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学生が商品企画を提案!〈演習Ⅱa〉の授業で行われた猿田彦珈琲とのコラボ授業で、学生の発表が行われました。
学生が商品企画を提案!〈演習Ⅱa〉の授業で行われた猿田彦珈琲とのコラボ授業で、学生の発表が行われました。
6月24日、演習Ⅱa(Kクラス担当:ビジネス社会学科 篠﨑 香織教授)にて、猿田彦珈琲から代表取締役の大塚朝之氏をはじめとする社員7名をお招きし、提示された課題に対する企画の発表を行いました。今回学生が取り組んだ課題は〈冬でも売れるアイスの提案〉〈1店舗あたり1日10杯のオーダーされるジェラッテ提案〉〈福袋の企画提案〉です。 これまでの授業のあゆみ 初回授業では大塚氏から猿田彦珈琲の理念やコーヒーにかける思いをご講演いただきました。講演後にはフード開発チームの三浦氏、坂本氏、経営企画チームの河村氏から学生が取り組む課題が発表され、授業を通して学生は〈冬でも売れるアイスの提案〉〈1店舗あたり1日10杯のオーダーされるジェラッテ提案〉〈福袋の企画提案〉に挑戦しました。アイスは学生・20代の若年層をターゲットに、11月から3月の販売を想定し、利用シーンなども踏まえて企画を検討しました。またアイスとジェラッテは猿田彦珈琲原宿店での販売を想定し、商品名やPR方法などアイデアを膨らませました。福袋についても、ターゲットやコンセプトを踏まえ、魅力的な商品構成を考案しました。初回授業の記事はこちら→ https://socialcooperation.jissen.ac.jp/topics/10662/ また、授業の一環として猿田彦珈琲 原宿店を訪問し、実地調査を実施しました。実際の商品や店舗の雰囲気、来店客の客層などを調査し、企画に活かすためのヒントを収集しました。 アイスの提案 〈冬でも売れるアイスの提案〉では、学生一人ひとりが、企業から示されたターゲットや販売時期、利用シーンを踏まえながら、「どんなアイスなら売れるか」を考え、アイデアをプレゼンテーションにまとめました。 特に販売想定時期の冬でも「食べたい」と感じてもらえる商品を目指し、さまざまな視点からアイデアが展開されました。提案では「特別感」「ご褒美」「贅沢」をキーワードに、アイスを食べる時間そのものの価値に着目した企画が多く見られました。濃厚な味わいで贅沢感を演出するものや、購入後に仕上げを楽しむ体験型の商品、トッピングによってオリジナリティを生み出すものなど、価値の提供方法にも学生それぞれの工夫が盛り込まれました。また、SNSでの発信を意識し、見た目の華やかさや写真映えを重視した提案も多く発表されました。 フレーバーについては、猿田彦珈琲らしさを表現したエスプレッソやコーヒーを取り入れたものをはじめ、ショコラやチョコレートを使用した濃厚な味わいの商品、定番のバニラを独自の視点でアレンジしたものなど、多彩なアイデアが提案されました。 学生全員の発表の後に、三浦氏と大塚氏から提案に対する全体的なフィードバックが寄せられました。 三浦氏は「店舗調査でお客様としての体験をしっかりと積み重ねたことが伝わってきました。実現性の高い提案ばかりで、新しい視点をもらいました」と評価が寄せられました。 また、大塚氏からは「大学生の提案とは思えないほどレベルが高かった」との言葉に加え、「自身の体験から得た気付きと、市場調査から見えたニーズのバランスが学生それぞれで異なっていて面白かったです。そのどちらの視点も大切にしながら、今後の提案にも生かしてほしいです」と、今後の学びにつながるアドバイスも送られました。 ジェラッテの提案 ジェラッテと福袋はチームに分かれて発表が行われました。 ジェラッテの提案では“1店舗あたり1日10杯のオーダー”を目標に商品アイデアを考案しました。学生は、商品名、フレーバー、価格、PR方法の4点を軸に詳細な内容を考え、プレゼンテーションを行いました。 Cチーム:和もちジェラッテ Cチームは“まるで飲む和菓子”をコンセプトに、黒蜜、きなこ、わらび餅を取り入れた〈和もちジェラッテ〉を提案しました。 コンセプトの理由について、調査結果を引用しながら「冬に食べたいと感じる人が多いこと」や「原宿店にも多く訪れる外国人観光客に需要があること」を説明。学生は商品のこだわりとして“食感”を提示し、食トレンドにおいて“もちもち”がキーワードであることを示しながら「わらび餅を取り入れることで食感にトレンド性を持たせるとともに、ドリンクのボリューム感向上を狙いました」と話しました。 また、ボリューム感の高さは満足度の向上とともに「スイーツの代わり」としての役割も狙えると説明。具体的に「友達とカフェに来たけど一人だけスイーツを頼みにくいシーン」に需要があると述べました。 PR方法としては店頭の試飲イベントや学割を提案。商品を実際に体験してもらうことで購買につなげる戦略を立てました。価格帯は「満足感や贅沢感と釣り合う680円程度」としました。 Bチーム:シーズンジェラッテ Bチームは冬季の11月から2月にかけて販売する、冬の季節感を反映した期間限定のジェラッテ3商品と、それらに合わせた商品戦略を提案しました。 11月〜12月上旬に展開する第1弾は〈ドバイチョコチョコジェラッテ〉。SNSを中心にトレンドフードとなったドバイチョコから着想を得て、内容を「ピスタチオ、カダイフ、チョコフローズンにする」と提案しました。第2弾は12月下旬〜2月に展開する〈5層で楽しむ大人のショコラ&ベリージェラッテ〉。コーヒーゼリーとベリー果肉が味わいのアクセントであると紹介しました。第3弾は2月に展開する〈コーヒージェラッテ〉。コーヒーゼリー、ミルクフローズンにダルゴナコーヒーを乗せ、フローズンとダルゴナコーヒーの味わいの変化を楽しむと述べました。 戦略として、第一弾でトレンドに敏感な女子高校生や女子大学生に認知を広げた後、ホリデーシーズン限定の第二弾へ関心をつなげ、最終的に第三弾で猿田彦珈琲のブランドとの接点を生み出す、という段階的な戦略を説明しました。 PR方法としてはSNSを挙げ、「フレーバーの話題性を狙って投稿を行う」としました。価格については「有名コーヒーチェーンの期間限定ドリンクよりも安く、現在販売されているジェラッテと同じくらいの価格帯を狙い、650円に設定した」と話しました。 Aチーム:杏仁パレット Aチームは〈杏仁パレット〉というジェラッテのフレーバーシリーズを提案しました。“SNS映え”、“新食感”、“毎日の小さなご褒美”をコンセプトに設定し、味は「ごろっといちごみるく杏仁」「冬みかん杏仁」「抹茶ノエル杏仁」「濃厚杏仁ミルクティー」の4種類を提案しました。 学生は市場調査から、杏仁豆腐が「専門店の出店など、注目度が高まっているスイーツ」であること、そしてスイーツの需要として“SNS映え”、“新食感”、“甘すぎない”の3点があることを紹介。杏仁豆腐をジェラッテに取り入れることで「甘すぎない風味と食感を、新感覚スイーツとしてジェラッテに取り入れることができる。また、白い杏仁豆腐がほかの具材と混ざっていくビジュアルの良さを写真映えに活かすことができる」と話しました。 また、複数フレーバーを展開することにより「並べて写真を撮りたくなるビジュアルにすることで、『飲みたい』だけでなく『写真を撮りたい』を購買動機につなげる」としました。PR方法としてSNSやインフルエンサーのPR投稿を提案し、販売価格は1つ700円と設定しました。 福袋の企画提案 福袋の課題では、コンセプトや価格帯、外装・見た目、内容物を具体的に考え、それぞれの設定に至った背景も含めてプレゼンテーションを行いました。 Fチーム Fチームの発表では、各班のメンバーそれぞれが考案した福袋の企画を一人ずつ提案しました。 学生たちは、年末年始という季節性や課題で設定された20代のターゲットを踏まえ、商品の組み合わせを通じてどのような体験価値を提供できるかを考えました。「新年の目標を立てる」というシーンを想定し、オリジナルロゴ入りの文具を封入した企画や、「慌ただしい時期に家族でほっと一息つく時間」をテーマに、コーヒードリッパーやサーバーに加え、タンブラーやコースターなど実用性の高いアイテムを組み合わせた企画が提案されました。 また、「大人になった節目として少し贅沢なコーヒー時間を楽しむ」をテーマに、ドリップバッグやコーヒー豆の説明書を添え、自宅でもコーヒーへの理解を深めながら楽しめる福袋や、店舗調査で印象に残ったアイスに着目し、「猿田彦珈琲ならではの魅力を味わいながら、ご褒美時間を楽しむ人」をターゲットとしたアイスモチーフの限定焼き菓子を提案する企画も見られました。 さらに、コーヒーのリラックス効果に着目し、カフェインレスコーヒーのドリップバッグとアロマキャンドル、アイマスクを組み合わせることで、コーヒーとともに心身を癒やす時間を提案するなど、学生それぞれが多様な切り口でアイデアを発表しました。 企画には共通して、福袋の外装にポーチやトートバッグなど実用性の高いアイテムを採用し、購入後も日常的に活用できるよう工夫するなど、商品の魅力を高める提案が多く見られました。 Dチーム:新年を前向きに過ごす福袋 気軽に場所を問わずコーヒーを楽しみたい人をターゲットに、年末年始休暇明けの仕事を前向きに頑張れるよう後押しする福袋を提案しました。価格は3,000円と6,000円の2種類を設定し、どちらも猿田彦珈琲のロゴ入りトートバッグに封入する企画です。 3,000円の福袋には、「コーヒー豆」と「豆を挽くグラインダー」を組み合わせました。学生は、「新しい趣味を始めたい」という新年の気持ちに着目し、「グラインダーがあることで、さらに挽く豆が欲しくなる」と、福袋をきっかけに猿田彦珈琲のコーヒー豆の購入につなげる狙いを説明しました。 一方、6,000円の福袋には、「ポータブルブリューボトル」を提案。販売メーカーに商品コラボの実績があることも紹介しながら、「どこでも淹れたてのコーヒーが楽しめるボトル」として、仕事の合間や外出先でも手軽にコーヒーを楽しめる点をアピールしました。 また、どちらの福袋にも「朝昼夜のシーンに合わせた味わいのドリップバッグ」「デザインランダムコースター」「楽しみ方カード」を封入。特に「楽しみ方カード」は、初めてコーヒー豆を購入する人でもコーヒーの楽しみ方を知り、より特別な体験を味わえるよう工夫されていました。 Eチーム:日常に寄り添うご褒美福袋 Eチームは、福袋のコンセプトを「一年頑張った自分へのご褒美」に設定しました。企画の背景として、年末年始は自分へのプレゼント需要が高まることや、特に女性にその傾向が強いことを調査結果をもとに説明しました。 福袋には、外装を兼ねたトートバッグのほか、ポーチ、タンブラー、カフェラテシロップ、ステッカーなど、実用性の高いアイテムを封入。グッズはベージュやブラウンを基調としたシンプルなデザインとし、日常生活に取り入れやすいことを意識して企画されました。 学生は、「温かみのある雰囲気と猿田彦珈琲らしさ、そして年代を問わず普段使いしやすいデザインを意識した」と説明しました。さらに、ポーチとタンブラーは3色展開とし、どの色が入っているか分からないランダム仕様を採用。福袋限定デザインの実用的なアイテムをランダムで封入することで、「特別感」「実用性」「わくわく感」の3つの価値を提供する工夫が盛り込まれました。 価格は6800円。学生は「『頑張ったから買おう』と思いきって購入ができる価格に設定した」と話しました。価格は6,800円に設定。学生は、「一年頑張った自分へのご褒美だからこそ、思い切って購入できる価格を意識した」と、その価格設定の理由を説明しました。 授業の最後に 社員の皆様から発表に対する総括のコメントをいただきました。 フード商品開発チーム 坂本氏 「あらかじめシーンコンセプトという共通の前提はありましたが、班ごとの発表には個性が光り、それぞれがまとまりのある内容に仕上がっていました。ここまで考えてくれるとは思っていなかったです。今回取り組んでくれた企画の考え方はいろんな仕事に役立つと思います。タイミングをみて、皆さんと一緒に商品開発にむけて動けたら嬉しいです」 経営企画チーム 河村氏 「コーヒー屋なので、コーヒーにまつわるタンブラーとかマグカップでなければいけないという概念が自分の中にありましたが、雑貨やリラックスするためのアロマキャンドルなど『そういうものもアリなんだ』と、皆さんが提案していただいた内容がすごく新しい発見でした。発表の中には現在考えている企画と通じるようなものもあり、デザインやコンセプトなどがとても参考になりました。ありがとうございました。」 代表取締役 大塚氏 「今年もすごく勉強になりました。我々としても学びの場であり、どちらの企画も商品化に向けて進めていきたいと思います。今回の企画を考えるような、背景を深堀して商品を考えていく思考方法は、今後必ず参考になると思います」 担当教員のコメント 4月末から6月末にかけて、駆け足ではありましたが、学生たちは「アイス」「ジェラッテ」「福袋」という3つの商品企画に取り組み、提案を行いました。  まず、カフェの利用や「おいしさ」に関する論文のレビューを行い、スイーツや福袋についての情報収集、店舗でのフィールドワークなどを重ねました。その上で、アイスは個人で、ジェラッテと福袋はグループで企画をまとめました。  個人とグループ、それぞれのワークの良さや難しさを経験するとともに、単に「面白いアイデア」を考えるだけではなく、猿田彦珈琲社が実際の商品として世に送り出すことを想定して、ターゲットや価格、商品内容、伝え方などを考えることの難しさと面白さを学ぶことができました。学生にとって、大学の授業で考えたアイデアが、実際の商品につながる可能性を持つという経験は、大きな刺激になったと思います。  これから迎える秋・冬シーズンにおいて、学生たちの提案のどのような部分が実際の商品に活かされるのか、私たちも猿田彦珈琲社の商品展開を楽しみにしています。  学生の提案を、単なる授業内の発表で終わらせるのではなく、企業の皆様に実際に検討していただき、その可能性を検証できる企業連携授業は、決して多くありません。このような得難い機会を与えてくださいました大塚社長をはじめ、猿田彦珈琲社の皆様に、心より御礼申し上げます。  また、授業のたびにおすすめのドリンクをご用意いただきましたことにも、重ねて御礼申し上げます。毎回、今日はどんなドリンクをいただけるのか、学生とともに楽しみにしていました。4月はカフェラテ、5月は蜂蜜のラテ、6月はお抹茶ラテをいただきました。どれも大変おいしくいただきました。ごちそうさまでした。
先頭に立つことだけがリーダーじゃない!「集団・コミュニケーション論」の授業で株式会社ANA総合研究所の多田浩司氏による特別講演が行われました。
7月1日に「集団・コミュニケーション論」(担当:国際学部国際学科 久保田佳枝准教授)の授業で、株式会社ANA総合研究所の多田浩司氏による特別講演が行われました。「自分らしいリーダーシップ」を軸に、現代求められるリーダー像について語られました。 ANAはチャレンジ精神あふれるベンチャー企業 ANAは1952年に2機のヘリコプターから始まりました。初の民間航空会社としてスタートしたANAは「今でこそ一日1000便もの飛行機が飛ぶ大きな会社ですが、創業当時はまさにベンチャー企業そのものでした」と多田氏。その後は着実に歩みを進めるだけでなく1986年には国際線定期路線の就航や、2012年にはLCC(格安航空会社)である「Peach Aviation」の運航開始など、常に一歩先を見据えたチャレンジの連続であった歴史を語りました。 多田氏は航空機整備や安全推進などの総合職技術系としてANAに入社。現在は豊富な経験を活かし、ANA総合研究所の一員として、各種の調査・研究や大学での講義を行っています。 時代に合わせたリーダーの姿とは? 多田氏はまず、「皆さんはリーダーシップと聞いてどんな人を思い浮かべますか」と学生たちに問いかけました。「命令する人や権威のある人というイメージは、旧来型のリーダーシップです」と説明。かつての高度経済成長期は豊富な経験をもとに指示を出し、部下はそれに従うことで成果を上げるスタイルがこれまでの主流だったと話しました。 一方で、変化の激しい現代ではそれだけでは対応しきれません。多田氏は、対話や共感を大切にし、メンバーに寄り添いながら力を引き出すリーダーが求められていると語ります。「『俺についてこい』ではなく、『一緒に頑張ろう』と支え合える環境をつくるリーダーも重視されています」と説明しました。 ただし、旧来型のリーダーシップが悪いということではありません。経験に裏打ちされた決断力も、相手に寄り添う傾聴力も、どちらも欠かせない力です。「大切なのは優劣ではなく、時代に合わせて求められるリーダー像が変化しているということです」と学生たちに伝えました。 「着いていく」ことがリーダーになる? 多田氏は、ある講演で紹介された映像を学生たちに見せました。それは、一人が踊り始めるとその姿に影響されて次々と人が加わり、大きな輪になっていく動画でした。この映像をもとに、多田氏は「リーダーは大切な存在ですが、実は過大評価されがちです」と話しました。 重要なのは、最初にリーダーについていく「フォロワー」の存在です。「最初のフォロワーになるには、リーダーと同じくらい勇気が必要。『それいいね』『手伝うよ』と最初に声を上げる人がいるからこそ、周りも動き始めます」と、フォロワーシップの重要性を伝えました。 さらに、リーダーはフォロワーに一方的に指示を出すのではなく、対等な立場で一緒に行動することが大切だと説明。「重要なのはリーダー個人ではなく、活動を前へ進めることです。一人で完璧を目指す必要はありません」と語り、それぞれの得意分野を生かして役割を分担する「シェアドリーダーシップ」の考え方も紹介しました。 多様な価値観を活かすリーダーシップ ここで多田氏は、DISCという性格類型の自己診断を学生たちに体験してもらいました。DISCは、人の行動特性を主導型(Dominance)、社交型(Influence)、慎重型(Conscientiousness)、安定型(Steadiness)の4つに分類する考え方です。 「どのタイプが優れているということではありません。大切なのは、人によって考え方や行動の特徴が違うことを知ることです」と多田氏。社会に出ると多様な価値観を持つ人と協力して働くため、リーダーが全員の意見をまとめる難しさも生まれます。しかし、「多様なメンバーであるからこそ、皆で意見交換することに価値があるのです」と多田氏。「同じタイプの人ばかりでは新しい発想は生まれにくい。異なる個性を認め合い、それぞれの強みを生かせる環境づくりが、新しい価値を生み出します」と語られました。 安全を守るANAグループのアサーション文化 続いて多田氏は、ANAグループの「アサーション」文化を紹介しました。アサーションとは、互いを尊重しながら率直に意見を伝え合うコミュニケーションのことです。上下関係の中で意見を言えないことが重大な事故につながりかねない航空業界では、パイロットの訓練でも重視されています。 「上下関係は年齢や経験、レギュラーか補欠かといった立場など、さまざまな場面で存在します。だからこそ、上の立場の人が意見を言いやすい環境をつくることが重要です」と多田氏。また、「アサーションは攻撃的でも、何も言わない非主張的な態度でもだめ。相手を認めた上で自分の考えを伝え、お互いを尊重することが大切です」と語りました。 最後に、「リーダーに必要なのは、人の可能性を奪うのではなく、引き出す言葉を掛けること」と締めくくりました。「先頭に立って引っ張る人だけがリーダーではありません。仲間を支え、ときには後ろから後押しすることも立派なリーダーシップです」と、誰もが実践できるリーダー像を学生たちに伝えました。
住宅を通して「心地よい関係性」を考えよう!「対人コミュニケーション論」の授業で、旭化成ホームズの河合慎一郎氏による特別講演が行われました。 
6月24日に「対人コミュニケーション論」(国際学部国際学科)の授業で、旭化成ホームズ株式会社のLONGLIFE総合研究所長である河合慎一郎氏による特別講演が行われました。河合氏は二世帯住宅を通して、人と人とのつながりや関係性について講演。親子や社会など「つながり方のデザイン」について考える機会となりました。 家を通して考える、人と人とのつながり方 河合氏は登壇すると、「私は住宅に関わる仕事をしています」と自己紹介されました。「『なぜ国際学科の授業で住宅の話をするのだろう』と思った人もいるかもしれません。でも、住宅を通して考えることは、皆さんが学んでいる国際的な視点や人との関わりとも深くつながっています」と語り、講演が始まりました。 河合氏は、もともと住宅設計を手がける一級建築士として約450棟の戸建住宅を設計。その経験を生かし、現在は「人の暮らし方」を研究するLONGLIFE総合研究所で活動しています。この研究所は、旭化成ホームズが「ALL for LONGLIFE」の理念のもと、住む人が長く快適に暮らせる住まいを実現するために設立した組織です。 「今日は家づくりの話ではなく、人とのつながり方について考えてみたいと思います」と切り出し、「皆さんは、人との距離感で悩んだことはありませんか」と学生たちに問いかけました。人との距離は、近すぎても遠すぎても良い関係を築くのは難しいものです。河合氏は「人との距離感に正解はありません。文化や育った環境によって心地よい距離は異なります。それは海外で人と関わるときにも同じです」と話し、人との関わり方について考える大切さを伝えました。 自分は外交的?一人になりたいタイプ? 「まずは自分のタイプを知ってみましょう」と河合氏。学生たちは、簡単な質問に答えて点数を集計し、自分にとって心地よい対人距離の傾向を知るワークに取り組みました。結果からは、人とのつながりを大切にする外向的なタイプか、一人の時間を重視する慎重なタイプかなど、それぞれの特徴が分かります。 河合氏は「例えば外向性が高い人は、家族や友人が集まりやすいダイニングを重視する傾向があります。一方、一人の時間を大切にする人は、落ち着いて過ごせる個室を求めることが多く、こうした違いは住まいのデザインにも影響します」と説明。「どのタイプが良いということではありません。一人ひとりの価値観や暮らし方に合わせて住まいを設計することが大切なのです」と話しました。 さらに、現在では広く知られる「二世帯住宅」についても紹介しました。実は、この言葉を生み出したのはヘーベルハウスです。二世帯住宅とは、同じ建物に住みながらも、親世帯と子世帯がそれぞれの生活空間や家計を分けて暮らす住まいのこと。1970年代以降、サラリーマン家庭の増加や地価の高騰を背景に、家族との適度な距離感を保ちながら経済的にも暮らしやすい住まいとして誕生しました。住宅は、家族のつながり方や時代の変化に合わせて進化してきたことが紹介されました。 関係の3原則を意識しよう 続いて河合氏は、人間関係を築くうえで大切な「関係性の3原則」として、「距離」「接点」「配慮」の3つを紹介しました。 「距離」は、近すぎると干渉になり、遠すぎると孤立につながるものです。「接点」は、人と会ったり会話をしたりする機会のこと。どれくらいコミュニケーションを取ると心地よいと感じるかは、人によって異なります。そして「配慮」とは、立場の弱い人への思いやりです。例えば家族であっても、嫁や婿のように血縁関係のない人は価値観の違いが生まれやすいもの。昔から嫁と姑の問題が語られてきた背景にも、こうした関係性があります。 河合氏は「人と人との関係は対等だと思いがちですが、実際には立場や役割によって力関係が生まれます」と説明しました。そのうえで、「心地よい距離感は人それぞれです。世代や育った環境、文化の違いによって感じ方も変わります。人そのものが問題なのではなく、関係設計のミスマッチによって起こるのです」と語りました。 人と人との関係性に正解はない 講演の最後に河合氏は、「今日は親子関係を中心にお話ししましたが、『関係性の3原則』は家庭だけに当てはまるものではありません。人と人とのコミュニケーションを考えるための基本的なフレームです」と話しました。「距離」「接点」「配慮」の3つは、異文化理解や国際交流にも欠かせない視点です。また、人と自然との関わり方を考えるSDGsにも通じる考え方だと説明。「人との関係や物事との関係は、環境や状況によって変化します。国際関係を学ぶうえでも、この3つを意識しながら物事を見てほしいと思います」と学生たちにメッセージを送り、講演を締めくくりました。 講演後には質疑応答が行われました。「建てた家が住み始めてから理想と違うと感じた場合、リフォームはできるのでしょうか」という質問に対し、河合氏は「長く暮らしていると家族構成や人間関係は変化します。その変化に合わせて住まいも柔軟に変えられるよう、リフォームしやすい設計が取り入れられています」と回答しました。 住宅をテーマにしながらも、人との関わり方や国際社会につながる視点を学ぶことができた今回の講義は、学生たちにとって新たな気づきを得る貴重な機会となりました。
JAL×職員研修が実施されました
2026年8月31日(月)、日本航空株式会社(以下JAL) JALビジネスキャリアサポートの協力のもと、、コミュニケーション能力向上とチームビルディングに関する職員研修を実施いたしました。学校法人実践女子学園とJALグループは2026年5月に教育連携協定を締結しており、今回の研修は、本協定に基づく連携の一環として実現したものです。 研修の様子 午前中は、コミュニケーションのテクニックについて学び、午後はチームビルディングをテーマに研修が行われました。一日を通じてミニワークをチームやペアで行いながら、実践的にスキルを身に着けました。コミュニケーションのテクニックやスキルの説明は、講師の客室乗務員での経験から具体的な例を引用しながら行われ、コミュニケーション能力の重要性や、チームビルディングが円滑な業務運営につながることを職員へ伝えました。 日頃のコミュニケーションを振り返りながら、相手に伝わりやすいポジティブな表現や、チーム内でのより良い関係づくりについて学びました。参加した職員にとって、普段の業務にも活かせる多くの気づきを得る機会となりました。
写真でつながるコラボ!〈日本のメディア文化〉の授業でフォトクリエイトと連携し、Photomaticをテーマに企画を考案しました。
写真でつながるコラボ!〈日本のメディア文化〉の授業でフォトクリエイトと連携し、Photomaticをテーマに企画を考案しました。
7月9日、実践女子大学国際学科専門科目〈日本のメディア文化(担当:国際学科 グリーン,バーバラ准教授)〉にて、株式会社フォトクリエイト(以下フォトクリエイト)とのコラボ授業が実施されました。フォトクリエイトは、渋谷キャンパスにも設置されている韓国発セルフフォトブースPhotomaticの運営を行っています。初回授業では代表取締役社長の大迫由典氏と、セルフフォト推進部の田中愛莉氏からフォトクリエイトの事業領域やPhotomaticについてご説明いただいたのち、学生が取り組む課題として『PhotomaticのIPコラボ企画の考案』が提示されました。学生はグループワークに取り組み、コラボ授業最終回では学生一人一人が考案した企画をフォトクリエイトの皆様に直接プレゼンテーションを行いました。 授業と企業連携について 〈日本のメディア文化〉は、国際学科3年生を対象に開講されている専門科目です。漫画やアニメ、映画、ゲームなどの日本のポップカルチャーを通して、作品の歴史や文化的背景だけでなく、社会や政治とのつながりを理解し、物事を多角的・批判的に考察する力を身につけます。 今年度はフォトクリエイトと連携し、課題解決型授業を実施しました。フォトクリエイトは、インターネット写真サービス事業を中心に写真に関するサービスを多角的に展開しており、その一つとして韓国発セルフフォトブランドPhotomaticの運営を行っています。Photomaticは渋谷キャンパスにも設置されており、今回初めて授業での連携が行われました。 フォトクリエイトについて フォトクリエイトについて、代表取締役社長の大迫由典氏から説明がありました。 大迫氏ははじめに「フォトクリエイトは株式会社キタムラホールディングスのグループ会社です」と説明。株式会社キタムラホールディングスには〈カメラのキタムラ〉をはじめ、写真撮影やカメラに関する業務を手がける企業が所属していることを紹介しました。 大迫氏は「カメラ業界の客層の中心は大人世代が多く、“若者のカメラ離れ”ともいわれています。しかし、思い出の一瞬を写真に収め、現像して手元に残し、見返すことで、より深い思い出になっていくカメラの価値を若年層にも広げたいと考え、写真やカメラに触れるきっかけとなるコンテンツとしてPhotomaticの取り扱いをスタートしました」と説明しました。 大迫氏はさらに、Photomaticでは撮影データとともに写真を1枚プリントアウトすることを紹介しながら、「撮った写真を持ち帰ることで、撮影した日を『忘れられない思い出の日としてほしい』という願いが込められています。プリントアウトされた写真を通じて、撮影そのものだけでなく、体験を提供しているサービスという側面にも注目していただきたいです」と学生に話しました。 Photomaticについて 続いて、セルフフォト推進部の田中愛莉氏からPhotomaticについて、具体的なサービス内容やIPコラボ(キャラクターや作品、ブランドなどの知的財産とのコラボレーション)について説明がありました。 Photomaticは韓国を拠点とするセルフフォトブースブランドです。写真撮影のほか、撮影データのオンライン共有や写真の印刷が体験できるフォトブースを提供しています。 田中氏は「無加工でアナログな写真の風合いなど、印刷用紙や写真の質にこだわっている」と紹介しました。また、「ブースには、箱形で中に入って撮影するクラシックタイプと、大人数での撮影や全身撮影にも対応したマルチタイプの二種類があります」と説明。ブースを活用した事業として、ブースのレンタル、常設ブースの運営、IPコラボの三種類があることを紹介しました。 特にIPコラボについては、「私達から企業に営業に行くことはもちろん、企業側から問い合わせが来たり、代理店や関係会社の方から連絡が来てコラボが実現することもあります」と、コラボレーションが決まるまでの経緯を説明。限定フォトフレームの作成や撮影ブースのデコレーションのほか、ライブ会場やイベント会場にブースを出店するなど、さまざまな方法でコンテンツとのコラボレーションを行っていると紹介しました。 田中氏は、PhotomaticがIPコラボを行う理由として、「思い出を残す体験を提供できること」と「Photomaticの利用者層に対してコンテンツの認知拡大を図ること」の二点を挙げました。コラボレーションの狙いとして、ファンとのエンゲージメント強化やSNSでの話題拡散、新規顧客層の獲得があるといいます。 サービスを通じてファン側には、オフラインでコンテンツとより深くつながる機会を持てることや、撮影データをSNSでシェアしたくなるような体験を提供できる点が利点として挙げられました。一方、コンテンツ側にも、ファンとのつながりを深められることに加え、Photomaticの主な利用者層である10~20代への新たな認知拡大、プロモーションによる収益、コラボレーション終了後も形として残るコンテンツを通じたファンとの関係性の強化といった利点があると説明されました。 課題について 初回授業の最後には、田中氏から学生が取り組む課題が発表されました。 課題は「IPコラボの企画考案」です。コラボを行うIPを一つ選び、その理由やターゲット層、コラボの具体的な内容、期待される効果、想定される課題とその解決方法を提案します。 学生の発表 学生の発表では、多様なIPとのコラボ企画が発表されました。アイドル、アーティスト、ゲーム、アニメ・キャラクターなど、それぞれのコンテンツから見込まれるファン層の年代や、具体的な利用シーンを想定した企画が提案されました。自分が好きなコンテンツとのコラボを提案する学生も多く、好きなものを企画考案の視点から見つめ直した発表が多く行われました。 例えば、キャラクターとの対面イベントが主要都市に限られている点に着目し、着ぐるみを着たキャラクターの写真を柄にした限定フォトフレームをPhotomaticに導入することで、地方のファンにも着ぐるみとの撮影機会を提供し、キャラクターへの愛着を深める企画が提案されました。また、海外ファンの多いキャラクターとコラボし、日本らしいデザインを取り入れた限定フォトフレームをキャラクターごとに提供することで、インバウンド需要に応えるといった提案も見られました。 また、アイドルのライブやリリースイベントに合わせてブースを設置するアイデアや、毎年シリーズの新作が公開される映画と連動して映画館にブースを設置する企画など、実際のイベントスケジュールと連動した提案も行われました。後者では、親子をターゲットにコンテンツに関連するアイテムを有料で貸し出すことで、撮影体験への没入感を高める工夫が盛り込まれていました。 混雑による集中や収益確保などの運営面の課題に対しては、「入場を時間指定の事前予約制にし、スタッフも配置する」といった解決策が提案されました。また、『学園を舞台にした少女漫画』をコラボIPとして提案した学生は、「コンテンツの特徴を生かし、撮影2回目の人に学生証デザインの特典を配布し3回目以降の撮影時に特典を提示すると割引になるリピート施策を行う」と提案するなど、それぞれのIPの特徴に合わせた解決策も見られました。 企業からのフィードバック 学生の発表に対して、田中氏から講評が寄せられました。実際に業務に携わる立場から、ビジネスとしての可能性、ターゲットとなる消費者の行動、コラボレーションを実現するための具体的なアプローチなどについて、コメントが寄せられました。また、企画の実現可能性だけでなく、収益性やプロモーションとの相性、ターゲット層への訴求方法など、多角的な視点からフィードバックが行われました。 このコラボ授業を通じて学生は、身近なコンテンツを題材に、消費者のニーズや収益性などのビジネス的な観点からIPコラボを考え、企画を提案する視点を学びました。また、実際の企業とのコラボレーション事例や現在進行中の企画にも触れながら、学生たちの提案を実務の現場と照らし合わせて考える貴重な機会となりました。
魅力を伝える記事を執筆!英文学科の授業でベルトラ株式会社とコラボし、記事作成やインバウンド向け情報発信に挑戦しました。
魅力を伝える記事を執筆!英文学科の授業でベルトラ株式会社とコラボし、記事作成やインバウンド向け情報発信に挑戦しました。
7月17日、〈社会を考える(担当:英文学科 佐々木真理教授)〉にて、ベルトラ株式会社(以下、ベルトラ)とのコラボ授業が実施されました。ベルトラはウェブ完結型の旅行代理店で、ツアーやアクティビティの販売のほか、旅行情報を発信するウェブメディアの運営を行っています。授業を通して学生は「英語のウェブ記事を執筆する」課題に挑戦し、最終授業でその発表が行われました。 授業と企業連携について 〈社会を考える〉は英文学科3年生を対象に開講されている専門科目です。『異文化交流と共生について考える』をテーマに、連携企業が抱える課題についてリサーチ、情報、解決方法を発信することを通じて、異文化交流の方法を探究します。 この授業ではオンライン旅行代理店であるベルトラと連携を行い、ゲストとして武部氏とミジェル氏をお招きし、企業説明や学生が考えた企画に対するフィードバックを行っていただきました。 ベルトラについて ベルトラはウェブ完結型の旅行代理店です。ミジェル氏は「ツアーやアクティビティを旅行客向けにオンライン販売しています」と紹介しました。また「ツアーを販売している旅行会社もお客様と捉え業務を行っています」とBtoBの側面もあることを紹介しました。 ミジェル氏は「クルーズに特化したサイトや来日する海外の方向けのサイトなど、旅行メディアの運営も行っており、情報発信も行っています」と実際にサイトを紹介。旅行者が事前に情報収集を行う傾向から、積極的な情報発信を行っていると述べました。 旅行情報サイトの記事について ミジェル氏は訪日外国人向けに旅行情報サイトに掲載している記事の書き方について解説を行いました。 記事のテーマには、①外国人に体験してほしいこと ②外国人への疑問 ③観光問題 の3つのジャンルがあると紹介し、具体的にどのような内容があるか考えるミニワークを学生と行いました。学生は、“カワイイ”文化を体験できる飲食店や、渋谷のスクランブル交差点の様子を撮影することへの疑問、ごみのポイ捨て問題など、選んだ理由も説明しながらひとりずつ発表が行われました。 また、ミジェル氏は「記事の書き方にはパターンがある」と話し、疑問と回答を軸に構成する『Q&A形式』や、〈おすすめ○○選〉といったスタイルの『リスティクル』などが紹介されました。また、「何を一番伝えたいかゴールを先に設定し、1記事に1つのメッセージに集中する」といったライティングスキルについても説明がありました。 初回授業の最後には、ミジェル氏から「ターゲットに向けた情報発信」について説明がありました。ミジェル氏は「私が制作した動画コンテンツで、外国人観光客の観光地でのマナーについて問題提起をしたことがあります。それは、海外のインフルエンサーが投稿した動画で行われていた行動に対するマナーを指摘するもので、動画を見て行動を真似をしようとする外国人観光客をターゲットに、マナーへの意識をもってもらおうとしました」と説明。しかし、実際に動画を閲覧したユーザーの多くは日本人だったといいます。マナーの指摘に対する肯定的なコメントも多く、動画の閲覧数も増えたと話しながら「事前に定めたターゲットではない層にコンテンツが刺さる場合もある」と紹介しました。 最後にミジェル氏は「ベルトラのHPに掲載する訪日外国人観光客に向けた記事を作成する」という課題を発表しました。 授業のあゆみ 学生は授業の時間を活用し、実際に東京の観光地に足を運び、観光客の様子やどのようなコンテンツが人気かフィールドワークを行い、記事のネタを調査。その後、ミジェル氏から紹介があった三つの記事のテーマ、記事の書き方のパターンから一つずつスタイルを選び、外国人観光客に観光地を紹介する記事の作成を行いました。 中間発表では、フィールドワークで訪れた観光地、記事のテーマ、書き方のパターン、内容案の発表を行い、ミジェル氏から内容をより発展させるためのアドバイスをいただきました。コラボ授業最終回では、学生が実際にライティングした英語の文章をスライドに組み込み、記事の内容について発表が行われました。 学生の発表 最終発表には武部氏とミジェル氏をお招きし、学生の発表に対してフィードバックをいただきました。 グループ1〈海外の人に届ける駄菓子を楽しめるバーの魅力〉の紹介 日本人が幼少期から親しんできた駄菓子を「海外では知名度が高くないものの日本ならではの文化」と位置づけ、海外のお菓子と比較したランキング形式を取り入れながら紹介しました。知名度の低さを新しさとして提示することで、旅行者にとって忘れられない思い出のきっかけになることを目指しました。 グループ2〈竹下通りにあるユニークなお土産店〉の紹介 キャラクターショップと日本土産店を「外国人目線で」調査し、英語表記の有無やイラストによる説明といった表示に関する工夫を紹介しました。日本限定商品や、こけし、漢字をモチーフにしたTシャツなどの商品比較を通じて、ポップカルチャーと伝統文化の両方を楽しめる場所であることを伝えました。 グループ3〈抹茶文化と外国人観光客〉の紹介 外国人に抹茶が人気な理由を分析した上で、フィールドワークから「カフェの延長として抹茶ラテやスイーツを楽しんでいる」実態を紹介しました。同時に、茶道という伝統文化の文脈が正しく理解されないまま消費されている点を問題提起し、店内に歴史を紹介するパネルを設置するといった改善策を提案しました。 グループ4〈新しい東京の歩き方〉の紹介 2回目以降の訪日リピーターをターゲットに、渋谷・裏原宿・表参道エリアの神社や飲食店を徒歩で巡る一日ルートを提案しました。ヴィーガンやグルテンフリーに対応し英語表記のある飲食店を厳選するとともに、徒歩移動によって特定駅のオーバーツーリズムを緩和する効果にも言及しました。 グループ5〈渋谷における外国人観光客のマナー問題〉の紹介 路上飲酒やごみ放置、騒音といった問題事例を挙げ、観光客と地域住民の相互理解の重要性を主張しました。フィールドワークで実際にマナーの悪い観光客と遭遇した報告のほか、マナーを守る外国人観光客へのインタビューも交え、空港やホテルでの情報発信を通じて理解を広げていく必要性を訴えました。 グループ6〈かわいい体験型レストランの紹介〉の紹介 渋谷にある「熊と温泉」をモチーフにした飲食店を取り上げ、店のコンセプトやアクセス、人気メニューを紹介しました。入店時に熊耳のカチューシャを着用する仕掛けなど、世界観を味わうユニークでかわいい体験ができる点を打ち出し、思い出に残る食事体験として提案しました。 グループ7〈渋谷・表参道の都会に存在する自然スポット〉の紹介 商業施設の屋上庭園や公園といった緑を感じられるスポットを、入場料の有無やベンチの数などとともに紹介しました。地元で日常を過ごす大学生の視点から、観光地巡りにとどまらず地元の人と同じように自然の中で過ごす東京の日常体験を提案しました。 ミジェル氏は学生の発表に対し「中間発表からの仕上がり具合に驚いています」とコメント。「自分たちできちんと考えてくれたことが伝わってきました。内容も充実していました」と学生たちに伝えました。 今回のコラボ授業は学生たちにとって、感じたことや考えたことを海外の人に正しく伝える力のほか、グループで一つの提案を作り上げる協働力を身に着ける貴重な機会となりました。 担当教員のコメント このたびは、株式会社ベルトラ様との連携授業という大変貴重な機会をいただき誠にありがたく存じます。  海外からの観光客を対象に、日本文化や観光地の情報を発信するWeb記事を英語で執筆する、という課題は、学生にとって非常に挑戦し甲斐のあるものでした。 ベルトラの皆様から、Web記事執筆にあたって心がけること、ヒントなどを丁寧にご講義いただくことで、情報をまとめて発信する能力だけではなく、社会で働く上での着眼点や姿勢なども学ぶ機会となりました。  ベルトラの皆様には、最終回のプレゼンテーションでも温かいコメントをいただき、また、授業終了後には各グループに対する非常に詳細なコメントもフィードバックしていただき、心より御礼申し上げます。  学生の皆さんに、この授業で得た知識や培った能力を、今後の学びや活動に活かしてもらえることを願っています。
「サステナブルな機内食」って?「演習Ⅲa」の授業で、JALの韓国線の機内食を考える特別コラボのプレゼンテーションが行われました。 
「サステナブルな機内食」って?「演習Ⅲa」の授業で、JALの韓国線の機内食を考える特別コラボのプレゼンテーションが行われました。 
7月7日に「演習Ⅲa」(担当:人間社会学部ビジネス社会学科 角本伸晃教授)の授業で、日本航空株式会社(以下、JAL)との特別コラボ授業が行われました。今回は2ヶ月かけて取り組んでいた課題のプレゼンテーション。テーマは「サステナブルな韓国便の機内食を考える」。学生たちは班に分かれ、この日のために企画を練り上げてきました。 企業さながらのプレゼンテーション 本日のプレゼンテーションには、6名が審査員として参加しました。現役客室乗務員の吉村真紀氏をはじめ、機内食企画担当部署など、実際の企業プレゼンテーションさながらの顔ぶれです。学生たちが緊張した面持ちで臨むなか、吉村氏は「今日は実際に機内食を決めているメンバーが集まっています。皆さんの発表をとても楽しみにしてきました。現場の意見を直接聞ける貴重な機会でもあります」と期待を寄せ、プレゼンテーションが始まりました。 機内食に遊びを! 最初の班は、韓国旅行をより楽しめる機内サービスを提案しました。到着後に現地グルメを満喫できるよう、機内食は軽めのサラダラップを主食としたセットを考案。副菜には、冷めてもおいしく食べられる濃い味付けのグラタンを組み合わせました。食べ終えると、容器の底に旅行運などの占いが現れる仕掛けも取り入れています。さらに2次元バーコード付きカードを配布し、韓国語の基本的なあいさつや日本とのマナーの違いを紹介するトラベルガイドを閲覧できるようにするなど、到着後も安心して旅行を楽しめる工夫を盛り込みました。 発表後の講評では、「参考になる点が多かった。占いの仕掛けは若い人ならではの発想ですね」と評価されました。また、「飛行機を降りた後まで考えた提案が印象的でした。韓国便はフライト時間が短いことを理由に発想を広げていなかったと気付かされました」と、担当者からも高い評価が寄せられました。 心と身体を満たすセルフメイクBOX 続いての班は、20代女性をターゲットに、美容や健康に配慮した機内食を提案しました。メインはベーグルサンドで、ヨーグルトやクリームチーズを添え、自分好みに味をアレンジできる内容です。具材にはバナナやベリーなど、機内で気になりやすいむくみ対策を意識したビタミン豊富な食材を取り入れました。 講評では、「心のウェルビーイングに着目した点が印象的でした。カロリーを気にせず楽しめる機内食という発想は新鮮です」と高く評価されました。一方で、「ターゲットが明確で企画の軸がしっかりありました。ただ、ビジネス利用の男性などには物足りない可能性もあります。より幅広い層に訴求できる工夫があると、さらに良い提案になったでしょう」とアドバイスが送られました。 未来食を体験できる機内食 最後の班は、JALが日本発の国際線やラウンジで提供している「未来の食材50」に着目。「未来からきたランチボックス」と題し、未来の韓国料理を提案しました。「未来の食材50」とは、環境負荷が少なく健康にも配慮した食材のこと。もやしやわかめなど身近な食材も含まれています。これらを使った韓国風おにぎり「チュモッパ」やナムルをメインにし、さらに「未来の食材50」のトレーディングカードを付属。2次元バーコードから食材を使ったレシピを見られる工夫も盛り込みました。 前の2班とは異なるアプローチに、JALの担当者からは「内容がプロのようによく調べられていた」と高い評価が寄せられました。「食を通して新たな気付きを提供し、お客さまの発見につながる提案だった」「おいしさだけでなく学びも届けられる」といった講評に加え、「日本食の要素を取り入れると、韓国との橋渡しになるのでは」といった実践的なアドバイスもあり、学びの多い発表となりました。 実際の企画にも刺激になる発表に 最後に中間発表にも参加された鈴木氏から総評がありました。「中間発表から大きくレベルアップしていました。韓国線の機内食は特に難しいテーマですが、皆さんが真剣に取り組んでくれたことが伝わりました。JALでは思いつかない発想も多く、私たちも大いに刺激を受けました。ここにいるメンバーで今回の学びを今後の機内食づくりにも生かしていけると思います」と講評されました。 発表後、学生たちも感想を共有。「他の授業でもグループワークは経験しましたが、今回はコストや提供方法まで考え、実際さながらの企業のプレゼンテーションを実践できました」と振り返りました。また、「中間発表で多くの指摘を受け、企画を一から練り直しました」と話す班もあり達成感をにじませていました。 授業の終わりには、吉村氏から修了証が授与され、会場は和やかな雰囲気に。企業と連携し、本格的な企画立案とプレゼンテーションを経験した貴重な学びの機会となりました。 担当教員からのメッセージ 中間発表会では学生としてはとても素晴らしい提案をしてくれましたが、アイディア勝負の面がありました。機内食というビジネスの一部であるからには、コスト制約を無視するわけにはいきません。中間発表会ではその点をご指摘いただきました。その後、最終発表会に向けて、ゼミ生たちはコスト面だけでなく中間発表会でいただいた他のコメントも意識しながら、ブラッシュアップしていきました。最終発表会では当初予定の倍の審査委員の方々にお越しいただき、緊張感の増す中で、堂々と発表をしてくれました。このPBLを通して、学生たちは共創力を大きく伸ばすことができました。
五輪開会式のプランを発表!2026年度〈国際理解とキャリア形成〉にてスポニチコラボ授業の最終プレゼンテーションが行われました
五輪開会式のプランを発表!2026年度〈国際理解とキャリア形成〉にてスポニチコラボ授業の最終プレゼンテーションが行われました
7月14日、実践女子大学共通教育科目〈国際理解とキャリア形成(担当:国文学科 深澤 晶久教授)〉にて、スポーツニッポン新聞社(以下スポニチ)とのコラボ授業として提示された課題『オリンピックの開会式をプロデュースする』に対する学生の発表が行われました。スポニチからは編集委員の藤山健二氏、ビジネス開発局の池田智子氏、記者の佐藤博之氏をお招きし、学生の発表に対するフィードバックをいただきました。 授業と社会連携について 国際理解とキャリア形成は、2年生以上を対象に開講されている共通教育科目です。国際情勢の学習や、グローバル業務を経験した外部講師による講演を通じて、国際的な視野と幅広い知識を身に付けます。  また、この授業は〈オリンピックとパラリンピック〉をテーマに、スポニチと連携して行っています。今年度は『オリンピックの開会式をプロデュースする』というテーマに、学生が挑戦しました。発表では、開会式のテーマ、選手入場、選手宣誓、聖火点火の4点を必須条件とし、学生たちは自由な発想で開会式を企画しました。 今回の授業では、グループワークの成果を発表し、編集委員の藤山健二氏からフィードバックをいただきました。また、授業の最後には、スポニチ賞として最優秀賞が贈られました。 3班:想像を創造へ 3班は開催地を日本と想定し、〈想像を創造へ〉を開会式のテーマに企画を考えました。未来の技術を使って活躍する漫画キャラクターをテーマの象徴として採用し、学生は「タイムマシンや空を飛ぶ小型の飛行装置など、想像を技術によって実現しています。あこがれや望みを象徴したキャラクターとして採用しました」と話しました。 選手入場では、4箇所に設置された扉から同時に入場するとしました。入場の演出としてプロジェクションマッピングで入場国の風景を映し出し、観客が各国の文化や自然に触れられるようにしながら、そのキャラクターが登場するアニメのテーマソングを、その国の言語で歌ったバージョンで流すとしました。 また、選手宣誓は柔道の阿部一二三選手、阿部詩選手とし、「柔道という日本らしさと、兄妹でオリンピックに出場するという夢と絆の表象として採用しました」と話しました。 聖火台は大樹をイメージしたデザインとし、「根は努力、幹は現在の選手、葉は選手にあこがれる次世代を表しました」と話しました。点火者は柔道を習っている子供とし、漫画に登場する飛行道具を身につけて空を飛び、聖火に点火する演出を紹介しました。スポーツを通じて次世代へつなぐ未来を伝えるとしました。 藤山氏は「大会ごとにキャラクターは存在していますが、すでに有名なキャラクターを採用するという点が驚きでした。また、選手入場を4箇所から入場する案も、着眼点がよかったと思います。全体を通して実現性と夢があり大変良かったです」とフィードバックを寄せました。 6班:Every color tells a Different Story 6班は、2028年ロサンゼルスオリンピックの開会式について企画しました。〈Every color tells a Different Story〉を開会式のテーマに、多様性、太陽、持続可能性をキーワードに設定し、開会式を演出しました。選手入場はギリシャからアルファベット順に入場し、開催国であるアメリカが最後に入場するとしました。入場では各国のウェア以外に伝統装束も着用し、世界の文化に触れることができる演出としました。また、各国オリジナルロゴを作成し、入場国に合わせてドローンでロゴや国旗を空に映し出すことで、観客に視覚的な楽しさを感じてもらうことを狙いました。選手宣誓は、アメリカ代表の主将と副主将が行うとしました。 聖火台への点火方法として、大砲風に装飾したピッチングマシンから火の玉を投球し、野球選手がホームランとして聖火台へ聖火を届ける演出を提案しました。学生は「追加競技として採用されることや、メジャーリーグでも有名で世界的に注目度が高いことから、スポーツらしいダイナミックな演出ができると考えました」と話しました。また、点火の際に花火とドローン、ランタンによる演出を行い、会場の一体感を表現しました。さらに、聖火台とランタンに太陽のモチーフを取り入れることで、大会テーマとの親和性も図りました。 藤山氏は「直球勝負な内容だと感じました。企画した要素に対して背景まできちんと考えられており、本当の記者会見のようなリアリティのある発表でした」と話しました。 5班:響きあう伝統と未来 5班は札幌を舞台にした冬季オリンピックの開会式を提案しました。開会式のテーマは〈響きあう伝統と未来〉です。選手入場は国ごとにそりに乗って行われ、そりのデザインに国旗の色やモチーフを取り入れることとしました。選手宣誓は「冬季五輪をけん引する存在」であるスノーボードの平野歩夢選手、スキージャンプの高梨沙羅選手が行うことを提案しました。 また、聖火台はアイヌの伝統家屋“チセ”の木組みをイメージし、北海道産の高級木材と軽量アルミニウムを融合させたデザインにするとしました。点火は火矢を用いて聖火台を射ることで行うとし、点火した瞬間にその火が天に昇るような光の演出を、ドローンを活用して行うとしました。学生は「現実の炎とプロジェクションマッピングやドローンによるデジタル技術の輝きの融合をイメージしました」と話しました。 さらに、場外の特設イベントとして、聖火点火体験ブースを設けることを提案しました。設置された聖火台のオブジェクトに向けて、来場者が手元のスマートフォンから一斉に火矢を射ることで点火を疑似体験。参加者により一体感を感じてもらうとしました。 藤山氏は「冬季オリンピックの開会式を提案してくれるとは思っていませんでした。札幌を舞台にする上で、アイヌ民族に注目してくれたことがよかったです。また、体験スペースとはいえ観客を点火に取り入れる発想はこれまでにない斬新なもので、参加型で一体感を演出するアイデアがとてもよかったです」とコメントを寄せました。 4班:わ 4班は開催地を日本と想定し、〈わ〉を開会式のテーマに企画を考えました。学生はテーマについて「〈わ〉には平和の“和”、五輪の“輪”、そして日本文化の“和”という意味が込められています」と述べました。また「日本文化をわかりやすく織り交ぜ、他国との調和や平和、そして過去から未来を表現します」と話し、その演出全体を考えるベースとして『万物が互いに影響し合い循環する』という東洋思想である“五行思想”を取り入れると説明しました。 選手入場の順番については、オリンピックのシンボルマークである五輪が5大陸を表していることに触れながら「ギリシャを先頭に5大陸ごとに順番に入場し、日本がアジア大陸の最後として入場する」と説明しました。また、選手宣誓には柔道の阿部一二三選手、阿部詩選手を起用するとし、「柔道が日本の伝統競技であること、兄妹の絆がスポーツの努力を象徴することから採用した」と起用の理由を話しました。さらに、聖火ランナーとして歌舞伎俳優の市川團十郎氏を起用することを提案し、「日本の伝統文化を象徴する歌舞伎の力強さをストレートにアピールし、日本ならではの魅力を伝える点火セレモニーとする」としました。 藤山氏は「まず、テーマをひらがなとした点が、同じ発音で複数の意味を持つ日本語の特徴を活かした発想で素敵でした。また、“五行思想”に着目した点も面白かったです。さらに5つの大陸を意識した入場順は、オリンピックの原点である“大陸の団結”に立ち返った発想で良かったです」とコメントしました。 2班:3つのB 〜Bridge、 Believe、 Beyond〜 2班は夏季オリンピックを想定し、〈3つのB 〜Bridge、 Believe、 Beyond〜〉をテーマに開会式を企画しました。学生は「テーマでは3つのBを通じて、オリンピックが世界中の人をつなぎ、お互いを信じながら、新たな未来へ歩み出すきっかけとなることを表現した」と話しました。選手入場は競技ごとに行うとし、選手宣誓は次の世代へつなぐ“Bridge”の象徴として、10代のオリンピック選手である、スケートボードの吉沢恋選手と小野寺吟雲選手を選出しました。 聖火の点火者は2024パリ五輪で金メダルを獲得したフェンシング団体の日本選手とし、採用理由を「チーム競技で仲間を信じ、限界を超えた先の金メダルであると考え、Believe、Beyondの象徴として採用した」と説明しました。点火者たちが聖火台へ集まり、ひとりひとりのトーチから聖火が灯された後、光が会場全体に広がる演出を行うとし、学生は「重ねた想いが未来に広がっていく様子を表現しました」と話しました。また、聖火台は両端に階段を設け、上から見ると橋に見えるデザインにすると説明し、学生は「橋でつながり、信じる力で支え合い、限界を超えて未来を切り拓くという3Bのコンセプトを意味として込めた」と話しました。 藤山氏は「開催都市を選ばない普遍性のある提案で、内容の完成度も高かったです」とフィードバック。「また、スケートボードやフェンシングといった競技の目の付け所がマニアックで面白かったです」と話しました。 1班:コネクト 1班は2032年夏季オリンピック開催地であるオーストラリアを舞台に、<コネクト>をテーマとした開会式を企画しました。また「スポーツを通じた人とのつながりと自然との共存」をコンセプトに、演出を考案しました。 選手入場は「競技ごとに船に乗り、シドニー・オペラハウス周辺の海を同時に周遊する」と提案。入場にかかる時間の短縮を狙いました。また、選手宣誓はオーストラリア選手の最年少と最年長が行い、「スポーツが持つ歴史を次世代へつないでいく〈コネクト〉を表現する」としました。学生は「追加競技に、現地で人気のオーストラリアンフットボールが採用された場合、その競技の選手から選出する」と話し、開催国の魅力も発信すると述べました。 聖火点火は、オリンピックで実施される競技から選手が一人ずつ参加して点火を行い、聖火台は「ニューサウスウェールズ州のシンボルである花、ワラタをモチーフとしたデザインにする」とし、自然との共存というテーマの表現につなげました。 さらに、オペラハウス前でのオーストラリア室内管弦楽団の演奏に加え、ゴールドコーストのサーファーズパラダイスで先住民族の伝統音楽やダンス〈マニカイ〉〈コロンボリー〉を披露すると話しました。 藤山氏は「オーストラリアンフットボールという、ローカルだけれども現地で圧倒的な人気を誇るスポーツを取り入れてくれて、よく調べたなと感じました。また、オーストラリアの歴史として先住民族問題を忘れずに取り入れてくれて大変良かったです」と話しました。 スポニチ賞の表彰 すべての班の発表が終了した後、藤山氏、池田氏、佐藤氏の3名がスポニチ賞の審査を行いました。 協議の結果、最優秀賞は2班〈3つのB 〜Bridge、 Believe、 Beyond〜〉に決定。藤山氏は評価のポイントを「企画内容の実現可能性の高さ」と説明しました。2班には、オリンピック公式グッズの防水ポーチが藤山氏から贈呈されました。また、参加賞としてスポニチグッズのペンが学生に配布されました。 総括のコメント 藤山氏は「予想を超える素晴らしい提案でした。スポニチ賞を設けていますが、みなさんには自分の発表に自信を持ってもらえればと思います」と、発表全体への感想を述べました。続けて、オリンピック取材時のエピソードや、有森氏との対談を振り返りながら、学生たちへエールを送りました。 藤山氏は、あるメダリストに取材した際、金メダルを取れた理由を尋ねると「”負けず嫌い”だったから」と返ってきたエピソードを紹介しました。「その言葉を聞いた直後は『アスリートはそういうものだろう、よくある回答だな』と思っていました。でも話を聞くうちに、そうではないと気づいたんです」と振り返り、「その選手が言う“負けず嫌い”は、誰かへの対抗心ではなく、自分自身に対しての負けず嫌いだったんです」と説明しました。 さらに「一流の選手でも、緊張に悩んだり負けて落ち込んだりします。その選手も『練習でもういいやと感じる時もあるけれど、それでも自分に負けたくなくて続けてきた。その結果がオリンピックにつながった』と話していました」と、アスリートの心の内を紹介しました。 また、有森氏との対談で出た『自分で自分を褒めたい』という言葉についても触れ、藤山氏は「自分が満足するまでは負けを認めない。そして満足のいく結果が出たら、自分をほめる。これは皆さんのこれからの人生でも、大切な考え方になるのではないかと思います」と学生たちに伝えました。 最後に「今後、どうしても悩むことが出てくると思います。そんなときはぜひ有森氏との対談で聞いた信条を思い出して乗り越えてください。これからも、もっと楽しい毎日を送ってもらえたらと思います。本当に皆さん、お疲れ様でした。ありがとうございました」と、学生たちへ言葉を贈りました。 学生たちは、企画提案や対談を通して、一つの提案をやり抜く力やチームで動く協働力、自分の人生を支える力強い信条を学びました。 担当教員のコメント 2014年からスタートした本授業では、一貫してオリンピックパラリンピックを学生とともに考えてきました。そして、スポーツニッポン新聞社さまにも、一貫してご支援を継続いただいてきました。スポニチ藤山様には、毎年、お題をいただいたり、オリンピックパラリンピックの裏話の数々をご披露いただくなどスポーツを通しての国際理解を深めることにお力添えをいただきました。今年のテーマは、将来のオリンピックパラリンピック開会式をプロデュースするという壮大なテーマでしたが、学生たちも想像力や創造力を目いっぱい発揮いただき、素晴らしいプランが提案されました。スポーツニッポン新聞社様のご支援に対し、心から感謝申し上げます。
自分と向き合い可能性を開く!〈国際理解とキャリア形成〉スポニチコラボ授業に有森裕子氏が登壇し、対談形式でご講演いただきました。
自分と向き合い可能性を開く!〈国際理解とキャリア形成〉スポニチコラボ授業に有森裕子氏が登壇し、対談形式でご講演いただきました。
6月23日、実践女子大学共通教育科目「国際理解とキャリア形成(担当:国文学科 深澤 晶久教授)」にて、スポーツニッポン新聞社とのコラボ授業の一環で、五輪メダリストであり現日本陸上競技連盟会長の有森裕子氏をお招きし、アスリートとしてのご経験やキャリアの中で得た価値観について、編集委員の藤山健二氏との対談形式でご講演いただきました。 授業と社会連携について 国際理解とキャリア形成は、2年生以上を対象に開講されている共通教育科目です。国際情勢の学習や、グローバル業務を経験した外部講師による講演を通じて、国際的な視野と幅広い知識を身に付けます。  また、この授業では〈オリンピックとパラリンピック〉をテーマにスポーツ新聞の発行を行っているスポーツニッポン新聞社と連携を行っています。今回の授業では、バルセロナオリンピックで銀メダル、アトランタオリンピックで銅メダルを獲得した元マラソン選手である有森裕子氏をお招きし、長年オリンピックの取材に取り組んできた編集委員の藤山健二氏との特別対談が実施されました。 陸上との出会い 陸上を始めたきっかけは、「小学校の頃に信頼していた先生が陸上クラブの担当だったから」という理由だけだったと話す有森氏。また、「中学校の運動会で参加した800m走で3年連続優勝したことが、自分の自信につながった」と話しました。有森氏は、結果を左右するのは自分自身だけという陸上競技の特性が、自分に合っていると感じたそうです。 藤山氏が「自信が持てるものが欲しかったということでしょうか」と質問すると、有森氏は「自分に自信が持てる、自分を認めることができるような機会がなかったため、自信満々に自分を表現できる友人たちがうらやましかったんです。何でもいいから『私はこれ』と言えるものが欲しいと思っていました」と話しました。 あきらめない気持ちとやる気 陸上が自分の自信につながることを実感し、高校進学と同時に陸上部への入部届を提出したという有森氏。しかし、「進学した学校が陸上の名門であることを知らず、中学校時代に陸上競技での入賞経験がなかった私は門前払いされました」と話しました。 「顧問の先生から入部を却下されたにもかかわらず、どうしても入部したくて、行く先々で先生を待ち伏せすることを1か月くらい続けました」と続け、最終的に仮入部という形で陸上部へ。有森氏は「そのまま高校卒業まで部活動を続けましたが、大会での受賞歴はありませんでした」と話しました。それでも大学で競技を続ける決断をしたといいます。 藤山氏は「高校3年間頑張って結果が出なければ、やめる人も多いと思います。どうして大学でも陸上を続けようと思ったのでしょうか」と質問しました。 有森氏は、あきらめずに進む自分を応援してくれる存在がいたことが大きかったと話し、進路に迷った際、陸上部の先生から「あきらめずに続けたら相手が先にあきらめるかもしれない。それまであきらめなかったら、自分が前に行けるかもしれない。俺はお前をずっと応援するから、それまで頑張れるか」と言われたことを紹介しました。 続けて「先生の『かもしれない』という言葉を聞いて、『自分が何かできる可能性があるということだな』と思ったんです。自分が可能性をあきらめなければ、その道を応援してくれる人がいる。そう思ったときに『やめる』という選択は頭に浮かびませんでした」と話しました。 大学進学後はけがの休養からの復帰を経て、卒業後は実業団に所属。実業団入団の経緯も「通常、実業団への入団は勧誘か紹介で決まるのですが、私はそれを知らなかったんです。直接アプローチを行い、面談にこぎつけました」と話しました。 有森氏は入団できた背景について「当時の企業の状況と私のやる気がかみ合ったから」と振り返り、「会社は不祥事を立て直していくために“やる気”のある人材を求めていました。私は実績がないものの、走ることに対する“やる気”はしっかりと持っていました」と説明。「監督との面談で『これから先、どうしたいか』を伝えました。その“やる気”が伝わり、『今会社が求めている力を持っている』という点が評価されて入団することができたんです」と話しました。 オリンピックに関する有森氏のキーフレーズ 藤山氏はオリンピックに関する話題として、インタビューで有森氏が語った『自分で自分をほめたい』という言葉を紹介し、「この言葉は有森氏を代表する言葉として知られています。この言葉に込めた思いについて聞かせてください」と質問しました。 有森氏は「銅メダルを獲得したアトランタオリンピックで、競技後に行われたインタビューの最後に出た言葉でした。アナウンサーからの質問に対し『なんでもっと頑張れなかったんだろうと思うレースはしたくなかった』と話した後、ふと自分の中で今回のレースを振り返ったんです。その時、何一つそう思う瞬間はなかった。そう思ったときに『自分で自分をほめたいと思います』という言葉が自然と出ました」と、当時どのような思いでその言葉が生まれたのか語りました。 また、「アトランタオリンピックまでの道のりの中で、手術などさまざまなことがあり、周囲からは『有森は終わってしまったな』と言われることもありました。何とか自分を信じるしかない状況の中で、やっと戻ることができた4年後の舞台だったんです」と振り返りました。さらに、「誰も褒めてくれなくても、自分で『本当によくやった』と思えました。レースを振り返ったとき、あの言葉以外は出てこなかったんです。自分自身を最大限に見つめて出た言葉なので、周りの反応は関係ありません。たとえ歓声がブーイングに変わっていたとしても、同じ言葉を口にしていたと思います」と話しました。 有森氏の信条 藤山氏は「有森氏が現役時代の経験から導き出した、これからの人生にプラスになるような信条やモットーがあるということで、ご紹介します」と話しスライドに言葉を投影しました。有森氏は〈世の中にたった一人しかいない自分の生き方にこだわる〉について、次のように話しました。 有森氏は「たった一人しかいない自分であることに誇りや特別感を持つことは大切です。それと同時に、周囲の助けがあって自分が生きていけるとも感じますが、その助けを“頼ろう”と判断するのも自分だと思っています。しっかりとした自分自身を自覚していないと、何歳であろうが人にコントロールされるようになってしまいます」と話しました。また「私の場合、周囲と違うことがエネルギーになり楽しかったです。自分らしさをつくると面白いですよ」と学生へ伝えました。 藤山氏は有森氏の言葉を受け、「その根底にあるのは自己肯定感の高さだと感じます。誰しも自分自身の嫌なところを感じていると思いますが、自分を好きになるためにはどうしたらいいのでしょうか」と質問しました。 有森氏は「自分が決めたことを自分がやらないと、やりきれない自分が嫌になってくると思います」と回答。続けて、「私自身も自分の全部が好きなわけではありません。しかし、そういう部分を自覚して生きていくことと、無自覚に生きていくことには大きな違いがあると思っています。すぐに変えることはできなくても、自覚できていれば変わることができるタイミングや、変化のチャンスを逃すことが少なくなると思っています」と、自分の苦手な部分と向き合う考え方を共有しました。 さらに、学生へのアドバイスとして『嫉妬』という感情について説明。 有森氏は嫉妬を『嫌い』と別の感情であることに触れ、「他人に対して嫉妬するということは、『そうなりたい』という欲求が自分にあるということであり、伸びしろの部分です。人を貶めるために使わなければ自分にちゃんと関心を持っている証である、ものすごいエネルギーなんです」と解説しました。学生に「簡単なことではないけれど、自分が嫌だと感じている部分にもそういう視点があるんだと感じることで、自分を好きになれる瞬間が早く訪れると思います」と伝えました。 講演の最後に 藤山氏は、学生が取り組む〈オリンピックの開会式をプロデュースする〉という課題に関連し、「選手から見た理想の開会式とはどのようなものですか」と有森氏に質問しました。 有森氏は「実は現役時代、オリンピックの開会式には参加していません。マラソンはコンディションの調整が難しく、開会式に出る選手はあまりいないんですよ。ですが、開会式は単なるイベントではなく、選手と応援する人が一体感を感じられる場であってほしいなと思います」と回答しました。 さらに、スペシャルオリンピックス(知的障害のあるアスリートの競技大会)で行われたアスリートファーストの開会式や、世界陸上競技選手権大会で観客の視点に立ち、競技の見やすさを意識した大会運営を例に挙げながら、陸上競技大会の運営に対する考え方も変化していることを紹介。「競技に参加する選手が最高のパフォーマンスを出せることが大切」と話しました。 尽きることのない話題の中、予定の時間を迎え、対談は締めくくられました。 その後、学生からの質疑応答の時間が設けられ、「走っているときに心が折れそうなとき、どうしていましたか?」という質問に、「“苦しい”は頑張ろうとしているから出る感情です。ネガティブでは全くなく、苦しくなるくらい頑張っている証拠なのであきらめる理由にはならないです。逆に、“嫌になること”は自分の力になりません。嫌と感じていることは周りにも伝わりますし、進化を止めます。自分がどちらの感情であるかは見極めたほうがいいです。考えてみると案外嫌なことは少なかったりします」と回答。自分の感情を見失わずに進むことの大切さを伝えました。 講義の最後に有森氏は「けがの時、この言葉にずいぶん救われた」という『何で』と『せっかく』の話を学生に贈りました。 「何か想定外のことが起きたとき、『なんで』と考えることが多いですが、それを考えて良くなることはほとんどないです。『何で』を『せっかく』に変えるとポジティブになります。『せっかくなら』と、今しかできないことに目を向けることができ、嫌なことがあっても自分にとってプラスになることを考えることができるんです。『せっかく』をきっかけに自分をいい方向に持ち直し、その自分を通して周りも良くなる。たったこれだけのことですが、自分の心持ち1つ、使う言葉1つで、変えることができます。ぜひやってみてほしいなと思います」 担当教員のコメント 有森さんにご登壇いただくのは、今回が6回目となります。その間には、東京2020そしてパリ2024が開催され、早いもので再来年はロサンゼルス2028です。オリンピックパラリンピックを通して国際理解に繋げようとする試み、毎年スポニチ様にご支援いただいています。有森さんの数々のエピソードからは、決してあきらめない心や、逆境の時にこそ「せっかくだから」という言葉を乗せることで、常に前向きに物事を考えること、そして挑戦する気持ちの大切さなど、数々のお言葉をいただきました。この場を借りて、有森さん、そしてスポニチの藤山様はじめ関係の皆様には、心から感謝申し上げます。