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2022年7月4日

映像制作のテクニックを身に付け、自己表現をバージョンアップ!「プロに学ぶ動画作りと学生間交流」がスタートしました

YouTubeやTikTokなど、誰でも気軽に思い思いの動画を世界に発信できる時代になりました。動画コンテンツが氾濫する中で、印象に残る動画づくりのテクニックをプロに学ぶ、実践女子大初のプロジェクトがスタートしました。教室には映画監督の山﨑達璽(やまざきたつじ)氏をお迎えし、人の心を動かす「映像」を生み出すプロの視点を学びます。実践女子大学、実践女子大学短期大学部、山野美容芸術短期大学の3つのキャンパスをzoomでつなぎ、学外の学生とも交流しながら実際に映像を制作する実践型の取り組みです。

地域の高齢者と学生の異世代交流の中から生まれた、今回のプロジェクト

プロジェクトを推進する三田先生 によれば、3年前に始めた地域支援活動の一環として始めた異世代交流が背景にあったといいます。そこでは地域の高齢者と学生達がzoomでつながり、交流を深めていました。
ネットに公開された動画は、話題になると一気に広まる大きな影響力を秘めています。この動画の持つ力を教育という観点で学び、自己表現に活かすのが今回のプロジェクトの目的です。

講師は映像教育を広げる活動を行っている、映画監督の山﨑達璽(やまざきたつじ)氏

今回講師としてお招きしたのは、様々な教育の場で映像教育を広げる活動を行っている映画監督の山﨑達璽(やまざきたつじ)氏です。山﨑氏は大学の卒業制作『夢二人形』がカンヌ映画祭にノミネートされ、1999年に映画監督デビュー。2008年、片岡愛之助らを主演に映画『宮城野』を発表しました。現在は企業PR映像やMVなどの幅広い映像を手掛けるほか、学校で映像教育を広げる活動も行っています。

山﨑氏が運営するFilm Education Labでは、下記を目指しています。
・映画をはじめとする映像表現物の鑑賞を通して、その内容・主題・本質を把握して味わいながら楽しむ方法を学ぶ
・動画を使った映像表現を自ら体験することを通して、未来を生き抜くための5つのチカラを身につける

「未来を生き抜くための5つのチカラ」とは、
① 協働作業ができる、
② 多様性を理解する、
③ 実社会とつながる、
④ メディアリテラシー、
⑤ 学び続けることから構成されています。

「映像表現は、文字や言葉を使った言語表現だけでなく、静止画や動画、効果音や音楽など非言語表現も活用する高度な表現方法です。映像制作を通して表現したいことを的確に伝えるためには、学ぶべきポイントがたくさんあるんです」と山﨑氏。プロの映像作家の視点から、楽しみながら動画づくりに取り組むワークショップを多くの学校に提供しています。

「動画ではなく、映像を」という言葉で始まった、第一回目

全5回のプロジェクトには、実践女子大学、実践女子大学短期大学部、山野美容芸術短期大学から22名の学生が集いました。山野美容芸術短期大学の学生は、その様子を撮影した動画を観て講座に参加します。

授業の冒頭で、山﨑氏は動画と映像の違いに触れました。(YouTubeなどのSNS)動画は目的語が自分で、私が「私」のことを伝えるものが多いです。一方、映像(作品)は目的語が「他者」で、私が他者(主人公や取材対象)を伝えるもの。ですから、自分以外の誰かに、大切な何かを伝えるものが映像といえます。映像には自分本位ではない、他者の視点が必要なんです。この講座では、動画に他者の視点(プロのテクニック)を取り入れることで、就活や会社のプレゼンで動画を活用する際に、役立つスキルを学びます」

ペアになって自己PR動画を撮影、編集してみよう

第一回目のテーマは、自己PR映像(1分)。学生が自身のスマホを使いながら、撮影と編集の基礎を学びました。生徒がペアになり、相手が話す自己PRを相手のスマホで撮影します。
撮影では「背景を考える」「順光で撮る」「画面を水平に」など、学生がすぐ参考にできるテクニックが紹介されました。山﨑氏によれば、スマホのカメラ機能はかなり進化していますが、こうしたちょっとしたことを意識することで、他者が観やすい動画になるそうです。
意外に盲点なのは、カメラの高さ。どの位置で撮影するかで、相手の印象が大きく変わります。下から撮ると被写体はカメラを見下ろすようになり、威圧感を与えてしまいます。逆に上から撮ると卑屈な印象を与えてしまうことがあるそうです。さらに撮影される側の一工夫として、レンズをじっと見つめると険しい表情になってしまうため、レンズのあたりを面で見ることがおすすめされました。

撮影した動画は、授業終了後、学生が編集ソフトを使って45秒にまとめます。動画制作に挑戦する学生達に、山﨑氏は「あまり無理しないで、できるところまでやってみてくださいね」と穏やかな言葉を掛けていました。
動画を使って何かを伝えることは、通信環境の進化に伴い、今後ますます一般化していきます。今回のプロジェクトで得た体験を通じて、社会に発信する力を身に付ける学生が増えていくことでしょう。

2021年5月21日

「アスリート×女性×食事」をテーマに!柔道家として世界を舞台に活躍されてきた佐藤愛子准教授(東京女子体育大学)が本学で講演を行いました(4/30)

健康栄養専攻4年次の「総合演習」(奈良典子准教授 スポーツ栄養学研究室)では、さまざまな現場で活躍する栄養士や専門家の方々をお招きし、ゲスト講義を行っています。2021年4月30日に実施された授業では、柔道家として世界を舞台に活躍されてきた佐藤愛子准教授(東京女子体育大学)をゲストに、減量時の壮絶な経験談、アスリートと栄養士・管理栄養士とのより良い関係性などについて講演を行っていただきました。

現役時代の過酷な減量

優勝するという輝かしい成績を残されてきました。しかし、大学4年生になるまでは52kg級というひとつ下の階級で大会にのぞんでいたことから、減量にはとにかく苦しんだといいます。

「アスリート×女性×食事」をテーマに語る佐藤先生
熱心に聴講する対面参加の学生

1か月で8kgも落とす過酷な減量により、ついには歯のエナメル質が解けることに

当時、佐藤先生のオフシーズンの体重は60kgでしたが、これを大会前の1か月ほどで8kgも減量。高校時代までは激しい練習に加え、減量着を用いることで容易に減量できたそうですが、大学入学後は筋肉量が増えたこともあり、次第に難しくなっていったそうです。
 そこで絶食や脱水、下剤の服用など、無理な減量を行うようになっていったと、佐藤先生は話します。そのほかにも長時間にわたってガムを噛み、唾を出すことで体内の水分を強制的にしぼり出すことをくり返しました。その結果、月経異常が起こり、生理は年に2回程度に減少。ガムを噛みすぎた影響で歯のエナメル質が解けるという悪影響に直面します。極度の空腹と脱水から、試合でもベストなパフォーマンスを発揮できず、日常生活においても常に気持ちがはりつめ、生きている感覚すらなかったと、当時を振り返りました。

苦しみぬいた減量の末に気づいた、食事を通じた体調管理の大切さ

こうした体験をきっかけに、佐藤先生は57kg級への転向を決意します。そのタイミングで、「総合演習」を担当している本学の奈良典子先生との出会いなどもあり、アスリートがパフォーマンスを向上させるためには食事が大切であることを痛感。骨密度の低下にともなうケガ、女性ならではの月経異常、摂食障害につながる危険を防ぐ観点からも、日頃から食事の内容と質を重視すること、栄養に関する正しい知識をもつことの必要性を強く感じたといいます。
 さらに佐藤先生は、国際的なスポーツ大会で自分が受けた厳正なドーピング検査を例に挙げながら、アスリートは薬局で売っている風邪薬ですら、成分によっては摂取できないことがあると話しました。そうした意味でも普段の食事を通じた日常的な体調管理が非常に重要で、これを実現していくためには、栄養のプロである栄養士や管理栄養士の存在が欠かせないことを、学生たちに教えてくださいました。

食事の大切さを伝える佐藤先生と奈良先生
チャットからの質問に回答する佐藤先生

栄養士・管理栄養士に求められるのは、体だけでなく心も満たす栄養指導

続いて授業は質疑応答へ。学生から寄せられた質問に、佐藤先生が丁寧に答えました。特に、7月にチェコで開催されるオリエンテーリング世界大会に参加予定の学生に対しては、競技で最大限に力を発揮できるようエールを送ってくれただけでなく、その国でしか味わうことのできない食べ物を実際に食べてみることの大切さも教えてくれました。
「アスリートの立場から見た信頼の置ける栄養士・管理栄養士とは?」という質問に対して挙げたのは、「アスリートの心に少しでも寄り添ってくれること」という条件でした。苦しい減量と向き合っているアスリートの悩みに「そうだよね、わかるよ」と共感してくれたり、「こうしてみたら?」と新たな提案をしてくれたりと、教科書通りの栄養指導に加えて、心までサポートしていくこと。食事とは身体だけでなく、心を満たしていくものであることを忘れないことが、両者にとってより良い関係性を築いていくために重要だと話してくれました。

質疑応答に続き、佐藤先生による迫力のある柔道のデモンストレーションを学生は体験し、たいへん有意義な授業となりました。