック開会式の企画立案を行います。

藤山氏は、「開会式はオリンピックの『平和な社会のためにスポーツを役立てる』という意義を表現する場です。大会ごとに開会式のメインテーマが決まっており、2026年ミラノ・コルティナオリンピックでは『調和』が、2020年東京オリンピックでは『感動でつなぐ力』がテーマでした」と、オリンピックの開会式について説明しました。

さらに、2028年ロサンゼルスオリンピックでは『多様性』がコンセプトとして掲げられ、コンセプトを表現する公式ロゴが26種類用意されていることを紹介し、「企画を考えるときの一例として参考にしてください」と話しました。

授業の最後に

藤山氏は、「自由な発想で取り組んでください。実現が不可能と思うものでも大丈夫です。みなさんの創造力を発揮して、提案していただければと思います」と、企画に臨む学生にエールを送りました。

学生はこれから、企画のプレゼンテーションに向けてグループワークを進めていきます。

担当教員のコメント

恒例となりました「国際理解とキャリア形成」の授業におけるスポーツニッポン新聞社様との「オリンピックパラリンピック特別講座」も9年目となりました。
今年も、スポーツニッポン新聞の藤山様、佐藤様、池田様にご支援をいただいての授業がスタートを切りました。
ミラノコルティナの冬季オリンピックでは、日本人選手の活躍もあり、大いに盛り上がりました。やはり若者たちの飛躍の舞台としてこれからも発展し続けて欲しいと思います。
今年は、「オリンピックの開会式のプロデュース」がテーマです。
学生たちの豊かな創造力を活かした提案が楽しみです。

2026年3月31日

人工石の指輪の認知を広めるには?「実践デザインラボⅠ」の授業でBrillarとの特別コラボが行われ学生たちが施策を提案しました。

「実践デザインラボⅠ」(担当:人間社会学部社会デザイン学科 標葉 靖子教授)の授業で、12月19日に株式会社Brillar(ブリジャール)との特別コラボ授業が行われました。この日は1か月前に出された課題に対するプレゼンテーション。テーマは「人工石の指輪をひとつのライフスタイルや自己表現として広めるための具体的な施策を考える」です。学生たちはグループワークを経て発表に臨みました。

レンタルサービスで良さを広めよう

Brillarの代表取締役である小原亦聡氏も来校し、「楽しみにしてきました」とコメント。
「店にも来てくれたと従業員から聞いています。シャープな質問もあったそうですね」と、学生たちの調査力に感心していました。
さらに「成長過程にあるブランドとして良い施策があれば取り入れたい」と、提案に期待を寄せました。

いよいよ学生たちの発表です。
トップバッターは「カメレオン」チーム。
人工石に関する意識調査では、人工石が指輪の素材として使用されていることを知らない人が83%にのぼり、まだ十分に知られていない現状や、従来の価値観によるイメージが課題だと整理しました。
そこで提案したのが、名付けて「Brillar select」というレンタルサービスです。
記念日や結婚式などで指輪やネックレスを1週間貸し出し、利用している様子をSNSに投稿するとクーポンが使える仕組みにして、人工石ジュエリーの認知向上と抵抗感の軽減を目指します。

発表後、小原氏から「以前、婚約指輪の購入者向けに結婚式でのレンタルサービスを行ったことがあります」と実例が紹介されました。
過去に類似の取り組みも行っており、その可能性と課題の両面について意見交換が行われました。

SNSで若い世代にアプローチ

続いての「こしあん」チームはSNSの活用を提案しました。
意識調査では、天然石を選ぶという従来の価値観が根強く、人工石を積極的に選びたいひとは少ないことを確認。
そこで、SNSで情報を得ている若い世代にアプローチし認知度アップを狙います。利用するSNSは「X」で。
バズっている投稿を検証し、画像や情報の発信方法などを具体的に提案しました。

「この仕事はInstagramから始めたので、いまでもInstagramに投稿が偏っているかもと感じました」と小原氏。
「他のSNSへの対応やインフルエンサーへのオファーなどにも力を入れるべきかもしれませんね」とコメントされました。

「自分らしさとは何か」を問いかける

次のチーム「長女」は、人工石を宝石ではなくファッションとして提案するプレゼンを行いました。
商業施設でミニランウェイを開催し、実物を見る機会を増やします。展示の場ではサステナブルな価値も訴求しやすいと説明しました。
さらに銀座などの駅で、デジタルサイネージ広告を展開。イメージ動画も自分たちで作成しました。
「自分らしさとは何か」を問いかけることで、新しい愛の表現としての選択肢を提示しました。

小原氏は「動画も作り込まれていて、完成度の高い発表でした」と感嘆されました。
「主体的に選んでいるつもりでも、社会的なイメージに影響されていることは多い。新しい自己表現としての切り口はとても良いですね」と語りました。

キャラクターとコラボして展開

最後は「プリキュア6」チームです。
意識調査から、ジュエリー選びの基準は「知っているブランド」であることが重視され、価格も大きな判断材料になると分かりました。
宝飾業界は定番ブランドの基盤が強く新規参入が難しい一方、手に取りやすい価格帯であれば選択肢に入ることにも着目。
そこで若者への認知拡大策として、ポップアップストアの実施を提案しました。カスタムチャーム作りやサンリオなど既存キャラクターとコラボすることで、ブランドをより身近に感じてもらう狙いです。

小原氏は「百貨店でポップアップを行ったことはありますが、若者向けではありませんでした」と振り返り、「キャラクターの力を借りるのも一つの有効な案ですね」とコメントしました。

意識調査からしっかりと

発表の締めくくりには、小原氏から総評がありました。
「意識調査など大変だったと思いますが、どの班もしっかり調べていて素晴らしかったです。ありがとうございます」と、学生たちの努力をねぎらいました。
さらに「気になってはいたもののやっていなかったところも指摘され、やはり力を入れるべきと気付かされました」と、学びの多い発表だったと振り返りました。

小原氏(株式会社Brillar代表取締役)からのメッセージ

今回の取り組みを通じて、モアサナイトという新しいジェムストーンに対する若い世代の率直な声に触れ、その可能性を改めて強く実感しました。既存の価値観にとらわれず、自分自身の基準で「美しさ」や「選ぶ意味」を判断する姿勢は、これからのジュエリーの未来そのものだと感じています。
ブリジャールは、創業9周年を迎える中で、日本におけるモアサナイト市場を切り拓いてきました。
まだ一般的ではなかった時代から、モアサナイトの持つ本質的な美しさと価値を信じ、発信し続けてきたからこそ、今こうして次世代の共感に繋がっていると考えています。
モアサナイトは、単なるダイヤモンドなどの代替素材ではなく、これからの時代にふさわしい新しい選択肢であり、新しいスタンダードです。
今回得られた若い世代のリアルな視点を大切にしながら、その魅力をさらに広げ、次の時代のジュエリー文化を形づくっていきたいと思います。

担当教員からのメッセージ

今回の社会連携プロジェクトでは、学生たちにとって実地調査や資料作成を通じて、立案に至るまでのプロセスを体験的に学ぶことのできる機会となったのではと思います。

あらためて学生にこのような貴重な機会をご提供いただいた小原様をはじめとするBrillarの皆様に厚く御礼申し上げます。