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共働き世帯が住みやすい住宅を作る!人間社会学科の授業で旭化成ホームズとのコラボ授業が行われました。 
共働き世帯が住みやすい住宅を作る!人間社会学科の授業で旭化成ホームズとのコラボ授業が行われました。 
9月29日に人間社会学科 原田謙教授の授業で、旭化成ホームズ株式会社の河合慎一郎氏による特別講義が行われました。社会の価値観の変化や、生活者に合わせた住宅の例を示しつつ、「LONGLIFE」な暮らしについてお話されました。学生たちには課題も提示。学生たちは11月にプレゼンテーションに臨みます。 いつまでもしあわせに暮らすためには? 旭化成ホームズは「住宅」を商品にしている会社です。戸建て住宅商品名である「ヘーベルハウス」は学生たちも聞き覚えがある様子。住まいを通して、安心で豊かな暮らしを実現することを理念としています。「つまり家だけではなく、最高な人生を提供したいという会社です」と河合氏が紹介されました。 河合氏は住宅設計士として旭化成ホームズに入社。これまで約450軒のマンションや戸建ての家を設計されてきました。現在はLONGLIFE総合研究所で、住んでいる人の価値観や時代の変化をとらえた新しい暮らしを研究されています。「LONGLIFEとは、長持ちするという意味ですが、単に家が長持ちすることだけを目指しているのではありません。住んでいる人の暮らしが、いかにハッピーな状態で長く続くかが重要です」と河合氏。 防犯防災、環境配慮についてはもちろん、子育てや働き方、ペットの有無などによって暮らし方は変わります。ミドルライフやシニアライフの研究も行っており、「今では浸透した二世帯住宅という言葉を作ったのは、HEBEL HAUSなんですよ」と話しました。 変わって行く社会に価値観 「今日は主に共働き世帯に注目して、価値観の変化と住宅商品開発の歩みをみていきます」と、河合氏はさまざまなグラフや表を提示しました。日本では1980年代以前は専業主婦世帯が当たり前で共働きはほとんどいませんでした。1986年に男女雇用機会均等法が成立。1990年代ころから共働きが徐々に増えていき、2000年代頃に拮抗。その後専業主婦世帯は急速に減少していきました。いまでは7,8割が共働き世帯です。 河合氏は30年前と現在の女性誌を比べて、価値観の変化についても話します。「昔は主婦を応援するようなおかずの作り方などがメイン。家事や育児を上手にこなすことを求められていました。いまは仕事も子育ても両立し、自分自身が輝ける行き方を求めるようになっています」。 答えは生活者のなかにある 旭化成ホームズは世の中の変化に合わせて住宅を開発してきました。1989年には、「共働き家族研究会」を発足させ、フルタイムで働く夫婦をターゲットに家事の省力化を提案しました。ダブルボール洗面台や買いだめ可能な収納庫などを備え付けに。今でこそ当たり前なオープンキッチンも開発しました。しかし、当時は時代がその発想に追いついていませんでした。開放的なキッチンは、あまりにも先進的だったのです。 河合氏自身も共働き世帯。まだ子どもが小さかった2010年代、息子を抱っこして娘の手を引いて買い物していた際の思い出を話してくださいました。レジの女性から「お父さん大変ね、大丈夫?奥さんに逃げられたの?」と聞かれたと言うのです。当時も調査では共働き世帯は増えているデータを示していましたが、まだまだ浸透するのは難しい。それを痛感したといいます。「いつの時代も研究開発の出発点は生活現場です。今の時代もAIや新しい技術が出ていますが、正解は生活している人の現場にしか答えはないと思っています」と話しました。 2010年代に提供していた住宅は、家事に関心はあるものの、うまく取り組めない男性層を主なターゲットとしていました。家族全員が使いやすいキッチンはどんなものかを考え、空間の真ん中に作業台を設置。子どもも手伝いができるようにし、調理時間もシェアすることで思い出作りにもなる場所を提供しています。 これからの時代に求められる住宅とは? ここで河合氏から改めて課題の発表がありました。テーマは「新しい住宅のサービス・商品の企画を行う」というもの。「皆さんの思う、こんな住宅やアイデアがあったら面白いなという考えを考えて見てください」と河合氏は話します。そして「このときに使えるのが5W1Hのフレームワークです」。5W1Hは、いつ・どこで・なにを・どうして、といった要素を考えることで課題解決や企画発案を考えるフレームワークです。 課題の発表の際にはどんな住宅の提案か、どんな人がターゲット向けか、どんな工夫があるかをポイントに考えることを伝えました。また「この企画が世の中や使用者にどんな役に立つのかを考えましょう。自分たちが楽しいだけで終わらないものを提案してください」と話します。 「皆さんに問いたいのは、今の世の中にどういった商品、住宅を提供するのか。ユーザーはどんなことに困っている?いまはどんな社会変化があるかを考えてみてください。そのためにはターゲット層を具体的に決め、実際に話を聞いてみましょう。検索では出てこないオリジナルな情報を使ってみてください」。 4班に分かれ、学生たちはグループワークを開始。高齢化に着目する班や、30代の独身女性をターゲットする班など着眼点もさまざま。11月のプレゼンテーションに向かって資料作成に努力していきます。 担当教員からのメッセージ 3、4年のゼミ生は「都市と地域の社会学」と「ライフスタイルの社会学」というテーマに基づいてオリジナル報告を実施してきました。今回の講義は、家庭生活や働き方の変化をふまえた企業活動のお話だったので、学生もこれまでの社会学系の講義で学んできた事柄とのつながりを理解することができたようです。11月の発表に向けて、ヘーベルハウス/へーベルメゾンの取り組みをふまえながら、学生らしい提案ができるように奮闘中です! ご多忙の中ご講義頂いた河合様、本当にありがとうございました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
企業の美意識を知る!国文学マーケティングプロジェクトの授業で、資生堂企業資料館館長大畑昌弘氏による講演が行われました。
企業の美意識を知る!国文学マーケティングプロジェクトの授業で、資生堂企業資料館館長大畑昌弘氏による講演が行われました。
10月2日(月)に国文学マーケティングプロジェクト(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)にて、株式会社資生堂(以下資生堂)資生堂企業資料館館長の大畑昌弘氏をお招きし、企業の歴史と理念についてご講演をいただきました。国文学マーケティングプロジェクトは、文学部国文学科を対象に開講されている専門教育科目です。日本文学とかかわりの深い企業を主体的に調査研究することで、マーケティングと文学の関連性を意識し、学科で学ぶ意義をより深めていくことを目的としています。 講演のはじめに大畑氏は、「資生堂は『変わらないために変わり続けてきた会社』」と紹介し、「『世のためにという思い』『いつの時代も〈本物〉を造り出そうとしたこと』『創り出した〈本物〉の価値をきちんと届けること』この3つのこだわりを大切にしてきました。今回の講演で、それを感じていただけたら」と述べました。 資生堂企業資料館について 静岡県掛川市にある資生堂企業資料館。1992年に設立され、創業当時から今につたわる貴重な資料の保存・収集・展示を行っています。設立のきっかけは、1972年に社史である「資生堂百年史」を編纂したこと。資料収集を行う中で、統一された収集ルールと保管システムが求められ、企業資料の長期保存を目的に資料館が企画されました。 「資生堂企業資料館」公式サイトhttps://corp.shiseido.com/corporate-museum/jp/ 「資生堂企業資料館オンラインツアー」https://corp.shiseido.com/jp/company/museum/ 資生堂の創業 資生堂は1872年、福原有信が日本初の民間洋風調剤薬局として創業しました。1888年には、日本初の練歯磨〈福原衛生歯磨石鹸〉を発売。当時としては高価格でしたが、科学的な機能性や高級感を打ち出し、大きな成功を収めました。大畑氏はこれを「資生堂の本物志向や高品質へのこだわりが表れた商品」と紹介しました。 1897年には、資生堂初の化粧品〈オイデルミン〉を発売。赤い化粧水をガラス瓶に詰めたこの商品も高品質を追求したもので、「資生堂の赤い水」として評判を呼び、資生堂を象徴する存在となりました。 資生堂パーラーについて 資生堂のDNAである「先進性・高品質・本物志向・西洋風」を象徴する事業が、化粧品会社が飲食店を経営するというすこしかわったビジネスである、資生堂パーラーです。1900年、創業者・福原有信はパリ万博視察の帰路にアメリカを訪れ、ドラッグストアで人気を博していたソーダ水に着目。日本でも導入を決断し、機材だけでなくグラスなどの食器もすべて本場から輸入しました。本物へのこだわりが「まるでアメリカにいるよう」と評判を呼び、休日には遠方からも人が訪れる一大名物となりました。 これが発展し、1928年に薬局から独立したレストラン〈資生堂アイスクリームパーラー〉が開業。西洋料理の草分けとして人気を集め、高級志向と本物感を追求する場は文化人のサロンとしても機能しました。当時の小説に「資生堂」や「パーラー」が登場するほど文化的存在感をもち、その洗練されたイメージは資生堂全体のブランド形成に大きく寄与したと紹介されました。 「美と文化の発信者」という企業文化の確立 資生堂の美の提案意識を確立したのは、創業者の理念を継承した初代社長・福原信三でした。画家志望から家業を継ぎ、アメリカで薬学を学んだ信三は、1916年に意匠部と試験室を設立。パッケージや店舗設計、研究開発の体制を整え、現在の研究拠点の礎を築きました。また、鷹の図柄を廃し〈花椿マーク〉を考案、1927年には「資生堂書体」を制定するなど、時代に先駆け企業ブランディングを実施。資生堂のイメージの定着を図りました。 さらに、〈資生堂ギャラリー〉を開設して若手芸術家を支援し、美容科や子供服科を通じて総合的な美容文化を提案。文化情報誌〈花椿〉では、最先端の生活文化の発信と共に、時代の波によって刷新されていく新しい女性像を発信しました。大畑氏は「資生堂は単なる化粧品会社ではなく、文化を創造し生活に彩りを与えてきた」とまとめました。 資生堂の発展 二代目社長・松本昇は、震災や戦争の動乱期に資生堂の価値伝達の仕組みを経営的な側面から確立しました。大畑氏はその具体例として、「品質本位主義」など社員の精神を示す〈五大主義〉や、社員が本物の価値を届ける〈ミス・シセイドウ〉などの取り組みを紹介。 特に重要と話すのが、1923年導入の〈資生堂連鎖店(チェインストア)制度〉です。これは「お客さま・小売店・資生堂が共に栄える」という〈共存共栄主義〉の実践であり、乱売(大変安く売ること)されがちだった化粧品を契約小売店で正規価格のみ販売する仕組みでした。震災で販売網が打撃を受けた中、新しい販売経路を築く狙いもありましたが、資生堂の高級志向のブランドイメージが信頼を呼び、業界の冷笑をよそに契約は年間目標200件に対して1700件を突破。ピンチをチャンスに変え、資生堂の価値を世に広く伝える契機となりました。 時代に合わせた変化 資生堂は戦争で化粧品が奢侈品に指定され生産販売ができなくなった時代も、形を変えて存続しました。戦後では日本初となるカラーポスターを発表し人々に希望を届け、1960年代には特色ある販売キャンペーンを展開。その中で生まれた広告では「上品で清廉な資生堂スタイル」に対抗し、女性自身が求める新しい女性像を提示する「反資生堂スタイル」が登場しました(「太陽に愛されよう」ポスター)。さらに1980年代には「サクセスフルエイジング」を掲げ、老いを前向きにとらえる視点を社会に広めます。近年も、2011年の東日本大震災支援や、2020年のコロナ禍で手に優しい消毒液を開発し売上の一部を寄付するなど、社会の困難に寄り添う取り組みを実施。資生堂は災害や疫病の時代にも「できること」を模索し続け、常に時代に応じた価値を発信し続けています。 本物の価値を創造し、それらを伝えるため、時代や社会に合わせて様々な変化に挑んできた資生堂。大畑氏は「私も『今の私にできることを精一杯やろう』という気持ちで常に活動している。その中で何かしら皆さんや社会に寄与する会社でありたい」と、社員としての在り方を述べ、講演を終了しました。 鑑賞と質疑応答 講演の最後には、資料館から持参された貴重な品々を間近で鑑賞する時間が設けられました。会場では、大畑氏の解説を受けながら、1897年に販売が始まった化粧水「オイデルミン」のレプリカや、シーンに合わせたメイク方法を紹介する「ビューティーチャート」などが紹介されました。なかでも注目を集めたのは、日本で初めて女性ホルモンを配合したクリーム「ホルモリン」です。容器には、繊細な装飾と資生堂の花椿のロゴが施されており、大畑氏は学生に「率直な感想を聞きたい」と問いかけました。学生からは「小さくてかわいい」「ロゴのワンポイントが素敵」などの声があがり、大畑氏は「今の感覚を知りたかったのですが、やはり“かわいい”と感じてもらえるのですね」と満足そうに話しました。 その後の質疑応答の時間でも活発な意見交換が行われました。 学生から「働いている人の男女比率はどのくらいですか?」という質問が出ると、大畑氏は「美容部員を含めると女性が8割。含めなくても5:5か4:6くらいで女性が多いと思います」と回答。学生たちは、その割合が予想以上だったのか、驚いた様子を見せていた。 また「館長の仕事はどのようなことをしているのですか?」という質問には、「開館日・閉館日にかかわらず、見学案内や問い合わせの対応、資料整理や資料の貸出など、資料館ならでの仕事をしています。同時に複数の業務を並行して行うことも少なくないので、メンバーやアシスタントさんたちに対応いただくタスクの優先順位を決めたり、館内における基本的な決裁も私の仕事ですね。」と説明しました。 今回の講演は、文化にも寄与する企業の意識に触れる貴重な機会となりました。 担当教員からのメッセージ 国文学の学びと企業活動を結び付けて考えることをコンセプトにした本講座も6年目を迎えました。本講座には、資生堂と叶匠寿庵の2社にご協力をいただいて授業が進行していきます。まずは、資生堂企業資料館の大畑館長からの講話をいただきました。150年を超える長い歴史を持つ資生堂、常に時代の先導者として、「美」へのこだわりを繋ぎ続けてきた社員たちの深い思いがあります。そして、近代文学の中にも数多く登場する資生堂パーラーなど、国文学の学びが、企業の歴史の中に散りばめられていることを改めて学びました。大畑館長には、この場を借りて心から感謝申し上げます。
生成AIを制作パートナーに!サイバーエージェントとのコラボ授業が始まりました。
生成AIを制作パートナーに!サイバーエージェントとのコラボ授業が始まりました。
2025年10月14日(火)演習Ⅱb (担当:人間社会学部人間社会学科 粟津 俊二教授)にて、株式会社サイバーエージェント(以下サイバーエージェント)から川越寛之氏による特別授業が行われました。 授業と企業連携について 「演習Ⅱb」は、人間社会学部の2年生を対象に開講されている専門必修科目です。学科での学びをさらに深めるための基礎知識を身につけることを目的としています。粟津教授が担当するIクラスでは、「生成AIを活用し、社会連携プログラムの紹介物を製作しよう!」という課題に取り組んでいます。授業では、Web広告事業でAIを用いたクリエイティブを行っている株式会社サイバーエージェントと連携し、生成AIの活用方法を実践的に学んでいます。 今回の授業では、Geminiを使用し、さまざまな生成機能やAIのカスタマイズについて実践的な演習を行いました。 授業の初めに 川越氏はまず、サイバーエージェントについて紹介しました。同社は東京都渋谷区に本社を置き、インターネット広告・メディア・ゲームの3事業を主軸としています。川越氏はその中の「インターネット広告事業本部 AIクリエイティブ部門」の統括を担当しており、「生成AIの進化によって、数年前と比較し数倍の業務量をこなせるようになった」と述べました。 続いて「この授業で使用するAIは、Google社のGeminiとNoteBook LMです。コンテンツ制作の過程でどうしても作業量が増える、資料の読み込みや内容の抽出、構成の決定といった工程をAIに任せていきます」と説明し、「出力された結果のうち、どれを選び、どう活かすかは皆さん自身の判断と責任によるものです」と呼びかけました。 実践!Geminiに親しもう 川越氏は8月下旬にリリースされた画像生成機能「Gemini 2.5 Flash Image(Nano Banana)」を紹介しました。「この機能では、AI画像生成において革新的な“キャラクターや被写体の同一性を保持する技術”が実装されています」と説明。続けて「人物の写真を使って“○○風アート”を生成してみましょう」と呼びかけ、ワークが始まりました。 学生たちはそれぞれ自分の画像を使い、ステッカー風の加工など、簡単な指示を入力して画像を生成・変換する体験を行いました。川越氏は「同様の技術は、ファッションECサイトなどで“モデルの写真をAIで差し替え、服だけを変更して見せる”といったかたちで実用化が進んでいます」と述べ、現場での活用例を紹介しました。 続いて、OpenAI社が2024年12月に公開した動画生成AI「Sora2」についても触れました。「動画生成AIも急速に進化しており、短く簡単なプロンプト(指示文)を入力するだけで、質の高い動画を生成できるようになっています」と説明。また、Geminiにも動画生成機能は備わっていて、日々アップデートされて精度が高まっていると補足しました。 川越氏は、「サイトとの連動予約など、昨年AIにはできなかったことが今年は可能になっています。一年で技術が大きく進化している」と語り、AI技術の成長スピードの速さを強調しました。 生成AIのしくみ 川越氏はまず、AIの技術的背景について簡単に解説しました。 AIの研究分野の一覧を示しながら、「生成AIは、機械学習の一分野であるニューラルネットワーク(人間の脳の仕組みを模した情報処理のしくみ)と、その技術を応用したディープラーニング(コンピューターが大量のデータから自動的に特徴を学習する技術)を基盤としている」と説明しました。 さらに、「AIが考えて回答しているのではなく、AIが予測した候補の中から最も適切だと思われるものを選んで出力している」と、その仕組みを紹介しました。 ハルシネーションとその対策 続いて川越氏は、生成AIがあたかも事実のような誤情報を生成する現象(ハルシネーション)と、その防止策について紹介しました。 具体的な対策として、① 信頼できる情報源をAIに読み込ませること、② 回答に根拠や出典の提示を求めること③ Geminiの「Deep Research」など外部検索を活用することの3点を挙げました。 これらにより、AIが回答を生成する際の情報源を明確にすることが、より適切な生成につながると説明しました。また、Deep Research機能については、「投げかけたテーマに関する情報を、根拠を示しながらレポート形式でまとめる機能」と補足しました。 プロンプトとメタプロンプト さらに川越氏は、「良いプロンプト」の書き方についても解説し、「誰に向けて」「何文字以内で」「どのように説明するか」を明確に指定することで、期待に近い回答を得られると紹介しました。 続けて「これを毎回行うのは大変です。そのため、このプロンプト自体をAIに作ってもらおうと思います」と述べ、AIの動作指示を定義する“根本の設計文”ともいえるメタプロンプトを紹介しました。「これから皆さんには、このメタプロンプト(=プロンプトを書くためのプロンプト)を作成する準備を行ってもらいます」と述べました。 実践!Geminiをカスタマイズ 川越氏の指導のもと、学生たちはDeep Research機能を活用して出力された結果をもとに、Gem(特定の役割・話し方・回答形式などをあらかじめ設定できる機能)を設定し、メタプロンプトを生成するための環境を作成しました。 さらに川越氏は「AIの性格を考えて、自分の好きなように設定してみましょう」と呼びかけ、やり取りのスタイルを自由にカスタマイズするよう促しました。学生たちは考えた性格を設定に読み込ませ、自分専用のGemを作成。 この設定を行うことで、「抽象的な指示から的確なプロンプトを自動で生成できるため、自分でプロンプトを考える必要がなくなる」と説明しました。 また、AIの人格形成について川越氏は「特に指示や設定を行わなくても、やり取りを重ねる中で自然に形成されていく」と述べ、「これから何度もやり取りを行うため、チャットしやすい人格を設定することが大切」と話しました。 学生たちは、今回作成した自分専用のカスタマイズ設定を用い、今後の制作に取り組んでいきます。 担当教員からのメッセージ 生成AIを制作パートナーとするこの挑戦は、人間社会学部の学生にとって、社会で通用する実践力を養う貴重な機会になります。生成AIを使いこなして、社会連携の意義を伝える魅力的なコンテンツができることを期待しています。
Z世代に刺さる商品の提案!生活環境学セミナーにて、金吾堂製菓とのコラボ授業が始まりました
Z世代に刺さる商品の提案!生活環境学セミナーにて、金吾堂製菓とのコラボ授業が始まりました
10月9日(木)生活環境学セミナー(担当:環境デザイン学科 安齋 利典教授)にて、株式会社金吾堂製菓(以下金吾堂)から常務取締役 碓田憲司氏、商品企画室 小谷真理子氏、株式会社ロッケン(以下ロッケン)から小笠原真一氏をお招きし、コラボプロジェクトが行われました。 授業について 生活環境学セミナーは、環境デザイン学科の3年生を対象とした専門科目です。 意見交換や討論を通じて学生同士が学び合うゼミナール形式で実施されており、安齋先生のもと、計12名の学生がプロダクトデザイン(工業製品のデザイン)について日々学びを深めています。 連携企業の紹介~株式会社金吾堂製菓~ 金吾堂について碓田氏から説明がありました。 金吾堂は、米を原材料とした菓子を製造・販売する米菓メーカーです。50年以上にわたり愛され続けるロングセラー商品「厚焼」をはじめ、現代の食感トレンドに合わせた「ほろほろ焼」や「パリッと煎」、「おすきなひとくち」など、60品目を超えるせんべいを展開しています。 なかでも主力商品である「厚焼」は、「一日で焼き上げる厚焼を縦に積むと、富士山の約8倍の高さになる」といわれるほどの人気商品。「どこかで一度は見たことがあるはず」と話しながら、実物が紹介されました。 販売成績は好調に推移している一方で、主な購買層が50代以降に偏っているという“販売層の高齢化”が課題とされています。さらに、近年の原材料価格の高騰や米の調達難の影響を受けており、新たな購買層の開拓が必要であることが説明されました。 連携企業の紹介~株式会社ロッケン~ 金吾堂のパッケージデザインを担当しているのが、ロッケンの小笠原氏。 他にも、様々なパッケージデザインやブランディング(総合的なデザインを通じて製品の価値を高める戦略設計)を手がけています。また音楽業界でインハウスデザイナー(企業専属のデザイナー)としての経歴を持つ小笠原氏は、デザイン事例としてミュージシャンのCDジャケットや映画のポスタービジュアルなども織り交ぜながら実績を紹介しました。 ブランディングの事例として、金吾堂の「おすきなひとくち」シリーズを取り上げ、「シリーズ化を戦略に入れたパッケージデザインの提案だった」と述べながら画像と実際の商品を提示。統一されたデザイン様式と、一目で味がわかるパッケージ構成について説明しました。 「中身は変えていないのに、一時的に販売休止になるほど売れた。デザインの力で購買意欲を変えることができた」と語り、パッケージデザインが持つ影響力の大きさを強調しました。 課題の発表 企業の説明が終わった後、碓田氏から、「Z世代をターゲットに、厚焼のセカンドラインとして若年層に響く商品の企画立案」という課題が発表されました。 具体的に検討すべき要素として「パッケージデザイン」「味のバリエーション」「せんべいの形」「ライフスタイルに合った商品展開」の4点が示され、それぞれに「面白くカジュアルに」「Z世代にうけそうな新たなフレーバー」などの方向性が明示されました。碓田氏は「参考として、Z世代が好む味を分析した資料を紹介します」と述べ、資料を共有。ユニークでバリエーション豊かな味付けが好まれる傾向にあることがわかりました。 さらに、小谷氏からは課題の参考として、Z世代の嗜好傾向の分析と、金吾堂が実際に行っているパッケージ戦略の紹介がありました。小谷氏は「①カラフルでモダン」「②SNS映え」「③キャラクター活用と環境配慮」の3点を挙げ、「カラフルで差別化された、思わずSNSに投稿したくなるパッケージ」や「環境配慮素材を用い、その点を明示して社会的責任にも訴求する」戦略を紹介しました。 学生はこれらの点を踏まえ、商品企画とパッケージのデザインを進めていきます。 意見交換 机を囲んで、金吾堂のせんべいを味わいながら意見交換が行われました。学生が食べているせんべいのパッケージに関する質問では「音のなるパッケージが好みではなく、その時点で選択肢から外れる」「持ち運びにはチャック付きが便利でありがたい」「ながら食べをするので、せんべい自体が一口サイズなのはいい」と学生から素直な感想が寄せられました。 SNSのシェアに関する話題では、「パッケージをシェアすることはありますか」という質問に対し、「面白いものは共有します」との回答がありました。さらに、「大人数とつながっているアカウントでは“映えたい”気持ちが強く、率直な感想は親しい友人だけでつながっているアカウントで投稿する。パッケージやお菓子の感想を載せるのは、ほとんどが後者です」と、リアルなSNS利用の実態にも言及しました。学生の中には、「『おすきなひとくち』の写真に『これ大好き』というコメントを添えて投稿していました」と語る、すでに金吾堂のせんべいをシェアしていた人もいました。お菓子の投稿について、学生は「友達の投稿は信頼度が高く、自分も食べてみようというきっかけになります」と話し、企業担当者の三名は興味深そうにうなずいていました。 その後も、環境意識やお菓子の食べ心地など、さまざまな話題で活発に意見交換が続きました。 学生は最終提案に向けて、準備を進めていきます。 担当教員からのメッセージ 金吾堂の常務取締役、碓田憲司様、商品企画室 小谷真理子様、ロッケンの小笠原真一様、お忙しい中、遠いところお越しいただき誠にありがとうございます。学生にとってのお煎餅はどのような位置づけかと思っておりましたが、ゼミ生間のSNSで金吾堂様のお煎餅が話題になっていたり、おばあちゃんの家あったであるとか、別の授業でこのコラボレーションを紹介したところ、 「この金吾堂の厚焼煎餅は私が好きでよく食べているため、特に興味が湧いた。」というような内容がレポート書かれたり、意外と身近な存在であることが分かりました。つまり、学生にとっては馴染みがある、あるいは馴染みやすい存在なのかもしれません。であれば、かなり面白いことになりそうだという気がしてまいりました。意見交換でも、学生のスナック菓子の購買チャネルや食べ方が話題となり、その果てにはパッケージの袋の音まで話が及び、敏感かつ繊細な学生の感性に触れることもで来ました。まさに、「Z世代に刺さる商品の提案!」に近づきつつある予感を持てたミーティングでした。
学生が動画制作にトライ!英文学科プロジェクト科目bにて、映像制作会社ピクス(P.I.C.S.)とのコラボ授業が始まりました
学生が動画制作にトライ!英文学科プロジェクト科目bにて、映像制作会社ピクス(P.I.C.S.)とのコラボ授業が始まりました
2025年10月7日(火)にプロジェクト科目b(担当:文学部英文学科 鹿島千穂専任講師)にて、株式会社ピクス(P.I.C.S.)(以下、P.I.C.S.)プロデュースのもと、イリエナナコ氏をお招きし、動画制作の基本について講義が行われました。 授業について この授業は文学部英文学科の専門科目として開講されており、メディア広報活動として、英文学科の公式インスタグラムに投稿する動画の制作を行います。アカウントはこちら→https://www.instagram.com/jissen_eibun/ 動画制作のテーマは「高校生に向けた、実践女子大学英文学科のPR動画」です。制作した動画は、実際に公式アカウントに投稿され、SNS広報として発信される予定です。学生たちは今回の講義を通して、動画制作の流れや具体的な作業内容について、制作事例の紹介やミニワークを交えながら実践的に理解を深めました。 動画制作の基本 講師を務めたのは、クリエイティブディレクターのイリエナナコ氏。学生と同じ目線で机に座り、「カジュアルにいきたいですね」と笑顔で語りかけながら講義をスタートしました。イリエ氏は早速「最近好きだった動画は?」と学生たちに質問。「K-POPアイドルの動画」「配信の切り抜き動画」など、スマートフォンを見ながら答える学生たちに対し、イリエ氏は「今挙げてもらった動画には、ショート動画もあればロング動画もあります。動画にはさまざまな種類があるんです」とコメント。そこから、動画を構成する客観的な要素や魅力について、分かりやすく解説を始めました。 動画の種類を決定づける四つの基準「①制作がプロか個人か ②公開方法 ③コンテンツ内容 ④技術や形式」について解説し、各項目の詳細を説明したうえで、「今回制作する動画は、どの分類に当たるでしょうか」と学生に問いかけます。学生たちは「公式(プロ)による発信」「SNSでの公開」「広告・ブランディング」「ショートまたはロング動画」に該当することを確認しました。 その後のミニワークでは、「この分類に近い事例を探してみましょう」と呼びかけがあり、学生たちは検索に少し時間をかけながら、「アパレルブランドのInstagramリール」や「応援しているタレントが出演する飲食店のPR動画」などを例として挙げました。イリエ氏は「普段は自然に目にしているけれど、探そうと思うと意外に難しいものです。制作するものに近い“視覚的な参考例”を見つけておくことは、とても重要な工程です」と説明。「プロも夜な夜なこうした作業をしています」と付け加え、実際の制作現場でも欠かせないプロセスであることを強調しました。 実際の制作の流れ 授業では、PR動画「東京宝島」の事例をもとに、実際の動画制作の流れが紹介されました。制作は〈①企画を考える ②プレゼン ③撮影 ④編集 ⑤確認・修正 ⑥公開〉の6つのプロセスで進行し、この講義では特に①~③の工程について詳しく解説が行われました。 ①企画を考える 企画立案では「受け手にどんな行動を起こしてほしいか、どんな印象を与えたいかを考えながら、テーマ・メッセージ・構成を練ります」と説明。「どんな人に、どんな行動をしてもらうかを考えることも企画の一部です」と紹介しました。 ②プレゼン 企画書や絵コンテを用いて、動画の流れや世界観をチーム全体で共有する工程です。セリフの内容やタイミング、使用するBGMやカメラの動きなど、資料から撮影現場が想像できるほど詳細かつ具体的につくりこみ、チーム内やクライアントと「共通の完成イメージを共有すること」を目的としています。 イリエ氏は「目的に沿った内容づくりの大切さ」を強調。学生たちは、提示された条件ごとにCM出演者を考えるミニワークを実施し、「誰に何を届けるか」によってキャスティングが変わることを体感しました。 さらに「大学に入って初めて知った言葉を思い出してみてください」と問いかけ、学生からは「空きコマ」「単位」「オンデマンド」など学生生活に関する言葉が挙げられました。イリエ氏は「みなさんが高校生の時と同じように、動画のターゲットとなる高校生はこれらの言葉を知らないということです。動画はターゲットに伝わる言葉や内容で構成しなければいけませんが、それには想像力が必要です」と語りました。 続くミニワークでは、「CMのナレーションを考える」「ロケ地を選ぶ」「衣装を決める」といった課題に取り組み、選んだ理由とともに発表。イリエ氏は「実際の制作でも同じように、“理由づけ”をしながら細部を決めていきます」と述べました。 ③撮影 撮影において重要な要素として「構図」「カメラの動き」「光の当たり方」の3点を紹介。イリエ氏は「撮影を完璧に行うため、事前にロケハンを行い、絵コンテと照らし合わせながら試し撮りをします」と説明しました。さらに「カメラの動かし方やキャストの視線の方向まで、すべて事前に考えたうえで撮影に臨みます。その場の判断で調整することも多いです」と、リアルな現場の様子を伝えました。 チームと役割 講義の最後には、動画制作を支える多様な役割について、イリエ氏作の「診断テスト」を交えながら紹介。企画を担うプランナー、映像を編集するエディターなど、それぞれの専門職の特徴を説明しました。イリエ氏は「現場では常にいろんな人とグループワークしているような感覚です」と話し、「これから自分がどんな役割でチームに関わっていきたいかを考えてみてください」と学生に呼びかけ、講義を締めくくりました。 担当教員からのメッセージ 本授業は、学⽣が主体となって英⽂学科のメディア広報活動を行うプロジェクト科目です。実は、過去には英文学科のInstagram動画作成が正課外活動として実施されていた時期もありましたが、今年度より正式なキャリア教育科目としてスタートしました。 SNSでのコミュニケーションが日常となった今も、効果的かつリテラシーをもって発信する知識や技術を持ち合わせていないのが現状です。学生たちは映像制作の第一線で活躍するクリエイターから撮影・編集の⼿法を習得し、チームの仲間と協働して英文学科の公式Instagram動画を完成させます。 この授業回の翌週には、チームごとにプロデューサー、ディレクター、編集者、出演者、コピーライター等の役割分担が終わり、企画立案が始まりました。どのような案が出て、それをどのように映像化していくのか、楽しみです。
サンリオコラボグッズ開発プロジェクト参加学生にインタビューしました!
サンリオコラボグッズ開発プロジェクト参加学生にインタビューしました!
今回インタビューを行った企画は「サンリオコラボグッズ開発企画」です。本プロジェクトは、学生からの要望が特に多かった人気キャラクターとのコラボレーションを実現したものです。「何を売るのか」「どのキャラクターと組むのか」「大学の魅力をどう反映させるのか」、そのすべてを学生主体で企画・開発を行いました。 このプロジェクトは実践ウェルビーイングプロジェクト研究会(以下JWP=Jissen Wellbeing Project)の学生から参加者を募り、今年の5月から10月の期間に課外活動として活動しました。JWPは企業と共にウェルビーイングに関する考えを深めていく課外プロジェクトです。キャリア科目担当の深澤晶久教授が担当教員となり、毎年後期の期間中、有志の学生たちが企業訪問や講演、交流イベントを通じてウェルビーイングについて主体的に学んでいます。JWP参加学生が企画・運営を行うイベントも毎年開催されています。昨年の活動を取材した記事〈スポーツを通じたウェルビーイングとは?パリパラリンピックに出場した舟山選手との交流会を今年も開催しました!〉https://socialcooperation.jissen.ac.jp/topics/7820/ 今回インタビューに答えていただいたのは、企画のリーダーとしてプロジェクトに携わった三名の学生です。 左から 人間社会学部ビジネス社会学科 2年 石河凛迦さん    人間社会学部人間社会学科 3年 田中こころさん   人間社会学部人間社会学科 3年 永嶋紗菜さん ーお集まりいただきありがとうございます!参加のきっかけを教えてください。 石河さん「もともとコラボをしたキャラクターが大好きで、昨年深澤先生の授業を受けたときにも『この企業さんとコラボしてください!』とお願いしていました。春休みに『コラボプロジェクトを行うからぜひ参加してほしい』と声をかけていただき、参加を決めました。」 田中さん「企画やグッズ制作に興味はあったのですが、その機会に恵まれていませんでした。そんなときにプロジェクトのお知らせを見て、『これこそ自分がやりたかったことだ!』と思いました。コラボする企業のキャラクターも大好きだったので、すぐに参加を申し込みました。」 永嶋さん「以前久慈市のボランティア※に参加したことがあり、学生のうちにさまざまな経験を積みたいと感じていました。今回の募集を見て、『社会人になってからはこうした企画に取り組む機会は少ないのでは』と思い、良い経験になると考えて参加しました。」 ※実践女子大学は、岩手県久慈市と包括的な連携協力に関する協定を締結しており、連携プロジェクトを実施しています。〈実践女子大学HP 岩手県久慈市との連携〉 https://www.jissen.ac.jp/society/area/kuji/index.html ー企画の中で担当したところ、特に力を入れて取り組んだところを教えてください  石河さん「メインで動いていたのは永嶋さんと田中さんだったので、ミーティングでは自分の意見をしっかり伝えるよう意識しました。企画の中で特に力を入れたのはキャラクターの決定です。(ファイルを見せながら)このキャラクターたちは今年、それぞれ40周年と20周年のアニバーサリーイヤーを迎えており、企業としても追い風が来ていると感じました。『どうしてもこのキャラクターのペアがいい!』と二人にプレゼンをして、最終的に採用していただけました」田中さん「当初、私たちは先方から提案された別のキャラクターを採用するつもりでいたんです。でも、石河さんの熱いプレゼンを聞いて納得して、『じゃあそっちにしよう』となりました」永嶋さん(うなずく)石河さん「私は二人の後輩なので最初は気が引ける部分もあったのですが、意見を一つ一つ優しく受け止めてくださったので、自分の考えをきちんと伝えることができました」 田中さん「私はプロジェクト全体に関わっていたのですが、特に先生や職員の方へのホウレンソウ(報告・連絡・相談)を密に行ったことが一番頑張った部分だと思います。デザインを担当していたメンバーに進捗を確認して職員の方に報告したり、それをまたメンバーに共有したり。連絡のつなぎ役として、細かく進捗を報告するよう努めました」 永嶋さん「私は人前で積極的に意見を出したり引っ張っていくことが得意ではないのですが、その分、進めてくれていることが分からないときには質問したり、『いいな』と思ったことは『素敵だね』と声をかけたりしました。そうすることで会話や意見が活発に飛び交うよう意識していました」 ー活動の中で大変だったこと、それに対して工夫したことを教えてください。 石河さん「キャラクターをお二人にプレゼンするときは、ただ“使いたい”と伝えるだけでなく、自分がどんな考えを持っていて、どんな背景があってそのキャラクターを選んだのかをしっかり伝えるよう意識しました。自分の希望だけではなく、説得力を持たせられるよう工夫しました」 田中さん「このプロジェクトは5月から10月までと長期間にわたったのですが、一番悩んだのは夏休みでした。石河さんと永嶋さんは9月末に開催された学園祭の企画運営を行う団体を兼任していて、その準備で忙しく、どう連絡を取るか頭を悩ませました。対面で会う機会が少なかったので、モチベーションの維持やスケジュール調整がとても大変でした。」 永嶋さん「学園祭の運営委員では責任のある仕事を任されていて、そのうえでこちらの企画もあったので、やらなければならないことが重なり大変でした。その中で“自分にできることは何か”と考え、運営委員のみんなにこの企画の宣伝をしました。宣伝しないと買ってもらえないと思っていたので、知ってもらうきっかけになればと思って行動しました」 ー常磐祭の販売に携わってみていかがでしたか? 石河さん「実際に来てくれた方が『かわいい!』と褒めてくださったり、友人や家族が買いに来てくれたりしたときは、とてもうれしかったです。関わってくれたみんなと楽しみながら取り組むことができました」 田中さん「サークルの関係でがっつりと販売にはかかわれなかったのですが、合間の時間に販売状況を確認したり、困っていることがないか声をかけたりしました。来場者の方が実際にファイルを手にしている姿を見かけ、形になったものが誰かに届いていると実感できて、とてもうれしかったです」 永嶋さん「学園祭運営の仕事があり、販売にはまったくかかわれなかったので悔しい気持ちもあります。それでも、来場者の方が購入して手に持っている様子を見たり、『サンリオってどこで販売していますか?』という声を直接聞いたときに、“やっと形になったんだ”“みんな良いと思って買ってくれているんだ”と実感し、とてもうれしかったです。また、多くの人とのつながりを感じることができ、経験できてよかったと思います」 ープロジェクトに参加してよかったこと、成長したなと感じたところを教えてください。 石河さん「相手に何かを届ける、自分の意見を伝えるという点で成長できました。キャラクターを決めるときのプレゼンや、販売のときの声掛けなどを通して、自分が一生懸命に伝えようとすれば、きちんと耳を傾けてもらえるのだと実感しました」 田中さん「参加してよかったのは、やはりグッズ制作の企画に携われたことです。一番大きな成長は、プロジェクトの中心を担って全体を進めた経験だと思います。ここまでメインで引っ張る立場になったのは初めてで、先生や職員の方々と密に連絡を取ることも初めてでした。目標を立てて取り組むこと、物事の優先順位を考えること、そしてメンバー全員を巻き込みながらどうすれば良い雰囲気で進められるかを常に考えて行動できたことが、成長につながったと思います」 永嶋さん「企画に応募して、参加して、それが形になったこと自体がとても良い経験でした。また、試行錯誤してつくったものを、実際にお客さんの手に届けられたことも嬉しかったです。短期間のプロジェクトでしたが、これほど密にさまざまな人と関わり、活発に意見交換やアイデアをもらえたことは、大きな財産になりました」 ー今回のプロジェクトで得た経験で、今後に活かせそうなことはありますか? 石河さん「今回の経験は、学生生活の中で向上心が高まる大きなきっかけになりました。先輩方の取り組む姿勢が本当に素晴らしく、行動力はもちろん、安心感や信頼感もあって。『私もこういう女性になりたい!』と強く憧れました。学科ではプレゼンテーションやグループ活動の機会が多いので、先輩たちのようにみんなから信頼され、自分から積極的にグループを引っ張っていける存在になれるよう、これからも成長していきたいと思います」 田中さん「大学生活の中で、もっといろいろなことにチャレンジしていきたいと思いました。また、将来は商品企画の仕事に興味があるので、在学中に商品企画と販売の実績を積めたことはとても大きな経験でした。大学生活にとどまらず、この経験を今後のキャリアにつなげていけたらと考えています」 永嶋さん「今回の経験を通して、人の意見を聞くことの重要性、そして多くの人の協力があってこそできることがたくさんあるのだと実感しました。これからの大学生活はもちろん、いろんな人の意見をきちんと聞きながら、自分がまとめ役となれるような存在になりたいと感じています」 ー最後に、授業や他のプロジェクトとどうやって両立していたか教えてください。 石河さん「このプロジェクトのほかにも団体の運営を担当する立場が多く、いろんなミーティングが重なってあわてることもありました。その中で、“今はこれに集中するぞ”という時間と、ゆっくりする時間のメリハリをつけることで、なんとか乗り切ることができました。」 田中さん「並行してさまざまな活動を進めていたため忙しく感じることも多かったのですが、このプロジェクトを“任せてもらった”という実感が大きくありました。なにより自分が一番やりたかったことだったので、“何としてでも成功させるぞ”という気持ちが強いモチベーションになっていました。メリハリをつけるというよりは、隙間時間に連絡を取ったりデザインを確認したりと、常に何かしらを考えていました。限られた時間の中で、うまくやりくりしようという意識が強かったです。」 永嶋さん「学園祭準備の業務と重なる時期との両立は特に難しかったのですが、この二人が情報を共有してくれたり積極的に動いてくれたりしたことが大きくて。先に動いてくれたものにのっかる形で進めることができ、無事に両立して乗り切ることができました。」 ーありがとうございました! コラボクリアファイルは学内の売店で現在も販売中です! 担当教員よりメッセージ サンリオ推しの石河さんからの提案がきっかけとなった今回の企画、その後、実現に向けて企画メンバーを募り、田中さんと永嶋さんが中心となり、さらには、常磐祭での販売当日には、のべ25名の学生さんがサポートに加わってくれました。今年のJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)のメンバーの総力を結集したコラボ企画が実現しました。 当日は、多くの皆さんにお買い上げいただき、企画した学生も、購入いただいた多くの皆さんも、共に喜んでいただいた素晴らしい取り組みになったと思います。 学生のやりたいこと、夢の実現をできる限りサポートする、それが実践女子大学です。これからも、沢山の企画の実験に向けて、教員も職員も、サポートを続けていきたいと考えています。
食品衛生学bの授業で、サントリーブレンダー室長の明星嘉夫氏の特別講演が行われました。
食品衛生学bの授業で、サントリーブレンダー室長の明星嘉夫氏の特別講演が行われました。
9月29日(月)に食品衛生学b(担当:食生活科学科 大道 公秀 准教授)にて、サントリー株式会社(以下サントリー)スピリッツ・ワイン開発生産本部、ブレンダー室長の明星嘉夫氏をお招きし、サントリーの品質管理と、明星氏ご自身の経験から得たキャリア観についてご講演をいただきました。 明星氏はサントリーのウイスキーの生産と管理を担うブレンダー室長です。技術開発部で蒸溜などの商品技術開発に長く携わり、ブレンダー室に異動後はスコットランドでウイスキーの研究を経験されました。現在、山崎蒸溜所に勤務されている明星氏。山崎蒸溜所は、サントリーがウイスキーを蒸溜開始した1924年から稼働する、100年以上の歴史がある拠点です。 ブレンダーとは 明星氏はブレンダー室について「簡単にいうと、原料を組み合わせ、樽に眠る原酒をよりおいしくしていく部署」と紹介し、ウイスキーの製造や商品開発を担当していると述べました。そして、「ブレンダー」とは、ウイスキー製造の要である「ブレンド」という工程を担う社員のことを指します。五感を駆使して品質を管理するプロフェッショナルです。さらに「サントリーには約160万丁の樽があり、それぞれ熟成の状態が異なる。その一つひとつを社員が手作業でテイスティングし、原酒の状態を確認している」と説明しました。 「山崎」ブランドページ〈ブレンダーの仕事とは〉:https://www.suntory.co.jp/whisky/yamazaki/yamazaki_club/006/ サントリーの品質管理について 明星氏は、品質方針である「All for the Quality」を説明しました。質を最優先する管理体制を強調し、法律の基準のほかに独自の自社基準を設定していることを説明。両者をクリアした商品が世に送り出されていることを紹介しました。また、商品の製造プロセスの中でも、調達と製造が特に重要であると述べ、実際に行っている品質管理の取り組みについて説明しました。 具体例として、ウイスキーの製造プロセスの一つである発酵を取り上げました。明星氏は、ウイスキーの発酵中に酵母の数と微生物の数のバランスが崩れてしまう状態を「汚染」と呼ぶことを紹介し、品質を守るためには汚染を避ける必要があることを説明。「汚染状態になると酸っぱくなったり、腐敗した匂いを発することもある」と変化によって引き起こされる味の変化について述べ、「数値を測定するとその変化がわかるため、定期的に検査を実施している」と実際行われている品質管理の体制を紹介しました。 キャリアについて 明星氏は、就職活動について自身の経験を踏まえた考えを共有しました。「環境変化の早い業界では将来を見通すことが難しい」「業界ごとに傾向が異なるため、自分に合った選択が必要」「自分の価値を高めるには、自分がユニークな存在になれる場所を選ぶことが大切」と、身を置く場所によって自分の価値も変わることを示しました。 続いて、仕事への価値観について触れ、「どんな企業でも暗闇は迎えるもの。明けない夜はないと考え、社会のために自分ができることを選択してきた」と述べました。ウイスキー販売の低迷期に入社した経験に触れながら、先行きが不透明な中でもウイスキーのために働き続けたことを紹介。「なんのため働くか目標は変わっても、本質的な姿勢は変わっていない」と振り返りました。 明星氏はキャリアを重ねる中で「価値の軸」が変化した経験も共有しました。かつては技術開発のスキルや専門性を重視し、「人と関わることは苦手で、マネジメントの技術も重要視していなかった」と回想。しかし海外勤務の経験と、帰国後にマネジメント業務に携わるようになると、価値観は大きく変わりました。「苦手だと感じていた業務が仕事の中心となり、当時は大変だったが、確実な自己の成長を実感できた。それまでは自分のことを第一に考えていたが、次第に周囲を第一に考えるようになった」と述べ、さらに「自分のためではなく、人のため、集団のために行動することに価値を感じる新しい自分と出会うことができた。人が働く理由は自己実現だけではない」と語りました。 講演の最後に 最後に学生へのメッセージとして、「人として魅力ある社会人であることは、結果的に幸せな人生につながる」と述べました。具体例として、挨拶や誠実さといった基本的な行動を挙げ、「当たり前のように思えるかもしれないが、実は大切なこと」と強調しました。さらに「社会人としての姿勢を支えるのは、人間としてのあり方であり、その積み重ねが最終的に人生の幸福につながる」と呼びかけ、学生に向けて「この視点をもって今後の進路を考えてほしい」と結びました。 担当教員からのメッセージ 今回、明星様には食物科学専攻3年生の「食品衛生学b」の授業内での講演をお願いしました。食物科学専攻の学生は食産業に係るフードシステムや食品企業で商品開発に興味をもつ学生も多いため、明星様の講演を私たちはとても楽しみにしていました。明星様には、ウィスキーを例に挙げて、サントリー株式会社における品質保証や商品開発の取り組み事例をご紹介いただきながら、サントリーにおける食に関わるビジネスの展開について語っていただきました。産業界における品質保証の具体的事例を学ぶことは、「食品衛生学」の一環としても意義があったと考えています。また明星様にお話しいただいたウィスキーを例にした商品開発のアプローチは、食品ビジネスに関わる仕事がどのようなものかを知る機会になったと考えています。これらは食物科学専攻の学びとして大変意義深いものでした。授業の後半では、明星様にはキャリア形成についても語っていただきました。就職活動をこれから本格化していくような学生には大変参考になったと思っています。 教室では、熱心にメモをとり、うなずきながら聴講する学生の姿も見受けられ、担当教員として嬉しく思いました。  明星様には、お忙しい中、貴重な講演の機会を設けていただきました。本当にありがとうございました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
アップサイクルも体験!渋谷キャンパス常磐祭にてBEAMSが限定ショップを出店しました。
アップサイクルも体験!渋谷キャンパス常磐祭にてBEAMSが限定ショップを出店しました。
9月27日(土)・28日(日)に開催された渋谷キャンパスの学園祭・常磐祭にて、大手セレクトショップのBEAMSがショップを限定出店されました。当日は開場から盛況で、学生やそのご家族、同窓生まで幅広く来店しショッピングを楽しんでいました。この日は様々な理由で販売することができなくなったTシャツを再利用したマクラメワークショップも開催。多くの人でにぎわった当日の様子をご紹介いたします。 常磐祭にBEAMSが限定ショップを開店! BEAMSは、ひとり親家庭を支援するNPO法人グッドネーバーズ・ジャパンと連携し、中高生の子どもを持つひとり親家庭を対象に、衣類の無償提供会を定期的に開催しています。その会場として、今年の5月に本学渋谷キャンパスの1F「JISSEN PLAY BASE」を利用されました。そのときのご縁が繋がり、常磐祭の出店が実現したのです。 陳列されたのは、新品でありながらもさまざまな理由により正規品として販売されなかった製品たち。売れ残ってしまったものや、若干の汚れなどがあるわけあり品、撮影などで使用されたサンプル品などです。これらは品質に問題はなく、新品であることに変わりはありません。そこで、今回常磐祭で価格を抑えて販売することに。手にとっていただく機会をつくることは、SDGsへの貢献にもつながります。お値段は常磐祭限定の特別価格。学生でも手に取りやすい値段に設定されました。 限定ショップは開場から盛況。多くの学生やご家族連れ、卒業生などでにぎわいました。販売員として参加したBEAMS社員の方も「もっと持ってくればよかったですね」と話すほど。楽しそうに話しながら選んだり、体に当ててサイズを見たりと思い思いにショッピングを楽しんでいました。社員の方に実践生の印象をうかがうと「皆さん、上品でコミュニケーション能力が非常に高いですね」とお褒めの言葉が。「自分から話してくれるので接客していて楽しいです」と印象を話されました。 女子大と連携することで広がる未来 限定出店に際し、経営企画本部サステナビリティ推進部の本間氏にお話をうかがいました。「5月に行われた衣類の無償提供会『Happy Family Day』から今回の出店につながり嬉しいです。『Happy Family Day』では学生の皆さんに、レジ業務や接客を行っていただきました。母の日・父の日と関連付けて、各家族へ花束のプレゼントを行ったのですが、その贈呈を学生たちにお願いしていました。積極的に動き、嬉しそうに花束を渡していたのが印象的で、楽しんでものごとに取り組める学生が多いのだなと感じました。 BEAMSはファストファッションなどに比べると価格帯が少し高いこともあり、BEAMSは働く世代がメインの購買層です。今回常磐祭に出店することで、若い世代にもBEAMSを知っていただきたいと考えました。学生がファッションについてどう考えているか、生の声を聞き商品開発に活かせればとも思っています。」 Tシャツをマクラメでアップサイクル この日はBEAMSで様々な理由で販売できなくなったTシャツを再利用した「マクラメワークショップ」も開催されました。マクラメとは、長いひもを編み込んでいくことで模様を作ったりインテリアにしたりする技法のこと。一般的にはロープで作成されるものですが、ひも状であればどんなものでも編めるのがマクラメ。今回はTシャツの胴体部分を長く切り取って作ったひもを使用します。 4mほどの長いひもを色違いで2本用意し、半分に折ります。4本になったひもを、互い違いに輪を作って通し、編み込んでいきます。編み方は一見複雑なようで、順番を覚えてしまえば意外と簡単。くりかえし編んでいくと、きれいな模様に編み込まれた結び目が連なりました。端を大きく巻いて輪を作り、ドライフラワーをひもでつなげると出来上がりです。40分前後でシックながらドライフラワーの華やかさも伴ったインテリアが完成しました。 学生もショッピングやワークショップを体験 今回のワークショップは、元BEAMSのスタッフだった小野氏が、様々な理由で販売できなくなったTシャツを再利用できないかと考え企画されました。ドライフラワーも、花屋で廃棄予定のものから作られました。学生たちにもアップサイクルの理念を知ってほしいと、今回開催されたのです。 「告知を見て、楽しそうと思って参加しました」という学生もマクラメ編みを楽しんでいました。ドライフラワーや、ひもの色などを選ぶときは真剣に見比べて決定。出来上がった作品も「部屋に飾りたい」と満足の出来だった様子です。「リサイクルは意識しているけれど、新しく物を作るというのはあんまり考えたことはなかった。アップサイクルはやったことがなかったので、こんな使い方があるんだと知りました」と語り、SDGsについても楽しく学ぶ機会になったようでした。 本学は、今後も企業や地域との連携を通じて、学生が社会課題に向き合い、学びを実践する機会を創出してまいります。
「食産業演習」の授業で太陽化学株式会社による特別講義が行われました(8/5)
「食産業演習」の授業で太陽化学株式会社による特別講義が行われました(8/5)
 生活科学部食生活科学科の松岡康浩教授が担当する「食産業演習」の授業の中で、太陽化学株式会社 おいしさ科学館理事 山口裕章氏が8月5日(火)、講演を行いました。タイトルは、「マーケット視点から見たおいしさの可視化~客観的評価を手掛かりに~」。食品の「おいしさ」を客観的に評価するための考え方と機器分析によるアプローチに焦点を当て、人間の五感と「おいしさ」の関係性を解明する多様な分析技術とその応用例を紹介し、学生たちに食産業の多様性を示しました。 ――「おいしさ」の真実に感性と科学の両面からアプローチ この日のスピーカーは、食品メーカーのパートナーとして、おいしく健康に良い食品づくりのための素材を提供し、共同開発を通じて貢献している太陽化学の山口裕章氏。始めに「おいしさ」の構成要素や「おいしさ」と五感の関係、味覚やにおいの仕組みと特性など「おいしさの感覚」について説明し、食感を表す日本語の特徴に触れました。また、人の五感すべてで感じる複雑な「おいしさ」の感覚を科学的な手法を用いて客観的に捉え、データやグラフで分かりやすく示す「おいしさの可視化」の考え方について解説しました。 さらに、機器分析による「味覚分析」「におい分析」など、「おいしさ」を可視化するための具体的な分析方法も紹介。 講義の途中には、鼻をつまんでいるかいないかでアメの味がどう変わるか検証し、2種類のチョコレートの硬さと口溶けの感覚を評価する時間も設けられました。学生たちは五感をフル稼働し、おいしさの判断には味だけでなくにおいも重要であること、食品には食感の時間軸が存在することなどを学びました。  最後に山口氏は、「食品の分析、特に人の感覚を可視化する需要は今後高まっていくと考えられる。食品業界にはこのような分野に取り組んでいる会社があると知った上で、新たなキャリアパスの可能性を探ってほしい」と締めくくりました。 太陽化学株式会社おいしさ科学館理事 山口裕章氏のコメント 今回の授業で私が最も大切にしたのは、何よりも「食のおいしさに興味を持ってもらう」ことです。これから未来を描いていく若い皆さんだからこそ、何かを食べて「おいしい」と感じるその感覚や、「おいしさ」が生まれる背景に、純粋な好奇心を持ってほしいと考えました。  我々は自分たちを「単なる食品の分析屋」とは思っていません。我々は「食品メーカー」であり「食をつくり出す者」だと考えています。その根底にあるのが、「自分の家族に食べさせても、心から安心できるものをつくる」という信念です。このことも、学生の皆さんにご理解いただけたらありがたく思います。  「食品業界って面白そう」と少しでも感じてもらえたなら、これ以上うれしいことはありません。「食」という壮大で面白い世界で、皆さんをお待ちしています。 担当教員のコメント 「食産業演習」で目指しているのは、食という大きな流れを「川上」から「川中」、そして「川下」まですべて体感し、その現場で働く方々の「生の声」を直接聞くことにあります。机上では決して得られないリアルな学びを追求することが最大の目的です。  今回の講義のように座学ももちろん行いますが、夏休み期間中の8月から9月にかけては、「川上」や「川中」を体験するために食品工場や牧場、専門的な研究所に足を運びます。生産や加工の最前線で何が行われているのか。その営みにはどのような想いが込められているのか――。それをぜひ学生たちに実感してもらいたいと考えています。  さらに「川下」にあたる消費の現場を体験すべく、教員の引率のもと、本格的な懐石料理店やフランス料理店を訪れる予定です。ただ食事をするだけではなく、そこで腕を振るうシェフ本人から、料理に注がれた哲学やこだわりを直接お伺いします。普段の授業では到底実現できない、貴重な経験が得られることでしょう。  これら一連の体験は、いわば「実践」であり「実体験」そのものです。さまざまな切り口から食産業にアプローチすることで、その奥深さとそこで働く人々の情熱が、学生たちに伝わることを願っています。