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2025年10月23日

生成AIを制作パートナーに!サイバーエージェントとのコラボ授業が始まりました。

2025年10月14日(火)演習Ⅱb (担当:人間社会学部人間社会学科 粟津 俊二教授)にて、株式会社サイバーエージェント(以下サイバーエージェント)から川越寛之氏による特別授業が行われました。

授業と企業連携について

「演習Ⅱb」は、人間社会学部の2年生を対象に開講されている専門必修科目です。学科での学びをさらに深めるための基礎知識を身につけることを目的としています。粟津教授が担当するIクラスでは、「生成AIを活用し、社会連携プログラムの紹介物を製作しよう!」という課題に取り組んでいます。授業では、Web広告事業でAIを用いたクリエイティブを行っている株式会社サイバーエージェントと連携し、生成AIの活用方法を実践的に学んでいます。

今回の授業では、Geminiを使用し、さまざまな生成機能やAIのカスタマイズについて実践的な演習を行いました。

授業の初めに

川越氏はまず、サイバーエージェントについて紹介しました。
同社は東京都渋谷区に本社を置き、インターネット広告・メディア・ゲームの3事業を主軸としています。川越氏はその中の「インターネット広告事業本部 AIクリエイティブ部門」の統括を担当しており、「生成AIの進化によって、数年前と比較し数倍の業務量をこなせるようになった」と述べました。

続いて「この授業で使用するAIは、Google社のGeminiとNoteBook LMです。コンテンツ制作の過程でどうしても作業量が増える、資料の読み込みや内容の抽出、構成の決定といった工程をAIに任せていきます」と説明し、「出力された結果のうち、どれを選び、どう活かすかは皆さん自身の判断と責任によるものです」と呼びかけました。

実践!Geminiに親しもう

川越氏は8月下旬にリリースされた画像生成機能「Gemini 2.5 Flash Image(Nano Banana)」を紹介しました。「この機能では、AI画像生成において革新的な“キャラクターや被写体の同一性を保持する技術”が実装されています」と説明。続けて「人物の写真を使って“○○風アート”を生成してみましょう」と呼びかけ、ワークが始まりました。

学生たちはそれぞれ自分の画像を使い、ステッカー風の加工など、簡単な指示を入力して画像を生成・変換する体験を行いました。川越氏は「同様の技術は、ファッションECサイトなどで“モデルの写真をAIで差し替え、服だけを変更して見せる”といったかたちで実用化が進んでいます」と述べ、現場での活用例を紹介しました。

続いて、OpenAI社が2024年12月に公開した動画生成AI「Sora2」についても触れました。「動画生成AIも急速に進化しており、短く簡単なプロンプト(指示文)を入力するだけで、質の高い動画を生成できるようになっています」と説明。また、Geminiにも動画生成機能は備わっていて、日々アップデートされて精度が高まっていると補足しました。

川越氏は、「サイトとの連動予約など、昨年AIにはできなかったことが今年は可能になっています。一年で技術が大きく進化している」と語り、AI技術の成長スピードの速さを強調しました。

生成AIのしくみ

川越氏はまず、AIの技術的背景について簡単に解説しました。

AIの研究分野の一覧を示しながら、「生成AIは、機械学習の一分野であるニューラルネットワーク(人間の脳の仕組みを模した情報処理のしくみ)と、その技術を応用したディープラーニング(コンピューターが大量のデータから自動的に特徴を学習する技術)を基盤としている」と説明しました。

さらに、「AIが考えて回答しているのではなく、AIが予測した候補の中から最も適切だと思われるものを選んで出力している」と、その仕組みを紹介しました。

ハルシネーションとその対策

続いて川越氏は、生成AIがあたかも事実のような誤情報を生成する現象(ハルシネーション)と、その防止策について紹介しました。

具体的な対策として、
① 信頼できる情報源をAIに読み込ませること、
② 回答に根拠や出典の提示を求めること
③ Geminiの「Deep Research」など外部検索を活用することの3点を挙げました。

これらにより、AIが回答を生成する際の情報源を明確にすることが、より適切な生成につながると説明しました。また、Deep Research機能については、「投げかけたテーマに関する情報を、根拠を示しながらレポート形式でまとめる機能」と補足しました。

プロンプトとメタプロンプト

さらに川越氏は、「良いプロンプト」の書き方についても解説し、「誰に向けて」「何文字以内で」「どのように説明するか」を明確に指定することで、期待に近い回答を得られると紹介しました。

続けて「これを毎回行うのは大変です。そのため、このプロンプト自体をAIに作ってもらおうと思います」と述べ、AIの動作指示を定義する“根本の設計文”ともいえるメタプロンプトを紹介しました。「これから皆さんには、このメタプロンプト(=プロンプトを書くためのプロンプト)を作成する準備を行ってもらいます」と述べました。

実践!Geminiをカスタマイズ

川越氏の指導のもと、学生たちはDeep Research機能を活用して出力された結果をもとに、Gem(特定の役割・話し方・回答形式などをあらかじめ設定できる機能)を設定し、メタプロンプトを生成するための環境を作成しました。

さらに川越氏は「AIの性格を考えて、自分の好きなように設定してみましょう」と呼びかけ、やり取りのスタイルを自由にカスタマイズするよう促しました。学生たちは考えた性格を設定に読み込ませ、自分専用のGemを作成。

この設定を行うことで、「抽象的な指示から的確なプロンプトを自動で生成できるため、自分でプロンプトを考える必要がなくなる」と説明しました。

また、AIの人格形成について川越氏は「特に指示や設定を行わなくても、やり取りを重ねる中で自然に形成されていく」と述べ、「これから何度もやり取りを行うため、チャットしやすい人格を設定することが大切」と話しました。

学生たちは、今回作成した自分専用のカスタマイズ設定を用い、今後の制作に取り組んでいきます。

担当教員からのメッセージ

生成AIを制作パートナーとするこの挑戦は、人間社会学部の学生にとって、社会で通用する実践力を養う貴重な機会になります。生成AIを使いこなして、社会連携の意義を伝える魅力的なコンテンツができることを期待しています。

2025年10月22日

Z世代に刺さる商品の提案!生活環境学セミナーにて、金吾堂製菓とのコラボ授業が始まりました

10月9日(木)生活環境学セミナー(担当:環境デザイン学科 安齋 利典教授)にて、株式会社金吾堂製菓(以下金吾堂)から常務取締役 碓田憲司氏、商品企画室 小谷真理子氏、株式会社ロッケン(以下ロッケン)から小笠原真一氏をお招きし、コラボプロジェクトが行われました。

授業について

生活環境学セミナーは、環境デザイン学科の3年生を対象とした専門科目です。

意見交換や討論を通じて学生同士が学び合うゼミナール形式で実施されており、安齋先生のもと、計12名の学生がプロダクトデザイン(工業製品のデザイン)について日々学びを深めています。

連携企業の紹介~株式会社金吾堂製菓~

金吾堂について碓田氏から説明がありました。

金吾堂は、米を原材料とした菓子を製造・販売する米菓メーカーです。
50年以上にわたり愛され続けるロングセラー商品「厚焼」をはじめ、現代の食感トレンドに合わせた「ほろほろ焼」や「パリッと煎」、「おすきなひとくち」など、60品目を超えるせんべいを展開しています。

なかでも主力商品である「厚焼」は、「一日で焼き上げる厚焼を縦に積むと、富士山の約8倍の高さになる」といわれるほどの人気商品。「どこかで一度は見たことがあるはず」と話しながら、実物が紹介されました。

販売成績は好調に推移している一方で、主な購買層が50代以降に偏っているという“販売層の高齢化”が課題とされています。さらに、近年の原材料価格の高騰や米の調達難の影響を受けており、新たな購買層の開拓が必要であることが説明されました。

連携企業の紹介~株式会社ロッケン~

金吾堂のパッケージデザインを担当しているのが、ロッケンの小笠原氏。

他にも、様々なパッケージデザインやブランディング(総合的なデザインを通じて製品の価値を高める戦略設計)を手がけています。また音楽業界でインハウスデザイナー(企業専属のデザイナー)としての経歴を持つ小笠原氏は、デザイン事例としてミュージシャンのCDジャケットや映画のポスタービジュアルなども織り交ぜながら実績を紹介しました。

ブランディングの事例として、金吾堂の「おすきなひとくち」シリーズを取り上げ、「シリーズ化を戦略に入れたパッケージデザインの提案だった」と述べながら画像と実際の商品を提示。統一されたデザイン様式と、一目で味がわかるパッケージ構成について説明しました。

「中身は変えていないのに、一時的に販売休止になるほど売れた。デザインの力で購買意欲を変えることができた」と語り、パッケージデザインが持つ影響力の大きさを強調しました。

課題の発表

企業の説明が終わった後、碓田氏から、「Z世代をターゲットに、厚焼のセカンドラインとして若年層に響く商品の企画立案」という課題が発表されました。

具体的に検討すべき要素として「パッケージデザイン」「味のバリエーション」「せんべいの形」「ライフスタイルに合った商品展開」の4点が示され、それぞれに「面白くカジュアルに」「Z世代にうけそうな新たなフレーバー」などの方向性が明示されました。碓田氏は「参考として、Z世代が好む味を分析した資料を紹介します」と述べ、資料を共有。ユニークでバリエーション豊かな味付けが好まれる傾向にあることがわかりました。

さらに、小谷氏からは課題の参考として、Z世代の嗜好傾向の分析と、金吾堂が実際に行っているパッケージ戦略の紹介がありました。小谷氏は「①カラフルでモダン」「②SNS映え」「③キャラクター活用と環境配慮」の3点を挙げ、「カラフルで差別化された、思わずSNSに投稿したくなるパッケージ」や「環境配慮素材を用い、その点を明示して社会的責任にも訴求する」戦略を紹介しました。

学生はこれらの点を踏まえ、商品企画とパッケージのデザインを進めていきます。

意見交換

机を囲んで、金吾堂のせんべいを味わいながら意見交換が行われました。
学生が食べているせんべいのパッケージに関する質問では「音のなるパッケージが好みではなく、その時点で選択肢から外れる」「持ち運びにはチャック付きが便利でありがたい」「ながら食べをするので、せんべい自体が一口サイズなのはいい」と学生から素直な感想が寄せられました。

SNSのシェアに関する話題では、「パッケージをシェアすることはありますか」という質問に対し、「面白いものは共有します」との回答がありました。
さらに、「大人数とつながっているアカウントでは“映えたい”気持ちが強く、率直な感想は親しい友人だけでつながっているアカウントで投稿する。パッケージやお菓子の感想を載せるのは、ほとんどが後者です」と、リアルなSNS利用の実態にも言及しました。学生の中には、「『おすきなひとくち』の写真に『これ大好き』というコメントを添えて投稿していました」と語る、すでに金吾堂のせんべいをシェアしていた人もいました。お菓子の投稿について、学生は「友達の投稿は信頼度が高く、自分も食べてみようというきっかけになります」と話し、企業担当者の三名は興味深そうにうなずいていました。

その後も、環境意識やお菓子の食べ心地など、さまざまな話題で活発に意見交換が続きました。

学生は最終提案に向けて、準備を進めていきます。

担当教員からのメッセージ

金吾堂の常務取締役、碓田憲司様、商品企画室 小谷真理子様、ロッケンの小笠原真一様、
お忙しい中、遠いところお越しいただき誠にありがとうございます。
学生にとってのお煎餅はどのような位置づけかと思っておりましたが、ゼミ生間のSNSで金吾堂様のお煎餅が話題になっていたり、おばあちゃんの家あったであるとか、別の授業でこのコラボレーションを紹介したところ、
 「この金吾堂の厚焼煎餅は私が好きでよく食べているため、特に興味が湧いた。」
というような内容がレポート書かれたり、意外と身近な存在であることが分かりました。
つまり、学生にとっては馴染みがある、あるいは馴染みやすい存在なのかもしれません。
であれば、かなり面白いことになりそうだという気がしてまいりました。
意見交換でも、学生のスナック菓子の購買チャネルや食べ方が話題となり、その果てにはパッケージの袋の音まで話が及び、敏感かつ繊細な学生の感性に触れることもで来ました。
まさに、「Z世代に刺さる商品の提案!」に近づきつつある予感を持てたミーティングでした。

2025年10月22日

学生が動画制作にトライ!英文学科プロジェクト科目bにて、映像制作会社ピクス(P.I.C.S.)とのコラボ授業が始まりました

2025年10月7日(火)にプロジェクト科目b(担当:文学部英文学科 鹿島千穂専任講師)にて、株式会社ピクス(P.I.C.S.)(以下、P.I.C.S.)プロデュースのもと、イリエナナコ氏をお招きし、動画制作の基本について講義が行われました。

授業について

この授業は文学部英文学科の専門科目として開講されており、メディア広報活動として、英文学科の公式インスタグラムに投稿する動画の制作を行います。
アカウントはこちら→https://www.instagram.com/jissen_eibun/

動画制作のテーマは「高校生に向けた、実践女子大学英文学科のPR動画」です。制作した動画は、実際に公式アカウントに投稿され、SNS広報として発信される予定です。
学生たちは今回の講義を通して、動画制作の流れや具体的な作業内容について、制作事例の紹介やミニワークを交えながら実践的に理解を深めました。

動画制作の基本

講師を務めたのは、クリエイティブディレクターのイリエナナコ氏。学生と同じ目線で机に座り、「カジュアルにいきたいですね」と笑顔で語りかけながら講義をスタートしました。イリエ氏は早速「最近好きだった動画は?」と学生たちに質問。「K-POPアイドルの動画」「配信の切り抜き動画」など、スマートフォンを見ながら答える学生たちに対し、イリエ氏は「今挙げてもらった動画には、ショート動画もあればロング動画もあります。動画にはさまざまな種類があるんです」とコメント。そこから、動画を構成する客観的な要素や魅力について、分かりやすく解説を始めました。

動画の種類を決定づける四つの基準「①制作がプロか個人か ②公開方法 ③コンテンツ内容 ④技術や形式」について解説し、各項目の詳細を説明したうえで、「今回制作する動画は、どの分類に当たるでしょうか」と学生に問いかけます。学生たちは「公式(プロ)による発信」「SNSでの公開」「広告・ブランディング」「ショートまたはロング動画」に該当することを確認しました。

その後のミニワークでは、「この分類に近い事例を探してみましょう」と呼びかけがあり、学生たちは検索に少し時間をかけながら、「アパレルブランドのInstagramリール」や「応援しているタレントが出演する飲食店のPR動画」などを例として挙げました。イリエ氏は「普段は自然に目にしているけれど、探そうと思うと意外に難しいものです。制作するものに近い“視覚的な参考例”を見つけておくことは、とても重要な工程です」と説明。「プロも夜な夜なこうした作業をしています」と付け加え、実際の制作現場でも欠かせないプロセスであることを強調しました。

実際の制作の流れ

授業では、PR動画「東京宝島」の事例をもとに、実際の動画制作の流れが紹介されました。
制作は〈①企画を考える ②プレゼン ③撮影 ④編集 ⑤確認・修正 ⑥公開〉の6つのプロセスで進行し、この講義では特に①~③の工程について詳しく解説が行われました。

①企画を考える

企画立案では「受け手にどんな行動を起こしてほしいか、どんな印象を与えたいかを考えながら、テーマ・メッセージ・構成を練ります」と説明。「どんな人に、どんな行動をしてもらうかを考えることも企画の一部です」と紹介しました。

②プレゼン

企画書や絵コンテを用いて、動画の流れや世界観をチーム全体で共有する工程です。セリフの内容やタイミング、使用するBGMやカメラの動きなど、資料から撮影現場が想像できるほど詳細かつ具体的につくりこみ、チーム内やクライアントと「共通の完成イメージを共有すること」を目的としています。

イリエ氏は「目的に沿った内容づくりの大切さ」を強調。学生たちは、提示された条件ごとにCM出演者を考えるミニワークを実施し、「誰に何を届けるか」によってキャスティングが変わることを体感しました。

さらに「大学に入って初めて知った言葉を思い出してみてください」と問いかけ、学生からは「空きコマ」「単位」「オンデマンド」など学生生活に関する言葉が挙げられました。イリエ氏は「みなさんが高校生の時と同じように、動画のターゲットとなる高校生はこれらの言葉を知らないということです。動画はターゲットに伝わる言葉や内容で構成しなければいけませんが、それには想像力が必要です」と語りました。

続くミニワークでは、「CMのナレーションを考える」「ロケ地を選ぶ」「衣装を決める」といった課題に取り組み、選んだ理由とともに発表。イリエ氏は「実際の制作でも同じように、“理由づけ”をしながら細部を決めていきます」と述べました。

ミニワークにとりくむ学生たち

③撮影

撮影において重要な要素として「構図」「カメラの動き」「光の当たり方」の3点を紹介。イリエ氏は「撮影を完璧に行うため、事前にロケハンを行い、絵コンテと照らし合わせながら試し撮りをします」と説明しました。さらに「カメラの動かし方やキャストの視線の方向まで、すべて事前に考えたうえで撮影に臨みます。その場の判断で調整することも多いです」と、リアルな現場の様子を伝えました。

チームと役割

講義の最後には、動画制作を支える多様な役割について、イリエ氏作の「診断テスト」を交えながら紹介。企画を担うプランナー、映像を編集するエディターなど、それぞれの専門職の特徴を説明しました。イリエ氏は「現場では常にいろんな人とグループワークしているような感覚です」と話し、「これから自分がどんな役割でチームに関わっていきたいかを考えてみてください」と学生に呼びかけ、講義を締めくくりました。

担当教員からのメッセージ

本授業は、学⽣が主体となって英⽂学科のメディア広報活動を行うプロジェクト科目です。実は、過去には英文学科のInstagram動画作成が正課外活動として実施されていた時期もありましたが、今年度より正式なキャリア教育科目としてスタートしました。

SNSでのコミュニケーションが日常となった今も、効果的かつリテラシーをもって発信する知識や技術を持ち合わせていないのが現状です。学生たちは映像制作の第一線で活躍するクリエイターから撮影・編集の⼿法を習得し、チームの仲間と協働して英文学科の公式Instagram動画を完成させます。

この授業回の翌週には、チームごとにプロデューサー、ディレクター、編集者、出演者、コピーライター等の役割分担が終わり、企画立案が始まりました。どのような案が出て、それをどのように映像化していくのか、楽しみです。