タグ: グローバル

2025年6月18日

仕事と子育ての両立、最前線!「国際理解とキャリア形成」の授業でSHISEIDOグローバルブランドユニットの岡野静佳氏の講演が行われました。

6月10日(火)に国際理解とキャリア形成(担当:文学部国文学科深澤晶久教授)にて、株式会社資生堂から岡野静佳氏を招き、キャリアについて講演が行われました。岡野氏は現在、二児の育児とフルタイム勤務を両立させており、女性としてのロールモデルの講演に、学生たちはメモを取りながら熱心に聞き入っていました。

講演は資生堂の紹介からスタート。『SHISEIDO』や『ANESSA』など数々のブランドを持つ資生堂。「30年40年先を見据えて商品や提供品の価値を考えている。新たな美のトレンドづくりに日々邁進している」「キャリアについて、会社のために尽くす場ではなく自分のwillを実現する場所である、といった価値観を共有している」と紹介。

つづけて岡野氏自身の紹介があり、中学校から大学まで女子校に通ったこと、「そこでは働くママについて勉強する機会がなかった」こと、そして過去の講演の感想や質疑応答の経験を踏まえ「一つの参考になればいいなと思います」とご自身の経験に基づいた内容であることを話しました。

商品開発のプロセス

次に商品開発について説明しました。岡野氏が携わった「SHISEIDOメーキャップ PICO2018」を取り上げ、具体的な手順の説明に移ります。まず、「商品開発には戦略が大事。つくりたいから、という理由で作ることはない」と話し、制作に至るまでの背景を説明しました。具体的にはSHISEIDOメーキャップの商品の大幅リニューアルを前に、「これまでのSHISEIDOメーキャップと新しく歩んでいくSHISEIDOメーキャップをつなげる商品をつくる」「これまでにない客層の獲得」というものでした。

続く調査により、若年層にSHISEIDOメーキャップの商品が浸透していないということ、商品選択の意思決定には、「使ってる自分をどう見られたいか」という自己のパーソナリティの投影があることがわかり、さらにそこからターゲット、客のニーズ、客の心理、商品が叶えるべきことなど、さらに細かく分析が進みます。そして分析結果から「手つむぎ」というコンセプトを設定し、掌の中で行われるというイメージを深堀。「SHISEIDOメーキャップ PICO2018」のイメージを「和菓子」で固めました。リップスティックの試作の様子も紹介され「何十回何百回と試してやっと一つの色味が決まる」と開発の苦労を話しました。完成した「SHISEIDOメーキャップ PICO2018」は、シーズンごとに発売する色味や商品が異なっていたため、季節や行事に合わせた商品名をつけたこと、プロモーション企画として老舗和菓子屋のとらやとコラボレーションを行い、期間限定の喫茶をオープンするなど、細部にこだわったシリーズとなりました。紹介された一連の流れが終了するまでに2年かかったといい、「これでも突貫工事なほうで、スキンケア製品は3〜5年かかる」と話しました。

岡野氏のライフストーリー

岡野氏自身のキャリアについて話が移ります。 ライフストーリーのグラフが映し出され、数々の転機を時系列に沿って話が進みました。グラフが下がる理由に「理想と現実のギャップ」があり、「自分の力がないことにダメージを受けた」と振り返ります。下がったタイミングは、入社後と部署異動後。とくに自ら志願してグローバルな部署に異動した際は「やりたかった仕事だけど成果が追い付かず、先輩たちから厳しい指導をいただいた。ずっとずっとやめようと思いながら4年ほど過ごした」と話します。続けて「自分の力がついて仕事に慣れてきたらとても楽しくなりバリバリ働いた」と下がったグラフがぐんと上がっていく様子を説明してくださいました。

次の転機は結婚といいます。「バリバリ働いている中、周りの友達が結婚や出産をする時期を迎えた。その時になって『あれ、私ってこのまま仕事一つでいいんだっけ』と考えるようになった。私の場合、どこかで子供がほしいと考えていたから、結婚しなきゃと焦り始めた」と話しました。そして「結婚が転機だったのは、それを理由に海外出張を断ったから」と言います。キャリアと結婚を天秤にかけて、選んだことが結婚だったそうです。「資生堂に骨を埋める気持ちもあったけど、やっぱりママになりたい」と決断。その後、プロジェクトがひと段落したタイミングで第一子を妊娠し、産休にはいりました。

そして2020年、ちょうどコロナ渦がはじまりかけたタイミングで出産。そこまで上昇していたグラフが下がっていく様子をさしながら、「パートナーの福岡転勤と初めての育児、引っ越しの孤独感が重なり気持ちが落ち込んだ」と話します。東京に戻りたいと思いつつも世の中の時勢的に戻れず、やっと帰ることができるとなったタイミングで第二子を授かり、そのまま続けて産休をとったそう。計4年の育児休暇を経て職場復帰を果たした時期が2024年。「今は復帰して一年たったところです」と笑顔でお話しされました。

働く女性のリアル

次に子育てと両立しながら仕事をこなす岡野さんのリアルな一日のタイムスケジュールの紹介がありました。仕事と育児・家事が交互に現れる過密スケジュールと、深夜帯に記載される「仕事」の文字に学生も驚きの顔を隠せません。「スーパーフレックス制度を活用しているため、このようなスケジュールになっています」と付け加えたのち「職場復帰から一年たってようやくコツがつかめてきました」と岡野氏は怒涛のスケジュールが映し出されたスライドを背に話しました。

岡野氏の考える「学チカ」

岡野さんが実際に就職活動で話した学チカが紹介されました。それは海外の空港で出会った全盲・難聴の男性とコミュニケーションをとったエピソードで、「だれかの人生の支えになること」「心を重んじる究極のおもてなし」という岡野さんの志を確立する決定的な経験だったといいます。

留学中、旅に出るため飛行機の出発を待つ空港の待合ロビー。その男性は空席が目立つ中、真隣に座ってきたといいます。警戒を強めていると突然何度も肩を触られ、恐怖や驚きで顔をあげてはじめて目が見えていないと気づいたそうです。「あっ、申し訳ないことをした」と対話の姿勢をつくると、男性は機械を使ってコミュニケーションをとってきたとのこと。質問に返答をしたもののリアクションがなく、そこで耳も聞こえていないことに気づいたと話します。「肩を触ってきた理由が『搭乗案内がわからないからだ』『不安にさせてしまった』とハッとしてから、男性を安心させたいという一心で手に文字を書く方法で会話を試みました。一文字一文字書くため会話の往復に時間がかかり、全然情報を交換できなかった。だから彼が何人なのかも、どういう名前なのかも知らない」と話します。優先搭乗の案内がかかり、グランドスタッフの介助の元搭乗ゲートに向かう男性を見送った岡野氏。「搭乗ゲートの本当に最後、飛行機に乗るよってところで、向いている方向が違ったんですけど、彼がすっごい笑顔でこうやってバイバイってしてくれた。方向は違うけど、きっと私に向けた笑顔とバイバイだったんだろうなって思って。その時私は、これまで20年生きた学生生活の中で、したことのない感動を体験した」と、ついこの間経験したかのような鮮やかさで当時の経験を語りました。

続けて「学チカと聞くと、力を入れたことを書かなくてはいけないと思ってしまう。でも、学生が力を入れてきたことって、ゼミとかバイトとか、申し訳ないけどほとんど同じで抜きんでたものがないと人事の人の目には留まらない。自分の中で何か印象に残っていること、自分の価値が何か変わった時、何かの転換期になった出来事、そういったことが十分にアピールできる。絶対オリジナリティをかけるはずなので、そういった題材を、もしつまずいたら、ちょっと振り返ってみてもいいかなと思う」とアドバイスをしました。

最後に「資生堂に属しながら商品を作ることで、私のやりたいことを日々実現できている。仕事をすることで、自分らしさを表現できている」と話し、学生にいつでも相談してほしいと声をかけて講演を結びました。

質疑応答

講演の後は岡野氏が学生からの質問にこたえる時間が設けられました。リアルタイムに更新されるツールを使い、画面に表示された学生からの質問に答えていきます。

質疑応答ツールの画面

「グローバルキャリアを歩みたいが、チャンスがめぐってこなかったときに転職するかしないか、どちらがいいと思いますか?」という学生からの質問に「まずグローバルキャリアを歩みたい理由を明確にしておく必要があると思います。英語を使いたいのか、視野を広げていきたいのか。その理由を明確にしておくことで、進む先が見えてくる。でも、進みたいところにいけたとしても、やりたいことができるかは別の問題。続けたい経験だとおもったらそこで頑張ればいいし、2年3年いて一つも魅力が見つからないというのであれば、新たな自分の転機ととらえて転職すればいいのではないでしょうか」と回答。

「資生堂に入社を決めた理由は?」という質問には「私が資生堂に決めた理由は、実は深澤さん」と担当教師である深澤教授の名前をあげます。深澤教授は前職が資生堂で、在籍当時は人事部で採用担当をされていました。「学生を本当に大事にしてくれた。特に印象的だったことは二次面接が終わってエレベーターにのって帰ろうとした時。深澤さんが、学生が乗ったエレベーターの前で、ずっとドアが閉まるまでお辞儀していたんです。その姿が学チカで話した空港のあの男性の姿に重なって。心を重んじる行動を、この人事の人がしてくれている。たった20年くらいしか生きていない学生に対してこれなら、社員になったらどんなに大切にしてくれるんだろうと思いました。実際入社してから、本当に社員一人一人を大切にしてくれる会社だと感じていて、入社前にそれに気づいた自分を褒めたいと思います」と続けました。

質問を入力する学生

「産休育休を経ての復帰は大変だと思いますが、実際どうでしたか?」という質問には「めちゃくちゃ大変です」とストレートに回答。「見せたタイムテーブル通りにいけば素晴らしいけど、あの通りに行くのは難しい。実際今日も、四歳のお姉ちゃんが熱を出してパパが家で見てるんです。予定通りにいかなかったりいろいろ大変ですが、資生堂にスーパーフレックス制度があってよかったなと思っています。自分のリズムで、働いた時間をちゃんと認めて給料を出してくれる。二児の母、フルタイムワーカーができているのは、その制度があるからだと思っています。皆さんが今後企業を選んでいくうえで、どんな働き方がしたいのか、どんな働き方ができるのか、制度がきちんと整っている企業なのかっていう点は、一つ大切なポイントだと思います」と話しました。

「家事は岡野さんがやっていますか?旦那さんと一緒にやっていますか?」という質問には「旦那なしではやっていけない」と回答。「今日も熱を出した子供を、旦那が在宅勤務に切り替えて見てくれている。『私は絶対実践にいかなきゃいけないから!』と。日々の生活も、家事代行サービスや最新調理家電をフルに活用しています」とご自身の生活を赤裸々に語りました。

「毎日辞めたいと思っていたのにやめなかった理由はありますか」という質問には「仕事ができる人にいつか絶対私もなってやろう、という思いがつなぎとめていたと思います。また、『この人になりたい!』という、ロールモデルになっている先輩がいて。その方も子供がいるママで、すごく素敵な商品を作るし、売れるし、性格もいい。その先輩の真似をするし、技があったら盗むし、盗んだうえで自分の色をつけようと思う。ロールモデルを見つけることはモチベーションになるし、自分と職場をつなぎとめてくれると思います」とこたえました。

授業時間のぎりぎりまで学生の質問にこたえてくださった岡野氏。学生にとっても、自分の将来像を考える貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

昨年、育児休業の期間を経て、久しぶりに私の授業に帰ってきて下さった岡野さん、今年はさらに輝きを増してご登壇いただきました。初めてお会いしたのは2006年、私が企業の採用を担当していた時でしたから、それからもう20年になろうとしています。
今や企業の中心的な存在して活躍されている姿を本当に嬉しく拝見しました。
仕事にも、育児にも、100%以上のスタンスで取り組む姿が、学生の心に強く響いたようです。
そして、究極のおもてなしのエピソードは、心に深く刻まれたことと思います。
岡野さんの益々のご活躍を心からお祈り申し上げます。本当にありがとうございました。

2025年5月8日

冬季オリンピックが変わる?「国際理解とキャリア形成」でオリンピックの持続可能性について考えるコラボ授業が行われました。

4月22日(火)に共通教育科目の「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)でスポーツニッポン新聞社とのコラボ授業が行われました。今回の授業では、スポーツニッポン新聞社から藤山健二氏と佐藤博之氏をゲストとして迎え、「オリンピックの持続可能性について」という課題が出されました。課題の説明では「冬季オリンピックと環境問題」について焦点をあて、オリンピックが置かれている現在の課題について説明が行われました。その後早速グループワークを行い、7月のプレゼンテーションに向けて議論がスタートしました。

「スポニチ」って?

授業のはじめに、今回の社会連携授業のパートナーであるスポーツニッポン新聞社について、佐藤氏から事業の概要についての説明がありました。スポーツニッポン新聞社は野球、サッカー、オリンピックなどのスポーツに加え、芸能や競馬なども報道する大衆紙です。読者層の約4分の1が女性で、30代から50代が中心となっています。新聞購読者の約3分の2が定期購読者で、残りはコンビニや駅での販売となっています。また、地域ごとに関心度合いや興味の対象が異なるため、各地域版で一面の内容が変わることを、野球の紙面を例に説明されました。さらに、スポニチアネックスというオンラインプラットフォームでは月間2億2000万ページビューを記録し、ヤフーニュースやLINEニュースにも配信されています。取り扱う内容や掲載記事のデザインの特徴など、誰もが見たことある記事について触れながら、説明を受けました。

未来のオリンピックと環境問題

続いて藤山氏から、課題の詳細とオリンピックの現状について説明されました。オリンピックの担当記者として世界を取材してきた経歴の自己紹介からスタート。続いて、2026年にイタリアで開催される「ミラノ・コルティナ冬季オリンピック」に触れながら、テーマにかかわる現状や課題について解説がありました。

雪が残るのは札幌だけ?!

藤山氏から提示された課題は「オリンピックの持続可能性について」。特に冬季オリンピックが直面している深刻な課題が詳細に説明されました。地球温暖化の影響により、15年後である2040年までに開催可能な都市が15都市から10都市に減少する予測があること、さらに、これまで冬季オリンピックが開催された歴代の都市のうち、今世紀末も安全な競技環境を提供できる地域は札幌のみであるという衝撃的な調査結果が紹介されました。

続いてこの問題に対する解決策として検討が行われているいくつかの例が紹介されました。具体的には、複数都市での共同開催、夏季・冬季競技の再編成などがありました。特に注目すべき点として、屋内競技を冬季に移行させることで、暑さ対策と施設の効率的な活用が可能になるという提案がありました。

オリンピックの今

続いて、持続可能な取り組みを実行する具体例として2026年のミラノ・コルティナオリンピックの紹介がありました。オリンピックが抱える諸問題に対し、先進的な取り組みとして注目されています。会場で使用する電力はすべて再生可能エネルギーでまかない、使い捨てプラスチックの使用を完全に禁止し、食品廃棄物の削減を徹底する計画です。とくに、選手村は大会後に学生用施設として再利用される予定で、これは環境配慮と社会貢献を両立させる新たな取り組みとして評価されています。さらに、この選手村では自動車の使用を制限し、自転車を中心とした環境に優しい交通システムを導入する計画も発表されています。

発想力に期待大

授業の最後には、コラボ授業のゲストとしてスピードスケートの岡崎朋美氏を迎えることが発表されました。岡崎氏は、1998年長野オリンピックで日本女子短距離で初のメダルを獲得し、その後5度にわたりオリンピックに出場、さらに結婚・出産を経験しながらも20年以上にわたって現役を続け、トップアスリートとして活躍した経歴を持っています。競技生活と家庭生活の両立について、貴重な経験談を聞く予定となっています。また、可能であれば長野オリンピックのメダルも持参していただく予定です。

最後に、既存の枠にとらわれない自由な発想を期待されていること、優秀なアイディアはIOCに紹介するかもとコメント。大学生の発想に期待が寄せられました。

担当教員よりメッセージ

恒例の「オリンピック・パラリンピック連携講座」は、今年もスポーツニッポン新聞社様にご協力いただいています。「東京2020大会」の開催が決まった直後から継続しているこの講座について振り返ると、オリンピック・パラリンピックを取り巻く環境が、様々な意味で変化していることを感じています。

今後、益々重要になる「持続可能性」が今年のテーマ、学生たちの柔軟でかつ奇抜なアイデアを期待したいと思います。

2025年1月7日

人生の目標を立てて努力する!「グローバル・キャリアデザイン」の授業でAGC株式会社との特別コラボが行われました。

3年生対象の大学共通教育科目「グローバル・キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業でAGC株式会社の高芝秀長氏による特別講義が行われました。老舗企業で海外経験が豊富な高芝氏は、人生の目標を設定する大切さを中心に、本当のグローバル人材とはなにかを分かりやすくお話しくださいました。

人生の目標を考えるために

最初に高芝氏は「私は会議のときに今日の目標を決めるんです」と話し出しました。
どんなことを決定したいか、何を達成したいかなど設定すると言います。
「みなさんも、この授業でなにを学びたいかなど、メモで結構ですから書き留めてみてください」と促しました。

高芝氏は「2-6-2の法則というのを知っていますか?」と問いかけます。
これはどんな組織でも優秀な人が2割、平均的な人が6割、貢献度の低い人が2割となるというもの。
しかし「私はこれに違和感を持っています」と高芝氏。
優秀かどうかではなく、動機があるかどうかではないかと語りました。上位2割の人は自分自身で目標を設定し自らアクションを取れる人たち。それ以外の人たちは目標が定まっていなかったり迷っていたりする人たちです。
「あせる必要はありません。自分の人生を少しずつ考えていきましょう」と講義を始められました。

ひとつの企業にずっと勤められる?

AGC株式会社は旭硝子株式会社の名前で1907年創業。
100年以上の歴史がある老舗企業です。日本で初めて建築用のガラスを開発・販売した会社として有名です。
当時はガラスを創る材料も、設備も海外のものに頼っていましたが、旭硝子は一から国産で作っていきました。
特にガラスは窯で1500℃という超高温で材料を溶かし作ります。その窯を創るには、1500℃に耐えうるレンガがなくてはなりません。ガラスを作るために、高温に耐えるレンガ作りをも自分たちで開発し、徐々に大きくなっていったのです。

ここで高芝氏は「創業100年を超えた企業は世界に何社あると思いますか」と学生たちに問い掛けました。
答えは約3万社。全世界と考えると少ないように思えます。
また30年間存続している企業の割合は、0.02%で、5000社に1社しかありません。日本企業の平均寿命は約23年と言われているそうです。
高芝氏は「そうすると、一生ずっと同じ会社に働けるかと考えると難しいかもということが分かります。だからこそ入社して終わりでなく、自分もやりたいことと共に変わって行くことが大切です」と変化に対応する力を付けることを伝えました。

頑張りを見てくれている人はいる

高芝氏は世界遺産・熊野古道がある三重県尾鷲市の出身。
野球に打ち込んでおり、地元の国立大学への進学を目指していましたが、高校の先生に都内の私立大学の推薦を進められたと言います。
最初は断っていた高芝氏でしたが、「親も賛成してくれ、高芝なら大丈夫だろうと先生も思ってくれたということ。見てくれるひとは必ずいるんだと感じた」と、進学を決めたと話しました。

1990年に旭硝子に入社し、車のガラスを作る部署で営業として活躍。
転機となったのは青年海外協力隊に応募したことだといいます。
そのときは採用されませんでしたが、「会社がこいつは海外に行かせた方が良いと思ったようで、イギリスへ赴任しました」と、入社5年目という早い段階での海外赴任につながったと語ります。
5年後に戻ってくるまでにグローバルな視点を得て、MBA取得を目指すように。

結果取得はかないませんでしたが、そのときに学んだことは今に生きているといいます。
「日本人はもっとできると確信しました」と高芝氏。
ハーバートのビジネススクールで教わることの半分は、信頼を得ることや人を思いやることなど、日本の学校や家庭で教わる基礎的なことだったと言います。「グローバルビジネスパーソンと言っても、基本は人として成長し、会社にどう貢献するかが大事。語学力ではなく、意志があることが必須の要素です」と話しました。

くさらず努力することで次につながる

2023年からは医薬品、農薬等を受託製造するファインケミカルズ事業本部の本部長に就任。
ガラス一筋だった高芝氏は「青天の霹靂の人事」と表現しましたが、「しかしマネジメントはずっとやりたかった仕事。夢は叶うし、次にどんな目標を設定するかが大切」と話しました。

目標を立てるためには、自分を良く知ることが必要だと言います。
将来の夢やどんなことを達成したいかなどを人に話すことで分かることも多いと語りました。
「学校の課題などやってなんの意味があるがあるのかと思っても、やらないといつまでもできないままです。無駄になる努力はありません。ひとつひとつ目の前のことに全力で取り組み習得すると、見える景色が変わります。その頑張りは誰かが見ていてくれます」と学生たちを励ましました。

人に話してやりたいことを見つけよう

授業の最後には質疑応答が行われました。
「やりたいことの見つけ方は?」という質問には、
「私も大学生のときにはグローバルな仕事がやりたいなどざっくりしか考えていなかったです。やりたいことややりたくないことを書き出し、周りの人に話すことで固まってくるのではないかと思います。取ってつけて話すのではなく悩みを素直に表現しましょう」とアドバイス。

「モチベーションの低い人をどう動かしていますか」という質問には、
「モチベーションが低い人でも、言われたことがしっかり出来たら褒めること。その上で本当は何をやりたいか、今後はどういうことに力を入れていきたいのか本人としっかり会話することを大事にしています」とコツを話されました。

自分の目標を定め努力することの大切さと、目標は変わっていっていいのだというメッセージは、学生たちが今後将来を考える上で指針となることでしょう。

担当教員よりメッセージ

高芝氏は、私の大学野球部の後輩です。現役時代も大活躍された名選手ですが、現在も、
後輩のために、様々な活動で尽力されています。とりわけキャリアデザインについての
指導をされており、後輩の人材育成にとても熱心なOBです。
今回、日本を代表するグローバルカンパニーであるAGCで活躍される高芝氏をお招きし、
変わりゆく企業の姿とともに、高芝氏ご自身のキャリアについてお話しをいただきました。
自分を知ることの大切さ、目の前のことに真剣に取り組むことで必ず新しい景色が見えてくること、
そして、「縁」の大切さなど、学生にとって大変に貴重なご講演をいただきました。
この場を借りて心から感謝申し上げます。

2024年7月9日

~グローバルな人材に必要なスキルやマインドはなんだろう?~グローバルマインド講座を実施しました。(4/24~5/29)

2024年4月24日から5月29日にかけて、全5回にわたり「グローバルマインド講座」を実施しました。本学初めての試みとして、世界中の留学プログラムを手掛けるLife Journey Educationと学生総合支援センターキャリアサポート部との共催でグローバルな活動に興味のある学生に向けて開催いたしました。

「グローバルな人材」ってどんな人だろう?

グローバル化が進む世の中で、世界を舞台活躍できる人材になりたいという想いはありつつも、留学やグローバルインターンシップへの参加に踏み切ったり、海外で働いたりという決断をすることはなかなか簡単なことではありません。

グローバル人材になろうというメッセージはよく見かけますが、本講座ではそもそもグローバル人材ってなんだろう?というところから入り、実際にグローバルに活躍する方々のお話を聞きながら、グローバル人材になるためにはなにが必要だろう?ということを一緒に考えていきました。全編オンラインでの実施となりましたが、少人数でインタラクティブなやりとりも多く、学生も自由に意見や感想を述べながら和気あいあいとした雰囲気で行われました。

魅力あふれるゲストスピーカーによるリアルな海外経験ストーリー

ファシリテーターを務めてくださったLife Journey EducationのAzusaさん自身、日本で育ち、教育業界で働いた後、カナダに留学し現在もカナダで働かれているグローバルな存在。初回ではカナダの働き方や価値観について興味深いお話をしてくださいました。

第2回~第4回はゲストスピーカーをお招きし、留学やグローバルインターンシップに挑戦した理由、海外経験談、帰国後のキャリアについてお話いただきました。みなさんそれぞれ、ユニークな経験をお持ちでリアルな海外経験談をお話してくださいました。また、最後には必ず、もし海外に行きたかったらぜひチャレンジしてほしい、まずは行動にうつしてみてほしいという熱いメッセージをいただきました。

第1回 イントロダクション 講師:Azusa Chhunさん

第2回 ゲストスピーカー:岡村 真依さん(カナダ・フィリピン他 / フリーランス)

第3回 ゲストスピーカー:稲山 由佳さん(カナダ / 元グランドスタッフ)

第4回 ゲストスピーカー:小山 翔太郎さん(アメリカ・カナダ・アフリカ他 / 教員)

第5回 総まとめ

大切なのはスキルよりもマインドセット

講座を通じて講師やゲストの皆様が共通して話していたのは、大切なのは英語力などのスキルではなく、行ってみたい・やってみたいという想い、そして人と交流しながら道を切り拓いていくコミュニケーション力や行動力。みなさん、その気持ちを大切に海外に行き、渡航後も様々なお仕事にチャレンジされてきました。

想いをもとに行動し続けるゲストの方のお話を聞き、たくさんの刺激を受けました。

最終回では総まとめとして、参加者それぞれ今後実現したいことや夢を共有し、人生プランシートの描き方を紹介しました。また、今後困難にぶつかったり、悩んで立ち止まったりしてしまった時に持っていると役立つ成長のマインドセットの秘訣についてもお話しました。

本学では、グローバル人材に向けて引き続き様々な講座やイベントを開催してまいります。

参加者の声

全5回に渡り、いろいろな人の話を聞くことで視野が広がり、聞いていてとても勉強になりました。また、凝り固まった考えがアップデートされて、新しい価値観を見つけられたことが、とても楽しかったです。

グローバルマインド講座を通して、自分とは異なる新しい考え方や価値観に触れ、視野が広がりました。自己肯定感も高まったと思います。この講座に参加するまでは、海外で働く、海外と繋がりのある仕事に就くということは選択肢になかったし、自分の中で現実的なことではないと勝手に決めつけていました。しかし、講座に参加して様々なお話を聞き、海外で働くことは決して不可能なことではないことに気づくと同時に海外で働くということに興味が湧いてきました。そして、自分のキャリアについて深く考える、自分自身と向き合う良いきっかけになりました。グローバルマインド講座で学んだことや考え方を今後の学生生活やキャリアに活かしていきたいです。 またこのような講座があったら参加したいです!!

グローバルマインド講座全体を通して、海外へ行くことへの不安が払拭されました。言語やライフスタイルの違いから、困難はあると考えますが、そこを乗り越えたからこそ得られるものがあると、みなさんが笑顔でお話をされていたので、困難も悪いことではないと学ぶことができました。学びのためにも様々な国に行き、得た経験や出会いを大切にしたいという気持ちが強くなりました。

共催

留学を通じてグローバル人材を育てる、多国籍国際教育コンサルタント

Life Journey Education https://lifejourney-edu.com/