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2024年3月7日

ライブ配信アプリの女子大生利用者を増やすには?「ビジネスプランニング」でDeNA×クロス・マーケティンググループとのコラボ授業が行われました。

1年生対象の「ビジネスプランニング」(担当:生活科学部現代生活学科 上野亮助教)授業で、株式会社クロス・マーケティンググループ(以下、クロス・マーケティング)と株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)とのコラボ授業が行われました。テーマは「女子大生のPocochaの利用を増やすための施策の提案」です。学生たちはグループワークで企画を考え、1月10日にプレゼンテーションに臨みました。企業の方々もオンラインで参加してくださり、直接講評をいただきました。

女子大生がPocochaをたくさん使うようになるには?

『Pococha』はDeNAが運営するライブコミュニケーションアプリです。
誰でも「ライバー」と呼ばれる配信者になることができ、「リスナー」と呼ばれる視聴者とコメントなど双方向でコミュニケーションを取れることが特徴です(Pocochaの利用は18歳以上)。利用者の年齢層は幅広く、男性の割合が高め。ライバーは、ライバーとしてのランクや毎回の配信の盛り上がりに応じて、報酬を獲得することができます。無課金でも十分楽しめる仕組みで、初心者でも簡単に始められるアプリです。今回は、女子大生の利用者を増やす企画を考える課題が学生たちに出されました。

当日はクラスを半分に分け、2か所同時に発表が行われました。
それぞれに企業の方もオンラインで参加。各グループのプレゼンとクロス・マーケティングの小川氏と前口氏、DeNAの山本氏の講評をレポートします。

ライバーとリスナー どっちを増やす?

1班はライバーを増やす案として、若い女性も安心して参加できる「企業が全面サポートするファンミーティング」を提案しました。ファンミーティングは個人で行うにはハードルが高いもの。企業主催であればセキュリティも整い、女子大生が参加しやすいと考えました。
発表後の質疑応答では「実際に行うならどんなイベントを想定していますか」と問われ、学生は「有名になりたいという女子大生がファンミーティングすることでリスナーとの距離が近づけるイベントを想定しました」と回答しました。

2班はリスナーを増やすため、シニア配信者に注目。
一人暮らしの20代女性のうち8割が「食事は誰かと食べたい」と回答しているアンケート結果に着目しました。祖父母と孫をイメージした広告をSNSで流したり、シニア配信者をピックアップできるタブを作ったりという案を出しました。

「皆さんは実際にシニア世代の配信を見たいですか」と質問され、学生は「若い人は飽和状態なので年齢を重ねた人の話を聞きたい」と回答。また、「今皆さんがさみしいときにしていることと、配信を見ることはどう違いますか」といった質問には「第三者だからこそ話しやすいこともあると思うので、悩みを打ち明けられると思います」と回答しました。

Pocochaでデビューを目指せ

3班は、Pocochaは報酬システムが安定していることに注目しました。
ミス・コンテストを企画し、期間内の配信数やアイテム数でランク付けします。上位のライバーは事務所所属や、化粧品など賞品を用意します。

質疑応答では「実際にやってみたいですか?」と問われ、学生は「自宅で配信できるのでやってみたいと思って企画しました」と回答しました。また「化粧品はどんなものをもらったら嬉しいですか」と質問され「プチプラでもブランド品でも、お試しできるのは女子大生には嬉しいと思います」と答えていました。

4班は、リスナーを増やす案。
若い女性はダイエットに敏感です。DeNAの子会社であるDeSCヘルスケア株式会社が運営するダイエットアプリ『カラダモ』と連動し、ライバーと一緒に運動する配信を提案しました。

質疑応答で「どんな人の配信が見たい?」「どういった運動を想定している?」と質問され、「インフルエンサーの筋トレや、トレーナーの運動は参考になると思います」「自宅で行える運動。配信者から応援をもらえれば、双方向でコミュニケーションを取れるPocochaの強みを活かせると思います」と、学生たちは回答しました。

推し活したい女子大生を増やそう

5班は、Pocochaを初めて使う際の操作が分かりづらいと課題を挙げました。
そこでチュートリアルの充実を提案。ライバーがショッピングモールでコスメなどの実演販売することで身近に感じてもらえる案も考えました。

「網羅的にデータを見ていると思いました。ショッピングモールのユーザーをターゲットにするのは面白い視点」と感想をいただきました。

6班もリスナーを増やす方法を考えました。
サバイバルオーディションの開催を提案しました。オーディション参加者の配信を視聴することで投票できるシステムにし、ポイントがたまるとライバーと1対1で会話できる特典を考えました。

「ちゃんと女子大生の興味関心を引くだろうなと思いました」と講評があり、重ねて「その後Pocochaに定着させるには?」と質問されました。学生は「デビュー後もPocochaで配信することで、リスナーは推し活できると思います」と回答していました。

実体験をもとに具体的に企画を考えよう

全チームの発表後には総評をいただきました。
「女子大生ならではのアイデアもあり面白かったです。課題整理も丁寧でよく考えられていました。ただ、周りの友人や自分たちで取ったアンケートなど、もっと生の声を取り入れるとさらに良かった。企画を考えるときは自分にも覚えがあるな、という消費者としての体験が大切。実体験を反映できるよう考えてみてください」とコメントをいただきました。
また「皆さんが企画を考えるとき、イメージを持って作っているはずです。そのイメージを言語化し具体的な施策をより詰めていくと、聞いている人にも伝わっていきます」とアドバイスも。
最後は「素敵な企画を考えていただきありがとうございました」と学生たちの頑張りをねぎらわれました。

1年生でまだ企画立案も慣れていないなか、実際に企業が抱えている本物の課題に取り組んだ貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

 今回、この授業を履修し、実際にPBL(Project Based Learningのこと。課題解決型学習とも訳される、文部科学省が推進するアクティブラーニングの一種)にチャレンジした学生は学部1年生です。そのため、多くの学生にとっては、実際に社会で活躍する企業の皆様方を前に、自分たちの考えた内容を提案するのは、初めての挑戦であったと思います。本授業では、全14回の授業の前半の内に、グループワークを進める方法や様々な分析手法等、企業が提示する課題を取り組むに当たって必要なことについて、学修しています。その後、企業から出題頂いたテーマに取り組むことになります。
 今回の最終発表会では、これまでの学修内容を踏まえて、株式会社クロス・マーケティンググループ、株式会社ディー・エヌ・エーの両社から出題されたテーマに対し、学生ならではの視点や感性、考え方も取り入れながら、企画立案した内容を報告し、両社の皆様から、そのフィードバックを受けました。学生達が体験した企画立案、報告、フィードバックという、この一連の経験自体が大きな学修成果になったことと思います。今回、経験した内容は、実際に社会に出た後も活かせる内容です。学生達には、ぜひこの貴重な経験を活かした活躍をしてもらいたいと考えております。
 この度は、このような貴重な機会を頂きました、株式会社クロス・マーケティンググループ、株式会社ディー・エヌ・エーの皆様に、この場を借りてお礼を申し上げます。

2024年2月27日

生活環境学科:『STAFF START』を展開するバニッシュ・スタンダードによる特別講義を実施!

1月15日に、1年生対象の「ファッションビジネスの世界」(担当:生活科学部生活環境学科 大川知子教授)の授業で、株式会社バニッシュ・スタンダード/カスタマーサクセス担当の今野俊氏による特別講義が行われました。同社が手掛ける『STAFF START』とは?それは普段、学生たちが利用しているサービスの舞台裏でした。

授業概要

 「アパレル」「建築」「プロダクト」を複合的に学ぶことのできる生活環境学科の、1年生向けの科目『ファッションビジネスの世界』の最終講義で、現在、注目を集める『STAFF START』を展開する(株)バニッシュ・スタンダード/カスタマーサクセス担当の今野 俊氏による特別講義が実施されました。『ファッションビジネスの世界』は、ファッション産業の概観を繊維・テキスタイル(川上)・アパレル(川中)・小売(川下)の形成過程を歴史に学びながら、これからの産業の在り方を考える授業です。

 その最終講義の今回のテーマは、「ECとOMOの現在」。ECはElectric Commerce(電子商取引)の略で、インターネットを介して商品の売買をすること。学生のみなさんには「ネットショッピング」として身近にあります。現在ではOMO(Online Merges with Offline)という考え方が主流になり、生活者は実店舗とオンライン(ECやSNS)をシームレスに行き来しながら商品を購入します。特にコロナ禍以降、自宅に居ながら買い物が可能なEC市場が拡大しており、このような現状の中で、今回登壇いただいた(株)バニッシュ・スタンダードが提供する『STAFF START』は、主に小売において画期的なサービスを提供しています。

 授業の冒頭、今野氏の自己紹介からスタート。これまでにアパレル企業での販売やマーチャンダイザー(MD)としてのご経験を経て、現在は同社の「カスタマーサクセス」という職種で活躍されています。講義は、バニッシュ・スタンダードの概要から始まりました。バニッシュ・スタンダードという社名には、「常識を革める」という意味が込められており、同社が提供するスタッフDXサービス『STAFF START』は、ECの台頭により、実店舗への来店顧客の減少や、それに伴う売上の減少、また、現在の日本においてあらゆる小売業で抱えている報酬の魅力度の低下といった課題を、専用アプリを通じて、店舗に所属するスタッフをDX(デジタルトランスフォーメーション)化し、自社のECサイトやSNS上でのオンライン接客を可能にすることによって解決しています。

 『STAFF START』は、サービス開始から7周年。2023年現在での利用者(アカウント)数は23.3万人にも上ります。2018年の利用者数は25,000人程でしたので、コロナ禍を契機に、ほんの5年間で10倍にも急増しています。また、導入ブランドは2,600を超えています。現代のOMOを下支えするのは、正にこの仕組みで、学生たちは最新事例に触れ、学びを深めることが出来ました。

 『STAFF START』は、EC上に投稿出来るアプリです。店頭スタッフは、ECそのものや、EC上の自身のコンテンツへの誘客としてSNSを活用しており、このアプリでは、その可視化が可能です。例えば、店舗スタッフが商品コーディネートなどの情報をSNSにアップすると、そこからオンラインショッピングへのアクセス数、売上金額等、全てのプロセスが可視化され、そのスタッフの貢献度が報酬となって評価に加算されます。従来は、投稿内容の売上貢献度は不明瞭でしたが、それを明らかにすることで、働く方たちのインセンティブにもなっています。彼らの販売力を、実店舗は勿論のこと、EC上の接客でも活かすことで、月間500万円以上売上げる人は840名にも上り、また、月間の最高売上は2億6,000万円と驚異的な数字となっています。また、画像を通して、顧客との関係づくりにも役立っています。

 また、このサービスにより、大都市にある店舗が必ずしも高い売上を誇る訳ではなく、実際、都道府県別一人当たりの売上の1位富山、次いで石川、栃木と続き、東京は10位となっており、立地による不利益をも凌駕しています。今回の事例は、接客サービス、ひいては働くことそのもの価値の変換が起こっていることを示す事例となり、学生達からも大きな反響を得ました。

学生の主なコメント

・店舗スタッフが活躍できるチャンスがあるということが、印象に残りました。個人の売上成績をしっかりと評価し、
 首都圏のみならず、地方にいる優秀なスタッフも活躍できるようにしているのは、とても良い取り組みだと感じました。

・私自身、ネットで服を買う時に、スタッフの方の着画を参考にしていたので、知らず知らずの内に、このサービスを
 使っていたのだと気づきました。将来、ショップ店員になりたいと考えていましたが、低賃金が心配ごとのひとつでした。
 ですが、『STAFF STRAT』を知り、更にこの夢に向き立っていきたいという気持ちが強くなりました。
 今回の講義を、今後の糧にして、もっと勉強を頑張りたいと思います。

・「ECサイトに、店舗スタッフを立てる」という斬新なアイディアに、はじめは果たして意味があるのか、寧ろ、
 人手の無駄遣いになるのではないかと疑問を抱きましたが、その考えは直ぐに覆されました。
 自分が想像していたよりも可能性は広がっており、この仕事自体を前向きに捉えてみる機会になりました。

  ※バニッシュ・スタンダードのウェブサイト

   企業情報|株式会社バニッシュ・スタンダード (v-standard.com)

  ※『STAFF START』のウェブサイト

   STAFF START(スタッフスタート)とは|スタッフDXサービス (staff-start.com)

大川先生からのメッセージ

 

 常に社会の動きと連動するファッション産業は、変化のスピードがとても速いです。この産業について学ぶことは、結果的に、他産業を考える際にも応用出来ることが面白さです。今年度は、最近頻繁に『繊研新聞』等の業界紙でも取り上げられている『STAFF START』を運営するバニッシュ・スタンダードの今野様にご登壇いただくことが叶いました。

 店舗スタッフは、私たちが商品を購入する際に、助けになって下さる方たちで、魅力のある仕事ですが、収入面を含めて、長年改善出来ない様々な課題にも直面していました。そのような中、誕生した『STAFF START』は、コロナ禍により急速に進んだSNS経由のECとの連携も強めながら、オンラインの強みである物理的な距離も軽々と飛び越え、また、店舗スタッフの方たちの可能性を最大限に引き出すことの出来るアプリです。

 学生のみなさんの感想を読むと、実は普段からコーディネートをチェックしている人がほとんどでした。ビジネスは、その基礎となる原理原則を学ぶことがとても大切ですが、一方で、時代の流れに即した事例研究も重要で、学生のみなさんの興味を喚起する、良き学びとなりました。このような機会を与えて下さったバニッシュ・スタンダード様に、心から御礼を申し上げます。

2023年3月17日

産学プロジェクトで、ルミネの「リアルとデジタルの融合を提案する」プレゼンがオンラインで行われました。

2023年3月23日付 繊研新聞 掲載
問題解決型産学プロジェクト Z世代に響くルミネの新サービス提案
※画像をクリックすると拡大します。

本学と大妻女子大学、跡見学園女子大学、女子美術大学の4校が、ルミネと行った問題解決型産学プロジェクトの最終報告会について繊研新聞で紹介されました。

繊研新聞社WEBサイトリンクhttps://senken.co.jp/

 2月7日(火)、産学プロジェクト「LUMINE×AOJJ」の学生たちによるプレゼンが行われました(オンライン)。実践女子大学・跡見学園女子大学・大妻女子大学・女子美術大学の4女子大共同のプロジェクトで、実践女子大学からは大川知子教授(生活科学部 生活環境学科)のゼミ生10名が参加。大学間を越えたチームを作り、ルミネから提示された課題解決に臨みました。

4か月のプロジェクト集大成!4女子大の学生が交流

 プロジェクトは昨年10月から開始。各大学の参加学生は全員3年生で、計41人。6チームに分かれ、主にオンライン会議で話し合いを重ねてきました。ルミネからの課題は「リアルとデジタルを融合したデジタルの新しい形」。最終報告会のこの日は、ルミネの重森淳一氏(常務取締役営業本部長)や渡名喜暁子氏(OMO推進部)をはじめ10名が参加くださり、各発表後には質疑応答も行われました。

「消費者」から「発信者」へ

 最初のチーム「premiere」はルミネの利用者が購入だけでなく、発信者になれるSNSのようなアプリを提案しました。目的はSNSに親しんでいるZ世代に「ルミネを憧れの店」にしてもらうこと。購買体験を発信し、見た人が店に行きたくなるものを目指します。ギフト機能やほしいものリストなども作り、友人や推しに匿名でプレゼントを贈ることも可能です。
 発表後の質疑応答では「仕組みがしっかり設定されていた」との感想が。「Z世代に憧れにしてもらうためのポイントはどこ?」という質問には、「インフルエンサーなどに発信してもらうことで、Z世代に訴求する」と説明。

コーディネートはルミネで

 次のチーム「twinkle」もコーディネートアプリを立ち上げることを提案。「フレンチレストランでデート」「原宿でショッピング」など様々なシチュエーションを設定し、それぞれに合ったコーディネートを、ルミネのショップ店員がセレクト。ルミネの通販アプリと連動し、気に入った商品はそのまま購入もできるようにします。また、パーソナルカラー診断や骨格診断なども行え、自分に似合うルックを探せる仕組みです。
 質疑応答で「コーディネートに使えるSNSは他にもあるが、使ってもらうには?」という質問に、学生は「気温別、TPO別のコーディネートが検索できるのがポイント」と回答し、ルミネの方も納得されていました。

ルミネのメタバース空間を作ろう

 次の「チームワンピース」は、メタバース空間を利用したサービスを提案。デジタル空間上のルミネを、自分好みのかわいいアバターで回れる仕組みです。メタバース上の店舗で気に入った商品はワンタップで通販サイトに飛べるほか、実店舗のルミネの様子もリアルタイムで配信。実店舗に行ってみたいと思わせ、店舗に行き慣れないひとも安心して足を運べる工夫です。若者だけでなく地方の人にもルミネを体験してもらえるデジタル利用法です。
 発表後は「メタバースを実際に利用して検討しているのが素晴らしい」と感想がありました。

リアルとのつながり「ルミネコレクション」

 「火11」チームは、店員とお客様の関わりを大切にしているルミネの強みを生かした企画を提案しました。ルミネのショップ店員がコーディネートを紹介する3分程度の動画投稿アプリで、店員一人ひとりに投稿してもらうことで、店員に会いに行きたいと思わせる工夫です。また半年に1回、ルミネ内で「ルミネコレクション」を開催。人気店員による東京ガールズコレクションのようなイベントで、リアルの店舗に来たくなるように促します。
 発表後には社員の方から「ルミネコレクション、楽しそう。ショップ店員のおすすめ力の強みが出ている」と感嘆の声がありました。

Z世代に寄り添った参加型サービス

 次の「推し活盛り上げ隊」もフェスの開催を提案。年に1回人気イラストレーターとアパレルブランドがコラボをかけた投票をして、自分の好きなイラストレーターやブランドを応援できるシステムです。アプリは店内でも使えるようにし、タグをスキャンすることで店員を介さずに口コミやコーディネートを見られるものを提案しました。アプリ利用でクーポンの配布やイベントの投票もできるようにします。
 発表後は「推し活という発想がおもしろく、年間スケジュール感も分かりやすかった」と感想をいただきました。

ルミネセレクト!ポップアップショップ

 最後の「fortuna」は、リアルの雰囲気に合わせたデジタルサイトの開設を提案しました。ルミネはいろんなブランドが集結しているのが魅力とし、さまざまなブランドを合わせた「ルミネセレクト」のポップアップショップを作る案を出しました。実店舗にも同じショップを出し、リアルとデジタルのギャップをなくす工夫です。季節ごとのコーディネートに合わせたコレクションを提示し、デジタルでの通販だけでなく実店舗に来てもらえるようにします。
 感想では「リアルなルミネのポップアップに着目とデジタルの融合のアイデアがいい」と仰っていました。

学生も成長できたプレゼンテーション

 すべての発表後に、重森氏から総評をいただきました。「オンラインのやりとりでチーム内のコミュニケーションも難しかったと思いますが、ここまでルミネについて考えていただけるとは」と語り、「ルミネの通販システムとアプリの連携の改善余地は、皆さんのおっしゃる通り」と学生の指摘も受け止められていました。「参考になる点がたくさんありました。今後ルミネも改善していく中で、皆さんからの案があるかもしれません。引き続きルミネを見続けてください」と学生たちへの頑張りを賞賛されました。

 各大学の教授たちからも最後に学生へ言葉があり、大川教授は「今回の経験を大いに糧にしていただきたい」と学生たちへエールを送りました。

参加学生の声

 「初めて他大学の人と協力しましたが、グループの雰囲気づくりや人間関係を築きながら企画を進め、他の人の意見も聞き取り入れることで、より良い案が生まれるというのを実感できました。コロナの影響で、大学内の友人すら、あまり作れませんでしたが、今回、他大学の友人ができたことも嬉しかったです」

 「自分の意見に根拠をつけて、明確なものとして提案する能力が身に付きました。もともと自分の意見を伝えることは得意でしたが、得意で、声が大きいからこそ、周りの賛同でまかり通っていたのだと、気付くことができました。周りも自主的になると、自分の発言は根拠がないと埋もれるため、根拠まで言葉で表すようにする癖が付きました」

 「調査とは、ある程度ではなく、徹底的に行い、深く掘り下げることが重要であることを学びました。また、自分では考えつかないアイディアを提案してくれる仲間がいることで、考えの幅が広がることを実感しました。自分と他人のアイディアを融合することで、新しいアイディアが生み出されたときが嬉しく、毎週内容がブラッシュアップされていくことに対して、やりがいを感じるプロジェクトでした」

 「協調性やチームワークの大切さを、改めて知ることが出来ました。話が煮詰まってしまった時、その案を諦めるのではなく、ブラッシュアップすることで達成感を得られました。達成感を得られたのも、チームのみんなが諦めない心で臨んでくれたからだと思っています」

大川先生の話

 2013年の着任時、ルミネ立川店とのお取り組みからスタートしたこの産学プロジェクトは、今年度で一旦終止符を打ちます。最後の5年間は女子大連携プロジェクトに発展し、素晴らしい先生方のご尽力により、年々精度の上がる内容になりました。これは、一研究室の一教員だけでは到底できなかったことです。  
 ドキドキの課題提示に始まり、いざスタートとなると、学生たちも真剣に取り組み、時にチームの意見の食い違いやフリーライドの問題もありましたが、そういった苦難を乗り越え、最終発表まで力を合わせて取り組んだ経験は、何にも代えがたい貴重なものでした。
 ルミネの皆様も、相手が学生だからと手加減せず、真摯に向かい合って下さったこと、学生たちの成長の一助に力をお貸し下さったことに、大変感謝をしております。10年に亘り、本プロジェクトに関わって下さった全ての皆様に、心から感謝申し上げます。

2023年1月15日

「ケア労働とジェンダー平等」をテーマに講演をおこないました。

女性未来研究所が主催する研究プロジェクト企画講演会で、「男女が共に担うべきアンペイドワーク ~家族にとってのジェンダー平等とは」というテーマで人間社会学科の山根純佳教授が登壇されました。女性が担いがちな家事やケアの、ジェンダー平等につながる道筋を探るオンライン講演が行いました。

アンペイドワークは女性の負担が圧倒的に大きい

アンペイドワークとは、家事のほか、育児や介護などの無償労働のこと。このアンペイドワークを、日本では圧倒的に女性が担っているという現実があります。家事やケアの不平等な配分は変わらないのか、何が原因で、どうすれば平等に仕事を担えるのかを探っていきます。

家事時間は、未配偶者では男女に大きな差はありませんが、有配偶者になると女性が男性の倍も多くなります。女性の家事時間に関しては、洗濯や掃除など家事の時間は減っていても、育児時間が増えているというデータもあります。食洗機などのテクノロジーが家事を助けてはいても、その分休めているわけではありません。

「特に睡眠と余暇のジェンダー不平等は見過ごされがちな問題です」と山根教授は言います。男性が一日に趣味に使える時間を1とした場合、女性はわずか0.37。女性にとって余暇や睡眠は削るものになっているのです。

男性の労働時間が長いことが原因?

なぜ男性は家事、特に育児や介護などのケアをしないのでしょうか。一般的によく言われる理由に「男性は労働時間が長く、働き方を変えられないから」というものがあります。しかし、男性の帰宅時間が17-19時台と22-23時台の場合を比べても家事時間は変わらない、というデータが。男性は時間があっても家事をするわけではないのです。

もうひとつ「家事・育児は女性に向いているから」というものがあります。男性は個人の競争を重視し、ひとつのことに集中するのでケアが苦手でも仕方がない、女性は感情の機微に敏感でよく気がつく、という考えです。

女性ならうまくケアできるのか?

男性が行う家事は「目に見える家事」と言われます。
洗濯機を回す、食器を洗う、子どもをお風呂に入れるなどです。対して「女性は家事マネジメントをしています」と山根教授。連絡帳の記入、持ち物チェック、消耗品の在庫確認など「見えない家事」を多く行っています。こうした細かい気配りが必要な作業は、男性には難しく女性が得意であると思われがちです。しかし女性だからといってこうした家事は得意と言えるでしょうか。私の受け持つ実践女子大学の学生たちのなかで家事が得意だという学生はわずかです。子育ても同様です。子どもを持ってはじめてケアを引き受ける主体になるのです。

一方でケアを引き受けた人は感覚や認知能力を使って複雑な労働をおこなっています。「女性はケアが得意だから」と言うことで女性の負担を軽視していると言えます。ケアは「Care For(身体的労働)」の他に「Care About(気遣い)」が必要と言われています。山根教授は気遣いという曖昧なものではなく、「Sentient Activity(察知する)」という認知的な労働と捉えるべきではないかと語ります。

ケアには多くのことを判断し、なにをするべきか「考える」という活動があります。どんな食事を作って食べさせるか、好みや今の状態などを自分の予定などとあわせて考えとりあえず判断します。その後様子をみて判断が適切だったかまた観察します。「とりあえずこうしよう」と行ったことも「ああすればよかった」と後悔することは多々あります。

さらにその決断の責任は判断した女性が負います。ベビーシッターが虐待を起こしていたことが分かった事件では、預けた母親が責められるということが起きました。ケアにはたくさんの公共の支援や施設など情報を得ることが大切ですが、こういった情報を知ることも自己責任になっています。

日常生活を支配する「男性性」「女性性」

男性の長時間労働は変わらない、というのは「変えようとしていないから」と山根教授。職場や働き方を変えずとも、自分が変われば変わります。休みの日に家事をする、睡眠時間を削るということを男性はしません。「女性がやるから」という思い込みがあるためです。女性は「やらざるを得ない」から行っています。

家庭という領域に自分が当事者としてかかわっていく意識があるか。この意識には稼ぎ手であるかどうかは別問題です。「男性だから」ケアできなくても仕方ない、という考え方は男性を免責しているのです。

共にケアする社会に向けて

山根教授は、ケアは「協働」であるという意識が大切であると語ります。
「ケアは一人ではできません。また女性だからといってうまくケアができるわけではないのです」
そしてケアをしないということは、できることをしていないという責任感の欠如であるという意識を持つことが大切だと説きます。やろうと思えばやれることをやっていない、というのは恥ずかしいことであるという意識改革が必要です。

保護者会の参加や、子どもや高齢者を病院に連れていくのは男性でもできることです。
男性の参加が多くなればなるほど、仕事の調整もつきやすく、平日の保護者会自体もなくなっていくでしょう。地域のジェンダー問題も解消されていきます。
世の中が変わらないから自分も変わらないのではなく、まず男性は当事者意識を持ち、女性も思い込みをなくしていくことが重要であると語り講義は終わりました。

この後、ゲストも含めパネルディスカッションなども行われ、女性の立場や家族のなかのジェンダー平等をさらに深く考え、オンライン講義は終了しました。

2021年10月13日

「キャリア開発実践論」が6年目を迎えました!120人が講座を巣立ちました(9/11~13)

社会の各界各層で活躍するリーダーを養成する共通教育科目「キャリア開発実践論」が、今年度で6年目を迎えました。企業の管理者向けリーダー養成プログラムを大学の正規科目にアレンジしたユニークな講座は、本学キャリア教育の看板授業として、すっかり定着。同講座を履修して本学を巣立った卒業生は、120人にのぼります。

コロナ禍で「完全」オンライン

学生の熱意はオンラインからも

6年目となる今年度の授業は、コロナ禍のため、残念ながら9月11日から13日の全期間中、すべてがオンライン開催となりました。同じくコロナ禍に見舞われた昨年は、初日こそ教室で対面授業が実現しましたが、2~3日目はオンライン。宿泊施設を借りて2泊3日で行う恒例の集中合宿スタイルは、2年続けて見送らざるを得ませんでした。

 東京都内でコロナ禍4度目の緊急事態宣言(7月12日~9月30日)の発令下にもかかわらず、コロナ感染者数が、8月13日に過去最大の5,773人(2020年8月13日は206人)まで急拡大しては仕方がありません。リーダーシップコンサルティング代表で岩田松雄氏(元スターバックスコーヒージャパンCEO)、同社共同代表の鷲見健司氏の講師陣2人にとっても、自宅からのZOOM講義は6年間で初めての経験となりました。

 ただ、そんな悪条件の中でも、授業で講師と真剣に向き合う学生の姿勢は、不変でした。同講座は、開講以来一貫して「私たちは何のために働くのか」がテーマであり、学生それぞれが自らのミッション(働く目的や天職)を授業のなかで探ります。初日の「個人ミッション」作成に始まり、2日目の「リーダーシップ」や「ファシリテーション」、「ダイバーシティ」へと続く名物講義。最終3日目に行う学生の決意表明「アクション宣言」は、自宅からの参加はいえ、例年に劣らず熱を帯びたものとなりました。

交流セッションは本音トーク

例年と変わらないものには、初日と2日目の夜の部、後輩のためにと交流セッションに駆け付けた先輩の存在もありました。

(学生)「就活で営業職を考えているが、自分に新規開拓ができるか自信がない…」
(OG)「私は新規開拓が得意。先月は1人で130万円の利益を上げた。この額って実は(私の会社の中では)すごいんだよ」
(学生)「(瞠目して)どうしたら、そんなふうになれるんですか?」
(OG)「まずは若い女性で販売職だと珍しがられるから。1か月に1回は相手を訪問すること。そうすれば相手の印象も、○○(会社名)の人から、○○の△△さん(姓名)に変わり、顔も覚えてもらえる」
「相手には明るく接する。そして、とにかくめげずに通うこと。特に古株の人ほど(こちらの努力を)をよく見てくれている」

恒例の先輩との交流セッション

今年度も、初日の土曜日夜と2日目の日曜日夜、延べ26人の履修生OGが交流セッションに参加しました。例えば、2日目の夜に行われたZOOMのブレイクアウトルームの一つを覗いてみると、就活で営業職を希望しようかを悩む後輩に対して、親身の悩み相談が行われていました。年齢が近いということもあるのでしょう。すべてが本音ベースです。

 他のブレイクアウトルームでも、遠慮のない先輩と後輩の交流が行われたことは想像に難くありません。後日集計された先輩の参加アンケートからも、それがうかがえます。

▼「就活を長くやっていると色んなことを考え、就活自体が辛くなり、妥協することがあるかもしれない。でも、実際は働いてからの人生の方がとても長い。この会社で自分はやって行けそうか、理想通りの働き方ができるか、という視点を見つけ、働きたいと思える会社に出会えるよう頑張って欲しい」(2019年卒、RAさん)
▼「『自分の人生でやりたいこと』と聞かれても、答えるのは難しい。コロナ禍で制限された困難を乗り越えるには、日頃からOJT(実際の職務現場で業務を通して行う教育訓練)は始まっているという意識が大切だと思う。その考えがいずれ経験値となり、皆さんを支えてくれます」(2018年卒、ENさん)

 こうした先輩の声は、いずれもコロナ禍と就活で不安な日常を送る後輩を気遣うものばかりです。

 他方、交流セッションは先輩の赤裸々な社会体験やビジネス体験が聞ける稀有の機会であり、学生の刺激にもなっています。そのアドバイスは、学生のこれからの選択肢にも少なからず影響。最終日の「アクション宣言」にも、その一部が投影されました。

▼「先輩との交流セッションで『やりたいことを大学生のうちに見つけている人の方が、就職活動とか、働くことに対して、うまくいっている印象がある』と言われた」(Mさん)
▼「OGの方とのフリートークで『結局は自分との戦いだ』という言葉をもらった。その言葉を信じて頑張りたい」(KEさん)

 もはや、OG抜きに本講座は考えられないことが分かります。

履修者の6割は「活字離れ」を自覚?

その「アクション宣言」ですが、これは2泊3日の授業を締め括る、いわば本講座のフィナーレです。そして、学生それぞれが最終日午後にどんな決意表明をするかは、この講座最大のクライマックスと言えるでしょう。今年度も22人の履修生全員が各2分間、講義を踏まえて今後自ら取り組む「アクション」3項目を厳選し、決意表明をしました。

【学生】「私のアクションは、大きく分けて、ミッションに関するアクション、人と関わることに対してのアクション、自分の内面に関わるアクションの3つです。

 このうち、1つ目のミッションに対するアクションですが、私のミッションは『地元が好き、でも華やかな東京の暮らしも大好き、だから地元を豊かにしたい』というもの。地元を豊かにするのは地方創生。そのためには勉強して県庁等に入らないと話にならないので、今の勉強時間に1時間プラスアルファ、勉強時間を増やすことをアクションにしたいと考えました。

 2つ目のアクションは、『人と会話をする際にお互いに前提を明確化する』です。例えば、リーダーとリーダーシップの意味の混同など、会話の際に前提の違いが原因でお互いの会話に齟齬(そご)を生じてしまうからです。

 最後3つ目の自分の内面に対するアクションですが、それは『自分の好きなものを見つけてみる』です。具体的には、自分の内面を豊かにするために2週間に1度は美術館に行き、自分の知性や文化的なものを深めたいと思います」

 こうしたアクション宣言の内容を、22人について振り返ると、目前の就活対策、自己に足りないものの克服、将来の夢の実現に向けて…など実に多種多様でした。ただ、総じて本や新聞、テレビのニュースを通じた情報収集が多かった気がします。

▼「語彙力を高めたい」(STさん、RYさん)
▼「政治や経済の知識不足を本講座で思い知らされた」(KEさん)

 こうした理由から、履修生22人のうち約6割の13人が、本や新聞による情報収集、ニュースや記事の閲覧をアクションの一つに挙げています。裏返せば、若者のSNS依存が進み、これらメディアへのアプローチを「アクションに高めなければ」と自覚するほど、大学生の活字離れが進んでいるということでしょうか。

有為の人材120人が講座を巣立つ

「キャリア開発実践論」がスタートしたのは、今を遡る6年前。全学部学科の3~4年生を対象とした共通教育科目として発足しました。本講座を担当する文学部国文学科の深澤晶久教授(キャリア教育担当)によると、スタートに際して「2泊3日の宿泊学習を行うことを含め、同講座の開催スタイルに対して学内での異論も多かった」と振り返ります。

 しかし、この間、たびたびメディアにも取材され、学内や学外を問わず講座の認知度が向上。本学キャリア教育の看板授業としてのステイタスを高めていきます。そして6年目の今年度は、累計履修生120人を達成、初の3桁超えとなりました。

▼「(交流セッションへの参加が)自分の気が引き締まり、改めて業務に邁進したいと思うきっかけになりました」(2017年卒、EIさん)。
▼「自分の生きたいキャリアを見つける手がかりを、キャリア開発実践論で見い出してください。私は進路の方向性はこの授業から見つけました」(2019年卒、 SKさん)。
▼「自分なりの信念、ミッションを大切にしてください。(講座で学んだ)自分の軸があることで、社会人となった今も、ぶれずに進むことができています」(2021年卒、AIさん)

 履修生OGそれぞれは、本講座で会得した自分の軸を武器に、厳しいビジネスの荒波を乗り越えるとともに、年2回、毎年9月と3月にある「キャリア開発実践論」「深ゼミ」に参加することで、初心を忘れないように心掛けています。社会に巣立った履修生OGが自身の体験を学生に伝え、学生が先輩を手本に有為の人材として社会に巣立つ。こんな先輩と後輩のスパイラルが、同講座の確かなレーゾンデートル(存在理由)として、リーダー養成の好循環を広げているのではないでしょうか。

6年間を振り返って

深澤教授もZOOM越し指導

深澤晶久教授の話

2016年に始まったこの授業のコンセプトは、「超一流の講師の下、超一流の環境で学ぶことで、実践女子大学の卒業生として、社会の先導者として活躍してくれる学生を育てること」を狙いにスタートしました。岩田さん、鷲見さんというお二人の講師から学べたことの幸せを噛みしめながら卒業した学生たちの多くが、大学時代を振り返った時、この講座が転機になったと語るほどのインパクトになっていることは事実です。無限の可能性を秘めた学生が、この講座をきっかけに大きく成長し、実践女子大学の卒業生としての矜持を胸に、さらなる活躍を心から期待したいと思います。そして、厳しくも愛情に溢れるご指導をいただいている岩田松雄様と鷲見健司様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

岩田松雄氏の話

通常この授業の内容は大企業の部長さんクラスを想定したものでした。
もちろん学生さん向けに色々工夫はしているものの最初難しいかなと思っていました。
しかしながら皆さん正面から課題に取り組み、想定以上の成果が上がっていると思います。
特にこれから就職活動を迎える3年生には、自分の人生の使命、何のために働くのかなどを考える良いきっかけになり、またファシリテーション、リーダーシップなどのスキルも身につき、就職活動の面接はもちろん企業選びにも役に立っているようです。
また若い人が入社して3年以内にすぐ辞めてしまうという問題に対しても、その会社の知名度や給料など待遇面だけで選んだわけではないので、退職する方も少ないようです。
また多くのOGの方も研修に参加して、後輩たちにとても有意義なアドバイスを送ってくれています。この研修を受けたというだけで何か仲間意識のようなものが広がっているようです。今後ともさらにより良い研修にしていきたいと思っています。

岩田講師も自宅から参加
鷲見講師のファシリテーション実践指導

鷲見健司氏の話

大学3、4年という大切な時期に、当講座の以下のような特徴が、受講生にとって今後の人生を深く考えるきっかけや転機になっていれば嬉しく思います。
・岩田講師から個人ミッション作成法の指導を直接受け、自分理解を深めるプロセスを通じてミッションを作り、語ることで自己認識を強化することができる
・当講座を受講し社会人として活躍する先輩方から、企業や仕事、就活等についてリアルな体験談を直接じっくり聞くことができる
・岩田講師と直接対話を繰り返しながらリーダーシップについて本質から理解を深めることができる。受講者自身が自らの中にあるリーダーシップを見出し、より積極的に発揮するきかっけとなる
・志を共有する受講生同士が、ファシリテーションの実践演習をしながらジェンダーギャップ等に関するグループワークやプレゼンテーション等を次々と乗り越えていく過程で、3日間、お互いを理解し合い、温かく支え合い、切磋琢磨し合うことを通じて、素晴らしいチーム形成の経験や、生涯の財産となる得難い同期(同じ釜の飯を食った盟友)を得ることができる

2021年6月11日

「社会人に求められるものとは」を考察!!サントリーHDの社会連携授業で 新人研修計画を提案します(6/4)

企業の課題解決に学生がチャレンジする社会連携授業が6月4日(金)、オンラインで開催されました。サントリーホールディングス株式会社と本学が行う連携授業は、今年度が初めてとなります。

新型コロナウイルス感染拡大(コロナ禍)に伴い政治経済・社会情勢が激変するなか、「社会人やビジネスパーソンに求められるものは何か」を学生が考察。これを踏まえ、サントリーHDの新入社員向け研修計画を提案します。7月2日(火)に最終プレゼンテーションが行われます。

サントリーの新人研修計画を提案へ

授業のキックオフに際して、サントリーHDから今回の社会連携授業の具体的課題が示されました。「会社を取り巻く環境を踏まえ、企業人・社会人に求められるものは何なのか、結論を発表して下さい」と「それを踏まえ、これからサントリーに入社してくる社員に対する具体的な研修計画を提案してください」の2つです。サントリーHDで行われている実際の研修内容に拘泥することなく、学生目線の斬新で自由な発想が期待されています。
 
 サントリーHDキャリアサポート室長の斎藤誠二さんと同キャリア開発部新人研修担当の宮崎優さんが、社会連携授業のパイロット役を務めるほか、同キャリア開発部課長の阿部優子さんが次回以降、オブザーバー参加します。斎藤さんは、この日の授業でミッションの趣旨や、具体的な研修計画を提案するまでの展開ステップなどを説明。「仕事はアイデア勝負ではありません。課題の本質をみなで深く議論することが重要です」と学生に語り掛けました。

東京・お台場のオフィス
サントリーHDの魅力を説明する宮崎さん

新入生17人が挑戦

授業は、新入生を対象に昨年度新設された前期カリキュラム「実践プロジェクトa」の一環として行われました。指導教授は、本学文学部国文学科(キャリア教育担当)の深澤晶久教授です。今年度は1年生17人が履修。1グループ4~5人の4班に分かれて、グループ単位で課題解決に取り組みます。
 
 前期カリキュラム「実践プロジェクトa」の中で企業と行う社会連携授業は、近畿日本ツーリスト首都圏に続いての開催となります。「一般社団法人フューチャースキルズプロジェト(FSP)研究会」が監修する初年次教育プログラム「主体性講座」をベースに組み立てられており、同講座は「学生の主体性を引き出し、これからの大学での学び方を学ぶ」授業として本学のキャリア教育に活用されています。

深澤晶久教授の話

「実践プロジェクトa」の授業も後半戦に入ります。後半ご支援いただけるのはサントリーホールディングス様です。学生にとってもとても身近な企業、学生の中には、サントリーさんの飲料など商品に関するお題を想定していた学生も多く、サントリーホールディングス様からの課題は、とても難しいと思います。しかし、このテーマを考えていくことは、学生が大学時代に何に意識して学びを深めておけば、社会人として通用するかの事前研究でもあるわけです。
言い換えれば、これからの4年間、「いかにして学ぶかを学べる」ということになる、とても貴重なお題であると感じています。学生の挑戦に期待したいと思います。

2021年5月27日

新ブランド「BAUM」に至るグローバルキャリア形成の軌跡!資生堂と社会連携授業を行いました(5/18)

グローバルビジネスの最前線で活躍する人材にキャリア形成を学ぶ社会連携授業が18日(火)、オンラインで行われました。資生堂と本学の社会連携授業として実施され、今年度で8回目となります。

講師は昨年度に続き、同社バウム・グローバル・ブランド・ユニットの林順子さんが登壇。林さんは、資生堂が海外展開を視野に入れた新ブランド「BAUM(バウム)」立ち上げに至る自身のグローバルキャリアを紹介するとともに、学生たちに「挑戦は必ず挫折を伴う。痛い失敗をすればするほど、その後の人生がより豊かになる」と、エールを送りました。

社会連携授業は、本学の学部を問わず2年生以上が対象の共通科目「国際理解とキャリア形成」のセッションの一つとして実現しました。文学部国文学科の深澤晶久教授(キャリア教育担当)が指導教授です。今年度は3年生17人、2年生9人の26人が受講しています。

講師の林さんは、2007年3月に関西外国語大学を卒業し、同年4月に資生堂に入社。今年で入社14年目となります。かつて資生堂の人事部にいた深澤教授とは、林さんが就職活動で資生堂を受験した際、深澤先生が林さんの面接官だったという、ご縁だそうです。林さんは、バウム・グローバル・ブランド・ユニットの現職に至る自身のグローバルキャリア形成の軌跡を、「大学生」「見知らぬ土地での出会いと気付き」「グローバルマーケットでの奮闘」の3つのフェイズに分けて紹介してくれました。

ZOOMで講義する林順子さん

あなたの人生のテーマは何?~大学生時代

林さんは授業の中で、自身の大学時代を「挫折と挑戦を絶えず繰り返し続けるという私の人生のテーマの礎を築いた」と振り返りました。彼女のグローバルキャリアとの関わりでいえば、外国語学部英米語学科専攻という環境に加えて、イギリスに短期留学したという経験も影響。「将来いずれかは海外に携われる仕事がしたいと漠然と考えていた」といいます。

 ただ、英米語学科という環境は、林さんにとり、あまり居心地のいいものではありませんでした。というのは、一緒に学ぶ学友の英語力やコミュニケーション能力がすこぶる高く、「帰国子女もいるようなクラスで学友と一緒に授業を受けるたび、自分の英語力とスキルの低さが恥ずかしくなった。いつしか、自分の殻に閉じこもり、努力することを止めてしまった」と自身を省みました。挫折といっていい、ほろ苦い経験でした。

 しかし、一つの新たな挑戦が彼女を奮い立たせます。アラビア語習得への挑戦です。アラビア語の習得は、英語と違い、「学友も自分も1からのスタート。英語では帰国子女と間で埋めきれない経験の差があったが、アラビア語なら自分の努力で、いくらでもカバーできる」と考えたそうです。アラビア語を学ぶ学生は、語学が専門の関西外国語大にあっても1学年で20~30人程度だったとか。林さんは「アラビア語を学ぶクラスで1番いい成績を取る」という目標を自らに課し、アラビア語の習得に熱中しました。「それからは自分に課したノルマをこなすのが楽しくなり、経験ではなく自分の努力でカバーができ始めたので、やればやるほど上達した」と語りました。

「努力でカバーできるものを自分で見つけ、自分の短所を知り尽くして補う方法を考えて、それを長所まで伸ばせば、それが自分の個性になる。そう、何となく考え始めたのが大学時代だった」(林順子さん談)

見知らぬ土地での出会い気付き~中国ビジネス時代

入社後は、北海道の販売拠点に3年間配属されました。北海道時代のいつのころからか、学生時代から憧れていた「世界とつながる仕事をしてみたい」という気持ちが少しずつ強くなっていったと語りました。衝動は抑えがたく、社内の公募異動公募制度のジョブチャレンジに応募。見事合格、研修生として中国に1年間派遣されることが決まりました。

 中国ビジネス部門に2010年に異動。2011年に研修生として北京に派遣されます。それ以前に訪中経験はなく、中国語も当時全く話せませんでした。「シンプルに全く自分の知らない新しい価値観の土地を見てみたい。これから伸びていくと言われていた中国市場を自分の目で見て、肌で体感してみたい」という希望に満ち溢れていました。

訪中後、資生堂チャイナの日本人社長の「ローカル感あふれる中国の現地を見たほうがいい」という方針から、いずれも日本人ゼロという黒竜江省ハルビン市や上海市に近い江蘇省無錫市のオフィスに林さん1人で、2か月間ずつ滞在しました。もはや「中国語は話せません」で済むはずもなく、猛烈に勉強。その時にできた中国人の友人は今でもやり取りをする無二の存在であると話しました。

グローバルマーケットでの奮闘

帰国後は再び中国市場に向けた商品開発に携わります。ほどなく、これまでのキャリアを活かせる新分野への挑戦を決意。日本や中国を含むグローバルマーケットで取り扱うブランドの仕事を目指しました。こうして、大学時代から夢見てきたグローバルな世界とのやり取りが、ようやく現実のものとなりました。

 しかし、夢にまで見たグローバルマーケットの現実は「言葉の響きはいいが、単なるカオスマーケット」と甘くはありませんでした。理想と現実のギャップに苦しみ、痛い目に何度も遭いまくったと述懐します。その結果、グローバルマーケットとの向き合い方を、経験を通じて学んだと振り返りました。

 「世界に自分と同じ考えの人はいない。言葉も思想も価値観も異なる。そういう彼ら彼女らとコミュニケーションを取るには、同じ一つのことを伝えるのも、いろんな手法があるし、いろんな伝え方を考えていかなければいけない。また、自分が考えていることがすべてが正しいわけではなく『そういう捉え方もあるのか』と自分の価値観も少しずつ幅が広がっていった」(林順子さん談)。

 グローバルマーケットを相手に奮闘する日々は5年間続きました。この間、できないことの連続で、落ち込むことが9割だったとか。しかし、残りの1割で、小さくても自分の中でできることや、仲間の助けを借りながらもできることをちょっとずつ増やし、周囲の信頼を勝ち取っていきました。

 林さんの次の挑戦が目前に迫っていました。「新しいブランドの立ち上げにプロジェクトメンバーとして参画したい」。2019年夏、現在に至る新ブランド「バウム」を立ち上げるプロジェクトメンバーに加わります。2020年1月、バウム・グローバル・ブランド・ユニットが発足。資生堂としても、高付加価値・高価格帯のプレステージ分野では、30年以上の空白を埋める新商品・ブランドとなりました。

 「一つは、挫折と挑戦を繰り返して人生の礎を築いてきた。二つ目は、自分の短所とか長所をいろんな経験から知り、時には落ち込み、時にはそれをポジティブに言い換え、いろんな経験を重ねることによって、それが蓄積されて自分の個性になっていった。それを人に誇れるまでに昇華させることが重要だったと思う」

 「一つ目と二つ目の連続という経験を通じて、『自分の中でのできること』を積み重ねた。後は運の要素が大きかったと思う。運をたぐり寄せるのも自分の実力の一つ。いろんなことを頑張っていれば、必ず誰かが見ていて、その人が思わぬところで、いいきっかけをポンとくれる。そういう幸運が重なり合った結果、自分が夢見ていたグローバルマーケットで戦うブランドの担当者という今の私がある」(林順子さん談)

渋谷SSで会える「バウム」の世界

さて、林さんが丹精込めて育てた新ブランド「バウム」を、皆さんはご存じでしょうか?ブランドメッセージは、「樹木がくれる美しい世界の始まり」。洗顔や化粧水やルームフレグランスなどのスキン、マインドブランドであり、「樹木由来の天然香料を中心に調合した香り」が、森林浴のような心地良さとともに、心身の調和をもたらしてくれます。

 林さんは現在、店舗・カウンターに関するあらゆるものに携わっています。中国の建築家「ネリー&フー」社とコラボレーションして店舗デザインを担当しているかと思えば、店頭体験プランの構築やスタッフの応対プラン、コスチューム開発も林さんの仕事です。また、住友林業株式会社とコラボして店舗で育てたオーク(なら)の苗木を原産地・東北地方の森林を開拓して植樹するというサステナブルな(持続可能な)取り組みも展開。ネリー&フーの凝った店舗設計も、カリモク家具の職人芸と協業することで実現しました。

 何はともあれ、実際に手に取り自分の目で確かめてみるのが一番です。本学の近くでは渋谷駅直結の複合施設型超高層ビル「渋谷スクランブルスクエア」6階のビューティフロアに「BAUM」があります。「学生の皆さん、是非、通学途中を利用して、バウムにお立ち寄りください」と、林さんからの伝言でした。

新ブランド「BAUM(独:樹木)」は、樹木の恵み
新ブランド「BAUM(独:樹木)」は、樹木の恵み

学生へのメッセージ

林さんは、最後にZOOM越しに学生たちに向かい、「あなたの人生のテーマとは何か」と改めて呼び掛け、講義を締め括りました。

 「私の人生のテーマ『挫折と挑戦』は、バウムとの取り組みを通じて少し変わった。今は『挫折と美しい未来への挑戦』になった。私たちが住んでいる地球にバウムを通じて恩返しができればいい。将来にわたり、美しい地球が循環していくために今できることを最大限やることが、私の人生のテーマではないかと思う」

 「自分の好きなことや興味のあることを是非見つけてほしい。見つけられなければ、今自分がやっていることを誰よりも熱心に取り組んでみてはどうか。レベルを誰よりも高いところに持っていけば、その先に必ず見える景色がある」

 「挑戦するからには挫折する時が必ずある。でも挫折をしないと成長はない。痛い失敗をすればするほど、その後の人生がより豊かになると自分に言い聞かせることだ。ネガティブになることも多い。しかし、今の経験が先の将来につながると思うことが、いつしか挫折があってよかったと思える日が来る」

 「人生のテーマはどんなことでもOK。ただし、人に話せるように自分の中で明確な言語化をしておけば、今後、就職活動などにも有益になる」(林順子さん談)

深澤教授は研究室からZOOM発信

深澤晶久教授の話

思い起こせば今から15年前、林さんとの出会いは資生堂での採用活動、約20,000名の応募者の中から選ばれた精鋭の一人でした。営業での仕事、中国での経験、そして新しいブランドのローンチと、彼女のキャリアは挑戦の連続、素晴らしい活躍ぶりに触れ、本当に嬉しく思います。学生には、林さんのお話しから、何ごとにも主体性を発揮し、失敗してもなお挑戦を続けるチャレンジ精神を学び、これからの学生生活、そしてそれに続く社会人生活でも活かして欲しいと願います。