タグ: 日野市

2026年2月2日

企業の社会的責任とは?「社会責任論」の授業でJFEテクノスによる特別講義が行われました。 

12月18日の「社会責任論」(担当:生活科学部 現代生活学科 倉持一准教授)の授業で、JFEテクノス株式会社による特別講義が行われました。企業の社会的責任についてどのようなことをしているのか、実例を挙げながら語っていただきました。学生たちは企業のCSRやCSVの考えについて学びを深めるきっかけとなりました。

JFEテクノスはなんの会社?

登壇されたのは木村満氏と村田雄介氏です。
村田氏は「少し難しい言葉も出てきますが、リラックスして聞いてください」と語り、講義が始まりました。
最初に会社紹介を行ったのは木村氏です。
1990年にJFEの前身である日本鋼管株式会社へ入社。
「30年以上働いてきましたが、企業の社会的責任について深く考える機会は少なく、今回は私にとっても良い機会です」と話しました。
「JFEは鉄を主軸とした会社です」と木村氏。
日本鋼管と川崎製鉄が2002年に経営統合してJFEHDが発足し、現在は鉄鋼、エンジニアリング、商社の3事業を展開しています。そのうちJFEエンジニアリングのグループ会社の1社がJFEテクノスです。
「ルーツは造船業」と木村氏は説明し、船体製造の技術を応用して橋や線路、工場やプラントなど社会インフラを築いてきたと紹介しました。

JFEテクノスは主にそれらのメンテナンスを担っています。太陽光・風力発電設備、コンテナクレーン、高速道路の橋脚、焼却炉、立体駐車場など多岐にわたるものの保守を行います。
「脱炭素の観点からも、今あるものを長く使うことが重要です。劣化を防ぐためには定期的な点検や補修が欠かせません」と語りました。

インフラを守ることで社会貢献

JFEのパーパスは「くらしの礎(もと)を技術で創り担い、すべての人を笑顔にする」。
木村氏は「すべての人とは顧客だけでなく、社員も仕事を通して含まれます」と説明しました。
「そのためにも、すべてのステークホルダーから信頼を得ることが必要です」。
社会の一員として認めてもらう取り組みの一つとして、事業を通じたSDGsへの貢献を重視しています。

JFEテクノスの社会的責任は、インフラを守ること。これは社会の維持に大きく貢献しています。
「ただし、CSRは事業以外にもあります」と木村氏が挙げたのが地域社会との交流です。交流によって認知度が高まり雇用が生まれ、雇用の拡大は企業の成長とさらなる社会貢献につながります。
「社会貢献を通じて社会的価値が生まれ、自分たちも成長していく。企業・消費者・社会の好循環を生み出すことが価値の創造、つまりCSV経営の軸になるのです」と語りました。

技術開発を行うためにも成長は大事

続いて村田氏が登壇。
大学生の頃はアウトドアに関わる仕事を目指していましたが、怪我で断念。自分を見つめ直すため海外を巡る中で、どの国でも日本の製品やサービスが活躍していることに気付いたといいます。日本にいては分からなかった製品のすごさを実感し、自動車会社に入社。
その後、車以外でも多くの人の役に立ちたいと考え2013年にJFEへ転職しました。
「学生時代はこんな業界があるとは知りませんでした」と、車業界をきっかけにエンジニアリング業界と出会ったと話しました。

JFEグループのパーパスは「世界最高の技術で社会に貢献する」こと。
社員の約6割が技術者で、日本だけでなく世界で戦える技術力に誇りを持っています。
その技術力を強みに、カーボンニュートラル分野のトップランカーを目指しています。

環境問題の解決は会社の使命

「カーボンニュートラルの技術開発には、利益がなければ研究費を確保できません」と村田氏。
「だからこそ成長が必要です。企業の利益追求も、何のために利益を増やすのかという目的がなければ社会に認められません」と語ります。気候変動は世界的な課題であり、限られた資源を守りエネルギーを効率的に使うには高い技術力が不可欠です。

「これほど環境を重視するのは、私たちの事業が大量の二酸化炭素を排出するからです」と村田氏。
日本のCO₂排出量は世界5位で2.9%。一見少なく思えますが、6位以下は1%程度で「相対的に見ると多い」と指摘します。
排出量が最も多いのは発電や石油精製などのエネルギー変換分野で約4割、次いで鉄鋼や建設・製造などの産業分野です。
「JFEグループはどちらも深くかかわる分野です。鉄を扱う会社の使命として、二酸化炭素削減に取り組む必要があのんです」と強調しました。
さらに「インフラは一度整備すると数十年使われます。建設や設置時にもCO₂が出るため設計段階で省エネを考え、長く使い最後はリサイクルできるよう取り組んでいます」と説明しました。

CSRは地域とつながってこそ

最後にJFEグループのCSRの取り組み事例として紹介されたのが、ごみ問題への対応です。
公道の清掃活動やごみ拾い大会を定期的に実施。社内での分別は18種類と細かく分けられているといいます。
「本社近くの池では、近隣の小学生を招き、虫取りなど自然と触れ合う交流会も行っています」と紹介されました。

また、社員が働きやすい環境づくりにも注力しています。
「福利厚生は社員へのCSRです」と語り、家賃補助や取得しやすい年休制度、育休など、ライフイベントを支える制度を整えています。
企業の成長を目指すことで社会のサステナビリティに循環していくことがCSRだということを、学生たちも学んだ講義でした。

担当教員からのメッセージ

企業は単なる経済の担い手ではなく、私たちのよりよい未来をつくる大きな主人公の一人だという認識が当然視される中、企業経営において欠かせないのが「企業の社会的責任(CSR)」の考え方です。
この「社会責任論」の授業では、CSRを歴史的な理論変遷を主軸に考察しながら、その時代において何が論点とされ、かつ、どのような影響が企業活動に生じたのかを学びます。これまで、経営者個人の倫理観を重要視する議論もあれば、企業という営利追求組織だからこそ幅広い社会責任論は認めるべきではないという議論もあれば、いや、経済的価値と社会的価値の双方を創出することが重要だという議論も登場するなど、CSRに関する議論はまさに百花繚乱です。
これらの議論を体系的に学び、現代の企業経営のあるべき姿を自らの価値観と照らし合わせながら考えている学生にとって、今回のJFEテクノス株式会社の特別講義は、よりリアルなCSRを感じ取る良い機会になったと考えています。利益追求を旨とする企業という組織がいかに社会貢献に取り組み、自社と社会の2つのサステナビリティを実現していくのか。これは非常に難易度の高い経営課題ですが、それでも真摯にチャレンジし続けるJFEテクノスの各種施策を目の当たりにしたことで、学生たちの企業観も変化したのではないでしょうか。

2025年12月2日

コーヒー豆の麻袋がエプロンやポーチに!アップサイクルの商品作りについて、滝澤ゼミの学生にインタビューしました。

滝澤愛准教授のゼミでは、昨年に引き続きアップサイクル活動が行われています。多摩都市モノレール株式会社(以下多摩都市モノレール)や株式会社コバヤシ(以下コバヤシ)などのご協力のもと、廃棄予定の作業着やコーヒー豆の麻袋などの素材提供をいただき、かわいいエプロンやポーチに生まれ変わらせました。制作について学生たちにインタビューを行いました。

廃棄予定の素材を使ってアップサイクル

滝澤ゼミでは以前からアップサイクルの商品企画・販売に取り組んでいます。
素材提供には、瀧定名古屋株式会社、ひの市民リサイクルショップ回転市場 万願寺店のご協力に加え、名古屋市身体障害者施設の就労継続支援B型の利用者の方々が縫製を担当したエシカル商品を制作しています。昨年からは多摩都市モノレール(廃棄処分となる使用済みの制服の提供)、今年からは、プラスチック製品の開発から製造・販売を行うプラスチックの総合企業であるコバヤシ(コーヒーの麻袋の提供)も加わりました。

布だけではなく廃棄予定の制服・作業着、使用済みの麻袋などさまざまな素材を使い、学生たちが新しい商品に生まれ変わらせます。今回新たに販売するアップサイクル商品の種類は3つ。エプロン、ポーチ、バッグです。それぞれのチームに分かれ、アイデアやデザインを出し合い制作しました。
制作した商品は、日野キャンパスの常磐祭や多摩モノまつりでの実店舗販売と、コバヤシの楽天ECサイト「cococica」にて販売予定です。

株式会社コバヤシ 楽天ECサイト cococica 
https://www.rakuten.co.jp/cococica/

「全体をみて、みんなで協力」 ゼミ長へのインタビュー

―進路に実践女子大学を選んだ理由はなんですか? また滝澤ゼミに入ったきっかけは?

「高校生の頃から家庭科の教員になりたいと思い、教育学部を含めさまざまな大学を見ていました。その中で実践女子大学は、教育だけでなく家庭科の専門的な知識や技術までしっかり学べると知り、進学を決めました。
滝澤ゼミを選んだのも同じ理由で、制作を通して自分の技術を高められる環境に魅力を感じたからです。
来年からは家庭科の教員として働きます。大学での学びを生かし、生徒から信頼される先生を目指していきたいと思います」

―アップサイクル活動に取り組んでみた感想は?
「それまでアップサイクルというものを知らなかったのですが、活動に関わるにつれ、自分でもやってみようと思うようになりました。実際にあまった生地をもらって、自分でも家でナップザックを作ったりしたりしています」

―今年からコバヤシ様の協力も始まりました。去年と比べて変化を教えてください。
「一番大きな変化は、販売の場や機会が広がったことです。これまでは対面での直接販売が中心でしたが、今年からはコバヤシ様のECサイトでも取り扱っていただき、ネット通販という新しい選択肢が加わりました。顔の見えないお客さまに商品が届くことを意識し、これまで以上に仕上がりの丁寧さやクオリティに気を配るようになったと感じています」

―ゼミ長として大変だったことや楽しかったことを教えてください。
「制作を進める中で、自分には難しい作業も、チームの誰かが得意だったりします。私はエプロンチームですが、逆に自分が力になれる場面もあり、お互いに補い合いながら進められることに大きな楽しさを感じました。
ゼミ長として特に意識したのは、全体を見渡すことです。人数が多いため、作業によっては手が余ってしまったり、何をすればよいか迷う場面もあります。そんなときは一人ひとりの様子を見ながら声をかけ、自分も手を動かしつつ全体がスムーズに進むよう心がけました」

それぞれのチームにインタビュー! 協力して作り上げた作品たち

Q1.昨年との違いや印象は?
Q2.苦労した点、学びになった点を教えてください。

・バッグを制作したチーム
「昨年は作業着や布が中心でしたが、今年は麻袋など、まったく異なる素材の提供もありました。それぞれの素材を組み合わせて使うことで、デザインの幅が広がり、商品の選択肢もより豊かになったと感じています」
「縫製が難しく、商品になるクオリティにする難易度が高かったですが、自分が企画したデザインが実現して買ってもらえるのはとても嬉しいです。学生のうちにこのような経験をさせていただける機会は貴重で、アップサイクルの考え方も自然と身についたと感じています」

エプロンを制作したチーム
「昨年は一人一品作っていて大変だったのですが、今年はチームで取り組んで複数商品を作る形に。協力できるとその分の負担が減りますし、相談しながら決めていけたのは良かったです。エプロンの丈や、どうしたら売れるかなどたくさん考えることが出来ました」
「麻袋はサイズがとても大きく、どんな商品がつくれるのかワクワクしました。一方で、縫製には扱いづらい部分もあり、うまく形にできるか少し不安もありました。
それでも、完成したものはとても可愛く仕上がり、達成感がありました。ニットの切れ端など、ほかの素材と組み合わせて制作する工程も楽しく、素材の魅力を生かすことの面白さを実感しました」

ポーチを制作したチーム
「昨年より制作を早めに取り掛かることができ、慣れもあったので順調に進められたと思います。また昨年は物販が実店舗のみでしたが、今年はコバヤシ様のECサイトで販売もしてもらえるので心強いです」
「サンプルづくりが一番難しかったです。正方形の形にしたかったのですが、麻の厚みが影響して試作品はうまく成形できませんでした。そこで、生地の薄い部分を選んだり、裏地に工夫をしたりと、素材にこだわりながらイメージ通りの形に近づけていきました。
チームでは、デザインが得意な人、制作が得意な人など、それぞれの強みを生かして役割分担しながら制作を進めています。はじめは「アップサイクル」という言葉の意味も分からなかったのですが、取り組む中で強く興味がわき、SDGsにも意識を向けるようになりました」

また本アップサイクル商品は、「ソーシャルプロダクツ展」(2025年11月5日(水)〜11日(火)、6階会場)のPOPUPストアとして大丸東京店にて展示・販売されました。滝澤研究室による産学福祉連携から生まれたバッグや雑貨が多数並び、多くのお客さまに手に取っていただく貴重な機会となりました

担当教員からのメッセージ

学生には大学の中だけ、教科書だけの机上の学びだけではなく、社会の中の様々な企業や障害者施設の方々などとの関係、活動を通じて、得難い経験と成長をしてもらえたらと考えています。

2025年7月18日

金融リテラシーを高めてよい暮らしを実現しよう!「家庭経営学」の授業でJ-FLECによるお金についての特別講義が行われました。 

生活文化学科「家庭経営学」(担当:生活科学部生活文化学科 高橋桂子教授)の授業で6月9日に金融経済教育推進機構(J-FLEC)による特別講義が行われました。「社会人として知っておきたいお金の話」と題し金融リテラシーを高める大切さと、トラブルに巻き込まれないための心構えなどを詳しく教えていただきました。

お金の知識を身に付けるとどんな良いことがある?

登壇されたのは種村隆行氏。銀行に約30年勤め、保険代理店などを経て、現在は民間企業の社外監査を担っています。
種村氏はJ-FLECの認定アドバイザー。J-FLECは、幅広い年齢層に金融の知識を高めてもらうために政府、日銀、全国銀行協会などが出資し2024年に設立された認可法人です。
「日本はアメリカに比べ金融教育が遅れていると言われています。皆さんも今回を機会に金融リテラシーを高めていってほしいと思います」とお話しされたあと、

「そもそも金融リテラシーとはなんでしょう」という問いかけから講義は始まりました。
種村氏は「お金に関する知識と判断力のこと」といいます。日々の生活でのお金に関する悩みから、将来のこと、資産形成に至るまで幅広くお金に関わる知識のことで、
「リテラシーがあれば、家計の管理ができ、計画を立ててお金を準備できるので将来やりたいことができるようになる」と種村氏。
そのほか詐欺などのトラブルに遭うことも減り、突然の災害などに備えられる利点も。「つまり経済的に自立して、よい暮らしを実現できるのです」
そして「税制は毎年変わる。金融リテラシーは一度勉強して終わりではなく、常に勉強を続けることが大事」と話されました。

人生のプラン、考えてる?

また、種村氏は「生活設計」の大切さを伝えます。
生活設計とは将来どんな人生を送りたいかの構想を描くこと。
何歳まで働くか、実現したいことは何か、なにがほしいか……。「まだ学生ですべてを考えるのは難しいかもしれませんが、頭の片隅に置いておくといい」とのこと。
なぜかと言えば、ライフイベントにはお金がかかるからです。
例えば結婚する場合には、式や新婚旅行で約300~500万円ほどの支出があるようです。また郊外の一戸建ての場合、家を買おうとすれば2,000-5,000万円かかります。これは都内のマンションであれば1億円以上かかることもあるようです。
「自分の実現したいライフイベントにはいくらかかるのかイメージすること。これらを考えて生涯年収、支出のイメージをつかむことが大事です」と話されていました。

「収入と支出のバランスを考え、家計を管理することが大事」とのこと。
大学生の支出には、通信費、洋服代、家賃、食費、友達と遊ぶお金など支出はさまざまです。
「家計の見直しのポイントは、必ず使うお金と、ほしいものややりたいことに使うお金に分けること。優先順位をつけ支出を減らす工夫をしましょう」とアドバイスされました。

ローンを借りるときは慎重に

講義のメインテーマは「借りる」でした。まずローンについてのクイズです。
海外旅行のため30万円を金利18%で借りた場合、毎月5,000円ずつ返済すると返済額や期間はどれくらいかかるかというもので、毎月定額返済のリボルビング払いの問題になります。
答えは返済し終わるまでに13年かかり、2倍以上、約77万円になるそうです。「みなさんのイメージしていた額とは違うと思います」
「お金の貸し借りには利子や金利がかかる。借りたら返さなくてはいけない。車や家など大きな買い物のときは利用するのもいいですが、安易にローンは使わない方がいいと思います」と話されました。

学生のうちに気を付けておきたいものにはクレジットカードの支払い方法もあります。
一括払い、リボ払いや分割払いなどさまざまありますが、特にリボ払いは金利が高く返済総額が増えてしまいます。
「必ず支払い方法を確認すること。私も以前知らずにリボ払い設定になってしまっていたことがありました」と注意を促されていました。

お金のトラブルに巻き込まれないために

最後に、お金によるトラブルについて説明されました。
借金を返せずにさらに借りてしまう多重債務や、違法な金利で貸し付けをしてくるヤミ金融、マルチ商法や詐欺被害。
種村氏は、「ローリスクハイリターンのおいしい話はありません」ときっぱり。「今だけ、あなただけに」と向こうから近づかれても怪しいと思ったらはっきり断ること、テレビ、SNSなどで広告出ていても安易に信用しないことなどを繰り返し注意喚起されました。
「相手はプロです。プロの詐欺にかかったら銀行の人でも騙される。接触しないことが大事」ですが、万が一、トラブルに巻き込まれてしまったら必ず周りに相談するようにと勧めていました。親や友人のほか、消費者ホットライン(188)や警察といった具体的な方法を教えてくださいました。

講義のあとには、学生からの質疑応答の時間も取られました。
「世間的に投資を勧める流れになっていると思うが、若いうちは余裕がないのですがどうすればいいでしょう」という質問には、「余ったお金があれば、で良いと思う。お金に余裕がないうちはFPの資格を取るなど、お金の知識を付けるといい。将来の自分に絶対役に立ちます」と回答されていました。

なかなか学ぶことのない「お金の授業」を受け、学生たちのお金に対する意識も変わった貴重な講義でした。