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金融業界をもっと身近に!三菱UFJモルガン・スタンレー証券とのコラボ授業が実施されました。
5月1日、キャリア実践演習(担当:国文学科 深澤 晶久教授)にて、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社から飯村隆太氏と髙橋真一氏をゲストにお招きし、金融業界について学ぶコラボ授業が行われました。学生たちは、物々交換とお金を使った売買の両方を体験できるオリジナルゲームや講演を通してお金が持つ価値や役割について学びました。 授業と連携企業について キャリア実践演習は、文学部3年生以上の学年を対象とした共通教育科目です。ゲストとして登壇する企業について主体的な事前調査を行い、企業のプログラムに挑戦します。 今回の授業では、手と頭を動かす体験型の講義を通じて金融業界の役割やお金に関する基本的な知識を身に付けました。 飯村氏は「金融業界と聞くとあまりなじみがないかもしれませんが、この授業を通じて少しでも身近に、そして就職活動の選択肢の一つになればいいなと思っています」と話し、講義がスタートしました。 お金の役割を体験しよう!物々交換ゲーム 講義では早速、飯村氏考案のオリジナル物々交換ゲームが行われました ゲームは、食材カードを使って料理を完成させることが目標です。学生たちは班ごとに配られた手札を確認し、どの料理を作るか話し合いました。作戦会議では、「あと何の材料があれば完成するか」を考えながら、必要な食材の洗い出しを進める班の姿も見られました。 その後の交換タイムでは、学生同士による食材カードの交渉がスタート。少人数のグループに分かれ、それぞれが希望する食材を求めて交渉を行いました。スムーズに交換が成立する場面もあれば、「一旦保留で」と交渉を持ち帰る場面もあり、各班が試行錯誤しながらゲームに取り組んでいました。 交換終了後には、手元の食材カードを使って完成した料理を発表。すべてのカードを活用できた班もあれば、一部の食材を余らせてしまった班もありました。 飯村氏は「残った食材は腐ってしまいます。腐ってしまった食材は捨てるしかありません」と説明。料理に活用できなかった食材は価値を失ってしまうことを学生に伝えました。 お金の導入!第2フェーズ 続いてゲームの第2フェーズでは、「お金」の概念が導入されました。注文シートと特設カウンターが設けられ、学生たちは食材カードを売買できるようになります。学生たちは配られた食材カードを確認しながら、「この料理が作れそう」「これは売却しよう」などと相談し、売買を前提とした新たな作戦を立てていました。 ゲームが始まると、不要な食材カードを売却して資金を確保し、そのお金で必要な食材カードを購入する学生たちの姿が見られました。予算ぴったりで購入する班もあれば、余裕を持って資金を残す班もあり、各班がそれぞれの戦略でゲームを進めていました。また、購入後に改めて手札を見直し、再び売買に向かう班や、一度売却した食材を買い戻す班も見られました。 ゲーム終了後、学生からは「お金を活用することで、いらないものを手放してほしいものを手に入れることができました。交渉も『ほしいもの』同士で行わなくてよいので楽でした」「売買リストが事前に共有されていたため、作戦が立てやすかったです」といった感想が聞かれました。 飯村氏は「お金に変えることで価値を腐らせることなく手元に置いておくことができます。食材と比べると、価値が落ちるスピードははるかに遅いです」と説明。ゲームを通して、物々交換と比較した際のお金の利便性や役割について解説しました。 学生たちは2つのフェーズを通して、物々交換とお金を用いた取引の違いを体験的に学びました。 ゲームの後にはお金の歴史や、その仕組みを支える金融業界について解説が行われました。 お金の歴史 飯村氏は「お金って考えてみると意外と深いもので、お客様とお話しているときも盛り上がったりします。これからお話しする内容も、実際にお客様にお話している内容です」と述べ、お金の成り立ちについて紹介しました。 かつては金そのものが価値を持つものとして物品の交換に使用されていましたが、紀元前7世紀頃になると、金属を用いた貨幣が登場。その後、11世紀頃には金と交換できる「引換券」として紙幣が誕生し、17世紀頃に紙幣が広く定着したと説明しました。 続いて紙幣と信用の関係性について解説がありました。 飯村氏は紙幣の成り立ちについて「もともとは金と引き換えることができる引換券」と表現し、現在の日本の1万円札が約25円で製造できることを紹介。「紙幣は製造コストだけを見るとお札の価値は数十円程度ですが、社会全体がその価値を『1万円』だと信じて認めているため、紙幣として買い物に使用できる」と、紙幣そのものの価値と、社会の中で認められている価値は異なることを説明しました。 この、社会の中で認められている価値を〈信用〉と呼び、クレジットカードやキャッシュレス決済も〈信用〉を活用したお金の形の変化だと話しました。 金融業界の役割 飯村氏は「金融業界は、お金を『集める・貸す・増やす・守る』ことをしています」と説明し、「『集める・貸す』は銀行、『増やす』は証券、『守る』は保険が担っています」とそれぞれの役割を紹介しました。 銀行は利用者から預かったお金を住宅購入者や企業などに貸し出すことで経済を支え、証券は株式や投資信託などへの投資を通じて資産形成や経済の活性化に貢献しています。また、保険は多くの人がお金を出し合い、事故や災害などで大きな損失を受けた人を支えることで、安心を提供する仕組みであると説明しました。 学生たちは、金融業界という一言でまとめられる業界の中にも、それぞれ異なる役割があることを学びました。 金融業界のやりがい 飯村氏は「新卒で商社に入社したのち、外資系銀行を経験して現職となっています。現在はお客様の資産運用のお手伝いが業務の中心です」と自身の経歴を紹介しました。 また、仕事を通じて得られたものとして、「お客様としてさまざまな方とお会いできることがおもしろいです。また、マネーリテラシーが身に付き、結婚や学費など自身のライフプランニングにも役立っています。周囲にも相談しやすい環境があります」と説明。さらに、「外資系企業も多い業界のため、転職を含めたキャリア形成がしやすい点も魅力です」と話しました。 学生たちは、物々交換ゲームや飯村氏の講演を通して、お金の仕組みや金融業界について理解を深めました。 担当教員からのメッセージ 本年から開講のキャリア実践演習については、金融、エンタテインメント、ヘルスケアの3社のご支援をいただき文学部キャリア科目群の3年生向け科目としてスタートしました。 その冒頭にお願いしたのが、金融リテラシー講座です。キャリアを考える上で、決して外せないのがファイナンシャルプランニングであると考え、三菱UFJモルガン・スタンレー証券様にご協力をお願いしました。 金融リテラシーと聞くと、難しいイメージがありましたが、ゲーム方式を取り入りていただき、学生は、とても楽しく、「マネーの基礎」について学ばせていただきました。こうした知識を知っておくかどうかは、彼女たちの将来に大きく影響することと思います。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
「知っている」と「言語化できる」は違う?サイバーエージェントによる、AI活用の最前線とAI時代に求められる力を学ぶ特別講演が行われました。
5月15日、実践女子大学人間社会学部の授業「社会科学におけるソフトウェア設計(担当:社会デザイン学科 今田 一希専任講師)」にて、株式会社サイバーエージェント(以下サイバーエージェント) インターネット広告事業本部 AIクリエイティブ部門の川越寛之氏をお招きし特別講演が行われました。学生は、広告制作やデータ分析などの実例を通してAI活用の最前線を学ぶとともに、『知っていること』と『言語化できること』の違いや、AI時代に求められる力について理解を深めました。 授業と連携企業について 「社会科学におけるソフトウェア設計」は、人間社会学部の3年生を対象に開講されている専門科目です。現代社会でさまざまな場面で活用されているデジタル技術の中でも、ソフトウェアによる課題解決に注目。特に、生成AIを活用した実際の課題解決をテーマの中心に据え、学生たちはソフトウェア設計に挑戦します。 今回の授業では、Abemaなどの動画配信サービスを始め多様なクリエイティブ事業を行っているサイバーエージェントから、インターネット広告事業本部 AIクリエイティブ部門の川越寛之氏をお招きし、インターネット広告の現場で活用されているAIについて、そしてAIを活用するために必要な力について、体験型のワークを交えながらご講演いただきました。 川越氏は「サイバーエージェントではインターネット広告の作成にAIを活用しています。AIの導入や技術的なアップデートの結果、広告を制作する人員の大幅なスリム化が行われました」と説明。どうしてインターネット広告でAIが活用されているか、業界の特徴や傾向のお話から講演がスタートしました。 インターネット広告の仕組みとAIの需要 川越氏は、「広告業界の中心はインターネットです」と説明。インターネット広告では、広告がどれだけ多くのユーザーに見られたり、クリックされたりしているかといった〈品質評価〉が、広告掲載において重要な指標になると話しました。 また、広告の効果は掲載直後に高まるものの、その後は徐々に低下していく傾向があることを紹介。「広告効果が下がると品質評価も低下するため、良い広告を維持するには継続的な更新が必要です」と説明しました。 さらに、品質評価を高めるためには、ターゲットに合わせてさまざまなパターンの広告を作成する必要があると解説。「効果的な広告運用のために100本程度の広告パターンが必要な場合もあり、人の手による制作だけでは対応しきれない量になっています」と話しました。 加えて、AIは広告の制作だけでなく、広告効果の予測にも活用されていることを紹介。「判断をAIに任せることで、データに基づいた客観的な分析が可能になりました。その結果、広告効果は導入前と比べて2倍以上に向上しています」と説明しました。 “AIっぽくない”正体は言語化にあり 実際に川越氏がAIで生成した動画を学生に披露しました。動画では、女性が画面に向かって「実践女子大学の皆さん、こんにちは」と語りかけます。この女性の映像だけでなく、音声もAIによって生成されたものだといいます。自然で“AIらしさ”を感じさせない動画に、学生たちからは驚きのリアクションが上がりました。 違和感のない生成動画について、川越氏は「つくるためには言語化が大切です」と説明。生成AIは、プロンプトと呼ばれるユーザーからの指示文をもとに、文章や画像、動画などを生成する仕組みです。 「例えば、この動画の『ピントがぼけている状態から徐々に合っていく』という演出も、プロンプトによって指示しています」と紹介。映像の状況や動きを正確に言葉で表現し、プロンプトとして入力することで、より自然な動画を生成できると述べました。 さらに川越氏は、「生成AIは人間が入力したプロンプトによって出力結果が決まります。100本のバリエーションもプロンプトによって作り出されており、“AIで手作り”されているんです」と説明。動画素材そのものはAIが生成していても、どのような動画をつくるのかを考え、指示を与えているのは人間であることを紹介しました。 AIと並走する制作作業と言語化 川越氏は「AIを活用するにあたって言語化は非常に重要ですが、プロンプトとして入力できるほど自分でははっきりと言語化できていない要素も活用していくことが、今後重要になってくるのではと感じています」と話し、学生に「自分の理想の服」を生成してみるワークを提示しました。 ワークでは、「自分の理想の服」をテーマに生成AIを活用。学生は理想に近い服の画像をAIに提示し、画像に含まれる特徴やデザイン要素を言語化しました。続いて、生成された文章をもとに、画像生成用のプロンプトを生成。完成したプロンプトを用いて画像生成を行いました。 学生たちは、画像の言語化からプロンプト作成までのプロセスにAIを活用することで、自分の中にあるイメージを具体的な形として表現する体験をしました。 講演の終わりに 川越氏は最後に、「“知っていること”と“言語化できること”はイコールではありません」と話します。ワークで体験したように、言葉にできないイメージであっても、AIを活用することで表現につなげることができると説明しました。 また、自身が好きなゾンビ映画を例に挙げ、「好きな作品であれば、どのシーンが魅力的で、何がどのように動くのかを具体的にイメージできます。しかし、そのイメージは自分が持っているものであり、AIは持っていません。AIに再現させるためには、自分のイメージを伝える必要があります」と解説。 さらに、学生がワークを通じて体験した“知っていること”と“言語化できること”の関係性に再び触れ、「“知っていること”を増やし、自分の引き出しを豊かにすることで、AIを十分に活用できる力を身に付けることができます。大学生活の中で、自分の好きなことや興味のあることについて知識を深めてほしい」と学生へ呼びかけ、講演を締めくくりました。 担当教員からのメッセージ この講義は、AIの利活用についてをテーマとしています。 「AIの利活用」に限らず、データサイエンスなど私が講義で担当しているテーマは須らく、座学で理屈を知っても有用性や利便性に気づくことは難しく、実際に自分で使ってみたり、学生自身の身近で利用されている実例を実際に見聞きすることで、初めて価値を感じられるのではないかと考えています。 今回、川越様にはSNSなど学生の身近なことに対してAI技術が利活用されている実例をお話しいただき、演習を交えて実際に使ってみることを体験させていただきました。 心より御礼申し上げます。 受講生たちには、ご講演や講義を通じて「AIというよくわからないけど凄いっぽい新技術」から「AIという自分をサポートし、アイデアを具体化するツール」へ昇華させ、今後社会で求められるであろうスキルを持った人材への成長の一助としてほしいなと思います。
航空機のアップサイクル商品企画・デザインに挑戦!2026年度「演習Ⅱa」の授業でJALとのコラボ授業が始まりました。
5月12日、演習Ⅱa(担当:ビジネス社会学科 若林 宏保教授、井上 綾野准教授)にて、JALとコラボした航空機のアップサイクルに関する授業がスタートしました。JALから細野志麻氏をゲストにお招きし、JALが取り組むサステナビリティへの取り組みとアップサイクルの事例の講演と、学生が取り組む課題の発表が行われました。 授業と連携企業について 演習Ⅱaは、人間社会学部の学生を対象に開講されている専門科目です。授業を通じて、次年度以降のより専門的な学びに向けた具体的な根拠に基づく議論をする力や、正しい文献を選び必要な情報を正確に読み取る力などを身に付けていきます。 この授業では、企業から提示された課題に学生が取り組む「課題解決型」の授業として、旅客機や貨物機の運航を行うJALと連携しています。今回はコラボ授業の初回として、学生が取り組む課題が発表されました。また、課題に関連するJALの取り組みについて、客室乗務員の責任者や救難訓練の教官を経験した細野氏から解説が行われました。 細野氏は「JALではサステナビリティへの取り組みを強化しており、『社会価値創出を事業の中心・成長軸に据える』という価値観で様々な活動を行っています」と話し、その取り組みのひとつとして、アップサイクルについて解説しました アップサイクルとJAL 細野氏ははじめに、「アップサイクルは“使われなくなった廃材を、新しい形に加工して活用すること”です」と紹介しました。 そして、JALにおける廃材について、「航空機そのものです」と説明。航空機には約300万点の部品が使用されており、座席に使われているレザーやシートベルトをはじめ、エンジンや窓などもアップサイクルの対象になっていると話しました。 細野氏は、アップサイクルの素材として活用されている例のひとつとして“救命胴衣”を紹介しました。機内で使用される部品や装備品には、安全を守るために厳格な使用期限が定められており、まだ使えそうに見えるものでも安全上の理由から廃棄されることがあるそうです。そのため、「年間約2000個の救命胴衣が、きれいなまま廃棄されていました」と説明しました。 アップサイクルがスタートしたきっかけ JALでアップサイクルが始まったきっかけは、「救命胴衣のポーチ」だったと紹介しました。 定期交換する救命胴衣が年間2000個、故障も無いのに綺麗な状態のまま廃棄されるのを見た整備士が、「もったいない。何かできないか。」と声をあげたことがきっかけとなり、アップサイクルの取り組みが始まりました。 この取り組みをきっかけに、安全のための使用期限を過ぎてしまった救命胴衣やシートベルトなど、ほかの装備品や部品類のアップサイクルに活動が広がっていきました。現在では、家具メーカーなど他社とコラボした取り組みも行われており、社員が制作したアップサイクル商品は現在もJAL公式オンラインストアやJAL工場見学の売店、不定期の物販イベントで販売されています。 JAL公式オンラインストア→https://ec.jal.co.jp/shop/e/e00020394/ 新たな価値を付加するアップサイクルとストーリー 細野氏は、JALが行う航空機のアップサイクルについて「使用期限が切れた装備品や経年劣化で使用できなくなったものでも、“実際に運航で使用されていた”というエピソードがあります。一度役目を終えた部品の役割を加工によって変化させることで、新たな価値を生み出しています」と説明しました。 さらに、「使われなくても、航空機としてたくさん空の旅を経験している装備品たちが、新たに生まれ変わって価値を発揮することは乗務員としてもうれしく感じます」と、アップサイクルへの思いを語りました。 実際の商品 JALのアップサイクルの事例が紹介されました。シートベルトや救命具など、実際に機内で使用されていた装備品は、キーホルダーやポーチにアップサイクル。さらに、航空機の車輪止めに使用されていた木材は、神社とコラボした”滑らない”合格祈願のお守りとして活用されています。 また、実際に機内で使用されていたシートレザーは、スツールや小銭入れ、バッグへと生まれ変わっているほか、エンジンの部品や燃料タンクの点検口の蓋を使用したインテリアオブジェ、アクリル製の窓を使ったキーホルダーなども紹介されました。 実際のアップサイクル商品のほか、加工前の廃材を学生に渡す細野氏。 学生は実物を間近で観察し、素材を確かめて「かわいい」「しっかりしていて頑丈そう」など、感想を交換しました。 課題の発表 今回学生が取り組む課題は「廃材の特性を活かし『Z世代から長く愛される』新商品を、社会や消費者にどう伝えるかも含めて企画・デザインする」です。 細野氏は「JAL社員になったつもりでアイデアを考えてください!優秀な企画は実際に採用させていただく可能性もあります」と学生に声掛け。「必要に応じて他社とのコラボOK」など、発表の要件が共有されました。また、今回の企画でアップサイクルの材料として使用する廃材の特徴も紹介されました。 学生は、今回の授業で確認した実際のアップサイクル商品や、素材の特性を参考にしながら、グループに分かれて企画の提案を行います。 担当教員からのメッセージ ビジネス社会学科2年生約50名が、JAL航空みらいラボ様と共に航空機のアップサイクル・アイデアに挑みます。教員として期待するのは、単なる思いつきに留まらない「社会課題の解決とビジネスを結ぶ」リアルな視点です。約50名の仲間と切磋琢磨しながらプロの現場に本気でぶつかり、未来の循環型社会を形にする力を養いましょう。学生たちの瑞々しい感性とJAL様のプロの知見が融合し、どんなワクワクするイノベーションが生まれるか楽しみです。〈井上 綾野准教授〉
JALふるさとアンバサダーってどんな仕事?「実践プロジェクトa」の授業でJALとの特別コラボ授業が始まりました。
5月11日に日野キャンパスにて、「実践プロジェクトa」(担当:村山 浩一特任教授)の授業で、株式会社JAL航空みらいラボとの特別コラボ授業が開始されました。この日はオリエンテーションとして、日本航空株式会社(以下、JAL)の地域活性化の取り組みについて学びました。授業の最後には企業から課題が出され、学生たちはグループワークに取り組みます。 社員の幸福を大切にする JAL航空みらいラボは、2024年に設立されたJALグループの新会社。航空分野で培った知識や経験を活かし、大学との連携にも力を入れています。今回登壇したのは、長年客室乗務員として活躍されている戸田亜希氏、塩崎雅子氏、そして札幌からオンライン参加した水上みのり氏の3名。塩崎氏は「学生の皆さんと関わることで、新しい発想に刺激を受けています。私たちにとっても学びの多い時間です」と話し、講義がスタートしました。 まず戸田氏から、JALについての紹介がありました。JALは1951年に設立。現在は日本航空で初となる女性社長が経営を担っています。主な事業は航空運送ですが、物流や金融など幅広い分野にも挑戦しています。「コロナ禍で旅客需要が大きく減少した経験から、航空以外の事業強化にも取り組んでいる」と話されました。 さらに紹介されたのがJALの企業理念。その中には「全社員の物心両面の幸福を追求する」という言葉があります。戸田氏は「利益だけでなく、社員がやりがいや誇りを持って働けることを一番に大切にしている」と説明しました。安全運航を支えるためにも、社員一人ひとりが前向きに働ける環境づくりが重要。そのためにも、社員全員の幸せが大切だと考えているのです。 JALが取り組む地域活性化とは? JALでは、サステナブルでウェルビーイングな未来を目指し、「JALビジョン2035」を掲げています。テーマは「安全・安心」「心に響く出会いと体験」「関係・つながりの創造」の3つ。今回の授業は、その中の「関係・つながりの創造」に大きく関わります。戸田氏は「地域活性化とは何をすることだと思いますか?」と学生たちに問いかけます。地域活性化とは、単にイベントなどで盛り上げることではありません。地域で安心して暮らせる環境を整え、将来にわたって活力ある社会を維持していくことだと説明しました。 では、なぜJALが地域活性化に取り組むのでしょうか。戸田氏は「航空業界は、人やモノの移動によって成り立っています」と話します。地域が元気になることで移動も増えることは、JALにとっても大きなメリットがあります。JALの強みである「移動」を活かし、人と地域をつなぐ役割を担っているのです。 JALふるさとアンバサダーって? JALが行う地域活性化の取り組みのひとつに、「JALふるさとアンバサダー」があります。これは、地域のために働きたいという思いを持つ客室乗務員のこと。各地に移住しながら地域の魅力発信や活性化に取り組む活動を行っています。ここからは、実際に札幌でアンバサダーとして活動する水上氏がオンラインで登壇しました。水上氏は客室乗務員として全国を飛び回っていましたが、地域事業本部への異動をきっかけに観光開発に携わるようになると、「もっと地域に深く関わりたい」と感じるように。その思いから、出身地である札幌のふるさとアンバサダーに手を挙げたと話しました。 JALふるさとアンバサダーは2020年に始まり、現在は23名が全国各地で活動しています。実際にその土地で暮らしながら、地元では当たり前になっていて気づかれていない魅力を掘り起こしていくのが大きな役割。水上氏は「地域のリアルな声を大切にしながら、CAとして培ったおもてなしの経験を活かしています」と話しました。 活動内容は、地元食材を使った商品開発や観光PRなどさまざま。特徴的なのが、生産から加工、販売までを一気通貫で行う「6次産業」である点です。アンバサダー自ら実際に現地へ何度も足を運び、人とのつながりを築きながら、新たな地域の価値を生み出しています。 地域の未来を考える課題に挑戦! 水上氏は学生たちへ「もし皆さんがJALふるさとアンバサダーだったら、地域のために何をしますか?」と問いかけました。地域活性化は「楽しかった」で終わらせず、その後もどう継続していくかを考えることが大切です。そのため「今回の課題でも、どうすれば人に楽しんでもらえるかと、どうすれば持続可能な取り組みにできるかの両方を意識してほしい」と呼びかけました。 続いて戸田氏から課題内容が発表されました。テーマは「JALふるさとアンバサダーの視点で、地域に寄り添いながら魅力を発信する企画を考える」というもの。地域選びから学生自身が行い、「なぜJALが関わる意味があるのか」「地域にどんなメリットがあるのか」まで考える必要があります。さらに、既存のアイデアではなく、独創性のある企画であることも求められました。 なかなかの難問に、学生からは「理想的なアイデアを、持続可能なビジネスとして成立させるにはどんな視点が必要ですか」という質問も。これに対し塩崎氏は、地域名産を使った商品の包装作業を障害のある方に依頼し、新たな雇用につなげた事例を紹介。「その商品だけで利益を出すのではなく、地域にどんな価値を生み出せるか、どんな課題解決につながるかを考えることが大切」とアドバイスされました。 学生たちは3班に分かれ、地域の魅力や課題について議論を重ねながら企画づくりに挑戦。7月の最終プレゼンテーションに向け、グループワークを進めていきます。 担当教員からのメッセージ 「高校の授業とは全く進め方が違っていて驚いた」「実践的な授業を初めて受け、大変有意義に思う」――。戸田亜希様、塩崎雅子様、水上みのり様にきめ細かくご指導いただき、学生にとって大変よい刺激となりました。受講生は、いずれも実践女子大学に入学したばかりの1年生。実践的な学びを楽しんでいます。戸田様をはじめ3名の方々からは、「地域に寄り添い、地域の魅力を伝える企画を考える」という課題をいただきました。これに対して、学生らは「人とのつながりを大切にしながら、長期的な地域活性化につながるアイデアを練っていきたい」と意気込んでいます。キャリア自律が重視される時代に、このような社会連携プロジェクト型の授業に協力いただき、心から感謝申し上げます。
これからの女性のリーダーシップの秘訣は女子大!?「キャリア・ショーケース」の授業でSBI金融経済研究所の理事長が講演を行いました
5月14日に、共通教育科目「キャリア・ショーケース」 (担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、SBI金融経済研究所株式会社の取締役理事長である政井貴子氏による、特別講演が行われました。女性活躍が求められる時代、どうキャリアを重ねていくかを、自身の半生を振り返りながら話してくださいました。 キャリアは長い目で見て考えよう 政井氏は本学の英文学科卒のOG。「女子大って必ずしもポジティブな評価がされていない印象です。これはひとえに女子大の良さを知らない男性が書いているからだと思います」と笑いを交えながらコメント。「今日は私が考える、女子校で育まれるリーダーシップについてお話したい」と、講演を始められました。 「そもそも私は経営者になることを目指していたわけではなく、学生の頃はやりたいことも決まっていませんでした」と話し始めました。「キャリアなんて最初から決まっていないし、そのまま進むものでもない。ではどうするかと言えば一つずつ積み上げていくしかないんです」と、30~40年の長い目でキャリアを考えることの大事さを伝えました。「人生は長いので、豊かに暮らすには選択肢が多い方が良い。選択肢を広げるためには経済力を持つことも大事。そのために、自分にフィットした働き方を選べるように考えていきましょう」と語りました。 ただ日本は、経済活動や政治参加の面ではまだまだ男女差があるのが現状。家事や育児、介護など仕事以外にやらなくてはいけないことを抱えている女性は多いです。アンケートでも、女性は男性をサポートすべきという考えの人が、若い世代でも多いという結果が出ています。政井氏は「社会に出ると、腹落ちできないできごとに出くわすことがあると思います」と、心構えを話されました。 その都度悩みながら自分の可能性を広げていく 続いて、写真を交えながらこれまでの歩みを紹介。卒業後は外資系金融機関に就職し、「多様な価値観や背景を持つ人たちと働いた経験は大きな刺激になった」と振り返ります。その後、日本企業の金融機関へ転職。日本銀行の役員として日本経済全体を見据えた金融政策にも携わりました。さらに5年前にはSBI金融経済研究所の立ち上げに関わり、現在に至ります。 一見順調なキャリアに見えますが、「当時はその都度悩んでいた」と政井氏。仕事を辞めようと考えたことや、別の仕事への誘いに迷ったこともあったそうです。「振り返ると一本の筋が通っているように見えるだけで、その時々で選択してきた結果が今につながっている」と語りました。 進路を選ぶ際に大切にしていたのは、「自分の可能性が広がるかどうか」。そのときできることを軸に、少しずつ挑戦の幅を広げてきたと言います。「就職でも給料など目先の条件だけで決めるのではなく、長い視点で自分の軸を作っていってほしい」と学生たちにメッセージを送りました。 女子校で育むリーダーシップとは? 政井氏は、「社会に出て感じるのは、女子校出身者にはリーダーとして活躍している人が多いこと」と話しました。共学ではリーダー役を男性が担う場面も多い一方、女子校では女性が中心となってまとめ役を経験する機会が多いことが理由ではないかと語ります。また、「リーダーとは、ただ前に立って引っ張る人ではありません。さまざまな人の話を聞き自分の考えを伝え、周囲を巻き込める人です」と説明。「女子同士の意見をまとめるのは難しいんですよ。学生時代からその経験ができるのは、とても貴重なこと」と笑いを交えて話しました。 さらに、多くの人を巻き込み行動した女性の例として、本学の学祖である下田歌子についても紹介。当時は女性が自由に決定権を持ちにくい時代でしたが、「女性も能力を発揮できる」と信じ学校を設立した行動力に、管理職になってから改めてその偉大さを実感したそうです。政井氏は、「その学校にいる皆さんも、キャリアを築くことだけを目的にするのではなく、自分自身が充実した人生だったと思える生き方をしてほしい」と学生たちへエールを送りました。 男性社会を、女性はどう変えていける? 講演後は班ごとに意見交換を行い、その後、政井氏への質疑応答の時間が設けられました。「社会に出て男女差を感じた経験は何でしたか」という質問に対し、政井氏は営業時代のエピソードを紹介。「大きな取引先は男性社員が担当し、自分は小規模な会社ばかり任されていました。努力して大きな契約を取っても、担当を男性に替えられてしまった」と振り返りました。「40年前の話なので変わっているかもしれないけれど、古い体質の企業には今も残っているかもしれません」と学生たちへ伝えました。 また、「少子化対策と女性活躍は両立できると思いますか」という質問には、「とても本質的な問いですね」と応じ、「女性が活躍すると子どもを持たなくなる、というのは男性側の発想ではないでしょうか」と指摘。自身には子どもはいないものの、周囲には子育てをしながら働く女性も多く、海外では子どもを育てながら活躍する女性CEOも珍しくないと語りました。さらに、「日本はどれだけ長く会社にいるかで評価されやすい。家事や育児で長時間働けない女性は、出世しにくいという空気が(未だ一部に)残っているように思います」と現状を説明。「外資系ではすでに始まっていますが、時間や場所ではなく、その人ベースで評価する考え方へもっと変わっていく必要があるのだと思います」と話しました。 本学卒業生であり、女性リーダーのロールモデルでもある政井氏の講演は、学生たちにとって大きな刺激となる貴重な機会となりました。 担当教員からのメッセージ 政井様には、この授業に初回からご登壇いただいています。また、本学の卒業生ということもあり、学生との距離感が近いという印象を受けています。一方、政井様のキャリアは特筆すべきものがあり、金融業界で、中央銀行、国内系、外資系とあらゆる組織でキャリアを積み重ねられた方は、なかなか存在しない、とても貴重なロールモデルであると思います。今までは比較的遠い存在であった金融のフィールドでしたが、今の学生の今後のキャリア形成を考えた時、一人ひとりがみずから資産設計することが求められることになります。政井様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
ベネッセスタイルケアの施設に訪問し、学生考案プロジェクトの実践が行われました。
12月10日(水)、株式会社ベネッセスタイルケア(以下ベネッセスタイルケア)とコラボし、全4回の授業にわたって連携プロジェクトが行われました。最終回となる4回目では、ベネッセスタイルケアが運営する高齢者施設を訪問し、入居者の皆様に向けて学生が考案したアクティビティと制作プロジェクトの実践が行われました。 授業と連携企業について 授業連携が行われたのは、生活科学部生活文化学科 塚原拓馬准教授のゼミナールです。塚原准教授は生涯発達心理学(人の一生を通して、年齢や状況ごとに変わる心のあり方や成長を、周囲の環境との関係から考える学問)を専門とされており、ゼミナールでは人間の生涯に関わる心理的なテーマを取り扱っています。 ベネッセスタイルケアは高齢者向けの介護サービス事業を中心に、高齢者の生活に寄り添うサービスを提供している企業です。今回は『〈高齢者のWell being〉に関して理解を深め、実践していく』をテーマに、企業連携プロジェクトが展開されました。 今回の実践にあたり、学生は提案の事前調査として施設の見学と実施されているアクティビティを体験しました。調査を踏まえ、アクティビティの提案を行う班と、施設の環境を活かした提案する班の二つに分かれ、具体的な行為とプロジェクトの提案を行いました。 アクティビティ班の発表 事前調査で体験したアクティビティ『歌声喫茶』の経験から、入居者の方には音楽が好きな方が多いことに着目しました。班のメンバーにも音楽が好きな学生が多かったため、共通点である音楽を取り入れた体操を提案しました。体操で使用する曲は、入居者の方々の世代に親しまれている曲と、大学生世代で流行している曲の2曲が選ばれました。 入居者の方々は学生の発表に対し、うなずいたり背伸びをしてスライドを見たりと、関心をもって聞いてくださいました。実践パートでは、学生が最前列の参加者と目を合わせながら笑顔でコミュニケーションをとる姿が見られました。なじみのある曲が流れると、鼻歌を口ずさみながら体操に取り組む方もいました。初めは見学として見守っていた方も、次々と体操の輪に加わり、アクティビティは徐々に活気づいていきました。 二曲目はテンポが速い曲で、初めは戸惑う様子もありましたが、学生のお手本と同じ動作を行ううちに、皆さん次第にリズムに乗っていきました。終わった後には着ていた羽織を脱ぐ方もいるほどで、学生とのアクティビティに熱中していた様子が伝わってきました。 アクティビティの感想を求められた入居者の方は、明るい笑顔で「たのしかった」と答え、学生は嬉しそうにうなずいていました。 環境班の発表 環境班の発表では、『一人時間の充足がウェルビーイングにつながる』という考えを提示しました。事前調査の見学の際、施設内には一人で過ごせるスペースが多くあることに気づき、充実した一人時間の過ごし方として読書を提案しました。さらに、ただ本を読むだけではなく、読書に必要なしおりを活用した施設内スタンプラリーや押し花制作などのアイデアも紹介しました。今回はその中から、ペンを用いて「栞(しおり)」にイラストを描く制作を行うことを説明しました。 この発表に対し、入居者の方からは「押し花の案、良いと思います。これからのしおりづくりも楽しみです」との感想があり、介護職員からも「スタンプラリーの企画はすごく素敵です。参考にさせていただきます」とコメントをいただきました。 発表の後は、実際にしおりの制作に取り組みました。入居者の方々は4人程度の班に分かれ、それぞれのテーブルには担当学生が着席。参加者はペンを使ってイラストを描き込み、一色で丁寧に塗る方や、複数色を使ってカラフルに仕上げる方など、表現はさまざまでした。学生と入居者の方々はしおりを見せ合ったり、目を合わせて会話を交わしたりと、コミュニケーションを取りながら20分ほど制作に取り組みました。 制作を終え、学生たちが退室する際には、交流を深めた入居者の皆様からたくさんの手を振っていただき、温かい雰囲気の中で見送られました。中には「これからも頑張ってね」とエールを送ってくださる方もおり、学生たちは笑顔で手を振り返し、用意したプロジェクトが無事に終了したことにほっとした様子でした。 プロジェクトの最後に 4回にわたるコラボ授業の締めくくりとして、参加者全員で感想の共有を行いました。 学生からは次のような感想が寄せられました。 「想像以上に積極的に参加していただき、直接コミュニケーションをとる中で、知らなかったことを知ることができる貴重な機会でした」「準備中は不安もありましたが、実際に実施すると入居者の皆さんがとても楽しそうに取り組んでくださり、安心しました」「発表の場としてとてもいい経験になりました。やってみて学ぶ点も多くあり、今後の活動に活かしたいです」など、今回の経験を次につなげたいという前向きな声が多く上がりました。 ホーム長の吉田氏は、「実施していただいた企画はどれも素敵で、入居者さまもスタッフも大変喜んでいました。発表のアイデアも参考になり、充実した時間になったと感じています」と話しました。 また、キャリア人事本部の渡辺氏は、「入居者さんのために考え、行動してくれたことがとても良かったです。キャリアについての話も含め、今回のプロジェクトが学生の皆さんにとって良い経験になっていればうれしいです」と総括しました。 キャリアにもつなげる実践に プロジェクトの実践の後には、新卒5年目の社員である長井氏による就活経験を交えたミニ講演も行われました。就職する企業をどのように決めたのか、就活のポイントや実際働いてみて感じたギャップ、現在歩んでいるキャリアについてなど、リアリティのあふれる講演をいただきました。学生にとって、今回の経験を通じて自分のキャリアについても考えを深めるきっかけとなりました。 担当教員からのメッセージ この度は株式会社ベネッセスタイルケア様にご協力頂き、「高齢者のWell beingに関して理解を深め、実践していく」というテーマついて連携授業を実現できました。超高齢化社会を迎え、私たちは「後期高齢期」という未知な世界をどのように活きていくかという課題に直面しています。その社会課題は当事者だけでなく、若年を含む社会に生きる私たちみんながどう捉え、どのような取り組みをしていくかという多世代的な視座が不可欠であると考えています。そこで、今回はゼミナールの学生達とともに高齢者施設の利用者様や職員の皆様のご意見やご助言を頂きながらトライをしてみました。初回の連携授業でもあり、小規模な試みでありましたが、関わらせて頂いた学生達にとっては大きな一歩となる学習の機会を頂くことができました。ご協力頂きました株式会社ベネッセスタイルケア様には心より御礼申し上げます。
自身が生かされている意味とは?「キャリア・ショーケース」の授業で元スターバックスCEOによる「ミッション」についての講義が行われました。
4月23日に「キャリア・ショーケース」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で元スターバックスコーヒージャパンCEOであり、株式会社リーダーシップコンサルティング代表の岩田松雄氏の特別講演が行われました。自らの半生を通し、「ミッション」を自覚することの大切さを学生たちに伝えてくださいました。 自分はなぜ「生かされている」? この授業では学生が進行を担当します。CUBEと呼ばれる各班に分かれ自ら考え行動する力を養います。まず語られたのは「生きていることの不思議」。宇宙の誕生や地球の形成、そこから生命が生まれ人間へと進化してきた流れは、すべて偶然の積み重ねです。その視点から岩田氏は「生きているというより、(何か大きな力に)生かされていると感じる」と話します。 では、なぜ自分は生かされているのか。岩田氏は「人それぞれにミッションがあるから」と説明します。ミッションとは「存在理由」のこと。ミッションには、自分自身の役割を考える「個人のミッション」と、会社が存在する意味を考える「企業のミッション」があります。授業ではこの2つを軸に、自分の生き方や将来について考えていきます。 AI時代に必要な学びの本質とは AIの進化によって、多くのことが簡単に答えを得られる時代になりました。では、なぜ大学で学ぶ必要があるのでしょうか。 岩田氏はその理由を「視座を高める、視野を広げる、視点を鍛えるため」と説明します。自分とは異なる立場で物事を考え、興味のある分野だけでなく幅広く知識を得ること。「それによってイノベーション(変革)が起こりやすくなる」と話しました。そして得た情報をどう受け止めるかを考える力(視点)こそが重要だといいます。「卒業のためではなく、自分の土台をつくるために学び続けることが大切」と学生に伝えました。 また、変化の激しい時代だからこそ「不易流行」という考え方が必要だと強調します。岩田氏は「これは、変わらない本質(哲学)を大切にしながら、新しいもの(科学技術)も柔軟に取り入れるという考え方です。科学技術は加速度的に進歩しているが、人間の本質は何千年も変わっていないということ。今日お話しするミッションの大切さはいつの時代も変わらない。AIが答えを出してくれる時代だからこそ、人間に求められるのは「問う力」です。」と話し、常識を疑い、問題意識を持ち、自分で問いを立てるためにも、学び続ける姿勢が大切だと語られました。 AIが答えを出してくれる時代だからこそ、人間に求められるのは「問う力」です。問題意識を持ち、自分で問いを立てるためにも、学び続ける姿勢が大切だと語られました。 自分のミッションを見つけよう 岩田氏は、自身がミッションに気づいた経験を語りました。 「新卒で日産自動車株式会社に入社し、新入社員あいさつで『社長を目指す』と宣言し、先輩方から失笑をかった。しかし当時は社長の仕事は何も分からなかったが、高い目標が必要だと考えたからだといいます。ふと自社の企業理念を先輩達に尋ねても答えは得られませんでした。若い時から経営理念や社長に関心を持っていました。」 「経営に興味を持ったきっかけは、二つのハンバーガー店での気づき。同じ業種でも、楽しそうに働く店とそうでない店があることに疑問を持ち、経営に興味を持つようになります。そこでビジネススクールに進み、経営を学びました。経営学の授業では『会社=利益を追うもの(株主価値の最大化)』と教えられましたが、腑に落ちませんでした。」 「その後、株式会社アトラスの社長に就任。最初は社長就任挨拶で『株主価値の最大化が大切』と言っても社員には通じませんでした。その後ザ・ボディショップの社長をしている時に『企業は世の中を良くするためにある』と言う考えに至りました。ザ・ボディショップは、化粧品会社ですが、環境問題や人権問題に取り組む創業者のアニータ・ロディックの考えに共感しました。」 岩田氏は「企業は利益のためだけにあるのではない。世の中をよくするというミッションを実現する手段として利益が必要」と強調します。社会をより良くするために企業が存在するという考えに至ったプロセスは、これから進路を考える学生にとって大きなヒントとなる内容でした。 ミッションをもつことで働き方は変わる なぜ企業にもミッションが必要なのでしょうか。岩田氏は「共通のゴールを持てるから」と説明します。会社にはさまざまな価値観を持つ人が集まるため、同じ方向を目指すための軸が欠かせません。また、ミッションに共感した人が集まることで、組織としての一体感も生まれます。実際に岩田氏自身もスターバックスの理念に共鳴し、長い採用プロセスを経てスターバックスの社長に就任しました。 では個人のミッションはどう見つけるのか。ヒントは「情熱を持てること」「世界一になれること」「経済的原動力になること」の重なりを探すこと。つまり「好きで、得意で、人のためになること」です。「人にためになる」からその対価としてお金をいただけます。岩田氏は「ミッションはすぐに見つかるものではなく、また成長とともに進化させてもいい」と語ります。大切なのは、自分がなぜ生かされているのかを考え続けること。「働くとは、傍(はた)を楽にすること。自分の仕事が社会にどう役立つかを意識してほしいと思います」と講演を締めくくられました。 ミッションをどう見つけ、どう向き合う? 講演後は各グループで学びを共有し、質疑応答が行われました。 サークルでリーダーを務める学生からは「友人の関係性を越えて、組織の挑戦意欲を高めるにはどうすればよいか」と質問があり、岩田氏は「リーダーとは役割。自分のためではなく、チームのために何ができるかを考える“無私の心”が大切。だから時には厳しいことも言うべき」と答えました。また、「好きで得意なことが人のためになっているか自信がない」という声には、「人に感謝されたり褒められたりすることは、すでに誰かの役に立っている証拠。まずは好きなもの得意なものをつきつめていきましょう」とアドバイス。 さらに就職の失敗への不安については「もし落ちても、相手の見る目がないなと思って、ご縁があるところで頑張ればいい」と笑いも交えつつ回答。「就活面接で御社のミッションやビジョンに共鳴して~というのはだいたいの学生が言います。ただそれは相手起点で話している。自分起点で、自分はこういうミッションを持っていてこういう事をしたい、御社だったらそれが出来ると思った」と伝えれば良い。学生にとって、自分の軸はなにかを考える大切さに気づく機会となりました。 担当教員からのメッセージ 岩田様には、本学客員教授として、この科目のみならず本学の多くの科目でご講演、ご指導をいただいています。「ミッション」については、多くの学生の中に浸透しており、キャリア形成を考える上での軸となっており、学内の様々な活動は勿論、就活の際の「自分の強み」を考える上でも貴重な示唆をいただいています。さらに社会人となってからも、生き方の支えにもなっています。企業が社会で活動する意味、個人が社会で生きていく意味、まさにキャリアの本質に迫る内容は、学生の大きな気づき、そして学びに繋がっていることを感じます。改めて、この場を借りて、岩田様に心からお祈り申し上げたいと思います。
韓国便のサステナブル機内食を考えよう!「演習Ⅲa」の授業でJALとの特別コラボが始まりました。
4月28日に、「演習Ⅲa」(担当:人間社会学部ビジネス社会学科 角本伸晃教授)にて、日本航空株式会社(以下、JAL)との特別コラボ授業が開始されました。この日はオリエンテーション。JALが航空業界だけでなく、広く社会課題に取り組んでいることを学びました。授業の最後には数か月にわたって取り組むグループワークの課題も発表され、学生たちは新しい学びに積極的に取り組んでいます。 空の仕事から学ぶチーム力と前向きさ 登壇したのは、現役の客室乗務員でもある吉村真紀氏。「地球320周分、月まで16往復分ほど飛行機に乗っている」と語り、学生たちも驚きの表情。長時間乗務を続ける秘訣は「笑顔で前向きにいることと、チームの力」だといいます。「飛行中には救急車も消防車も来ません。すべて自分たちで対応します。だからこそ前向きに取り組むこと、そして大変なときに支えになる仲間の存在が大切です」と、チームビルディングの重要性を語りました。 もう一人登壇したのは鈴木茂樹氏。運航管理などの空港現業、機内食の開発などに携わり、著名なレストランとのコラボレーションメニューやサステナブルな食材を機内食に取り入れるための交渉などを担当されていました。 自己紹介の後はJALクイズが出題。JALのフラッグシップであるエアバスの機体カラーに込められた思いや企業理念、オリジナルドリンクなどに関する問題に、学生たちは手を挙げて積極的に参加しました。楽しみながら学べる時間となり、「クイズを通して大切にしていることが伝われば嬉しいです」と締めくくられました。 JALの価値観と目指す未来像とは ここからはJALの経営ビジョンについて。JALが目指すのは、航空会社の枠を超えて社会課題に向き合うことです。安心・安全な空の旅に加え、お客様の心に響く出会いや体験の提供を大切にしています。その実現のために策定されたのが「JALフィロソフィ」。これは、社員全員が共有する意識・価値観・考え方をまとめたもので、部門や職種を超えた連携を支える重要な指針です。 そして吉村氏は「皆さんにとってのウェルビーイングは何ですか?」と問いかけました。ウェルビーイングとは、自分にとって心地よい状態のこと。学生からは「モチベーション高く勉強できているとき」や「課題を終えたときの達成感」などの声が挙がりました。吉村氏は「心地よさは人それぞれ。JALもお客さま一人ひとりに『いいね』と思ってもらえる価値を提供できるよう変化しています」と語りました。 「六方よし」のためのウェルビーイング JALは企業として利益を出し続ける必要がありますが、利益だけを追うのではなく、すべてのステークホルダーに誠実であることを重視しています。これはESG経営と呼ばれ、環境や社会課題に企業として向き合う考え方です。 たとえば気候変動への取り組みでは、機体をカーボンで作ることで軽量化し、CO2排出量を減らす工夫を行っています。面白いところでは、家庭や飲食店の使用済み食用油を回収し、燃料に再利用する取り組みも。「渋谷区でもスーパーなどで集めていますので、皆さんもぜひ」と紹介されました。 多様性の面でも、障がいのある社員の活躍推進や男女差の解消に取り組んでいます。昔は、客室乗務員は子どもが出来たら定年、なんて言われていた時代もありました。今は子育てしながら働くのも当たり前。これは放っておいたら変わったわけではありません」と吉村氏。制度は自然に変わったのではなく、その都度の社員が、これがウェルビーイングなんだということを示していくことで少しずつ制度が整っていったのだと語りました。 またJALは「六方よし」の精神を大切にしています。世間、売り手、買い手がwin-winになる従来の「三方よし」に加え、作り手や環境、未来にも価値を届けることを目指しているのです。 韓国便のサステナブル機内食を考えよう! いよいよ課題の発表です。テーマは「JALグループのビジョンを体現する『サステナブル・韓国便ミール』の企画」です。韓国便のフライトは約2時間と短く、提供時間に余裕がありません。手早く出せるボックスミール形式で考えます。温めて提供することはできないので、冷たくても美味しいものを考えるのもポイントの一つです。 鈴木氏は「コストや食材など考えることは多いですが、私が機内食を考えるときは、『一番大事な人に食べてもらって笑顔になるか』をイメージしました」とアドバイス。家族や友人を思い浮かべ、楽しんでもらえるメニューを考えてほしいと語りました。吉村氏も「韓国はZ世代に人気の文化が多い国。ぜひ皆さんのウェルビーイングを感じるアイデアを提案してください」と期待を寄せました。 学生たちはグループで課題に取り組み、2か月後のプレゼンテーションに向けて準備を進めていきます。 担当教員からのメッセージ 角本ゼミではこれまで「観光」をメインテーマとしてきましたが、今年度はJAL航空みらいラボ様とPBLを行うことになりました。目的地への移動で航空機を利用する場合は長時間、閉鎖空間で過ごすために、機内食を楽しみにされている方が多いと思います。 今回のテーマは韓国便での機内食の提案ですが、その前提には「JALフィロソフィ」や「ウェルビーイング」があり、それを具現化する「サステナブルな機内食」をという趣旨説明を聞いて、ゼミ生たちも取り組む意欲がさらに高まったと思います。学生らしい型にはまらない提案を期待しています。 JAL航空みらいラボについて詳しい内容はこちら→https://www.jalaviofuture.co.jp/
奥菜恵さんが代表を務めるプロジェクト〈まるのWA〉のボランティア募集説明会が渋谷キャンパスで開催されました。
4月28日、渋谷キャンパスにて奥菜恵さんが代表を務めるフードバンク兼居場所づくりプロジェクト〈まるのWA〉について、学生ボランティアを募集する説明会が開催されました。 まるのWAについて まるのWAは、「子どもからお年寄りまで、世代を問わず気軽に集まり、ほっとできる居場所を作りたい」という奥菜さんの想いからスタートしたフードバンクプロジェクトです。居場所づくりとフードバンク活動をかけ合わせることで、参加者同士、参加者と運営といった人のつながりの循環を生み出しています。 奥菜さんは、プロジェクト設立の背景として、父の「誰かの役に立つようなことをしていきなさい」という言葉に影響を受け、長年ボランティア団体のスタッフとして活動してきたことを話しました。また、自身がシングルマザーを経験し、当時の孤独感や苦しい経験があるからこそ「同じ立場の人を支えたい」という想いがあることを紹介しました。 まるのWAでは月に一回、さまざまな企業から提供される商品の配布のほか、缶バッジ作りやリメイク体験などの体験イベントを開催しています。約20人が在籍する運営スタッフの中には、中高生などの学生も活動しており、イベント参加者のメイン層である親子連れを中心に、世代を超えた交流の場となっています。奥菜さんは「参加者からは『月に一回のこの場所が心の支えになっている』『子供が本当に楽しそうに過ごせている』といった言葉を寄せられている」と紹介し、「活動の意義や必要性を実感している」と話しました。 一方で、イベント参加人数の増加に伴い、参加人数が会場のキャパシティを上回ってしまうことや、「本当に必要な人に情報が届いているのだろうか」といった情報発信への不安といった課題についても学生に共有し、解決のために動き出そうとしていることを伝えました。 設立1周年にむけて 奥菜さんは学生に向けて、7月に開催予定の『まるのWA一周年イベント』について「コラボ企画第1弾としてみなさんに参加してほしい」と呼びかけました。続けて、「企画や運営、SNS運用など、皆さんが得意なことを通じて、さまざまな案を出しながらコラボレーションをしていけたらと思います」と話しました。 最後に「若い世代のリアルな言葉や感性には、とても大きな力があると思っています。たくさんの人の心や生活を支える活動を、皆さんと力を合わせて行えたら嬉しいです」と学生に語りかけ、説明会を結びました。 実践女子大学は今後も、企業や地域との連携を通じて、学生が社会課題に向き合い学びを実践する機会を創出してまいります。









