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人工石の指輪の認知を広めるには?「実践デザインラボⅠ」の授業でBrillarとの特別コラボが行われ学生たちが施策を提案しました。
人工石の指輪の認知を広めるには?「実践デザインラボⅠ」の授業でBrillarとの特別コラボが行われ学生たちが施策を提案しました。
「実践デザインラボⅠ」(担当:人間社会学部社会デザイン学科 標葉 靖子教授)の授業で、12月19日に株式会社Brillar(ブリジャール)との特別コラボ授業が行われました。この日は1か月前に出された課題に対するプレゼンテーション。テーマは「人工石の指輪をひとつのライフスタイルや自己表現として広めるための具体的な施策を考える」です。学生たちはグループワークを経て発表に臨みました。 レンタルサービスで良さを広めよう Brillarの代表取締役である小原亦聡氏も来校し、「楽しみにしてきました」とコメント。「店にも来てくれたと従業員から聞いています。シャープな質問もあったそうですね」と、学生たちの調査力に感心していました。さらに「成長過程にあるブランドとして良い施策があれば取り入れたい」と、提案に期待を寄せました。 いよいよ学生たちの発表です。トップバッターは「カメレオン」チーム。人工石に関する意識調査では、人工石が指輪の素材として使用されていることを知らない人が83%にのぼり、まだ十分に知られていない現状や、従来の価値観によるイメージが課題だと整理しました。そこで提案したのが、名付けて「Brillar select」というレンタルサービスです。記念日や結婚式などで指輪やネックレスを1週間貸し出し、利用している様子をSNSに投稿するとクーポンが使える仕組みにして、人工石ジュエリーの認知向上と抵抗感の軽減を目指します。 発表後、小原氏から「以前、婚約指輪の購入者向けに結婚式でのレンタルサービスを行ったことがあります」と実例が紹介されました。過去に類似の取り組みも行っており、その可能性と課題の両面について意見交換が行われました。 SNSで若い世代にアプローチ 続いての「こしあん」チームはSNSの活用を提案しました。意識調査では、天然石を選ぶという従来の価値観が根強く、人工石を積極的に選びたいひとは少ないことを確認。そこで、SNSで情報を得ている若い世代にアプローチし認知度アップを狙います。利用するSNSは「X」で。バズっている投稿を検証し、画像や情報の発信方法などを具体的に提案しました。 「この仕事はInstagramから始めたので、いまでもInstagramに投稿が偏っているかもと感じました」と小原氏。「他のSNSへの対応やインフルエンサーへのオファーなどにも力を入れるべきかもしれませんね」とコメントされました。 「自分らしさとは何か」を問いかける 次のチーム「長女」は、人工石を宝石ではなくファッションとして提案するプレゼンを行いました。商業施設でミニランウェイを開催し、実物を見る機会を増やします。展示の場ではサステナブルな価値も訴求しやすいと説明しました。さらに銀座などの駅で、デジタルサイネージ広告を展開。イメージ動画も自分たちで作成しました。「自分らしさとは何か」を問いかけることで、新しい愛の表現としての選択肢を提示しました。 小原氏は「動画も作り込まれていて、完成度の高い発表でした」と感嘆されました。「主体的に選んでいるつもりでも、社会的なイメージに影響されていることは多い。新しい自己表現としての切り口はとても良いですね」と語りました。 キャラクターとコラボして展開 最後は「プリキュア6」チームです。意識調査から、ジュエリー選びの基準は「知っているブランド」であることが重視され、価格も大きな判断材料になると分かりました。宝飾業界は定番ブランドの基盤が強く新規参入が難しい一方、手に取りやすい価格帯であれば選択肢に入ることにも着目。そこで若者への認知拡大策として、ポップアップストアの実施を提案しました。カスタムチャーム作りやサンリオなど既存キャラクターとコラボすることで、ブランドをより身近に感じてもらう狙いです。 小原氏は「百貨店でポップアップを行ったことはありますが、若者向けではありませんでした」と振り返り、「キャラクターの力を借りるのも一つの有効な案ですね」とコメントしました。 意識調査からしっかりと 発表の締めくくりには、小原氏から総評がありました。「意識調査など大変だったと思いますが、どの班もしっかり調べていて素晴らしかったです。ありがとうございます」と、学生たちの努力をねぎらいました。さらに「気になってはいたもののやっていなかったところも指摘され、やはり力を入れるべきと気付かされました」と、学びの多い発表だったと振り返りました。 小原氏(株式会社Brillar代表取締役)からのメッセージ 今回の取り組みを通じて、モアサナイトという新しいジェムストーンに対する若い世代の率直な声に触れ、その可能性を改めて強く実感しました。既存の価値観にとらわれず、自分自身の基準で「美しさ」や「選ぶ意味」を判断する姿勢は、これからのジュエリーの未来そのものだと感じています。ブリジャールは、創業9周年を迎える中で、日本におけるモアサナイト市場を切り拓いてきました。まだ一般的ではなかった時代から、モアサナイトの持つ本質的な美しさと価値を信じ、発信し続けてきたからこそ、今こうして次世代の共感に繋がっていると考えています。モアサナイトは、単なるダイヤモンドなどの代替素材ではなく、これからの時代にふさわしい新しい選択肢であり、新しいスタンダードです。今回得られた若い世代のリアルな視点を大切にしながら、その魅力をさらに広げ、次の時代のジュエリー文化を形づくっていきたいと思います。 担当教員からのメッセージ 今回の社会連携プロジェクトでは、学生たちにとって実地調査や資料作成を通じて、立案に至るまでのプロセスを体験的に学ぶことのできる機会となったのではと思います。 あらためて学生にこのような貴重な機会をご提供いただいた小原様をはじめとするBrillarの皆様に厚く御礼申し上げます。
「深ゼミ Year’s Party 2026」が開催されました
「深ゼミ Year’s Party 2026」が開催されました
文学部国文学科の深澤晶久教授にキャリア教育を学んだ学生やOGの有志が集う「深ゼミ Team FAN Year’s Party 2026」が、3月14日(土)に渋谷キャンパスにて開催されました。 世代を越えてつながる、深ゼミ交流の広がり 当日は、過去最多となる94名が参加し、本学を卒業して多彩な企業で活躍するOGと現役学生が、学部・学科の垣根を越えて交流を深めました。 冒頭では、木島葉子理事長にご登壇いただき、本学の卒業生として後輩たちへ温かいエールが送られました。 理事長のあいさつの後には、参加した卒業生一人ひとりから、現在の仕事やこれまでのキャリアについて簡単な自己紹介が行われました。多様な分野で活躍する先輩たちの話に、学生たちは熱心に耳を傾けていました。 会場では、在学生とOGによるグループセッション(ワールドカフェ)が行われ、就職活動への不安や悩み、業界選択のポイントなどについて活発な意見交換がなされました。セッションごとに席を移動しながら、多くの先輩・後輩が交流する様子が見られました。 さらに、キャリアや大学に関する内容をテーマとした「深ゼミクイズ」も実施され、会場は大いに盛り上がりました。 約3時間にわたり、学年や立場を越えた交流が行われ、久しぶりの再会を喜ぶ姿や、新たなつながりが生まれる様子が随所に見られました。 深ゼミは2015年にスタートし、これまでに800人を超える学生・OGが参加しています。本イベントは、学生と卒業生がつながり、互いに学び合う場として、着実に広がりを見せています。 会場の様子 担当教員からのメッセージ 「大学の価値は卒業生が決める」こんな言葉を日々学生に伝えてきました。「社会で活躍して時々母校に帰る、その姿を学生がロールモデルとして目標にする」そんなサイクルを作れないかと思い10年前に始めた「深ゼミ」も10年が経過しました。最初は15名ほどでスタートしたこの会も、約100名の卒業生、在学生が集う会へと発展してきました。母校に誇りを持ち、先輩後輩の絆を深め、大学生としても卒業生としても矜持を胸に、さらに活躍して欲しいと考えています。
デザイン思考で挑戦!実践プロジェクトbの授業にてTANZO、ゼクシィとの連携授業の最終発表が行われました。
デザイン思考で挑戦!実践プロジェクトbの授業にてTANZO、ゼクシィとの連携授業の最終発表が行われました。
1月14日(水)、実践プロジェクトb(担当:美学美術史学科下山肇教授)の授業にて、鍛造指輪株式会社(以下、TANZO)常務取締役 曽我石 龍之介氏と株式会社リクルートのゼクシィ編集部(以下、ゼクシィ) Divison総括本部 マリッジ&ファミリーDivision 朝賀しお莉氏、鈴木莉乃氏をお招きし、学生の提案の最終発表が行われました。 授業と企業連携について 実践プロジェクトbは、2年生以上の学年を対象に開講されている共通教育科目です。問題解決(PBL)型授業で、企業から渡される課題に対して、学生が解決策の提案を行います。この授業では、課題に対する解決策を考える方法としてデザインの考え方を取り入れています。 今年度はTANZO、ゼクシィとの企業連携が行われ、ブライダル分野の課題に挑戦しました。TANZOは婚約指輪や結婚指輪を中心にオーダーメイドの指輪を製作・販売を、ゼクシィは結婚に関する総合的な情報発信を行っています。 授業のあゆみ 初回授業では、曽我石氏、朝賀氏、鈴木氏が来校し、〈新しい出会いの手段を創造する〉という課題が発表されました。その後、それぞれの企業の紹介とブライダル業界が抱える課題点が共有されました。学生には、課題として既存の出会い方にとらわれない「新たな出会いの手段」を見つけ出すことが求められていると伝えられ、大学生ならではの柔軟な発想への期待が寄せられました。 その後、まずは学生自身が「自分が出会いたい人」のイメージを出発点としてイメージボードを作成。完成後は学生間でイメージボードの交換が行われ、自分ではなく、『クライアント』の求める人物と出会える場の企画の考案を進めていきました。キーワードの抽出・整理を行いながらアイデアを発展させ、中間発表での企業からのフィードバックをもとに企画内容を具体化。その間、AIを思考の壁打ち相手として活用しながら企画を段階的に検討し、『出会いの手段』の提案へとまとめていきました。 中間発表でのフィードバックを受け、企画のブラッシュアップを行った学生たち。それぞれのクライアントが求める『出会いたい人物』に出会える場をテーマに、企画の最終発表が行われました。 学生の発表 ニャン・テリジェンス クライアントの求める”出会いたい人物像”と、既存のマッチングサービスにおける「外見や条件は分かる一方で、人の価値観が見えにくい」という問題点に着目し、外見や条件だけでなく内面の相性を重視した出会いを目指す、AIを活用したマッチングプラットフォーム〈ニャン・テリジェンス〉を提案しました。 イメージボードから『多趣味』『清潔感』『対話力』の3点を要素として抽出し、AIとの対話による性格分析やAIが話題を提供するテーマトークを通して、データに基づくマッチングと実際の対話の両面から相性を確かめられる仕組みを設計しています。特に『清潔感』の要素として姿勢の良さに着目し、カメラの情報をAIが分析して姿勢が悪くなると猫の鳴き声で知らせる機能を提案しました。 さらに、参加者を連携企業に勤める社会人に限定することで、サービスの信頼性向上と安定した参加者確保を図り、企業価値の向上にもつなげる点を特徴としています。 曽我石氏は「ネーミングが素敵です。AIの要素が加わることで、分析とフィードバックのサイクルが実現可能だと想像できました」とコメントしました。朝賀氏は「異なる人に惹かれる側面もあると思うので、『価値観が同じ』だけではない、多様な出会いをサポートできるとさらに良くなると思います」とフィードバックしました。 教えあい料理教室 クライアントの求める人物像を表したイメージボードから『誠実な人間性』『食に対する興味』の二点に着目し、出会いにおいて表面的な情報だけでは分かりにくい相手の本質を短期間で知ることができる“出会いの場”として〈教えあい料理教室〉を提案しました。 買い出しから片付けまでを参加者自身が担い、レシピを教えあいながら交流する点が特徴です。集合後は買い出しから始まり、調理や食事、片付けまでの流れを共にすることで自然なコミュニケーションが生まれるように設計しました。また、一連の作業を通して食の好みや性格、ライフスタイル、指示の出し方など、参加者の本質を知ることができるとしました。 体験価値を重視する大学生や20〜30代社会人を対象に集客し、本気度を担保するため月額3,000円の会費を設定しました。料理を通して参加者の本質的な部分を知ることができる企画として説明されました。 曽我石氏は「出会ったあと、実際に付き合ってみたときに感じるズレが少なそうです」とコメントしました。朝賀氏は「初心者歓迎の部や、逆に食べるだけの人の枠を設けるなど、参加者の条件はさらに展開できそうです」とフィードバックしました。鈴木氏は「慣れてきたときに人の本質が出る気がするので、3回以上の参加を必須にするなどの条件を付けるとよいのではないでしょうか」とコメントしました。 仮想協働生活アプリ〈OUR LIFE〉 クライアントの「出会いたい人」の要素を示したイメージボードから、『優しくて笑顔が柔らかい』『想像力豊かで思いやりがある』『たばこを吸わない』という点に注目し、「相手に誠実に向き合う姿勢」「第三者との関わりから見える本来の性格」「健康的な生活」の三点を“出会いの場で見極めたい要素”として抽出しました。 既存の出会いの手段では実際の生活に関する情報が不足しているという課題を踏まえ、人を選ぶのではなく“確かめる”場として仮想生活マッチングアプリ〈OUR LIFE〉を提案しました。企画はAIによる自己分析とマッチング、共同生活、卒業の三段階で構成され、共同生活では献立や食事、子どもと遊ぶ体験、ストレスイベントなどのタスクを通して金銭感覚や健康意識、対応力を見極める仕組みとしました。 期間は1日・1週間・1カ月から選択可能とし、本気の出会いの場として月額3,600円の参加費用を設定しました。 朝賀氏は「“ゲーム=攻略”と捉える人もいるため、より“出会い”にフォーカスした方向性で展開していくと、マッチングアプリとしての安全性が高くなると思います」とコメントしました。 鈴木氏は「スマートフォンの歩数と連動して移動距離が見られたり、ステータスとしてポップが表示されたりするなど、リアルと連動した機能があるとよりよいのではないでしょうか」とフィードバックしました。 〈SYNC TO UNLOCK〉 クライアントのイメージボードにある『気遣いができる、ユーモアがある、韓国風ストリートファッション』といったキーワードから、コミュニケーション能力の高さ、視野の広さ、トレンドへの敏感さを出会いの場に必要な要素として抽出しました。これらを踏まえ、ファッションブランドに焦点を当てたイベント型POP UP SHOP〈SYNC TO UNLOCK〉を提案しました。 本企画では「脱出ゲームをクリアしなければ商品を購入できない」という制約を設け、初対面の参加者同士が協力せざるを得ない状況を生み出すことで、自然な交流を促します。さらにゲーム内容も、求められる人物像の要素が発揮されるよう設計しました。脱出後には参加者ごとに異なるクーポンを配布し、共有することで全員が利用できる仕組みとすることで、参加者同士のコミュニケーションを促し、連絡先交換などイベント後の関係形成にもつなげる企画として説明しました。 朝賀氏は「ファッションブランド以外のコンテンツでも実施できそうな内容だと思いました」とコメント。曽我石氏は「実施することでアパレルブランドに対する愛着も上がり、ビジネスとしても成り立つ企画だと思います」と話しました。 バーチャルとリアルをつなぐマッチングアプリ クライアントのイメージボードから、「趣味を一緒に楽しめる人」という要素に注目しました。物事に取り組む姿勢や態度を知ることができ、同じ趣味を持つ人と出会える場として、シミュレーションゲームとマッチングアプリを組み合わせたサービスを提案しました。 このサービスでは、理想の暮らしをシミュレーションしながらタスクをこなすことでポイントが付与される仕組みを採用しています。アプリの登録者は、好きなコンテンツのタグ付けや、過去に参加したライブチケットの登録などを行い、「好き」を通じたマッチングが行われます。 また、タスクには生活における価値観に関する内容を設定し、同じ物事に対する取り組み方や姿勢を判断できる設計としました。さらに、タスクをこなして得られたポイントは、実際のライブチケットやグッズと交換できるようにすることで、オンライン上で協働した相手とリアルで出会うための導線を確保しました。 朝賀氏は「同じ趣味を持つ友達のコミュニティを広げる目的でもできそうです。チケットやグッズ目的の人もアプリを使用すると思うので、出会い目的を確実にするシステムがいると感じました」とコメント。鈴木氏は「ポイント交換チケットの転売対策も必要だと思いました」とフィードバックしました。 朝食コミュニティ クライアントのイメージボードにある「いただきますが言える人」「細身の体形の人」「自己管理ができる人」という要素に着目し、「朝ごはん」を共に食べる食事会を出会いの場として提案しました。 ターゲットは25〜39歳の会社員とし、1日の始まりである朝を整えることで自分自身や仕事の調子を整えたいと考える人々を想定しています。参加者は出社前に会場へ集まり、到着後は各自のタイミングで「いただきます」をして食事を開始する仕組みとすることで、自発的に挨拶ができる人物かどうかを確認できる点を特徴としました。さらに参加条件にBMI23未満を設定し、「細身の体形」という要素を満たす設計としています。食事はグラム単位での事前申請制とし、完食をおかわりの条件とすることでフードロスにも配慮しました。最後に参加者全員で「ごちそうさま」を言うことを合図に終了する企画として説明しました。 曽我石氏は「中間発表からより詳細な内容が詰まっていて、具体的なイメージがつきました。グラム単位で指定するということは、美意識が高い人たちが集まりそうですね」とコメント。朝賀氏は「休日プランやランチ会など、様々なパターンがつくれそうです」と企画の発展性について指摘。鈴木氏は「クライアントの要望通り、『いただきます』を自然に発生させるシステムがきちんと設計されていてよかったです」と評価しました。 授業の終わりに 曽我石氏は「授業で終わらせることがもったいなく感じるくらい、社会につながる提案でした」とコメント。朝賀氏は「就職活動のエントリーシートに”学チカ”として十分かけるような、充実した発表でした」と話しました。鈴木氏は「アイデア出しやスライド作成など、提案を考える過程も参考になりました」と話しました。 今回の授業は学生にとって、デザインの考え方を取り入れながら、アイデアを企画として具体的な形にしていく過程を実践的に学ぶ貴重な機会となりました。クライアントの要望をもとに考え、試行錯誤を重ねながら企画を磨き上げていく経験を通して、発想力だけでなく、相手のニーズを捉えて形にする力を養う機会となりました。 担当教員からのメッセージ 【生成AIの活用と他者視点の融合】 今回の授業では、主に二つのポイントを設定しました。 第一は、生成AIを活用したデザイン思考の実践です。第二は、自分自身ではなく「他の履修者」をクライアントとして想定し、企画を構想することでした。 まず生成AIについてですが、現在はまだ技術の過渡期にあり、その利用については賛否さまざまな意見があります。しかしデザイン分野においては、今後重要なツールになると考えられるため、学生には早い段階で実際に体験してもらうことを重視しました。 ただし、生成AIは使えばよいというものではなく、使い方によっては単なる作業の効率化にとどまってしまいます。そこで授業では、「どのようにAIを使うのか」という思考の組み立て方そのものを学習の中心に据えました。まず自分自身の発想を起点にアイデアを練り上げ、その過程で資料やデータの収集、調査や取材を重ねます。その上で、ある程度まとまった構想を生成AIに投げかけ、返ってきた提案や視点を再び思考の材料として検討し直す、という往復を行いました。こうした過程を通して、AIに依存するのではなく、自分の構想を軸にしながら活用する姿勢を体験的に学ぶことができたと考えています。 もう一つのポイントである「他履修者をクライアントとすること」についてですが、通常の課題制作では、自分自身から発したものやことをテーマとして考えることが多くなります。しかしその場合、主観的な考えから抜け出せず、発想が行き詰まったときに突破口を見出しにくいという側面があります。そこで今回は、自分ではない「他履修者」から発した題材を元とすることで、より客観的な視点から問題設定や提案を行う方法を試みました。デザインは本来、自分ではなく常に自分以外の 「何か・誰かのために」行う行為であり、その実践的な思考方法を体験することが目的でした。 結果として、協働企業の方々からは非常に高い評価をいただきました。企画内容についても、「ここで終わらせるのはもったいない。さらにビジネス化の可能性を検討し、次のフェーズへ進めたい」というご意見をいただくことができました。 学生の持つ高いポテンシャルと、生成AIなどの現代技術を組み合わせた方法論によって、実社会と接続した充実した授業を実現できたと考えています。
生成AIとクリエイティブ!サイバーエージェントとのコラボ授業で、学生の制作物の最終発表が行われました。
生成AIとクリエイティブ!サイバーエージェントとのコラボ授業で、学生の制作物の最終発表が行われました。
2025年12月23日(火)演習Ⅱb(担当:人間社会学部人間社会学科 粟津 俊二教授)にて、株式会社サイバーエージェント(以下サイバーエージェント)から川越寛之氏をお招きし、制作物の最終発表が行われました。 授業と企業連携について 「演習Ⅱb」は、人間社会学部の2年生を対象に開講されている専門科目です。学科での学びをさらに深めるための基礎知識を身につけることを目的としています。粟津教授が担当するクラスでは、「生成AIを活用し、社会連携推進室を紹介するポスターを制作する」という課題に取り組んでいます。授業では、Web広告事業でAIを用いたクリエイティブを行っている株式会社サイバーエージェントと連携し、生成AIの活用方法を実践的に学んでいます。コラボ授業初回の様子はこちら→https://socialcooperation.jissen.ac.jp/topics/9598/ これまでの授業で、川越氏や粟津教授から生成AIの活用方法のレクチャーを受けてきた学生たち。5つのグループに分かれ、生成AIを活用しながら制作を行いました。今回の授業では、川越氏のほか、社会連携推進室の職員2名も授業に参加しました。学生はこれまでの制作をパワーポイントにまとめ、発表を行いました。最優秀賞と優秀賞に、サイバーエージェントと粟津教授から記念品の授与が行われました。 これまでの授業で、川越氏や粟津教授から生成AIの活用方法のレクチャーを受けてきた学生たち。5つのグループに分かれ、生成AIを活用しながら制作を行いました。今回の授業では、川越氏のほか、社会連携推進室の職員2名も授業に参加しました。学生はこれまでの制作をパワーポイントにまとめ、発表を行いました。最優秀賞と優秀賞に、サイバーエージェントと粟津教授から記念品の授与が行われました。 本記事では、授業の発表順に班の成果物を紹介します。 B班:社会連携を手のひらサイズで B班は、トランプカードをモチーフにしたコンパクトな宣伝カードを制作しました。表面は桜のマークを中心に配置した左右対称のデザインで、シンプルな線や配色がトランプの図像を想起させます。裏面にはQRコードを大きく配置し、受験情報や企業ロゴを分かりやすく掲載しました。裏表でイメージを統一したデザインには、生成AIが活用されています。 B班は現状の課題として「認知度が低いこと」を挙げ、「どのように伝えるかが重要である」と分析しました。大学の魅力を補強するツールとして、見る人が自ら情報を得たいと思える掲示物の制作を目指したといいます。宣伝カードはスマートフォンのケースに挟めるサイズで、学生は「手に取った人が自分事として捉えられるように設計した」と意図を説明しました。 また、QRコードを読み取ってもらうための工夫として、独自に行ったアンケート結果をもとに、「『読み込めば得になる』と感じたときに、QRコードを読み取る人が多いことが分かった」と説明。QRコードの先にある情報への興味を高めるため、カード上の文字情報は最低限に抑えたといいます。制作物は、オープンキャンパスでの配布に加え、構内に設置されているデジタルサイネージでの掲示を想定しています。 川越氏からは「思わず見直したくなるデザインで素敵です。配布物としての役割が明確で、とても良いと思います」とのフィードバックがありました。職員からも「社会連携プロジェクトに参加する、未来の芽を育てる制作物だと感じました。学生だけでなく企業の方にも配布できそうで素敵です」とコメントが寄せられました。 E班:実践の場をもっと多くの学生へ! E班は、コミックストーリー型の紹介ポスターを制作しました。A4サイズの用紙を縦に使用し、上部三分の二には四コマ漫画、下部三分の一にはキャッチコピー、紹介文、社会連携ホームページのQRコードを配置しています。 四コマ漫画は女性を主人公とし、アメリカンコミック風のタッチで描かれています。漫画の内容は、社会連携プロジェクトに参加する過程で生じる感情の変化を表現しており、1コマ目では参加前の不安な気持ちを、2〜4コマ目ではプロジェクト参加を通してポジティブな経験を得ていく様子を描いています。漫画の下部には、「『面白そう!』を、未来の自信に。座学だけじゃ終わらない大学生活へ」というキャッチコピーが配置されています。 E班は、社会連携プロジェクトに未参加の学生が多いという資料を引用し、入学後にプログラムの存在を知らなかった学生や、参加経験のない在学生をターゲットに設定しました。参加につながっていない要因として、社会連携プログラムの内容や魅力が十分に伝わっていないことがあると分析しました。参加に対する後ろ向きな先入観を前向きな印象へと変えることを目的に、ポスターを制作しました。漫画を用いて感情に訴求することで、参加意欲の向上や、プロジェクト参加への不安解消を狙っています。 職員からの「漫画の作成はAIですか?」という質問に対し、「イラストはGeminiで生成し、コマ割りは自力で行いました。細かい部分は手直しをしています」と回答しました。川越氏は「学校内にはあまりないテイストの掲示だと思います。掲示を見てもらうためのフックとして効果的だと感じました」とコメントを寄せました。 A班:高校生の未来をひらく! A班は、お守りの形をしたリーフレットを制作しました。リーフレットはA4横置きサイズで、右開きの三つ折り形式です。表面には「合格」の文字と校章を配置し、お守りをモチーフにした装飾が施されています。開いた内側には、過去の社会連携プロジェクトの紹介や、社会連携の魅力が掲載されています。さらに、リーフレットを一枚開くと絵馬の印刷が現れる点が大きな特徴です。 このリーフレットは、受験を控える高校生をターゲットに制作されました。高校生にとって親近感のある企業を中心に、有名企業と連携した事例を紹介することで、社会連携プロジェクトを身近に感じてもらうことを狙っています。また、紹介文を短く簡潔にまとめることで、気軽に読んでもらえる構成としました。夏のオープンキャンパスでの配布を想定しています。 リーフレット活用の提案として、学生は「オープンキャンパスに来場した高校生が、願い事を書いた絵馬をリーフレットから切り取り、専用ブースに貼ることを想定しています。また、貼る際のサポートを在校生や職員が行うことで直接的な交流につなげることができます」と説明しました。 川越氏は「コンセプトがいいですね。リーフレットをお守りの形にするというアイデアのような、形そのものを変える手法は実際にダイレクトメール広告の手法としても有効です」と評価しました。 また、職員からは「説明会参加者に特典のような形で配布を行い、説明会を聞いた後にスペースに貼りに行く、という導線もできそうですね」といった声もあがりました。 C班:文字と動画の合わせ技 C班は、動画のQRコードを配置した社会連携プログラムの紹介ポスターを制作しました。A3サイズを縦に使用し、社会連携プログラムの目的や実績など、客観的な情報を中心に構成しています。文章は、ポップな形のタイトルとともにカラフルなボックス内に配置され、背景のグリッド柄と組み合わさることで、親しみやすさを感じられるデザインとなっています。 現状の課題として「認知度が低いこと」を挙げ、「大学生目線で制作する」ことをコンセプトに設定しました。ターゲットは在学中の大学生です。社会連携プログラムを初めて知る人でも全体像をつかみやすいよう構成を工夫したほか、参加学生数などをデータで示しました。ポスターの視認性の高さや直感的に理解しやすい特徴に着目し、エスカレーター付近やエレベーター内など、ふと目に入ってしまう場所への掲示を想定しています。 QRコードから視聴できる動画は、学生が社会連携プログラムへの参加経験を語る内容となっており、「実際の経験者の話を加えることで、ポスターに記載した内容の説得力を高めたい」と制作意図を説明しました。 川越氏は「情報のまとめ方がわかりやすく、文字情報をしっかり載せる戦略が活かされていると思いました」と評価した上で、「文章にもう少し学生の人間味やリアルな声が反映されると、さらに良くなると思います」とフィードバックを行いました。 粟津教授は「学内に掲示する際は、どの時期に貼るかが重要だと感じました。4月など、履修登録を行う時期に掲示すると、より効果が高いのではないでしょうか」とコメントを寄せました。 D班:オリジナルキャラクターで伝える! D班は、オリジナルキャラクターを活用したパンフレットを提案しました。A4サイズを横置きにして二つ折りにした、冊子のような形状をしています。紫とピンクを中心とした淡いパステルカラーを基調とし、D班が考案したオリジナルキャラクターであるウサギの妖精〈コラボン〉のイラストが随所に描かれています。リボンやハートマークなど、キュートな装飾も特徴です。 D班は、現状の課題を「認知度が低いこと」と設定し、受験生となる高校生をターゲットに、持ち帰ってもらえるパンフレットの制作に取り組みました。オープンキャンパスや文化祭での配布を想定しています。デザインは親しみやすさを重視し、流行色のパステルカラーを用いることで手に取りやすい印象に仕上げています。紹介内容として、過去の事例のほかに参加を通して身に付くスキルなどを記載することで、参加するメリットが伝わる構成としました。 また、「みんなの夢を応援する存在」としてオリジナルキャラクター〈コラボン〉を設定し、キャラクターのコメントを随所に配置することで、より親しみやすく、読み進めたくなる工夫を施しています。コラボンの制作については、「下書きのイラストをAIに読み込ませ、プロンプトでアレンジを加えました」と、制作過程も紹介されました。 川越氏は「キャラクターや色選びの理由など、なぜそれを選んだのかが丁寧に説明されており、発表がとても分かりやすかったです」とコメントしました。 職員からは「パンフレットは置いてあっても、なかなか手に取ってもらいにくいものですが、手に取るきっかけとしてキャラクターは十分だと感じました」と評価が寄せられました。 授業の最後に すべての班の発表が終了したあとは、川越氏、粟津教授、職員による賞の審査の時間が設けられました。 審査の結果、最優秀賞を受賞したのはA班。絵馬を書いて飾る一連の企画の独創性と、社会連携推進室の拠点である〈JISSEN PLAY BASE〉に足を運んでもらうための強力なきっかけになる点が評価されました。 優秀賞はD班に授与され、オリジナルキャラクターの制作という新しい視点と、パンフレットの内容の完成度の高さが評価されました。 受賞した2班には、サイバーエージェントからAbemaグッズの授与が行われました。 授業の総括として、社会連携推進室職員から「大人が考えると硬くなってしまう情報を、受験生や大学生に分かりやすく非常に上手に作っていただいたなと思います。賞の受賞に問わず、みなさんに発表していただいた制作物のアイデアは、社会連携を発信する広報に活用させていただきます」とコメントが寄せられました。 この授業を通して、企画の提案プロセスを経験した学生たち。プレゼンスキルにとどまらず、新しい技術を柔軟に受け入れ活用していく力を身に着けることができました。 担当教員のコメント 今回の授業では、生成AIをツールとして活用し、学内部署が実際に抱える問題の解決に有効な成果物を作ることを目指しました。実際の現場で通用するモノや仕組みを作り上げるのは、単なるアイデア提案よりも様々なことを考える必要があります。学生にとっても、得難い経験になったでしょう。
法律の最前線!食品衛生学の授業で、消費者庁食品表示課による特別講義が行われました。
法律の最前線!食品衛生学の授業で、消費者庁食品表示課による特別講義が行われました。
2025年10月24日(金)、食品衛生学a(担当:食生活科学科 白尾美佳教授)にて、消費者庁食品表示課(以下消費者庁)の正木陽子氏、森川健佑氏をお招きし、食品表示法に関する特別講義が行われました。 授業と社会連携について 食生活科学科健康栄養専攻で開講されている専門教育科目「食品衛生学a」において、消費者庁食品表示課の方々をお招きし、食品表示に関する特別講義を実施しました。 健康栄養専攻では、栄養士資格の取得を目指し、人体の仕組みや食品の栄養、給食経営管理など、食と健康に関する専門知識を体系的に学びます。「食品衛生学a」は、食品の安全性を確保するための基礎知識を学ぶ科目であり、栄養士として食品を適切に取り扱うための重要な基盤となる授業です。 今回は、消費者庁食品表示課 企画第一係長 正木陽子氏、法令係 森川健佑氏にご来校いただき、食品表示制度の概要や最新の制度動向について講義を行っていただきました。食品表示法の運用に実際に携わっている方々から直接話を伺うことができ、学生にとって大変貴重な学びの機会となりました。 身近な食品表示のルール「食品表示法」 食品表示法は、すべての食品に共通する「表示のルール」を定めた法律です。食品パッケージの裏面に記載されている原材料名、内容量、原産地などの情報は、この法律に基づいて表示されています。 この法律は、消費者が商品を選ぶ際に、食品の内容や産地などについて正しい情報を得たうえで判断できるようにすることを目的としています。そのため、食品を製造・販売する事業者には、必要な情報を適切に表示する義務が課されています。 食品表示法では、表示項目の内容だけでなく、表示の順序や記載方法などについても細かく定められており、食品に関わる仕事に携わるうえで理解しておくべき重要な制度です。 消費者庁の役割 講義では、食品表示制度を所管する消費者庁の役割についても紹介されました。 森川氏は、消費者庁について「消費者に直接関わる政策を、消費者の視点に立って進める役割を担う行政機関です」と説明されました。主な業務として、消費者の安全な暮らしのための対策、公正な取引の推進、消費者教育などがあり、表示ルールに違反する事業者に対して指導を行う役割も担っています。 食品表示についても、以前は複数の法律や省庁によって管理されていましたが、食品の異物混入を含む消費者事故など、消費者に関わる深刻な社会問題が相次いだことを背景に、消費者庁が設立されました。この設立を契機に制度が整理され、「食品の表示」という観点から統合されたものが現在の食品表示法であることが紹介されました。 食品表示法の基本「義務表示」 食品表示には、消費者が適切に商品を選択できるよう、必ず表示しなければならない「義務表示」があります。 生鮮食品では、名称や原産地などを容器や包装の見やすい場所に表示する必要があります。一方、加工食品では表示項目が多く、「一括表示」と呼ばれる形式で原材料名や内容量、製造者などの情報がまとめて記載されています。 講義では、一括表示の項目の内容や、それぞれの表示が設けられている理由について、具体的な食品表示を例に挙げながら解説が行われました。 「消費期限」と「賞味期限」の違い 食品の期限表示には、「消費期限」と「賞味期限」の2種類があります。 消費期限は、比較的傷みやすい食品に表示されるもので、「期限を過ぎると安全性が低下する可能性があるため食べない方がよい期限」を示しています。一方、賞味期限は日持ちする食品に表示され、「おいしく食べることができる期限」を示すものです。 森川氏は、「賞味期限が過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。状態を確認しながら食品ロスの削減にもつなげていただければと思います」と説明され、食品ロスの問題にも触れられました。 アレルギー表示と制度の見直し 食物アレルギーを引き起こす可能性のある原材料については、症例数や重篤度を踏まえて表示制度が定められています。 現在、義務表示の対象となる特定原材料は8品目、推奨表示の対象は20品目となっています。 講義では、2023年にくるみが新たに義務表示の対象となったことや、現在、カシューナッツを義務表示に、ピスタチオを推奨表示に追加する検討が進められていることなど、制度の最新動向についても紹介されました。 これらの制度は、約3年ごとに実施される国の調査結果をもとに見直されており、症例数の変化に合わせて制度も更新されていることが説明されました。 栄養成分表示について 栄養成分表示は、食品に含まれる栄養素の量を示すもので、2020年からすべての加工食品で表示が義務化されています。 表示が義務付けられているのは、熱量(カロリー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5項目です。 管理栄養士の資格を持つ正木氏は、「栄養成分表示では『100gあたり』や『1食分あたり』など表示の単位が異なるため、食品を比較する際には注意が必要です。将来、栄養指導を行う際にも、ぜひその点を伝えてください」と学生に呼びかけました。 また、近年の取り組みとして、パッケージ前面に栄養情報を分かりやすく表示する「包装前面栄養表示」についても紹介され、日本でもガイドラインの整備が進められていることが説明されました。 今回取り上げた内容のほかに、食品添加物の種類や指定の流れ、原料原産地表示についてなど、制度に関する詳細な解説が行われました。 学生からの質問も活発に 講義の最後には質疑応答の時間が設けられ、学生からは食品添加物や遺伝子組換え食品の表示制度などについて質問が寄せられました。 正木氏と森川氏は、制度の仕組みや実際の運用について丁寧に説明され、学生にとって理解を深める貴重な機会となりました。 今回の特別講義を通して、学生たちは食品表示制度を「生活に密接に関わる実践的な知識」として学ぶことができました。 担当教員からのメッセージ 今回の講義では、食品表示制度の基礎だけでなく、包装前面栄養表示の取り組みやアレルギー表示の見直しなど、最新の制度動向についても学ぶことができました。 食品表示制度の運用に携わる行政担当の方々から直接お話を伺うことができ、学生にとって大変有意義な学びの機会となりました。 この場をお借りして、消費者庁食品表示課の正木様、森川様に心より御礼申し上げます。
本学学生が主婦の友社が主催する「ご自愛市」にてプレゼン発表をしました。
本学学生が主婦の友社が主催する「ご自愛市」にてプレゼン発表をしました。
2026年3月1日(日)に実践ウェルビーイングプロジェクト(以下、JWP)の取り組みの一環として、主婦の友社が主催する、ご自愛市に学生が登壇し、プレゼンテーションを行いました。 ご自愛市とは 「ご自愛市(ごじあいいち)」とは、出版社である主婦の友社が主催する、新しい自分に出会うための一歩を踏み出せるきっかけを提供している、ウェルネスイベントです。今回は、「すごい!健康長寿力アワード2025」授賞式と同じ時間内にて、カルチュア・エンタテインメント グループ株式会社への「学生が求めるエンタメ業界への福利厚生」をテーマとしたプレゼンテーションを実施しました。 事前準備:カルチュア・エンタテインメント グループへの訪問 「健康ポイント制度&健康ルーティン制度」の提案 学生たちは、多くの職場で「健康は自己管理」とされ、個人の負担が大きくなっているのが実情であることを問題提起し、「健康は会社と個人の両方で作るもの」とし、個人負担を軽減する手法を提案しました。また、導入によって、企業として生産性の向上、離職防止、ブランディングの3つのメリットを享受することができるとしました。 学生たちは「仕組」と「環境」の2軸を具体的なアプローチとして施策を検討しました。具体的には、健康ポイント制度の導入を行い、専用アプリを活用、健康的な行動を可視化、報酬化させることを提案。獲得したポイントはギフトカードや家事代行サービスの特典に交換できるとし、従業員のモチベーション向上につなげます。 2点目は健康ルーティーン紹介制の導入です。当番制で従業員は、自身が行っている健康習慣や日頃の行いなどを動画等で紹介していきます。若手から管理職まで幅広い世代が繋がることで、社内の交流と自身の健康を見直すきっかけをつくることが狙いで、社員同士の交流が継続されるように「朝ごはん会」や「社内表彰」も併せて実施します。 最後に「仕組(ポイント)」と「環境(ルーティン)」を掛け合わせることで、社員のコンディションを最大化させ、エンタメ業界における新しい福利厚生の形を構築し、社員と会社が共に成長できる未来を築きましょうと締めくくられました。 学生からのコメント これまでのJWPの活動にたくさん参加してきましたが、企業さんに提案するタイプはあまりなく、本プロジェクトにて新しい挑戦ができて楽しかったです。主婦の友社さん、カルチュア・エンタテインメント グループ社が「学生らしさ」を大事にしてほしいと私たちの企画を後押ししてくださり、企画の内容に自信が持てました。「ご自愛市」での発表も緊張しましたが、等身大の私たちを伝えられた良い発表ができたと思います。(英文学科4年吉山) 今回のプロジェクトで最も印象に残ったのは、エンタメ業界の最前線で働く方々に健康への第一歩を踏み出してもらう案を考えることの難しさでした。単に健康を推奨するのではなく、どうすれば自然に興味を持ってもらえるか。私たちは大学生ならではの視点を活かした動画ルーティーンの紹介や、ゲーム感覚で楽しめるポイント制度など、実用性と楽しさを兼ね備えた仕組みを模索しました。どうすれば人を惹きつける魅力的な施策になるのかを考えたこの経験は、将来企業で働く際にも、課題を自分事として捉え、形にしていく力として活用していきたいです。(英文学科3年木村) 今回私たちは「健康」をテーマに、社員が無理なく健康行動を続けられる仕組みについて検討しました。健康ポイント制度や健康ルーティーン制度など、日常の行動を楽しく継続できる仕掛けを考える中で、実際の事例を調べたり、体験をもとにアイデアを具体化したりしながら企画を形にしていきました。特に、健康ルーティーン制度の提案では今流行っていて影響力の強いものを参考にするなど、より現実的な施策になるよう意識しました。企業課題には一つの答えがあるわけではないからこそ、チームで意見を出し合いながら「どのような仕組みなら実際に行動につながるのか」を議論する時間がとても刺激的でした。そしてそれを夢物語では終わらせず、現実で実施したらどうなるのか、細かいところまで考えることが出来ました。発表では、自分たちが考えた施策を企業の方に直接お伝えする機会をいただき、企画は考えるだけでなく「相手に伝わる形で表現すること」が重要だと実感しました。今回の経験を通して、社会とつながる企画を考える面白さと難しさの両方を学ぶことができました。今後もこの経験を活かし、課題に対して主体的に考え、形にしていく力をさらに伸ばしていきたいと思います。(英文学科3年長野) 普段の授業のように同じ学年の学生同士で意見交換をするだけでなく、学年の異なる学生と協力して意見交換や資料作成を行ったことで、多様な視点に触れることができ、多くの学びを得ることができました。また、多くの方が参加されるイベントでの発表だったため、教室でのプレゼンテーションとは異なる緊張感がありましたが、その分責任感を持って取り組むことができ、とても貴重な経験になりました。(国際学科1年吉田) 10月から何度もミーティングを重ね、主婦の友社さんからのフィードバックをいただきながら改善を続けてきたことで、当日はより解像度と実現性の高い企画を提案できたのではないかと感じています。また、普段なかなか立つことのないステージで、一般の方々やさまざまな企業の皆様に向けて自分たちの提案を発表するという貴重な機会を頂けたことを、大変光栄に思っています。今回の経験を今後の学びや挑戦にも活かして行けたらと思います。(国際学科1年鈴木) 担当教員のコメント 昨年、主婦の友社様からお声がけいただき、同社のウェルビーイング・サポートデスクの事業の一環として、企業のウェルビーイングに繋がる施策の立案というお題をいただき、学生のプロジェクトチームが活動を続けてまいりました。その集大成として、主婦の友社さんが開催された大型イベントにおいて、その成果をプレゼンさせていただく機会をいただきました。イベント当日には多くの方が会場にお越しになり、健康、そしてウェルビーイングというものに対する注目度が高まっていることを実感いたしました。貴重な機会をいただいた主婦の友社に、心から感謝申し上げます。
おせんべいの可能性を探る!生活環境学セミナーにて商品企画の最終発表が行われました。
おせんべいの可能性を探る!生活環境学セミナーにて商品企画の最終発表が行われました。
2月13日(金)生活環境学セミナー(担当:環境デザイン学科 安齋 利典教授)にて、株式会社金吾堂製菓(以下金吾堂)から商品企画室 小谷氏、山﨑氏、株式会社ロッケン(以下ロッケン)から小笠原氏をお招きし、コラボプロジェクトの最終発表が行われました。 コラボ授業の歩み 生活環境学セミナーは、環境デザイン学科の3年生を対象とした専門科目です。意見交換や討論を通じて学生同士が学び合うゼミナール形式で実施されており、安齋教授のもと、計12名の学生がプロダクトデザイン(工業製品のデザイン)について日々学びを深めています。 今年度の授業では、老舗米菓メーカーの株式会社金吾堂製菓と、金吾堂のパッケージデザインを担当しているデザイン事務所の株式会社ロッケンとコラボを実施。「Z世代をターゲットに、厚焼のセカンドラインとして若年層に響く商品の企画立案」をテーマに、商品の「パッケージデザイン」「味のバリエーション」「せんべいの形」と、「Z世代のライフスタイルに合った商品展開」の考案が行われました。 課題発表の様子はこちらの記事から→https://socialcooperation.jissen.ac.jp/topics/9463/ 課題の発表が行われた10月の初回コラボ授業後、金吾堂本店への現地調査や調査から判明した情報の分析などをへて、11月に学生の企画の中間発表が行われました。その後、さらなる企画のブラッシュアップやデザインデータやプロトタイプ(試作)の制作を経て、2月の最終授業で発表が行われました。 最終発表には、金吾堂から商品企画室 小谷氏と山﨑氏、ロッケンから小笠原氏をお招きし、学生たちは調査や試作を重ねた4カ月の成果として、それぞれの視点から新たな商品企画を提案しました。発表の後には、ゲストから企画に対するフィードバックと意見交換が行われました。提案は、シェアを前提とした商品や、勉強・作業中に食べやすい設計など、Z世代のライフスタイルに寄り添った多様なアプローチが見られました。 シェアするためのおせんべい “分け合いながら楽しめるおせんべい”をコンセプトに、〈おひとつどうぞ〉と〈しぇあ煎?〉の2種類を提案しました。〈おひとつどうぞ〉は中華レトロをテーマに、パッケージと味の両面で中華風の要素を取り入れ、Z世代に流行する麻辣湯に着目した麻辣醤油味や黒糖五香など新たなフレーバーを展開しました。 小笠原氏は流行を取り入れた点を評価し、プロトタイプについても立体化によりイメージが具体的に伝わると講評しました。 PariっとPizza “外でも食べやすいパッケージ”をコンセプトに、薄型三角形の煎餅〈PariっとPizza〉を提案しました。公園でお菓子を持ち寄った自身の体験から小学校高学年をターゲットに設定し、ピザ箱風の大きく開くパッケージや「トマト」「バジル」「チーズ」の新フレーバーで親しみやすさを意識しました。 小谷氏から箱形状の変更理由については、分けやすさを考慮したと説明。煎餅の薄さや大きさもターゲットに合っていると評価されました。 薬膳五性の煎餅 書店でのアルバイト経験から薬膳本の売れ行きに着目し、“お煎餅でつなぐ物語”をコンセプトに〈薬膳五性のおせんべい〉を提案しました。体を温める・冷やすといった性質に基づき食材を選ぶ薬膳五性の考え方を取り入れ、市場調査を踏まえて本の装丁を思わせる文庫本サイズのパッケージを採用しました。 ゲストからは経験からアイデアを考案した点が評価され、具体的な味についての質問に学生は「“かに”など身近な食材を想定している」と説明しました。 煎餅を身近に! “持ち運びしやすく、インパクトのあるパッケージ”をコンセプトに、ターゲットの異なる2商品を提案しました。16〜26歳のデスクワーク層向け〈スティックせんべい〉は自立式の箱型パッケージで“ながら食べ”に対応。2〜3歳向け〈まるっこせんべい〉は減塩醤油を用い、せんべいデビューを意識しました。 小笠原氏は発表の完成度を評価し、小谷氏も購入者目線で味やデザインの分かりやすさを高く評価しました。 エビ塩煎 “かわいらしく、思わず食べたくなる”をコンセプトに、勉強のお供となる一口サイズの煎餅を提案しました。昭和レトロ調のパッケージでエビの香ばしさや温かみを表現し、丸・星・ハートの形で楽しさを演出。星形の透明窓を設けて中身を見せ、興味を引く工夫も施しました。 山﨑氏は、「一目で何味かわかることは大切。大きな文字で味を明記した点が分かりやすく優れている」と評価しました。 はちみつバターおせんべい “甘さを中心とした新しいお煎餅”をコンセプトに、10〜20代女性向け〈はちみつバター味おせんべい〉を提案しました。はちみつの小袋を付け、バター味の煎餅にかけて味わう新しい食体験を設計。試食で塩味との相性も検証しました。 ゲストからは幅広い層に訴求できる点やデザイン性が評価され、山﨑氏からも「写真の臨場感が食欲をそそる」とコメントがありました。 星空の煎餅 “星降る夜に、ひとくちのやすらぎを”をコンセプトに、自宅で映画を観る時間に寄り添う煎餅を提案しました。マット素材のパッケージにネイビーと金色を配し、星形の一口サイズを個包装で展開。味や形状だけでなく、楽しむシーンまで含めて設計しました。 小笠原氏は企画の切り口を評価し、山﨑氏は「煎餅の形が個包装でも皿に出しても写真映えする」と好意的にコメントしました。 幸せおせんべい 既存パッケージのプラスチック容器の音に着目し、“静けさを包む、やさしいデザイン”をコンセプトに、場所を選ばず食べられる煎餅を提案しました。静音素材や再封可能な形状、コンパクトなサイズを採用し、勉強や作業中でも配慮できる設計としています。あえて「おせんべい」と明記しないデザインも特徴です。 小笠原氏は「自分の着眼点を企画に落とし込んでいる」と着想を評価しました。また、小谷氏の問いかけをきっかけに音を巡る活発な意見交換が行われました。 ひとくちキャラメル煎 “手軽で食べやすく、新感覚な煎餅”をコンセプトに、片手でつまめるサイコロ型のキャラメルコーティング煎餅を提案しました。三角形パッケージに音が出にくいマット素材を用い、和と洋を調和させたデザインに仕上げています。コンパクトで一口サイズとし、“自分へのご褒美”需要を想定しました。 山﨑氏は「硬めの煎餅を使う想定と聞き、小さいサイズでも食べる満足感が得られそうです」とコメントしました。 しおあじせんべいと塩辛せんべい “持ち運びやすく、食べやすい”をコンセプトに、割れにくい筒状パッケージの煎餅を提案しました。味は塩味と塩辛味の2種で、塩辛味は「味は好きだが食感が苦手」という意見を逆手に取った企画です。波のイラストで塩の風味を表現しました。 小谷氏は「パッケージのイカの可愛らしさが手に取りやすい」と評価し、○○氏は、「味は塩味と塩辛味の2種類で、まずは定番を試し、その後にユニークな味へ進む流れができていると感じた」とコメントしました。 授業の終わりに 今回のコラボ授業の総括として、ゲストの方から一人ずつコメントをいただきました。また、初回授業と中間発表にご来校いただいた、金吾堂 常務取締役 碓田憲司氏からも、お手紙でコメントをお寄せいただきました。 金吾堂 碓田氏のコメント 「課題に真剣に取り組んでくださり、本当にありがとうございました。皆さんと意見交換をする時間は、私にとっても学びの時間となりました。ものづくりをする人は、企業と消費者の間に立ちます。数字を見ることも大切ですが、数字の先にいる”誰か”を想像できるかどうかにその本質があると考えます。ものづくりの先にあるのは商品ではなく、商品が運ぶ笑顔や会話です。”自分が成長することが、会社の成長につながり、会社の成長は社会への価値につながっていく”循環を信じて、ぜひ挑戦を続けてください。皆さんがこれから生み出すものが、誰かの心を少しでも温かくするものであることを願っています。」 金吾堂 小谷氏のコメント 「4カ月間ありがとうございました。リアルな大学生の声を直接きいて、私も勉強になることがたくさんあり、改めて”どういうものが刺さるのか”考えを深めるきっかけになりました。これから社会に出る中で、自分の感覚を大切にしながら、誰かの心を想像できるものづくりを続けていっていただけたらと思います。今回の課題を通して少しでもお煎餅が身近に、そして好きになっていただけたら嬉しいです。」 金吾堂 山﨑氏のコメント 「お客様目線にしっかりと立っている提案が多く、本当にこのまま商品化できるのではないかなと思うものばかりでした。自分が気にしていなかった点が皆さんには”気になる”とフックになっていたり、新たな視点を勉強させてもらいました。このようにすばらしい提案ができる皆さんなら、将来様々なところで活躍できるんじゃないかなと思います。これからも頑張ってください」 ロッケン 小笠原氏のコメント 「提案の中に本当にいいアイデアがたくさんありました。今回の商品企画でそれぞれの視点を出発点に、さまざまな要素を考えながら完成までもっていったことが素晴らしいと思います。市場調査やニーズ把握の観点で言うと、『仲いい友達の好みを聞くこと』と『世の中のニーズを理解すること』は少し似ていると感じていて、全く知らない人のことを考えると難しいけど、その人たちを知っていけば、何を求めているか分かります。商品開発でも同じように、調査と分析で求めているものを明確にし、デザインなどに落とし込んでいく。今回のプロジェクトで一連の流れを経験していただけたかなと思います。ありがとうございました。」 授業の最後には、学生に金吾堂公式キャラクターである「あつや きんごろう」のオリジナルグッズがプレゼントされました。 4カ月にわたる企業とのコレボレーションを通して、学生たちは自身の経験や学科で学んできた知識を社会に通じる企画へと落とし込む力を磨きました。煎餅という具体的な対象の商品企画として、味、形、パッケージなどを一貫して設計するプロセスは、総合的なデザイン力を培う貴重な機会となりました。 担当教員からのメッセージ 学生たちにとっては、大変良い経験になったと思います。このプロジェクトの課題は、「Z世代をターゲットに、厚焼のセカンドラインとして若年層に響く商品の企画立案」と言うことで、まさに対象は学生そのもの。デザインは他人(ユーザー)のために開発するものですが、かなり自分ごととして捉えることができたのではないかと思います。・具体的に検討すべき要素は「パッケージデザイン」「味のバリエーション」「せんべいの形」「ライフスタイルに合った商品展開」の4点。・「面白くカジュアルに」「Z世代にうけそうな新たなフレーバー」などの方向性を目指す。・課題の参考として「①カラフルでモダン」「②SNS映え」「③キャラクター活用と環境配慮」の3点が考えられ、 「カラフルで差別化された、思わずSNSに投稿したくなるパッケージ」や「環境配慮素材を用い、その点を明示して社会的責任にも訴求する」 戦略を念頭に展開する。など、具体的な指標を提示いただき、学生もアイデア展開がしやすかったと思います。実際の製品開発についての動画や、中間発表の議事録などで、とても適切なアドバイスをいただき、学生にとっては、企業のデザイン・製品開発の実情を知ることができて大変良い経験となったと思います。金吾堂製菓様、ロッケン様、この度は、大変ありがとうございました。
制度が支える女性活躍!経営学概論の授業にて、ダイドードリンコ株式会社による連携授業が行われました。
制度が支える女性活躍!経営学概論の授業にて、ダイドードリンコ株式会社による連携授業が行われました。
2026年1月7日(水)、経営学概論(担当:人間社会学部ビジネス社会学科 篠﨑香織教授)にて、ダイドードリンコ株式会社(以下ダイドードリンコ)の連携授業が行われました。 授業と連携企業について 経営学概論は、人間社会学部1年生を対象に開講されている専門科目です。経営学の基礎を学習することを通して、企業の仕組みや活動についての理解を深めます。また、消費者、労働者やパートナー企業など多様な視点から企業との関わり方を考え、課題を通じて情報収集、分析などの行動力を養っていきます。 今回の授業ではダイドードリンコから大植あかね氏、奥川美優氏にご登壇いただき、「働く女性の本音〜理想の働き方と福利厚生を知る〜」というタイトルで、ダイドードリンコの経営、制度、女性活躍についてご講演をいただきました。また、講義の後半には事前学習として学生が取り組んだ課題「こんな自販機があったら」の内容共有と、ゲストからのフィードバックが行われました。 人材重視のマインド 奥川氏からはじめに、ダイドードリンコの企業概要が紹介されました。ダイドードリンコは、1950年代にドリンク剤を販売していた大同薬品工業を起源とし、現在はダイドーグループホールディングスの中で清涼飲料事業を担う企業です。本社は大阪府にあり、売上の約90%を自動販売機が占めていること、コーヒー飲料に強みを持つこと、そして自社工場を持たないファブレス経営であることの三点が、事業の特徴として説明されました。 奥川氏は、工場を持たないという事業特性から、「ダイドードリンコにとって最大の資源は人材です」と話し、働く人にかかわる福利厚生や制度の充実に力を入れていると説明しました。また、優秀な人材に自分の意思でこの会社で働きたいと感じてもらうこと、そして人と人との組み合わせによって組織力を高めていくことを目指していると語られました。こういった考え方は、働く人をコストではなく価値を生み出す存在として捉える「人的資本経営」という考え方にもつながっています。 人を尊重する制度 続いて、ダイドードリンコで実際に導入されている制度や福利厚生について、具体的な説明が行われました。とくに、労働時間に関する制度として、時短勤務制度とスーパーフレックス制度を紹介しました。奥川氏は「時短勤務は、子どもが小学校を卒業するまで利用できる点が特徴です。また、スーパーフレックス制度では、所定の時間内で自ら勤務時間を調整することが可能です。病院や家族に時間を使うことはもちろん、『推し活』に使う人もいます。働く時間を柔軟に活用できることで、日々の過ごし方の幅が広がります」と、労働時間の多様性によって、多様な働き方につながっていることを話しました。 また、週4回までテレワークが可能であることが紹介され、会社の制度が一人ひとりの意思や状況に寄り添った働き方を支えていることが伝えられました。 社内制度と社員 休暇制度の紹介として、〈D休暇〉と呼ばれる独自の休暇制度についても説明がありました。D休暇とは、生理や更年期、不妊治療など、公にしにくい身体的・個人的な事情で休暇を希望する際、理由を申請せずに取得ができる制度です。休暇を取得する際の心理的な負担を軽減し、気兼ねなく休暇を取得できるよう配慮された制度であることが伝えられました。 このD休暇は、社員が年に一度、ビジネスプランや施策を提案できる〈チャレンジアワード〉を通じて生まれた制度であること、奥川氏自身が人事総務部の同僚とともに企画・提案を行い、実際に制度として採用されたと紹介がありました。社員の声が制度として形になる社内風土から、人材への意識の高さが感じられ、学生たちは、制度を「使うもの」として捉えるだけでなく、働く人の声によってつくられていくものとして考える視点を得ました。 女性の社会進出と企業の取り組み 大植氏は、女性活躍推進の背景には、男女格差是正のための法改正の歴史だけでなく、日本の人口減少に伴う労働力不足という社会的課題があることを紹介しました。 2010年のダイドードリンコでは女性管理職の不在や、社員の男女比率の大きな偏りなど、「働きにくいと感じる女性が多くいらした」と話し、2016年の女性活躍推進法をきっかけに、改善の動きが進み始めたといいます。大植氏は「営業職が社員の約6割を占めていたことや、女性総合職の採用が2010年から始まったため、女性社員を育成できるマネジメント層が十分にいなかったこと、さらに柔軟な働き方に対する理解が進んでいなかったことなどから、当初は女性が働きやすい環境が整っていませんでした。」と当時の社内状況を説明しました。 女性が働き続ける環境づくりのため、初めに育児・介護を目的として在宅勤務制度を導入。段階的にその利用を拡大するとともに、フレックスタイム制度を導入し、制度整備により、多様な働き方が可能な環境が整えられていきました。さらに、女性が働きやすい環境を整えるため内勤の営業職部署である〈インサイドセールス部門〉を設立。女性社員が営業職として積極的に配属されており、実際に所属されている大植氏は「プライベートや子育てと仕事が両立しやすく、非常に働きやすいと感じています。また、制度を使って子どもの学校の行事に参加したり、自分の習い事に時間をつかったりすることができています」と話しました。 さらに、女性営業職の成長支援の活動として、〈BLOOM〉が紹介されました。〈BLOOM〉は、営業職として働く女性が勤務地を超えて集い、交流会や研修を通じてスキルアップと横のつながりを深める取り組みです。大植氏は「〈BLOOM〉には全国の女性営業職30人弱が所属しています。女性の営業職は、営業職全体人数の10%ほどですが、片手で数えることができた過去から比較すると急増しているんです。」と話しました。社内で女性が活躍できる環境が整えられた結果、実際に仕事で力を発揮する女性が増えてきていることが紹介されました。 また、組織的な意識改革として、社内に〈ダイバーシティ推進グループ〉が設置されていることが紹介されました。専門家を招いてSDGsやダイバーシティに関する研修を行う他、グループの働きの一つに「女性にとって働きやすい環境づくりがある」と話し、グループから企画として提案された『女性ヘルスケア応援自販機』を紹介しました。大植氏は「『女性ヘルスケア応援自販機』は、飲料と共に生理用品も販売する自販機です」と概要を紹介し、本学渋谷キャンパス9Fにも設置されていることを話しました。事業を通じて多様性を包み込む姿勢が表れていることが語られました。 こうした制度によって実現されている多様な働き方は、近年注目されている「人的資本経営」という考え方とも重なっています。奥川氏は、「従業員一人ひとりを企業の価値を生み出す存在と捉え、その力が発揮される環境を整えることが、企業全体の成長につながる」と説明しました。また、企業には利益の追求だけでなく、社会や関係者全体の幸せを考える姿勢が求められていると話しました。 学生の考える「自動販売機の新たな活用例」 授業の後半では、学生が事前課題として提出していた「自動販売機の新たな活用例」について、東京営業部の松本英康氏からのフィードバックと意見交換の時間が設けられ、学生が提出した課題に対してみんなで考えを深めていきました。ここでは2例紹介します。 スタディサポート自販機 学生は「図書館の設置を想定し、ラムネのお菓子やカフェイン飲料を販売し、目的買いを狙います」と発表。松本氏は「学生向けという視点はありませんでした。勉強の気分転換で自販機に向かったとき、何を買うか品ぞろえから選びやすいと思いました」とコメント。篠崎教授は「冬は受験を控えた学生が勉強に力を入れる時期。塾などに設置するのはいかがでしょうか」と話しました。 味変飲料の販売 学生は「購入者が自分で時間とシーンに合わせて味の変化ができる缶を自販機で販売します」と提案。松本氏は「気分転換に使用できそうですね。自分好みに変化を加えるという発想もとてもいいと思います」と話し、篠崎教授は「組み合わせによるカスタマイズで味を作っていくシステムが、女子にうけそうだなと思いました。コーヒー缶の購入者層を増やすことができそうです」と意見を寄せました。 今回の講演は、学生にとって福利厚生や社内制度を活用する人の目線で捉える視点を学び、働く社員と企業の関係性をより自分事として考えるきっかけとなりました。また、課題のフィードバックの時間では、自販機の企画を担当している社員と直接意見交換が行われる貴重な機会となりました。 担当教員からのメッセージ 今回の連携授業は、①「働きやすさ」を意識して企業内制度について考えること②「あったらいいな、こんな自販機」を提案することの二本立てで実施しました。 せっかくダイドードリンコの皆さまにお越しいただく機会ですので、履修者が「働く」ということを具体的にイメージできるお話を伺えればと考えておりました。また、ダイドードリンコ社の自動販売機は柔軟性が高く、履修者から生まれるであろう斬新なアイデアとの親和性も高いのではないかと想定しておりました。 100分の授業でこの二点をやり遂げるため、年末の授業ではビジネスモデルや戦略に関するトピックスを扱い、それ以前の授業でも「働く」というテーマを折に触れて取り上げてきました。 当日は、奥川様、大植様よりダイドードリンコ社の制度や職場環境について詳しくお話を伺い、後半は、特にユニークな自動販売機のアイデアをもつ履修者の代表が発表を行いました。その後、松本様とのQ&Aおよび講評をいただく時間を設けていただきました。 なかでも「誰かと分け合える商品が自動販売機から出てきたら面白いのではないか」という提案については、履修者全員で具体化を試みました。将来的には、学生のアイデアが実際に自動販売機を通じて形になる可能性も感じられる貴重な機会となりました。 本授業の履修者は主に1年生ですが、数年後にはその中からダイドードリンコ社で活躍する学生が生まれるかもしれません。 お忙しい中、大阪本社ならびに東京営業所よりお越しいただき、誠にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
社会にいきるデータ活用!〈データ時代の女性キャリア開発〉の授業にて、トランスコスモス株式会社の特別講演が行われました
社会にいきるデータ活用!〈データ時代の女性キャリア開発〉の授業にて、トランスコスモス株式会社の特別講演が行われました
2025年12月9日(火)〈データ時代の女性キャリア開発〉にて、トランスコスモス株式会社(以下トランスコスモス)から、人事採用統括部の坂本祥平氏をお招きし、特別講演が行われました。 授業と企業連携について データ時代の女性キャリア開発は、人間社会学部の学生を対象に開講されている専門科目です。この授業は、さまざまなデータを扱う企業で働く女性やその活動を知っている方をゲスト講師としてお招きし、データを活用した業務内容やキャリアについてご講演いただき、学生は、データサイエンスに限らず、データを活用した現代日本におけると女性のキャリアについて理解を深めていきます。 今回の授業では、坂本氏からビジネスとデータについて、トランスコスモスの具体的な業務内容の紹介を交えながらご講演をいただきました。学生たちは講演を通じ、データ活用の例が身近に存在していること、データの活用によってビジネスシーンにおいて日々多様で新しい価値が生まれていることへの理解を深めました。 社会とデータ 坂本氏ははじめに、「データ時代」を「データが新しい価値を生み出す時代」と定義し、現代の日本では、さまざまなビジネスシーンにおいてデータが活用されていることを述べました。そして、身近なデータ活用の具体例として、アプリや通販、店舗の在庫管理などにデータが活用されていることを紹介しました。 最も身近な例として挙げられたのが、SNSです。SNSの多くは、個人の閲覧データを収集し、投稿のクリック数などから、どのような投稿に関心が高いのかを分析しています。そして、分析したデータを活用することで、その人の関心に沿ったコンテンツを表示しています。 また、商品購入時にデータが活用されている事例として、ファッション通販サイトの「着回し機能」が紹介されました。この機能は、選んだアイテムに対して、AIがデータを分析し、コーディネートを提案するものです。購入者が身長などの身体データを登録することで、AIが着丈などを計算し、実際のスケールに近い着用イメージ画像やコーディネートを提示します。これにより、通販で起こりがちな「思っていたものと違う」という購入後のミスマッチを防ぐことができます。さらに、着回し機能で提案されたアイテムは、そのまま購入することも可能で、坂本氏は「データによって、購入の意思決定の精度を高めることができる」と話しました。 さらに、ファッションブランドがデータを活用することで、廃棄される衣服の量を減らした事例も紹介されました。店舗ごとの販売履歴を分析し、それぞれの店舗で求められている商品の傾向を把握することで、適切な在庫量を見極めることができたといいます。坂本氏は、データは売上の向上だけでなく、環境負荷の軽減にもつながっていると述べました。 これらの事例はいずれも、データを活用することで「よりよい判断を行う」「無駄な作業を減らす」「利用者のニーズを的確に捉える」といった価値が生まれていることを示しています。 このような、さまざまな場面でデータが活用されている状況を踏まえ、坂本氏は「データをもとに判断や改善を行える人材が、さまざまな業務で求められており、データを活用できる人材の需要は今後さらに高まっていく」と話しました。さらに、「『データを活用できること=数字に強いこと』ではありません。データの傾向や特徴をいかに把握し、そこから考えることができるかが重要です」と述べ、データ活用において大切な視点を強調しました。 トランスコスモスの業務とデータ ここからは、実際に企業がどのようにデータをビジネスに活かしているのかについて、トランスコスモスの業務内容を通して具体的に学びました。坂本氏は、トランスコスモスについて「企業のビジネスを支援する総合情報サービス」を手がける企業であると説明しました。 あわせて、同社はIT業界において、インターネットや情報処理サービスを担う企業であることも紹介しました。同社の特徴として、サービス領域が非常に幅広い点を挙げ、業務内容を①BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、②デジタルマーケティング、③コールセンター業務の三つに分類。それぞれの業務において、どのようにデータが活用されているのかを解説しました。 データ活用の現場 BPOとは、企業が行っている業務の一部を、専門知識を持つ外部企業に委託する仕組みを指します。専門性の高い業務を、企画から運営まで一括して担う点が特徴です。坂本氏は、「企業の業務の一部分を担う特性上、さまざまな業界や業務に携わることができる」と、その特徴を説明しました。 BPOの具体例として坂本氏が紹介したのは、ある企業から経理業務のサポートを委託された事例です。クライアント企業では、経理担当者一人あたりの業務負担が大きいことが課題となっていました。そこでトランスコスモスは、企業が導入した経理システムの運用支援に入り、経理システムに関する問い合わせ対応や、利用方法のマニュアル作成を、企業担当者に代わって実施しました。業務の効率化を進めた結果、クライアント企業の担当者の業務工数を約8割削減することに成功したそうです。 デジタルマーケティング業務については、消費者データの分析が重要であると説明しました。ウェブサイトの改善を行う際には、文字や写真の配置、購入ボタンなどの導線設計を見直します。その際「サイトの訪問数や滞在時間、流入経路といったさまざまなデータの分析を行う」と坂本氏は説明しました。分析結果のデータから利用者のニーズを把握し、より効果的な改善につなげていると話しました。 坂本氏はコールセンター業務について、「消費者からの問い合わせに対応する窓口であり、質の高いサービスを提供することで、企業の信頼性や評判を高める重要な役割を担っている」と説明し、人々の暮らしを支える不可欠なサービスであることも紹介しました。また、「この業務では消費者のリアルな声を『明確な思いや考えが含まれた貴重なデータ』として扱っています」と話し、このデータも活用。問い合わせ内容を分析し、まとめたデータをクライアントに提供することで、クライアント企業はそのデータを商品改善やマーケティング施策に活かしていることを紹介しました。 坂本氏は説明の中で、トランスコスモスでは多様な業務の中で、データをもとに課題を発見し、改善につなげていること、「データ活用」という言葉の中には、説明にあったような幅広い業務と、データをもとに考え改善していく具体的な行動が詰まっていると説明しました。 授業の終わりに 講演終了後には、質疑応答の時間が設けられました。 「将来、データを活かす業種に就くことも選択肢として考えています。採用担当者の目線で、学生のうちに取り組んでおいた方がよいことはありますか?」という質問が寄せられました。これに対し坂本氏は、「特別な知識や経験が必ずしも必要というわけではありませんが、いかにその分野に興味があることを示せるかは重要です」と前置きした上で、次のように回答しました。 「例えば、ウェブデザインに興味があるのであれば、同じ業種の企業サイトを比較し、どのようなデザインの工夫や意図があるのかを自分なりに考察してみることが大切です。日頃から自分で考える習慣を身につけておくとよいと思います。」 続いて、「機密情報を取り扱う場面について」という質問も出ました。坂本氏は、「機密情報を扱うにあたっては、専門の研修が用意されています。また、その研修を受けた人しか立ち入ることのできない部屋もあります」と説明しました。加えて、「企業として業務支援を行う以上、機密保持に関する契約をきちんと結んだうえで業務に取り組んでいます」と、情報管理体制についても言及しました。 今回の講演を通して学生は、何をデータとして捉え、それをどのように位置づけ、活用するかによって、社会に多様な価値を生み出せることを実感しました。また、データを扱う仕事は特定の職種や業界に限られたものではなく、さまざまな分野のビジネスを支える基盤となっていることを改めて学びました。データの仕事を一つひとつの「点」としてではなく、社会全体に広がる「面」として理解するきっかけとなる講演となりました。 担当教員からのメッセージ 今回の講義では、本授業の講演者の中で唯一の男性講師としてご登壇いただき、企業の現場におけるデータ活用の実例を分かりやすく紹介していただきました。学生たちは講演を通じ、データ活用の例が自分たちの身近なところにも数多く存在していること、そしてデータの活用によってビジネスの現場で日々多様で新しい価値が生み出されていることへの理解を深めることができました。 講義の中では、さまざまな場面でデータが活用されている現状を踏まえ、「データをもとに判断や改善を行える人材が、さまざまな業務で求められており、その需要は今後さらに高まっていく」とのお話もありました。また、「データを活用できることは、単に数字に強いということではなく、データの傾向や特徴を把握し、そこから考えることが重要である」と強調され、データ活用の本質について学生にとって理解を深める機会となりました。 さらに今回の講演は、データの仕事を個々の業務という「点」としてではなく、社会全体の中で価値を生み出していく「面」として捉えるきっかけにもなったと感じています。 生成AIや自動化が進む時代においても、課題を見つけ、意味を考え、新しい価値を生み出していくのは人の役割です。本授業での学びが、学生一人ひとりが社会とデータのつながりを実感し、自らの進路や将来の可能性を考える一助となれば幸いです。