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主婦の友社へ訪問し、出版の現場と社会で活きる企画力について学びました。
9月2日、〈国文学マーケティングプロジェクト(担当:国文学科 深澤 晶久教授)〉にて、株式会社主婦の友社(以下主婦の友社)の本社を訪問し、特別プロジェクトに学生が参加しました。 授業と企業連携について 〈国文学マーケティングプロジェクト〉は、文学部国文学科の2年生以上を対象に開講されている集中講座です。「コミュニケーションメディアの変化」をテーマに、国文学科の学びと企業活動を結びつけながら企業のミッションやリーダーシップについて考え、社会で求められる力を身につけることを目標としています。 今回の授業では、書籍や雑誌の出版を行っている主婦の友社と連携を行いました。学生は、出版業界の業務内容や、部署ごとの具体的な仕事の紹介を通じ、自分が社会で働くビジョンを具体的に考える貴重な機会となりました。また、主婦の友社から提示された課題にもグループで挑戦。紙面や特集記事の企画を提案し、現役社員の方々からフィードバックをいただきました。 主婦の友社について 主婦の友社は創業以来100年以上の歴史を持つ出版社です。発信しているコンテンツについて、宇都宮氏は「ファッションや美容、住まい・インテリア、妊娠・出産・育児、料理、健康、さらにはシニア向けの生活情報(認知症、生活習慣病、更年期など)に至るまで、人のライフステージのあらゆる場面に関わる内容を扱っている」と説明しました。 発信の形態についても、雑誌や書籍にとどまらず、漫画や映像、イベントなど多様な手法を用いていることが紹介されました。 また、主婦の友社は、東京や大阪で読者参加型のウェルネスイベント「ご自愛市(ごじあいいち)」を毎年開催しています。今年3月に開催された「ご自愛市」では、本学の学生も登壇し、プレゼンテーションを行いました。今回、学生は昨年秋に開催された「ご自愛市」のトークセッション動画を視聴しました。動画を通じて、主婦の友社が発信している情報やコンテンツの内容、イベントの雰囲気について理解を深めました。 一人では成り立たない編集の仕事 雑誌『健康』編集部の松本氏、橋詰氏からは、編集の仕事について説明がありました。紙面の作成には、企画テーマの決定、取材、紙面の作成、原稿執筆、校閲など、各段階で関係者と連携しながら紙面を作成していることを紹介しました。取材に関する工程や対象者の選定、取材依頼、実際の取材対応など、それぞれの段階で多くの人が関わっていると説明しました。 続いて、『健康』が創刊50周年を迎えたことに触れながら紙面の具体例として、2026年10月号(2026年9月2日発行)に掲載されている防災企画について紹介しました。松本氏は「過去にも同テーマの特集を掲載したことがある」と話し、当時の記事が読者アンケートで高い支持を集めたことを紹介。高い反響から、改めて掲載されることになったことを紹介し、読者の反応が記事に影響を与えていることも話しました。 また、雑誌『ゆうゆう』編集部の秋谷氏は、編集の仕事について「一人では成り立たない仕事」と話し、「一冊の本が、著者にとって名刺代わりとなることもある。だからこそ、携わる仕事に責任をもち、誠実に向き合うことが大切」と学生に伝えました。 人事部の原氏からは、具体的な人事部の業務体制と勤務制度について説明がありました。初めに部署の業務が大きく「労務管理」と「採用業務」の2つに分かれることが紹介され、原氏は「労務管理では給与の計算や入退社の手続きなどを担当し、採用業務では書類選考から面接の調整までを一貫して担当している」と説明しました。 また、主婦の友社では『フレックスタイム制度(指定されたコアタイム以外は自分で勤務時間を調整できる勤務制度)』が導入されていると説明し、「勤務時間を柔軟に組み立てられる仕組みが取り入れられています」と話しました。 学生たちは出版に関心のある人が多く、メモを取りながら熱心に話を聞いていました。また、学生たちにとって仕事の内容が想像しやすい部署を取り上げた具体的な仕事内容の説明は、学生自身が働くビジョンをより明確に想像する機会となりました。 プロジェクト後半!課題にチャレンジ 学生はプロジェクトの後半に、①身近な健康課題を解決する誌面企画 ②同世代に向けたプレコンセプションケア(将来のライフイベントを見据えて、自分の生活や健康と向き合うこと)特集の企画という二つの課題に取り組みました。 課題には3つのチームに分かれて挑戦。学生たちは、松本氏から意見を聞きながら、自分たちに身近な悩みから企画を考案しました。 A班:課題①身近な健康課題を解決する誌面企画 〈自分、今日休みます〉をタイトルにSNSで起こる対人関係のストレスに注目した特集を発表しました。SNSの普及などにより連絡が常時つながるがゆえの負担感やストレスを指摘し、学生、社会人の部下、社会人の上司の3つに分けて悩みを整理する内容としました。最後に専門家の見解も交えながら「正解はない」というメッセージで締めくくることとしました。 A班:課題②同世代に向けたプレコンセプションケア特集の企画 〈この時代を生き抜く〉をタイトルに、ダイエットをテーマに特集を企画しました。課題点として「極端なダイエットに対する危機感が薄れていること」を紹介し、具体的な例を含めながらその危険性について注意喚起する内容としました。また、管理栄養士監修のもと、コンビニなどで実践しやすい食事の工夫を紹介し、4コマ漫画を用いて分かりやすく伝える誌面構成とすることも説明しました。 B班:課題① 〈間食総選挙 いつものおやつをゆるアップデート コンビニおやつ大攻略〉をタイトルに、間食をテーマにした特集を発表しました。学生は「間食を禁止・制限するのではなく、手軽に気楽に健康的なものへチェンジしていくという『ゆる健康』『コンビニおやつ攻略』の提案を行います」と話し、読者が「このおやつは意外とヘルシーである」と知り、次にコンビニを訪れた際の具体的な購買行動に繋がる記事を目指すと説明しました。 B班:課題② 〈プレコンって何? 今と未来を楽しむヒント〉というタイトルで企画を発表しました。紙面を三つのセクションに分けて構成し、プレコンセプションケアという言葉の説明、身近なテーマと絡めた具体的なエピソードや今日から実践できる行動リストの紹介を行った後、手軽に取り入れることができる手段を具体的に紹介し、読者が行動に起こしやすいように支援するとしました。 C班:課題① 〈肌かちゅ、して?〉をタイトルに、肌荒れをテーマにした記事を発表しました。学生は、肌荒れの背景にホルモンバランスの乱れや生活習慣の乱れがあることに触れ、メイクのスペシャリストの見解を交えて具体的に伝える構成を検討していると説明しました。 C班:課題② 〈輝く未来の自分 プレコンセプションケア〉をタイトルに、プレコンセプションケアの重要性をテーマに記事を発表しました。学生は、「聞き慣れない言葉への心理的なハードルを下げることを狙い、言葉の説明を冒頭に掲載する」とし、パートナーの有無別に使い分けられるチェックシートや専門家のインタビューや体験談で語られるケアの重要性など、読者が自分事としてとらえることができる企画を盛り込みました。 プロジェクトの終わりに 宇都宮氏から総括のコメントをいただきました。宇都宮氏は「就職した後にどのような会社や部署に配属されたとしても、雑誌や本以外でもコンテンツを作る機会は実務において多く存在しています。今回の授業で皆さんに体験していただいた、企画を組み立てる際の一連の流れや仕組みは、将来出版業界以外に進んだとしても十分に生かせる考え方だと思います」と、学生に伝えました。 学生にとって今回のプロジェクトは、具体的な業務内容の紹介を通じて自分のキャリアビジョンを創造するきっかけとなっただけでなく、課題として提示された企画立案のプロセスを通じて、社会に出た後も活きるスキルを身に着ける貴重な機会となりました。 担当教員のコメント 本年度(2026年度)、新たに開講した「国文学マーケティングプロジェクト」において、昨年のウェルビーイングプロジェクトでも大変お世話になった主婦の友社様にご協力をいただきました。国文学科の学生にとっては、興味関心の高いフィールドである出版業界において、編集という業務や人事に携わる社員の方からの貴重なお話しに続き、実際の企画業務について、事前にいただいた課題に基づき業務体験をさせていただきました。出版業界を取り巻く環境も激変しており、社員の皆さんが日夜努力されているお姿を間近で拝見させていただいたことは、今後の学びに向けて大きな財産になったと思います。この場を借りて主婦の友社様には、心から感謝申し上げます。
ウェブメディアの記事を企画!第一三共ヘルスケアとコラボした授業〈キャリア実践演習〉で学生企画の発表が行われました。
7月3日、〈キャリア実践演習(担当:国文学科 深澤 晶久教授)〉にて、第一三共ヘルスケア株式会社(以下、第一三共ヘルスケア)とのコラボ授業の最終発表が行われました。発表のお題は『第一三共ヘルスケアのオウンドメディアである〈健康美塾〉に掲載する記事の企画』です。 授業と社会連携について キャリア実践演習は、文学部3年生以上の学年を対象とした共通教育科目です。ゲストとして登壇する企業について主体的な事前調査を行い、企業のプログラムに挑戦します。 第一三共ヘルスケアとのコラボ授業は4回開催にわたり実施されました。学生たちはこれまで、第一三共ヘルスケアのオウンドメディア〈健康美塾〉がどのような想いで情報を発信しているのかをはじめ、企業広報やメディア運営、記事制作の考え方や手法について学んできました。 今回の授業はその集大成として、学生が考案した企画のプレゼンテーションが行われました。 〈夏バテ診断 あなたのその倦怠感、夏バテかも?〉 1班は、〈夏バテ診断~あなたのその倦怠感、夏バテかも?〜〉をタイトルに、セルフチェックを盛り込んだ記事を提案しました。授業、アルバイト、趣味とやりたいことが多く忙しい大学生をターゲットに設定し、「病院に行くほどではないが、なんとなく体がだるい」と感じる人に向けて、夏バテの可能性に気づくきっかけとなるよう記事を構成。その具体的な内容として、10項目のチェックシートやQ&A形式の解説を盛り込み、症状の程度に応じた対処法や予防法を紹介しました。 フィードバックでは「読者の興味を引く構成としてセルフチェックシートが効果的だと感じた。また、『5分で読める』という目安の提示が、記事構成のトレンドを押さえている」と評価されました。さらに、よりよくするためのポイントとして「受診を勧める具体的な目安を示すことで、より安心して利用できる記事になる」とコメントが寄せられました。 〈ストレスサバイバーに聞く!緊張に打ち勝つ方法〉 2班は、〈ストレスサバイバーに聞く!緊張に打ち勝つ方法〉をタイトルに、緊張と向き合うためのヒントを紹介する記事を提案しました。ターゲットに大学生活や就職活動で人前に立つ機会の多い学生を想定し、「緊張を『なくすもの』ではなく『味方にするもの』と捉える新たな視点」を提示。人前で活動することを職とする舞台関係者やスポーツ選手へのインタビューを通して、失敗談も含めた等身大の体験談を紹介する構成としました。インタビューの対象に営業や教師や保育士、看護師など、人前に立つことが日常の職業を加えるほか、今日から実践できるルーティンも盛り込むと紹介。公開時期は環境の変化を迎える人が多い3月を想定しました。 フィードバックでは「緊張を前向きに捉える着眼点がいい。就活生だけでなく、ピアノの発表会を控えた子供やその親など、幅広い層に共感される普遍的なテーマである」と評価。よりよくするためのポイントとして「『この人だからできたんでしょ』と読者に感じさせないため、さらに科学的な根拠を加えるとより説得力のある記事になる」とのアドバイスが寄せられました。 〈20代前半、一人暮らし、ズボラ女子のための、今日からできる美白ごはん〉 3班は、〈20代前半、一人暮らし、ズボラ女子のための、今日からできる美白ごはん〉をタイトルに、美容と食生活を結び付けた記事を提案しました。自炊は苦手でも美容への関心が高い一人暮らしの若年層をターゲットに設定し、「肌に良い食事をしたいが、何から始めればよいか分からない」という悩みに寄り添う内容を考案しました。肌に良い食材の紹介や専門家による栄養素の解説に加え、ライフスタイルに合わせた実践ができるように、コンビニ派と自炊派それぞれに向けた具体的な提案を盛り込んでいます。公開時期は「新生活に慣れ、自分の生活を振り返る余裕が出てくる時期」として5月を想定しました。 フィードバックでは「公開時期の工夫がターゲットの生活とあっていていい。また、“自炊派”と“コンビニ派”に分けて具体的な内容を提示する点も実用性が高い」と評価。よりよくするためのポイントとして「何をもって良いとするのか、栄養と肌の関係性をより具体的に示すことでさらに説得力が高まる」との助言がありました。 〈推しに会う前に、メイク崩れてない?実は100円で解決できます!〉 4班は、〈推しに会う前に、メイク崩れてない?実は100円で解決できます!〉をタイトルに、推し活を楽しむ大学生に向けた記事を提案しました。イベントやライブなどの特別な日に“可愛い自分でいたい”が、多くのお金をかけられないという悩みに着目し、100円ショップの商品を活用したメイク崩れ対策を紹介する内容です。 「推し活女子」に共通する「時間をかけてメイクしたけど会場についたときには崩れている」という経験を提示し、「今持っているコスメでも工程や方法を工夫すれば解決できる」という点をメッセージの核に、テクニックだけでなく、工夫で自信を持てる体験を届けることを目的としました。現役アイドル・ヘアメイクアップアーティストへのインタビューやプロに教わる具体的なツールの使い方などを伝え、すぐに実践してみたいと読者の行動を促す構成としました。 フィードバックでは「タイトルのキャッチーさと、自分のビジュアルをよりよくすることで気持ちも上げていく、というアプローチが素敵だと感じた」と評価。よりよくするためのポイントとして「ターゲットを“推し活”に限定せず、大事な予定がある人全般に広げることができそうです」との助言がありました。 授業の最後に 総括として、今回のコラボ授業の企画を担当した広告代理店の高橋氏と、進行を担当した溝口氏からコメントをいただきました。 高橋氏は広告代理店の仕事について「さまざまな企業や関係者の間に立ち、企画を取りまとめながらプロジェクトを推進していく役割」と説明。 業務の中では、企画の意図や進め方を関係者に伝えるため、プレゼンテーションを行う場面が数多くあることを説明し、学生たちへ「緊張していても聞き手の目を見て話すこと。反応を見ることで、こちらの話し方や説明を変化させることができ、より相手の理解度を高めるプレゼンテーションが可能になります」と実践的なアドバイスを送りました。 溝口氏はコラボ授業を振り返り「『実践的な企画力』と『構想力』の習得を目指し、皆さんにはグループワークに挑戦していただきました」と話し、さらに「意見をまとめることの難しさなど、グループワークの大変さを経験した半面、仲間と議論を深めることで、アイデアが膨らみ企画が出来上がっていく楽しさも実感したのではないかなと思っています」と学生に語りかけました。 続けて、「社会に出ると、正解のない課題に向き合いながら、自ら考え、周囲と協力して形にしていく力が求められます。今回の授業で培った企画力や発想力、相手の意見を受け止めながら議論を進める力は、これからの学生生活はもちろん、社会人になってからも必ず役立つはずです」とエールを送りました。 担当教員のコメント 本年度(2026年度)からスタートした「キャリア実践演習」においては第一三共ヘルスケア様にご支援をいただきましたが、仕上げとして『第一三共ヘルスケア様のオウンドメディアである 〈健康美塾〉に掲載する記事の企画』についての最終発表が行われました。第一三共ヘルスケア様の社員の方に加え、このメディアを支える多くの関係者にお越しいただき、本当に丁寧にご支援をいだたきましたこと、学生にとっては本当にありがたく学びの多い時間となりました。最後に、第一三共ヘルスケアの溝口様が語りかけて下さったお言葉「社会に出ると、正解のない課題に向き合いながら、自ら考え、周囲と協力して形にしていく力が求められます。今回の授業で培った企画力や発想力、相手の意見を受け止めながら議論を進める力は、これからの学生生活はもちろん、社会人になってからも必ず役立つはずです」は、まさにキャリア教育で学生に伝え、学んで欲しいこと、そのものであると思います。第一三共ヘルスケア様はじめ、授業にお越しいただいた多くの関係者の皆さまに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
受け継がれる物語と印刷技術の関わりを学ぶ!〈国文学マーケティングプロジェクト〉にて印刷博物館を訪問し、特別講義が開催されました。
9月15日、〈国文学マーケティングプロジェクト(担当:国文学科 深澤 晶久教授)〉にて、印刷博物館を訪問し特別講義が実施されました。学生たちは館内見学や講義を通じて印刷というメディアの変遷と役割について理解を深め、印刷技術が情報の伝播にどのように関係があったか、そして文学と印刷の関連性について学習しました。 授業と社会連携について 〈国文学マーケティングプロジェクト〉は、文学部国文学科の2年生以上を対象に開講されている集中講座です。「コミュニケーションメディアの変化」をテーマに、国文学科の学びと企業活動を結びつけながら企業のミッションやリーダーシップについて考え、社会で求められる力を身につけることを目標としています。 今回の授業では、印刷に関する資料の収集・展示と活版印刷の保存・体験活動を行っている印刷博物館と連携を行いました。学生たちは印刷の歴史と紙面というメディアを通した情報コミュニケーションの変化について、展示の見学と源氏物語について取り上げた講義を通じて理解を深めました。学生たちは活版印刷の体験も行い、自分の手で印刷を行うことで印刷の技術や歴史をより自分事としてとらえるきっかけとなりました。 印刷博物館について 館内の見学と講義では、印刷博物館学芸員の式洋子氏にご案内・ご説明いただきました。 式氏ははじめに、印刷博物館について説明しました。運営はTOPPANホールディングスが行っており、博物館の役割として「展示や活版印刷(一文字ずつの活字を組み合わせて言葉や文章にしたあと、プレス機で圧力をかけて印刷する方法)の保存・体験を通じ、印刷の意味をあらためて考え、印刷の新たな可能性を提案しています」と話しました。また、「印刷にまつわるあらゆるものを所蔵しています」と続け、収蔵品のほか印刷関連図書も収集していると説明しました。 館内見学 学生は式氏の案内のもと、展示からビジュアルコミュニケーション(目で見てわかる情報を通した意思疎通)の歴史と変遷を学びました。世界の歴史、日本の歴史に沿って、印刷が担った役割の移り変わりと印刷技術の発展を学習しました。 学生は、はじめに世界の歴史を、旧石器時代の壁画や古代文明にはじまる資料のレプリカを見ながら学習しました。式氏は、どのような素材にどのような文字が記されているかを、時代背景や使用用途とあわせて説明しました。また、具体的な印刷方法や特徴を、実際に印刷された作品やそのレプリカを見ながら解説しました。 続く日本の印刷の歴史の展示室では、各時代の印刷技術がどのような担い手によって形作られ、どのように生まれたのかを学習しました。特に、活版印刷技術が諸外国との関係によってもたらされ、日本に適した形で普及したことなど、印刷の歴史と仕組みを学びました。式氏は「並んでいる印刷機たちは一見前後で変化がないように見えるかもしれませんが、地道な開発の積み重ねによって現在の印刷技術が作られています」と説明しました。 学生は展示物をじっくり鑑賞しながら、式氏の解説をメモしていました。館内は写真撮影が可能だったため、印象的な展示物を撮影しながら進む学生もいました。展示を通じて、印刷技術のあゆみとともに、印刷物の内容や伝える価値の変遷を学びました。 源氏物語に見る物語と伝播 館内見学の後、式氏から、源氏物語が1000年以上読み継がれてきた背景と伝わり方についての講義が行われました。 式氏ははじめに、源氏物語が平安時代中期に成立したことと、当時の印刷は宗教的な需要を背景に寺院が行っていたことを説明し、「文学などの書物の複製は手書きで行われ、源氏物語も書き写しで本が広まっていきました」と話しました。 また、平安時代後期から戦国時代にかけて、源氏物語は権力者や趣味人を中心に受け継がれたと説明しました。物語本編のほかにも、作中に登場する和歌の典拠(もとになった歌)を記したものなど、説明を加えた書籍が各時代で作られたと話しました。戦国時代の終わりに活版印刷の技術が日本に輸入されると、天皇や将軍を中心に日本での活字印刷が始まり、写本で伝わってきた源氏物語も、印刷された書籍として出版されるようになりました。 江戸時代に入ると、活版印刷の技術が民間にも広がって商業化し、書籍は庶民の娯楽の一つとして広く親しまれるようになりました。源氏物語も庶民に広がっていき、印刷技術が発達して挿絵が本に登場すると、絵の印象によって、読者の間に源氏物語の共通イメージが形成されていきました。 また、浮世絵、かるた、すごろくなどに源氏物語をテーマにした図像が使われていたこと、能など舞台作品としても上演されたこと、源氏物語の翻案作品(元となる作品をベースに、内容や表現などを変えて作られた新しい作品)も出版されていたことを紹介し、式氏は「多様なジャンルへの広がりを見ることができます」と述べました。 現代につながる源氏物語のバトン 式氏は、開国後もたびたび源氏物語の現代語訳が行われてきたことを紹介しました。「私たちが明治時代の文章を読んでも少し読みづらいように、過去の人も自分たちより前の世代の文章を読みやすい形に訳していました。世代ごとに理解しやすい表現に変化して今に伝わっています」と説明しました。 講義の最後に式氏は、源氏物語が各国の言語に翻訳されて出版されていることや、海外の翻訳書を逆輸入し、もう一度日本語に翻訳することで物語を見つめなおす試みも行われていることを紹介し、海外にも広がっていることを伝えました。また、日本でも電子書籍化や、アニメ・漫画の放映・出版など、様々なメディアで展開されていることを説明しました。 学生は、メディアの発展に合わせて源氏物語も形を変えながら今に伝わってきたことを学びました。 活版印刷を体験! 午後は前原啓子氏から説明をうけながら、2人1組に分かれて活版印刷の体験を行いました。体験では源氏物語に登場する和歌を1人1首印刷しました。学生たちは、棚から活字を一つずつ手で選び取り、版を組んで印刷しました。 学生たちははじめに、活字(活版印刷に使用される1字ずつの文字のブロックのこと)を、文章の順番になるよう棚から専用の箱に集めました。その後、活字を和歌の並び順に、印刷用の枠に収めていきました。空白や行間にも専用の材料を詰め、活字の向きが間違っていないか確認しながら慎重に作業しました。手順の説明時には、活版印刷が盛んだった当時の解説もあり、学生たちは職人の仕事内容や活字の並び方が保存された棚を見ながら学びました。 活字をはめ込んだ後は、印刷機を使って手動で1人20枚印刷しました。インクの付け方や紙への印刷の仕方を教わった後、自分の手で印刷しました。 印刷後は丁合(紙を本のページ順に並べること)を行い、製本作業を体験しました。製本作業では冊子に穴をあけ、針と糸で本を綴じました。糸の綴じ方や針を通すときの力加減など、各自工夫しながら作業を行い、和歌集を完成させました。 特別講義の最後に 式氏から3つのお題が提示され、学生はそのうちの一つを選んでひとりずつ発表しました。 とくに『現代まで物語が伝えられてくるうえで重要だったことは何か』というお題には、源氏物語が写本によって伝わってきた背景から、「手間をかけてでも残したいという熱意があったこと」「物語をものとして残してきたこと」など、物語に魅了された人の行動に注目する意見や、絵巻やかるたなど「その時代にあった表現に変化してきたこと」「考察や、翻訳からの逆輸入など、様々な視点で物語を見つめてきたこと」など、物語自体が時代に応じて形を変え、多様な視点から見つめ直されてきたことに注目する意見が見られました。 最後に式氏は「今回皆さんには印刷物を通した情報コミュニケーションの歴史を学び、活版印刷の体験をしていただきました。現在の印刷技術がどのような背景で成立したか、実感してもらえたと思います。未来を考えるにあたって、過去を振り返ることも時には大切です。皆さんが将来について考えるきっかけとなればうれしいです」と学生に伝えました。 担当教員のコメント 今年2026年度に新たに開講した「国文学マーケティングプロジェクト」において印刷博物館様には、企画段階から、当日の運営まで、本当にお世話になりました。当日は、印刷文化の継承の歴史から博物館の見学、そして午後は、源氏物語をテーマに実際に活版印刷を体験させていただき、仕上げは和綴じの制作まで、至れり尽くせりのプログラムをご準備いただいたことに心から感謝申し上げます。デジタル化の進展もあり、紙媒体というものが減少していることは事実ですが、やはり「本」の価値というものは時代が変わっても受け継がなくてはいけない大切なものであることを実感した一日でした。式様はじめ多くのスタッフの方にお世話になりましたこと、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
酪農は食生活を支える基盤!食科学部の授業で森永乳業による特別講義が行われました。
7月31日に「食料生産実習」と「食品科学演習」の合同授業で、森永乳業株式会社による特別講義が行われました。「乳と酪農について」と題し、乳牛にまつわる知識や生乳がどう社会に必要かなどを詳しく教えていただく貴重な機会となりました。 保存がきくロングライフ牛乳をおともに 登壇したのは酪農部の長谷川類氏。講義の冒頭では、学生一人ひとりに牛乳が配られました。これは常温保存が可能な「ロングライフ牛乳」で、特殊な殺菌方法によって長期間の保存を実現したものです。災害時の備蓄としても注目されており、長谷川氏は「今日はぜひ牛乳を飲みながら、リラックスして聞いてください」と笑顔で講義を始めました。 「牛と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは白黒模様の牛ではないでしょうか」と学生たちに問いかけます。これこそが「ホルスタイン」と呼ばれる乳牛で、乳量が多く、日本の乳牛の約99%を占めています。生まれたばかりの体重は約40kgですが、成長すると600~700kgにも。1日に約25kgもの生乳を生産できることなど、乳牛について分かりやすく紹介されました。 乳牛から和牛が産まれる!? 講義はクイズ形式で進められました。「乳牛はいつから乳を出すようになるでしょうか」という問題には、多くの学生が「出産後」と正解。続く「ホルスタインから生まれるのはどんな牛でしょうか」という問いには、学生たちも頭を悩ませます。答えは「ホルスタインや交雑種だけでなく、和牛が生まれることもある」。意外な事実に、学生たちも驚きの表情を見せました。 乳牛は一定の年齢になると人工授精で出産し、その後も搾乳を続けながら繁殖します。この際、和牛の受精卵を移植することで和牛を生産することも可能なのです。長谷川氏は「実は国産和牛の半数以上が酪農由来です。酪農は牛乳だけでなく、牛肉の生産にも大きく貢献しています」と、酪農が果たす重要な役割を分かりやすく説明しました。 牛乳の味は食べもので変わる! 牛は4つの胃を持ち、その中の微生物が食べたものを発酵し、消化しています。第1胃の容量はお風呂約1杯分にもあたる200L。1日に約20kgのエサを食べ、生乳のもととなる血液を作っています。「発酵の際に熱が生まれるため、牛はお腹にカイロを入れているようなもの。暑さが苦手で、気温が20℃を超えるとストレスで乳量が減ります」と長谷川氏。近年の猛暑は酪農にとって大きな課題だと話されました。 また、乳牛のエサは地域によって異なります。トウモロコシなどの飼料が中心の地域もあれば、牧草を多く与える地域もあります。「牛乳の味は食べるものによって変わります。牧草と飼料ではもちろん、牛の健康状態によっても味が変化する、とてもデリケートな食品です」と説明されました。 たくさん食べて酪農を支えよう! 話は酪農家の仕事へ。日本では放牧に適した土地が少なく、牛舎でのつなぎ飼いが主流です。乳牛につきものの分娩は命がけで、昼夜問わず付きっきりの世話が必要。毎日約13時間働き、休日もほとんどありません。一方で、酪農には作物が育ちにくい土地でも食料を生産でき、季節を問わず生乳を出荷できるという強みがあります。世界では約10億人が酪農に従事し、7人に1人が酪農の関係者とも。さらに牛乳は、飢餓や人口増加による食料問題を支える重要な食品です。 しかし国内では、酪農家は減少しています。原因の一つは収益の厳しさです。飼育費の約6割を占める飼料価格は、輸入牧草なども活用されています。物価高や円安の影響でコストが上昇し、経営を圧迫しているのです。生乳は保存が難しいため乳製品に加工されますが、在庫にも限りがあり生産量を簡単には増やせません。長谷川氏は「皆さんが牛乳や乳製品を選んで食べることが、酪農家の支えになります」と呼びかけました。そして、栄養士や食の分野を目指す学生たちに向け、「大学での学びを通して、牛乳や乳製品の価値やおいしさを多くの人に伝えてほしいです。たくさん食べて応援してください」と期待を寄せ、講義を締めくくりました。 環境問題にも対応して安定的な生産を 授業の最後には質疑応答が行われました。「牛のげっぷによるメタンガスが環境問題になっていると聞きますが、どのような対策をしているのでしょうか」という質問に、長谷川氏は「森永乳業では、メタンガスの発生を抑える研究を進めています。これまで廃棄されていた紅茶かすを飼料に混ぜることで発生を抑制できることが分かり、実用化に向けた取り組みを始めています」と回答されました。 学生たちにとって、身近な存在である牛乳について理解を深めるとともに、酪農や食を取り巻く課題についても学ぶ貴重な機会となった講義でした。
学生が商品企画を提案!〈演習Ⅱa〉の授業で行われた猿田彦珈琲とのコラボ授業で、学生の発表が行われました。
6月24日、演習Ⅱa(Kクラス担当:ビジネス社会学科 篠﨑 香織教授)にて、猿田彦珈琲から代表取締役の大塚朝之氏をはじめとする社員7名をお招きし、提示された課題に対する企画の発表を行いました。今回学生が取り組んだ課題は〈冬でも売れるアイスの提案〉〈1店舗あたり1日10杯のオーダーされるジェラッテ提案〉〈福袋の企画提案〉です。 これまでの授業のあゆみ 初回授業では大塚氏から猿田彦珈琲の理念やコーヒーにかける思いをご講演いただきました。講演後にはフード開発チームの三浦氏、坂本氏、経営企画チームの河村氏から学生が取り組む課題が発表され、授業を通して学生は〈冬でも売れるアイスの提案〉〈1店舗あたり1日10杯のオーダーされるジェラッテ提案〉〈福袋の企画提案〉に挑戦しました。アイスは学生・20代の若年層をターゲットに、11月から3月の販売を想定し、利用シーンなども踏まえて企画を検討しました。またアイスとジェラッテは猿田彦珈琲原宿店での販売を想定し、商品名やPR方法などアイデアを膨らませました。福袋についても、ターゲットやコンセプトを踏まえ、魅力的な商品構成を考案しました。初回授業の記事はこちら→ https://socialcooperation.jissen.ac.jp/topics/10662/ また、授業の一環として猿田彦珈琲 原宿店を訪問し、実地調査を実施しました。実際の商品や店舗の雰囲気、来店客の客層などを調査し、企画に活かすためのヒントを収集しました。 アイスの提案 〈冬でも売れるアイスの提案〉では、学生一人ひとりが、企業から示されたターゲットや販売時期、利用シーンを踏まえながら、「どんなアイスなら売れるか」を考え、アイデアをプレゼンテーションにまとめました。 特に販売想定時期の冬でも「食べたい」と感じてもらえる商品を目指し、さまざまな視点からアイデアが展開されました。提案では「特別感」「ご褒美」「贅沢」をキーワードに、アイスを食べる時間そのものの価値に着目した企画が多く見られました。濃厚な味わいで贅沢感を演出するものや、購入後に仕上げを楽しむ体験型の商品、トッピングによってオリジナリティを生み出すものなど、価値の提供方法にも学生それぞれの工夫が盛り込まれました。また、SNSでの発信を意識し、見た目の華やかさや写真映えを重視した提案も多く発表されました。 フレーバーについては、猿田彦珈琲らしさを表現したエスプレッソやコーヒーを取り入れたものをはじめ、ショコラやチョコレートを使用した濃厚な味わいの商品、定番のバニラを独自の視点でアレンジしたものなど、多彩なアイデアが提案されました。 学生全員の発表の後に、三浦氏と大塚氏から提案に対する全体的なフィードバックが寄せられました。 三浦氏は「店舗調査でお客様としての体験をしっかりと積み重ねたことが伝わってきました。実現性の高い提案ばかりで、新しい視点をもらいました」と評価が寄せられました。 また、大塚氏からは「大学生の提案とは思えないほどレベルが高かった」との言葉に加え、「自身の体験から得た気付きと、市場調査から見えたニーズのバランスが学生それぞれで異なっていて面白かったです。そのどちらの視点も大切にしながら、今後の提案にも生かしてほしいです」と、今後の学びにつながるアドバイスも送られました。 ジェラッテの提案 ジェラッテと福袋はチームに分かれて発表が行われました。 ジェラッテの提案では“1店舗あたり1日10杯のオーダー”を目標に商品アイデアを考案しました。学生は、商品名、フレーバー、価格、PR方法の4点を軸に詳細な内容を考え、プレゼンテーションを行いました。 Cチーム:和もちジェラッテ Cチームは“まるで飲む和菓子”をコンセプトに、黒蜜、きなこ、わらび餅を取り入れた〈和もちジェラッテ〉を提案しました。 コンセプトの理由について、調査結果を引用しながら「冬に食べたいと感じる人が多いこと」や「原宿店にも多く訪れる外国人観光客に需要があること」を説明。学生は商品のこだわりとして“食感”を提示し、食トレンドにおいて“もちもち”がキーワードであることを示しながら「わらび餅を取り入れることで食感にトレンド性を持たせるとともに、ドリンクのボリューム感向上を狙いました」と話しました。 また、ボリューム感の高さは満足度の向上とともに「スイーツの代わり」としての役割も狙えると説明。具体的に「友達とカフェに来たけど一人だけスイーツを頼みにくいシーン」に需要があると述べました。 PR方法としては店頭の試飲イベントや学割を提案。商品を実際に体験してもらうことで購買につなげる戦略を立てました。価格帯は「満足感や贅沢感と釣り合う680円程度」としました。 Bチーム:シーズンジェラッテ Bチームは冬季の11月から2月にかけて販売する、冬の季節感を反映した期間限定のジェラッテ3商品と、それらに合わせた商品戦略を提案しました。 11月〜12月上旬に展開する第1弾は〈ドバイチョコチョコジェラッテ〉。SNSを中心にトレンドフードとなったドバイチョコから着想を得て、内容を「ピスタチオ、カダイフ、チョコフローズンにする」と提案しました。第2弾は12月下旬〜2月に展開する〈5層で楽しむ大人のショコラ&ベリージェラッテ〉。コーヒーゼリーとベリー果肉が味わいのアクセントであると紹介しました。第3弾は2月に展開する〈コーヒージェラッテ〉。コーヒーゼリー、ミルクフローズンにダルゴナコーヒーを乗せ、フローズンとダルゴナコーヒーの味わいの変化を楽しむと述べました。 戦略として、第一弾でトレンドに敏感な女子高校生や女子大学生に認知を広げた後、ホリデーシーズン限定の第二弾へ関心をつなげ、最終的に第三弾で猿田彦珈琲のブランドとの接点を生み出す、という段階的な戦略を説明しました。 PR方法としてはSNSを挙げ、「フレーバーの話題性を狙って投稿を行う」としました。価格については「有名コーヒーチェーンの期間限定ドリンクよりも安く、現在販売されているジェラッテと同じくらいの価格帯を狙い、650円に設定した」と話しました。 Aチーム:杏仁パレット Aチームは〈杏仁パレット〉というジェラッテのフレーバーシリーズを提案しました。“SNS映え”、“新食感”、“毎日の小さなご褒美”をコンセプトに設定し、味は「ごろっといちごみるく杏仁」「冬みかん杏仁」「抹茶ノエル杏仁」「濃厚杏仁ミルクティー」の4種類を提案しました。 学生は市場調査から、杏仁豆腐が「専門店の出店など、注目度が高まっているスイーツ」であること、そしてスイーツの需要として“SNS映え”、“新食感”、“甘すぎない”の3点があることを紹介。杏仁豆腐をジェラッテに取り入れることで「甘すぎない風味と食感を、新感覚スイーツとしてジェラッテに取り入れることができる。また、白い杏仁豆腐がほかの具材と混ざっていくビジュアルの良さを写真映えに活かすことができる」と話しました。 また、複数フレーバーを展開することにより「並べて写真を撮りたくなるビジュアルにすることで、『飲みたい』だけでなく『写真を撮りたい』を購買動機につなげる」としました。PR方法としてSNSやインフルエンサーのPR投稿を提案し、販売価格は1つ700円と設定しました。 福袋の企画提案 福袋の課題では、コンセプトや価格帯、外装・見た目、内容物を具体的に考え、それぞれの設定に至った背景も含めてプレゼンテーションを行いました。 Fチーム Fチームの発表では、各班のメンバーそれぞれが考案した福袋の企画を一人ずつ提案しました。 学生たちは、年末年始という季節性や課題で設定された20代のターゲットを踏まえ、商品の組み合わせを通じてどのような体験価値を提供できるかを考えました。「新年の目標を立てる」というシーンを想定し、オリジナルロゴ入りの文具を封入した企画や、「慌ただしい時期に家族でほっと一息つく時間」をテーマに、コーヒードリッパーやサーバーに加え、タンブラーやコースターなど実用性の高いアイテムを組み合わせた企画が提案されました。 また、「大人になった節目として少し贅沢なコーヒー時間を楽しむ」をテーマに、ドリップバッグやコーヒー豆の説明書を添え、自宅でもコーヒーへの理解を深めながら楽しめる福袋や、店舗調査で印象に残ったアイスに着目し、「猿田彦珈琲ならではの魅力を味わいながら、ご褒美時間を楽しむ人」をターゲットとしたアイスモチーフの限定焼き菓子を提案する企画も見られました。 さらに、コーヒーのリラックス効果に着目し、カフェインレスコーヒーのドリップバッグとアロマキャンドル、アイマスクを組み合わせることで、コーヒーとともに心身を癒やす時間を提案するなど、学生それぞれが多様な切り口でアイデアを発表しました。 企画には共通して、福袋の外装にポーチやトートバッグなど実用性の高いアイテムを採用し、購入後も日常的に活用できるよう工夫するなど、商品の魅力を高める提案が多く見られました。 Dチーム:新年を前向きに過ごす福袋 気軽に場所を問わずコーヒーを楽しみたい人をターゲットに、年末年始休暇明けの仕事を前向きに頑張れるよう後押しする福袋を提案しました。価格は3,000円と6,000円の2種類を設定し、どちらも猿田彦珈琲のロゴ入りトートバッグに封入する企画です。 3,000円の福袋には、「コーヒー豆」と「豆を挽くグラインダー」を組み合わせました。学生は、「新しい趣味を始めたい」という新年の気持ちに着目し、「グラインダーがあることで、さらに挽く豆が欲しくなる」と、福袋をきっかけに猿田彦珈琲のコーヒー豆の購入につなげる狙いを説明しました。 一方、6,000円の福袋には、「ポータブルブリューボトル」を提案。販売メーカーに商品コラボの実績があることも紹介しながら、「どこでも淹れたてのコーヒーが楽しめるボトル」として、仕事の合間や外出先でも手軽にコーヒーを楽しめる点をアピールしました。 また、どちらの福袋にも「朝昼夜のシーンに合わせた味わいのドリップバッグ」「デザインランダムコースター」「楽しみ方カード」を封入。特に「楽しみ方カード」は、初めてコーヒー豆を購入する人でもコーヒーの楽しみ方を知り、より特別な体験を味わえるよう工夫されていました。 Eチーム:日常に寄り添うご褒美福袋 Eチームは、福袋のコンセプトを「一年頑張った自分へのご褒美」に設定しました。企画の背景として、年末年始は自分へのプレゼント需要が高まることや、特に女性にその傾向が強いことを調査結果をもとに説明しました。 福袋には、外装を兼ねたトートバッグのほか、ポーチ、タンブラー、カフェラテシロップ、ステッカーなど、実用性の高いアイテムを封入。グッズはベージュやブラウンを基調としたシンプルなデザインとし、日常生活に取り入れやすいことを意識して企画されました。 学生は、「温かみのある雰囲気と猿田彦珈琲らしさ、そして年代を問わず普段使いしやすいデザインを意識した」と説明しました。さらに、ポーチとタンブラーは3色展開とし、どの色が入っているか分からないランダム仕様を採用。福袋限定デザインの実用的なアイテムをランダムで封入することで、「特別感」「実用性」「わくわく感」の3つの価値を提供する工夫が盛り込まれました。 価格は6800円。学生は「『頑張ったから買おう』と思いきって購入ができる価格に設定した」と話しました。価格は6,800円に設定。学生は、「一年頑張った自分へのご褒美だからこそ、思い切って購入できる価格を意識した」と、その価格設定の理由を説明しました。 授業の最後に 社員の皆様から発表に対する総括のコメントをいただきました。 フード商品開発チーム 坂本氏 「あらかじめシーンコンセプトという共通の前提はありましたが、班ごとの発表には個性が光り、それぞれがまとまりのある内容に仕上がっていました。ここまで考えてくれるとは思っていなかったです。今回取り組んでくれた企画の考え方はいろんな仕事に役立つと思います。タイミングをみて、皆さんと一緒に商品開発にむけて動けたら嬉しいです」 経営企画チーム 河村氏 「コーヒー屋なので、コーヒーにまつわるタンブラーとかマグカップでなければいけないという概念が自分の中にありましたが、雑貨やリラックスするためのアロマキャンドルなど『そういうものもアリなんだ』と、皆さんが提案していただいた内容がすごく新しい発見でした。発表の中には現在考えている企画と通じるようなものもあり、デザインやコンセプトなどがとても参考になりました。ありがとうございました。」 代表取締役 大塚氏 「今年もすごく勉強になりました。我々としても学びの場であり、どちらの企画も商品化に向けて進めていきたいと思います。今回の企画を考えるような、背景を深堀して商品を考えていく思考方法は、今後必ず参考になると思います」 担当教員のコメント 4月末から6月末にかけて、駆け足ではありましたが、学生たちは「アイス」「ジェラッテ」「福袋」という3つの商品企画に取り組み、提案を行いました。 まず、カフェの利用や「おいしさ」に関する論文のレビューを行い、スイーツや福袋についての情報収集、店舗でのフィールドワークなどを重ねました。その上で、アイスは個人で、ジェラッテと福袋はグループで企画をまとめました。 個人とグループ、それぞれのワークの良さや難しさを経験するとともに、単に「面白いアイデア」を考えるだけではなく、猿田彦珈琲社が実際の商品として世に送り出すことを想定して、ターゲットや価格、商品内容、伝え方などを考えることの難しさと面白さを学ぶことができました。学生にとって、大学の授業で考えたアイデアが、実際の商品につながる可能性を持つという経験は、大きな刺激になったと思います。 これから迎える秋・冬シーズンにおいて、学生たちの提案のどのような部分が実際の商品に活かされるのか、私たちも猿田彦珈琲社の商品展開を楽しみにしています。 学生の提案を、単なる授業内の発表で終わらせるのではなく、企業の皆様に実際に検討していただき、その可能性を検証できる企業連携授業は、決して多くありません。このような得難い機会を与えてくださいました大塚社長をはじめ、猿田彦珈琲社の皆様に、心より御礼申し上げます。 また、授業のたびにおすすめのドリンクをご用意いただきましたことにも、重ねて御礼申し上げます。毎回、今日はどんなドリンクをいただけるのか、学生とともに楽しみにしていました。4月はカフェラテ、5月は蜂蜜のラテ、6月はお抹茶ラテをいただきました。どれも大変おいしくいただきました。ごちそうさまでした。
先頭に立つことだけがリーダーじゃない!「集団・コミュニケーション論」の授業で株式会社ANA総合研究所の多田浩司氏による特別講演が行われました。
7月1日に「集団・コミュニケーション論」(担当:国際学部国際学科 久保田佳枝准教授)の授業で、株式会社ANA総合研究所の多田浩司氏による特別講演が行われました。「自分らしいリーダーシップ」を軸に、現代求められるリーダー像について語られました。 ANAはチャレンジ精神あふれるベンチャー企業 ANAは1952年に2機のヘリコプターから始まりました。初の民間航空会社としてスタートしたANAは「今でこそ一日1000便もの飛行機が飛ぶ大きな会社ですが、創業当時はまさにベンチャー企業そのものでした」と多田氏。その後は着実に歩みを進めるだけでなく1986年には国際線定期路線の就航や、2012年にはLCC(格安航空会社)である「Peach Aviation」の運航開始など、常に一歩先を見据えたチャレンジの連続であった歴史を語りました。 多田氏は航空機整備や安全推進などの総合職技術系としてANAに入社。現在は豊富な経験を活かし、ANA総合研究所の一員として、各種の調査・研究や大学での講義を行っています。 時代に合わせたリーダーの姿とは? 多田氏はまず、「皆さんはリーダーシップと聞いてどんな人を思い浮かべますか」と学生たちに問いかけました。「命令する人や権威のある人というイメージは、旧来型のリーダーシップです」と説明。かつての高度経済成長期は豊富な経験をもとに指示を出し、部下はそれに従うことで成果を上げるスタイルがこれまでの主流だったと話しました。 一方で、変化の激しい現代ではそれだけでは対応しきれません。多田氏は、対話や共感を大切にし、メンバーに寄り添いながら力を引き出すリーダーが求められていると語ります。「『俺についてこい』ではなく、『一緒に頑張ろう』と支え合える環境をつくるリーダーも重視されています」と説明しました。 ただし、旧来型のリーダーシップが悪いということではありません。経験に裏打ちされた決断力も、相手に寄り添う傾聴力も、どちらも欠かせない力です。「大切なのは優劣ではなく、時代に合わせて求められるリーダー像が変化しているということです」と学生たちに伝えました。 「着いていく」ことがリーダーになる? 多田氏は、ある講演で紹介された映像を学生たちに見せました。それは、一人が踊り始めるとその姿に影響されて次々と人が加わり、大きな輪になっていく動画でした。この映像をもとに、多田氏は「リーダーは大切な存在ですが、実は過大評価されがちです」と話しました。 重要なのは、最初にリーダーについていく「フォロワー」の存在です。「最初のフォロワーになるには、リーダーと同じくらい勇気が必要。『それいいね』『手伝うよ』と最初に声を上げる人がいるからこそ、周りも動き始めます」と、フォロワーシップの重要性を伝えました。 さらに、リーダーはフォロワーに一方的に指示を出すのではなく、対等な立場で一緒に行動することが大切だと説明。「重要なのはリーダー個人ではなく、活動を前へ進めることです。一人で完璧を目指す必要はありません」と語り、それぞれの得意分野を生かして役割を分担する「シェアドリーダーシップ」の考え方も紹介しました。 多様な価値観を活かすリーダーシップ ここで多田氏は、DISCという性格類型の自己診断を学生たちに体験してもらいました。DISCは、人の行動特性を主導型(Dominance)、社交型(Influence)、慎重型(Conscientiousness)、安定型(Steadiness)の4つに分類する考え方です。 「どのタイプが優れているということではありません。大切なのは、人によって考え方や行動の特徴が違うことを知ることです」と多田氏。社会に出ると多様な価値観を持つ人と協力して働くため、リーダーが全員の意見をまとめる難しさも生まれます。しかし、「多様なメンバーであるからこそ、皆で意見交換することに価値があるのです」と多田氏。「同じタイプの人ばかりでは新しい発想は生まれにくい。異なる個性を認め合い、それぞれの強みを生かせる環境づくりが、新しい価値を生み出します」と語られました。 安全を守るANAグループのアサーション文化 続いて多田氏は、ANAグループの「アサーション」文化を紹介しました。アサーションとは、互いを尊重しながら率直に意見を伝え合うコミュニケーションのことです。上下関係の中で意見を言えないことが重大な事故につながりかねない航空業界では、パイロットの訓練でも重視されています。 「上下関係は年齢や経験、レギュラーか補欠かといった立場など、さまざまな場面で存在します。だからこそ、上の立場の人が意見を言いやすい環境をつくることが重要です」と多田氏。また、「アサーションは攻撃的でも、何も言わない非主張的な態度でもだめ。相手を認めた上で自分の考えを伝え、お互いを尊重することが大切です」と語りました。 最後に、「リーダーに必要なのは、人の可能性を奪うのではなく、引き出す言葉を掛けること」と締めくくりました。「先頭に立って引っ張る人だけがリーダーではありません。仲間を支え、ときには後ろから後押しすることも立派なリーダーシップです」と、誰もが実践できるリーダー像を学生たちに伝えました。
住宅を通して「心地よい関係性」を考えよう!「対人コミュニケーション論」の授業で、旭化成ホームズの河合慎一郎氏による特別講演が行われました。
6月24日に「対人コミュニケーション論」(国際学部国際学科)の授業で、旭化成ホームズ株式会社のLONGLIFE総合研究所長である河合慎一郎氏による特別講演が行われました。河合氏は二世帯住宅を通して、人と人とのつながりや関係性について講演。親子や社会など「つながり方のデザイン」について考える機会となりました。 家を通して考える、人と人とのつながり方 河合氏は登壇すると、「私は住宅に関わる仕事をしています」と自己紹介されました。「『なぜ国際学科の授業で住宅の話をするのだろう』と思った人もいるかもしれません。でも、住宅を通して考えることは、皆さんが学んでいる国際的な視点や人との関わりとも深くつながっています」と語り、講演が始まりました。 河合氏は、もともと住宅設計を手がける一級建築士として約450棟の戸建住宅を設計。その経験を生かし、現在は「人の暮らし方」を研究するLONGLIFE総合研究所で活動しています。この研究所は、旭化成ホームズが「ALL for LONGLIFE」の理念のもと、住む人が長く快適に暮らせる住まいを実現するために設立した組織です。 「今日は家づくりの話ではなく、人とのつながり方について考えてみたいと思います」と切り出し、「皆さんは、人との距離感で悩んだことはありませんか」と学生たちに問いかけました。人との距離は、近すぎても遠すぎても良い関係を築くのは難しいものです。河合氏は「人との距離感に正解はありません。文化や育った環境によって心地よい距離は異なります。それは海外で人と関わるときにも同じです」と話し、人との関わり方について考える大切さを伝えました。 自分は外交的?一人になりたいタイプ? 「まずは自分のタイプを知ってみましょう」と河合氏。学生たちは、簡単な質問に答えて点数を集計し、自分にとって心地よい対人距離の傾向を知るワークに取り組みました。結果からは、人とのつながりを大切にする外向的なタイプか、一人の時間を重視する慎重なタイプかなど、それぞれの特徴が分かります。 河合氏は「例えば外向性が高い人は、家族や友人が集まりやすいダイニングを重視する傾向があります。一方、一人の時間を大切にする人は、落ち着いて過ごせる個室を求めることが多く、こうした違いは住まいのデザインにも影響します」と説明。「どのタイプが良いということではありません。一人ひとりの価値観や暮らし方に合わせて住まいを設計することが大切なのです」と話しました。 さらに、現在では広く知られる「二世帯住宅」についても紹介しました。実は、この言葉を生み出したのはヘーベルハウスです。二世帯住宅とは、同じ建物に住みながらも、親世帯と子世帯がそれぞれの生活空間や家計を分けて暮らす住まいのこと。1970年代以降、サラリーマン家庭の増加や地価の高騰を背景に、家族との適度な距離感を保ちながら経済的にも暮らしやすい住まいとして誕生しました。住宅は、家族のつながり方や時代の変化に合わせて進化してきたことが紹介されました。 関係の3原則を意識しよう 続いて河合氏は、人間関係を築くうえで大切な「関係性の3原則」として、「距離」「接点」「配慮」の3つを紹介しました。 「距離」は、近すぎると干渉になり、遠すぎると孤立につながるものです。「接点」は、人と会ったり会話をしたりする機会のこと。どれくらいコミュニケーションを取ると心地よいと感じるかは、人によって異なります。そして「配慮」とは、立場の弱い人への思いやりです。例えば家族であっても、嫁や婿のように血縁関係のない人は価値観の違いが生まれやすいもの。昔から嫁と姑の問題が語られてきた背景にも、こうした関係性があります。 河合氏は「人と人との関係は対等だと思いがちですが、実際には立場や役割によって力関係が生まれます」と説明しました。そのうえで、「心地よい距離感は人それぞれです。世代や育った環境、文化の違いによって感じ方も変わります。人そのものが問題なのではなく、関係設計のミスマッチによって起こるのです」と語りました。 人と人との関係性に正解はない 講演の最後に河合氏は、「今日は親子関係を中心にお話ししましたが、『関係性の3原則』は家庭だけに当てはまるものではありません。人と人とのコミュニケーションを考えるための基本的なフレームです」と話しました。「距離」「接点」「配慮」の3つは、異文化理解や国際交流にも欠かせない視点です。また、人と自然との関わり方を考えるSDGsにも通じる考え方だと説明。「人との関係や物事との関係は、環境や状況によって変化します。国際関係を学ぶうえでも、この3つを意識しながら物事を見てほしいと思います」と学生たちにメッセージを送り、講演を締めくくりました。 講演後には質疑応答が行われました。「建てた家が住み始めてから理想と違うと感じた場合、リフォームはできるのでしょうか」という質問に対し、河合氏は「長く暮らしていると家族構成や人間関係は変化します。その変化に合わせて住まいも柔軟に変えられるよう、リフォームしやすい設計が取り入れられています」と回答しました。 住宅をテーマにしながらも、人との関わり方や国際社会につながる視点を学ぶことができた今回の講義は、学生たちにとって新たな気づきを得る貴重な機会となりました。
JAL×職員研修が実施されました
2026年8月31日(月)、日本航空株式会社(以下JAL) JALビジネスキャリアサポートの協力のもと、コミュニケーション能力向上とチームビルディングに関する職員研修を実施いたしました。学校法人実践女子学園とJALグループは2026年5月に教育連携協定を締結しており、今回の研修は、本協定に基づく連携の一環として実現したものです。 研修の様子 午前中は、コミュニケーションのテクニックについて学び、午後はチームビルディングをテーマに研修が行われました。一日を通じてミニワークをチームやペアで行いながら、実践的にスキルを身に着けました。コミュニケーションのテクニックやスキルの説明は、講師の客室乗務員での経験から具体的な例を引用しながら行われ、コミュニケーション能力の重要性や、チームビルディングが円滑な業務運営につながることを職員へ伝えました。 日頃のコミュニケーションを振り返りながら、相手に伝わりやすいポジティブな表現や、チーム内でのより良い関係づくりについて学びました。参加した職員にとって、普段の業務にも活かせる多くの気づきを得る機会となりました。
写真でつながるコラボ!〈日本のメディア文化〉の授業でフォトクリエイトと連携し、Photomaticをテーマに企画を考案しました。
7月9日、実践女子大学国際学科専門科目〈日本のメディア文化(担当:国際学科 グリーン,バーバラ准教授)〉にて、株式会社フォトクリエイト(以下フォトクリエイト)とのコラボ授業が実施されました。フォトクリエイトは、渋谷キャンパスにも設置されている韓国発セルフフォトブースPhotomaticの運営を行っています。初回授業では代表取締役社長の大迫由典氏と、セルフフォト推進部の田中愛莉氏からフォトクリエイトの事業領域やPhotomaticについてご説明いただいたのち、学生が取り組む課題として『PhotomaticのIPコラボ企画の考案』が提示されました。学生はグループワークに取り組み、コラボ授業最終回では学生一人一人が考案した企画をフォトクリエイトの皆様に直接プレゼンテーションを行いました。 授業と企業連携について 〈日本のメディア文化〉は、国際学科3年生を対象に開講されている専門科目です。漫画やアニメ、映画、ゲームなどの日本のポップカルチャーを通して、作品の歴史や文化的背景だけでなく、社会や政治とのつながりを理解し、物事を多角的・批判的に考察する力を身につけます。 今年度はフォトクリエイトと連携し、課題解決型授業を実施しました。フォトクリエイトは、インターネット写真サービス事業を中心に写真に関するサービスを多角的に展開しており、その一つとして韓国発セルフフォトブランドPhotomaticの運営を行っています。Photomaticは渋谷キャンパスにも設置されており、今回初めて授業での連携が行われました。 フォトクリエイトについて フォトクリエイトについて、代表取締役社長の大迫由典氏から説明がありました。 大迫氏ははじめに「フォトクリエイトは株式会社キタムラホールディングスのグループ会社です」と説明。株式会社キタムラホールディングスには〈カメラのキタムラ〉をはじめ、写真撮影やカメラに関する業務を手がける企業が所属していることを紹介しました。 大迫氏は「カメラ業界の客層の中心は大人世代が多く、“若者のカメラ離れ”ともいわれています。しかし、思い出の一瞬を写真に収め、現像して手元に残し、見返すことで、より深い思い出になっていくカメラの価値を若年層にも広げたいと考え、写真やカメラに触れるきっかけとなるコンテンツとしてPhotomaticの取り扱いをスタートしました」と説明しました。 大迫氏はさらに、Photomaticでは撮影データとともに写真を1枚プリントアウトすることを紹介しながら、「撮った写真を持ち帰ることで、撮影した日を『忘れられない思い出の日としてほしい』という願いが込められています。プリントアウトされた写真を通じて、撮影そのものだけでなく、体験を提供しているサービスという側面にも注目していただきたいです」と学生に話しました。 Photomaticについて 続いて、セルフフォト推進部の田中愛莉氏からPhotomaticについて、具体的なサービス内容やIPコラボ(キャラクターや作品、ブランドなどの知的財産とのコラボレーション)について説明がありました。 Photomaticは韓国を拠点とするセルフフォトブースブランドです。写真撮影のほか、撮影データのオンライン共有や写真の印刷が体験できるフォトブースを提供しています。 田中氏は「無加工でアナログな写真の風合いなど、印刷用紙や写真の質にこだわっている」と紹介しました。また、「ブースには、箱形で中に入って撮影するクラシックタイプと、大人数での撮影や全身撮影にも対応したマルチタイプの二種類があります」と説明。ブースを活用した事業として、ブースのレンタル、常設ブースの運営、IPコラボの三種類があることを紹介しました。 特にIPコラボについては、「私達から企業に営業に行くことはもちろん、企業側から問い合わせが来たり、代理店や関係会社の方から連絡が来てコラボが実現することもあります」と、コラボレーションが決まるまでの経緯を説明。限定フォトフレームの作成や撮影ブースのデコレーションのほか、ライブ会場やイベント会場にブースを出店するなど、さまざまな方法でコンテンツとのコラボレーションを行っていると紹介しました。 田中氏は、PhotomaticがIPコラボを行う理由として、「思い出を残す体験を提供できること」と「Photomaticの利用者層に対してコンテンツの認知拡大を図ること」の二点を挙げました。コラボレーションの狙いとして、ファンとのエンゲージメント強化やSNSでの話題拡散、新規顧客層の獲得があるといいます。 サービスを通じてファン側には、オフラインでコンテンツとより深くつながる機会を持てることや、撮影データをSNSでシェアしたくなるような体験を提供できる点が利点として挙げられました。一方、コンテンツ側にも、ファンとのつながりを深められることに加え、Photomaticの主な利用者層である10~20代への新たな認知拡大、プロモーションによる収益、コラボレーション終了後も形として残るコンテンツを通じたファンとの関係性の強化といった利点があると説明されました。 課題について 初回授業の最後には、田中氏から学生が取り組む課題が発表されました。 課題は「IPコラボの企画考案」です。コラボを行うIPを一つ選び、その理由やターゲット層、コラボの具体的な内容、期待される効果、想定される課題とその解決方法を提案します。 学生の発表 学生の発表では、多様なIPとのコラボ企画が発表されました。アイドル、アーティスト、ゲーム、アニメ・キャラクターなど、それぞれのコンテンツから見込まれるファン層の年代や、具体的な利用シーンを想定した企画が提案されました。自分が好きなコンテンツとのコラボを提案する学生も多く、好きなものを企画考案の視点から見つめ直した発表が多く行われました。 例えば、キャラクターとの対面イベントが主要都市に限られている点に着目し、着ぐるみを着たキャラクターの写真を柄にした限定フォトフレームをPhotomaticに導入することで、地方のファンにも着ぐるみとの撮影機会を提供し、キャラクターへの愛着を深める企画が提案されました。また、海外ファンの多いキャラクターとコラボし、日本らしいデザインを取り入れた限定フォトフレームをキャラクターごとに提供することで、インバウンド需要に応えるといった提案も見られました。 また、アイドルのライブやリリースイベントに合わせてブースを設置するアイデアや、毎年シリーズの新作が公開される映画と連動して映画館にブースを設置する企画など、実際のイベントスケジュールと連動した提案も行われました。後者では、親子をターゲットにコンテンツに関連するアイテムを有料で貸し出すことで、撮影体験への没入感を高める工夫が盛り込まれていました。 混雑による集中や収益確保などの運営面の課題に対しては、「入場を時間指定の事前予約制にし、スタッフも配置する」といった解決策が提案されました。また、『学園を舞台にした少女漫画』をコラボIPとして提案した学生は、「コンテンツの特徴を生かし、撮影2回目の人に学生証デザインの特典を配布し3回目以降の撮影時に特典を提示すると割引になるリピート施策を行う」と提案するなど、それぞれのIPの特徴に合わせた解決策も見られました。 企業からのフィードバック 学生の発表に対して、田中氏から講評が寄せられました。実際に業務に携わる立場から、ビジネスとしての可能性、ターゲットとなる消費者の行動、コラボレーションを実現するための具体的なアプローチなどについて、コメントが寄せられました。また、企画の実現可能性だけでなく、収益性やプロモーションとの相性、ターゲット層への訴求方法など、多角的な視点からフィードバックが行われました。 このコラボ授業を通じて学生は、身近なコンテンツを題材に、消費者のニーズや収益性などのビジネス的な観点からIPコラボを考え、企画を提案する視点を学びました。また、実際の企業とのコラボレーション事例や現在進行中の企画にも触れながら、学生たちの提案を実務の現場と照らし合わせて考える貴重な機会となりました。










