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女性が前向きに生きる秘策とは?「社会学概論」の授業でサニーサイドアップグループ社長の次原悦子氏による特別講演が行われました。
10月11日に、1年生対象の「社会学概論」(担当:人間社会学科 原田謙教授)の授業で、株式会社サニーサイドアップグループ(以下、サニーサイドアップ)の代表取締役社長の次原悦子氏による特別講義が行われました。さまざまなモノやヒトをPRして「たのしいさわぎ」を起こしてきた会社を起業した経緯や、女性が前向きに世の中を生きていくための秘策を明るく話されました。 17歳で起業! 学生たちは予習としてサニーサイドアップグループの企業サイトを見てくる課題が出ていました。講演の前に原田教授から「サイトを見てどのような会社だと思ったか一言で表現してみよう」とアンケートが。集まったワードは明るい、楽しそう、おしゃれ、自由などポジティブな言葉が並びました。わちゃわちゃ、元気などの表現もあり、学生たちもすでにパワーを感じ取っている様子です。 登壇された次原氏も「今日皆さんに会えるのを楽しみにしてきました。少しでも役に立てる話が出来たらいいなと思っています」と講演を始められました。 サニーサイドアップは、1985年に次原氏が若干17歳のときに創業されたPR会社です。当初は朝から晩まで働き詰めでしたが、「自分が社会に参画できることがとても楽しかった」と言います。 マンションの一室で始まった会社は少しずつ大きくなっていき、1995年当時まだ無名だった中田英寿元サッカー選手らトップアスリートと契約。2005年には世界的ムーブメントとなったホワイトバンドプロジェクトを手掛け、最近では商業施設やさまざまな商品・サービスのPRを手掛けています。 ※「黒子に徹する」という次原悦子氏本人の方針により、顔にめだまやきを載せております。 PR・ブランドコミュニケーションってどういう仕事? 次原氏は「PR・ブランドコミュニケーションという仕事は、世の中にまだ知らないモノやヒトを、付加価値を付けて知らせて話題にしてもらい、最終的には行動してもらう仕事です」と話しました。伝達するだけでなく、その先の購買などのアクションに繋げてもらうことが目的です。 例えば、今は専門店もたくさんあるパンケーキもその1つ。ハリウッド俳優が映画撮影の合間に食べにくる小さなカフェに目を付け、「世界一の朝食」と大々的に打ち出しました。 このキャッチコピーは「誰も言っていなかったのですがPRでは言える技です」と次原氏。それまでパンケーキと言えば、日本では家庭でお母さんが焼くおやつだったものを「カフェのテラスで食べるおしゃれな朝食」というイメージを浸透させました。「PRは日陰の仕事ですが、今では皆が知っていることを仕掛けていたんです」と話しました。 女性が活躍する社会のための企業の在り方 「PRはメディアやニュースを使いますが、その手法を使って社会課題の解決にも取り組んでいます」と次原氏。話題は女性活躍へ。日本はまだまだ女性の社会進出が遅れていることが課題です。ただ次原氏は「女性が活躍することで経済が動きます」と話します。女性が購買を決定する割合は7割と言われています。圧倒的に女性が買うものを決めているのです。しかし、その売るものを決めるプロセスに女性がいないのはおかしいのでは、と次原氏は訴えました。 日本も2030年には役員に占める女性比率を30%以上にすることを目指しています。現在は9.1%と、ハードルの高い目標ですが少しずつ頑張っています。その中でサニーサイドアップは女性が社長であり、グループ全体で取締役の50%が女性とのこと。全従業員でみても6割が女性と、女性が活躍している企業の筆頭なのです。 世の中をしぶとく生きるために その中で次原氏は「女性が世の中をしぶとく生きていくための秘策」を12個、教えてくださいました。 1つ目は「自分にできないことを知る」。自分よりもできる人を見つけて頼ることが大切と話します。次の秘策は「忘れよう」で、「自分で思っているほど他人は気にしていません」と、くよくよ思い悩まないことも大事と話しました。その他にも、「ご縁を作ってくれた人のことを忘れない」や「情報を効率よく入れよう」、「解釈を変えるだけで過去も変えられる」など、人生を前向きに生きていく秘策を惜しげもなく披露してくださいました。 目の前のことを一生懸命やる 講演後は質疑応答が行われました。スマートフォンを使用した無記名のアンケート形式で「ちょっと直接聞きづらい質問」も募集。たくさんの質問が集まりました。「ワークライフバランスはどちらを重視していますか」という質問に「どちらがどちらと考えていません。それぞれが必要なことで相互に影響しています」と答えられました。 「なかなか売上が成長しなかったときのターニングポイントは?」という質問には、「当時無名だったアスリートたちが活躍してくれたこと。でもそのアスリートたちへの繋がりも、そこまでに培った人間関係が作ったと思っています」と話されました。 就職に対する質問も。「どんなスキルを持っていたら採用してもらえる?」には「リーダーシップが大事。小さなことでも自分からアクションできることがこれからの企業に必要」と回答。 「どんな行動をして未来を変えましたか」という質問には「起業した当時は未来の夢や目標はなかった。目の前のことに没頭し一生懸命にやっていたら、だんだん自分の道ができていました」と話しました。 第一線で活躍する女性の貴重な話を聞くことができ、学生たちも未来を考える力になった講演でした。 担当教員からのメッセージ 人間社会学部には、ジェンダー、SDGs、広告・PRにかんする授業がたくさんあります。こうした分野の最前線で活動されている次原さんは、未来をみすえた企業が実際にどのように「行動」に移しているのかについて、とても具体的に説明してくださいました。また、17歳で起業した次原さんのライフコースから紡ぎだされた「女性が世の中をしぶとく生きていくためのTips」は、これからの学生たちのキャリアデザインにとって参考になるものばかりでした。授業終了後の学生のコメントをみても、とてもポジティブな表現に溢れていました。ご多忙の中ご講演頂いた次原さん、本当にありがとうございました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
自己紹介は3秒で!「自己表現法」の授業でアパホテル専務による自己アピールの大切さの講演が行われました。
10月25日に「自己表現法」(担当:日本語コミュニケーション学科 髙瀬真理子教授)の授業で、アパホテル株式会社(以下、アパホテル)の代表取締役専務である元谷拓氏による特別講演が行われました。印象に残る自己紹介の仕方や、自己ブランディングの大切さについて語られ、学生たちは楽しく自己表現の大切さについて知る講演となりました。 アパホテルって知ってる? 元谷氏は「皆さんが就職活動やアルバイトの面接など、人と会う中でチャンスを増やせるような話ができればと思っています」と始められました。 元谷氏はアパホテルの創業者と社長の次男であり、現在は専務として多くの企業とコラボ商品を生み出しヒットさせています。元谷氏は学生たちに「アパホテルって聞いたことがありますか」と問いかけます。学生の多くは利用したことはなくとも知っている名前。ホテルは予約をする時に、まず検索エンジンで地名と共に検索されます。「そのとき表示されても、聞いたことがないホテルだと怪しいと思われて選択肢に入らないんです」と話し、名前を覚えてもらうことの大切さを伝えました。 元谷氏の仕事の功績として特に大きなものがホテルにあるプールの底に、企業や商品のロゴを大々的に描くなどを行うネーミングライツ事業です。ポカリスエットやコカコーラ、タリーズなどの大企業や、味ぽんやバスロマンなど一風変わった商品ともコラボ。それによりホテルの宿泊者がSNSに写真を上げ、その投稿により話題にしてくれるようになります。ネットニュースに取り上げられさらに広がっていくことも。 宣伝ということに触れ、「皆さんも自分をブランディングしていくというのが大事だと思います」と話しました。 コロナ禍にもめげない コロナ禍では旅行・観光業界は大きな打撃を受けました。ホテル業界も同じく大変な状況でしたが、その中でアパホテルは国の依頼を受け、新型コロナウイルス感染者(軽症者)を受け入れる「ホテル療養」の場所として全面協力しました。業界大手のアパホテルが協力したことで、その後他社ホテルもホテル療養に協力する流れができていったのです。 アパホテルは女性の応募が多いことも特徴。女性社員が多く活躍しています。ホテルの仕事の主業務は接客です。ただ、その他にも売上や予約の管理、清掃などのほか、フランチャイズ事業やIT、グローバル事業など様々な仕事があります。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)には力を入れていて、アプリでワンステップ予約やチェックインができるシステムを構築しています。 アパホテルで大切にしているのは「TIME IS LIFE」。お客様の大事な時間をいただいているという考えの元、貴重な時間にやすらぎを与えることを理念としています。 自分の強みを知り工夫しよう 元谷氏は活躍し続ける人の特徴を3つにまとめました。 1つ目は困難があってもリカバリーが素早くできること 2つ目は時流を読む力や情報収集能力があること 3つ目は常に学び続ける姿勢 です。「現状維持は衰退です」と元谷氏。好奇心を持って行動することが大切と語りました。また、工夫とは常に「工夫ズ」という複数形であると話します。1回の工夫は自己満足に過ぎず、「チャンスは工夫した直後にもうひと工夫するところから生まれます」と語りました。 ここで元谷氏は、学生たちに近くの席同士でその人の良い所を伝え合うワークを行わせました。「優しい」「笑顔がいい」など言葉が飛び交います。元谷氏は「自分の思っている自分と相手の見ている自分は違います」と話し、「自分の知らなかった自分も含めて、自分の魅力に磨きをかけておくことが大事です」と伝えました。 爪痕をのこす自己紹介とは? 「人間は生涯で2万回自己紹介をする」と話します。多い人では10万回に上るといいます。覚えてもらうためには「自己紹介は3秒でする」ことをアドバイスしました。キャッチフレーズなど短い言葉で印象付け、また会いたいと思ってもらえることが大事だと話しました。「恥ずかしがっていたらもったいない。工夫して戦略的にすることでチャンスに恵まれます」と語りました。 最後に元谷氏は「応援される人になりましょう」と話します。「応援される人は実力以上にチャンスが増えます」と言い、相手から応援したくなる人物になっているかという目線で自己プレゼンをすることをアドバイスしました。そして「皆さんのこれからを応援しています」と講演を締めくくられました。 授業の最後に、元谷氏は沢山のお土産を学生たちに配ってくださいました。面白いコラボ商品などもあり、学生たちも笑顔に。 また会いたくなる自己紹介をしよう アパホテルに就職した本学卒業生の菅澤優花さんからも挨拶をいただき、「今回は母校での講演に来られて良かった」と話されました。 学生たちは最後に感想を発表し、「自己紹介を3秒でというのが印象に残りました」というものや「時は命という考えが印象的で、時間はお金に変えられない貴重なものだと感じました」と話しました。 改めて自己アピールの大切さを知る機会となりました。
「実践キャリアプランニング」の授業で実践女子大学短期大学部OGのSurpass石原社長による女性のキャリアについて講演が行われました。
共通教育科目「実践キャリアプランニング」の合同授業(担当:深澤晶久教授、髙橋裕樹特任教授)で、株式会社Surpass(以下、Surpass)社長の石原亮子氏による「日本に於ける女性のキャリア形成」についての講演が行われました。自身の経験を交えて、自分を知ることの大切さやキャリアデザインについて語られました。石原氏は実践女子大学短期大学部の卒業生。社会の第一線で活躍している先輩の話を伺い、学生たちも女性のキャリアについて知る機会になりました。 実践女子大学卒業の先輩! OGでもある石原氏は「実践女子大学の卒業生は企業でも評判がよく、しっかりキャリアを築き活躍している方が多いです」と社会に出ても実践女子大学のDNAを感じる、と話を始められました。 学生時代は勉強熱心な方ではなかったという石原氏。しかし、社会に出てから「正解がないことに挑戦をすることが向いていた」と言います。生命保険やベンチャー企業、複数の会社の営業の経験を経て、2008年に28歳で起業しました。 Surpassは法人相手に営業DXの支援などを行っており、女性をメインとした営業アウトソーシング会社です。企業における女性役員・管理職の数はまだまだ日本では少ないのが現状です。そこでSurpassでは「女性活躍という言葉がなくなる日」を目指し、「女性活躍推進総研」という女性のリーダーを育成する事業も行っています。Surpass自体も従業員の8割が女性。福利厚生に低用量ピルの支給を行うなど、女性の働きやすい環境作りに力を入れています。そのような取り組みを行なっているため若い世代からの注目度も高く、SNS上でのアンケート「Z世代の注目企業2022」にもランクインしました。 女性が自分らしく活躍するために 学生時代は、起業するなんて夢にも思っていなかったと言う石原氏。起業しようと思ったきっかけは、友人たちでした。友人の多くは勉強もでき性格も良い尊敬できる人物なのに、就職してから「私なんか」と自分を過小評価し、楽しそうに働いていなかったと言います。そんな友人たちをみて、自分らしく働き活躍して自信を持って欲しいという気持ちが沸き上がり、起業をしたと語りました。 現在日本の男女間での雇用形態や収入の格差はまだまだ大きく、女性活躍にはほど遠いのが現状です。特に年収は、男女で全く同じ仕事をしていても3割違うと言われており、「社会に出るとこれが当たり前になってしまい、違和感を持つことを忘れてしまいます。これを変えるには、皆さんの視点が非常に重要になってきます」と語りかけました。 迷ったときにブレないためには? 「今は情報に溢れ、選択肢も多く、どう生きるかを決めることが難しい時代です」と石原氏。そんな、何を基準に物事を決めればいいか迷った時に、一つの軸となる考え方を教えてくださいました。ゴールデンサークル理論と呼ばれる考え方です。「Why(なぜ)」→「How(どうやって)」→「What(何を)」の順で物事を考えるやり方で、「何をするのか」ではなく「なぜするのか」を中心に考えます。石原氏は「この方法を覚えていると、今後何かに迷ったときに、何のためにやるのかということに立ち返れると思います」と、ブレずに選択できるようになると話しました。 自分を知ろう ここで、石原氏は学生たちに一つのワークを行いました。それは「あなたの中にあるエレファントシンドロームは何ですか」というもの。エレファントシンドロームとは、自分を縛り付けている見えない鎖のこと。「どうせできない」と諦めていることは何か、それはどんな経験が原因か、断ち切るには何をするかを書き出してみるワークです。時間が与えられ、学生たちは真剣にシートに書き出していきました。 しっかり書けた学生もいれば、言語化することが難しかった学生も。日本の教育では自分自身について知らずに社会に出ることが多いと言い「なぜ自分の足が止まるのか、自分がなぜ嫌だと思うのか分からないままでは他人をマネージメントしたり説得したりすることはできない。これは自分を知るためのワークです。」と語りました。 これからの時代のキャリアを考える 最後に石原氏は、未来に向けたキャリアデザインについて話されました。そこで「事務職を希望する女性は多いですが、もう事務職はなくなる前提で考えましょう」と衝撃の発言が。AIの発展もあり事務職はすでに人が余っているため、それを見据えた職探しをするべきとアドバイスをされました。その中で「営業職はキャリアの土台になります。営業で身に付いたコミュニケーション力、ヒアリング力、プレゼンテーション力、プランニング力や仕事の得方は、フリーランスになったりキャリアアップしたりした時にも使えるスキルです。」と話しました。 「皆さんが思っているよりも、自分に眠っている能力は本当に沢山あります」と石原氏は語りかけました。社会に出るとやりたくない仕事も沢山ありますが、一生懸命に取り組むことで新しい自分や可能性に出会え、「それが仕事の一番の報酬ではないかなと思います。これからの皆さんのご活躍を祈念しています」と講演を締めくくられました。 担当教員からのメッセージ キャリア教育の授業に初めてご登壇いただいた石原様、本学のOGでもあり、学生の表情はいつも以上に真剣であったと感じました。石原様のお話しにあった、「もっと自信を持って、一歩前へ踏み出して欲しい」このお言葉は、私も日々感じていることでした。実践女子大学の学生のポテンシャルは計り知れないものがあります。とにかく行動してみる、このことから必ず違う景色が見えてきて、それが大きな自信につながると思います。その意味からも、素晴らしいロールモデルである石原様のご講演をお聞き出来たことは、大変に貴重でありました。この場を借りて、石原様には心から感謝申し上げたいと思います。
大学生の今、考えよう!「グローバルキャリアデザイン」の授業でマイナビ顧問による「なぜ働くのか」を問う講演が行われました。
共通教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、10月13日に株式会社マイナビ(以下、マイナビ)顧問の浜田憲尚氏による講演が行われました。就職活動で利用必須のサービスを提供している企業の方のお話に学生たちも興味津々です。就職活動を前にした学生たちは改めて「働くとは何か」「なぜ働くのか」を考えるきっかけとなりました。 「働く」を考えるには今しかない! 浜田氏による講演はこの授業でも恒例となってきつつありますが「学生の皆さんの前で話すことはめったにないので、毎回緊張します」と、前置きをして話し始められました。コロナ禍も終息しつつある現在、企業の採用意欲は急激に回復しつつあります。それは新卒に限らず、中途採用やアルバイトなどすべての雇用形態に言えること。どの業界も人手不足です。そんな中、まさに就活を目の前にした学生たちに改めて考え直してもらいたいのが「なぜ働くのか」ということ。今働かなくてはならないのか、どこで、どんな仕事をするのか。浜田氏は「それらについて深く考えるタイミングとしては今がとてもよい」と話し、「そのタイミングを活かさない手はない」と言います。なぜなら日本は依然として新卒一括採用が主流のため、たくさんの企業が情報を提供し就活生たちを受け入れようとしているから。改めて働くとは何かを考える講演が始まりました。 企業と人をつなぐ仕事 マイナビは1973年創業。今年で50周年を迎える人材系の広告企業です。主にインターネットなどのメディアを通して人と企業を繋ぐ事業をメインに行なっています。就活生はもちろん、アルバイトや転職、アスリートなどさまざまな人材と企業とのマッチングを行なっています。マイナビの企業理念は「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる」。ユーザーの人生に寄り添い、日常生活のあらゆる場面で使ってもらい、それによって前向きに人生が進んでいけるように支援することが目的です。 現在は海外展開事業のサポートを行なっている浜田氏ですが、なんと就職活動をせずにマイナビに入社したと言います。面接の時間を間違えて行った会場で、当時の人事部長に声を掛けられ、とんとん拍子で最終面接まで進みそのまま入社されたそうです。そのため最初は「アルバイト感覚だった」と話します。ただ「会社は楽しく、仕事も向いていると感じ打ち込めた」ため、こんなに長く勤められたと言います。この経験から、浜田氏は「深刻に考えすぎないこと」をアドバイスしました。「一生懸命就活しても、一生勤められる企業かは分かりません。入ってからが勝負です。自分に合わないと感じたら、あるいはさらに新しいビジネスに挑戦したいと思ったら転職も考えていい」。希望する企業が見つからないからと言って悩みすぎないようにと語りました。 たくさんの情報から何を目的に働くかを考える 就職活動を目前にした学生たちは不安も多いもの。ただ、ここで浜田氏はひとつのアンケート結果を見せました。2023年8月に現4年生に行った「就職活動を漢字一文字で表すと?」の結果は、1位が「楽」。夢や将来が広がると前向きにとらえている学生も多いのです。ただ2位は「苦」。「苦労したからこそ頑張れるという面もあります」と浜田氏。「就職先を見つけることが目的になってはいけない。親や周りに言われたからと流されてしまわずに、自分の判断で見つけることも大事です」とアドバイスしました。 ではベストな就職とは何か。何がベストなのかは人によって異なります。その答えを見つけるために働く目的を考えることが重要です。「働く目的は人それぞれでいいと思います」、しかし仕事は糧(かて)を得るための手段であることは、誰にとっても共通しています。その「糧」を得る上で自分にとって何が重要か、自分の価値観や何にやりがいを感じるかを掘り下げ、それを企業が持つ理念やビジョンと照らし合わせる中で共感できる部分があるかどうかを確かめることが就職活動の第一歩として重要だと浜田氏はお話されました。 学生にとってベスト就職を実現するために、マイナビでは自己分析をサポートする機能や、インターンシップ情報、そして求人情報を質量の面から充実させています。できるだけ多くの選択肢からベストな1社を選んで頂くために、掲載企業数やその情報の質にこだわってサービス提供をしています。浜田氏は「マイナビをフルに活用してぜひ悔いのない就職活動就活をしてください」と講義を締めくくりました。 OGからも貴重なアドバイス 実はこの授業を受講したことがきっかけで、2名の本学卒業生がマイナビに入社しています。この日はOGである中嶋さんと渡辺さんも駆けつけてくれました。 授業の最後には質疑応答の時間が設けられ、浜田氏や先輩たちへたくさんの質問が飛び交いました。「長く働き続けられたのは何が要因?」という質問に、浜田氏は「自分の成長と会社の成長を重ね合わせられたのが良かった。頑張ったらきちんと報われたのも大きい」と話しました。 先輩たちにも「就職活動前の今、やるべきことを教えてください」という質問が。渡辺さんは「普段生活の中で目にする会社は本当にほんの一部。セミナーやインターンにたくさん参加してください。私も色んな会社を見たからこそ、いろんな会社に関われるマイナビに入社しました」と回答。「就活の軸を決めたきっかけは?」という問いには、中嶋さんは「男女差のない仕事をしてしっかり稼ぎたいと思ったので、営業職を選びました。将来は転職することも視野に入れて自分の市場価値がさらに高まる会社を見つけていこうと思った、だからこそ、今の仕事に注力したい」と回答されました。 これから就職活動を行う学生たちにとってより就職活動について身近に、深く考えられるきっかけとなる授業でした。 担当教員からのメッセージ 私が企業の人事部時代に、採用業務を全面的にサポートいただいたマイナビ様、その時に浜田様と出会ってもう20年の歳月が流れます。こうして毎年、ゲストしてお招き出来ていることに、とても大切なご縁を感じています。 就職活動、採用活動も時代とともに様々な変化があることは肌で感じています。しかしながら、毎年、この時期に浜田様のお話しをお聞きして感じること、それは、「人と人とのご縁」だと思います。一期一会を大切にすることで、きっと素晴らしい会社が見つかり、長く長くお付き合いできる方との出会いが生まれると思います。学生たちの就職活動での健闘を祈り、改めて浜田様に心から感謝申し上げたいと思います。
社会がより良くなるためには?「グローバルキャリアデザイン」の授業でILEC理事長による講演が行われました。
10月20日に、3年生対象の共通教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、公益社団法人教育文化協会(ILEC)理事長の相原康伸氏による講演が行われました。雇用や教育の問題、女性活躍について、日本と世界との関係など幅広い内容について語られました。理想を語ること、対話することの大切さについて学生たちは改めて学ぶ機会となりました。 労働と健康 相原氏はまず、コロナ禍が世の中を変容させたことについて触れました。「健康について嫌というほど意識する日々でした」と話し、世界保健機構(WHO)が出した健康についての定義を紹介しました。1つは病気にかからないことだけが健康ではない、ということ。身体だけでなく精神も健康であることは大事なことです。もう1つは社会的にも健康であること。「社会にも健康があるということは、私も大変新鮮な感覚でした」と相原氏。では、社会が健康であるとはどういうことかについて考える上で、たくさんのヒントになることを相原氏は話していきました。 相原氏は日本労働組合総連合会(連合)の前事務局長。連合とは日本の労働組合の中央組織で、政府や各経済団体に対し労働法制や労働環境の改善を訴求する役割を担っています。企業側は労働組合から協議の申し出があった時は受けなければならないと法律で決まっています。 ただし、組合側の求めが全て達成されるわけではありませんが、徹底した話し合いで、企業・労働組合双方が納得し得る内容で決定していく必要があります。法律から変えなくてはならない内容の場合は、労働者の代表として政府に提言も行う大きな役割をされておりました。 貧困の連鎖を止めるには 現在は国際的な労働や教育に対して様々な国で活動されている相原氏は「皆さんがこれから社会に出る上で必ず素養として身に付けておかなくてはいけないのが、異文化に対する普遍的な敬愛です」と言います。多様な文化を受け入れ仲間として活動する意識を持っておくべきだと語りました。 ネパールやスリランカなど発展途上国は貧困問題が深刻です。相原氏は子どもたちが教育とスキルを身に付けることで、その貧困から脱する手助けをされています。「重要なのは身に付けるだけではなく、雇用されるところまでサポートすること」と相原氏。雇用されれば税や保険料を払い社会を支える立場になります。貧困の連鎖を止めるには雇用が重要ということ。「これは日本も無関係ではありません」と、話は日本社会について移っていきました。 女性が社会で活躍するために 現在の日本は人口が減少しています。高齢化は欧米諸国の4倍速で進み、若い世代は経済的不安から子どもが持てないというのが現状です。また、ひとり親家庭の貧困率や進学率は、一般家庭と大きな格差があります。特に女性と男性の賃金格差は顕著で、母子家庭と父子家庭の年収は倍近く違いがあります。この男女の格差はどこから出るのでしょうか。役職や仕事内容、評価だけでは説明できない差が存在してしまっています。「少し格好つけた言い方ですが、私たちの役目は、一人ひとりの可能性を拓くこと」と相原氏は語ります。こういった問題に対する対策を果断に進め「経済的な困難を取り除くことで可能性を拓くことにもつながる」と話しました。 社会では共働きがメジャーになってきています。ただ、日本では女性が社会進出することで出生率が下がる、という考えがまだ根深く、女性の権利が向上し労働環境が良くなることに対して誤解があると相原氏は話します。この誤解を正すには、まず集団のトップは男性であるという思い込みをなくさなくてはなりません。ここで相原氏は学生たちに中学校の生徒会長の男女比について質問を投げかけました。7:3の比率で手を挙げる学生が多い中、正解は8:2。「このバイアス(偏見)は難敵です」と、自分たちがこの偏見を変えるという意識を持つことの大切さを話しました。「どんなライフステージでも当たり前にキャリアを積み上げて行ける社会をつくるために、実践女子大学で学んだ知見は大いに役立つはず。皆さんには大いに期待しています」と力強く仰いました。 今の世界と日本 今、世界ではロシアとウクライナの情勢やパレスチナ紛争などが起こり、国際的に困難な状況にあります。世の中の秩序が安定してこそ経済を伸ばしていける状況になりますが、今のままでは相当な困難が伴います。「逆を言えば、だからこそ日本の社会が変革し、現実を理想に近づけていく必要がある」と話します。「青臭い議論、大いに結構」と、理想を語る大切さを伝えました。 そのために大切なのは当事者だけでなく他の人はどうだろうかと考え、よりよい社会に向けた「ソーシャルダイアログ(社会対話)」が重要であると話しました。相手に意志を伝え相手のことを分かろうとすること。そのことで喜びが広がり社会につながっていく。「相手の幸せが自分の幸せのように感じられる社会に、というのが私の理想です」と、相原氏は講演を締めくくられました。 理想を持ち行動しよう 授業の最後には学生から質問がありました。「理想を言うことが大切だという話がありましたが、理想を言うのは難しいことです。理想を発言する方法は?」という問いに、相原氏は「まずは、自分の中に理想があるかどうか。その理想を自分の仕事に落とし込んで、自分に近づけること」と回答されました。学生たちも理想を掲げ、対話することの重要性を再度考える機会となった講演でした。 担当教員からのメッセージ 毎年、高い視座、広い視野の大切さを、シャープな語り口で学生に届けて下さる相原様、今年は、例年に増して広く世界を見つめることの大切さを説いて下さいました。そして、社会が変わらないと嘆くばかりでなく、まずは投票行動など、身近で、誰もが出来るところから行動することの大切さもお話しして下さいました。「Think Global Act Local」常に世界を意識しつつ行動する事、これからの21世紀を生き抜くためには、その重要度が増していることを強く感じるお話しでした。毎年貴重なお話しをありがとうございます。心から感謝申し上げます。
レースのストールから何を作る?日本女子大学の学生との共同プロジェクトで栄レースとのコラボ授業が行われました。
8月7日に滝澤 愛准教授(生活科学部生活環境学科)による栄レース株式会社(以下、栄レース)とのコラボレーションプロジェクトが行われました。栄レース株式会社とは、1958年から日本でリバーレース生産を開始し、現在では世界シェアNo.1のメーカーです。世界で唯一、デザイン・企画から製品化までを一貫して対応しており、レースデザイナーが日々デザインを考え、革新的なリバーレースを送り出し続けています。その洗練された最高峰の織機で仕上げられたリバーレースは、多くのオートクチュールメゾンや高級ランジェリーから熱い支持を受けております。今回は本学の学生だけでなく、日本女子大学・家政学部被服学科(以下、日本女子大)の学生も参加する共同プロジェクトです。この日はストールから別商品を作り出し、各々が自作した商品案を実際に見せながら特徴をプレゼンテーションしました。 レースを活かして洋服にも和服にも合うものを 4月から取り組んできたレースのストールから別の商品を生み出す課題の最終発表です。学生たちは実際にストールから商品を自作し、提示しながら良さをアピールしました。また作業の工程や時間から、希望商品価格まで考え発表しました。 最初の発表は実践女子大の学生から。和服の羽織を考案しました。コロナ禍も開けはじめ観光需要も戻っている現状に合わせ、訪日外国人向けの商品として考えました。レースの模様は和服だけでなく洋服にも合うため、和服を持っていなくても幅広い需要があると話しました。制電糸を使い、静電気を抑えながら水色とベージュの2色のストールを組み合わせて作成。秋などの肌寒い季節に販売することを想定し、袖口の透け感がきれいになるように工夫しています。希望価格は、裁断を工夫したり作業に慣れたりすれば4万円を切れるのではと伝えました。 次の日本女子大の学生は3点発表。レースをアクリルファイルと紙で補強して作成したアクリルバッグは、洋服にも和服にも合うデザインです。アクリルバッグなので雨でも活用できるのも利点です。ポンチョと作り帯も考案しプレゼンしました。 若者にもミセス世代にも使いやすいものは? 次の実践女子大の学生は、黒いレースを活かしたビスチェを作成しました。ビスチェは若い世代で流行っていますが、落ち着いた柄で年齢問わず使いやすく、ミセスの方でも手に取りやすい上品な作品になりました。前開きができ、着やすい工夫も。値段は1万5千円前後で考えていると発表しました。 日本女子大の学生はアームカバーとポーチを発表。1枚のストールから複数作成することができるため、ひとつの販売価格を3千円前後と手に取りやすい金額で提供できるものを考えました。 次の実践女子大の学生もアームカバーを考案しました。黒やベージュ、ピンクと色、そして長さもさまざまなものを作成。。主に日焼け用として使われているアームカバーには、レースを利用した商品展開は少ないと分析し、需要があると考えました。ミセス向けには二の腕まである日除け用の長いもの、若者向けにはおしゃれ用にも利用できる肘までの短いものを提案。レースの種類によって透け感もさまざまで一点ものとしての面白さもあると伝えました。ストール1枚から3セット作れることもあり、4千円前後のお手頃価格で販売できるのではと発表しました。 トートバッグやポーチにも 次の日本女子大の学生はトートバッグを作成。キャンバス地の布地にレースを貼り、しっかりと自立する実用性のあるトートバッグです。もう1点はレースの巻きスカートを考案。デパートや百貨店での販売を想定したため、クラシックバレエをされている方向けの商品を考えました。 次の日本女子大の学生もトートバッグを提案しました。ピンクでカジュアルテイストなものを作成し、スマートフォンも入れられるポケットやリボンのチャームなど若者向けのデザインに。サイズが大きめのもので、1万5千円ほどの価格帯で考えています。 実践女子大の学生は、旅行の時に利用できるランジェリーポーチを発表。内側にファスナー付きのポケットが付いていて、ランジェリーを2セット入れられます。折りたたんでポーチ型にすることで持ち運びやすく、旅行時にも利用しやすいものを提案しました。価格帯は8千円前後を考えています。 日本女子大の学生は他にも着物の付け襟や、トートバッグ、ビスチェ、手袋などをそれぞれ考え、発表されました。 商品はどこで売る?価格の決め方は? 発表後には栄レースの皆さんから総評をいただきました。 澤村氏は「社内でもいろんな商品開発をしているが、先入観があったなと気付かされました。サンプルを預かって具体的な方向で、社内で検討したいです」と商品化に前向きなコメントを下さいました。 坂本氏は「今回私たちも学生とのコラボは初めて」と話し、「授業もあるなかで大変だったんじゃないかと思います」と学生たちをねぎらいました。 後期は第二弾が始まります。Z世代向けと母親世代向けそれぞれターゲットを定めたレースを使った商品を考えます。学生たちからは、価格の決め方について改めて質問がありました。「どこで作ってどう売りたいのかも考えてほしいです」と坂本氏。地方の工場で作るのか、東京で職人が手縫いするのか、海外で販売するかなども含めプレゼンテーションしてほしいと要望がありました。「アイデアは、こんなものでもいいのかな、などは考えなくていいです。楽しんで作ってください」と話し、今までとは違ったものや、レースを使った新しいものを考えてほしいと話しました。 後期に参加する学生はレースを受け取り、次回に向け作戦を練っていました。 滝澤先生からのメッセージ 栄レース株式会社様からのお声掛けで、商品企画を学生にさせて頂くことになりました。学生自らが最高級リバーレースという素材に向き合い、市場を鑑みながらそれを用いた商品のデザイン、アイディアを考え、練り、手を動かして形にしてプレゼンテーションをしていく、その一連のプロセスを通して、大学の学びを踏まえて応用的な実学を経験しています。このような産学連携で、実際に百貨店などで販売を予定している商品案を、原価を基にした価格決定や顧客層も考えながらデザインしていくことは、学生にとっては得難い、非常に貴重な機会となっています。この商品企画は第3段まで続きますので、学生の成長がとても楽しみです。実際にアイディアが採用され商品化されるのはこれからですが、もし販売に至りましたら、店頭で是非ともお手に取って頂けましたら幸いです。
JWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト) 資生堂グローバルイノベーションセンター視察研修を行いました。
2023年度のJWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)活動(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の第一弾として、10月28日(土)に、1~4年生のメンバー18名とともに、横浜みなとみらいエリアにある「資生堂グローバルイノベーションセンター」を視察してきました。 ◆美から考えるウェルビーイング 今回のテーマは「美から考えるウェルビーイング」とし、株式会社資生堂の中田美奈子さん、山名淳さんから「資生堂の目指すウェルネス・ビューティー」と題して特別講義をいただいた後、資生堂グローバルイノベーションセンター内にあるS/PARK Museum、S/PARK Studioなどを見学させていただきました。 たまたまハロウィンの季節限定特別イベントである「セカンドスキンメイク」の体験にも参加させていただき、最後は資生堂パーラーの S/PARK Cafeでのランチと、盛りだくさんのプログラムを体験してきました。 爽やかな秋晴れの土曜日の午前中、まさに「ウェルビーイングなひととき」を過ごすことが出来、ビューティーという視点からウェルビーイングを考える大切な機会となりました。 今年度のJWP活動には、「美」「幸福学」「デザイン思考」そして「学びの型」の4つの視点からウェルビーイングを考えるプログラムが組み込まれています。 ◆参加した学生のアンケートより 本日S/PARKを視察させていただき、資生堂さんのこれまでと、今後どんな方向を向いているのかを学ぶことが出来ました。私たちの親世代が使う化粧品のイメージで、手の届かない存在と考えていましたが、私たちが今考えているwell-beingをBeautyと心の健康の面から考えていて、繋がる部分を感じることができて嬉しかったです。また、環境との共存の為の活動も行っており、well-beingに向けた活動がとても進んでいる素晴らしい企業だと感じました。私も、生活における様々な面からwell-beingを考えていきたいです。今回見学や資料で見せていただいたS/PARK内もとても印象的でした。常に新しいアイデアが浮かびそうな心が弾んだりリラックス出来る環境が創られていて、仕事を全力で楽しむことができる素敵な場所でした。私は理系でも無ければ「美」の知識はまだほぼ0なのですが、それでもここで働きたいと思うような素敵な体験をすることが出来ました。素晴らしい機会とお話をありがとうございました。(人間社会学部2年) 美から考えるウェルビーイングに繋げることができました。資生堂は、常に時代にあった「美」「ビューティー」を追求しているのだと分かりました。そこから時代や環境によって「美のあり方」が変わるのだと考えました。また、ハロウィンイベントでは女性だけでなく男性もメイクをしていて、すごく印象に残りました。その関係もあるのか、体験してる子供の中に男の子もいたので、化粧=女(性、の子)という印象は徐々に変わっていくと思いました。そうすることで美からのウェルビーイングの可能性はより広がると思います。見学では、たくさんの化粧品をみてとても心躍りました。メイク初心者の私は化粧品を買い物中に眺めるだけの時間も好きで、なぜ好きなのかが「遊び心を忘れてないから」だということが見学してわかり、その展示がとても印象に残りました。化粧品だけでなく、人からの意見を取り入れるための部屋(環境)づくり、バランスを考えた食事など資生堂が考え、取り組んでいる美について学ぶことができてよかったです。はじめは美と聞くと女性の印象が強かったですが、今回の視察から新たな発見ができました。貴重な経験ができて本当によかったです。(人間社会学部1年) 担当教員からのメッセージ 約15名でスタートしたJWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)の活動も、3年目の今年は、1~4年生あわせて40名の学生が参加してくれる大型プロジェクトへと成長してきました。授業でもゼミ活動でもない、あくまでも有志の学生から構成される取り組みであるので、参加している学生は、主体性に溢れ、好奇心旺盛で、そしてキャリアデザインに前向きな学生ばかりです。 今回は、私自身が所属していた資生堂の新しい研究施設、世界に開かれた、まさにオープンイノベーションな環境の中で、歴史の大切さと新しい時代に立ち向かう企業の姿勢を限りなく感じられる空間での視察は、まさにウェルビーイングを考えるのに相応しいスペースでした。 この活動を通じ、一人ひとりの学生がウェルビーイングを考えるきっかけを掴み、21世紀を先導する人間として飽くなき成長を続けてくれることを期待したいと思います。 最後になりましたが、我々を快く受け入れて下さった、資生堂の中田美奈子さんと山名淳さんに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。 文学部国文学科 深澤晶久教授 ※頬には、当日実施していた「セカンドスキンメイク™」で ハロウィンのイラストを体験しました。
「国文学マーケティングプロジェクト」の授業で資生堂企業資料館の館長による「本物」の美意識を知る講演が行われました。
9月28日に国文学科「国文学マーケティングプロジェクト」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、資生堂企業資料館の館長・大木敏行氏による特別講義が行われました。講義後には登場した戦前の化粧品現物を見る貴重な機会も。学生たちは株式会社資生堂(以下、資生堂)の歴史を通じ、本物へのこだわりや誠実さ、変革力と自立などの精神を学びました。 歴史にはそれを動かしてきた人のドラマがあります 館長の大木氏は1980年に資生堂に入社されました。深澤教授と同期です。主に医薬品・ヘルスケア事業部で勤務し、2013年から資生堂企業資料館に携わっています。 資料館は静岡県掛川市にあります。この日も新幹線で久しぶりに上京されての講義となりました。資料館は1992年に開設。今年創業151年を迎える資生堂の長い歴史の中で生み出された、貴重な商品や宣伝製作物などを一元的に収集・保存し、その一部を一般公開しています。 大木氏は、資生堂を一言で表すならば「変わらないために変わり続けてきた会社」だと言います。いつの時代も本物をお客様に届けたいという想いを持ち、変化を恐れず挑戦を続けてきました。「歴史にはそれを動かしてきた人のドラマがあります。自分自身に置き換えて思いを巡らせながら聞いてください」と大木氏は話を始められました。 今も受け継がれる「本物」へのこだわり 資生堂は1872年に薬局として誕生しました。1888年には日本初の練り歯磨きを発売。それまで流通していた粉歯磨きの10倍近い価格と非常に高価なものでしたが、大ヒットしました。その当時の最先端の科学に加え、陶器に入った高級感、原料の厳選など、本物志向が人々に受け入れられたのです。品質、パッケージともに最新の技術や材料、美的感覚全てにわたり最高なものを作り上げること。この「本物」へのこだわりが資生堂のエッセンスとなりました。 初代社長は「ものごとはすべてリッチでなければならない」という哲学を持っていました。リッチなものは心を豊かにする、という美意識に基づき、資生堂は次々と商品を開発します。1897年発売の化粧水「オイデルミン」は「資生堂の赤い水」と今も親しまれていました。1917年には当時おしろいと言えば白が主流の時代に七色のおしろいを発売。また香水を芸術品まで高めることを目標に、日本的な美意識の詰まった香水も発売しました。目指したのは「美しい生活文化の創造」です。「美」でこの世界をよりよくしたい、という想いは今も「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」というミッションとして掲げられています。 世界で活躍する女性像へ 大木氏は1960年代から表れた「反資生堂スタイル」について説明されました。それまでの資生堂のポスターなどは繊細で優美なイメージの女性が多く採用されていました。そこに1966年キャンペーンディレクターとなった石岡瑛子氏は違和感を覚えます。その時発表したのが太陽のもと小麦色に焼けた肌で健康美を訴求した女性のポスター。従来の静かにたたずむ女性とは真逆な、画期的なデザインでした。 ポスターはたちまち話題となり大人気に。これは単に伝統と反対のことをしたのではなく、時代に応える最善を尽くし自分の感覚を信じ、もがいた結果だと大木氏は言います。「大切なのはいつの時代も伝統の上に挑戦と革新をしていくこと」、「データに基づく発想はもちろん重要ですが、世の中の動きを正確にキャッチし自分の直観力を合わせることが新たなイノベーションを生み出すことにつながる」と話しました。 さらに資生堂を代表する女性として永嶋久子氏が紹介されました。1962年から、美容部員として世界各国で活躍した人物です。 ハワイのパイナップル畑で働く女性に美容講習会を行い、生まれて初めて肌をお手入れしてもらった現地女性は感動し「あなたから買いたかった」とすぐに商品を買いに来た話など、さまざまなエピソードが紹介されました。日本人に対し今よりも偏見や差別が大きかった時代に、「肌に触れ、心に触れる」を信条に国や文化の違いを越えてお客様に向き合い続けた姿勢は、まさに資生堂の美意識を体現された人でした。 目の前のことを自分事として真摯に対応する 「資生堂は、変わらないために、時代や社会に合わせ様々な変化に挑んできた歴史があります」と大木氏。「そしてそれは皆さんにも言えることです」と語りました。いつも真摯に行動し、現状に満足することなく失敗を恐れずチャレンジする精神。「大事なことはやりっぱなしにせず、責任を持ち自分事として捉えることです」と話しました。 講演の終わりには、資料館からお持ちいただいた貴重な品々を間近で見る機会があり、ガラス瓶や陶器の繊細なデザインに、学生たちも見入っていました。 授業の最後に学生たちが一人ずつ感想を述べました。「七色のおしろいが印象的で、当時から個人の悩みに向き合っていたんだなと感じました」と商品へのこだわりを感じた学生や、「企業として利益だけでなく社会に寄り添う理念に触れ、自分もそのような信念を持って働きたいと思った」と美意識に共感した学生も。 特に永嶋氏のエピソードは多くの学生の印象に残ったようでした。「永嶋さんの目の前の人に真剣に向き合う姿に感動しました」というものや「今より外国で女性が働くことが難しい時代の、貴重なお話を聞けてよかった」といった感想がありました。資生堂のカウンターで化粧品を買ったことのある学生は「いつも美容部員さんの対応が気持ち良く、その根本が分かった」と話しました。 大木氏も「永嶋さんの話に伝わるものがあったようで良かった。最後は人間力が社会を変えるんです」と話され、最後は学生たちとともに笑顔で写真撮影に臨まれました。 担当教員からのメッセージ 資生堂の大木さんには、この授業が始まって以来、毎年、ご講演をいただいています。大木さんとは、会社時代の同期であり、大変ありがたいご縁をいただいています。その間、資生堂は150周年を迎えましたが、大木さんはまさに生き字引と言える社員であり、毎年、素晴らしいお話しをいただいています。日本文化や、言葉など、一つ一つにこだわりを持つ資生堂ならではのエピソードも沢山ご披露いただきました。この場を借りて心から感謝申し上げます。
問いを立てる力を養おう!高校生を対象にした探究学習サポートイベント「ナレッジ・スクランブル」が開催されました。
8月9日に高校生向け探究学習サポートイベント「ナレッジ・スクランブル」が開催されました。株式会社トモノカイ(以下、トモノカイ)のサポートを得て大学での学び方のヒントを伝えるワークショップや、講義形式の学部セッションが行われました。さらには日本航空株式会社(JAL)による特別コラボセッションも。高校生たちは学びの先に自分のやりたいことや関心ごとを結び付け、「問いを立てる」主体的な学習法を体験しました。 「どこ」に着目して「どのように」見る? 最初はトモノカイによるスタートワークショップから。「高校までの学びは答えのあるものでしたが、大学からは問いを作ることが重要になってくる。今回は問いを作る練習をしてみましょう」と始まりました。高校生たちは数人のグループに分かれ緊張した面持ち。本学学生も各グループに2名ほどが付き、サポートします。 大学の学部は自分が関心をもっている事柄の中の問題に対して「どこ」に着目して「どのように」見るかが大きな違いです。例えばゴミ問題を例にしてもゴミそのもの、収集する人、収集車のCO2排出など、何に着目するかで変わります。また、それを科学的に見る、文学的に研究するなどどのように分析するかで全く違った切り口での見方になります。自分なりにどういう見方をしたいかを知ることが、学部を選ぶときのヒントです。高校生たちは、さっそく問いを広げる練習ワークに挑戦しました。 国際学部セッション:AIを活用し英語学習を深めよう ここからは希望の学部ごとに分かれ、それぞれ学部と企業の講義を体験します。 来年新設される国際学部からは三田薫教授が登壇し、英語学習にAIを取り入れることを提案しました。話題の文章生成AIであるChatGPTを実際に利用しながら講義は行われました。受験勉強としても必須である英語学習ですが「翻訳なら機械のほうが優秀な時代です」と三田教授。それでも英語を学ぶ理由はなにか、と問いかけました。必要なのは専門的な内容を話せて交渉できる英語力だと話します。学習にはインプットが重要と、リーディング量を大幅に増やすことが大切だと伝えました。 そこで活用できるのが生成AIです。自分の興味のあるテーマを打ち込めば、関連する文章を作成してくれ専門用語や知識も同時に身に付く質の高い教材が出来上がると紹介されました。専門用語だらけで難しいと感じた際は、易しい英文に直すことも可能。一語を切り取ってより詳しく深堀することもできます。 おすすめのテーマはSDGs。世界中の関心事のため、国内外どこでも話せる話題になります。今回は「航空燃料」を例に取って実際に三田教授が生成AIを使っていきました。自分専用のリーディング教材を作成し、音読することで、英語学習の幅や深さがレベルアップすると勧めました。 国際学部の企業セッション:航空会社の環境への取組とは 次はJALによる企業セッションです。JAL産学連携部人材開発グループの塩崎雅子氏による、JALのSDGsへの取組についての紹介がありました。最初に地球温暖化についての説明から。現在地球はCO2をはじめとする温室効果ガスにより、大気から熱が逃げにくい状態になり猛暑日の多発や台風、森林火災など多くの異常気象が起こっています。この問題に航空業界も真剣に取り組んでいるのです。 航空機のCO2排出量は全世界の2%を占めます。JALでは、燃費の良い高性能の機材に更新したり、エンジンの洗浄を定期的にして燃焼効率を高めたり、水の積載量を調節して機体重量を軽くしたりと様々な取り組みを行っています。そのなかで特に重要なのが「SAF」の活用です。SAFとは持続可能な航空燃料のことで、原料は都市ごみや使用済の食用油、木材、海藻など。従来の燃料では、採掘する際にもCO2を出してしまいます。地上にある原料を使うSAFを活用することでCO2排出の総量を減らすことが目的です。しかしSAFはまだまだ供給量が少なく高価。国産で安定的にSAFを供給できるような体制をつくることを目指しています。2030年までに全体の10%をSAFに置き換える目標をかかげ、ライバル社である全日本空輸株式会社(ANA)とも協力し、共同で研究しています。 「周りを海に囲まれている日本にとって、飛行機は世界を身近に感じるためになくてはならない乗り物です。これからは未来の燃料を使い、人にも環境にも優しい旅の実現を目指します」と塩崎氏は講義を締めくくりました。 人間社会学部セッション:時間軸・空間軸で地域を見て課題を考えよう 人間社会学部からは原田謙教授が登壇し、社会学の視点から考える探究のコツを伝授しました。社会学とは地域をはじめとする社会の変化や課題を探究する学問です。社会を見るための方法の一つ目は時間軸で同じ地域や社会を考えるやり方です。今現在の東京と、50年前の課題は当然違います。もう一つは空間軸で考えること。都心エリアと郊外ではどう違うかを見ます。 ここで原田教授は高校生たちにQRコードを利用したアンケートを実施。「今の東京における地域の課題とはなんでしょうか?」学生たちはゴミのポイ捨て、ホームレス、満員電車、治安、猛暑などさまざまな課題を次々に挙げていきました。 原田教授は現在の課題のひとつとして都心の人口増加を上げました。しかし50年前は地方から来た人に対する住宅不足が問題でした。そのため1970年代には多摩地域など郊外のニュータウン開発が盛んになり、いったん都心人口は減りますが1990年代から再度人口が増え始めました。「この現象をジェントリフィケーション(都心回帰)と言います」と原田教授。時間軸で考えることで都心が常に人口増加しているわけではないことが分かります。 社会学の研究は「自分自身で社会を観察、アンケートやインタビューで調査して一次データを取ることが強み」と原田教授。統計を見る量的調査だけでなく、フィールドワークを通しデータを集める質的調査を行うことで、より自身が探究したい課題に取り組めると話しました。高校生たちは社会学のエッセンスを感じられる講義となりました。 人間社会学部企業セッション:航空会社が行う地域活性化の取組って? 続いてJAL産学連携部人材開発グループの田中優子氏が登壇され、地域活性化のためにJALが行っている取組についてお話しされました。JALは航空運送業で、各地に空港や支店、グループ会社があるため、日本中にネットワークがあります。それらを活かして、なにかJALも地域活性化に貢献できないか、と取組を行っているのです。なぜJALが地域活性化に取り組むかと言えば、背景に「ESG経営」があります。現在企業経営の在り方として重要視されている考えで「皆さんはまだ高校生ですが、今後、就活をされる際、企業の考え方を知るのに役立つと思います」と田中氏は解説しました。 JALグループの取組のひとつに「JALふるさとプロジェクト」があります。その一環として、地域産業を支援し特産物の商品開発やプロモーションを行っています。商品はふるさと納税やJALグループのネットワークを通じて販売し、販路・物流の活性化も促しています。CAが地域に移住し、より地域の課題に寄り添えるJALふるさとアンバサダーという制度も。他にも多くの取組が紹介されました。「地域との交流は以前からありました。繋がりの大切さを感じるプロジェクトです」と田中氏は講演を締めくくりました。 問いを立てることはやりたい仕事の選択につながる 2つのセッションを終えた高校生たちは再度一番最初のグループへ戻り、それぞれの学部や企業のセッションで学んだ視点を、自分が関心のある社会問題に組み合わせて問いを立ててみることを試みました。「どこ」を「どのように」扱うかを考えるということは、自分が何を目指すのか、なぜそう思うのかを考えることにつながり大学での学びや、ひいては企業や仕事の選択にもつながります。 最後にグループ内で発表し合い、それぞれの考えを聞いていた高校生たちは真剣ながらも笑顔を見せつつ、体験学習を楽しんでいました。