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2025年10月22日

Z世代に刺さる商品の提案!生活環境学セミナーにて、金吾堂製菓とのコラボ授業が始まりました

10月9日(木)生活環境学セミナー(担当:環境デザイン学科 安齋 利典教授)にて、株式会社金吾堂製菓(以下金吾堂)から常務取締役 碓田憲司氏、商品企画室 小谷真理子氏、株式会社ロッケン(以下ロッケン)から小笠原真一氏をお招きし、コラボプロジェクトが行われました。

授業について

生活環境学セミナーは、環境デザイン学科の3年生を対象とした専門科目です。

意見交換や討論を通じて学生同士が学び合うゼミナール形式で実施されており、安齋先生のもと、計12名の学生がプロダクトデザイン(工業製品のデザイン)について日々学びを深めています。

連携企業の紹介~株式会社金吾堂製菓~

金吾堂について碓田氏から説明がありました。

金吾堂は、米を原材料とした菓子を製造・販売する米菓メーカーです。
50年以上にわたり愛され続けるロングセラー商品「厚焼」をはじめ、現代の食感トレンドに合わせた「ほろほろ焼」や「パリッと煎」、「おすきなひとくち」など、60品目を超えるせんべいを展開しています。

なかでも主力商品である「厚焼」は、「一日で焼き上げる厚焼を縦に積むと、富士山の約8倍の高さになる」といわれるほどの人気商品。「どこかで一度は見たことがあるはず」と話しながら、実物が紹介されました。

販売成績は好調に推移している一方で、主な購買層が50代以降に偏っているという“販売層の高齢化”が課題とされています。さらに、近年の原材料価格の高騰や米の調達難の影響を受けており、新たな購買層の開拓が必要であることが説明されました。

連携企業の紹介~株式会社ロッケン~

金吾堂のパッケージデザインを担当しているのが、ロッケンの小笠原氏。

他にも、様々なパッケージデザインやブランディング(総合的なデザインを通じて製品の価値を高める戦略設計)を手がけています。また音楽業界でインハウスデザイナー(企業専属のデザイナー)としての経歴を持つ小笠原氏は、デザイン事例としてミュージシャンのCDジャケットや映画のポスタービジュアルなども織り交ぜながら実績を紹介しました。

ブランディングの事例として、金吾堂の「おすきなひとくち」シリーズを取り上げ、「シリーズ化を戦略に入れたパッケージデザインの提案だった」と述べながら画像と実際の商品を提示。統一されたデザイン様式と、一目で味がわかるパッケージ構成について説明しました。

「中身は変えていないのに、一時的に販売休止になるほど売れた。デザインの力で購買意欲を変えることができた」と語り、パッケージデザインが持つ影響力の大きさを強調しました。

課題の発表

企業の説明が終わった後、碓田氏から、「Z世代をターゲットに、厚焼のセカンドラインとして若年層に響く商品の企画立案」という課題が発表されました。

具体的に検討すべき要素として「パッケージデザイン」「味のバリエーション」「せんべいの形」「ライフスタイルに合った商品展開」の4点が示され、それぞれに「面白くカジュアルに」「Z世代にうけそうな新たなフレーバー」などの方向性が明示されました。碓田氏は「参考として、Z世代が好む味を分析した資料を紹介します」と述べ、資料を共有。ユニークでバリエーション豊かな味付けが好まれる傾向にあることがわかりました。

さらに、小谷氏からは課題の参考として、Z世代の嗜好傾向の分析と、金吾堂が実際に行っているパッケージ戦略の紹介がありました。小谷氏は「①カラフルでモダン」「②SNS映え」「③キャラクター活用と環境配慮」の3点を挙げ、「カラフルで差別化された、思わずSNSに投稿したくなるパッケージ」や「環境配慮素材を用い、その点を明示して社会的責任にも訴求する」戦略を紹介しました。

学生はこれらの点を踏まえ、商品企画とパッケージのデザインを進めていきます。

意見交換

机を囲んで、金吾堂のせんべいを味わいながら意見交換が行われました。
学生が食べているせんべいのパッケージに関する質問では「音のなるパッケージが好みではなく、その時点で選択肢から外れる」「持ち運びにはチャック付きが便利でありがたい」「ながら食べをするので、せんべい自体が一口サイズなのはいい」と学生から素直な感想が寄せられました。

SNSのシェアに関する話題では、「パッケージをシェアすることはありますか」という質問に対し、「面白いものは共有します」との回答がありました。
さらに、「大人数とつながっているアカウントでは“映えたい”気持ちが強く、率直な感想は親しい友人だけでつながっているアカウントで投稿する。パッケージやお菓子の感想を載せるのは、ほとんどが後者です」と、リアルなSNS利用の実態にも言及しました。学生の中には、「『おすきなひとくち』の写真に『これ大好き』というコメントを添えて投稿していました」と語る、すでに金吾堂のせんべいをシェアしていた人もいました。お菓子の投稿について、学生は「友達の投稿は信頼度が高く、自分も食べてみようというきっかけになります」と話し、企業担当者の三名は興味深そうにうなずいていました。

その後も、環境意識やお菓子の食べ心地など、さまざまな話題で活発に意見交換が続きました。

学生は最終提案に向けて、準備を進めていきます。

担当教員からのメッセージ

金吾堂の常務取締役、碓田憲司様、商品企画室 小谷真理子様、ロッケンの小笠原真一様、
お忙しい中、遠いところお越しいただき誠にありがとうございます。
学生にとってのお煎餅はどのような位置づけかと思っておりましたが、ゼミ生間のSNSで金吾堂様のお煎餅が話題になっていたり、おばあちゃんの家あったであるとか、別の授業でこのコラボレーションを紹介したところ、
 「この金吾堂の厚焼煎餅は私が好きでよく食べているため、特に興味が湧いた。」
というような内容がレポート書かれたり、意外と身近な存在であることが分かりました。
つまり、学生にとっては馴染みがある、あるいは馴染みやすい存在なのかもしれません。
であれば、かなり面白いことになりそうだという気がしてまいりました。
意見交換でも、学生のスナック菓子の購買チャネルや食べ方が話題となり、その果てにはパッケージの袋の音まで話が及び、敏感かつ繊細な学生の感性に触れることもで来ました。
まさに、「Z世代に刺さる商品の提案!」に近づきつつある予感を持てたミーティングでした。

2025年10月17日

サンリオコラボグッズ開発プロジェクト参加学生にインタビューしました!

今回インタビューを行った企画は「サンリオコラボグッズ開発企画」です。
本プロジェクトは、学生からの要望が特に多かった人気キャラクターとのコラボレーションを実現したものです。
「何を売るのか」「どのキャラクターと組むのか」「大学の魅力をどう反映させるのか」、そのすべてを学生主体で企画・開発を行いました。


このプロジェクトは実践ウェルビーイングプロジェクト研究会(以下JWP=Jissen Wellbeing Project)の学生から参加者を募り、今年の5月から10月の期間に課外活動として活動しました。
JWPは企業と共にウェルビーイングに関する考えを深めていく課外プロジェクトです。
キャリア科目担当の深澤晶久教授が担当教員となり、毎年後期の期間中、有志の学生たちが企業訪問や講演、交流イベントを通じてウェルビーイングについて主体的に学んでいます。
JWP参加学生が企画・運営を行うイベントも毎年開催されています。
昨年の活動を取材した記事〈スポーツを通じたウェルビーイングとは?パリパラリンピックに出場した舟山選手との交流会を今年も開催しました!〉https://socialcooperation.jissen.ac.jp/topics/7820/

今回インタビューに答えていただいたのは、企画のリーダーとしてプロジェクトに携わった三名の学生です。

左から
 人間社会学部ビジネス社会学科 2年 石河凛迦さん
    人間社会学部人間社会学科 3年 田中こころさん
   人間社会学部人間社会学科 3年 永嶋紗菜さん

ーお集まりいただきありがとうございます!参加のきっかけを教えてください。

石河さん「もともとコラボをしたキャラクターが大好きで、昨年深澤先生の授業を受けたときにも『この企業さんとコラボしてください!』とお願いしていました。春休みに『コラボプロジェクトを行うからぜひ参加してほしい』と声をかけていただき、参加を決めました。」

田中さん「企画やグッズ制作に興味はあったのですが、その機会に恵まれていませんでした。そんなときにプロジェクトのお知らせを見て、『これこそ自分がやりたかったことだ!』と思いました。コラボする企業のキャラクターも大好きだったので、すぐに参加を申し込みました。」

永嶋さん「以前久慈市のボランティア※に参加したことがあり、学生のうちにさまざまな経験を積みたいと感じていました。今回の募集を見て、『社会人になってからはこうした企画に取り組む機会は少ないのでは』と思い、良い経験になると考えて参加しました。」

※実践女子大学は、岩手県久慈市と包括的な連携協力に関する協定を締結しており、連携プロジェクトを実施しています。
〈実践女子大学HP 岩手県久慈市との連携〉 https://www.jissen.ac.jp/society/area/kuji/index.html

ー企画の中で担当したところ、特に力を入れて取り組んだところを教えてください 

石河さん「メインで動いていたのは永嶋さんと田中さんだったので、ミーティングでは自分の意見をしっかり伝えるよう意識しました。企画の中で特に力を入れたのはキャラクターの決定です。(ファイルを見せながら)このキャラクターたちは今年、それぞれ40周年と20周年のアニバーサリーイヤーを迎えており、企業としても追い風が来ていると感じました。『どうしてもこのキャラクターのペアがいい!』と二人にプレゼンをして、最終的に採用していただけました」
田中さん「当初、私たちは先方から提案された別のキャラクターを採用するつもりでいたんです。でも、石河さんの熱いプレゼンを聞いて納得して、『じゃあそっちにしよう』となりました」
永嶋さん(うなずく)
石河さん「私は二人の後輩なので最初は気が引ける部分もあったのですが、意見を一つ一つ優しく受け止めてくださったので、自分の考えをきちんと伝えることができました」

田中さん「私はプロジェクト全体に関わっていたのですが、特に先生や職員の方へのホウレンソウ(報告・連絡・相談)を密に行ったことが一番頑張った部分だと思います。デザインを担当していたメンバーに進捗を確認して職員の方に報告したり、それをまたメンバーに共有したり。連絡のつなぎ役として、細かく進捗を報告するよう努めました」

永嶋さん「私は人前で積極的に意見を出したり引っ張っていくことが得意ではないのですが、その分、進めてくれていることが分からないときには質問したり、『いいな』と思ったことは『素敵だね』と声をかけたりしました。そうすることで会話や意見が活発に飛び交うよう意識していました」

ー活動の中で大変だったこと、それに対して工夫したことを教えてください。

石河さん「キャラクターをお二人にプレゼンするときは、ただ“使いたい”と伝えるだけでなく、自分がどんな考えを持っていて、どんな背景があってそのキャラクターを選んだのかをしっかり伝えるよう意識しました。自分の希望だけではなく、説得力を持たせられるよう工夫しました」

田中さん「このプロジェクトは5月から10月までと長期間にわたったのですが、一番悩んだのは夏休みでした。石河さんと永嶋さんは9月末に開催された学園祭の企画運営を行う団体を兼任していて、その準備で忙しく、どう連絡を取るか頭を悩ませました。対面で会う機会が少なかったので、モチベーションの維持やスケジュール調整がとても大変でした。」

永嶋さん「学園祭の運営委員では責任のある仕事を任されていて、そのうえでこちらの企画もあったので、やらなければならないことが重なり大変でした。その中で“自分にできることは何か”と考え、運営委員のみんなにこの企画の宣伝をしました。宣伝しないと買ってもらえないと思っていたので、知ってもらうきっかけになればと思って行動しました」

ー常磐祭の販売に携わってみていかがでしたか?

石河さん「実際に来てくれた方が『かわいい!』と褒めてくださったり、友人や家族が買いに来てくれたりしたときは、とてもうれしかったです。関わってくれたみんなと楽しみながら取り組むことができました」

田中さん「サークルの関係でがっつりと販売にはかかわれなかったのですが、合間の時間に販売状況を確認したり、困っていることがないか声をかけたりしました。来場者の方が実際にファイルを手にしている姿を見かけ、形になったものが誰かに届いていると実感できて、とてもうれしかったです」

永嶋さん「学園祭運営の仕事があり、販売にはまったくかかわれなかったので悔しい気持ちもあります。それでも、来場者の方が購入して手に持っている様子を見たり、『サンリオってどこで販売していますか?』という声を直接聞いたときに、“やっと形になったんだ”“みんな良いと思って買ってくれているんだ”と実感し、とてもうれしかったです。また、多くの人とのつながりを感じることができ、経験できてよかったと思います」

ープロジェクトに参加してよかったこと、成長したなと感じたところを教えてください。

石河さん「相手に何かを届ける、自分の意見を伝えるという点で成長できました。キャラクターを決めるときのプレゼンや、販売のときの声掛けなどを通して、自分が一生懸命に伝えようとすれば、きちんと耳を傾けてもらえるのだと実感しました」

田中さん「参加してよかったのは、やはりグッズ制作の企画に携われたことです。一番大きな成長は、プロジェクトの中心を担って全体を進めた経験だと思います。ここまでメインで引っ張る立場になったのは初めてで、先生や職員の方々と密に連絡を取ることも初めてでした。目標を立てて取り組むこと、物事の優先順位を考えること、そしてメンバー全員を巻き込みながらどうすれば良い雰囲気で進められるかを常に考えて行動できたことが、成長につながったと思います」

永嶋さん「企画に応募して、参加して、それが形になったこと自体がとても良い経験でした。また、試行錯誤してつくったものを、実際にお客さんの手に届けられたことも嬉しかったです。短期間のプロジェクトでしたが、これほど密にさまざまな人と関わり、活発に意見交換やアイデアをもらえたことは、大きな財産になりました」

ー今回のプロジェクトで得た経験で、今後に活かせそうなことはありますか?

石河さん「今回の経験は、学生生活の中で向上心が高まる大きなきっかけになりました。先輩方の取り組む姿勢が本当に素晴らしく、行動力はもちろん、安心感や信頼感もあって。『私もこういう女性になりたい!』と強く憧れました。学科ではプレゼンテーションやグループ活動の機会が多いので、先輩たちのようにみんなから信頼され、自分から積極的にグループを引っ張っていける存在になれるよう、これからも成長していきたいと思います」

田中さん「大学生活の中で、もっといろいろなことにチャレンジしていきたいと思いました。また、将来は商品企画の仕事に興味があるので、在学中に商品企画と販売の実績を積めたことはとても大きな経験でした。大学生活にとどまらず、この経験を今後のキャリアにつなげていけたらと考えています」

永嶋さん「今回の経験を通して、人の意見を聞くことの重要性、そして多くの人の協力があってこそできることがたくさんあるのだと実感しました。これからの大学生活はもちろん、いろんな人の意見をきちんと聞きながら、自分がまとめ役となれるような存在になりたいと感じています」

ー最後に、授業や他のプロジェクトとどうやって両立していたか教えてください。

石河さん「このプロジェクトのほかにも団体の運営を担当する立場が多く、いろんなミーティングが重なってあわてることもありました。その中で、“今はこれに集中するぞ”という時間と、ゆっくりする時間のメリハリをつけることで、なんとか乗り切ることができました。」

田中さん「並行してさまざまな活動を進めていたため忙しく感じることも多かったのですが、このプロジェクトを“任せてもらった”という実感が大きくありました。なにより自分が一番やりたかったことだったので、“何としてでも成功させるぞ”という気持ちが強いモチベーションになっていました。メリハリをつけるというよりは、隙間時間に連絡を取ったりデザインを確認したりと、常に何かしらを考えていました。限られた時間の中で、うまくやりくりしようという意識が強かったです。」

永嶋さん「学園祭準備の業務と重なる時期との両立は特に難しかったのですが、この二人が情報を共有してくれたり積極的に動いてくれたりしたことが大きくて。先に動いてくれたものにのっかる形で進めることができ、無事に両立して乗り切ることができました。」

ーありがとうございました!

コラボクリアファイルは学内の売店で現在も販売中です!

担当教員よりメッセージ

サンリオ推しの石河さんからの提案がきっかけとなった今回の企画、
その後、実現に向けて企画メンバーを募り、田中さんと永嶋さんが中心となり、
さらには、常磐祭での販売当日には、のべ25名の学生さんがサポートに加わって
くれました。今年のJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)のメンバーの
総力を結集したコラボ企画が実現しました。

当日は、多くの皆さんにお買い上げいただき、企画した学生も、購入いただいた
多くの皆さんも、共に喜んでいただいた素晴らしい取り組みになったと思います。

学生のやりたいこと、夢の実現をできる限りサポートする、それが実践女子大学です。
これからも、沢山の企画の実験に向けて、教員も職員も、サポートを続けていきたいと
考えています。